(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロモーターは、担持体に比べて、重量比で1〜5wt%の組成範囲を有するか、または、前記窒素酸化物還元用触媒の総量基準に0.5〜3wt%の組成範囲を有する請求項4に記載の窒素酸化物還元用触媒。
前記化学式1で表されるバナジウム酸塩を担持する触媒と前記化学式1で表されるバナジウム酸塩を担持する触媒とを混合する段階をさらに含む請求項12に記載の窒素酸化物還元用触媒の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0042】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が実施される特定の実施例を例示として図示する添付図面を参照する。これら実施例は、当業者が本発明を十分に実施可能なように詳しく説明される。本発明の多様な実施例は、互いに異なるが、互いに排他的である必要はないということを理解しなければならない。例えば、ここに記載している特定の形状、構造及び特性は、一実施例に関連して、本発明の精神及び範囲を外れずに、他の実施例として具現可能である。また、それぞれの開示された実施例内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神及び範囲を外れずに、変更可能であるということを理解しなければならない。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるならば、その請求項が主張するものと、均等なあらゆる範囲と共に、添付の請求項によってのみ限定される。図面で類似した参照符号は、多様な側面にわたって同一または類似の機能を称し、便宜のために誇張して表現されることもある。
【0043】
以下、当業者が本発明を容易に実施させるために、本発明の望ましい実施例に関して添付図面を参照して詳しく説明する。
【0044】
本発明の実施例による窒素酸化物還元用触媒は、反応物が吸着され、反応が起こった後、生成物が脱着される領域である活性点及びこのような活性点を担持する担持体(supports)を含む。
【0045】
本発明の第1実施例による窒素酸化物還元用触媒は、マンガン(Mn)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)のうちから選択される何れか1つの金属とバナジウム(V)とを含むバナジウム酸塩(または、バナジウム複合酸化物)であって、下記の化学式1で表されるバナジウム酸塩を活性点として含む。それを「バナジウム酸塩A」と名付ける。
【0046】
[化1]
(M
1)
XV
2O
X+5
(ここで、M
1は、Mn、Co及びNiのうちから選択される1つであり、Xは、1〜3の間の値を有する実数である)
例えば、前記バナジウム酸塩Aは、MnV
2O
6、Mn
2V
2O
7、Mn
3V
2O
8、CoV
2O
6、Co
2V
2O
7、Co
3V
2O
8、NiV
2O
6、Ni
2V
2O
7、Ni
3V
2O
8のうちから選択された何れか1つ以上を含む。
【0047】
前記活性点としては、適用されるバナジウム酸塩Aは、金属(M
1:Mn、CoまたはNi)とバナジウム(V)との化学量論(stoichiometry)を調節して多様に合成される。
【0048】
本発明の第2実施例による窒素酸化物還元用触媒は、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のうちから選択される何れか1つの金属とバナジウム(V)とを含むバナジウム酸塩B(または、バナジウム複合酸化物)であって、下記の化学式2で表されるバナジウム酸塩を活性点として含む。それを「バナジウム酸塩B」と名付ける。
【0049】
[化1]
(M
1)
XV
2O
X+5
[化2]
(M
2)
YVO
4
(ここで、M
2は、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択される1つであり、Yは、0.5〜1.5の間の値を有する実数である)
例えば、前記バナジウム酸塩Bは、LaVO
4、CeVO
4、PrVO
4、NdVO
4、PmVO
4、SmVO
4、EuVO
4、GdVO
4、TbVO
4、DyVO
4、HoVO
4、ErVO
4、TmVO
4、YbVO
4、及びLuVO
4のうちから選択された何れか1つ以上をバナジウム酸塩Bとして含みうる。
【0050】
前記活性点としては、適用されるバナジウム酸塩Bは、金属(M
2:La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmまたはYb)とバナジウム(V)との1:1化学量論に基づいて合成されるが、配位結合上に不飽和された、すなわち、NO
X、NH
3、AS、ABSとの望ましい相互作用を起こしうる金属またはバナジウムサイト(site)の増加のために、金属(M
2):バナジウム(V)の化学量論が、0.5:1〜1.5:1の間の範囲を有するように合成される。
【0051】
本発明の実施例によれば、前記活性点は、実質的にバナジウム酸塩のみで構成される。例えば、活性点を構成する物質の90重量%以上が、バナジウム酸塩で構成することができる。望ましくは、95重量%以上、さらに望ましくは、99重量%以上を含み、残部は、製造過程で発生しうる不可避な物質で構成することができる。
【0052】
活性点がバナジウム及び金属のうち、1つと複合酸化物を成すことによって、バナジウム酸化物とそれ以外の金属酸化物(例えば、マンガン酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、イッテルビウム酸化物、セリウム酸化物など)が、それぞれ別途に存在する場合に比べて、優れた触媒特性を示す。
【0053】
本発明の第3実施例による窒素酸化物還元用触媒は、前記バナジウム酸塩Aのうち、1つ以上を含む第1活性点及びそれを担持する担持体からなる第1触媒と、前記バナジウム酸塩Bのうち、1つ以上を含む第2活性点及びそれを担持する担持体からなる第2触媒と、を互いに混合した混合物で構成される。
【0054】
バナジウム酸塩Aを活性点とする第1触媒の場合には、300℃以下の低温で優れた触媒特性を示す。一方、バナジウム酸塩Bを活性点とする第2触媒の場合には、300℃以上でむしろ優れた触媒特性を示す。したがって、第1触媒及び第2触媒を適切な比率で混合した混合物を触媒として使用する場合には、低温から高温に至る広い温度範囲で触媒を効率的に作動することができる効果を示す。
【0055】
前記第3実施例による混合触媒の混合の比率は、触媒が適用される温度や雰囲気のような環境や適用目的などによって多様に変化される。例えば、第1触媒に比べて、第2触媒は、重量比で0.1:99.9〜99.1:0.1の範囲内で変化される。
【0056】
本発明の第4実施例による窒素酸化物還元用触媒は、1つの担持体内にバナジウム酸塩Aのうち、1つ以上を含む第1活性点及びバナジウム酸塩Bのうち、1つ以上を含む第2活性点がいずれも担持される構成を有する。
【0057】
前記第3実施例の場合には、第1活性点及び第2活性点が、それぞれ別途の担持体に担持される第1触媒及び第2触媒を混合する構成であるが、これとは異なって、本第4実施例は、1つの担持体内に互いに異なるグループに属する異種バナジウム酸塩がいずれも活性点として担持される構成を有するという点で差を有する。
【0058】
本第4実施例による窒素酸化物還元用触媒の場合にも、第3実施例による触媒と類似に高温特性に優れた第1活性点と低温特性に優れた第2活性点が、いずれも1つの担持体に担持されていることによって、低温から高温に至る広い温度範囲で触媒を効率的に作動することができる効果を示す。
【0059】
前記第1活性点及び第2活性点は、担持体内でランダムに分布され、その相対的な比率は、第1活性点に比べて、第2活性点の相対的な重量比で0.1:99.9〜99.1:0.1の範囲内で変化される。
【0060】
前述した本発明の実施例によるバナジウム酸塩は、多様な方法で製造可能である。例えば、水熱合成法(hydrothermal synthesis)、溶媒熱合成法(solvothermal synthesis)、ボールミリング法(mechano−chemical method (ball−milling))などの物理的混合法、非テンプレートまたはテンプレート合成法(non−templated or templated synthesis)、水分含浸法または乾式含浸法(wet or dry impregnation method)、熱分解法(thermal decomposition method using Mn−V、Co−V、Ni−V based complex)のうち1つ以上の方法で製造可能である。
【0061】
このようなバナジウム酸塩は、後述する多孔性担持体内に分散され、直径(最大直径)が0.1nm〜500μmであり得る。この際、前記バナジウム酸塩は、担持体100重量部に対して、10
−4〜50重量部の組成範囲を有しうる。
【0062】
前述した本発明の実施例による窒素酸化物還元用触媒は、プロモーターをさらに含みうる。窒素酸化物還元用触媒の活性点は、排煙ガスに含まれた二酸化硫黄(SO
