特許第6784913号(P6784913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6784913吸引ライン、吐出ライン、及び、ポンプを備えるアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784913
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】吸引ライン、吐出ライン、及び、ポンプを備えるアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/10 20060101AFI20201109BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   A61M1/10 100
   A61M1/36 149
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-557246(P2017-557246)
(86)(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公表番号】特表2018-502691(P2018-502691A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】DE2016000025
(87)【国際公開番号】WO2016119771
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2018年12月4日
(31)【優先権主張番号】102015000771.8
(32)【優先日】2015年1月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517259221
【氏名又は名称】ゼニオス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】オスタダル,ペテル
(72)【発明者】
【氏名】シムンディック,イヴォ
(72)【発明者】
【氏名】マシェイズ,ゲオルク
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0160517(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0112353(US,A1)
【文献】 特開2008−264512(JP,A)
【文献】 特表平04−501220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/10
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外生命維持システムのためのアセンブリにおいて、
静脈カニューレ(4)を特徴とする吸引ライン(3)、
動脈カニューレ(12)を特徴とする吐出ライン(13、30)、
前記吸引ライン(3)と前記吐出ライン(13,30)との間に配置され脈動流を発生させるポンプ(8)
一定の直径の排出カニューレ(20、24)を伴う排出ライン(19,23)を有し、
前記排出ライン(19、23)が流量制限器(22、25)を機能として伴い、前記排出ライン(19、23)の前記直径とは無関係に排出強度を調整し、かつ、心臓(14)のポンピングリズムに応じて前記排出ライン(19、23)を介して伝達される体積流量を減らすために、前記流量制限器(22、25)は脈動流に応じて自動的に調整され、
人工心肺(10)が前記吸引ライン(3)と前記吐出ライン(13,30)との間に配置され、
前記ポンプ(8)は、前記吸引ライン(3)と前記排出ライン(19、23)において吸引を行うように構成され、
前記排出カニューレ(20、24)が前記心臓(14)の圧力を解放するためのベントカニューレの形態で実現され、
前記排出ライン(19、23)が前記吐出ライン(13、30)に直接に接続され、
前記吸引ライン(3)と前記吐出ライン(13,30)との間に前記ポンプ(8)配置されてリザーバが配置され
前記排出カニューレ(20、24)が前記動脈カニューレ(12)よりも長い、
