【文献】
高島 秀行,FXを超える CFDの教科書,株式会社幻冬舎メディアコンサルティング,2010年 3月24日,第1版,P.17-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンピュータによって実行される取引システムであって、前記取引システムは、サーバと、コンピュータ化された中央清算機関と、を含み、
前記サーバは、第1ボックス取引を表す第1ボックス取引データ構造を格納するメモリを含み、
前記データ構造は、
第1リスク・リバーサル取引データと、
第2リスク・リバーサル取引データと、
を含み、
前記第1リスク・リバーサル取引データは、買いポジションと売りポジションを表し、
前記買いポジションは、第1先物を原資産とする第1コールを買うことと、前記第1先物を原資産とする第1プットを売ることを含み、前記第1コールと前記第1プットは同じストライク価格を有し、前記ストライク価格を第1リスク・リバーサル取引ストライク価格と呼び、前記第1コールと前記第1プットは同じ満期日を有しており、
前記売りポジションは、前記第1先物を原資産とする前記第1コールを売ることと、前記第1先物を原資産とする前記第1プットを買うことを含み、
前記第2リスク・リバーサル取引データは、買いポジションと売りポジションを表し、
前記買いポジションは、前記第1先物を原資産とする第2コールを売ることと、前記第1先物を原資産とする第2プットを買うことを含み、前記第2コールと前記第2プットは同じストライク価格を有し、前記ストライク価格を第2リスク・リバーサル取引ストライク価格と呼び、前記第2コールと前記第2プットは同じ満期日を有しており、
前記売りポジションは、前記第1先物を原資産とする前記第2コールを買うことと、前記第1先物を原資産とする前記第2プットを売ることを含み、
前記第1リスク・リバーサル取引ストライク価格と前記第2リスク・リバーサル取引ストライク価格の金銭的差は、最終価値データとして格納され、
前記最終価値データは、前記満期日に、前記第1ボックス取引の買い手に支払われる最終ペイオフ金銭的価値を表し、
前記コンピュータ化された中央清算機関は、買い手のコンピュータ化されたアカウントと関連付けられたコンピュータ化された買い手取引システムから前記第1ボックス取引の購入金利データを受信し、
前記購入金利データは、前記買い手が、前記第1ボックス取引の購入を望む取引金利を表し、
前記コンピュータ化された中央清算機関は、売り手のコンピュータ化されたアカウントと関連付けられたコンピュータ化された売り手取引システムから前記第1ボックス取引の販売金利データを受信し、
前記販売金利データは、前記売り手が、前記第1ボックス取引の販売を望む取引金利を表し、
前記コンピュータ化された中央清算機関は、当該コンピュータ化された中央清算機関が、前記購入金利データが前記販売金利データにマッチすると決定した時に、
前記サーバから前記第1ボックス取引データ構造を受信し、前記第1ボックス取引の購入価格データを決定し、前記購入価格データは、
によって決定され、Tは、最終ペイオフ金銭的価値であり、nは、前記コンピュータ化された取引所で前記購入金利データが受信された日から前記満期日までの日数であり、rは、前記購入金利データによって代表される取引金利であり、
前記買い手に関連付けられた前記買い手のコンピュータ化されたアカウントに、前記購入価格データを含むデビット許可データを電子的に渡し、前記買い手のコンピュータ化されたアカウントは、当該アカウントから前記購入価格を差し引くように電子的に更新され、
前記売り手に関連付けられた前記売り手のコンピュータ化されたアカウントに、前記購入価格データを含むクレジット許可データを電子的に渡し、前記売り手のコンピュータ化されたアカウントは、当該アカウントに前記購入価格を加えるように電子的に更新され、
前記第1コールを買うこと、前記第1プットを売ること、前記第2コールを買うこと、前記第2プットを売ることを表す買い手金融責任データを前記コンピュータ化されたアカウントに電子的に渡し、前記買い手に関連付けられたコンピュータ化されたアカウントは、当該アカウントに前記第1コールを買うこと、前記第1プットを売ること、前記第2コールを買うこと、前記第2プットを買うことを表す買い手金融責任データを関連付けるように電子的に更新され、
前記第1コールを売ること、前記第1プットを買うこと、前記第2コールを売ること、前記第2プットを買うことを表す売り手金融責任データを前記コンピュータ化されたアカウントに電子的に渡し、前記売り手に関連付けられたコンピュータ化されたアカウントは、当該アカウントに前記第1コールを売ること、前記第1プットを買うこと、前記第2コールを売ること、前記第2プットを買うことを表す売り手金融責任データを関連付けるように電子的に更新される、
ようにすることによって、前記第1ボックス取引の取引を実行する、
取引システム。
【背景技術】
【0002】
世界中で様々な種類の金融商品が取り引きされている。金融商品としては、株式、債券、キャッシュコントラクト、および、デリバティブを例示することができる。株式及び債券の特性は良く知られている。キャッシュコントラクトは、特定のアセットの引き渡しについての取り決めである。デリバティブは、その価値が、コモディティの潜在的なプライス、アセット、レート、インデックス、通貨、イベントの生起や重大性にリンクした金融商品である。デリバティブの典型例には、先物、フォワード、オプション、スワップが含まれる。
【0003】
スワップは、従来、カスタマイズされた金融商品であり、OTCマーケットで相対取引されている。OTCマーケットは、最も一般的には、当事者2者間で個々に交渉された取引を意味し、中央清算されない(すなわち、非清算型である)。各当事者は、履行について他の当事者のみを見ており、したがって、他の当事者の信用リスク(しばしばカウンターパーティーリスクと称される)に晒される。履行についての独立した保証機関はない。クリアリングされないスワップ及び他のクリアリングされない金融商品は、しばしば、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)マスター文書にしたがって取引される。ISDA、360マジソンアベニュー、16階、ニューヨーク、ニューヨーク10017、は参加当事者を代表する個々に処理されるデリバティブマーケットによって作られた協会である。
【0004】