2)の吸着及び二酸化硫黄(SO
2)の酸化反応において、低い活性を有する必要がある。還元剤であるアンモニアは、下記の式(3)〜式(5)の化学反応式によって、三酸化硫黄と反応して触媒表面に硫酸アンモニウム(ammonium sulfateまたはammonium bisulfate)を形成し、硫酸アンモニウムは、300℃以下の低温で触媒の活性点に非可逆的に吸着することができる。このように吸着された硫酸アンモニウムは、窒素酸化物(NO
X)と還元剤であるアンモニアとの吸着を妨害して触媒の活性を減少させることができる。そして、二酸化硫黄が酸化されて形成された三酸化硫黄(SO
3)は、排煙ガスに含まれた水蒸気と結合して硫酸(H
2SO
4)を生成し、SCR工程後段システムを腐蝕させる問題点を引き起こしうる。
【0063】
SO
2+1/2 O
2→SO
3...(3)
SO
3+2NH
3+H
2O→(NH
4)
2SO
4...(4)
SO
3+NH
3+H
2O→(NH
4)HSO
4...(5)
前記プロモーターは、触媒反応中に起こりうる二酸化硫黄(SO
2)や硫酸アンモニウムなどによる被毒に対する抵抗性を向上させる役割を行える。例えば、プロモーターは、二酸化硫黄(SO
2)と触媒の表面の間に結合エネルギー(binding energy)を減少させることができる。これにより、低温SCR反応途中で起こりうる二酸化硫黄(SO
2)の酸化反応(反応式3)を最小化することもできる。また、二酸化硫黄とアンモニアとが反応して触媒表面に吸着される硫酸アンモニウム(AS、反応式4)または重硫酸アンモニウム(ABS、反応式5)の量を最小化して、触媒表面が被毒されて触媒の活性が減少する問題を防止することができる。また、低温で前述のASまたはABSを分解させることができる触媒表面の構成要素として添加される。
【0064】
前記プロモーターは、15族または16族元素の酸化物を含む。前記15族または16族元素は、窒素(N)、リン(P)、硫黄(S)、ヒ素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、モスコビウム(Mc)、及びリバモリウム(Lv)からなる群から選択された少なくとも何れか1つまたはその組合わせであり得る。
【0065】
担持体100重量部に対して、プロモーターは、10
−4〜50重量部を含み、望ましくは、3以下の重量部を含み、より望ましくは、0.5〜2の重量部を含みうる。
【0066】
担持体は、バナジウム酸塩とプロモーターとを分散させて担持する役割を行う。触媒の活性点は、窒素酸化物(NO
X)の円滑な吸着及び転換のために、大きな酸化還元特性を有さなければならない。この際、バナジウム酸塩を適切な担持体に担持して触媒を製造する場合、担持体に存在する反応性が大きな酸素(O
2)種を活性点に円滑に供給することができる。すなわち、触媒の酸化還元特性を向上させることができる。それと同時にバナジウム酸塩を担持体に高分散させた形態で製造する場合、触媒効率をさらに向上させることができる。したがって、前記の環境を提供することができる特性を有した担持体を含んで窒素酸化物還元用触媒を製造することができる。
【0067】
前記担持体は、炭素(C)または金属酸化物を含みうる。前記金属酸化物は、Al
2O
3、MgO、ZrO
2、CeO
2、TiO
2、及びSiO
2のうちから選択される何れか1つであり得る。
【0068】
本発明の一実施例による窒素酸化物還元用触媒は、広い表面積の特性を有するモルフォロジー(morphology)で構成することができる。表面積が広いほど反応物である窒素酸化物またはアンモニアの吸着が早くなり、反応速度が増加して、窒素酸化物(NO
X)還元効率が増加する。このような広い表面積を確保するために、前記触媒は、多孔性構造を有しうる。例えば、担持体を粉末素材をか焼処理して凝集させた凝集体で構成することにより、表面積が広い多孔性構造を具現することができる。
【0069】
本発明の実施例による窒素酸化物還元用触媒は、その表面を硫酸化処理して機能化することができる。本発明による硫酸化処理は、触媒のSO
Y2−による機能化を意味する。本明細書において、「機能化」とは、触媒の活性点数を増加させるか、反応物と触媒との吸着のような特性を改善して、触媒の性能を向上させる過程を意味する。一例として、本発明の窒素酸化物還元用触媒を硫酸化処理して、SO
Y2−によって機能化する場合、窒素酸化物の吸着及び転換に有利な触媒表面を具現し、新たな活性点を形成することもできる。
【0070】
触媒表面を硫酸化処理して、SO
Y2−による機能化を通じて、表面で金属種と結合されたSO
Y2−種に内在されたS−O結合の特性を調節することができる。具体的に、触媒表面に存在するSO
Y2−種は、イオン結合の特性(ionic character)を有する場合、2倍位結合(bi−dentate binding)の形態で触媒の金属種と結合し、共有結合の特性(covalent character)を有する場合、単倍位結合(mono−dentate binding)の形態で触媒の金属種と結合する。前記の結合形態の触媒での分布によって、触媒のNH
3−SCR反応能が左右される。
【0071】
この際、本発明の一実施例によれば、硫酸化処理は、SO
2及びO
2を含む反応ガスによって行われる。そして、反応ガスは、SO
2及びO
2の濃度は、10ppm〜10
5ppmの範囲を有し、流速(flow rate)は、10
−5mLmin
−1〜10
5mLmin
−1、圧力は、10
−5bar〜10
5barの範囲を有しうる。そして、硫酸化処理は、200℃〜800℃の温度範囲で0.1時間〜24時間行われる。
【0072】
触媒の硫酸化処理するための条件が、前述した範囲未満である場合、触媒のSO
Y2−機能化効果が不足である。また、前述した範囲超過である場合、担持体表面の過度な機能化によるNH
3−SCR反応途中、触媒表面の酸化還元特性を増大させるか、下記の式(7)の早い(fast)NH
3−SCR反応のためのNO
2の生成効率を向上させる酸素種(O
α)が消滅する。したがって、触媒の硫酸化処理は、前述した条件の範囲内で行われる。
【0073】
NO+NO
2+2NH
3→2N
2+3H
2O…(7)
硫酸化処理されてSO
Y2−機能化によって変形された触媒は、SO
Y2−−NH
4種を追加的に形成する。SO
Y2−−NH
4種は、還元剤であるアンモニア(NH
3)を吸着することができるブレンステッド酸点になる。すなわち、本発明による硫酸化処理されて機能化された触媒は、非機能化された触媒に比べて、反応活性点の個数を増加させることができる。また、SO
Y2−を利用した機能化によって変形された触媒は、金属−SO
Y2−種を追加的に形成して、非機能化された触媒に比べて、酸化/還元特性を増大させることができる。また、金属−SO
Y2−種は、前記の式(7)の早いNH3−SCR反応のためのNO
2の生成効率を向上させることができる。
【0074】
すなわち、SO
Y2−(Y−3or4)機能化条件によって酸点の個数が調節されるか、反応物(NO
X及びNH
3)/被毒剤(AS及びABS)との結合強度が調節される。したがって、NH
3−SCR反応に最適なバナジウム酸塩が合成される場合、NH
3−SCR反応途中、1)多数のブレンステッド酸点が提供され、2)多数の配位結合で不飽和されたルイス酸点が提供され、3)NO
Xターンオーバーサイクル(turnover cycle)の効率的進行に望ましい反応物との最適の反応強度を提供し、4)早いSCR反応に望ましいNO酸化(oxidation)効率を具現し、5)低温で触媒表面の被毒剤であるAS及びABSの分解能を有する触媒表面の構成要素になりうる。
【0075】
本発明の実施例による窒素酸化物還元用触媒は、触媒反応中に形成されるASまたはABSによって被毒になっても、それを300℃未満の低温で再び分解することにより、触媒特性を被毒前に回復させる再生効果が、従来の触媒に比べて優れている。すなわち、従来の触媒は、窒素酸化物の還元中に発生したASまたはABSによって被毒された以後には、それを酸素及び窒素雰囲気で再生処理を行っても、触媒特性を被毒前に回復することが実質的に困難であった。しかし、本発明の実施例による窒素酸化物還元用触媒は、ASまたはABSによって被毒された後にも、それを300℃未満の酸素及び窒素雰囲気で処理する場合、ASまたはABSが分解されながら、触媒特性が回復される。これは、本発明の窒素酸化物還元用触媒の場合、所定時間の間に触媒作動後、それを取り替えず、再生させる処理のみ行った後、再び使用することができるということを意味して、したがって、触媒の使用寿命が顕著に増大しうるということを意味する。
【0076】
以下、本発明の実施例による窒素酸化物還元用触媒の製造方法について記述する。
【0077】
まず、本発明の第1実施例による窒素酸化物還元用触媒の製造方法は、次のような製造段階を含む。
【0078】
まず、バナジウム前駆体溶液、2)Mn、Co、Niのうちから選択される1つの金属が含まれた前駆体溶液Aを製造する。
【0079】
前記バナジウム前駆体溶液は、例えば、バナジウム化合物を溶媒に溶解した溶液であり得る。前記バナジウム化合物は、NH