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記排出ライン(19、23)と前記吐出ライン(13、30)との間にY−アダプタ(6,28)が配置されることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記排出ライン(23)は逆止弁(26)を機能として伴うことを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記排出ライン(23)がベンチュリノズル(29)によって前記吐出ライン(30)に接続されることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈カニューレを特徴とする吸引ライン、動脈カニューレを特徴とする吐出ライン、及び、吸引ラインと吐出ラインとの間に配置されるポンプを有するアセンブリに関する。
【0002】
そのようなアセンブリは、体外膜型人工肺のため又は体外肺補助のために使用される。体外膜型人工肺では、カニューレが2つの大きな血管内に挿入される。ECMO−装置が、肺内でガス交換を行なう膜型人工肺を通じて血液を送出する。このように処理された血液は、その後、患者へ供給される。本発明は、特に、静脈−動脈ECMO(VA−ECMO)のための装置に関する。VA−ECMOにおいて、血液は、平行な循環系が形成されるように、特に大腿静脈などの大きな静脈から除去されて、心臓を通り過ぎ、動脈(大腿動脈)内へ搬送される。これによって心臓が解放されるため、この方法は、心臓のポンプ機能が劣っている患者(例えば、心不全、心臓性ショック)で使用される。このタイプのシステムは体外生命維持システム(ECLS)とも称される。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、鎖骨を介して挿入されるとともに、血液と心筋保護液又は純晶質液との混合物を投与するのに役立つ心筋保護カテーテルについて記載する。このカテーテルは動脈カニューレを特徴とし、この動脈カニューレには、バルーンを有する短い排出カニューレが接続される。
【0004】
特許文献2は、実際の用途で動作するのが困難な、複数のポンプ、排出ライン、及び、リザーバを有する複雑なアセンブリについて記載する。
【0005】
特許文献3及び特許文献4は、心臓切開手術中に又は皮下で心臓補助システムとして使用されるシステムについて記載する。しかしながら、カテーテルの形態及び組み立てにより、動脈カニューレを心臓に供給できないと同時に、同じ心室側でベントカニューレを用いて心臓を解放できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第69524217号明細書
【特許文献2】独国実用新案第8990089号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/087107号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2011/112353号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、そのようなECLSシステムを強化するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これは、本発明のアセンブリが排出カニューレを有する排出ラインを特徴とするという点において達成され、この場合、排出カニューレが動脈カニューレよりも長く、また、排出ラインが吸引ライン又は吐出ラインに接続される。排出カニューレは、特に、動脈カニューレよりも長いベントカニューレの形態で実現され、また、排出ラインは、吸引ラインに直接に接続され又は吐出ラインに直接に接続され、吸引ラインと吐出ラインとの間には単一のポンプのみが配置されてリザーバが配置されない。
【0009】
特許文献1とは対照的に、本発明の排出カニューレは好ましくは連続的な一体部品のカニューレである。本発明のカニューレは、心臓内に挿入され得る端部にバルーンを有さない。バルーンカテーテルとは異なり、本発明によれば、近位端は、血液がベントカニューレに隣接して流れることができるように一定の直径を有して実現される。その結果、本発明のベントカニューレもバルーンに更にアクセスしない。このようにすると、カニューレで利用可能な直径をその全体にわたって血流のために使用できる。
【0010】
したがって、本発明のカニューレは、心臓へ向かう方向の血流のための1つのルーメン、及び、心臓から離れる方向の血流のための1つのルーメンのみを有する。付加的なルーメン又はチャネルは、必要とされず、また、不都合でさえある。
【0011】
特許文献1では、可撓性の近位端にセンサが更に設けられる。このセンサは、複雑な形態をもたらすとともに、測定値を送信するためにカニューレ内にラインを必要とする。本発明のアセンブリは、血液ラインのみから成るとともに、センサ信号を送信するための電気ラインもバルーンを動作させるための空気圧ラインも必要としない。
【0012】
特許文献2は、特許文献1に類似するバイパスシステムについて記載し、このシステムでは、心臓が最初に無血ポンピングされる。その結果、そのようなシステムでは、心臓切開リザーバの形態を成すリザーバが必要とされる。これに対し、本発明のアセンブリは、治療を目的としており、そのような心臓切開リザーバを必要としない。
【0013】
排出カニューレは、心臓から排出される血液の流れを戻して動脈カニューレを通じた流入時に心臓を解放できるようにする。この場合、動脈カニューレは、心臓の手前の動脈で既に終端することが好ましく、一方、排出カニューレは、心臓内へと更に奥へ押し込まれる。したがって、排出カニューレは、実際の用途では、動脈カニューレよりも少なくとも20%長い。
【0014】
アセンブリを純粋な心臓補助システムとして使用できる。しかしながら、好適には、アセンブリを肺補助システムとして使用することもでき、その場合には、吸引ラインと吐出ラインとの間に人工心肺が配置される。
【0015】
排出ラインは、ポンプが脈動流を発生させる場合に特に有益である。この場合には、ポンプでの圧力増大時、したがって、動脈内及び心臓内での圧力増大時に、排出ラインを通じた排出を実現できる。そのため、アセンブリは主に脈動ポンプに適している。循環補助目的のために人工心肺が脈動動作の一環として特に必要とされる。これは、血液が部分的に肺を通り過ぎて搬送されるからである。
【0016】
排出ラインの直径とは無関係に排出強度を調整するために、排出ラインが流量制限器を機能として伴うことが提案される。この流量制限器は、心臓での激しい排出を多かれ少なかれ調整するために排出ラインを通じて搬送される体積流量を減少させることができる。
【0017】
制御によって流量制限器を脈動流に応じて自動的に調整できれば特に有益である。これにより、脈動ポンプの圧力増大中に排出をもたらすことができるとともに、圧力増大の瞬間に応じて、特に心臓のポンピングリズムに応じて、排出の瞬間を制御又は調整できる。
【0018】
乱流を可能な限り最小限にして排出ラインの戻り流を吸引ラインへ又は吐出ラインへ導入するために、排出ラインと吸引ライン又は吐出ラインとの間にY−アダプタを配置することが提案される。このY−アダプタは、入ってくる血流がそれぞれの他の血流と鈍角を成して組み合わされるようにそれぞれ配置される。
【0019】
Y−アダプタのみによる吐出ライン又は吸引ラインに対する排出ラインの接続は、排出カニューレが血液を排出することによって心臓を解放させるようにする。しかしながら、排出ラインが吐出ラインに接続される場合には、排出ラインが逆止弁を機能として伴えばしばしば有益である。これは、ポンプが血液を排出ライン内へ送出することを防止する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、排出ラインがベンチュリノズルによって吐出ラインに接続されることが提案される。その結果、ベンチュリノズル又はインジェクタノズルによって排出ラインの接合部の領域で真空が発生され、この真空は、血液が排出ラインから吸引によって除去されるようにする。
【0021】
80cm〜100cm、好ましくは85cm〜95cmの長さを有するカニューレが本発明のアセンブリに特に適している。7Fr〜9Frのサイズ、又は、2mm〜3mmの外径が使用されるのが有益である。
【0022】
カニューレは、流量制限器を機能として伴うことが有益である。これに関連して、カニューレは、対応するラインによって流量制限器に接続されてもよい。そのような流量制限器を自動的に調整することによって流量制限器をポンプの脈動に、好ましくは心臓の脈拍にも適合させることが想定し得るはずである。
【0023】
本発明のアセンブリの幾つかの典型的な実施形態が図面に示されて以下で更に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】排出ラインが吸引ラインへ通じる体外生命維持システムを示す。
図2】排出ラインが吐出ラインへ通じる体外生命維持システムを示す。
図3】第2のポンプを伴う図1に係る体外生命維持システムの詳細を示す。
図4】第2のポンプを伴う図2に係る体外生命維持システムの詳細を示す。
図5】Y−アダプタを伴う図4に係るアセンブリを示す。
図6】カニューレにおける吐出ライン及びより小さい排出ラインの経路を示す。
図7】カニューレにおける排出ラインの経路を貫く断面を示す。
図8図7に示されるカニューレ経路を貫く縦断面を示す。
図9】排出カニューレの両側アクセスを概略的に示す。
図10】上腕静脈を通じた排出カニューレのアクセスを概略的に示す。
図11】上大静脈及び心房中隔を通じた排出カニューレのアクセスを概略的に示す。