取引が中央清算される場合には、取引の当事者の互いの信用及び履行リスクが取り除かれる。上記とは異なり、取引の当事者は互いにカウンターパーティではない。各当事者は清算機関に相対し、履行については清算機関のみを見ていればよい。中央清算機関は、取引の決済や清算を行い、保証を徴収、維持し、受け渡しを規制し、取引データを報告する責任を負った取引所の機関、あるいは、取引所から分離されたエンティティである。
【0005】
ドッド・フランク・ウォールストリート・リフォーム及び消費者保護法("ドッド・フランク法")(Pub.L. 111-203,H.R.4173)が2010年7月21日にオバマ大統領によって署名された。非清算型の金融商品に対するより大きい透明性のための政治的圧力の結果、2008年の金融危機によって、Dodd-Frank Actは法制化された。2008年の金融危機において、非清算型の金融商品についての多くの参加者が義務を果たせないカウンターパーティと向き合うことになった。
【0006】
ドッド・フランク・アクトの制定以来、米国商品先物取引委員会 (CFTC) 及び証券取引委員会(SEC)は、中央清算の必須化、市場参加者についての特定のタイプの資本要件、取引施設のセントラル・リミット・オーダー・ブックに基づく取引の実行を通した透明化、を含む特定のトピックに関する多数の規則を提案している。金融商品が取引所で実行されるか、スワップ執行ファシリティ(SEF)で執行されるかによって、キャッシュバランスの分離、及びその分離に伴い生じるプロテクションに関する規則も提案されている。分離に関する規則に伴い、先物取次業者(FCM)が顧客ファンド及びキャッシュバランスで行うことができる投資のタイプを規制する提案もなされている。これらの規則はまだ提案ではあるが、以前に認められていた防御、手続、及び、FCMやブローカーが持つキャッシュバランスに適用可能な投資が変更されることになる。
【0007】
スワップは伝統的にクリアリングされてこなかったが、ある特定の非清算型金融商品は、中央清算のために中央清算機関に提出することができる。一旦取引が中央清算機関に引き受けられると、カウンターパーティーリスクは除去される。取引所で取引される金融商品のように、取引の両当事者は中央清算機関に相対し、履行については中央清算機関のみを見ていればよい。例えば、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループのクリアポートファシリティ、20サウス ワッカー ドライブ、シカゴ、イリノイ60606においては、ある特定の金融商品におけるOTC取引は、CMEの中央清算機関で引き受けられることによって、先物あるいは先物オプションに転換され得る。実際、これらの"OTC" 金融商品は、変換を通して先物や先物オプションとなる。他の金融商品は、中央清算のために中央清算機関に引き受けられるであろうが、先物に変換されない。これらの場合においても、全ての中央清算型金融取引と同様に、カウンターパーティーリスクはやはり除去される。
【0008】
清算型金融商品と非清算型金融商品とでの担保の異なる取り扱いによって、調整が行われない場合には、同じクーポン及び満期を伴う清算型金融商品と非清算型金融商品とが異なる価値を有し得る。清算機関は、清算型先物及び類似の清算型金融商品に対して変動証拠金として知られる概念を適用する。中央清算機関は、清算型金融商品のポジションにおいて含み損失を有する当事者に対して、損失額と同等の証拠金を差し出し、その額が利益を有する当事者の貸方に記入される。変動証拠金を受け取った当事者は、その金の所有者でありその金に基づく金利を受け取り、あるいは、その金を投資することができる。一方、非清算型取引では、取引において含み損失を有する当事者は一般に担保をカウンターパーティ、非清算型商品についての対応する利得を有する当事者に差し出す。標準的なプラクティスでは、担保は担保を差し出した当事者の所有物であり、担保について受け取った全ての金利は当該担保を差し出した当事者の利益である。このような清算型及び非清算型の場面における担保の取り扱いの大きな差異によって、同様の清算型金融商品と非清算型金融商品が異なる価値を持つことが生じ得る。価値におけるこの差異は、ファンドについて市場参加者が受け取る金利、及び、金融商品と金利一般との相関、の両方に部分的に依存する。
【0009】
非清算型金融商品の中央清算化への移行を促進するため、非清算型金融商品と同等の価値で取引され決済されるような清算型金融商品を構築するべく様々な努力が行われている。この問題への取り組みの1つの試みが、2008年のLCHクリアネット、アルドゲートハウス 33 アルドゲートハイストリート、ロンドンEC3N 1EA 英国、のスワップクリア・ファシィティ施設による"プライス・アラインメント・インタレスト" (PAI) の導入である(LCHクリアネットは、OTC市場の範囲で、取引及び取引プラットフォームを提供する独立した清算機関である。スワップクリアは、OTC金利スワップのセントラルクリアリングのサービスである。)。カウンターパーティ同士は、最初は、2者間で金利スワップを締結し、次いで、当該スワップを清算のためにLCHクリアネットを通して差し出す。
【0010】
LCHクリアネットは、同様の条件の清算型スワップと非清算型スワップとの間の値の差異をなくすためにPAIを導入している。LCHクリアネットの規則にあるように、"変動証拠金の支払い、すなわち、NPV(純現在価値)における調整を伴わない毎日の変化は、中央清算機関を通して清算されるスワップの価格を歪ませるであろう。" LCHクリアネット規則2C.6.4。この歪みに対処することを試みるためには、受け取った累積変動証拠金について金利をチャージし、支払われた累積変動証拠金に金利を支払う。PAI調整は、特定の金利が計算によって参照されることを必要とする。
【0011】
エリス・エクスチェンジ(Eris Exchange)、イリノイ州 60616、シカゴ、スイート 950、311 サウス ワッカー ドライブは、CFTCの管轄下で免除取引所(exempt board of trade)として機能する先物取引所であり、清算化された金利スワップ先物を相場表に記載し、また、価値の差異の問題に取り組んでいる。PAI概念を用いる代わりに、エリス・エクスチェンジは、 金利スワップ先物の商品寿命にわたる変動証拠金について受け取り・支払われる金利を調整した最終価値を伴う金利スワップ先物をリストする
(http://www.erisfiitoes.corn/contract-specifications-siuninaiy, 2011年5月12日閲覧.)。CMEもまた、PAI調整を用いた清算化スワップの提供を開発している (http://w w.cmegroup.com/trading/interest-rates/cleared-otc/index .html, 2011年5月12日閲覧)。