4VO
3、NaVO
3、VCl
2、VCl
3、VBr
3、VCl
3・3C
4H
8O、VO(C
5H
7O
2)
2、VO(OC
2H
5)
3、VC
10H
10C
l2、VC
18H
14I、VOCl
3、VOF
3、VO(OCH(CH
3)
2)
3、V(C
5H
7O
2)
3、VOSO
4、V(C
5H
5)
2などを含む。
【0080】
金属前駆体溶液Aは、触媒を構成するMn、Co、Niのうち何れか1つを提供するためのものであって、下述の金属塩のうち何れか1つを溶媒に溶解した溶液であり得る。
【0081】
前記マンガン塩は、例えば、Mn(NO
3)
2、MnSO
4、MnI
2、Mn(C
11H
19O
2)
3、MnCl
2、C
10H
14MnO
4、Mn(C
5H
7O
2)
3、Mn(CH
3COO)
2、Mn(CH
3COO)
3、Mn(CH
3CO
2)
2、Mn[CH
3COCH=C(O)CH
3]
2、Mn(ClO
4)
2、MnF
3、Mn
2(CO)
10、MnC
32H
16N
8、MnC
2F
6O
6S
2、MnCO
3、MnBr
2、Li
2MnCl
4、MnF
2、MnC
32H
16ClN
8、Mn(HCO
2)
2Mn・XH
2O、Mn[C
6H
11(CH
2)
3CO
2]
2、MnC
16H
22、MnC
18H
26、Mn
2C
10O
10、MnC
3H
9O
12S
3、KMnO
4であり得る。
【0082】
前記コバルト塩は、例えば、Co(NO
3)
2、CoBr
2、CoCl
2、Co(CH
3CO
2)
2、Co
2(CO)
8、Co(C
5H
7O
2)
3、CoSO
4、[Co(NH
3)
6]Cl
3、CoF
2、CoF
3、CoCO
3、Co
3(PO
4)
2、Co(ClO
4)
2、Co(BF
4)
2、Co(SCN)
2、Co(OH)
2、Co(NH
4)
2(SO
4)
2、CoC
5H
5(CO)
2、CoC
2O
4、Co(CN)
2、Co(C
5H
7O
2)
2、Co(C
5HF
6O
2)
2、Co(C
5H
5)
2、CoC
20H
30Co、Co(H
2NCH
2CH
2NH
2)
3Cl
3、[Co(NH
3)
6]Cl
3であり得る。
【0083】
前記ニッケル塩は、例えば、Ni(NO
3)
2、NiI
2、NiCl
2、Ni(OCOCH
3)
2、NiSO
4、NiO
2・XH
2O、Ni(C
5H
7O
2)
2、Ni(ClO
4)
2、NiBr
2、Ni(OH)
2、NiBr
2、Ni(NH
4)
2(SO
4)
2、NiCO
3・2Ni(OH)
2、2NiCO
3・3Ni(OH)
2、NiF
2、Ni[CH
3(CH
2)
6CO
2]
2であり得る。
【0084】
次に、準備されたバナジウム前駆体溶液と金属前駆体溶液Aとを混合して混合溶液Aを製造する。混合溶液Aに担持体を形成するための物質を追加し、十分に撹拌した後、脱水して、単一バナジウム酸塩が含まれた固形物を収得する。前記収得された固形物をか焼処理することにより、単一バナジウム酸塩が分散された窒素酸化物還元用触媒を製造することができる。
【0085】
前述した第2実施例による窒素酸化物還元用触媒の製造方法は、金属前駆体溶液が異なるものを除き、第1実施例の製造方法と同一である。第2実施例においては、バナジウム前駆体溶液と混合される金属前駆体溶液Bとして、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちから選択される1つの金属が含まれた前駆体溶液Bを製造する。
【0086】
金属前駆体溶液Bは、触媒を構成するLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうち何れか1つを提供するためのものであって、下術の金属塩のうち何れか1つを溶媒に溶解した溶液であり得る。
【0087】
前記ランタン塩は、例えば、LaF
3、LaB
6、LaCl
3、La(CH
3CO
2)
3、LaI
3、La
2(C
2O
4)
3、La(CF
3SO
3)
3、La(NO
3)
3、La(C
9H
21O
3)、La(C
5H
7O
2)
3、LaBr
3、LaPO
4、La
2(CO
3)
3、La(OH)
3、La
2(SO
4)
3であり得る。
【0088】
前記セリウム塩は、例えば、CeF
3、Ce(NH
4)
2(NO
3)
6、CeF
4、CeCl
3、Ce(CH
3CO
2)
3、CeI
3、Ce(SO
4)
2、Ce
2(C
2O
4)
3、Ce(NO
3)
3、Ce(C
5H
7O
2)
3、CeBr
3、Ce
2(CO
3)
3、Ce(OH)
4、Ce(NH
4)
4(SO
4)
4、Ce
2(SO
4)
3であり得る。
【0089】
前記プラセオジム塩は、例えば、PrCl
3、Pr(NO
3)
3、PrCl
3、Pr(C
5H
7O
2)
3、Pr
2(SO
4)
3であり得る。
【0090】
前記ネオジム塩は、例えば、NdF
3、NdCl
3、Nd(NO
3)
3、Nd(CH
3CO
2)
3、NdCl
3、Nd(NO
3)
3、Nd
2(SO
4)
3であり得る。
【0091】
前記サマリウム塩は、例えば、SmI
2、SmI
3、SmCl
3、Sm(NO
3)
3、Sm(CH
3CO
2)
3、SmPO
4、Sm(C
9H
21O
3)、Sm
2(SO
4)
3、Sm(C
5H
7O
2)
3であり得る。
【0092】
前記ユウロピウム塩は、例えば、EuI
2、EuF
3、EuBr
2、EuBr
3、EuCl
2、EuCl
3、Eu(NO
3)
3、Eu(CH
3CO
2)
3、Eu(C
5H
7O
2)
3、Eu
2(SO
4)
3であり得る。
【0093】
前記ガドリニウム塩は、例えば、GdCl
3、GdF
3、GdCl
3、Gd(NO
3)
3、Gd(CH
3CO
2)
3、Gd(C
5H
7O
2)
3、Gd
2(SO
4)
3、Gd(C
5H
7O
2)
3、Gd(OH)
3であり得る。
【0094】
前記テルビウム塩は、例えば、TbCl
3、TbF
3、Tb(NO
3)
3、Tb(CH
3CO
2)
3、Tb(C
5H
7O
2)
3、Tb
2(SO
4)
3であり得る。
【0095】
前記ジスプロシウム塩は、例えば、DyF
3、DyCl
2、Dy(NO
3)
3、DyCl
3、Dy(CH
3CO
2)
3であり得る。
【0096】
前記ホルミウム塩は、例えば、HoCl
3、HoBr
3、HoF
3、Ho(NO
3)
3、Ho(ClO
4)
3、Ho(CH
3CO
2)
3であり得る。
【0097】
前記エルビウム塩は、例えば、ErF
3、ErCl
3、ErBr
3、Er(NO
3)
3であり得る。
【0098】
前記ツリウム塩は、例えば、TmI
2、TmBr
3、TmF
3、TmCl
3、Tm(NO
3)
3、Tm(CH
3CO
2)
3、Tm
2(CO
3)
3、Tm
2(SO
4)
3であり得る。
【0099】
前記イッテルビウム塩は、例えば、YbCl
3、YbF
3、YbI
2、Yb(NO
3)
3、Yb(CH
3CO
2)
3、Yb(C
9H
21O
3)であり得る。
【0100】
前記ルテチウム塩は、例えば、LuCl
3、Lu(CH
3CO
2)
3、LuF
3、LuCl
3、Lu(NO
3)
3、Lu(C
5H
7O
2)
3であり得る。
【0101】
本発明の第3実施例による窒素酸化物還元用触媒の製造方法は、次のような製造段階を含む。
【0102】
バナジウム前駆体溶液と金属前駆体溶液Aとを混合して混合溶液Aを製造し、バナジウム前駆体溶液と金属前駆体溶液Bとを混合して混合溶液Bを製造する。混合溶液A及び混合溶液Bのそれぞれに担持体を形成するための物質を追加し、十分に撹拌した後、脱水して、単一バナジウム酸塩が含まれた固形物A及び固形物Bを収得する。前記収得された固形物を物理的に混合した後、か焼処理するか、固形物をか焼処理後、物理的に混合して、単一バナジウム酸塩の混合物が分散された窒素酸化物還元用触媒を製造することができる。
【0103】
本発明の第4実施例による窒素酸化物還元用触媒の製造方法は、次のような製造段階を含む。
【0104】
バナジウム前駆体溶液、金属前駆体溶液A、金属前駆体溶液Bを混合して混合溶液を製造する。混合溶液を担持体を形成するための物質を追加し、十分に撹拌した後、脱水して、固形物を収得する。固形物をか焼処理して、単一バナジウム酸塩の混合物が分散された窒素酸化物還元用触媒を製造することができる。
【0105】
さらに他の方法として、バナジウム前駆体溶液と金属前駆体溶液Aとを混合して混合溶液Aを製造し、バナジウム前駆体溶液と金属前駆体溶液Bとを混合して混合溶液Bを製造する。混合溶液A(または、混合溶液B)に担持体を形成するための物質を追加し、十分に撹拌した後、混合溶液B(または、混合溶液A)を添加し、十分に撹拌する。それを脱水して固形物を収得後、か焼処理して、単一バナジウム酸塩の混合物が分散された窒素酸化物還元用触媒を製造することができる。
【0106】
