(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主成分分析、テクスチャ情報の抽出、平均値形成、標準偏差の決定、及び/又は、それらの組み合わせによる特徴抽出によりデータ削減ができるように、電子評価部が構成されることを特徴とする、
請求項1に記載のアレンジメント。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明による接合相手の表面に材料を連続させて接続する前に達成可能な接着強度を決定するためのアレンジメントは、ある波長幅内の電磁放射線の空間分解スペクトル分析用の複数の検出器を有する。この目的のために、これらの検出器は、列配置で、又は、行列配置で配置される。検出器は、電子評価部に接続されており、広帯域放射線源から出射された電磁放射線が、一方の接合相手の表面で又は材料が連続して接続される接合相手の表面に形成された層で反射した後に、及び/又は、電磁放射線を透過する接合相手に電磁放射線を照射した後に、検出器に当たるように配置される。ここで、照射は、電磁放射線が反射し又は透過する表面で、電磁放射線の一様な強度が観測されるように行われる。それゆえ、同時に検出される各表面は、一応な強度で照射されるべきである。広帯域照射では、波長幅内にある電磁波は、調査される一方の接合相手の各表面に向けられる。
【0008】
接合相手又はその表面に形成さ
れるコーティング層は、
その電磁放射線が向けられる表面が、各電磁放射線を100%吸収せずに、少なくとも2%の透過又は反射が可能な材料から形成されている。
【0009】
電子評価部は、波長幅内で空間分解能及び波長分解能を有する検出器によって検出された測定信号を、特定の波長範囲と、照射表面の予め設定可能な部分領域内の個々の局所点とに関連付けることができるように構成されている。
【0010】
ここで、材料が連続した接続に用いる1つの接合相手や全接合相手の全表面に亘って、検出や評価を行うことができる。しかしながら、1以上の部分表面で決定することもできる。
【0011】
各照射表面の全ての局所点で波長分解能を有して検出された強度の全体は、波長分解能を有する1つの次元と、空間分解能を有する2つの次元とを備えた3次元データ構造(ハイパーキューブ)を形成する。
【0012】
次に、波長分解能を有して検出された部分領域の全ての測定信号のためにデータ削減が実行可能であるべきであって、そこでは、有意な特徴が選択され、その結果の特徴セットに対して回帰モデルを用いた回帰処理を行う。回帰モデルは、電子メモリに記録されており、好ましくはより高い測定精度を有する異なる測定処理を用いて接着強度が決定されたサンプルで決定された特徴セットを用いて決定されている。これにより、接着強度を評価するために少なくとも1つの部分領域を用いて、接続する各部分領域の接着強度に関する計算書を得ることができる。
【0013】
本発明を用いて調査される、接合相手同士の材料が連続した接続は、異なる測定方法を用いて予め調査されたものと同等の構造又は組成を有する同類に属するべきである。
【0014】
材料が連続して互いに接続される接合相手の適切に選択された特徴セットと、異なる測定処理を用いて測定されたそれらの接着強度との関数関係は、例えば、線形回帰又は非線形回帰により、部分最小二乗(PLS:Partial Least Square)アルゴリズムにより、ニューラルネットワークにより、これらの方法又は他の回帰方法(回帰モデル)の少なくとも2つの組み合わせにより、決定することができる。
【0015】
本発明によるアレンジメントによって検出され、データ削減及び特徴抽出がなされた試料のデータ記録と、異なる測定処理を用いて測定された試料の接着強度とを用いて準備された回帰モデルは、電子メモリに含まれるべきである。同等の構造を有し、同様の試料分類に属する比較調査された試料の接着強度は、電子メモリに記録された回帰モデルを用いて、本発明によるアレンジメントを用いて決定されたデータセットから決定することができる。
【0016】
電子評価部は、本発明によるアレンジメントを用いて測定されたデータセットのデータ削減及び特徴抽出を行う。ここで、スペクトル情報及びその後の空間情報の評価は、最初に行うことができる。データ削減、特徴抽出とは逆の順番、又は、データ削減、特徴抽出の個々のステップの2つ以上の望ましい組み合わせも可能である。
【0017】
データ削減及び特徴抽出は、主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)、テクスチャ情報のパラメータ化、平均、及び/又は、標準偏差の決定及びこれらの組み合わせにより行うことができる。
【0018】
主成分分析を用いる場合には、全ての局所点のn個の波長の強度(スペクトル)が、座標変換を用いて、新しい直交座標系、すなわち、主成分空間へと変換される。主成分空間では、元データが最大分散を有し、nが測定波長の数を示す。
【0019】
座標変換は、測定された部分表面のデータセットの共分散行列のn個の固有ベクトル(主成分)と、関連付けられたn個の固有値とを決定することにより計算される。n番目の固有値が大きければ大きいほど、対応するn番目の主成分が元の分散をより多く説明する。すなわち、最も大きな固有値を有する固有ベクトルは、データセットの1番目の主成分であり、データセットの元の分散の最も大きな部分を説明する。最も小さな固有値を有する固有ベクトルは、データセットのn番目の主成分であり、データセットのいかなる関連特性も説明しない。特定の数の主成分だけが考慮される。それは、しばしば、データセットの元の分散の例えば95%よりも大きな十分な説明を既に保証する最初の3〜6個である。考慮される主成分の数、すなわち主成分空間の次元は、基準支援(criteria assistance)を用いて、例えば、全分散における比率を参照して、又は、スクリーンテストを参照して、選択することができる。
【0020】
新たに拡げられた主成分空間におけるスペクトルの座標は、対応する局所点を十分に特徴づける、いわゆるスコア値である。
【0021】
本発明により検出されたデータが、回帰モデルを準備するための既知の接着強度を有する試料のデータと同様に評価されるように、電子評価部を用いてデータ削減及び特徴抽出を有利に行うことができる。試料の接着強度は、その後、本発明により検出されたデータセット、すなわち空間解像度及び波長解像度を有して検出された電磁放射線の強度を用いて決定される。
【0022】
本発明により検出されたデータの評価では、次の手順を好ましく用いることができる。
【0023】
変形a)
スコア値を含む、最初の6個の主成分が、好ましくは、部分表面の全ての局所点のスペクトル情報の主成分分析により決定される。本発明により検出されたデータは、調査される表面の全ての局所点を表わすので、主成分毎のスコア値の領域分布を特定することができる。ここで、スコア値の異なる領域分布の定量化は、各部分表面の主成分の全てのスコア値を用いて決定された異なる統計パラメータにより行われる。それらは、特に、分散、四分位範囲又は平均絶対偏差である。この手順は全ての主成分に対して用いることができる。接着強度の決定は、部分最小二乗(PLS)回帰モデルのような回帰モデルに基づいて電子評価部により行われる。そこでは、パラメータに対して、好ましくは主成分分析(PCA)を更に介して、事前の特徴抽出を更に行ってもよい。
【0024】
ここで用いられる回帰モデル(ここでは、PLS)は、同等の構造を有する同様の試料分類の試料を用いて予め決定された。当該試料の接着強度は、異なる測定方法を用いて測定され、そこでは、特徴抽出の全てのステップは、上記処理と同様に行われた。
【0025】
変形b)
試料上の範囲に分散していると特定できる1つ以上の主成分、特に、主成分毎の局所点のスコア値は、調査される各部分表面の検出された全ての局所点のスペクトル情報の主成分解析を介して算出される。ここで、局所点は、スコア値の異なるパラメータによって記述することができ、造形的な表現として再生することができる。実際のスコア値に加えて、これはスコア値の空間分解分布のテクスチャ分析の結果から得られるパラメータによって、特に達成することができる。この目的のため、離散ウェーブレット変換(DWT:Discrete Wavelet Transformation)が好ましく用いられる。そこでは、例えば計算を実行するための「Sym2」ウェーブレットを用い、そして、更なるパラメータ例えばウェーブレットパラメータのエネルギーシグネチャー(二乗和)を続けて計算する。特徴抽出を更に行い、そして部分表面の特徴「接着強度」を決定するために、接合相手の調査された表面で決定され計算されたパラメータは、回帰モデル、特に、線形回帰モデルを用いて、決定することができる。ここで用いられる回帰モデルは、同等の構造と特性を有する同様の試料分類の試料を用いて予め決定された。当該試料の接着強度は、異なる測定方法を用いて測定され、そこでは、特徴抽出の全てのステップが上記処理と同様に行われた。
【0026】
離散ウェーブレット変換を使用する場合、検出器によって検出された少なくとも1つの画像のテクスチャ、特に繰り返し構造(周波数)を記述することができる。ウェーブレット変換(WT:Wavelet Transformation)は、ハイパス及びローパス周波数によるデジタルフィルタリングに対応する。そこでは、フィルタ関数(ウェーブレット)を変数として選択可能であると共に、周波数応答が方向依存性を有する。そのため、垂直方向、水平方向及び対角方向における画像又は造形的な表現をウェーブレット変換すると、異なる結果が得られる。3次元全ての計算は別々に行われる。結果は、ローパス情報(ウェーブレット係数)によって決定され、残りの情報は捨てられる。ここで、各画素はウェーブレット係数を表しており、全画素はウェーブレット行列を表している。更に、ウェーブレット変換を実行する際に、空間分解能が削減され、情報が分離される。情報の分離は、当初m個であった画素数から、ウェーブレット変換後にm×0.5個の画素がまだ得られることを意味する。ウェーブレット変換は複数回繰り返し行うことができる。これは、画像の細かい構造、中程度に細かい構造、及び粗い構造の情報を得るために3つのステージで行われ得る。しかしながら、3つのステージより多くても少なくてもよい。ウェーブレット行列の構造又はその造形的な画像化を記述するために、各ウェーブレット変換のウェーブレット係数から更にパラメータを決定することができる。この点、ウェーブレット行列の係数の二乗和平方根(エネルギー)、エントロピー、及びグレースケール行列及びそこから得られるパラメータが頻繁に使用される。
【0027】
調査される部分領域は、500μm×500μm〜1500μm×1500μmの範囲の大きさを有するべきである。検出は、0.5〜1.5μmの範囲の、好ましくは、1μmの空間解像度で行うことができるべきである。
【0028】
少なくとも30個の検出器が、好ましくは、少なくとも100個の検出器がここでは行に配置されるべきである(
ハイパースペクトルカメラ)。
【0029】
少なくとも1個の検出器が、好ましくは、少なくとも50個の検出器がここでは列に配置されるべきである。
【0030】
本発明によるアレンジメントは、適切なビーム成形光学要素と電子評価電子装置とを有する
ハイパースペクトルカメラを用いることができる。
【0031】
表面の照射は、少なくとも、電磁放射線が入射する表面の垂線に対して0°以上90°未満の角度で行われるべきである。電磁放射線を透過する少なくとも1つの接合相手を透過する照射では、角度は、少なくとも、ほとんど0°から試料垂線までで有利には観測されるべきであり、すなわち、照射は、反射される部分をできるだけ小さく保つために、できる限り垂直な方法で、試料表面上に向けられるべきである。照射及び検出は、電磁放射線の可変入射角で行うこともできる。既に示したように、入射角は、ここでは、0°から最大89°の範囲で選択することができる。
【0032】
検出は、線形偏光電磁放射線に限定することもできる。この場合、照射面の前及び/又は後の1つ以上の偏光面の有利な位置合わせを選択することができる。
【0033】
検出器及びまだ材料が連続して互いに接続されてはいない接合相手は、スペクトル分解方法及び空間分解方法で同時に線を測定することだけができる検出器を用いる上で、相互に少なくとも1つの軸に沿って、そして、この点に関して、好ましくは、互いに有利な間隔で特に移動することができる。このように、まだ材料が連続して互いに接続されてはいない接合相手に形成された試料は、静的に固定された複数の検出器と放射線源とを用いて、軸に沿って移動することができる。このことは、上に試料が配置された同様に移動可能なテーブルを用いて達成することができ、当該テーブルはX方向に、任意には、Y方向にも移動することができる。しかしながら、それぞれの試料が1つ以上の柔軟に変形可能な材料で形成され、例えば、この点に関してフィルム状であるときは、ローラーからローラーへの巻戻しも可能である。
【0034】
電磁放射線を成形する構成要素が放射線源に存在することができる。単純な実施形態では、放射線源は顕微鏡と結合できる。しかしながら、放射線源は中空体内に配置されることもでき、そこから電磁放射線が拡散的に出射し、照射される表面に向けられることができる。中空体は、球体又は円柱であり得る。同時に検出される表面は均一に照射されるべきである。ビーム成形を果たすようにそれぞれ用いられる光学要素の選択には、ビーム成形光学要素を有する放射線源とともに、用いられる波長範囲を考慮すべきである。
【0035】
調査される部分表面のサイズと要求される空間分解能とは、検出器の上流に配置される構成要素の使用と電磁放射線の成形とに影響され得る。単純な実施形態では、カメラ又は検出器のアレンジメントが、顕微鏡又はテレセントリックレンズと結合されて用いられ得る。
【0036】
電磁放射線の光学ビーム経路中の検出器の前に、散乱された電磁放射線の入射を防ぐ
絞りを好ましくは配置することができる。
【0037】
波長範囲が紫外線スペクトルに始まり赤外線スペクトルに終わる電磁放射線は、放射線源から出射することができる。可視光から近赤外スペクトルにまで入る、すなわち、250〜1000nmの波長範囲からの放射線が特に好ましい。可能であれば、用いられる波長範囲において、各波長幅内の全ての波長を用いることができるべきである。各波長に関して検出器を用いて検出可能な強度の検出器の感度/測定精度について、そして、ビーム誘導部品の光学特性について、制限が、用いられる検出器の感度範囲だけで予め規定されるべきである。接着強度を決定するための試料のスペクトルの間で最大の分散を有し、可能な限り小さい測定誤差を有するそれらのスペクトル範囲が好ましくは用いられるべきである。
【0038】
電磁放射線の偏光の直接選択を達成できる少なくとも1つの構成要素も、光学経路に存在することができ、光学経路に統合することができる。
【0039】
材料が連続して互いに接続可能な接合相手の試料は、異なる材料又は物質から好ましくは形成された、複数の層の多層構造であることもできる。試料の基材は、ポリマーフィルム、薄い金属フィルム又はガラスフィルムとすることができ、その上に、更に、ポリマー、セラミックス又は金属の薄いフィルムが異なる組み合わせで適用できる。達成可能な接着強度の決定はまた、材料が連続して接続される2個以上の接合相手のためにも行うことができる。この点、例えばスタック状にそれらを互いに上に配置することもできる。既に示したように、接合相手同士は接着剤接着によって材料を連続させて接続することができる。この点、材料が連続した接合相手同士の表面間に、適切な接着剤が設けられている。この 材料が連続した接続は、材料を追加する又は材料を追加しない溶接によっても形成され得る。また、達成可能な接着強度は、半田接続部のためにも決定され得る。金属又はセラミックスの表面上にCVD又はPVDプロセスによって形成される色層、プラスチック層などのコーティング層に期待される接着強度でも決定することができる。
【0040】
用いられる検出器、電子評価部、そして、任意には放射線源もが、本発明に従う配置で用いることができる、いわゆる
ハイパースペクトルイメージングシステムとなることができる。それにより、スペクトル情報に加えて、試料の検出された各部分領域のテクスチャ情報を得ることができる。
【0041】
検出された波長範囲(スペクトル)の個々の波長に関して、個々の局所点で測定された強度の検出に基づいて決定されたデータの削減は、実際の評価において好都合であり得る。それによって、接着強度の決定に関連する情報は、関連しない情報から分離することができ、そして、電子処理の労力も実質的に削減され、必要とされる時間も同様に削減される。非常に複雑で、コストが掛かる電子処理技術を利用する必要はない。
【0042】
本発明では統計モデルを準備することができ、それに基づいて、対応する下地部領域における、1つ及び/又は両方の接合相手の検査表面が達成可能な接着強度を予測することができる。この目的のために、好ましくは行状に配置され、波長解像度及び空間解像度を有して強度を検出できる複数の光学検出器の1つを用いて、データセットを検出することができる。
【0043】
達成可能な接着強度は、試料の検査表面の特性により影響を受ける。これらの特性は、粒子、吸着物、層の厚さ、材料、表面粗さ、表面トポロジーなど、及びそれらの検査部分表面における分布であり得る。これらの試料固有の特性は、試料と相互作用する電磁放射線が、異なって(スペクトル的に、強度的に)反射され、散乱され、伝わる効果を等しく有する。このように、波長解像度を有して検出された試料の検出された部分表面の異なる局所点の個々の強度(スペクトル)の十分な数の合計は、観測中の試料範囲における接合相手の期待される接着強度の情報を示すことができる。
【0044】
接着強度は、同等の構造を有する同様の試料分類の試料で予め測定された特徴セットを用いて構成された回帰モデルを利用して、測定された特徴セットを参照して、接着強度を決定することによって、決定され得る。
【0045】
この目的のために、測定された特徴セットに対してデータが削減され、そして、特徴が抽出される。このように、各部分表面の個々の局所点で検出された波長スペクトルに対して、スペクトル特徴抽出、例えば、クラスター解析又は主成分分析を行うことができる。その結果、回帰モデルで用いられるパラメータは、クラスターの数及び分布、主成分のスコア値、又は、それらの分布であり得る。
【0046】
更に、画像圧縮方法を、特徴抽出のためのテクスチャ評価に用いることができ、テクスチャ評価では、各部分表面の全ての局所点で検出された個々の波長の強度、複数の波長の強度の合計又は合計を平均したものの強度、スペクトル特徴削減により決定されたパラメータ、及び/又は、それらを組み合わせたものに対して、画像圧縮を行う。データセットのテクスチャ情報を説明するために、この点について、ウェーブレット変換、テイラーの多項式のような他の画像圧縮方法、フーリエコサイン変換、離散コサイン変換、グレースケール行列方法を介して、少なくとも1つのパラメータを決定するべきである。
【0047】
同等の構造と既知の接着強度とを有する同様の試料分類の試料の測定されたデータセットを用いて準備された校正モデル(回帰モデル)に基づいて、部分表面の接着強度を予測することができ、そこでは、校正及び予測のために、特徴削減の同一のステップを用いて、測定された各データセットが扱われる。ここでは、例として、「重回帰分析(MLRA:multiple linear regression analysis)」、「主成分回帰(PCR:Principal Component regression)」「部分最小二乗回帰(PLS:partial least square regression)」又は「ニューラルネットワーク」を用いることができる。
【0048】
照射強度の横方向の変動を有する試料により引き起こされる強度変動の重なりを横方向に均一な光照射野により回避することができるようにするために、十分な測定精度の必要条件は、検出のために用いられる表面の均一な照射である。小さな試料領域のために、顕微鏡光学系を有利には用いることができる。本発明に従う配置は、異なる光学系、作動距離、拡大を用いて検出される試料の各表面に適合させることができる。
【0049】
試料の達成可能な接着強度の決定は、本発明を用いて、数日の代わりに、数ミリ秒から数分で行うことができる。非接触非破壊測定も可能である。試料は、追加で処理されたり、他の方法で準備されたりする必要がない。品質管理及び生産のインラインモニタでは試料の除去及び分離測定が必要とされないために、これらの場合に用いられることが好ましい。
【0050】
本発明は、次の例により、より詳細に説明される。
図1は、「Sym2」ウェーブレットを用いたウェーブレット変換である。
図2は、DIN65448の楔試験おけるクラック進展を予測するための準備された回帰モデルであって、それによりクラック進展から達成可能な接着強度を計算することができるものである。
【0051】
例1
およそ100nmのシリカがプラズマプロセスによって被覆されたチタン合金のサンプル金属シートが、2mm×10mmの選択された表面上で5個の部分表面に分割され、光源としてのハロゲンランプにより均一に照射された。試料表面全体を幅2mmに亘って波長解像度及び空間解像度を有して検出できるように、合計1000×150個の光学検出器が試料上において行列状に配置され、光学系(ここでは顕微鏡)と結合された。試料により反射された光の強度の波長解像度を有する検出が、光学検出器を用いて個々の局所点について行われた。400nm〜1000nmの範囲の合計150波長が考慮された。試料表面全体を検出するために、ここでは、試料は検出器の行状の配置に対して垂直に移動された。
【0052】
従って、個々の局所点について検出器により波長解像度を有して検出された強度は、それぞれ2mm×2mmの大きさを有する試料の部分領域と関連付けられ、ハイパーキューブを形成した。
【0053】
続いて、下で説明されるような手順が段階的に続くデータ削減が各部分領域について行われた。
【0054】
1.スペクトルの平均値平滑化(移動平均)
2.部分領域のハイパーキューブの主成分分析
それにより、重要な情報を失うことなく、測定データセットの次元を削減した。この目的のため、2つのスコア画像が得られるように、2つの主成分を選択した。
【0055】
以下に記載された手順が段階的に後に続く離散ウェーブレット変換が各部分領域について行った。
【0056】
3.スコア画像毎の全ての変換(=9変換/スコア画像)について「Sym2」ウェーブレットを使用して、3方向(水平、垂直、対角)、及び、3つの各ステージ(細かい構造、中程度に細かい構造、粗い構造)において、ウェーブレット変換を実行する。
【0057】
4.ウェーブレット変換のパラメータの計算
a.エネルギー(ウェーブレット行列の係数の二乗和)
【数1】
ここで、p(i,j)は位置(i,j)でのウェーブレット行列の係数である。
b.(シャノン)エントロピー
【数2】
ここで、hはヒストグラムの階級値である。
c.グレースケール行列
i.エネルギー(適合性の尺度)
【数3】
ii.コントラスト(分散の尺度)
【数4】
iii.相関性(画素依存性)
【数5】
iv.均一性(モノトニーの尺度)
【数6】
ここで、p(i,j)は位置(i,j)でのウェーブレット行列の係数、μは
期待値、σは標準偏差である。
【0058】
その後、検査された試料の達成可能な接着強度の決定は、既知の接着強度を有する部分表面のデータセットと、ステップ1〜4に記載された形式に類似するデータ処理とを用い、予め準備された回帰モデルを用いて行われる。当該回帰モデルは電子評価部の電子メモリに記録されている。