(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記骨(2;20)の前記切断面(21;210)に沿って前記レーザビームを移動させるように適合された駆動ユニット(15;150)を備える、請求項1に記載のデバイス(1;10)。
前記駆動ユニット(15;150)が、前記デバイス(1;10)が前記支持部によって前記骨(2;20)に接続されたときに、前記骨(2;20)に対して前記レーザ源(12;120)を移動させるように適合されたレーザ源ポジショナを備える、請求項2に記載のデバイス(1;10)。
前記駆動ユニット(15;150)が、前記デバイス(1;10)が前記レーザビームを提供する方向を移動させるように適合された調節可能な光学素子(1510)を備える、請求項2または3に記載のデバイス(1;10)。
前記調節可能な光学素子(1510)が、前記レーザ源によって提供される前記レーザビームを偏向させるミラー(1510)を備え、前記ミラー(1510)は、前記レーザビームが放射状に360°提供されうるように軸の周りに回転できる、請求項4に記載のデバイス(1;10)。
前記デバイス(1;10)によって前記骨(2;20)の前記切断面(21;210)に適用されるアブレーションの深さを検出するように適合された深さ検出ユニット(134;172)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス(1;10)。
前記骨(2;20)の前記切断面(21;210)に対して前記レーザビームの焦点を自動的に調整するための自動焦点合わせ機構(14)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス(1;10)。
【背景技術】
【0003】
多くの医療用途において、ヒトまたは動物の骨は、多様な目的のために切断または穿孔される。例えば、骨の形状を修正するために、1つまたは複数の切断を骨に適用し、切断に沿って骨を再形成することが知られている。または、歯を取り替えるために、顎骨に穴を穿孔し、穿孔された穴に人工歯根としてインプラントを提供するのが一般的な方法である。
【0004】
通常、骨を切断する前に、その骨を分析し、その骨における骨切り幾何形状を定義する。骨切り幾何形状を定義するとき、切断プロセスの目標は、骨の所与の構造と同様に考慮されるべきである。また、切断が適用される前に、骨は、典型的には、アクセス可能にされる等など、準備される。骨切り幾何形状が定義され、骨が準備されると、適切な骨切り器具が介入のために選択される。これにより、電気鋸または空気圧鋸、ドリル等のような多くの異なる骨切り器具が今日知られており、一般に使用されている。
【0005】
例えば、歯科インプラントをセットするため等、骨に円筒孔または円錐孔を適用するために、しばしば機械式ドリルが使用される。または、線に沿って切断を適用するために、さまざまな鋸および圧電性骨切りのみが知られている。このような器具の使用には長く広い歴史があるため、その使用は比較的効率的であることができ、多くの外科医にとって好まれる。
【0006】
骨の切断を伴うほとんどの医療用途では、骨の治癒はプロセス全体の成功に重要である。したがって、通常、骨化は骨の治癒の重要な部分である。例えば、インプラントを顎骨にセットするためには、インプラント周囲のドリルの切断面における骨構造の骨化によって、インプラントが顎骨内へと成長する必要がある。または、骨を再形成するとき、互いに隣接する切断面の骨化を含め、骨片が一緒に成長しなければならない。
【0007】
しかしながら、上述のように骨切り器具を適用した後、切断面の治癒には、典型的には骨構造が切断面で損なわれるため、切断プロセスからの回復も含む。このような回復は、必須の骨化の開始に先行する。したがって、目標とする骨化は、通常、切断面の回復によって遅れる。多くの用途において、この遅れは、例えば切断面を保護するために対策を講じなければならないため、比較的煩雑である。また、多くの場合、医学的応用または治療は、プロセス全体の効率を本質的に低下させ得る骨の切断面の回復によって減速されるか、または完全に中断される。
【0008】
したがって、骨切り器具によって切断された後の骨の切断面における骨の治癒を改善することを可能にする方法またはデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、この必要性は、独立請求項1の特徴によって規定されるようなデバイス、独立請求項10の特徴によって規定されるような骨切り術を準備する方法、独立請求項15の特徴によって規定されるようなこのようなデバイスを製造する方法、独立請求項16の特徴によって規定されるような骨を切断する方法、および独立請求項26の特徴によって規定されるような骨をインビトロ切断する方法によって満たされる。好ましい実施形態は従属請求項の主題である。
【0010】
より詳細には、先行技術に存在する上述の必要性は、本発明に従って、骨切り器具がアクセス可能であるように骨を準備するステップと、骨における骨切り幾何形状を事前に定義するステップと、骨切り器具を骨に適用し、それによって骨切り幾何形状に沿って骨を切断し、骨に切断面を生成するステップとを含む、骨を切断する方法によって満たすことができる。骨を切断する方法は、特に、骨の切断面がアブレーションされるように、骨の切断面にレーザビームを送達するステップをさらに含む。骨を切断する方法は、本発明の一実施形態として、インビトロで適用することもできる。
【0011】
本開示の文脈において、骨切り器具は、例えば、ドリル、圧電式骨切りのみ、または振動鋸等の鋸であってもよい。「切断面」という用語は、切断プロセスによって骨に生成される任意の開放面に関連し得る。例えば、骨が切り離されたとき、切断面は、骨片が互いに向かい合う、生成された表面である。または、例えば、穴が骨に穿孔されている場合、切断面は穿孔穴の内面とすることができる。
【0012】
本明細書で使用する場合、「骨」という用語は、天然のヒトまたは動物の骨、および人工の骨または骨の置換物を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「骨切り幾何形状」という用語は、骨に適用される切断を指定するために骨に定義される任意の幾何形状に関する。そのような骨切り幾何形状は、例えば、それに沿って骨が切断されるべき直線または曲線、骨に穿孔される穴、または骨を介在する標的様式を定めるより複雑な幾何形状であり得る。骨切り幾何形状は、典型的には、術前計画段階で事前に定義される。これは、例えば、コンピュータ断層撮影データのような骨の収集されたデータに基づいて事前に定義することができる。骨切り幾何形状は、コンピュータによって、または骨等に直接事前に定義することができる。
【0014】
従来の骨切り器具を用いた骨の切断の一般に基礎となる原理は、あらゆる異なるタイプの器具に対して本質的に同じである。すなわち、それぞれの器具が、表面硬度を超え器具が骨に侵入するまで、骨表面に機械的応力を加えることである。
【0015】
これにより、印加された機械的な力によって、骨の構造が骨切り器具によって生成された切断面において変形される。特に、機械的切断プロセス中に、扁平な組織構造またはスミア層が骨の切断面で生成される(
図8参照)。特に、このスミア層は、破片が骨切り器具によって骨構造内に圧入されたり、または押し込まれたりした結果である。扁平な閉じた切断面は、骨切り器具による引張り亀裂、さらにはかき傷さえ有し得る。骨構造からの破片の除去および骨構造の回復には、数日等のいくらかの時間がかかり得る。このような回復の遅れは、特に骨化のような骨のさらなる治癒過程を妨げる。
【0016】
切断面をレーザビームによってアブレーションすることにより、骨切り器具によって生成されたスミア層を除去することができる(
図9参照)。特に、レーザビームを用いて骨組織をアブレーションする場合、発生した破片は、比較的速い速度、例えば、約2000m/秒で骨から離れるように移動する。したがって、骨の観点から、レーザビームによるアブレーションは破片フリーと呼ぶことができ、または完全アブレーションはコールド(光)アブレーションと呼ぶことができる。したがって、レーザビームは、スミア層を正確にアブレーションし、切断面において骨組織の自然な構造を再生することを可能にする。骨のそのような自然な開放構造は、多くの外科用途において重要であるその治癒に非常に有益であり得る。例えば、このような再生された構造は、実質的な骨化が切断面で始まり得る前の骨の回復を最小限に抑え、またはなくすことさえ可能にする。したがって、本発明による骨を切断する方法は、骨切り器具によって切断された後の骨の切断面における骨の治癒を改善することを可能にする。
【0017】
骨のこのような改善された治癒は、例えば、骨と共に成長するインプラントが関与する場合に、さらに有益であり得る。また、通常、骨に対してインプラントを成長させた場合、インプラントのある割合、例えば、インプラントの5%が拒絶されることが知られている。このような拒絶の状況では、インプラントを除去することが可能であり、骨を切断する方法に従って骨をアブレーションした後、インプラントを再配置することができる。その後の治癒は本質的により良好であり、特にインプラントの拒絶を覆すことができる。
【0018】
好ましくは、骨の切断面にレーザビームを送達することは、骨の切断面において骨組織の層を除去することを含む。切断面において骨組織の層を完全に除去することにより、完全な切断面での骨の再生を達成することができる。このことにより、骨組織の層は、好ましくは、約1〜約8マイクロメートルの範囲、または、特に約2〜約5マイクロメートルの範囲の厚さを有する。そのような層は、例えば、上記のスミア層または他の骨の任意の他の切断面損傷を除去するのに十分であり得る。
【0019】
好ましくは、骨の切断面にレーザビームを送達することは、隣接するスポットのラインを適用するレーザビームを含む。スポットは、本質的に円形形状を有することができる。切断面をレーザビームにより引き起こされたスポットでアブレーションすることにより、レーザビームが骨に当たる接触領域から骨の他の部分へ本質的な熱が伝達されることを防止または少なくとも最小限に抑えることができる。より具体的には、生成されてから次のスポットが与えられる前に、単一のスポットが冷却され得る。このように、熱による骨の副次的損傷を防止または最小限に抑えることができる。
【0020】
このことにより、骨の切断面にレーザビームを送達することは、好ましくは、さらなる隣接するスポットのさらなるラインを適用することを含み、さらなる隣接するスポットは、オフセットされ、隣接するスポット間にある。このようなスポットの格子を生成することにより、切断面を完全にアブレーションすることができる。さらに、異なる列のスポットはオフセットされるため、レーザビームが隣接するスポットと重なり合う箇所で同じスポットに当たるのを防ぐことができる。
【0021】
スポットは、好ましくは、約400マイクロメートル〜約5ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約1ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約600マイクロメートルの範囲の直径、または、特に約500マイクロメートルの直径を有する。このような寸法のスポットは、レーザデバイスによって正確かつ効率的に生成することができる。
【0022】
好ましくは、レーザビームはパルスレーザビームである。そのようなレーザビームのパルスは、サブマイクロ秒パルスであってもよい。レーザビームは、好ましくは、以下で説明するソリッドステートエルビウムレーザ源等のソリッドステートエルビウムレーザデバイスによって生成される。そのようなデバイスおよびパルスレーザビームにより、骨構造への副次的損傷なしに、または最小限で、切断面の正確かつ効率的なアブレーションを可能にする。
【0023】
好ましくは、レーザビームは、約2900ナノメートル〜約3000ナノメートルの範囲の波長、または、特に約2940ナノメートルの波長を有する。そのような波長は、特に、骨組織に送達するのに適している可能性がある。レーザの選択および特性を補正するための調整は、同程度に浅い深さの骨組織を効率的に除去するのに重要であり得る。したがって、切断面における骨組織の効率的なアブレーションを提供することができる。
【0024】
好ましくは、骨の切断面にレーザビームを送達することは、レーザビームが適用される場所で骨を冷却し、水和させることを含む。そのような冷却および水和は、マルチ流体ノズルが特に効率的であり得るノズルアレイを用いて実行することができる。冷却流体は、滅菌塩化ナトリウムであってよい。冷却流体は、レーザビームと骨組織との接触領域から骨の他の部分への熱伝達を最小限にすることを可能にする。したがって、骨組織の副次的損傷は防止または最小限に抑えることができる。
【0025】
本発明はさらに、骨の切断面を治療するためのデバイスを扱う。本デバイスは、レーザビームを生成するためのレーザ源と、レーザ源を担持する支持部とを備える。デバイスの支持部は、レーザ源が骨の切断面に対して所定の位置および向きになるように、骨に接続されるように適合された取り付け構造を有する。
【0026】
デバイスに関連する、「所定の位置および向き」という用語は、切断面をアブレーションするためにレーザ源が適切なビームを骨に送達できる任意の所定の位置および所定の向きに関連し得る。このことにより、レーザ源によって生成されたレーザビームが妨げられずに切断面に到達できるように、骨の切断面の近傍に位置を事前に決定することができる。レーザ源によって生成されたレーザビームが好ましい角度で直接切断面に到達できるように、レーザ源の向きを事前に決定することができる。このような所定の角度は、特に本質的に直角であり得る。
【0027】
取り付け構造に関連する、「骨に接続するように適合された」という用語は、取り付け構造が適切に特徴付けられ、具現化され、または設計されていることに関する。このことにより、骨の状況および構造に応じて、さまざまな異なる方法で取り付け構造を具現化することができる。例えば、骨に取り外し可能であるがしっかりと取り付けられることを可能にするクリップまたはクランプ手段を有することができる。または、骨に留められるねじを受容するためのねじ山をさらに装備することができる穴を有することができる。または、デバイスを骨に結び付けることを可能にするベルトまたはフィラメントを備えることができる。または、骨に取り付けるためのくぎまたは接着剤を装備することができる。取り付け構造は、他のこのような接続要素を有することもでき、または前述の接続要素の組み合わせを有することもできる。
【0028】
接続要素の他に、取り付け構造は、レーザ源を骨に対して適切に位置決めするための脚部等の位置決め要素を有することができる。加えて、取り付け構造は、レーザデバイスが接続されるべき骨の位置に従って成形された表面を有することができる。このような表面は、骨に対してデバイスを安定させることを手助けできる。
【0029】
本発明によるデバイスは、効率的かつ便利な方法で上記の骨を切断する方法を実施することを可能にする。このことにより、骨を切断する方法およびその好ましい実施形態に関連して上述した効果および利点を効率的に実現および達成することができる。
【0030】
好ましくは、デバイスは、骨の切断面に沿ってレーザビームを移動させるように適合された駆動ユニットを備える。このような駆動デバイスにより、レーザビームは自動でまたは半自動で骨の切断面上を移動することができる。例えば、駆動ユニットは、術前計画段階において切断面をアブレーションするように調整できるようにプログラム可能であり得る。駆動ユニットは、骨の切断面をアブレーションするときの効率および精度を高めることを可能にする。
【0031】
このことにより、駆動ユニットは、好ましくは、デバイスが支持部によって骨に接続されたときに、骨に対してレーザ源を移動させるように適合されたレーザ源ポジショナを備える。このようなレーザ源ポジショナまたはナビゲーションシステムを用いると、レーザ源によって生成されたレーザビームを、レーザ源またはその一部を動かすことによって骨の切断面に沿って案内することができる。あるいは、またはそれに加えて、駆動ユニットは、好ましくは、デバイスがレーザビームを提供する方向を移動させるように適合された調節可能な光学素子を備える。このような光学素子は、骨の切断面をアブレーションするためにレーザ源によって生成されたレーザビームを骨の切断面に正確かつ効率的に送達することを可能にする。このことにより、一実施形態では、調節可能な光学素子は、好ましくは、レーザ源によって提供されるレーザビームを偏向させるミラーを備え、ミラーは、レーザビームが放射状に360°提供されうるように軸の周りに回転できる。このようなミラーは、ドリル穴の切断面であるドリル穴の内面を効率的に処置することを可能にする。
【0032】
好ましくは、デバイスは、デバイスによって骨の切断面に適用されるアブレーションの深さを検出するように適合された深さ検出ユニットを備える。このようなデバイスは、特定の厚さの骨組織の層を正確にアブレーションすることを可能にする。このことにより、切断面上の骨組織の性質の変化が考慮され得る。また、このような深さ検出ユニットにより、同程度に平坦な表面を設けることができ、切断面の凹凸をなくすことができる。特に、上述したような駆動デバイスと組み合わせたとき、このような深さ検出ユニットは、骨の切断面の非常に正確かつ効率的なアブレーションを可能にする。例えば、深さ検出ユニットは、アブレーションされた骨組織の深さに関する情報を、それに応答して駆動装置を調整する中央制御ユニットに連続的に提供することができる。
【0033】
好ましくは、デバイスは、骨の切断面に対してレーザビームの焦点を自動的に調整するための自動焦点合わせ機構を備える。このような焦点合わせ機構は、前進するアブレーションに焦点を適合させ続けることを可能にする。有利な実施形態では、自動焦点合わせ機構は、上述の深さ検出ユニットと組み合わせられる。このことにより、自動焦点合わせ機構は、好ましくは、深さ検出ユニットによって検出された深さに応じてレーザビームの焦点を調整するように適合される。このようにして、所定のレーザビーム強度が確実に骨の切断面に当たるように、レーザビームの焦点を自動的に調整することができる。このことにより、アブレーションされた骨組織のそれぞれの深さに応じて焦点を連続的に調整することができる。
【0034】
好ましくは、レーザ源は、ソリッドステートエルビウムレーザ源、または、特にソリッドステートエルビウム添加イットリウムアルミニウムガーネットレーザ源である。このようなレーザ源は、骨または他のヒトもしくは動物の硬組織をアブレーションするのに特に適している可能性がある。
【0035】
デバイスは、レーザビームが骨の切断面に当たることによって発生した破片を除去するように構成された破片抜去ユニットをさらに備えることができる。このような破片抜去は、切断面および周囲の空間をきれいに保つのに役立ち得る。
【0036】
本発明の別の態様は、骨に関するデータを取得するステップと、骨における骨切り幾何形状を事前に定義するステップと、骨切り幾何形状に沿って骨を切断し、それによって骨に切断面を生成するのに適した骨切り器具を選択するステップと、骨切り器具がアクセス可能であるように骨を準備するために、および、骨切り器具を骨に適用し、それによって骨切り幾何形状に沿って骨を切断し、骨に切断面を生成するために、時間枠を割り当て、環境を定義するステップとを含む、骨切り術を準備する方法(準備方法)に関する。本準備方法は、切断面が骨に生成された後に、骨の切断面にレーザビームを送達するために、さらなる時間枠を割り当て、環境を定義するステップと、環境を、割り当てられた時間枠でのそれの定義に応じて用意するステップとをさらに含む。
【0037】
本準備方法に関連して使用される、「時間枠」という用語は、1つまたは複数の特定のステップが実行される期間および順序に関連し得る。時間枠を割り当てることにより、骨切り術または外科的処置との関係において、プロセスまたは方法のそれぞれのステップを順序付けることができる。したがって、準備方法で時間枠を割り当てることは、後の手術または骨切り術の間に関連するステップを計画し、効率的に実行することを可能にする。
【0038】
準備方法に関連して使用される、「環境」という用語は、計画された介入に必要なものに関連し得る。これには、例えば、必要とされる部屋および家具等の物理的環境、必要とされる人員、使用する器具およびツール、ならびに関連するものの配置等が含まれ得る。
【0039】
したがって、時間枠を割り当て、環境を定義することによって、関連するステップまたはプロセスを計画し、編成することができる。これにより、手術または骨切り術を実行した後にこのステップまたはプロセスを実際に効率的に実行することが可能になる。本発明による骨切り術を準備するすべてのステップは、骨または患者への何らかの介入の前に行われる。このことにより、外科的行為等をせずに準備方法を実行することができる。さらに、準備方法に従って環境が準備された後になって初めて、外科医の作業空間が準備される。
【0040】
骨切り術を準備する方法、すなわち準備方法は、術前計画プロセスの一部であり得る。特に、それは、後の介入または外科的処置が有益に実施できるように、手術を効率的に準備するために実行され得る。特に、準備方法は、上記の骨を切断する方法の実施形態を効率的に適用することを可能にすることができる。より具体的には、さらなる時間枠を割り当て、切断面が骨に生成された後にレーザビームを骨の切断面に送達するための環境を定義し、環境を割り当てられた時間枠でのそれの定義に従って用意することによって、上述の骨を切断する方法は、編成され、効率的に適用され得る。したがって、準備方法により、骨を切断する方法に関連して上述した効果および利点を効率的に達成することができる。
【0041】
好ましくは、骨に関するデータを取得するステップは、コンピュータ断層撮影法で骨を分析することを含む。このようなコンピュータ断層撮影分析は、例えば、コンピュータ等で外科的介入の前に骨の骨切り幾何形状を正確に定義することを可能にする。このことは、外科的介入の後の段階で骨を効率的に切断することを可能にする。
【0042】
以下、上述の骨を切断する方法の対応する好ましい実施形態を実施することを可能にする骨切り術を準備する方法の好ましい実施形態の特徴が列挙される。このことにより、骨を切断する方法の対応する実施形態に関連して上述した効果および利点は、それに対応して達成または支援され得る。
【0043】
好ましくは、骨の切断面をアブレーションすることを含む、骨の切断面へのレーザビームの送達に合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される。
【0044】
好ましくは、骨の切断面において骨組織の層を除去することを含む、骨の切断面にレーザビームを送達することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される。
【0045】
好ましくは、約1〜約8マイクロメートルの範囲、または、特に約2〜約5マイクロメートルの範囲の厚さを有する骨組織の層に合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される。
【0046】
好ましくは、隣接するスポットのラインを適用するレーザビームを含む、骨の切断面にレーザビームを送達することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される。
【0047】
このことによって、オフセットされ、隣接するスポット間にある、さらなる隣接スポットのさらなるラインを適用することを含む、骨の切断面にレーザビームを送達することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられることが好ましく、環境が定義されることが好ましい。
【0048】
このことにより、約400マイクロメートル〜約5ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約1ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約600マイクロメートルの範囲の直径、または、特に約500マイクロメートルの直径を有するスポットに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられることが好ましく、環境が定義されることが好ましい。
【0049】
好ましくは、レーザビームがパルスレーザビームであることに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される。このようなレーザにより印加されるパルスは、サブミリ秒パルスであり得る。
【0050】
好ましくは、レーザビームがソリッドステートエルビウムレーザデバイスによって、または、特にソリッドステートエルビウム添加イットリウムアルミニウムガーネットレーザデバイスによって生成されることに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される。
【0051】
このことにより、レーザビームが約2900ナノメートル〜約3000ナノメートルの範囲の波長、特に約2940ナノメートルの波長を有することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられることが好ましく、環境が定義されることが好ましい。
【0052】
好ましくは、骨の切断面にレーザビームを送達することが、レーザビームが適用される場所で骨を冷却し水和させることを含むことに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される。そのような冷却および水和は、滅菌塩化ナトリウムを用いて実行することができる。
【0053】
本発明のさらに別の態様は、骨の切断面を治療するためのデバイスを製造する方法(製造方法)に関する。本方法は、骨およびその切断面に関する骨の情報を取得するステップと、収集された骨情報に基づき、レーザ源が骨の切断面に対して所定の位置および向きになるように、骨に接続されるのに適するように支持部の取り付け構造を適合させるステップと、支持部がレーザ源を担持するように、レーザビームを生成するためのレーザ源を支持部に装備するステップと、デバイスに支持部を装備するステップとを含む。
【0054】
このような方法により、レーザデバイスを効率的に実現することができる。製造方法は、上述の好ましい実施形態に従ってデバイスを具現化するための各ステップによって完成または拡張することもできる。このことにより、本発明によるレーザデバイスおよびその好ましい実施形態の効果および利点を効率的に実現することができる。
【0055】
本発明による骨の切断面を治療するためのデバイス、本発明による骨を切断する方法、および本発明による骨切り術を準備する方法は、例示的な実施形態により、添付の概略的な図面を参照して、以下でより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下の説明において、特定の用語は、利便性の理由により使用され、本発明を限定することを意図していない。「右」、「左」、「上」、「下」、「〜の下」、および「〜の上」という用語は、図中における方向を意味する。これらの用語は、明示的に述べられる用語のみならず、それらの派生形および同様の意味を持つ用語を含む。また、「〜の真下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」、「近位」、「遠位」等の空間的に相対的な用語は、図中に示される別の要素または特徴に対するある要素または特徴の関係を説明するために使用され得る。これらの空間的に相対的な用語は、図中に示す位置および向きに加えて、使用または動作中のデバイスのさまざまな位置および向きを包含するように意図されている。例えば、図中のデバイスが反転された場合には、他の要素または特徴の「下方」または「真下」と説明される要素は、当該他の要素または機能の「上方」または「上」となるであろう。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方および下方の両方の位置および向きを包含することができる。デバイスはこれら以外の向きにされてもよく(90度、または他の向きに回転されてもよい)、本明細書で使用する空間的に相対的な記述子は、適宜解釈される。同様に、さまざまな軸に沿った動き、およびさまざまな軸の周りの動きの記述には、さまざまな特別なデバイスの位置および向きが含まれる。
【0058】
さまざまな態様および例示的な実施形態の図面および記述における繰り返しを避けるために、多くの特徴が多くの態様および実施形態に共通であることを理解すべきである。記述または図面から一態様を省略しても、その態様が組み込まれている実施形態からその態様が欠落していることを意味するものではない。代わりに、その態様は、明確さを期して、冗長な記述を避けるために省略されている可能性がある。この文脈において、以下は、本明細書の残りに当てはまる。図面を明瞭なものとするために、図面が本明細書の直接関連する部分に説明されていない参照番号を含む場合、これは前または後の説明セクションに言及されている。さらに、明瞭さの理由から、図面において、部品のすべての特徴に参照符号を付していない場合は、同じ部品を示す他の図面を参照するものとする。2つ以上の図面における同一の数字は、同一のまたは類似の要素を表す。
【0059】
図1は、本発明による骨の切断面を治療するデバイス1の第1の実施形態を示す。デバイス1は、レーザ源12と、駆動ユニット15と、自動焦点合わせ機構14と、破片抜去ユニット16と、支持部11と、媒体配線13とを備える。支持部11は、取り付け構造として2つの脚部111を有する。脚部111は、一方の長手方向端部では駆動ユニット15に接続されている。脚部111は、反対側の長手方向端部において、骨2に接続されるように構成されている。特に、脚部111は、互いの間に骨2をクランプするように成形されている。骨2は、鋸のような適切な切断器具によって先に切断され、切断器具が適用された切断面21を呈している。脚部111は、レーザ源12、特にそのレーザヘッド121が骨2の切断面21に対して正確に配置され配向されるように配置される。
【0060】
レーザ源12は、駆動ユニット15に直接取り付けられたレーザヘッド121と、レーザヘッド121に接続され、骨2の切断面21に向けられたノズル本体125とを有する。
図1において、ノズル本体125は、ノズル本体125の内側に配置された自動焦点合わせ機構14のレンズ141が見えるように部分的に透明に描かれている。自動焦点合わせ機構14のレンズ141は、その強度が切断面21において骨組織をアブレーションするように適合されるように、レーザ源12によって生成され、骨2の切断面21に向けられたレーザビームの焦点を合わせる。
【0061】
破片抜去ユニット16は、骨2の切断面21に近接して配置されたノーズを有する。破片抜去ユニット16は、ノーズを介して、骨2の切断面21からのレーザビームによる骨組織のアブレーションによって発生した破片を吸引する。
【0062】
駆動ユニット15は、3つの垂直に配置されたレールを備える。より詳細には、これらのレールは、xレール151、yレール152およびzレール153からなる。
【0063】
デバイス1は、レーザ源12のレーザヘッド121の下方に配置されたカメラ18をさらに備える。カメラは、骨2の切断面21、特に、レーザビームが切断面21に当たる領域に向けられる。カメラを用いて、アブレーションプロセスを監視し、評価することができる。カメラは、レーザビームと骨組織との接触領域の温度を測定するのに適した赤外線カメラであってもよい。
【0064】
図2において、デバイス1は、デバイス1の電子ユニット17が見える別の視点で示されている。電子ユニット17は、媒体配線13を介してレーザ源12のレーザヘッド121に接続されている。
図2に示す矢印で示すように、レーザヘッド121は、駆動ユニット15のモータによって、駆動ユニット15のxレール151に沿ってx方向に、駆動ユニット15のyレール152に沿ってx方向に垂直なy方向に、駆動ユニット15のzレール153に沿ってx方向およびy方向に垂直なz方向に移動可能である。このように、駆動ユニット15は、レーザ源12のレーザヘッド121を骨2の切断面21に対して3つの次元すべてで正確に配置することができる。
【0065】
図3は、デバイス1の電子ユニット17をより詳細に示す。電子ユニットは、ガスおよび液体制御部171、深さ制御部172、処理ユニット173、およびディスプレイ174を備える。さらに、電子ユニットには、レーザ源12のソリッドステートエルビウム添加イットリウムアルミニウムガーネット(Er:YAG)レーザ122が装備されている。
【0066】
図4に示すように、媒体配線13は、前方冷媒管131、後方冷媒管132、ガス管133、電源ケーブル134、深さ制御光ファイバ135、アブレーション光ファイバ136、およびコントローラケーブル137を備える。媒体配線は、さらにレーザ源12のアブレーション光ファイバ123を収容する。
【0067】
電源ケーブル134は、電子ユニット17から離れたすべての電力消費物に接続される。このことにより、特に、駆動ユニット15のモータ、カメラ18、破片抜去ユニット16、および自動焦点合わせ機構14等の電力消費物には、媒体配線13の電源ケーブル134を介して電気エネルギーが供給される。
【0068】
前方冷媒管131および後方冷媒管132は、冷却体に接続される。冷媒は、レーザヘッド121等のような取り付けられた構成部品を冷却するのに適した任意の液体または、ソール(sole)のような他の媒体とすることができる。より詳細には、前方冷媒管131において、冷媒は冷媒リザーバから冷却体に供給され、後方冷媒管132では、加熱された冷媒が冷却体を循環した後に戻される。
【0069】
ガス管133および液体管136がレーザ源12のレーザヘッド121のノズル本体125に接続されている。ノズル本体125は、レーザビームと骨組織との接触領域に向けられた複数の2流体ノズルを備える。2流体ノズルによって、例えば、滅菌塩化ナトリウムまたは防腐物質が富化され得る蒸留水のような、液体チューブ136によって提供される液体と、ガス管133によって提供されるガスは、噴霧を発生させるために高圧で混合される。骨組織のアブレーションの間、2流体ノズルは、冷却のためにレーザビームと骨組織との接触領域に噴霧を向けることにより、骨組織における熱伝達を最小限にする。例えば、2流体ノズルは、約3バールの圧力下で約8〜10ml/分の流速で滅菌塩化ナトリウムを切断面21に送達することができる。次いで、液体は、破片抜去ユニット16によって破片と共に骨の切断面21から除去される。
【0070】
コントローラケーブル137は、処理ユニット173と、デバイス1の制御可能な構成部品、例えば、駆動ユニット15のモータ、カメラ18、自動焦点合わせ機構14、ノズル本体125の2流体ノズル等に接続される。コントローラケーブル137を介して、処理ユニット173は、上述の制御可能な構成部品と通信する。例えば、処理ユニットは、骨2の切断面21における骨組織のアブレーションの深さを考慮して、自動焦点合わせユニット14のレンズ141の向きを自動的に調整する。
【0071】
アブレーション光ファイバ123を介して、ノズル本体125から自動焦点合わせ機構14を通過するEr:YAGレーザ122からレーザビームが提供される。このため、
図5に示すように、レーザビームは、アブレーション光ファイバ123に導入される。特に、レーザ源12のEr:YAGレーザ122は、ビーム発生器124を有する。最初のレーザビームはビーム発生器124を出、アブレーション光ファイバ123へとレーザ源12のレンズ125の焦点を合わせることによって導かれる。そこで、レーザビームは、レーザヘッド121へと移動し、ノズル本体125を通ってレーザ源12を出る。このことにより、レーザビームが自動焦点合わせ機構14により骨2の切断面21へと焦点を合わせられる。自動焦点合わせ機構14により、切断面21におけるレーザビームの強度は正確に調整できる。このことにより、切断面21における骨組織の効率的なアブレーションを可能にする。
【0072】
骨組織をアブレーションするレーザビームと同様に、第2のレーザビームが深さ制御光ファイバ135を介して提供される。この第2のレーザビームは、骨2へのアブレーションプロセスの深さを検出するためのものである。
図6に示すように、第2のレーザビームは、自動焦点合わせ機構14内でレーザビームと合わせられる。特に、自動焦点合わせ機構14はダイクロマティックミラー142を備える。第1のレンズ141により揃えられたレーザビームは、その裏面からダイクロマティックミラー142を通過する。第2のレンズ141により揃えられた第2のレーザビームは、ダイクロマティックミラー142の正面においてレーザビームに垂直に提供される。そこで、第2のレーザビームは、レーザビームと同一方向へとダイクロマティックミラー142により反射される。第2のレーザビームと一緒にレーザビームが第3のレンズ141により焦点が合わせされ、骨2の切断面21へと向けられる。
【0073】
使用時には、デバイス1は、本発明による骨2切断する方法の実施形態で適用可能である。デバイス1が使用される前に、骨2は、骨切り器具がアクセス可能であるように準備される。骨および完全な骨切り術を準備するには、本発明による骨切り術を準備する方法の実施形態を術前に適用できる。このことにより、骨2についてのデータがコンピュータ断層撮影によって取得される。データが分析され、コンピュータ断層撮影画像において、骨切り線が骨切り幾何形状として骨2に定義される。次いで、鋸が骨切り線に沿って骨2を切断し、それにより、骨2に切断面21を生成するのに適した骨切り器具として選択される。術前計画において、時間枠が割り当てられ、鋸がアクセス可能であるように骨2を準備し、鋸を骨2に適用し、それによって骨切り幾何形状に沿って骨2を切断し、骨2に切断面21を生成する環境を定義する。術前計画は、さらなる時間枠を割り当てることと、切断面21が骨2に生成された後に、骨2の切断面21にレーザビームを送達するための環境をさらに定義することとをさらに含む。すると、環境は、割り当てられた時間枠でのそれの定義に応じて用意される。
【0074】
術前計画の完了後、図に示すように、鋸を骨2に適用し、それによって骨切り線に沿って骨2を切断し、骨2に切断面21を生成することによって、骨2を切断する方法を継続する。骨が切断された後、デバイス1は、
図1に示すように、骨2に取り付けられる。次いで、レーザビームは、切断面21がアブレーションされるように、切断面21に送達される。
【0075】
切断面21をアブレーションするために、処理ユニット173は、駆動ユニットが、ノズル本体125と一緒にレーザ源12のレーザヘッド121を切断面21上で移動させるように、駆動ユニット15を制御する。このことにより、デバイス1のレーザ源12によって生成されたサブマイクロ秒パルスレーザビームは、隣接する円形スポットのラインと、さらなる隣接する円形スポットのさらなるラインとを生成する。さらなる隣接するスポットはオフセットされ、隣接するスポット間にある。このように、スポットのパターンが切断面21において生成され、切断面21の面積を完全に覆う。さらに、スポットおよびラインは交互に生成されるため、骨組織は冷却する時間を有し、これにより骨組織に対する副次的損傷を最小限に抑えることができる。
【0076】
切断面21において骨組織を効率的にアブレーションするために、レーザ源12によって生成されたレーザビームは、2940nmの波長を有するように調整される。骨2の切断面21へのレーザビームの送達中、滅菌塩化ナトリウムが、ノズル本体125内の2流体ノズルによって切断面21に噴霧される。このように、骨2の切断面21は、レーザビームが適用される場所で冷却され、水和される。
【0077】
アブレーション中、深さ制御部172は、アブレーションされた骨組織の深さを監視し、制御する。レーザビームは、切断面21において骨組織の規則的な層がアブレーションされるような深さに調整される。特に、鋸によって骨に生成されたスミア層を含む骨組織の層が除去される。
【0078】
図7は、本発明による骨20の切断面210を治療するデバイス10の第2の実施形態を示す。骨20は、例えば、顎骨または人工股関節の置換または再置換の準備ができた大腿骨であり、切断面210は顎骨20に生成される穿孔穴の内面である。デバイス10は、
図1〜
図6および上記に示すデバイス1と同様に具現化される。デバイス1とは対照的に、デバイス10の駆動ユニット150は、レーザ源120のノズル本体1250から下方に延びるビームガイドロッド1520を有する。ビームガイドロッド1520の下端部は、駆動ユニット150のミラー1510に接続される。ビームガイドロッド1520は、その長手方向軸を中心に360°回転可能である。ビームガイドロッドは、ノズル本体120に対してその長手方向軸に沿ってさらに移動可能である。
【0079】
使用時、デバイス10は、デバイス1に関連して上述したのと同様に準備され、適用される。レーザビームは、ビームガイドロッド1520を介して骨20の穿孔穴に送達される。ビームガイドロッド1520の端部で、レーザビームは、ミラー1510によって偏向され、骨20の切断面210に向けられる。可動かつ回転可能なビームガイドロッド1520によって、骨20の切断面210全体を効率的にアブレーションすることができる。
【0080】
図8は、1000倍に拡大した骨の切断面の走査型電子顕微鏡画像を示す。切断面は、介入器具としての圧電式骨切りのみにより生成される。図から分かるように、機械的切断プロセスの間、切断面の骨組織構造は扁平になり、スミア層が生成される。扁平な閉じた切断面は、圧電式骨切りのみにより、引張り亀裂およびかき傷を有する。この状態では、必須となる骨化が始まり得る前に骨組織が回復しなければならない。当然、このような回復には、複数日等いくらか時間がかかる。
【0081】
切断面をレーザビームによってアブレーションすることにより、骨切り器具によって生成されたスミア層を除去することができる。
図9では、レーザアブレーションされた後の、1000倍に拡大した骨の切断面の走査型電子顕微鏡画像が示される。ここでは、レーザビームによってスミア層が除去されるため、骨組織構造は開いており、同程度に損なわれていないことが分かる。このように、切断面における骨組織の自然な構造は、同程度に迅速に再生することができる。
【0082】
本発明の態様および実施形態を示す本明細書および添付の図面は、保護された発明を定義する請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。換言すれば、本発明は、図面および前述の説明において詳細に図示され説明されているが、そのような図示および説明は、例示的または代表的なものであって限定的ではないとみなされるべきである。本明細書および請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな機械的、構成的、構造的、電気的、および動作的な変更を行うことができる。場合によっては、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、および技術は詳細に示されていない。したがって、変化および変更は、以下の請求項の範囲および趣旨内で当業者によってなされ得ることが理解されるであろう。特に、本発明は、上記および以下に記述されるさまざまな実施形態の特徴を任意に組み合わせたさらなる実施形態を包含する。
【0083】
本開示はまた、前述のまたは以下の説明には記述されていなくても、個々が図中に示されるさらなるすべての特徴を包含する。さらに、図面および本明細書に記述される実施形態の単一の代替およびこれらの特徴の単一の代替は、本発明の主題または開示される主題から放棄され得ない。本開示は、請求項または例示的実施形態に定義される特徴からなる主題および当該特徴を含む主題を含む。
【0084】
また、請求項において、「含む」という用語は、他の要素およびステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(aまたはan)」は複数を排除するものではない。単一のユニットまたはステップは請求項に挙げられるいくつかの特徴の機能を実現してもよい。特定の尺度が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの尺度の組み合わせが効果的に使用できないということを示していない。また、属性または値に関連する用語「本質的に」、「約」、「およそ」等は特に、属性を厳密に、または値を厳密に、それぞれ定義するものである。「約」という用語は、与えられた数の値または範囲の文脈において、与えられた値または範囲の例えば、20%内、10%内、5%内、または2%内にある値または範囲を指す。結合または接続されていると記載された構成部品は、電気的もしくは機械的に直接結合されてもよく、または1つもしくは複数の中間構成部品を介して間接的に結合されてもよい。請求項中の任意の参照符号は、範囲を制限するものとしてみなすべできはない。
【0085】
本開示は、以下の実施形態をさらに含む。
【0086】
実施形態1は、骨を切断する方法であって、
骨切り器具がアクセス可能であるように骨を準備することと、
骨における骨切り幾何形状を事前に定義することと、
骨切り器具を骨に適用し、それによって骨切り幾何形状に沿って骨を切断し、骨に切断面を生成することと
を含む、方法において
骨の切断面がアブレーションされるように、骨の切断面にレーザビームを送達することを特徴とする方法である。
【0087】
実施形態2は、骨の切断面にレーザビームを送達することが、骨の切断面において骨組織の層を除去することを含む、実施形態1に記載の方法である。
【0088】
実施形態3は、骨組織の層が、約1〜約8マイクロメートルの範囲、または、特に約2〜約5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、実施形態2に記載の方法である。
【0089】
実施形態4は、骨の切断面にレーザビームを送達することが、隣接するスポットのラインを適用するレーザビームを含む、実施形態1から3のいずれか一つに記載の方法に記載の方法である。
【0090】
実施形態5は、骨の切断面にレーザビームを送達することが、さらなる隣接するスポットのさらなるラインを適用することを含み、さらなる隣接するスポットはオフセットされ、隣接するスポット間にある、実施形態4に記載の方法である。
【0091】
実施形態6は、スポットが、約400マイクロメートル〜約5ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約1ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約600マイクロメートルの範囲の直径、または、特に約500マイクロメートルの直径を有する、実施形態4または5に記載の方法である。
【0092】
実施形態7は、レーザビームがパルスレーザビームである、実施形態1から6のいずれか一つに記載の方法である。
【0093】
実施形態8は、レーザビームがソリッドステートエルビウムレーザデバイスによって、または、特にソリッドステートエルビウム添加イットリウムアルミニウムガーネットレーザデバイスによって生成される、実施形態1から7のいずれか一つに記載の方法である。
【0094】
実施形態9は、レーザビームが、約2900ナノメートル〜約3000ナノメートルの範囲の波長、または、特に約2940ナノメートルの波長を有する、実施形態1から8のいずれか一つに記載の方法である。
【0095】
実施形態10は、骨の切断面にレーザビームを送達することが、レーザビームが適用される場所で骨を冷却し、水和させることを含む、実施形態1から9のいずれか一つに記載の方法である。
【0096】
実施形態11は、
レーザビームを生成するためのレーザ源と、
レーザ源を担持し、レーザ源が骨の切断面に対して所定の位置および向きになるように、骨に接続されるように適合された取り付け構造を有する支持部と
を備える、骨の切断面を治療するデバイスである。
【0097】
実施形態12は、骨の切断面に沿ってレーザビームを移動させるように適合された駆動ユニットを備える、実施形態11に記載のデバイスである。
【0098】
実施形態13は、駆動ユニットが、デバイスが支持部によって骨に接続されたときに、骨に対してレーザ源を移動させるように適合されたレーザ源ポジショナを備える、実施形態12に記載のデバイスである。
【0099】
実施形態14は、駆動ユニットが、デバイスがレーザビームを提供する方向を移動させるように適合された調節可能な光学素子を備える、実施形態12または13に記載のデバイスである。
【0100】
実施形態15は、調節可能な光学素子が、レーザ源によって提供されるレーザビームを偏向させるミラーを備え、ミラーは、レーザビームが放射状に360°提供されうるように軸の周りに回転できる、実施形態14に記載のデバイスである。
【0101】
実施形態16は、デバイスによって骨の切断面に適用されるアブレーションの深さを検出するように構成された深さ検出ユニットを備える、実施形態11から15のいずれか一つに記載のデバイスである。
【0102】
実施形態17は、骨の切断面に対してレーザビームの焦点を自動的に調整する自動焦点合わせ機構を備える、実施形態11から16のいずれか一つに記載のデバイスである。
【0103】
実施形態18は、自動焦点合わせ機構が、深さ検出ユニットによって検出された深さに応じてレーザビームの焦点を調整するように構成される、実施形態16または17に記載のデバイスである。
【0104】
実施形態19は、レーザ源が、ソリッドステートエルビウムレーザ源、または、特にソリッドステートエルビウム添加イットリウムアルミニウムガーネットレーザ源である、実施形態11から18のいずれか一つに記載のデバイスである。
【0105】
実施形態20は、骨切り術を準備する方法であって、
骨に関するデータを取得することと、
骨における骨切り幾何形状を事前に定義することと、
骨切り幾何形状に沿って骨を切断し、それによって骨に切断面を生成するのに適した骨切り器具を選択することと、
骨切り器具がアクセス可能であるように骨を準備するために、および、
骨切り器具を骨に適用し、それによって骨切り幾何形状に沿って骨を切断し、骨に切断面を生成するために、
時間枠を割り当て、環境を定義することと
を含む、方法において、
切断面が骨に生成された後に、骨の切断面にレーザビームを送達するために、さらなる時間枠を割り当て、環境を定義することと、
環境を、割り当てられた時間枠でのそれの定義に応じて用意することと
を特徴とする方法である。
【0106】
実施形態21は、骨に関するデータを取得することが、コンピュータ断層撮影法で骨を分析することを含む、実施形態20に記載の方法である。
【0107】
実施形態22は、骨の切断面をアブレーションすることを含む、骨の切断面にレーザビームを送達することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態20または21に記載の方法である。
【0108】
実施形態23は、骨の切断面において骨組織の層を除去することを含む、骨の切断面にレーザビームを送達することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態20から22のいずれか一つに記載の方法である。
【0109】
実施形態24は、約1〜約8マイクロメートルの範囲、または、特に約2〜約5マイクロメートルの範囲の厚さを有する骨組織の層に合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態20から23のいずれか一つに記載の方法である。
【0110】
実施形態25は、隣接するスポットのラインを適用するレーザビームを含む、骨の切断面にレーザビームを送達することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態20から24のいずれか一つに記載の方法である。
【0111】
実施形態26は、骨の切断面にレーザビームを送達することが、さらなる隣接スポットのさらなるラインを適用することを含むことに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義され、さらなる隣接スポットは、オフセットされ、隣接するスポット間にある、実施形態25に記載の方法である。
【0112】
実施形態27は、スポットが約400マイクロメートル〜約5ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約1ミリメートルの範囲、もしくは約400マイクロメートル〜約600マイクロメートルの範囲の直径、または、特に約500マイクロメートルの直径を有することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態25または26に記載の方法である。
【0113】
実施形態28は、レーザビームがパルスレーザビームであることに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態20から27のいずれか一つに記載の方法である。
【0114】
実施形態29は、レーザビームがソリッドステートエルビウムレーザデバイスによって、または特にソリッドステートエルビウム添加イットリウムアルミニウムガーネットレーザデバイスによって生成されることに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態20から28のいずれか一つに記載の方法である。
【0115】
実施形態30は、レーザビームが約2900ナノメートル〜約3000ナノメートルの範囲の波長、特に約2940ナノメートルの波長を有することに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態29に記載の方法である。
【0116】
実施形態31は、骨の切断面にレーザビームを送達することが、レーザビームが適用される場所で骨を冷却し水和させることを含むことに合わせて、さらなる時間枠が割り当てられ、環境が定義される、実施形態20から30のいずれか一つに記載の方法である。
【0117】
実施形態32は、骨およびその切断面に関する骨情報を取得することと、収集された骨情報に基づき、レーザ源が骨の切断面に対して所定の位置および向きになるように、骨に接続されるのに適するように支持部の取り付け構造を適合させることと、支持部がレーザ源を担持するように、レーザビームを生成するためのレーザ源を支持部に装備することと、デバイスに支持部を装備することとを含む、骨の切断面を治療するためのデバイスを製造する方法である。