前述した製造方法において、混合溶液に追加される担持体を15族または16族元素が混入されたもので使用することにより、触媒内にプロモーターを形成させることができる。例えば、担持体を構成する物質の粉末と15族または16族元素の化合物が溶解された溶液とを混合した後、撹拌及び脱水処理を経てか焼することにより、プロモーターが混合された担持体を製造することができる。
【0107】
触媒が製造された後、触媒特性を向上させるためのSO
Y2−機能化段階が追加される。SO
Y2−機能化のためには、二酸化硫黄(SO
2)及び酸素(O
2)を含む処理ガスを所定の流速及び圧力下で触媒の表面に投入して、前記触媒の表面に前記処理ガスを露出させることで行うことができる。下記表1には、SO
Y2−機能化のための条件の範囲が図示されている。
【0109】
SO
Y2−機能化条件が、200℃の温度、0.1時間、10ppmのSO
2、10
−5Vol%の酸素(O
2)、10
−5mLmin
−1の流速または10
−5barの圧力未満である場合、触媒表面のSO
Y2−機能化効果が微小である。一方、800℃の温度または24時間、10
5ppmのSO
2、90Vol%の酸素(O
2)、10
5mLmin
−1の流速または10
5barの圧力超過である場合、担持体の表面が過度にSO
Y2−機能化されて、SCR反応の活性を増加させる酸素(O
α)種が消滅する。したがって、触媒表面のSO
Y2−機能化は、前述の条件の間で行われる。
【0110】
また、触媒が製造される途中、触媒表面の特性を向上させるために、合成溶液に添加される金属/バナジウム前駆体の量が調節されるが、化学量論的に金属:バナジウムが、0.5:1〜1.5:1の間の範囲を有するように合成溶液に添加される。
【0111】
以下、本発明の理解を助けるための実施例を説明する。但し、下記の実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明の実施例が、下記の実施例のみで限定されるものではない。
【0112】
実施例1〜実施例3:Mn、Co、Ni触媒の製造
2.3mmolのNH
4VO
3が溶解された170mLの蒸留水に、1.15mmolのマンガン塩であるMn(NO
3)
2・6H
2O、コバルト塩であるCo(NO
3)
2・6H
2O、ニッケル塩であるNi(NO
3)
2・6H
2Oが溶解された70mLの蒸留水を添加して混合溶液を製造した後、1時間撹拌した。撹拌が完了した後、前記混合溶液にアナターゼ(anatase)TiO
2粉末6gを添加し、24時間撹拌した後、脱水処理した。脱水後、得られた固形物を500℃で5時間か焼(calcination)処理して、それぞれ実施例1、実施例2及び実施例3に該当する触媒を製造した。実施例1、実施例2及び実施例3に該当する触媒は、アナターゼ相(anatase phase)を有するTiO
2を担持体とし、前記担持体内に活性点としてそれぞれMnV
2O
6、CoV
2O
6及びNiV
2O
6を含むことを特徴とする。以下、便宜上、実施例1、実施例2及び実施例3に該当する触媒をそれぞれMn触媒、Co触媒及びNi触媒と名付ける。
【0113】
比較例1:W触媒の製造
前記実施例1〜実施例3の触媒と類似したバナジウム(V)含量を有するが、活性点としてタングステン(W)を含む触媒を比較例で製造した。具体的に、0.46gのNH
4VO
3、0.67gの(NH
4)
10(H
2W
12O
42)・4H
2O及び0.84gのC
2H
2O
4・2H
2Oを100mLの蒸留水に溶解した後、9.3gのアナターゼTiO
2粉末を添加した後、それを撹拌及び脱水させた。次に、連続して500℃で5時間か焼処理して、タングステン(W)を含む触媒を製造した。比較例1の触媒は、活性点としてバナジウム酸化物とタングステン酸化物とがそれぞれ別途に存在して物理的に混合されている形態である。以下、便宜上、比較例1に該当する触媒をW触媒と名付ける。
【0114】
実施例4〜実施例6:Mn(S)、Co(S)、Ni(S)触媒の製造
前記実施例1〜実施例3によって製造されたMn、Co、Ni触媒を反応器内に装着し、N
2で希釈(dilution)された二酸化硫黄(SO
2)と酸素(O
2)とを500mLmin
−1の流速で同時に投入して、常圧下、500℃で45分間露出させた後、N
2雰囲気下で常温に冷却させた。露出段階での二酸化硫黄の含量は、500ppmであり、酸素は、3vol%であった。前記の条件によってSO
Y2−機能化がなされた実施例4〜実施例6の触媒を、便宜上、Mn(S)触媒、Co(S)触媒、Ni(S)触媒と名付ける。
【0115】
比較例2:W(S)−A触媒の製造
前記実施例4〜実施例6と同じ方法で比較例1のW触媒表面をSO
Y2−で機能化させた比較例2の触媒をW(S)−A触媒と名付ける。
【0116】
実施例7〜実施例9:Mn−Se、Mn−Se(S,30)、Mn−Se(S,500)触媒の製造
Seがプロモーターとして含まれたTiO
2を製造するために、4.19gのSeCl
4が溶解された500mLの蒸留水(1.5gのSeを含む)に48.5gのTiO
2を添加し、それを撹拌及び脱水させた後、300℃で3時間か焼処理して、TiO
2に比べて、3wt%のSeが混入されたTiO
2担持体を準備した。前記担持体6gを利用するが、400℃で3時間か焼処理するものを除き、前記実施例1と同じ方法でSeを含むMn触媒(Mn−Se触媒と名つげ、実施例7)を製造した。Mn−Se触媒を反応器内に装着し、N
2で希釈された二酸化硫黄(SO
2)と酸素(O
2)とを500mLmin
−1の流速で同時に投入して、常圧下、400℃で45分間露出させた後、N
2雰囲気下で常温に冷却させた。露出段階での二酸化硫黄の含量は、30ppmあるいは500ppmであり、酸素は、3vol%であった。前述のMn−Se触媒表面をSO
Y2−で機能化する過程に使われる二酸化硫黄(SO
2)の含量が、30ppmまたは500ppmである場合、Mn−Se(S,30)(実施例8)またはMn−Se(S,500)(実施例9)と名付ける。
【0117】
実施例10〜実施例11:Mn−Se(S,500)−300、Mn−Se(S,500)−500触媒の製造
実施例7のMn−Se触媒を反応器内に装着し、N
2で希釈された二酸化硫黄(SO
2)と酸素(O
2)とを500mLmin−1の流速で同時に投入して、常圧300℃あるいは500℃で45分間露出させた後、N
2雰囲気下で常温に冷却させた。露出段階での二酸化硫黄の含量は、500ppmであり、酸素は、3vol%であった。前述のMn−Se触媒表面をSO
Y2−で機能化する過程に使われる温度が、300℃または500℃である場合、Mn−Se(S,500)−300(実施例10)またはMn−Se(S,500)−500(実施例11)と名付ける。
【0118】
実施例12:Mn−Se(S,500)−Naの製造
前記実施例9によって製造されたMn−Se(S,500)触媒に含まれたMn、V及びSe全体mol数に比べて、60mol%のNa種を触媒表面に混入させて、触媒の表面を意図的に被毒させたMn−Se(S,500)−Naを製造した。具体的に、1.5gのMn−Se(S)触媒に0.07413gのNaNO
3を物理的混合(mechanical mixing)して、得られた固形物を400℃で3時間か焼処理して、Mn−Se(S,500)−Na触媒を製造し、それを実施例12と名付ける。
【0119】
比較例3及び比較例4:W(S,30)−B及びW(S,500)−B触媒の製造
前記実施例8〜実施例9と同じ方法で比較例1のW触媒表面をSO
Y2−で機能化させた触媒をW(S、XXX)−Bと名付けるが、触媒表面をSO
Y2−で機能化させる段階で使われる二酸化硫黄の含量が、30ppmである場合、製造される触媒をW(S,30)−B(比較例3)、但し、触媒表面をSO
Y2−で機能化させる段階で使われる二酸化硫黄の含量が、500ppmである場合、製造される触媒をW(S,500)−B(比較例4)と名付ける。
【0120】
比較例5:W(S,500)−B−Naの製造
前記比較例4によって製造されたW(S,500)−B触媒を使用するものを除いては、実施例12と同じ方法で触媒表面をNaで被毒させたW(S,500)−B−Na触媒を製造し、それを比較例5と名付ける。
【0121】
実施例13:Yb触媒の製造
1.96mmolのNH
4VO
3が溶解された50mLの蒸留水に、1.96mmolのYb(NO
3)
3・5H
2Oが溶解された50mLの蒸留水を添加して混合溶液を製造した後、pHを8に固定し、2時間撹拌した。撹拌が完了した後、前記混合溶液にアナターゼTiO
2粉末4.56gを添加し、18時間撹拌した後、脱水処理した。脱水後、得られた固形物を500℃で5時間か焼処理して、TiO
2を担持体とし、YbVO
4を活性点として含むことを特徴とする実施例13のYb触媒を製造した。
【0122】
実施例14:Mn/Yb触媒の製造
2wt%のVを含む実施例1のMn触媒(活性点:MnV
2O
6)1.5gと実施例13のYb触媒(活性点:YbVO
4)1.5gとを物理的混合して、得られた固形物を実施例14であるMn/Ybと名付ける。
【0123】
実施例15:Yb−Se(S,500)触媒の製造
TiO
2に比べて、3wt%のSe(プロモーター)が混入されたTiO