図12】下大静脈及び心房中隔を通じた排出カニューレのアクセスを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示される第1の典型的な実施形態によれば、体外生命維持システム1,2は、孔5、Y−アダプタ6、及び、ポンプ8に通じる供給ライン7を伴う静脈カニューレ4を特徴とする吸引ライン3を有する。この図ではポンプ8のポンプヘッドのみが示される。ポンプ8は接続ライン9によって人工心肺10に接続され、この場合、人工心肺は、送出ライン11によって動脈カニューレ12に接続される。送出ライン11及び動脈カニューレ12は吐出ライン13を形成する。
【0026】
したがって、アセンブリを使用している間、血液は、吸引ライン3の静脈カニューレ4によって心臓14から大腿静脈15を通じてポンプ8へと引き込まれた後、人工心肺10及び動脈カニューレ12を介して、すなわち、大腿動脈16及び大動脈を通じて大動脈弓を経由して左心室内へ搬送され得る。このようにして、心臓14は、バイパスされ、したがって解放される。
【0027】
脈動ポンプ8が使用される場合には、過度の圧力が、最大圧の瞬間に大腿動脈16内で生み出されて、心臓の壁17を押圧する。したがって、この瞬間に吸引により血液を除去することによって壁17の背後の部位18における圧力を減少させることが有益である。これは、排出カニューレ20及び排出ライン21を備える排出ライン19を用いて達成される。この排出カニューレ20は、血液を心臓14から大腿動脈16を通じてY−アダプタ6へと搬送できるようにし、Y−アダプタ6から血液は供給ライン7を通じてポンプ8に達する。その結果、ポンプ8は、静脈カニューレ4からだけではなく、排出カニューレ20からも血液を引き込む。吸引効果を伴わない場合でさえ、排出カニューレは、過度の圧力を解放する、したがって心臓を解放するのに既に役立つ。
【0028】
排出ライン19を通じて戻されるべき体積流量を流量制限器22によって変えることができる。流量制限器22は、随意的に設けられてもよく、排出ライン19及びポンプ8を通じた流れを制御する又は調整する(図示しない)制御器に接続される。このようにすると、排出を任意に変えることができ、特に、アセンブリが使用中の状態でポンプの動作中にポンプ容量に応じて排出を制御できる。好ましい実施形態によれば、心臓の鼓動に応じて、すなわち、EKG−信号に応じて、ポンプ容量、したがって間接的には流量制限器が制御されることが提案される。
【0029】
図2に示される別の実施形態のアセンブリ2は、本質的には、図1に示されるアセンブリと同じ態様で設計されて使用される。しかしながら、排出ライン23は、流量制限器25、逆止弁26、及び、ライン27によってY−アダプタ28に接続される排出カニューレ24を特徴とする。この典型的な実施形態において、Y−アダプタ28はベンチュリノズル29の形態で実現される。これは、吐出ライン30を通じた流量の増大時にベンチュリノズルがより強力な真空、したがって、より大きな吸引を排出ライン23にもたらすため、逆止弁26を伴わない及び流量制限器25を伴わない簡略化された形態を可能にする。
【0030】
図1に示される典型的な実施形態の場合と同様に、排出カニューレ24の排出ライン23のカニューレ入口31は、カニューレを使用している間、大動脈弁32及び大動脈弓33の背後の部位18に位置する。
【0031】
図3は、図1に示される実施形態とほぼ同じ態様で構成される実施形態を示す。しかしながら、この典型的実施形態では、好ましくは吸引ポンプの形態で実現されるポンプ34が排出ライン19とY−アダプタ6との間に設けられる。吸引ポンプの形態を成すこのポンプ34は、ポンプ8とは無関係に作動され得る。このポンプは、無脈動ポンプ又は脈動ポンプから成ってもよく、また、ポンプ8と同期して又はポンプ8に対して位相シフトして動作されてもよい。この場合には、ポンプ8が主ポンプの機能を果たすとともに、ポンプ34が補助ポンプの機能を果たす。
【0032】
図2に係る典型的な実施形態を示す図4では、排出ライン23とY−アダプタ28との間に付加的なポンプ35も設けられる。この典型的な実施形態では、付加的な吸引ポンプ35を用いる又は用いないEKG−トリガー脈動制御も有益である。
【0033】
この目的のために、ポンプ制御器37が設けられ、このポンプ制御器37は、ポンプ8に接続され、また、−適用可能であれば−付加的なポンプ35(図4参照)又は付加的なポンプ34(図3参照)に接続される。コンピュータ38が制御信号39をポンプ駆動信号40,41に変換する。このポンプ駆動信号は、波のように増減するポンプ8のポンプ容量を実現するためにポンプ制御器37によって使用されて、主ポンプ8のポンプ容量に依存してもよい又は依存しなくてもよいポンプ34又は35の同期する又は時間がずれる脈動ポンプ容量又は無脈動ポンプ容量を更に確保できる。制御信号39は、ケーブル43によって患者44に接続されるEKG42によって生成される。
【0034】
ECLSシステムの動作中、制御信号39を生成するために患者44のEKG−信号がケーブル43を介してEKG42により取得される。この制御信号39は、コンピュータ38によってポンプ信号40,41に変換され、ポンプ制御器37によってポンプ8,34,35を制御するのに役立つ、又は、前記ポンプに電力を供給するのに役立つ。これにより、特別なアルゴリズムにしたがってポンプを動作させて心臓収縮期中及び/又は心臓拡張期中に脈動を送出するためのSW−トリガーを実現できる。このタイプの装置及び方法は、欧州特許第2 832 383号明細書及びこの出願の対応する記載書式部分に記載される。
【0035】
図4に示される典型的な実施形態では、排出カニューレ24の端部31にスペーサ36が設けられる。このスペーサ36は、カニューレ入口31が心臓の壁17に吸い付けられることを防止する。これは、ピグテールとも称される端部31のかご状形態又は螺旋形状形態を用いて実現され得る。
【0036】
全ての典型的な実施形態において、静脈カニューレ4は、55cmの長さ、及び、19Fr〜25Frの好ましいサイズを有する。カニューレは例えば21〜25Frのサイズを有する。動脈カニューレは、38cmの長さ、及び、13Fr〜17Fr、好ましくは15〜16Frのサイズを有することが好ましい。排出カニューレは、静脈カニューレよりも小さいとともに、動脈カニューレよりも小さい。排出カニューレは、7Fr〜9Frのサイズ、及び、90cmの長さを有する。
【0037】
図5は、Y−アダプタ50の僅かに拡大された図を示し、この場合、2つのカニューレを血管内で互いに隣接させて経路付ける必要がないように排出カニューレ24をベントカニューレの形態で吐出ライン30内へ挿入できる。ベントカニューレは6,7、又は、8Frのサイズを伴って実現され、また、隣接する分岐部51は3/8”のサイズを有する。表示された大動脈53内で経路付けられるかん流カニューレのカニューレシャフト52は13,16、又は、18Frのサイズを有し、また、ベントカニューレ24が浮動態様でカニューレシャフト内に挿入される。
【0038】
図6に示される典型的な実施形態では、ベントカニューレ62及び吐出ライン63がカテーテル61の壁60内で経路付けられる。この目的のため、ベントカニューレ62は、Y−入口64内に挿入された後、吐出ライン63に隣接して経路付けられる。図示しない実施形態によれば、ベントカニューレ62は、吐出ライン63内に挿入された後、吐出ライン63内で経路付けられる。
【0039】
図7及び図8は、ベントカニューレ70を内側カニューレルーメン71内でどのように経路付けることができるのかを示す。この場合、ベントカニューレ70のための作業チャネル72がルーメン71内に設けられる。カニューレの壁は、該壁が作業チャネルを内部に配置するために十分に厚くない場合には、作業チャネル72の領域内で厚くされてもよい。
【0040】
図9図12は、排出カニューレ又はベントカニューレを患者の身体80内でどのように経路付けることができるのかを示す。カニューレの長さ及び形態は、それぞれの経路に応じて異なる。
【0041】
図9に示される例では、吸引ライン82が脚81内へ経静脈的に挿入されるとともに、吐出ライン83が脚81内へ経動脈的に挿入される。排出ライン84は他方の脚85内で経路付けられる。
【0042】
図10に示される例では、吸引ライン82が脚81内へ経静脈的に挿入されるとともに、吐出ライン83が脚81内へ経動脈的に挿入される。排出ライン84は上腕動脈内で経路付けられる。
【0043】
図11及び図12は心房中隔86を通じたアクセスを示す。この場合、ベントカニューレ84は、図11に示されるように上大静脈87を通じて経路付けられ或いは図12に示されるように下大静脈88を通じて経路付けられる。心房中隔86は心房89,90間に位置する。
【0044】
図示の実施形態は、特にポンプ容量又は出力能力が不十分である場合に、心臓を解放する。心臓拡張の増大の心筋保護効果は、心室容積の減少に起因して、特に一方又は両方のポンプの脈動EKG−トリガー動作中にかなり増大する(より低い後負荷、左心室出力能力の増大、左心室の残容積の減少)。これは、更に、冠血流にプラスの影響を与えることができるように、特に心臓拡張期中に、左心室を解放して壁張力を低下させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12