(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784740
(24)【登録日】2020年10月27日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】給油装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20201102BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
B60K15/04 D
F02M37/00 301M
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-206590(P2018-206590)
(22)【出願日】2018年11月1日
(65)【公開番号】特開2020-69959(P2020-69959A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2019年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨松 将
(72)【発明者】
【氏名】中川 浩行
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−061263(JP,A)
【文献】
特開2017−061262(JP,A)
【文献】
特開2011−246046(JP,A)
【文献】
特開2009−073267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される給油装置であって、
給油口から前記車両の燃料タンクに至る流路を形成し、前記燃料タンクに至るフィラーパイプと、前記フィラーパイプの外端部が挿入され、前記給油口を画定する筒状の外側筒状部材とを有する流路形成部材と、
車体に結合されるとともに、前記外側筒状部材を介して前記フィラーパイプに結合されたステーとを備え、
前記外側筒状部材が半径方向外向きに突出する突出部を有し、
前記ステーは前記突出部を支持することにより、前記流路形成部材の外端部を支持し、
前記フィラーパイプの外端部の内周面、端面及び外周面を覆い、かつ前記フィラーパイプに係合された導電性の内側筒状部材と、前記ステーと前記内側筒状部材のいずれか一方に係合され、前記ステーと前記内側筒状部材の他方に弾発的に当接する導電性のばね片とを有し、
前記ステーは導電性を有し、且つ前記車体を介して接地されていることを特徴とする給油装置。
【請求項2】
前記ばね片を受容するべく、前記外側筒状部材の内端から外方に向けて切り込まれた切欠き部を有することを特徴とする請求項1に記載の給油装置。
【請求項3】
前記突出部は周方向に離間して配置された複数の舌片を含むことを特徴とする請求項2に記載の給油装置。
【請求項4】
前記ステーが前記突出部に締結具を介して結合され、
前記締結具が前記舌片及び前記ステーに設けられた取付孔に挿通されるとともに、互いに軸線方向の異なる複数のねじ又はクリップを含むことを特徴とする請求項3に記載の給油装置。
【請求項5】
車両に搭載される給油装置であって、
給油口から前記車両の燃料タンクに至る流路を形成し、前記燃料タンクに至るフィラーパイプと、前記フィラーパイプの外端部が挿入され、前記給油口を画定する筒状の外側筒状部材とを有する流路形成部材と、
車体に結合されるとともに、前記外側筒状部材を介して前記フィラーパイプに結合されたステーとを備え、
前記外側筒状部材が半径方向外向きに突出し、周方向に離間して配置された複数の舌片を含む突出部を有し、
前記ステーは前記突出部に締結具を介して結合され、
前記締結具が前記舌片及び前記ステーに設けられた取付孔に挿通されるとともに、互いに軸線方向の異なる複数のねじ又はクリップを含み、
前記ステーは前記突出部を支持することにより、前記流路形成部材の外端部を支持することを特徴とする給油装置。
【請求項6】
前記フィラーパイプの外端部の内周面、端面及び外周面を覆い、かつ前記フィラーパイプに係合された導電性の内側筒状部材と、前記ステーと前記内側筒状部材のいずれか一方に係合され、前記ステーと前記内側筒状部材の他方に弾発的に当接する導電性のばね片とを有し、
前記ステーは導電性を有し、且つ前記車体を介して接地されていることを特徴とする請求項5に記載の給油装置。
【請求項7】
前記突出部は、互いに周方向に離間して配置された1対の前記舌片を含み、前記ステーが、前記車体に結合された基端と、前記舌片の一方に結合された中間部と、前記舌片の他方に結合された遊端とを有することを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれか1つの項に記載の給油装置。
【請求項8】
前記両舌片が、概ね180度の角度をもって周方向に離間して配置されている特徴とする請求項7に記載の給油装置。
【請求項9】
前記流路形成部材は外端部よりも下流側において、前記車体に補助ステーを用いて結合されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つの項に記載の給油装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油口から燃料タンクに至る流路を形成する給油装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、給油口から注入された燃料を燃料タンクに導くための給油装置が公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1の燃料供給装置は、給油口側から順に、燃料キャップと、燃料の供給路の一部を構成するフィラーネックと、フィラーネック及び燃料タンクを接続する燃料パイプと、車体に結合されて燃料パイプを支持するパイプ保持装置とを備えている。パイプ保持装置は燃料パイプの上流端から離れた部分を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5321444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給油時には給油ノズルがフィラーネックに挿入される。これにより、フィラーネックに給油ノズルから荷重が加わる。特許文献1の燃料パイプは燃料パイプの上流端から離れた部分で支持されているため、給油ノズルからの荷重によって燃料パイプの上流端が変形する虞がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、給油口から燃料タンクに至る流路を形成する流路形成部材において、給油時の給油ノズルからの荷重によって、流路形成部材の給油口近傍が下方に倒れ変形することを防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車両に搭載される給油装置(1)であって、給油口(2)から燃料タンク(3)に至る流路を形成する流路形成部材(4)と、車体(35)に結合されたステー(36、82、92)とを備え、前記ステーは前記流路形成部材の外端部(12)を支持していることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、流路形成部材はその外端部、すなわち給油口側の端部においてステーを介して車体に支持される。これにより、給油ノズルが給油口に挿入されたときに、給油ノズルからの荷重がステーを介して車体に伝達されるため、流路形成部材の変形を防止することができる。
【0008】
上記の態様において、前記流路形成部材は、前記燃料タンクに内端部(11)において結合されたフィラーパイプ(5)と、前記フィラーパイプの外端部(12)が挿入され、前記給油口を画定する筒状の外側筒状部材(7)とを有し、前記ステーは前記外側筒状部材を介して前記フィラーパイプに結合され、前記外側筒状部材が半径方向外向きに突出する突出部(25,26、81、91)を有し、前記ステーが前記突出部を支持しているとよい。
【0009】
この構成によれば、給油口から燃料タンクに至る流路を形成する流路形成部材において、給油時の給油ノズルからの荷重によって、流路形成部材の給油口近傍が下方に倒れ変形することを防止するとともに、外側筒状部材をステーに容易に支持させることができる。
【0010】
この構成によれば、給油時に外側筒状部材の外端を閉じるキャップを開閉する必要がない。また、キャップの閉め忘れを防止することができる。
【0011】
上記の態様において、前記突出部は周方向に離間して配置された複数の舌片を含むとよい。
【0012】
この構成によれば、外側筒状部材を周方向に安定してステーに支持させることができる。
【0013】
上記の態様において、前記突出部が前記ステーに前記締結具(38、41)を介して結合され、前記締結具が前記舌片及び前記ステーに設けられた取付孔(37、40)に挿通されるとともに、互いに軸線方向の異なる複数のねじ又はクリップを含むとよい。
【0014】
この構成によれば、外側筒状部材が軸線方向の等しい複数のねじ又はクリップによってステーに結合される場合に比べて、組付け時のバラつきを防止することができ、外側筒状部材をより適正な位置でステーに結合させることができる。
【0015】
上記の態様において、前記突出部は、互いに周方向に離間して配置された1対の舌片(25、26)を含み、前記ステーが、前記車体に結合された基端(36A)と、前記舌片の一方に結合された中間部(36B)と、前記舌片の他方に結合された遊端(36C)とを有するとよい。
【0016】
この構成によれば、ステーは外側筒状部材の周方向において両舌片を繋ぐ一方側にのみ設けられるため、取付スペースの確保が容易になる。
【0017】
上記の態様において、前記両舌片が、概ね180度の角度をもって周方向に離間して配置されているとよい。
【0018】
この構成によれば、両舌片の周方向において最も離間して配置されるため、ステーと外側筒状部材との結合が強固になる。
【0019】
上記の態様において、前記フィラーパイプの外端部の内周面、端面及び外周面を覆い、かつ前記フィラーパイプに係合された導電性の内側筒状部材(13)と、前記ステーと前記内側筒状部材のいずれか一方に係合され、前記ステーと前記内側筒状部材の他方に弾発的に当接する導電性のばね片(45)とを有し、前記ステーは導電性を有し、且つ前記車体を介して接地されているとよい。
【0020】
この構成によれば、内側筒状部材をばね片及びステーを介して接地することができる。これにより、フィラーパイプの外端部の帯電を防止することができる。
【0021】
上記の態様において、前記ばね片を受容するべく、前記外側筒状部材の内端から外方に向けて切り込まれた切欠き部(42)を有するとよい。
【0022】
この構成によれば、ばね片を切欠き部に受容させることによって、外側筒状部材によって阻害されることなく、ばね片をステーと内側筒状部材とに当接させることができる。
【0023】
上記の態様において、前記流路形成部材は外端部よりも下流側において、前記車体に補助ステー(48)を用いて結合されているとよい。
【0024】
この構成によれば、流路形成部材をより強固に車体に結合させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の構成によれば、給油口から燃料タンクに至る流路を形成する流路形成部材において、給油時の給油ノズルからの荷重によって、流路形成部材の給油口近傍が下方に倒れ変形することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図4】(A)
図2のIVA−IVA断面図、及び(B)
図2のIVB−IVB断面図
【
図5】給油装置の第1変形例の上流側端部の(A)斜視図、及び(B)給油口側から見たときの正面図
【
図6】給油装置の第2変形例の上流側端部の(A)斜視図、及び(B)給油口側から見たときの正面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る給油装置について説明する。給油装置とはガソリンや軽油等を燃料とする自動車等の車両に搭載され、給油ノズルによって給油口から注入された燃料を燃料タンクに導くための装置である。
【0028】
図1に示すように、給油装置1は、給油口2から燃料タンク3に至る燃料の流路を形成する流路形成部材4を備えている。流路形成部材4は、一端側において燃料タンク3に接続されたフィラーパイプ5と、フィラーパイプ5の他端側が挿入され、且つ給油口2を画定する筒状の外側筒状部材7とを有している。流路形成部材4は給油口2が車幅方向における車外側に向くように配置されている。以下、燃料の流路における燃料タンク3の側を下流側(又は、車内側)と記載し、給油口2の側を上流側(又は、車外側)と記載する。外側筒状部材7は流路形成部材4の車外側端部8に位置している。
【0029】
フィラーパイプ5は樹脂製の略円筒状をなすパイプ部材であり、一端側から他端側に繋がる内孔であるパイプ内孔10を有している。フィラーパイプ5は複数の層構造を有しており、フィラーパイプ5の内面が導電性を有している。
図1に示すように、フィラーパイプ5は下流側(車内側)の端部(以下、内端部11)において燃料タンク3に接続されている。内端部11が燃料タンク3に接続されることにより、パイプ内孔10は燃料タンク3の内部に連通している。
図2に示すように、フィラーパイプ5は上流側(車外側)の端部(以下、外端部12)において略円形に開口し、上流側から下流側に向けて次第に縮径している。
【0030】
図3に示すように、フィラーパイプ5の外端部12には導電性を有する金属製の内側筒状部材13が結合している。内側筒状部材13はフィラーパイプ5の外端部12の内周面に接する円筒状の内筒部14(
図4(A)参照)と、フィラーパイプ5の外端部12の端面に沿って内筒部14の上流側端部から折曲され、フィラーパイプ5の外周面に接する円筒状の外筒部15とを備えている。これにより、内側筒状部材13はフィラーパイプ5の外端部12の内周面、端面及び外周面を覆っている。
【0031】
外側筒状部材7は樹脂製の部材であり、略円筒状をなす本体21と、本体21の外周面から半径方向外向きに突出する1対の舌片25、26(突出部)とを備えている。本体21は一端側において略円形に開口し、
図2に示すように、給油口2を画定している。本実施形態では、本体21に給油口2を開閉するためのシャッタ23が設けられている。
図3に示すように、外側筒状部材7の本体21には、フィラーパイプ5の外端部12が内側筒状部材13とともに車内側(給油口2の逆側)から挿入されている。外側筒状部材7の本体21には厚さ方向に貫通する複数の係止孔21Aが周方向に並んで形成されている。内側筒状部材13の外筒部15には車内側の縁部において径外方向に突出する複数の係止爪13Aが設けられている。外側筒状部材7の本体21にフィラーパイプ5の外端部12が挿入されて、
図4(B)に示すように、係止爪13Aが係止孔21Aにそれぞれ嵌合することにより、外側筒状部材7及びフィラーパイプ5が結合している。但し、外側筒状部材7及びフィラーパイプ5を結合させる態様はこの態様には限定されず、外側筒状部材7の内周面に径内方向に突出する係止爪を設け、内側筒状部材13の車内側端部が係止爪に係止されるように構成してもよい。
【0032】
図3に示すように、一方の舌片25(以下、第1舌片25)は板状をなし、外側筒状部材7の軸線方向に平行な壁面を形成している。第1舌片25にはその厚さ方向に貫通する第1取付孔27が設けられている。他方の舌片26(以下、第2舌片26)もまた外側筒状部材7の外周面から突出する板状をなしている。第1舌片25及び第2舌片26は外側筒状部材7の外周面において周方向に離間して配置されている。第1舌片25及び第2舌片26は外側筒状部材7の外周面において概ね180度の角度をもって周方向に配置されている。第1舌片25及び第2舌片26は互いに離反する方向に突出している。第2舌片26は外側筒状部材7の外周面に対して略垂直に突出し、外側筒状部材7の軸線に垂直な壁面を形成している。第2舌片26にはその厚さ方向に貫通する第2取付孔28が設けられている。
【0033】
図1に示すように、給油装置1はフィラーパイプ5を車体35に結合させるためのステー36を備えている。ステー36は導電性を有する金属製の部材であり、略上下方向に延在する板状をなしている。より詳細には、
図3に示すように、ステー36は略水平方向に折り曲げられた上端部36A(基端)と、上下方向に延在する板状の中間部36Bと、中間部36Bの下側に連続する下端部36C(遊端)とを備えている。ステー36は上端部36Aにおいて、金属製のボルトによって車体35に締結されている。ここでいう車体35とは、車両の骨格を形成する金属性のフレーム(メンバ)やフレームに設けられた金属性のパネルを意味する。ステー36が車体35に締結されることにより、ステー36は車体35を介して接地されている。
【0034】
図1に示すように、ステー36が車体35に締結されたとき、中間部36Bの主面は概ね車両前後方向を向くように配置されている。
図3に示すように、中間部36Bには上下方向略中央部分に略円弧状に湾曲した湾曲部36Dが設けられている。外側筒状部材7は湾曲部36Dに接するように配置されている。中間部36Bには、湾曲部36Dの上側において、外側筒状部材7の第1取付孔27と整合する位置に厚さ方向に貫通する中間部取付孔37が設けられている。外側筒状部材7の第1舌片25は第1取付孔27及び中間部取付孔37を挿通する金属製の第1螺子38によって、中間部取付孔37に締結されている。このとき、
図2に示すように、第1螺子38はその軸線が概ね車両前後方向に沿うように配置されている。
【0035】
本実施形態では、
図3に示すように、第1取付孔27には環状をなす金属製の圧入部品27Aが挿入されている。圧入部品27Aが挿入されることによって、第1螺子38の締め付けによって加わる締め付け力(軸力)によって、第1舌片25が座屈することが防止されている。
【0036】
図2及び
図3に示すように、下端部36Cには車両前後方向(本実施形態では前方)に突出した支持片39が設けられている。
図2に示すように、支持片39は車外側を向く面を有する壁状をなしている。支持片39は外側筒状部材7の第2舌片26に整合する位置に設けられている。
図3に示すように、支持片39には第2取付孔28と整合する位置に厚さ方向に貫通する下部取付孔40が設けられている。外側筒状部材7の第2舌片26は車外側から支持片39に重合され、第2取付孔28及び下部取付孔40を挿通する金属製の第2螺子41によって、支持片39に締結されている。
【0037】
本実施形態では、
図3に示すように、第2取付孔28には環状をなす金属製の圧入部品28Aが挿入されて、第2螺子41の締め付けによって軸力によって、第2舌片26が座屈することが防止されている。
【0038】
このとき、
図1に示すように、第2螺子41はその軸線が概ね車幅方向に沿うように配置され、第2螺子41の軸線方向は第1螺子38の軸線方向とは互いに異なっている。このように軸線方向の異なる2つの螺子38、41によって外側筒状部材7がステー36に締結されることによって、外側筒状部材7がステー36に軸線方向の等しい複数の螺子によって締結される場合に比べて、外側筒状部材7をより適正な位置でステー36に結合させることができる。また、また第1舌片25及び第2舌片26を周方向に異なる位置に設けることで、第1舌片25及び第2舌片26を周方向に同じ位置に設けた場合に比べて、外側筒状部材7をより適正な位置でステー36に結合させることができる。更に、第1舌片25及び第2舌片26が概ね180度の角度をもって周方向に離間して配置されている。これにより、第1舌片25及び第2舌片26が周方向において最も離間して配置されるため、ステー36と外側筒状部材7との結合がより強固になる。
【0039】
第1舌片25が中間部取付孔37に金属製の第1螺子38によって締結され、第2舌片26が下部取付孔40に金属製の第2螺子41によって締結されることによって、外側筒状部材7はステー36に締結される。但し、第1螺子38及び第2螺子41を用いて外側筒状部材7がステー36に締結されていたがこの態様には限定されず、第1取付孔27及び第2取付孔28はそれぞれ螺子又はクリップを含む締結具が挿通される大きさに設定され、締結具によって外側筒状部材7がステー36に締結される態様であれば、いかなる態様であってもよい。
【0040】
図3に示すように、外側筒状部材7には、下流側(車内側)の端部(すなわち、内端)から車外側(すなわち、外方)に向けて、略方形に切り込まれた切欠き部42が設けられ、その切欠き部42には金属板によって形成されたばね片45が受容されている。ばね片45は導電性を有し、ステー36の中間部36Bに設けられた貫通孔である係止孔46に結合され、切欠き部42を通過して、内側筒状部材13に弾発的に当接している。このように、外側筒状部材7に切欠き部42を設けることで、切欠き部42を通過するようにばね片45を配置することができる。これにより、
図4(A)に示すように、外側筒状部材7によって阻害されることなく、ばね片45をステー36及び内側筒状部材13に当接させることができる。これにより、ばね片45によってステー36及び内側筒状部材13は電気的に接続され、内側筒状部材13はばね片45、ステー36、及び車体35を介して接地される。内側筒状部材13が接地されることで、フィラーパイプ5の外端部12の帯電を防止できる。
【0041】
図1に示すように、フィラーパイプ5は更に、外側筒状部材7との結合部分よりも下流側において、車体35に補助ステー48を用いて結合されている。これにより、流路形成部材4をより強固に車体35に結合させることができる。
【0042】
次に、以上のように構成した給油装置1の効果について説明する。外側筒状部材7がステー36を介して車体35に結合されている。これにより、フィラーパイプ5の外端部12がステー36を介して車体35に結合されて支持される。すなわち、流路形成部材4の車外側の端部(外側筒状部材7)において車体35に支持されている。これにより、給油ノズルが給油口2に挿入されたときに、流路形成部材4の車外側の端部がステー36を介して車体35に支持される。
【0043】
給油時には流路形成部材4の車外側の端部(すなわち、給油口2の側の端部)には給油ノズルから下方に向く荷重が加わる。このように、流路形成部材4の車外側の端部がステー36を介して車体35に支持されているため、流路形成部材4の給油口2の近傍の端部が下方に倒れ変形することを防止することができる。
【0044】
ステー36は上下方向に延在し、その中間部36Bにおいて第1舌片25に結合され、下端部36C(遊端)において第2舌片26に結合されている。このように、外側筒状部材7に第1舌片25及び第2舌片26を設けることで、第1螺子38及び第2螺子41を用いて外側筒状部材7をステー36に容易に結合させることができる。ステー36は第1舌片25及び第2舌片26を繋ぐ外側筒状部材7の車両前後方向一方側の側面に沿うように配置されている。このようにステー36を外側筒状部材7の車両前後方向一方側の側面に沿うように配置することで、ステー36が外側筒状部材7の外周面の全周に沿って設けられる場合に比べてステー36を小さくすることができる。ステー36を小さくすることによって、外側筒状部材7をステー36に組み付けるときの組付スペースを確保することが容易になる。
【0045】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、ばね片45はステー36の係止孔46に結合されていたがこの態様には限定されず、ばね片45がステー36に導通し、且つ互いに係合するいかなる態様であってもよい。また、ばね片45は内側筒状部材13に係合され、ステー36の中間部36Bに弾発的に当接していてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、外側筒状部材7に2つの舌片25、26が設けられていたが、3つ以上の舌片が設けられていてもよい。例えば、
図5の変形例(第1変形例)に示すように、外側筒状部材7には、外側筒状部材7の延在方向に直交する方向に突出する2つ以上(第1変形例では4つ)の舌片81が設けられていてもよい。このとき、ステー82は車体35に結合されるとともに車外側に向く壁面を備えた支持壁83を有し、支持壁83に舌片81がそれぞれ締結されているとよい。好ましくは、舌片81は周方向に概ね等間隔に配置され、支持壁83は外側筒状部材7の周方向の概ね全周に渡って設けられているとよい。これにより、外側筒状部材7が周方向に渡ってステー82に結合されるため、外側筒状部材7が周方向に渡ってより安定してステー82に支持されるとともに、外側筒状部材7とステー82との結合が強固になる。
【0047】
また、ステー36と外側筒状部材7とは必ずしも締結されていなくてもよく、ステー36は外側筒状部材7を車内側から支持している態様であってもよい。より具体的には
図6の変形例(第2変形例)に示すように、外側筒状部材7には半径方向外方に突出する突出片91が設けられ、ステー92が車体35に結合されるとともに車外側に向く面を備えた支持壁93を有し、突出片91が車内側から支持壁93に支持されてもよい。また上記第1変形例と同様に、突出片91は周方向に概ね等間隔に配置され、支持壁93は外側筒状部材7の周方向の概ね全周に渡って設けられているとよい。これにより、外側筒状部材7が周方向に渡ってより安定してステー82に支持される。また、
図7に示すように、フィラーパイプ5をより確実に車体35に結合させるため、給油口2から離間した位置に、フィラーパイプ5と車体35とを結合させる第2補助ステー94が設けられているとよい。
【符号の説明】
【0048】
1 :給油装置
2 :給油口
3 :燃料タンク
4 :流路形成部材
5 :フィラーパイプ
7 :外側筒状部材
11 :内端部
12 :外端部
13 :内側筒状部材
25 :第1舌片
26 :第2舌片
27 :第1取付孔
28 :第2取付孔
35 :車体
36 :ステー
36A :上端部
36B :中間部
36C :下端部
37 :中間部取付孔
38 :第1螺子
40 :下部取付孔
41 :第2螺子
42 :切欠き部
45 :ばね片
48 :補助ステー
81 :第1変形例に係る舌片
82 :第1変形例に係るステー
91 :第2変形例に係る舌片
92 :第2変形例に係るステー