2担持体4.56gを利用するが、400℃で3時間か焼処理するものを除き、実施例13と同じ方法で製造される固形物(Yb−Se)を反応器内に装着し、N
2で希釈された二酸化硫黄(SO
2)と酸素(O
2)とを500mLmin
−1の流速で同時に投入して、常圧下、400℃で45分間露出させた後、N
2雰囲気下で常温に冷却させた。露出段階での二酸化硫黄の含量は、500ppmであり、酸素は、3vol%であった。最終的に得られた触媒を実施例15であるYb−Se(S,500)と名付ける。
【0124】
実施例16:Mn−Se/Yb−Se(S,500)触媒の製造
2wt%のVを含む実施例7のMn−Se触媒(活性点:MnV
2O
6;プロモーター:Se)1.5gと実施例15の合成に使われる固形物であるYb−Se(活性点:YbVO
4;プロモーター:Se)1.5gとを物理的混合して、得られた固形物を反応器内に装着し、N
2で希釈された二酸化硫黄(SO
2)と酸素(O
2)とを500mLmin−1の流速で同時に投入して、常圧下、400℃で45分間露出させた後、N
2雰囲気下で常温に冷却させた。露出段階での二酸化硫黄の含量は、500ppmであり、酸素は、3vol%であった。最終的に得られた触媒を実施例16であるMn−Se/Yb−Se(S,500)と名付ける。
【0125】
実施例17〜実施例22:Mn−Sb1、Mn−Sb
3、Mn−Sb
5、Mn−Sb
1(S,500)、Mn−Sb
3(S,500)及びMn−Sb
5(S,500)触媒の製造
TiO
2に比べて、重量比で1、3及び5wt%のSbが混入されたTiO
2担持体を製造するために、1.23gのSb(CH
3COO)
3が溶解された酢酸500mL(0.5gのSbを含む)に49.5gのTiO
2を添加するか、3.68gのSb(CH
3COO)
3が溶解された酢酸500mL(1.5gのSbを含む)に48.5gのTiO
2を添加するか、6.14gのSb(CH
3COO)
3が溶解された酢酸500mL(2.5gのSbを含む)に47.5gのTiO
2を添加した後、これらそれぞれを撹拌及び脱水させ、500℃で5時間か焼処理する。形成される担持体をSb
1、Sb
3及びSb
5と名付ける。前記担持体6gを利用するが、前記実施例1と同じ方法で実施例17〜実施例19の触媒を製造する。形成される触媒をMn−Sb
1、Mn−Sb
3及びMn−Sb
5と名付ける。実施例17〜実施例19に該当する触媒は、1、3及び5wt%のSbが混入されたアナターゼ相のTiO
2を担持体とし、前記担持体内に活性点としてMnV
2O
6を含むことを特徴とする。前記実施例4〜実施例6と同じ方法でMn−Sb
1、Mn−Sb
3及びMn−Sb
5の触媒表面をSO
Y2−で機能化させ、これを通じて製造された実施例20〜実施例22の触媒をMn−Sb
1(S,500)、Mn−Sb
3(S,500)及びMn−Sb
5(S,500)と名付ける。
【0126】
実施例23及び実施例24:CeVO
4及びCeVO
4(S,500)触媒の製造
0.49gのSb(CH
3COO)
3が溶解された酢酸150mL(0.2gのSbを含む)に9.8gのTiO
2を添加し、それを撹拌及び脱水させた後、500℃で5時間か焼処理して、TiO
2に比べて、重量比で2wt%のSbが混入されたTiO
2担持体を準備する。前記担持体9.46gに3.93mmolのNH
4VO
3が溶解された100mLの蒸留水と1.96mmolのセリウム塩であるCe(NO
3)
3・6H
2Oが溶解された200mLの蒸留水とを添加して、混合溶液を製造した後、2時間撹拌し、それを脱水処理した。脱水後、得られた固形物を500℃で5時間か焼処理して、実施例23のCeVO
4触媒を製造した。実施例23に該当する触媒は、Sbが混入されたアナターゼ相のTiO
2を担持体とし、前記担持体内に活性点としてCeVO
4を含むことを特徴とする。前記実施例4〜実施例6と同じ方法でCeVO
4の触媒表面をSO
Y2−で機能化させ、これを通じて製造された実施例24の触媒をCeVO
4(S,500)と名付ける。
【0127】
実施例25及び実施例26:Mn−Sb
3/CeVO
4及びMn−Sb
3/CeVO
4(S,500)触媒の製造
前記実施例17の担持体Sb
3の5.86gが分散された50mL蒸留水に、0.59mmolのセリウム塩であるCe(NO
3)
3・6H
2Oが溶解された70mLの蒸留水と1.18mmolのバナジウム塩であるNH
4VO
3が溶解された170mLの蒸留水とを添加して混合溶液を製造した。前記混合溶液を18時間撹拌し、0.59mmolのマンガン塩であるMn(NO
3)
2・6H
2Oと1.18mmolのバナジウム塩であるNH
4VO
3とが溶解された120mLの蒸留水を添加した後、18時間撹拌し、それを脱水処理した。脱水後、得られた固形物を500℃で5時間か焼処理して、実施例25のMn−Sb
3/CeVO
4触媒を製造した。実施例25に該当する触媒は、3wt%のSbが混入されたアナターゼ相のTiO
2を担持体とし、前記担持体内に活性点としてMnV
2O
6及びCeVO
4を含むことを特徴とする。前記実施例4〜実施例6と同じ方法でMn−Sb
3/CeVO
4触媒表面をSO
Y2−で機能化させ、これを通じて製造された実施例26の触媒をMn−Sb
3/CeVO
4(S,500)と名付ける。
【0128】
実験例1:触媒の特性分析
前記実施例1〜実施例3から製造された触媒の表面形状(morphology)を高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)を用いて分析し、その結果を
図1に図示した。
図1の(a)、
図1の(b)及び
図1の(c)は、それぞれ実施例1、実施例2及び実施例3の結果である。前記実施例13及び実施例15から製造された触媒の表面形状を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて分析し、その結果を
図2に図示した。
図2の(a)及び
図2の(b)は、それぞれ実施例13及び実施例15の結果である。前記実施例18及び実施例23から製造された触媒の表面形状を高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)を用いて分析し、その結果を
図3に図示した。
図3の(a)及び
図3の(b)は、それぞれ実施例18及び実施例23の結果である。
【0129】
図1ないし
図3を参照すれば、製造された触媒は、それぞれ数百nm〜数百μmの粒子サイズ(最大直径)を有するTiO
2凝集体(TiO
2 agglomerate)が多孔性の担持体を構成することを確認することができた。
【0130】
前記実施例1〜実施例3、実施例13、実施例18及び実施例23に該当する触媒の多孔性程度を確認するために、窒素ガスの物理吸着(N
2 physisorption)実験を行って、BET表面積及びBJH気孔体積を測定した。また、実施例1〜実施例3、実施例13、実施例18及び実施例23から製造された触媒の成分を蛍光X線(X−ray fluorescence、XRF)を使用して分析した。表2には、測定結果が示されている。
【0132】
BET表面積及びBJH気孔体積の結果から製造された実施例1〜実施例3、実施例13、実施例18及び実施例23の触媒は、多孔性構造を有しているということを確認することができた。また、触媒のV含量は、触媒全体重量に対して、2wt%であって、ほぼ同一であった。
【0133】
Mn、Co、Ni、Mn−Sb
3触媒のV:金属(Mn、Co、Ni)のmol比(molar ratio)は、理論的なmol比(V:金属=2:1)に近接した値を有することが分かった。また、Yb触媒のV:Yb mol比も、理論的なmol比(V:Yb=1:1)に近接した値を有することが分かった。これを通じて、実施例1〜実施例3、実施例13、実施例18の触媒の表面にMnV
2O
6、CoV
2O
6、NiV
2O
6及びYbVO
4が、多孔性を有するTiO
2担体に成功的に分散されたということを確認することができた。
【0134】
一方、CeVO
4触媒の場合、CeVO
4の理論的なV:Ce mol比(V:Ce=1:1)でCeが欠乏されたV:Ce mol比(2:1)を提供するが、これは、Ce/Vの化学量論調節を通じて、TiO
2担体表面に分散されたCeVO
4のCeまたはVサイトに追加的なルイス酸点が形成されうるということを意味する。
【0135】
前記実施例1〜実施例3の結晶構造をX線回折器(X−ray diffractomer)を使用して分析し、その結果として導出されたX線回折パターン(XRD pattern)を
図4に図示した。また、前記実施例13及び実施例15の結晶構造をX線回折器を使用して分析し、その結果として導出されたX線回折パターンを
図5に図示した。また、前記実施例23の結晶構造をX線回折器を使用して分析し、その結果として導出されたX線回折パターンを
図7に図示した。
【0136】
図4、
図5及び
図7を参照すれば、実施例1〜実施例3、実施例13、実施例15及び実施例23は、いずれもTiO
2担持体を意味する正方晶系(tetragonal)の結晶構造を有するアナターゼ相の結晶面が観察された。一方、実施例1〜実施例3及び実施例23のX線回折パターンの上には、MnV