【0012】
これらのソリューションのそれぞれは、PAI調整(LCHやCMEの場合)、あるいは、最終価値計算(Erisの場合)を計算するためにオーバーナイト金利を用いる必要がある。2008年の金融危機以来オーバーナイト金利の選択は流動化している。2008年より前は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が広く用いられていた。LIBORは、ロンドンホールセールマネーマーケット(すなわちインターバンクマーケット)で銀行が他行から無担保資金を借りる時の日割りの基準レートであるLIBORは、英国内で業務している銀行を代表する取引協会であるブリティッシュバンカーズアソシエーションによって毎日固定される。個々のLIBORレートは、最大で最もアクティブな銀行からなるパネルからの提出に基づいて計算された最終物である。
【0013】
LCHは2008年にフェデラルファンド実効金利を参照するように変わり、ErisとCMEは共にフェデラルファンド実効金利を参照している。フェデラルファンド実効金利は、ある預貯金取扱金融機関が直ぐ利用できるファンドを他の預貯金取扱金融機関にオーバーナイトで貸し付ける金利である。
【0014】
さらに、金利スワップを含むスワップが相場表として掲載され、および/あるいは、清算されるプラットフォームは、定期的な、多くの場合日々の、スワップに対する価値(すなわち、決済価格)に起因する。スワップ(すなわち、スワップ先物)を値付けるためには、先物キャッシュフローの正味現在価値を決定する必要がある。これには、そのようなキャッシュフローが当該キャッシュフローの満期と一致するように、期間物の金利の割引を必要とする。ここでまた、この目的のために適切な金利を選択する必要がある。PAI計算で用いられるオーバーナイト金利と同様、2008年より前はLIBOR金利が広く用いられていたが、最近では、多くの清算化スワップ商品は少しずつLIBORからオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利を用いるように移行しているOIS金利は、支払い期間の毎日のオーバーナイトインデックス(すなわち、公表された金利)の幾何学平均値と同等である。米国では、OIS金利は、日々のフェデラルファンド実効金利を参照して計算される。決済処理計算において、LCHとErisは共にOIS金利を用いているが、現時点では、CMEはLIBOR金利を用いている。
【0015】
LIBORに比べてより良い代替とみなされているものの、フェデラルファンド実効レートは必ずしも市場参加者が定期的ベースにおいて実際に受け取り、支払う金利を表しているわけではない。清算型金融商品を調整し、値付けるためのより良い代替は、市場参加者がFCM やブローカーによって保有されたファンドを投資できる実際の金利を参照することである。しかしながら、そのような直ぐに得られるような取引可能な金利は存在しない。
【0016】
上述のように、取引所及び清算機関は、参照金利としてOIS あるいはLIBORを用いている。フェデラルファンド実効レート/OISカーブは、細々と取引されており、市場参加者がアクセスすることが困難であり、また、まばらに報告されており、よって、その正確性に疑問が生じている。LIBOR金利は信用問題を抱えている。LIBOR金利は大手の金融機関によって設定されており、その中の幾つかが意図的に共謀してLIBOR金利を操作したとして調査されている。See, e.g., "U.S. Asks if Banks Colluded on LIBOR", Wall Sheet Journal, 14 April 2011 (available at http://online.wsj.com/article/SB 10001424052748704547804576261120293347088.html, visited 15 May 2011).
【0017】
清算型金融商品を効果的に調整かつ決済するための金利の欠如に加えて、金融市場の参加者は、現在キャッシュバランスの管理を切り詰めている。先物勘定におけるキャッシュバランスは、純資産(total equity)として広く知られている。市場参加者は、正のキャッシュバランスに対して金利を受け取り、負のキャッシュバランスに対して金利を支払う。純資産は、以下のように定義される。
純資産=オプションプレミアム+キャッシュ+値洗い評価額(open trade equity)
ここで、値洗い評価額は、それによって先物取引すなわち清算型スワップが有する損益の額である。
【0018】
純資産の文脈でオプションプレミアムを理解することは重要である。米国における多くのオプションは、"プレミアム先払い"オプションである。これは、オプションの買い手が、トレードが実行される時にオプションの全額を売り手に支払うことを意味する。また、"先物スタイル"オプションというものもあり、これは、トレード時にオプションプレミアムを支払う必要がなく、これらのオプションは先物と同様に、初期証拠金、その後の変動証拠金を伴う証拠金が積まれる。プレミアム先払いオプションは、ネットオプションプレミアム(net option premium)として、純資産に適合される。一方、先物スタイルオプションからの損益は上記定義の値洗い評価資産部分を通して流れる。
【0019】
純資産は、純清算価値(net liquidating value)と混同されるべきでない。純清算価値は、前の日の決済で全てのポジションが清算された場合の勘定の価値である。純資産は、純清算価値と同じであり得るが、プレミアム先払いオプションを保有する勘定の場合には、純資産は、純清算価値と同じではない。
【0020】
有価証券勘定は、純資産と同様の記帳事項を有している。米国では、これは"評価バランスassessed balance"と呼ばれる。評価バランスは、現金預金、ネットオプションプレミアム、配当、金利、有価証券のために支払った購入価格を勘定に含む。評価バランスは一般に短期株式売却の収益を含まない。アカウントホルダーは、純資産及び評価バランスについての金利を受け取る。金利が受け取られる利率は、アカウントホルダーと清算ファーム(先物勘定の場合はFCM、有価証券勘定の場合はブローカー−ディーラ)との間で取り決められる。有価証券勘定及び先物勘定では、アカウントホルダーが受け取り又は支払う金利の利率は、参照利率より低いかあるいは高いスプレッドである。例えば、ベンチマーク利率は、フェデラルファンド実効レートであり、スプレッドは25ベーシスポイントである。フェデラルファンド実効レートが1.00%の場合、市場参加者が貸方純資産ないし評価バランスについて毎晩受け取る利率は、0.75%であり、市場参加者が借方バランスについて支払う金利は、1.25%であり得る。
【0021】
現時点では、市場参加者が、純資産及び評価バランスについてより良い利率で受け取り、あるいは支払うための都合の良い清算メカニズムは存在しない。次に例を挙げる。当事者Aは$1,000,000の借方純資産バランスを有し、当事者Bは、$1,000,000の貸方純資産バランスを有している。借方純資産について、当事者Aは、FCMにオーバーナイトフェデラルファンド実効レート+25ベーシスポイント(すなわち、0.25%)を支払い、貸方純資産について、当事者Bは、FCMからオーバーナイトフェデラルファンド実効レート−25ベーシスポイント(すなわち、0.25%)を受け取る。オーバーナイトフェデラルファンド実効レートが1.00%(100ベーシスポイント)の場合、当事者Aは、借方純資産$1,000,000について1.25%を支払い、当事者Bは、貸方純資産$1,000,000について0.75%を受け取る。もし、当事者Aと当事者Bが都合よく取引できる金融商品があれば、当事者Aはより少ない支払い、当事者Bはより多い受け取りが可能となり得る。当事者らは、フェデラルファンド実効レート付近の金利で取引をするであろう。この例では、各当事者は、年ベースで$2,500($1,000,000 x 0.25%)近く得することになるであろう。
【0022】
最後に、広範囲のグループの当事者が、金利に関連するリスクをヘッジするために、金利スワップやユーロドル先物のような、OISレート、LIBORレート、フェデラルファンド実効レートに紐付けられた金融商品を用いている。上述のように、フェデラルファンド実効レート、OISレート、LIBORレートは、これらの信用性及び正確性という問題がある。市場参加者は、より透明性があり幅広い参加を伴う代替のベンチマークレートの確立を通してかれらのニーズがより満たされることがわかるであろう。このようなベンチマークレートは、様々な種類の満期や取引可能な商品のオーバーナイトレートや他の期間物のレート、フォワード・レートのために必要であろう。
【0023】
要約すると、金利のプライス・ディスカバリを可能とするようなツールを提供することが望ましい。これらのツールは、オーバーナイトあるいは他の期間物の金利やフォワード金利のリスクを管理することに用いられる。これらのツールは、PAIの参照レートとして用いることもでき、清算型スワップ及びスワップ先物における変動証拠金についての金利を調整することに用いることもできる。さらに、これらのツールは、キャッシュバランスを管理するために、FCM及び市場参加者によって用いることができる。これらのツールは、取引所や清算機関において、時価評価のための割引が必要となる清算型金融商品の暫定決済価格を決定するために、将来キャッシュフローをより適して割引することを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の原理にしたがって、中央清算型デリバティブを用いたファイナンシング及びプライス・ディスカバリ方法が提供される。それによって得られる金利は、ある清算型金融商品を調整するベンチマークとして参照することができ、OTCカウンターパートに比較して望ましく、このような金融商品の価値をより良く決定することができる。本発明は、オーバーナイト金利や他の期間物の金利のリスク、フォワード金利のリスクを管理することに用いられる。
【0028】
本発明の原理にしたがって、デリバティブあるいはデリバティブの組み合わせの最終価値は、いかなる形式であれ、指定された期間において、デリバティブの売り手は有効に予め決定された金利を支払うことになり、デリバティブの買い手は有効に予め決定された金利を受け取ることになる。これを実現するために、当事者に割り当てられたデリバティブあるいはデリバティブの組み合わせは、予め決定された最終価値に対して割引される。例えば、本発明にしたがった、特定の先物や保証についてのバイナリコールオプションとプットオプションの組み合わせ、いかなる権利行使価格で決済されてもよい、の場合、このようなオプションの組み合わせの最終価値は、特定の価値、例えば、100に設定される。市場参加者は、オプションの満期日を考慮に入れて、オプションを購入した当事者が、オプションの組み合わせの総価格と100との間の差を含んだ金利を有効に受け取り、オプションを売る当事者が、このようなインプライド金利を有効に支払
うように、100に対して幾らか値引きした値でオプションの組み合わせを取引する。このオプションの組み合わせの条件は、組み合わせ全体が満期において100の価値を有するようになっている。
【0029】
本発明におけるデリバティブあるいはデリバティブの組み合わせは、価格あるいは金利のいずれかでトレードされる。金利は、市場参加者が合意した、いかなる利息計算(単純、日毎、四半期、年、等)、及び、日数計算慣習(30/360、actual/360、actual/actual等)で表現される。デリバティブが価格条件で取引される場合には、
図1に示すように、金利が価格に含まれる。例えば、最終価値が100であり、満期までn日のデリバティブの取引価格がpとすると、対応する日数計算慣習actual/actualでの日毎の利息計算での金利は、
となり、利息計算を年利で計算した場合には、
となる。
【0030】
本発明におけるデリバティブあるいはデリバティブの組み合わせが価格ではなく金利で取引される場合には、取引所あるいは清算機関は、
図2に示すように、取引される金利にしたがってデリバティブに価格を割り当てることができる。例えば、満期までn日のデリバティブついて、最終価値が100かつ取引金利がτの場合、金利が日々利息計算され、日数計算慣習actual/actualの場合には、対応する価格は、
であり、利息計算を年利で計算した場合には、
となる。
【0031】
金利ビットおよび/あるいはオファーの条件は、日数計算慣習、利息計算慣習、ビジネスデイ慣習(休日調整)を含み、事前に特定される。日数計算慣習は、2つの日の間の日数を決定することに用いられるシステムであり、利息計算慣習は、金利が再投資される回数であり、ビジネスデイ慣習(休日調整)はどのように休日を取り扱うかを決定するシステムである。例えば、金曜日のオーバーナイト金利オークションは、実際、通常の週末における3日物、金曜日、土曜日、日曜日に適用される、の金利であり、その後に休日が続かない他の曜日では、オーバーナイト金利は1日物のオーバーナイト金利であろう。
【0032】
以下に述べる実施例1、2は、本発明の原理にしたがって、中央清算型デリバティブに用いられるファイナンシング及びプライス・ディスカバリ方法のファンディング金利を提供することに用いられるデリバティブの非限定的実施例である。
【0033】
[実施例1]
この実施例は、本発明のファイナンシング及びプライス・ディスカバリのプロセスのファンディング金利を提供することに用いられるバイナリオプションを示す。
【0034】
バイナリオプションは、ペイオフが固定された額あるいはゼロのタイプのオプションである。例えば、シカゴ・オプション取引所(CBOE)、60605、イリノイ、シカゴ、サウスラサルーストリート400は、スタンダードプアーズ500インデックス(SPX)についてバイナリオプションを提供している。バイナリコールオプションの買い手は、原資産インデックスが満期においてストライク価格かそれよりも高い価格で決済された場合には$100を受け取り、バイナリープットオプションの買い手は、原資産インデックスが満期においてストライク価格よりも低い価格で決済された場合には$100を受け取る。
【0035】
本発明のデリバティブは、同じストライクを伴うバイナリコールオプションとバイナリープットオプションの組み合わせとして構築される。この組み合わせは、満期に決定的ペイオフ(deterministic payoff)、すなわち$100を生成する。本発明のデリバティブの購入時に、買い手はプレミアムを先払いし、満期に$100を受け取る。本発明のデリバティブが満期まで1年の場合にプレミアムが95であるとすると、オプション組み合わせの買い手は、本質的に、年利で、金利5.26%(=(100-95)/95)で1年間で$95を貸すことになる。
【0036】
本発明のデリバティブは、所定の利息計算および日数計算慣習を伴うイールド(yield)で見積もられ、取引されてもよい。年利を仮定し、2者の当事者が本発明のデリバティブを5.26%の金利で取引することを合意した場合に、取引所や清算機関は、買い手に対して売り手に$95(=100/(1+5.26%))を支払わせる。取引所や清算機関は、各当事者に、本発明にしたがうデリバティブ、例えば、すなわち、バイナリコール及びバイナリープットを渡す。当事者がこれらのデリバティブを満期まで保有していると仮定すると、このオプションの組み合わせの決定的性質により、取引者や清算機関は、満期に売り手から買い手に$100を支払わせる。
【0037】
[実施例2]
この実施例は、本発明の原理にしたがって、中央清算型デリバティブに用いられるファイナンシング及びプライス・ディスカバリのプロセスのファンディング金利を提供することに用いられるヨーロピアンコール及びプットオプションを示す。
図3及び
図4は、ストライク50を伴うヨーロピアンコール及びプットオプションのペイオフを示す。コールの買いとプットの売りからなるオプション組み合わせは、リスク・リバーサルと呼ばれる。リスク・リバーサルの二つのオプションが同じストライクを有する場合には、このタイプのオプション組み合わせは、
図5に示すように、原資産デリバティブの線形関数と等価のペイオフを生成する。
【0038】
ボックス(box)は、あるストライクでのリスク・リバーサルの買いと異なるストライクでのリスク・リバーサルの売りとの組み合わせを指すものである。ボックス(box)は満期における2つのストライクの差と等価の決定的ペイオフを有している。例えば、ストライク50−150のボックスは、ストライク50のリスク・リバーサルの買いとストライク150のリスク・リバーサルの売りと等価であり、この組み合わせの満期のペイオフは100である。
【0039】
本発明のデリバティブは、2つのリスク・リバーサル、例えば50と150、を固定することによって設計される。このデリバティブの買い手は、満期に100を受け取り、プレミアムを前払いで支払う。前の例と同様に、このデリバティブは、所定の利息計算及び日数計算慣習を伴う価格あるいはイールド条件で取引され見積もられる。
【0040】
ここでまた、上記は、本発明の原理にしたがって、中央清算型デリバティブに用いられるファイナンシング及びプライス・ディスカバリ方法のファンディング金利を提供することに用いられるデリバティブの非限定的な例である。
【0041】
限定されることなく、価格や金利の基準は、いかなるプライス・ディスカバリ方法を通して決定することができ、限定されないものの、オークションプロセス、売買高加重平均価格あるいは金利(a volume-weighted average price or rate)、セントラル・リミット・オーダー・ブックプロセス(電子的、電話によるもの、公開競売を問わない)、清算値段での取引(trade-at-settlement)プロセス、あるいは、いかなる他のメカニズム、を例示することができる。オークションや他のプライス・ディスカバリ方法の規則は事前に設定される。
【0042】
取引所や清算機関は、市場参加者に対してプライス・ディスカバリ方法を特定することも考えられる。本発明の1つの実施形態では、取引者や清算機関は、例えば、オーバーナイト金利をディスカバーし設定するオークションを実施することができる。取引の締結において、取引所や清算機関は、適用可能な金利や価格を決定し、マッチする当事者を決定し、デリバティブやデリバティブの組み合わせをマッチした当事者に割り当て、マッチした当事者間のファンドの移転を促進する。
【0043】
本発明の他の実施形態では、金利でオークションが実施されるのではなく、決定的な価値のデリバティブの価格についてオークションが実施され、金利はこのようなオークションの結果にインプライされている。
【0044】
本発明の原理にしたがって、中央清算型デリバティブに用いられるファイナンシング及び金利プライス・ディスカバリ方法に利用され得るプライス・ディスカバリの非限定的な例を次に述べる。
【0045】
[実施例3]
本発明にしたがって実行されるデリバティブは、短期のファイナンシング(資金供給)のニーズを満たすべく間隔の短い満期を有している。例えば、いかなる所与の日において、市場参加者は満期まで1日のデリバティブを取引することができる。取引価格ないしイールドは、参加者のオーバーナイトファイナンシングコストを反映する。セントラル・リミット・オーダー・ブックや取引所マッチングエンジンを通した取引のマッチングの他に、例えば、ダッチオークションのように構成された公開オークションを用いて取引を促進してもよい。
【0046】
オークションが行われるデリバティブが100の最終価値を有している。デリバティブが価格で値段が付けられ、アナウンスされた価格が99.997の時、この価格よりも高い全てのビッドがアクセプトされる。このデリバティブの買い手は、本質的に$100の想定オーバーナイト毎に$99,997を貸し付け、翌日に$100が払い戻される。取引は、オーバーナイト金利で値段が付けられてもよい。例えば、日々の利息計算及び日数計算actual/actualが用いられた時に、価格99.997は、金利1.95%(=(100/99.997-l)*365)と等価である。上記の計算の全ては、週末及び休日について調整される。
【0047】
そして、取引所や清算機関は、結果として得られたオーバーナイト金利を、中央清算型金利スワップや金利スワップ先物のための参照金利として用いることができる。さらに、このプロセスを通して、マッチされた市場参加者は有効的にキャッシュバランスを管理する。
【0048】
ここでもまた、上記は、本発明の原理にしたがって、中央清算型デリバティブに用いられるファイナンシング及び金利プライス・ディスカバリ方法に用いられ得るプライス・ディスカバリの非限定的な例である。
【0049】
上述のマッチングが締結されると、取引所や清算機関は決済プロセスを実施するであろう。これは幾つかのステップを含むであろう。取引所や清算機関は、プライス・ディスカバリプロセスにおいて、どの価格あるいは金利で、どの市場参加者がマッチしたかを決定するであろう。そして、取引所や清算機関は、適当な経済性を反映したデリバティブやデリバティブの組み合わせを各マッチした参加者に割り当てるであろう。これらの商品や商品の組み合わせは、自由に取引することができる。最後に、取引所や清算機関は、プライス・ディスカバリプロセスでマッチした額の回収及び支払いを要求し、促進する。本明細書で用いられる場合に、プライス・ディスカバリ方法は、最も広義の意味として用いられ、限定されないものの、ビッドとオファーの単純なマッチング、いかなる種類のオークション、平均価格付け手法(例えば、売買高加重平均)、単純平均、及び他のプライス・ディスカバリ手法を含む。
【0050】
本発明は限定されることなく、米国内あるいは外国のいずれに所在しているかを問わず、いかなる清算機関で清算され、いかなる取引所や取引プラットフォームで取引され、セントラル・リミット・オーダー・ブック、プライベートネゴシエーション、オークションを含むいかなるプライス・ディスカバリ方法を通して取引され、米国ドル以外の通貨によっても取引され、シングルオプション、オプションの組み合わせ、他のタイプのデリバティブを含む多くのデリバティブの形式によって取引され得る。本明細書において、取引所及び取引プラットフォームという用語は、そこで有価証券、コモディティ、デリバティブ、他のデリバティブが取り引きされ得る市場を広く指すものであり、必ずしも限定されるものではないが、指定契約市場、免除取引所、デリバティブ取り扱い機関、株式取引所、スワップ実行機関、電子通信ネットワーク、等を含む。
【0051】
本発明の原理にしたがって、最終決済価値を毎日公表するために、清算機関、取引所、先物取引業者、他の市場参加者は、この目的のために特に設計されたソフトウェアを備えたコンピュータを用いることができる。本発明に係る最終価値の計算は、反復かつ複雑であり、この目的には特別なソフトウェアが必要となる。このソフトウェアは、データライン、ネットワーク、あるいはインターネットを通して中央市場に接続されており、価格がシームレスに公表される。清算機関は、ある所与の瞬間にデータベースで存在している各金融商品の日々の価格を格納し、市場に電子的に公表してもよい。
【0052】
図6を参照して、本発明のシステムを実行するのに用いることができるハイレベルハードウェア手段の非限定実施例を説明する。インフラストラクチャーは、限定されないものの、ワイドエリアネットワーク接続、ローカルエリアネットワーク接続、適切なネットワークスイッチ及びルータ、電源(バックアップ電源)、ストレージエリアネットワークハードウェア、サーバクラスコンピューティングハードウェア、例えば、レッドハットリナックスエンタープライズASオペレーティングシステム(レッドハット、インク、1801ヴァーシティドライブ、ラレイ、ノースキャロライナ、から入手可能)のようなオペレーティングシステム、を備えている。
【0053】
清算・決済及び管理アプリケーションソフトウェアサーバは、例えば、3.33 GHzのプロセッサベース周波数、192GBまでのRAM、2 PCIE拡張スロット、1GBないし10GBのネットワークコントローラ、ホットプラグSFF SATAドライブ、余剰電源を備えたマルチプルインテルXeon5600シリーズプロセッサを備えたHP ProLiant DL 360 G6サーバ(ヒューレッドパッカード、インク、3000 ハノーバストリート、パロアルト、カリフォルニア、から入手可能)上で実行される。データベースサーバは、例えば、3.33 GHzのプロセッサベース周波数、192GBまでのRAM、6 PCIE拡張スロット、16SFF SATAドライブベイ、インテグレートP410i インテグレートストレージコントローラ、余剰電源を備えたマルチプルインテルXeon5600シリーズプロセッサを備えたHP ProLiant DL 380 G6サーバ(ヒューレッドパッカードから入手可能)上で実行される。
【0054】
本発明について具体的な実施形態に基づいて説明したが、他の代替、修正、変更は当業者にとって明白である。したがって、そのような代替、修正、変更の全てが添付の特許請求の範囲の精神及び範囲に含むことを意図する。
【0055】
[付記1]
ファイナンシングおよび/あるいは金利プライス・ディスカバリ方法であって、
掲げられた金額についての基準をビッドおよび/あるいはオファーし、
少なくとも1つのプロセッサにおいて同じ基準のビッドとオファーを電子的にマッチングさせ、
少なくとも1つのプロセッサにおいて、マッチしたそれぞれのビッドとオファーにマッチした基準から導出された価格で少なくとも1つのデリバティブを割り当て、
少なくとも1つのプロセッサにおいて前記デリバティブを電子的に中央清算する、
方法。
1つの態様では、少なくとも1つのプロセッサにおいて、掲げられた金額についての金利を電子的にビッドおよび/あるいはオファーすることを含む。
1つの態様では、掲げられた金額についての期間物金利をビッドおよび/あるいはオファーすることを含む。
1つの態様では、掲げられた金額についてオーバーナイト金利をビッドおよび/あるいはオファーすることを含む。
1つの態様では、少なくとも1つのプロセッサにおいて、マッチしたそれぞれのビッドとオファーに、マッチした金利から導出された価格で少なくとも1つのデリバティブを電子的に割り当てる。
1つの態様では、少なくとも1つのプロセッサにおいて、掲げられた金額についての価格を電子的にビッドおよび/あるいはオファーする。
1つの態様では、少なくとも1つのプロセッサにおいて、掲げられた金額についての1つあるいは複数のフォワード・レートを電子的にビッドおよび/あるいはオファーする。
1つの態様では、掲げられた金額について、オーバーナイト金利、デイ金利、ウィークリー金利、マンスリー金利、3ヶ月物金利、6ヶ月物金利、9ヶ月物金利、1年物金利、10年物金利、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択されたものをビッドおよび/あるいはオファーするものである。
1つの態様では、デリバティブについての先物を生成することを含む。
1つの態様では、現金決済されるデリバティブについての先物を生成する。
1つの態様では、現物渡しされるデリバティブについての先物を生成する。
1つの態様では、デリバティブについてオプションを生成することを含む。
1つの態様では、オークションプロセスによって基準を決定する。
1つの態様では、ダッチオークションプロセスによって基準を決定する。
1つの態様では、加重平均価格による値によって基準を決定する。
1つの態様では、セントラル・リミット・オーダー・ブック取引プロセスによって基準を決定する。
1つの態様では、取引決済プロセスを通して基準を決定する。
1つの態様では、日数計算慣習、利息計算慣習、休日調整慣習からなる群から基準を決定する。
1つの態様では、デリバティブの最終価値を予め決定した価値に設定する。
1つの態様では、少なくとも1つのプロセッサにおいて、マッチしたビット及びオファーのそれぞれに、マッチした基準から導出した価格でデリバティブの組み合わせを電子的に割り当てる。
1つの態様では、マッチしたビッドとオファーの一方にオプションの一側を、マッチしたビットあるいはオファーの他方にオプションのオフセット側を割り当てる。
1つの態様では、マッチしたビッドとオファーの一方にバイナリオプションの一側を、マッチしたビッドあるいはオファーの他方にバイナリオプションのオフセット側を割り当てる。
1つの態様では、マッチしたビッドとオファーの一方にオプション組み合わせの一側を、マッチしたビッドあるいはオファーの他方にオプション組み合わせのオフセット側を割り当てる。
1つの態様では、マッチしたビッドとオファーの一方にリスク・リバーサルオプション組み合わせの一側を、マッチしたビッドあるいはオファーの他方にリスク・リバーサルオプション組み合わせのオフセット側を割り当てる。
1つの態様では、マッチしたビッドとオファーの一方にボックスオプション組み合わせの一側を、マッチしたビッドあるいはオファーの他方にボックスオプション組み合わせのオフセット側を割り当てる。
1つの態様では、マッチしたビッドとオファーの一方にバイナリオプション組み合わせの一側を、マッチしたビッドあるいはオファーの他方にバイナリオプション組み合わせのオフセット側を割り当てる。
1つの態様では、1つのプロセッサ、複数のプロセッサ、あるいはこれらの組み合わせからなる群から少なくとも1つのマイクロプロセッサを選択する。
ファイナンシングおよび/あるいは金利プライス・ディスカバリの一連のステップを実行するようにプログラムされた汎用デジタルコンピュータであって、前記ステップは、
掲げられた金額についての基準をビッドおよび/あるいはオファーし、
少なくとも1つのプロセッサにおいて同じ基準のビッドとオファーを電子的にマッチングさせ、
少なくとも1つのプロセッサにおいて、マッチしたそれぞれのビッドとオファーにマッチした基準から導出された価格で少なくとも1つのデリバティブを割り当て、
少なくとも1つのプロセッサにおいて前記デリバティブを電子的に中央清算する、
コンピュータ。
以下のプロセスによって得られる金融商品:
掲げられた金額についての基準をビッドおよび/あるいはオファーし、
同じ基準のビッドとオファーをマッチングさせ、
マッチしたそれぞれのビッドとオファーにマッチした基準から導出された価格で少なくとも1つのデリバティブを割り当て、
前記デリバティブを電子的に中央清算する。
掲げられた金額についての基準をビッドおよび/あるいはオファーする手段と、
同じ基準のビッドとオファーをマッチングさせる手段と、
マッチしたそれぞれのビッドとオファーにマッチした基準から導出された価格で少なくとも1つのデリバティブを割り当てる手段と、
前記デリバティブを電子的に中央清算する手段と、
からなる、金融商品。
少なくとも1つの中央清算型デリバティブを用いたファイナンシング方法であって、
少なくとも1つの取引プラットフォームサーバにおいて、ワイドエリアネットワークを介して複数の貸し手注文及び借り手注文を受け取るに、前記貸し手注文は、オファー金利、期間、金額を含み、前記借り手注文は、ビッド金利、期間、金額を含み、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバにおいて、前記金利、期間、金額をマッチさせることで、少なくとも1つの借り手注文と少なくとも1つの貸し手注文を電子的にマッチングさせ、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバと少なくとも1つの清算機関サーバのうちの少なくとも1つにおいて、前記マッチした貸し手注文及び借り手注文に、少なくとも1つのデリバティブを生成して割り当てるに、前記デリバティブは、前記マッチした金利及び期間、金額から導出される価格を有しており、
前記少なくとも1つの清算機関サーバにおいて、前記マッチした貸し手注文及び借り手注文に対して生成され割り当てられた前記デリバティブを電子的に清算するに、前記デリバティブの生成・割り当て時に貸し手から借り手に前記マッチした金額を電子的に移動し、前記少なくとも1つのデリバティブの満了時に借り手から貸し手に前記マッチした金額を前記マッチした金利で計算した金利と共に電子的に移動する、方法。
1つの態様では、前記少なくとも1つのデリバティブは、同じストライクを備えたバイナリコールオプションとバイナリープットオプションの組み合わせである。
【0056】
[付記2]
本実施形態は、
少なくとも1つのデリバティブを用いた借り手と貸し手のマッチした金利でのファイナンシング装置であって、
前記装置は、少なくとも1つの取引プラットフォームサーバと、少なくとも1つの清算機関サーバを備え、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバ及び前記少なくとも1つの清算機関サーバは、それぞれ、少なくとも1つのプロセッサを備え、一連の処理を実行するようにプログラムされた少なくとも1つのコンピュータにより構成され、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバは、ワイドエリアネットワークを介して複数の貸し手注文及び借り手注文を受け取るように構成され、前記貸し手注文は、金利、期間、金額を含み、前記借り手注文は、金利、期間、金額を含み、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバは、少なくとも1つのプロセッサにおいてプログラムを実行して前記金利、期間、金額をマッチさせることで、少なくとも1つの借り手注文と少なくとも1つの貸し手注文を電子的にマッチングさせるように構成されており、借り手と貸し手のマッチした金利は、借り手と貸し手の合意に基づいて当該借り手と当該貸し手によって決定された金利であり、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバと少なくとも1つの清算機関サーバのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのプロセッサにおいてプログラムを実行して、前記マッチした貸し手注文及び借り手注文に、少なくとも1つのデリバティブを電子的に割り当てるように構成されており、前記少なくとも1つのデリバティブは、予め決められた最終価値、及び、前記マッチした金利及び期間を考慮して前記最終価値に対してディスカウントされた価格を備えており、前記価格が前記マッチした金額に対応しており、前記割り当てによって、前記マッチした金利を受け取る貸し手は前記少なくとも1つのデリバティブの買い手となり、前記マッチした金利を支払う借り手は前記少なくとも1つのデリバティブの売り手となり、
前記少なくとも1つの清算機関サーバは、少なくとも1つのプロセッサにおいてプログラムを実行して前記マッチした貸し手注文及び借り手注文に対して割り当てられた前記少なくとも1つのデリバティブを電子的に清算するように構成されており、前記少なくとも1つのデリバティブの割り当て時に前記少なくとも1つのデリバティブの買い手である貸し手から前記少なくとも1つのデリバティブの売り手である借り手に前記マッチした金額を電子的に移動させ、前記少なくとも1つのデリバティブの清算時に、前記借り手から前記貸し手に、前記マッチした金額を前記マッチした金利で計算した利息と共に電子的に移動させる、装置、である。
1つの態様では、前記少なくとも1つの清算機関サーバは、前記少なくとも1つのデリバティブの満了時に、前記借り手から前記貸し手に前記少なくとも1つのデリバティブの最終価値に対応する金額であって、前記マッチした金額の返済及び前記マッチした金利、金額、期間によって計算された金利の支払としての金額を電子的に移動させる。
本実施形態は、少なくとも1つの中央清算型デリバティブを用いた借り手と貸し手のマッチした金利でのファイナンシング方法であって、
前記ファイナンス方法は、一連のステップを実行するようにプログラムされたコンピュータにより実行され、
少なくとも1つの取引プラットフォームサーバにおいて、ワイドエリアネットワークを介して複数の貸し手注文及び借り手注文を受け取るに、前記貸し手注文は、金利、期間、金額を含み、前記借り手注文は、金利、期間、金額を含み、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバにおいて、少なくとも1つのプロセッサにおいてプログラムを実行して前記金利、期間、金額をマッチさせることで、少なくとも1つの借り手注文と少なくとも1つの貸し手注文を電子的にマッチングさせるに、借り手と貸し手のマッチした金利は、借り手と貸し手の合意に基づいて当該借り手と当該貸し手によって決定された金利であり、
前記少なくとも1つの取引プラットフォームサーバと少なくとも1つの清算機関サーバのうちの少なくとも1つにおいて、少なくとも1つのプロセッサにおいてプログラムを実行して、前記マッチした貸し手注文及び借り手注文に、少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせを電子的に割り当てるに、前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせは、予め決められた最終価値、及び、前記マッチした金利及び期間を考慮して前記最終価値に対してディスカウントされた価格を備えており、前記価格が前記マッチした金額に対応しており、前記割り当てによって、前記マッチした金利を受け取る貸し手は前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせの買い手となり、前記マッチした金利を支払う借り手は前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせの売り手となり、
前記少なくとも1つの清算機関サーバにおいて、少なくとも1つのプロセッサにおいてプログラムを実行して前記マッチした貸し手注文及び借り手注文に対して割り当てられた前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせを電子的に清算するに、前記少なくとも1つの清算機関サーバは、前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせの割り当て時に前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせの買い手である貸し手から前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせの売り手である借り手に前記マッチした金額を電子的に移動させ、前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせの満了時に前記借り手から前記貸し手に前記少なくとも1つのデリバティブあるいは複数のデリバティブの組み合わせの最終価値に対応する金額であって、前記マッチした金額の返済及び前記マッチした金利、金額、期間によって計算された金利の支払としての金額を電子的に移動させる、方法である。
1つの態様では、前記複数のデリバティブの組み合わせは、同じストライクを備えたバイナリコールオプションとバイナリープットオプションの組み合わせである。