2O
6、CoV
2O
6、NiV
2O
6及びCeVO
4結晶粒子を意味する結晶面を観察することができなかった。これは、担持体に分散されたバナジウム酸塩結晶粒子のサイズまたは含量がX線回折分析を行うには非常に小さいためであると解釈される。したがって、実施例1〜実施例3のMn、Co、Ni触媒及び実施例23のCeVO
4触媒を電子回折パターン(selected area electron diffraction pattern、SAED pattern)を用いて分析し、その結果を
図6及び
図7に図示した。
図6の(a)、
図6の(b)及び
図6の(c)は、それぞれ実施例1、実施例2及び実施例3の結果である。
【0137】
図6を参照すれば、Mn触媒の場合には、単斜晶系(monoclinic)を有するMnV
2O
6の(20−1)、(001)及び(111)の結晶面が観察され、Co触媒の場合には、単斜晶系を有するCoV
2O
6の(001)及び(200)の結晶面が観察され、Ni触媒の場合には、三斜晶系(triclinic)を有するNiV
2O
6の(−101)、(011)及び(111)の結晶面が観察され、CeVO
4触媒の場合には、正方晶系を有するCeVO
4の(101)及び(200)の結晶面が観察された。
【0138】
また、実施例1〜実施例3及び実施例23いずれもTiO
2担持体を意味する正方晶系の結晶構造を有するTiO
2のアナターゼ相に該当する結晶面を示した。具体的に、実施例1の場合には、(101)及び(004)結晶面を示し、実施例2及び実施例3の場合には、(101)、(103)及び(004)結晶面を示し、実施例23の場合には、(101)及び(103)結晶面を示した。このような結果は、
図4及び
図7のX線回折パターンの結果と一致する。
【0139】
図4及び
図7に示すように、実施例1〜実施例3及び実施例23の場合、バナジウム酸塩以外の他の物質のパターン、例えば、バナジウム酸化物や他の金属(マンガン、コバルト、ニッケル及びセリウム)の酸化物は観察されていない。すなわち、本発明の実施例1〜実施例3及び実施例23は、バナジウム酸化物とバナジウム外の他の金属(マンガン、コバルト、ニッケル及びセリウム)の酸化物が1つの複合酸化物を構成し、バナジウム酸化物と他の金属の酸化物(すなわち、マンガン酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、セリウム酸化物)が、それぞれ別途に存在して混合された形態ではないことを確認することができる。
【0140】
実施例1〜実施例3及び実施例23のX線回折パターンとは対照的に、実施例13及び実施例15のX線回折パターン(
図5)には、正方晶系の結晶構造を有するYbVO
4結晶面を観察することができた。また、実施例13及び実施例15の場合、YbVO
4以外の他の物質のパターン、例えば、バナジウム酸化物やイッテルビウム(Yb)の酸化物は観察されていない。すなわち、本発明の実施例13及び実施例15は、バナジウム酸化物とイッテルビウム酸化物とが1つの複合酸化物であるYbVO
4を構成し、バナジウム酸化物とイッテルビウム酸化物が、それぞれ別途に存在して混合された形態ではないことを確認することができる。
【0141】
以下、
図8ないし
図18を参照して、本発明の実施例1〜実施例26及び比較例1〜比較例5による触媒のNH
3−SCR性能分析の結果に関して説明する。
【0142】
実験例2:NH
3−SCR反応の性能分析(1)
実施例1〜実施例3の触媒を用いてNH
3−SCR工程の性能を測定した。150℃〜400℃の温度範囲で、H
2Oを注入する場合、窒素酸化物の転換率(NO
X conversion、X
NOX)及び窒素選択度(N
2 selectivity、S
N2)を
図8に図示した。NH
3−SCR工程の条件として、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガス(inert gas)であるN
2を含み、全体流量(total flow rate)は、500mLmin
−1であり、空間速度(space velocity)は、60,000hr
−1であった。
【0143】
図8を参照すれば、実施例1〜実施例3いずれも反応ガスに相当量の水蒸気(H
2O)を含むにも拘らず、400℃以下で望ましい活性を示すことが分かるが、具体的に、X
NOXの場合、250℃以上で50%以上であり、350℃以上で90%に至ることを確認することができた。また、S
N2の場合、全温度区間でほぼ100%を示すことが分かった。これは、実施例1〜実施例3の触媒が発電所/焼結炉/船舶に適用されるNH
3−SCR触媒として適用可能であることを意味する。
【0144】
実験例3:NH
3−SCR反応の性能分析(2)
実験例2と同じ条件で実施例4〜実施例6の触媒のNH
3−SCR工程の性能を測定し、
図9に窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)の結果を示した。実施例4〜実施例6いずれもNH
3−SCR反応前、触媒表面がSO
2によって被毒されるか、SO
2/O
2によってSO
Y2−機能化された(詳細条件は、実施例4〜実施例6に記入する)。
図9を参照すれば、実験例2と類似に反応途中、相当量の水蒸気(H
2O)を含むにも拘らず、400℃以下で望ましい活性を示すことが分かるが、具体的に、X
NOXの場合、250℃以上で50%以上であり、350℃ 以上で90%に至ることを確認することができた。また、S
N2の場合、全温度区間でほぼ100%を示すことが分かった。これは、実施例4〜実施例6の触媒表面がSO
Y2−で機能化されることを好み、SO
2によって被毒される現象が最小化されることを意味する。これは、実施例4〜実施例6の触媒が発電所/焼結炉/船舶の相当量のSO
2が含まれた排ガス内のNO
Xを還元させるNH
3−SCR触媒として適用可能であることを意味する。
【0145】
実験例4:NH
3−SCR反応の性能分析(3)
実施例4〜実施例6に該当する触媒及び比較例2の触媒についてNH
3−SCR工程の性能を測定した。NH
3−SCR工程の条件として、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、500ppmのSO
2、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1であった。実験の結果として、窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)を
図10に示した。
【0146】
図10を参照すれば、実施例4〜実施例6に該当する触媒は、相当量の水蒸気(H
2O)及びSO
2が含まれた排ガス内のNO
Xを還元する触媒であって、いずれも優れた特性を示した。実施例4〜実施例6に該当する触媒は、全反応温度区間でS
N2がほぼ100%の値を示すことが分かった。また、実施例4〜実施例6に該当する触媒は、250℃〜400℃の温度区間で商用触媒である比較例2と比較しても、X
NOXの値が類似しているか、相対的に少ない差(15%以内)を示すことが分かった。これは、実施例4〜実施例6の触媒の表面がSO
Y2−による機能化によって、SO
2によって被毒される現象が最小化されることを意味する。これを通じて、本発明の実施例4〜実施例6が、高価の商用触媒である比較例2を代替しうるということを確認することができた。
【0147】
実験例5:NH
3−SCR反応の性能分析(4)
実施例9〜実施例11に該当する触媒及び比較例4の触媒についてNH
3−SCR工程の性能を測定した。実施例9〜実施例11に該当する触媒及び比較例4の触媒いずれもNH
3−SCR反応前、触媒表面がSO
2によって被毒されるか、SO
2/O
2によってSO
Y2−機能化されるが、この際、適用される機能化温度を300℃(実施例10)、400℃(実施例9及び比較例4)、500℃(実施例11)に変化させた。
【0148】
NH
3−SCR工程の条件として、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1であった。実験の結果として、窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)を
図11に示した。
【0149】
図11を参照すれば、実施例9〜実施例11に該当する触媒は、セレン(Se)がプロモーターとして添加された触媒であって、セレン(Se)が添加されていない実施例4のMn(S)触媒に比べて、低温の反応領域で増加した活性を示すことが分かった。これは、実施例9〜実施例11の触媒の表面がSeの添加によってより多量の酸点が表面に形成されるか、より改善された酸化還元特性を有することを意味する。
【0150】
また、実施例9〜実施例11に該当する触媒は、SO
42−機能化に使われる温度を変化することによって、関連NH
3−SCR活性の調節が可能であり、重要にも、実施例9〜実施例10に該当する触媒の場合、220℃〜400℃の温度区間で商用触媒である比較例4と比較しても、X
NOXの値が類似しているか、相対的に少ない差(10%以内)を示すことが分かった。これを通じて、本発明の実施例9〜実施例10が、高価の商用触媒である比較例4を代替しうるということを確認することができた。
【0151】
実験例6:NH
3−SCR反応の性能分析(5)
実施例7〜実施例9に該当するMn−Se触媒と比較例1及び比較例3〜比較例4に該当するW触媒とに対するNH
3−SCR工程の性能を測定した。NH
3−SCR工程の条件は、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1であった。この際、反応流体内SO
2含量を0ppm、30ppm、500ppmに変化させた。
【0152】
図12には、150℃〜400℃の温度範囲での窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)の結果が示されている。
【0153】
図12を参照すれば、実施例7〜実施例9のMn−Se触媒の場合、180℃以上でSO
2濃度が0ppmから30ppm、500ppmに増加するほど、NH
3−SCR性能が類似している値を示すか、向上することが分かった。Mn−Se触媒がSO
Y2−によって機能化になるほど、1)より多量の酸点が触媒表面に形成されるか、2)反応物とのより望ましい結合力に基づいてNO
Xターンオーバーサイクルが向上するか、3)より改善された酸化還元特性を有するか、4)より改善されたSO
2、硫酸アンモニウムまたは重硫酸アンモニウムに対する抵抗性を有することを意味する。
【0154】
これとは対照的に、比較例1、比較例3及び比較例4のW触媒の場合、硫酸化処理されていない比較例1及び30ppmのSO
2を用いて硫酸化処理された比較例3の場合には、180℃以上でNH
3−SCR性能が類似している値を示すが、500ppmのSO
2を用いて硫酸化処理された比較例4の場合には、前述の比較例1及び比較例3に比べて、200℃以下でNH
3−SCR性能が顕著に減少することを確認することができた。これは、本発明から提示されたMn−Seが商用触媒と比較する時、SO
Y2−機能化以後により望ましい物性を提供するので、高価の商用触媒を代替しうるということを意味する。
【0155】
実験例7:NH
3−SCR反応の性能分析(6)
実施例12(Mn−Se(S,500)−Na)及び比較例5(W(S,500)−B−Na)の触媒を用いてNH
3−SCR工程性能を測定した。この際、NH
3−SCR工程の条件は、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、500ppmのSO
2、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1である。
図13には、実施例9、実施例12、比較例4及び比較例5に対する150℃〜400℃の温度範囲での窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)の結果が示されている。
【0156】
図13を参照すれば、Naで触媒表面を被毒させた実施例12(Mn−Se(S,500)−Na)及び比較例5(W(S,500)−B−Na)の触媒が、実施例9(Mn−Se(S,500)触媒)及び比較例4(W(S,500)−B触媒)に比べて、低下したNH
3−SCR性能を示すことが分かり、これは、Na被毒に起因したと解釈される。しかし、相対的には、実施例12の触媒が比較例5の触媒に比べて、より優れた性能を示すことが分かる。これは、本発明から提示されたMn−Se(S,500)触媒がSO
Y2−機能化以後、1)アルカリ性化合物と強い結合力を有する酸点の分布を最小化して、触媒表面とNaとの結合が最小化され、2)商用触媒である比較例4と比較する時、より望ましいNa被毒に対する抵抗性(resistance)を有することを意味する。これにより、本発明の実施例による触媒が、高価の商用触媒を代替しうる程度に優れた特性を示すことを確認することができる。
【0157】
実験例8:NH
3−SCR反応の性能分析(7)
実施例1(Mn)、実施例13(Yb)及び実施例1と実施例13の混合物(Mn/Yb)である実施例14との触媒を用いてNH
3−SCR工程の性能を測定した。150℃〜400℃の温度範囲で、H
2Oを注入する場合、窒素酸化物の転換率(NO
X conversion、X
NOX)及び窒素選択度(N
2 selectivity、S
N2)を
図14に図示した。NH
3−SCR工程の条件として、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1であった。
【0158】
図14を参照すれば、相当量の水蒸気(H
2O)を含むにも拘らず、あらゆる触媒が全温度領域でほぼ100%のS
N2値を示すことが分かった。また、400℃以下で望ましい活性を示すMnV
2O
6が活性点である実施例1とは対照的に、YbVO
4が活性点である実施例13の場合、実施例1に比べて、相対的に低い活性を示すことが分かった。
【0159】
具体的に、X
NOXの場合、実施例1と実施例13との差が200℃〜400℃の温度領域で30%〜60%であることが分かった。これは、高温領域のNH
3−SCRで優れた活性を示すYbVO
4が低温領域の低いX
NOXによって触媒活性点としての使用が制限されうるということを意味する。
【0160】
しかし、MnV
2O
6とYbVO
4活性点が混入された実施例14の場合、実施例13に比べて、X
NOXの値が200℃〜400℃の温度領域で10%〜40%増加することが分かった。これは、MnV
2O
6とYbVO
4活性点の望ましい比率への混合が低温及び高温領域でのNH
3−SCR活性増進に効果的であり、発電所/焼結炉/船舶以外の重装備/自動車のNH
3−SCR触媒としてその適用範囲が拡大されうるということを意味する。
【0161】
実験例9:NH
3−SCR反応の性能分析(8)
Seをプロモーターとして含むが、MnV
2O
6が活性点として含まれた実施例9(Mn−Se(S,500))、YbVO
4が活性点として含まれた実施例15(Yb−Se(S,500))、MnV
2O
6及びYbVO
4の混合物が活性点として含まれた実施例16(Mn−Se/Yb−Se(S,500))の触媒を用いてNH
3−SCR工程の性能を測定した(Mn−Se/Yb−Se(S,500)の詳細合成条件は、実施例16に記入する)。実施例9、実施例15及び実施例16の触媒のいずれもNH
3−SCR反応前、触媒表面がSO
2によって被毒されるか、SO
2/O
2によってSO
Y2−機能化された。
【0162】
この際、NH
3−SCR工程の条件は、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、500ppmのSO
2、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1である。
図15には、実施例9、実施例15及び実施例16に対する150℃〜400℃の温度範囲での窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)の結果が示されている。
【0163】
図15を参照すれば、相当量の二酸化硫黄(SO
2)及び水蒸気(H
2O)を含むにも拘らず、あらゆる触媒が全温度領域で95%以上のS
N2値を示すことが分かった。また、400℃以下で望ましい活性を示すMnV
2O
6が活性点である実施例9とは対照的に、YbVO
4が活性点である実施例15の場合、実施例9に比べて、相対的に低い活性を示すことが分かった。
【0164】
具体的に、X
NOXの場合、実施例9と実施例15との差が200℃〜400℃の温度領域で35%〜70%であることが分かった。これは、高温領域のNH
3−SCRで優れた活性を示すYbVO
4が低温領域の低いX
NOXによって触媒活性点としての使用が制限されうるということを意味する。しかし、MnV
2O
6とYbVO
4活性点が混入された実施例16の場合、実施例15に比べて、X
NOXの値が200℃〜400℃の温度領域で10%〜55%増加することが分かった。これは、MnV
2O
6とYbVO
4活性点の望ましい比率への混合が低温及び高温領域での二酸化硫黄(SO
2)が含まれたNH
3−SCR反応活性増進に効果的であり、発電所/焼結炉/船舶以外の重装備/自動車のNH
3−SCR触媒としてその適用範囲が拡大されうるということを意味する。
【0165】
実験例10:NH
3−SCR反応の性能分析(9)
TiO
2に比べて、重量比で1、3及び5wt%のSbをプロモーターとして含むが、MnV
2O
6が活性点として含まれた実施例17(Mn−Sb
1、触媒総量基準、約0.5wt%のSb含む)、実施例18(Mn−Sb
3、触媒総量基準、約1.5wt%のSb含む)及び実施例19(Mn−Sb5触媒総量基準、約3wt%のSb含む)の触媒を用いてNH
3−SCR工程の性能を測定し、それを実施例1(Mn)のNH
3−SCR性能と比較した。
【0166】
実施例17、実施例18、実施例19及び実施例1の触媒のいずれもNH
3−SCR反応前、触媒表面が500℃でSO
2によって被毒されるか、SO
2/O
2によってSO
Y2−機能化された。
【0167】
この際、NH
3−SCR工程の条件は、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、500ppmのSO
2、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1である。
【0168】
図16には、実施例20〜実施例22及び実施例4に対する180℃〜400℃の温度範囲での窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)の結果が示されている。
【0169】
図16を参照すれば、実施例20〜実施例22に該当する触媒は、相当量の水蒸気(H
2O)及びSO
2が含まれた排ガス内のNO
Xを還元する触媒であって、いずれも優れた特性を示した。実施例20〜実施例22に該当する触媒は、全反応温度区間でS
N2がほぼ100%の値を示すことが分かった。また、実施例20〜実施例22に該当する触媒は、180℃〜250℃の温度区間でSbプロモーターが含まれていない実施例4の触媒に比べて、10%〜30%の大きなX
NOXの値を示すことが分かった。
【0170】
これは、SO
Y2−による機能化以後、実施例20〜実施例22のSbプロモーターが含まれた触媒の表面が、実施例4のSbプロモーターが含まれていない触媒表面に比べて、1)より多量の酸点が触媒表面に存在するか、2)より改善された酸化還元特性を有するか、3)SO
2によって被毒される現象が最小化されるか、4)より改善されたSO
2、硫酸アンモニウムまたは重硫酸アンモニウムに対する抵抗性を有することを意味する。
【0171】
これにより、触媒に含まれたプロモーターの含量は、1〜5wt%、望ましくは、1〜3wt%の範囲で優れた効果が表われることを確認することができる。
【0172】
実験例11:NH
3−SCR反応の性能分析(10)
Sbをプロモーターとして含むが、MnV
2O
6が活性点として含まれた実施例18(Mn−Sb
3)、CeVO
4が活性点として含まれた実施例23(CeVO
4)、MnV
2O
6及びCeVO
4が活性点として含まれた実施例25(Mn−Sb
3/CeVO
4)の触媒を用いてNH
3−SCR工程の性能を測定し、それを比較例2(W(S)−A)のNH
3−SCR性能と比較した。
【0173】
実施例25の触媒は、物理的混合ではない化学的合成で形成されたものであって、担持体であるTiO
2に活性点であるMnV
2O
6及びCeVO
4がランダムに分布する構成を有する。
【0174】
実施例18、実施例23、実施例25及び比較例2の触媒のいずれもV含量が約2wt.%であって、ほぼ同一であり、NH
3−SCR反応前、触媒表面が500℃でSO
2によって被毒されるか、SO
2/O
2によってSO
Y2−機能化された。この際、NH
3−SCR工程の条件は、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、500ppmのSO
2、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1である。
【0175】
図17には、実施例21、実施例24、実施例26及び比較例2に対する180℃〜400℃の温度範囲での窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)及び窒素選択度(N
2 selectivity)の結果が示されている。
【0176】
図17を参照すれば、実施例21、実施例24、実施例26に該当する触媒は、相当量の水蒸気(H
2O)及びSO
2が含まれた排ガス内のNO
Xを還元する触媒であって、いずれも優れた特性を示した。実施例21、実施例24、実施例26に該当する触媒は、全反応温度区間でS
N2がほぼ100%の値を示すことが分かった。また、実施例21、実施例24、実施例26に該当する触媒は、180℃〜400℃の温度区間で商用触媒である比較例2と比較しても、300℃以上でX
NOXの値が100%に類似しているか、300℃未満で比較例2に比べて、10%〜30%の大きなX
NOXの値を示すことが分かった。
【0177】
これは、実施例21、実施例24、実施例26の触媒の表面がSO
Y2−による機能化によって、1)より多量の酸点が触媒表面に形成されるか、2)反応物とのより望ましい結合力に基づいてNO
Xターンオーバーサイクルが向上するか、3)より改善された酸化還元特性を有するか、4)SO
2によって被毒される現象が最小化されるか、5)より改善されたSO
2、硫酸アンモニウムまたは重硫酸アンモニウムに対する抵抗性を有することを意味する。
【0178】
これは、本発明の実施例21、実施例24、実施例26の触媒が、高価の商用触媒である比較例2を代替しうるということを意味する。また、これは、本発明から提示されたバナジウム酸塩活性点(例えば、MnV
2O
6及びCeVO
4)が化学的合成によって担体表面に共存することができるということを意味し、バナジウム酸塩の相対的な比率(例えば、MnV
2O
6及びCeVO
4の相対的な存在量)を変化させて、低温でNH
3−SCRの活性を制御することができるということを意味する。
【0179】
実験例12:NH
3−SCR反応の性能分析(11)
Sbをプロモーターとして含むが、MnV
2O
6が活性点として含まれた実施例18(Mn−Sb
3)、CeVO
4が活性点として含まれた実施例23(CeVO
4)の触媒を用いてNH
3−SCR工程の性能を220℃で測定し、それを比較例1(W)の220℃でのNH
3−SCR性能と比較した。
【0180】
この際、NH
3−SCR工程の条件は、反応流体は、800ppmのNOx、800ppmのNH
3、3vol%のO
2、6vol%のH
2O及び不活性ガスであるN
2を含み、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1である。以後、NH
3−SCR反応下で、実施例18、実施例23及び比較例1の触媒の表面を180℃でSO
2/AS/ABSで被毒させるために、前述された反応流体に500ppmのSO
2を追加して触媒表面に3時間流し、被毒された触媒の220℃でのNH
3−SCR性能を前述された反応流体(SO
2含まない)下で測定した。
【0181】
次いで、SO
2/AS/ABSで被毒された触媒を低温(260℃)で再生させるために、下述する条件の流体を流した。実施例19(Mn−Sb
3)の触媒の場合、表面に加える流体を3vol%のO
2及び不活性ガスであるN
2のみ含むが、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1になるように調節した後、1時間流した。実施例23(CeVO
4)及び比較例1(W)の触媒の場合、表面に加える流体を3vol%のO
2及び不活性ガスであるN
2のみ含むが、全体流量は、500mLmin
−1であり、空間速度は、60,000hr
−1になるように調節した後、15時間流した。前記再生段階の以後、実施例18、実施例23及び比較例1の触媒のNH
3−SCR工程の性能を220℃で前述された反応流体(SO
2含まない)下で測定した。
【0182】
図18に、前述の触媒の初期(initial)/被毒後(deactivated)/再生後(regenerated)の220℃での窒素酸化物の転換率(NO
X conversion)を示した。あらゆる触媒が、被毒前、220℃で類似しているX
NOX値を示すことが分かった(74%〜77%)。被毒以後、あらゆる触媒のX
NOX値が減少したが、被毒された実施例18及び実施例23の触媒のX
NOX値が被毒された比較例1のX
NOX値に比べて、2%〜8%大きいことが分かった。これは、本発明から製造された実施例18及び実施例23の触媒が、高価の商用触媒(比較例1)に比べて、進歩されたSO
2/AS/ABS被毒に対する抵抗性を有することを意味する。
【0183】
さらに重要にも、低温(260℃)再生過程以後、実施例18及び実施例23の触媒のX
NOX値が、被毒前のX
NOX値とほぼ同一であった。これは、本発明から製造された実施例18及び実施例23の触媒が、1)低温でAS/ABSを分解することができるということを意味し、2)低温で再生可能であることを意味し、3)低温でより長時間再生した後、初期のNH
3−SCR活性を有するように回復されるということを意味する。一方、商用触媒(比較例1)の場合、低温(260℃)再生過程以後、X
NOX値が被毒後のX
NOX値とほぼ同一であった。これは、商用触媒(比較例1)が、1)低温でAS/ABSを分解することができないということを意味し、したがって、低温で再生不可能であることを意味する。本実験例は、実施例18及び実施例23が、高価の商用触媒である比較例1を代替し、本発明から提示された望ましい含量の触媒活性点/プロモーターで構成された触媒が、商用触媒に比べて、より改善された触媒寿命を提供することができるということを意味する。
【0184】
本発明は、図面に示された実施例を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるべきである。