特許第6784927号(P6784927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6784927非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784927
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20201109BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20201109BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20201109BHJP
【FI】
   H01M10/0567
   H01M10/0568
   H01M10/052
【請求項の数】10
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2017-558319(P2017-558319)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2016088588
(87)【国際公開番号】WO2017111143
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年9月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-250364(P2015-250364)
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-224154(P2016-224154)
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】森中 孝敬
(72)【発明者】
【氏名】久保 誠
(72)【発明者】
【氏名】河端 渉
(72)【発明者】
【氏名】新免 益隆
(72)【発明者】
【氏名】松崎 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幹弘
【審査官】 小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102617414(CN,A)
【文献】 特開2013−51122(JP,A)
【文献】 特許第6665396(JP,B2)
【文献】 特開2016−105370(JP,A)
【文献】 特開2011−181234(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/065145(WO,A1)
【文献】 特開2016−117636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052,10/0567−10/0569
H01M 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒と溶質とを含む非水電解液電池用非水電解液において、溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を含有し、少なくとも1種の下記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩を含有するが、下記一般式[2]で示されるシラン化合物及び下記一般式[3]〜[5]で示されるイオン性錯体を含有しないことを特徴とする非水電解液電池用電解液。


[1]
[一般式[1]において、
1〜R3 は、それぞれ互いに独立して、フッ素原子、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基、炭素数が2〜10のアルケニル基、炭素数が2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数が2〜10のアルキニル基、炭素数が2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルケニルオキシ基、炭素数が6〜10のアリール基、及び、炭素数が6〜10のアリールオキシ基から選ばれる有機基であり、その有機基中にフッ素原子、酸素原子又は不飽和結合が存在することもでき、但し、R1〜R3の少なくとも1つは、フッ素原子であり、
m+は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はオニウムカチオンであり、
mは、該当するカチオンの価数と同数の整数を表す。]

Si(R4a(R54-a [2]

[一般式[2]において、
4は、それぞれ互いに独立して炭素−炭素不飽和結合を有する基であり、
5は、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、これらの基はフッ素原子及び/又は酸素原子を有していてもよく、
aは、2〜4の整数である。]

[一般式[3]において、
b+は、金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Oは、酸素原子であり、
Sは、硫黄原子であり、
6は、炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合には、分岐鎖あるいは環状構造であってもよく、又は−N(R7)−であり、このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合は、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもでき、
Yは、炭素原子又は硫黄原子であり、Yが炭素原子である場合は、rは、1であり、Yが硫黄原子である場合は、rは、1又は2であり、
bは、1又は2、oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、0、1又は2であり、pが0の場合、S−Y間に直接結合を形成する。]

[一般式[4]において、
b+は、金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Oは、酸素原子であり、
Nは、窒素原子であり、
Yは、炭素原子又は硫黄原子であり、Yが炭素原子である場合は、qは、1であり、Yが硫黄原子である場合は、qは、1又は2であり、
6は、炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であって、炭素数が3以上の場合は、分岐鎖あるいは環状構造であってもよく、又は−N(R7)−であり、このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環、ヘテロ原子又はハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表し、炭素数が3以上の場合は、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもでき、
8は、水素原子、炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であって、炭素数が3以上の場合は、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用でき、又は−N(R7)−であり、このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合は、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもでき、
bは、1又は2、oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、0又は1であり、pが、0の場合、R6の両隣に位置するYと炭素原子とが直接結合を形成し、rが0の場合は、M−N間に直接結合を形成する。]


[一般式[5]において、
Dは、ハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンから選ばれる少なくとも一つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれるいずれか1つであり
Oは、酸素原子であり、
Nは、窒素原子であり、
Yは、炭素原子又は硫黄原子であり、Yが炭素原子である場合qは1であり、Yが硫黄原子である場合qは1又は2である。
Xは、炭素原子又は硫黄原子であり、Xが炭素原子である場合rは1であり、Xが硫黄原子である場合rは1又は2である。
6は、炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用でき、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は分岐鎖あるいは環状構造をとることもでき、
9及びR10は、それぞれ独立で炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものでもよく、下記一般式[6]で規定される環状構造を有してもよく、


cは、0又は1であり、nが1の場合、cは、0(cが0の場合は、Dは存在しない)であり、nが2の場合、cは、1となり、
oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、1又は2、sは、0又は1であり、pが0の場合、Y−X間に直接結合を形成し、
sが0の場合、N(R9)(R10)とR6は、直接結合し、その際は下記の[7]〜[10]の構造をとることもでき、直接結合が二重結合となる[8]、[10]の場合、R10は、存在せず、また二重結合が環の外に出た構造を取ることもでき、この場合のR11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜10の環又はヘテロ原子もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合は、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。)

【請求項2】
前記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩が、
1〜R3が、全てフッ素原子である化合物である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項3】
前記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩が、
1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子であり、
1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子を含んでいてもよい炭素数6以下の炭化水素基から選ばれる化合物である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項4】
前記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩が、
1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子であり、
1〜R3の少なくとも1つが、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシル基、ビニル基、アリル基、アリルオキシ基、エチニル基、2−プロピニル基、2−プロピニルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチルオキシ基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルオキシ基から選ばれる化合物である、請求項1又は3に記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項5】
前記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩の対カチオンが、
リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項6】
溶質として 更に、LiPF2(C242、LiPF4(C24)、LiP(C243、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiPO22、LiN(F2PO)2、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiSO3F、NaPF2(C242、NaPF4(C24)、NaP(C243、NaBF2(C24)、NaB(C242、NaPO22、NaN(F2PO)2、NaN(FSO22、NaSO3F、NaN(CF3SO22、及びNaN(CF3SO2)(FSO2)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項7】
前記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩の添加量が、
前記非水溶媒と前記溶質と前記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩の総量に対して、
0.005〜12.0質量%の範囲である、請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項8】
更に、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,6−ジイソシアナトヘキサン、エチニルエチレンカーボネート、trans−ジフルオロエチレンカーボネート、プロパンサルトン、プロペンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、4−プロピル−1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、メチレンメタンジスルホネート、1,2−エタンジスルホン酸無水物、トリス(トリメチルシリル)ボレート、スクシノニトリル、(エトキシ)ペンタフルオロシクロトリホスファゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、フルオロベンゼン、及び、シクロヘキシルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項9】
前記非水溶媒が、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン化合物、スルホキシド化合物、及びイオン液体からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜8のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
【請求項10】
少なくとも正極と、負極と、請求項1〜9のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液とを備えた、非水電解液電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液電池に用いた場合に低温時の内部抵抗の上昇を抑制する効果と、高温時のガス発生量を抑制する効果とをバランスよく発揮できる、非水電解液電池用電解液及びそれを用いた非水電解液電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報関連機器、又は通信機器、即ちパソコン、ビデオカメラ、デジタルスチールカメラ、携帯電話等の小型機器で、かつ高エネルギー密度を必要とする用途向けの蓄電システムや電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車補助電源、電力貯蔵等の大型機器で、かつパワーを必要とする用途向けの蓄電システムが注目を集めている。その一つの候補としてリチウムイオン電池、リチウム電池、リチウムイオンキャパシタ、ナトリウムイオン電池等の非水電解液電池が盛んに開発されている。
【0003】
これらの非水電解液電池は既に実用化されているものも多いが、各特性に於いて種々の用途で満足できるものではない。特に、電気自動車等の車載用途等の場合、寒冷時期においても高い入出力特性が要求されるため、低温特性の向上が重要であり、 更に高温環境下で繰り返し充放電させた場合においてもその特性を維持する(内部抵抗の増加が少ない)といった高温サイクル特性が要求される。また、電池の軽量化のため、外装部材にアルミラミネートフィルム等のラミネートフィルムを使用するラミネート型電池が用いられることが多いが、これらの電池は電池内部のガス発生によって、膨張等による変形が生じやすいという問題がある。
【0004】
これまで非水電解液電池の高温特性及び充放電を繰り返した場合の電池特性(サイクル特性)を改善する手段として、正極や負極の活物質をはじめとする様々な電池構成要素の最適化が検討されてきた。非水電解液関連技術もその例外ではなく、活性な正極や負極の表面で電解液が分解することによる劣化を種々の添加剤で抑制することが提案されている。例えば、特許文献1には、電解液にビニレンカーボネートを添加することにより、電池特性を向上させることが提案されている。しかしながら、高温での電池特性は向上するものの内部抵抗の上昇が著しく低温特性が低下してしまうことが課題となっている。また、電解液にイミド塩を添加する検討も数多く行われており、例えば、特定のスルホンイミド塩やホスホリルイミド塩とオキサラト錯体とを組み合わせることで高温サイクル特性や高温貯蔵特性の劣化を抑制する方法(特許文献2)、特定のスルホンイミド塩とフルオロリン酸塩とを組み合わせることでサイクル特性や出力特性の劣化を抑制する方法(特許文献3)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−123867号公報
【特許文献2】特開2013−051122号公報
【特許文献3】特開2013−030465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術文献に開示されている非水電解液を用いた非水電解液電池により得られる低温特性、及び高温保存特性は、十分に満足のいくものではなく改善の余地があった。例えば、より過酷な用途では、−30℃以下の低温時の内部抵抗の上昇を抑制することや、70℃以上の高温でのガス発生量を抑制することができる非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池が求められている。
【0007】
本発明は、非水電解液電池に用いた場合に、低温時の内部抵抗の上昇を抑制する効果と、高温時のガス発生量の抑制効果とをバランスよく発揮できる、非水電解液電池用電解液及びこれを用いた非水電解液電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる問題に鑑み鋭意検討の結果、非水溶媒と溶質とを含む非水電解液電池用非水電解液において、溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を含有し、特定の構造のイミドアニオンを有する塩を電解液に含有させることにより、該電解液を非水電解液電池に用いた場合に、該非水電解液電池が、低温時の内部抵抗の上昇を抑制する効果と、高温時のガス発生量の抑制効果とをバランスよく発揮することができることを見出し、本発明に至った。
【0009】
なお、本出願人は、優れた低温出力特性を有し、かつ高温での優れたサイクル特性や貯蔵特性を発揮することができる非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池に関する発明について、特願2015−030411として出願している。当該特願2015−030411においては、下記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩と、下記一般式[2]で示されるシラン化合物とを含有する、非水電解液電池用電解液についても記載されている。

[1]

[一般式[1]中、R1〜R3 は、それぞれ互いに独立して、フッ素原子、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基、炭素数が2〜10のアルケニル基、炭素数が2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数が2〜10のアルキニル基、炭素数が2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルケニルオキシ基、炭素数が6〜10のアリール基、及び、炭素数が6〜10のアリールオキシ基から選ばれる有機基であり、その有機基中にフッ素原子、酸素原子、不飽和結合が存在することもできる。但し、R1〜R3の少なくとも1つはフッ素原子である。Mm+は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はオニウムカチオンであり、mは、該当するカチオンの価数と同数の整数を表す。]
Si(R4a(R54-a [2]
[一般式[2]中、R4は、それぞれ互いに独立して炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。R5は、それぞれ互いに独立して炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基を示し、これらの基は、フッ素原子及び/又は酸素原子を有していても良い。aは、2〜4の整数である。]
【0010】
また、本出願人は、高温耐久性を有する非水電解液電池に適した材料を含有する非水電解液電池用電解液、及びこれを用いた非水電解液電池に関する発明について、特願2015−130613として出願している。当該特願2015−130613においては、下記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩と、少なくとも1つの下記一般式[3]〜[5]で示されるイオン性錯体とを含有する、非水電解液電池用電解液についても記載されている。


[1]

[一般式[1]において、
1〜R3 は、それぞれ互いに独立して、フッ素原子、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基、炭素数が2〜10のアルケニル基、炭素数が2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数が2〜10のアルキニル基、炭素数が2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルケニルオキシ基、炭素数が6〜10のアリール基、及び、炭素数が6〜10のアリールオキシ基から選ばれる有機基であり、その有機基中にフッ素原子、酸素原子、不飽和結合が存在することもできる。
但し、R1〜R3の少なくとも1つは、フッ素原子である。Mm+は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はオニウムカチオンであり、mは、該当するカチオンの価数と同数の整数を表す。]


[一般式[3]において、
b+は、金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Oは、酸素原子であり、
Sは、硫黄原子である。
6は、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
Yは、炭素原子又は硫黄原子である。Yが炭素原子である場合、rは1である。Yが硫黄原子である場合、rは1又は2である。
bは、1又は2、oは2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、0、1又は2である。pが、0の場合、S−Y間に直接結合を形成する。]


[一般式[4]において、
b+は、金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Oは、酸素原子であり、
Nは、窒素原子である。
Yは、炭素原子又は硫黄原子であり、Yが炭素原子である場合、qは、1であり、Yが硫黄原子である場合、qは、1又は2である。
6は、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
8は、水素原子、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
bは、1又は2、oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、0又は1である。pが0の場合、R6の両隣に位置する原子同士(すなわち、Yと炭素原子)が直接結合を形成する。rが0の場合M−N間に直接結合を形成する。]


[一般式[5]において、
Dは、ハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンから選ばれる少なくとも一つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれるいずれか1つであり
Oは、酸素原子であり、
Nは、窒素原子である。
Yは、炭素原子又は硫黄原子であり、Yが炭素原子である場合、qは、1であり、Yが硫黄原子である場合、qは、1又は2である。
Xは、炭素原子又は硫黄原子であり、Xが炭素原子である場合、rは、1であり、Xが硫黄原子である場合、rは、1又は2である。
6は、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
9、R10は、それぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、下記一般式[6]の様にお互いを含む環状構造を有しても良い。


cは、0又は1であり、nが1の場合、cは、0(cが0のとき、Dは存在しない)であり、nが2の場合、cは、1となる。
oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、1又は2、sは、0又は1である。pが0の場合、Y−X間に直接結合を形成する。
sが0の場合、N(R9)(R10)とR6は直接結合し、その際、下記の[7]〜[10]のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる[8]及び[10]の場合、R10は、存在しない。また[9]の様に二重結合が環の外に出た構造を取ることも出来る。この場合のR11及びR12は、それぞれ独立で水素原子、又は炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。)

【0011】
その後の発明者らの検討により、上記の一般式[2]で示されるシラン化合物や、上記の一般式[3]〜[5]で示されるイオン性錯体を含まない非水電解液電池用非水電解液であっても、従来の電解液に比べ、低温時の内部抵抗の上昇を抑制する効果と、高温時のガス発生量の抑制効果とをバランスよく発揮することができることを見出し、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、非水溶媒と溶質とを含む非水電解液電池用非水電解液において、溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を含有し、少なくとも1種の下記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩(以降、単に「イミドアニオンを有する塩」と記載する場合がある)を含有し、下記一般式[2]で示されるシラン化合物を含有せず、下記一般式[3]〜[5]で示されるイオン性錯体を含有しない、非水電解液電池用電解液(以降、単に「非水電解液」又は「電解液」と記載する場合がある)を提供するものである。


[1]

[一般式[1]中、R1〜R3 は、それぞれ互いに独立して、フッ素原子、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基、炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルコキシ基、炭素数が2〜10のアルケニル基、炭素数が2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数が2〜10のアルキニル基、炭素数が2〜10のアルキニルオキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルキル基、炭素数が3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数が3〜10のシクロアルケニル基、炭素数が3〜10のシクロアルケニルオキシ基、炭素数が6〜10のアリール基、及び、炭素数が6〜10のアリールオキシ基から選ばれる有機基であり、その有機基中にフッ素原子、酸素原子、不飽和結合が存在することもできる。但し、R1〜R3の少なくとも1つはフッ素原子である。Mm+は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はオニウムカチオンであり、mは該当するカチオンの価数と同数の整数を表す。]

Si(R4a(R54-a [2]

[一般式[2]において、
4は、それぞれ互いに独立して炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。R5は、それぞれ互いに独立して炭素数が1〜10の直鎖あるいは分岐状のアルキル基を示し、これらの基は、フッ素原子及び/又は酸素原子を有していても良い。aは、2〜4の整数である。]


[一般式[3]において、
b+は、金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Oは、酸素原子であり、
Sは、硫黄原子である。
6は、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
Yは、炭素原子又は硫黄原子である。Yが炭素原子である場合、rは、1である。Yが硫黄原子である場合、rは、1又は2である。
bは、1又は2、oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、0、1又は2である。pが0の場合、S−Y間に直接結合を形成する。]


[一般式[4]において、
b+は、金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
Oは、酸素原子であり、
Nは、窒素原子である。
Yは、炭素原子又は硫黄原子であり、Yが炭素原子である場合、qは、1であり、Yが硫黄原子である場合、qは、1又は2である。
6は、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
8は、水素原子、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
bは、1又は2、oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、0又は1である。pが0の場合、R6の両隣に位置する原子同士(すなわち、Yと炭素原子)が直接結合を形成する。rが0の場合M−N間に直接結合を形成する。]

[一般式[5]において、
Dは、ハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンから選ばれる少なくとも一つであり、
Fは、フッ素原子であり、
Mは、13族元素(Al、B)、14族元素(Si)及び15族元素(P、As、Sb)からなる群から選ばれるいずれか1つであり
Oは、酸素原子であり、
Nは、窒素原子である。
Yは、炭素原子又は硫黄原子であり、Yが炭素原子である場合、qは、1であり、Yが硫黄原子である場合、qは、1又は2である。
Xは、炭素原子又は硫黄原子であり、Xが炭素原子である場合、rは、1であり、Xが硫黄原子である場合、rは、1又は2である。
6は、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R7)−を表す。このとき、R7は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、R7は、分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。
9及びR10は、それぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、下記一般式[6]の様にお互いを含む環状構造を有しても良い。


cは、0又は1であり、nが1の場合、cは、0(cが0のときDは存在しない)であり、nが2の場合、cは、1となる。
oは、2又は4、nは、1又は2、pは、0又は1、qは、1又は2、rは、1又は2、sは、0又は1である。pが0の場合、Y−X間に直接結合を形成する。
sが0の場合、N(R9)(R10)とR6は、直接結合し、その際は下記の[7]〜[10]のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる[8]、[10]の場合、R10は、存在しない。また[9]の様に二重結合が環の外に出た構造を取ることも出来る。この場合のR11、R12は、それぞれ独立で水素原子、又は炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。)

【0013】
なお、電解液中で「含有しない」とは、電解液総量中の一般式[2]及び一般式[3]〜[5]で示される化合物の総量の濃度が5質量ppm未満であることを意味する。電解液中の上記一般式[2]で示されるシラン化合物の濃度は、例えば、ガスクロマトグラフィーによって測定することができる。また、電解液中の上記一般式[3]〜[5]で示されるイオン性錯体の濃度は、例えば、IR(赤外分光法)によって測定することができる。
【0014】
本発明による電池特性向上の作用機構については、明確ではないが、上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩は、正極と電解液との界面、及び負極と電解液との界面において一部分解し、皮膜を形成すると考えられる。この皮膜は、非水溶媒や溶質と活物質との間の直接の接触を抑制して非水溶媒や溶質の分解を防ぎ、電池性能の劣化(抵抗の上昇やガスの発生)を抑制する。また、メカニズムは定かではないが、イミドアニオンにホスホリル部位(−P(=O)R)と、スルホン部位(−S(=O)2R)との両方を有することが重要であり、上記皮膜にホスホリル部位とスルホン部位との両方が取り込まれることで、形成した皮膜がより強固で且つリチウム導電性の高い、すなわち、抵抗の小さい皮膜(出力特性が良好な皮膜)となっていると考えられる。 更に、上記の効果は、イミドアニオンに電子吸引性の高い部位(例えば、フッ素原子や含フッ素アルコキシ基)が含まれることで電荷の偏りがより大きくなり、より抵抗の小さい皮膜(出力特性がより良好な皮膜)が形成されると考えられる。 更に、ヘキサフルオロリン酸アニオンもしくはテトラフルオロホウ酸アニオンが含まれると、これらのフッ化物を含んだ複合皮膜が形成され、高温でもより安定な皮膜が形成されると推定される。以上の理由から、本発明の非水電解液により、低温出力特性の向上効果や高温保存時のガス発生量抑制効果がバランスよく発現すると推測される。
【0015】
上記イミドアニオンを有する塩が、少なくとも1つのP−F結合又はS−F結合を有すると、優れた低温特性が得られる。上記イミドアニオンを有する塩中のP−F結合やS−F結合の数が多いほど低温特性を 更に向上することができるため好ましく、上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩において、R1〜R3 が全てフッ素原子である化合物であると、 更に好ましい。
【0016】
また、上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩において、
1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子であり、
1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子を含んでいてもよい炭素数6以下の炭化水素基から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0017】
また、上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩において、
1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子であり、
1〜R3の少なくとも1つが、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシル基、ビニル基、アリル基、アリルオキシ基、エチニル基、2−プロピニル基、2−プロピニルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチルオキシ基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシ基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルオキシ基から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0018】
上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩の対カチオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオンからなる群から選ばれることが好ましい。
【0019】
また、溶質として 更に、LiPF2(C242、LiPF4(C24)、LiP(C243、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiPO22、LiN(F2PO)2、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiSO3F、NaPF2(C242、NaPF4(C24)、NaP(C243、NaBF2(C24)、NaB(C242、NaPO22、NaN(F2PO)2、NaN(FSO22、NaSO3F、NaN(CF3SO22、及びNaN(CF3SO2)(FSO2)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有させてもよい。
【0020】
上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩の添加量が、上記非水溶媒と上記溶質と上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩の総量に対して、0.005〜12.0質量%の範囲であることが好ましい。該含有量が12.0質量%を超えると、電解液の粘度が増大し、低温時に特性が低下する恐れがあり、また、0.005質量%未満の場合、被膜の形成が不十分となり、特性向上効果が発現し難くなる恐れがある。
【0021】
上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩は、高純度であることが好ましく、特に、電解液中に溶解させる前の原料として当該イミドアニオンを有する塩中のCl(塩素)の含有量が5000質量ppm以下であることが好ましく、特には1000質量ppm以下であることが 更に好ましい。
【0022】
また、上記電解液中の遊離酸濃度が低いほど、非水電解液電池の正極活物質や集電体が腐蝕され難いため好ましい。該遊離酸濃度は、600質量ppm以下が好ましく、120質量ppm以下がより好ましい。
【0023】
上記電解液には、 更に、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,6−ジイソシアナトヘキサン、エチニルエチレンカーボネート、trans−ジフルオロエチレンカーボネート、プロパンサルトン、プロペンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、4−プロピル−1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、メチレンメタンジスルホネート、1,2−エタンジスルホン酸無水物、トリス(トリメチルシリル)ボレート、スクシノニトリル、(エトキシ)ペンタフルオロシクロトリホスファゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、フルオロベンゼン、及び、シクロヘキシルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1つの添加剤を含有させてもよい。
【0024】
また、上記非水溶媒が、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン化合物、スルホキシド化合物、及びイオン液体からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。環状カーボネートが含まれていることが 更に好ましく、特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートから選ばれる一種以上を含有させることが好ましい。
【0025】
また、本発明は、少なくとも正極と、負極と、上記の非水電解液電池用電解液とを備えた、非水電解液電池である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の電解液は、非水電解液電池に用いた場合に、低温時の内部抵抗の上昇を抑制する効果と、高温時のガス発生量の抑制効果とをバランスよく発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の一例であり、これらの具体的内容に限定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0028】
1.非水電解液電池用電解液について
本発明の非水電解液電池用電解液は、非水溶媒と溶質とを含む非水電解液電池用非水電解液において、溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を含有し、少なくとも1種の上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩を含有し、上記一般式[2]で示されるシラン化合物を含有せず、上記一般式[3]〜[5]で示されるイオン性錯体を含有しない、非水電解液電池用電解液である。
【0029】
1−1.一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩について
上記一般式[1]において、R1〜R3の少なくとも1つはフッ素原子であることが重要である。理由は定かではないが、少なくとも1つはフッ素原子でないと該電解液を用いた電池の内部抵抗を抑制する効果が十分でない。
【0030】
また、上記一般式[1]において、R1〜R3で表される、アルキル基及びアルコキシル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基等の炭素数が1〜10のアルキル基や含フッ素アルキル基、及びこれらの基から誘導されるアルコキシ基が挙げられる。
アルケニル基及びアルケニルオキシ基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、及び1,3−ブダジエニル基等の炭素数が2〜10のアルケニル基や含フッ素アルケニル基、及びこれらの基から誘導されるアルケニルオキシ基が挙げられる。
アルキニル基及びアルキニルオキシ基としては、エチニル基、2−プロピニル基、及び1,1ジメチル−2−プロピニル基等の炭素数が2〜10のアルキニル基や含フッ素アルキニル基、及びこれらの基から誘導されるアルキニルオキシ基が挙げられる。
シクロアルキル基及びシクロアルコキシ基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の炭素数が3〜10のシクロアルキル基や含フッ素シクロアルキル基、及びこれらの基から誘導されるシクロアルコキシ基が挙げられる。
シクロアルケニル基及びシクロアルケニルオキシ基としては、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等の炭素数が3〜10のシクロアルケニル基や含フッ素シクロアルケニル基、及びこれらの基から誘導されるシクロアルケニルオキシ基が挙げられる。
アリール基及びアリールオキシ基としては、フェニル基、トリル基、及びキシリル基等の炭素数が6〜10のアリール基や含フッ素アリール基、及びこれらの基から誘導されるアリールオキシ基が挙げられる。
【0031】
上記一般式[1]で表されるイミドアニオンを有する塩の陰イオンとしては、より具体的には、例えば、以下の化合物No.1〜No.18等が挙げられる。但し、本発明で用いられるイミドアニオンを有する塩は、以下の例示により何ら制限を受けるものではない。
【0032】

【0033】
上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩としては、R1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子であり、R1〜R3の少なくとも1つがフッ素原子を含んでいてもよい炭素数6以下の炭化水素基から選ばれる化合物であることが好ましい。上記炭化水素基の炭素数が6より多いと、電極上に皮膜を形成した際の内部抵抗が比較的大きい傾向がある。炭素数が6以下であると、上記の内部抵抗がより小さい傾向があるため好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、2−プロピニル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、及びこれらの基から誘導されるアルコキシ基やアルケニルオキシ基やアルキニルオキシ基から選ばれる少なくとも1つの基であると、サイクル特性及び内部抵抗特性をバランスよく発揮できる非水電解液電池が得られるため好ましい。
【0034】
上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩は、高純度であることが好ましく、特に、電解液中に溶解させる前の原料として当該イミドアニオンを有する塩中のCl(塩素)の含有量が5000質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1000質量ppm以下、 更に好ましくは100質量ppm以下である。Cl(塩素)が高濃度に残留するイミドアニオンを有する塩を用いると電池部材を腐食させてしまう傾向があるため好ましくない。
【0035】
上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩は、種々の方法により製造できる。製造法としては、限定されることはないが、例えば、以下の方法で得ることができる。
対応するリン酸アミド(H2NP(=O)R12)と、対応するスルホニルハライド(R3SO2X;Xはハロゲン原子)を有機塩基又は無機塩基の存在下で反応させる方法。
対応するスルホニルアミド(H2NSO23)と対応するホスホリルハライド(R12P(=O)X;Xはハロゲン原子)を有機塩基又は無機塩基の存在下で反応させる方法。
また、特許文献(CN101654229A、CN102617414A)で示されるように、対応するイミドアニオンを有する塩のフッ素原子の部位がフッ素原子以外のハロゲン原子であるイミドアニオンを有する塩を上記方法で得た後、フッ素化することによって得ることができる。
【0036】
本発明で用いるイミドアニオンを有する塩の添加量は、後述する非水溶媒と、後述する溶質と、上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩の総量に対して、好適な下限は0.005質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、 更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好適な上限は12.0質量%以下、好ましくは6.0質量%以下、 更に好ましくは3.0質量%以下である。
上記添加量が0.005質量%を下回ると、電池特性を向上させる効果が十分に得られ難いため好ましくない。一方、上記添加量が12.0質量%を超えると、それ以上の効果は得られずに無駄であるだけでなく、過剰な皮膜形成により抵抗が増加し電池性能の劣化を引き起こし易いため好ましくない。これらのイミドアニオンを有する塩は、12.0質量%を超えない範囲であれば一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組み合わせ、比率で混合して用いても良い。
【0037】
1−2.溶質について
本発明の非水電解液電池用電解液は、溶質として少なくともヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を含有する。
また、本発明の非水電解液電池用電解液に用いるヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩と共存させることのあるその他の溶質の種類は、特に限定されず、任意の電解質塩を用いることができる。具体例としては、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合には、LiPF2(C242、LiPF4(C24)、LiP(C243、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiPO22、LiN(F2PO)2、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiSO3F、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiC(CF3SO23、LiPF3(C373、LiB(CF34、LiBF3(C25)などに代表される電解質塩が挙げられ、ナトリウムイオン電池の場合には、NaPF2(C242、NaPF4(C24)、NaP(C243、NaBF2(C24)、NaB(C242、NaPO22、NaN(F2PO)2、NaN(FSO22、NaN(CF3SO22、NaClO4、NaAsF6、NaSbF6、NaCF3SO3、NaSO3F、NaN(C25SO22、NaN(CF3SO2)(FSO2)、NaC(CF3SO23、NaPF3(C373、NaB(CF34、NaBF3(C25)などに代表される電解質塩が挙げられる。これらの溶質は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組み合わせ、比率で混合して用いても良い。中でも、電池としてのエネルギー密度、出力特性、寿命等から考えると、LiPF2(C242、LiPF4(C24)、LiP(C243、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiPO22、LiN(F2PO)2、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiSO3F、NaPF2(C242、NaPF4(C24)、NaP(C243、NaBF2(C24)、NaB(C242、NaPO22、NaN(F2PO)2、NaN(FSO22、NaN(CF3SO22、NaSO3F、及び、NaN(CF3SO2)(FSO2)が好ましい。
【0038】
上記溶質の好適な組合せとしては、例えば、LiPF2(C242、LiPF4(C24)、LiP(C243、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiPO22、LiN(F2PO)2、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiSO3Fからなる群から選ばれる少なくとも1つと、LiPF6とを組み合わせたもの等が好ましい。
【0039】
溶質として、LiPF2(C242、LiPF4(C24)、LiP(C243、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiPO22、LiN(F2PO)2、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiSO3Fからなる群から選ばれる少なくとも1つと、LiPF6とを組み合わせて使用した場合の比率(LiPF6を1モルとしたときのモル比)は、通常、1:0.001〜1:0.5、好ましくは1:0.01〜1:0.2の範囲である。上記のような比率で溶質を組み合わせて用いると種々の電池特性を 更に向上させる効果がある。一方、1:0.5よりもLiPF6の割合が低いと電解液のイオン伝導度が低下し、抵抗が上昇してしまう傾向がある。
【0040】
これら溶質の濃度(ヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩と合わせた濃度)については、特に制限はないが、好適な下限は0.5mol/L以上、好ましくは0.7mol/L以上、 更に好ましくは0.9mol/L以上であり、また、好適な上限は2.5mol/L以下、好ましくは2.0mol/L以下、 更に好ましくは1.5mol/L以下の範囲である。0.5mol/Lを下回るとイオン伝導度が低下することにより非水電解液電池のサイクル特性、出力特性が低下する傾向があり、一方、2.5mol/Lを超えると非水電解液電池用電解液の粘度が上昇することにより、やはりイオン伝導度を低下させる傾向があり、非水電解液電池のサイクル特性、出力特性を低下させる恐れがある。
【0041】
一度に多量の上記溶質を非水溶媒に溶解すると、溶質の溶解熱のため非水電解液の温度が上昇することがある。該液温が著しく上昇すると、フッ素原子を含有するリチウム塩の分解が促進されてフッ化水素が生成する恐れがある。フッ化水素は電池性能の劣化の原因となるため好ましくない。このため、該溶質を非水溶媒に溶解する際の液温は特に限定されないが、−20〜80℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。
【0042】
1−3.非水溶媒について
本発明の非水電解液電池用電解液に用いる非水溶媒の種類は、特に限定されず、任意の非水溶媒を用いることができる。具体例としては、プロピレンカーボネート(以下、「PC」と記載する場合がある)、エチレンカーボネート(以下、「EC」と記載する場合がある)、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート(以下、「DEC」と記載する場合がある)、ジメチルカーボネート(以下、「DMC」と記載する場合がある)、エチルメチルカーボネート(以下、「EMC」と記載する場合がある)等の鎖状カーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン等の環状エステル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル(以下、「EP」と記載する場合がある)等の鎖状エステル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等の鎖状エーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン化合物やスルホキシド化合物等が挙げられる。また、非水溶媒とはカテゴリーが異なるがイオン液体等も挙げることができる。また、本発明に用いる非水溶媒は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組み合わせ、比率で混合して用いても良い。これらの中ではその酸化還元に対する電気化学的な安定性と熱や上記溶質との反応に関わる化学的安定性の観点から、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルが好ましい。
例えば、非水溶媒として、誘電率の高い環状カーボネートから1種類以上と、液粘度が低い鎖状カーボネートもしくは鎖状エステルから1種類以上とを含有すると、電解液のイオン伝導度が高まるため好ましい。具体的には、以下の組合せを含むものがより好ましい。
(1)ECとEMCの組合せ、
(2)ECとDECの組合せ、
(3)ECとDMCとEMCの組合せ、
(4)ECとDECとEMCの組合せ、
(5)ECとEMCとEPの組合せ、
(6)PCとDECの組合せ、
(7)PCとEMCの組合せ、
(8)PCとEPの組合せ、
(9)PCとDMCとEMCの組合せ、
(10)PCとDECとEMCの組合せ、
(11)PCとDECとEPの組合せ、
(12)PCとECとEMCの組合せ、
(13)PCとECとDMCとEMCの組合せ、
(14)PCとECとDECとEMCの組合せ、
(15)PCとECとEMCとEPの組合せ
【0043】
1−4.添加剤について
以上が本発明の非水電解液電池用電解液の基本的な構成についての説明であるが、本発明の要旨を損なわない限りにおいて、本発明の非水電解液電池用電解液に一般的に用いられる添加剤を任意の比率で添加しても良い。具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、フルオロベンゼン、ビニレンカーボネート(以降「VC」と記載する場合がある)、ビニルエチレンカーボネート、ジフルオロアニソール、フルオロエチレンカーボネート(以降「FEC」と記載する場合がある)、1,6−ジイソシアナトヘキサン、エチニルエチレンカーボネート、trans−ジフルオロエチレンカーボネート、プロパンサルトン、プロペンスルトン、ジメチルビニレンカーボネート、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、4−プロピル−1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、メチレンメタンジスルホネート、1,2−エタンジスルホン酸無水物、トリス(トリメチルシリル)ボレート、スクシノニトリル、(エトキシ)ペンタフルオロシクロトリホスファゼン等の過充電防止効果、負極皮膜形成効果や正極保護効果を有する化合物が挙げられる。また、上記溶質(リチウム塩、ナトリウム塩)や上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩(リチウム塩、ナトリウム塩)以外のアルカリ金属塩(ただし上記一般式[3]〜[5]で示されるイオン性錯体を除く)を添加剤として用いてもよい。具体的には、アクリル酸リチウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸リチウム、メタクリル酸ナトリウムなどのカルボン酸塩、リチウムメチルサルフェート、ナトリウムメチルサルフェート、リチウムエチルサルフェート、ナトリウムメチルサルフェートなどの硫酸エステル塩などが挙げられる。
また、リチウムポリマー電池と呼ばれる非水電解液電池に使用される場合のように非水電解液電池用電解液をゲル化剤や架橋ポリマーにより擬固体化して使用することも可能である。
【0044】
また、本発明の非水電解液電池用電解液は、要求特性に応じて、複数種類の、上記溶質(リチウム塩、ナトリウム塩)や、上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩(リチウム塩、ナトリウム塩)を併用して、アルカリ金属塩の合計を4種以上としてもよい。
例えば、4種のリチウム塩を含有する場合は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウムの溶質(以降「第1溶質」と記載する場合がある)から1種用い、LiPF4(C24)、LiPF2(C242、LiP(C243、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiPO22、LiN(F2PO)2、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiSO3F、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(FSO2)、LiC(CF3SO23、LiPF3(C373、LiB(CF34、LiBF3(C25)などの溶質(以降「第2溶質」と記載する場合がある)から1種用い、一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩として上記化合物No.1〜18などのリチウム塩から2種用いることや、
上記第1溶質から1種用い、上記第2溶質から2種用い、上記イミドアニオンを有するリチウム塩から1種用いることが考えられる。
具体的には、
(1)LiPF6と化合物No.5のリチウム塩と化合物No.6のリチウム塩とLiPF2(C242の組み合わせ、
(2)LiPF6と化合物No.1のリチウム塩と化合物No.15のリチウム塩とLiPO22の組み合わせ、
(3)LiPF6と化合物No.1のリチウム塩とLiPO22とLiN(F2PO)2の組み合わせ、
(4)LiPF6と化合物No.5のリチウム塩とLiPF2(C242とLiPO22の組み合わせ、
のように4種のリチウム塩を含有すると、低温時の内部抵抗の上昇を抑制する効果が、より大きいので好ましい。
また、必要に応じてそれら以外の上記添加剤を 更に併用添加してもよい。
更に、上記アルカリ金属塩の合計を5種以上としてもよい。例えば、5種のリチウム塩を含有する場合は、上記第1溶質から1種用い、上記第2溶質から1種用い、上記化合物No.1〜18などのリチウム塩から3種用いることや、
上記第1溶質から1種用い、上記第2溶質から2種用い、上記化合物No.1〜18などのリチウム塩から2種用いることや、
上記第1溶質から1種用い、上記第2溶質から3種用い、上記化合物No.1〜18などのリチウム塩から1種用いることが考えられる。
具体的には、
(1)LiPF6と化合物No.5のリチウム塩と化合物No.6のリチウム塩とLiPF4(C24)とLiPF2(C242との組み合わせ、
(2)LiPF6と化合物No.1のリチウム塩とLiBF2(C24)とLiPO22とLiSO3Fの組み合わせ、
(3)LiPF6と化合物No.1のリチウム塩と化合物No.6のリチウム塩とLiN(F2PO)2とLiPO22との組み合わせ、
(4)LiPF6と化合物No.5のリチウム塩とLiPF4(C24)とLiPF2(C242とLiPO22との組み合わせ、
(5)LiPF6と化合物No.5のリチウム塩とLiBF2(C24)とLiPO22とLiSO3Fの組み合わせ、
のように5種のリチウム塩を含有すると、高温時のガス発生の抑制効果が、より大きいので好ましい。また、必要に応じてそれら以外のリチウム塩(上記添加剤)を 更に併用添加してもよい。
【0045】
2.非水電解液電池について
次に本発明の非水電解液電池の構成について説明する。本発明の非水電解液電池は、上記の本発明の非水電解液電池用電解液を用いることが特徴であり、その他の構成部材には一般の非水電解液電池に使用されているものが用いられる。即ち、リチウムの吸蔵及び放出が可能な正極及び負極、集電体、セパレータ、容器等から成る。
【0046】
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、リチウム金属、リチウム金属と他の金属との合金、又は金属間化合物や種々の炭素材料(人造黒鉛、天然黒鉛など)、金属酸化物、金属窒化物、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、活性炭、導電性ポリマー等が用いられる。
炭素材料とは、例えば、易黒鉛化炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化炭素(ハードカーボン)や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解性炭素、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類にはピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られるので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。また、非晶質炭素や非晶質炭素を表面に被覆した黒鉛材料は、材料表面と電解液との反応性が低くなるため、より好ましい。
【0047】
正極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24等のリチウム含有遷移金属複合酸化物、それらのリチウム含有遷移金属複合酸化物のCo、Mn、Ni等の遷移金属が複数混合したもの、それらのリチウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の遷移金属以外の金属に置換されたもの、オリビンと呼ばれるLiFePO4、LiCoPO4、LiMnPO4等の遷移金属のリン酸化合物、TiO2、V25、MoO3等の酸化物、TiS2、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
【0048】
正極や負極材料には、導電材としてアセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、黒鉛、結着材としてポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、SBR樹脂、ポリイミド等が加えられ、シート状に成型されることにより電極シートにすることができる。
【0049】
正極と負極の接触を防ぐためのセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、紙、及びガラス繊維等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。
【0050】
以上の各要素からコイン形、円筒形、角形、アルミラミネートシート型等の形状の非水電解液電池が組み立てられる。
【0051】
また、非水電解液電池は、以下に記載するような、(ア)上記の非水電解液と、(イ)正極と、(ウ)負極と、(エ)セパレータとを備える非水電解液電池であってもよい。
上記非水電解液電池は
〔(イ)正極〕
(イ)正極は、少なくとも1種の酸化物及び/又はポリアニオン化合物を正極活物質として含むことが好ましい。
[正極活物質]
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(イ)正極を構成する正極活物質は、充放電が可能な種々の材料であれば特に限定されるものでないが、例えば、(A)ニッケル、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、(B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、(C)リチウム含有オリビン型リン酸塩、及び(D)層状岩塩型構造を有するリチウム過剰層状遷移金属酸化物から少なくとも1種を含有するものが挙げられる。
((A)リチウム遷移金属複合酸化物)
正極活物質(A)ニッケル、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物、リチウム・コバルト・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物等が挙げられる。また、これらリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部を、Al、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、B、Ba、Y、Sn等の他の元素で置換したものを用いても良い。
リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物の具体例としては、LiCoO2、LiNiO2やMg、Zr、Al、Ti等の異種元素を添加したコバルト酸リチウム(LiCo0.98Mg0.01Zr0.012、LiCo0.98Mg0.01Al0.012、LiCo0.975Mg0.01Zr0.005Al0.012等)、WO2014/034043号公報に記載の表面に希土類の化合物を固着させたコバルト酸リチウム等を用いても良い。また、特開2002−151077号公報等に記載されているように、LiCoO2粒子粉末の粒子表面の一部に酸化アルミニウムが被覆したものを用いても良い。
リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物については、一般式(1−1)で示される。
LiaNi1-b-cCob1c2 (1−1)
式(1−1)中、M1はAl、Fe、Mg、Zr、Ti、Bからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、aは0.9≦a≦1.2であり、b、cは、0.1≦b≦0.3、0≦c≦0.1の条件を満たす。
これらは、例えば、特開2009−137834号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。具体的には、LiNi0.8Co0.22、LiNi0.85Co0.10Al0.052、LiNi0.87Co0.10Al0.032、LiNi0.6Co0.3Al0.12等が挙げられる。
リチウム・コバルト・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物の具体例としては、LiNi0.5Mn0.52、LiCo0.5Mn0.52等が挙げられる。
リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物としては、一般式(1−2)で示されるリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
LidNieMnfCog2h2 (1−2)
式(1−2)中、M2はAl、Fe、Mg、Zr、Ti、B、Snからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、dは0.9≦d≦1.2であり、e、f、g及びhは、e+f+g+h=1、0≦e≦0.7、0≦f≦0.5、0≦g≦0.5、及びh≧0の条件を満たす。
リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物は、構造安定性を高め、リチウム二次電池における高温での安全性を向上させるためにマンガンを一般式(1−2)に示す範囲で含有するものが好ましく、特にリチウムイオン二次電池の高率特性を高めるためにコバルトを一般式(1−2)に示す範囲で 更に含有するものがより好ましい。
具体的には、例えば、4.3V以上に充放電領域を有する、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2、Li[Ni0.45Mn0.35Co0.2]O2、Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]O2、Li[Ni0.6Mn0.2Co0.2]O2、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Zr0.01]O2、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Mg0.01]O2等が挙げられる。
((B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物)
正極活物質(B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、一般式(1−3)で示されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。
Lij(Mn2-k3k)O4 (1−3)
式(1−3)中、M3は、Ni、Co、Fe、Mg、Cr、Cu、Al及びTiからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素であり、jは、1.05≦j≦1.15であり、kは、0≦k≦0.20である。
具体的には、例えば、LiMn24、LiMn1.95Al0.054、LiMn1.9Al0.14、LiMn1.9Ni0.14、LiMn1.5Ni0.54等が挙げられる。
((C)リチウム含有オリビン型リン酸塩)
正極活物質(C)リチウム含有オリビン型リン酸塩としては、例えば一般式(1−4)で示されるものが挙げられる。
LiFe1-n4nPO4 (1−4)
式(1−4)中、M4は、Co、Ni、Mn、Cu、Zn、Nb、Mg、Al、Ti、W、Zr及びCdから選ばれる少なくとも1つであり、nは、0≦n≦1である。
具体的には、例えば、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4等が挙げられ、中でもLiFePO4及び/又はLiMnPO4が好ましい。
((D)リチウム過剰層状遷移金属酸化物)
正極活物質(D)層状岩塩型構造を有するリチウム過剰層状遷移金属酸化物としては、例えば一般式(1−5)で示されるものが挙げられる。
xLiM52・(1−x)Li263 (1−5)
式(1−5)中、xは、0<x<1を満たす数であり、M5は、平均酸化数が3+である少なくとも1種以上の金属元素であり、M6は、平均酸化数が4+である少なくとも1種の金属元素である。式(1−5)中、M5は、好ましくは3価のMn、Ni、Co、Fe、V、Crから選ばれてなる1種の金属元素であるが、2価と4価の等量の金属で平均酸化数を3価にしてもよい。
また、式(1−5)中、M6は、好ましくは、Mn、Zr、Tiから選ばれてなる1種以上の金属元素である。具体的には、0.5[LiNi0.5Mn0.52]・0.5[Li2MnO3]、0.5[LiNi1/3Co1/3Mn1/32]・0.5[Li2MnO3]、0.5[LiNi0.375Co0.25Mn0.3752]・0.5[Li2MnO3]、0.5[LiNi0.375Co0.125Fe0.125Mn0.3752]・0.5[Li2MnO3]、0.45[LiNi0.375Co0.25Mn0.3752]・0.10[Li2TiO3]・0.45[Li2MnO3]等が挙げられる。
この一般式(1−5)で表される正極活物質(D)は、4.4V(Li基準)以上の高電圧充電で高容量を発現することが知られている(例えば、米国特許7,135,252号明細書)。
これら正極活物質は、例えば特開2008−270201号公報、WO2013/118661号公報、特開2013−030284号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
正極活物質としては、上記(A)〜(D)から選ばれる少なくとも1つを主成分として含有すればよいが、それ以外に含まれるものとしては、例えば、FeS2、TiS2、V25、MoO3、MoS2等の遷移元素カルコゲナイド、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が挙げられる。
[正極集電体]
(イ)正極は、正極集電体を有する。正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
[正極活物質層]
(イ)正極は、例えば、正極集電体の少なくとも一方の面に正極活物質層が形成される。正極活物質層は、例えば、前述の正極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、又はスチレンブタジエンゴム(SBR)樹脂等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、又は黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)等の炭素材料を用いることができる。正極においては、結晶性の低いアセチレンブラックやケッチェンブラックを用いることが好ましい。
〔(ウ)負極〕
(ウ)負極は、少なくとも1種の負極活物質を含むことが好ましい。
[負極活物質]
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(ウ)負極を構成する負極活物質としては、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能なものであり、例えば(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料、(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料、(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物、(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金、及び(I)リチウムチタン酸化物から選ばれる少なくとも1種を含有するものが挙げられる。これら負極活物質は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組合せて用いることもできる。
((E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料)
負極活物質(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類(例えば、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、有機高分子化合物焼成体(例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは黒鉛化したものでもよい。当該炭素材料は、X線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下のものであり、中でも、その真密度が1.70g/cm3以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が好ましい。
((F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料)
負極活物質(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料としては、非晶質炭素が挙げられ、これは、2000℃以上の高温で熱処理してもほとんど積層秩序が変化しない炭素材料である。例えば、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、1500℃以下で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)等が例示される。株式会社クレハ製のカーボトロン(登録商標)P等は、その代表的な事例である。
((G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物)
負極活物質(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物としては、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な、例えば、酸化シリコン、酸化スズ等が挙げられる。
Siの超微粒子がSiO2中に分散した構造を持つSiOx等がある。この材料を負極活物質として用いると、Liと反応するSiが超微粒子であるために充放電がスムーズに行われる一方で、前記構造を有するSiOx粒子自体は表面積が小さいため、負極活物質層を形成するための組成物(ペースト)とした際の塗料性や負極合剤層の集電体に対する接着性も良好である。
なお、SiOxは充放電に伴う体積変化が大きいため、SiOxと上述負極活物質(E)の黒鉛とを特定比率で負極活物質に併用することで高容量化と良好な充放電サイクル特性とを両立することができる。
((H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金)
負極活物質(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金としては、例えば、シリコン、スズ、アルミニウム等の金属、シリコン合金、スズ合金、アルミニウム合金等が挙げられ、これらの金属や合金が、充放電に伴いリチウムと合金化した材料も使用できる。
これらの好ましい具体例としては、WO2004/100293号公報や、特開2008−016424号等に記載される、例えば、ケイ素(Si)、スズ(Sn)等の金属単体(例えば、粉末状のもの)、該金属合金、該金属を含有する化合物、該金属にスズ(Sn)とコバルト(Co)とを含む合金等が挙げられる。当該金属を電極に使用した場合、高い充電容量を発現することができ、かつ、充放電に伴う体積の膨張・収縮が比較的少ないことから好ましい。また、これらの金属は、これをリチウムイオン二次電池の負極に用いた場合に、充電時にLiと合金化するため、高い充電容量を発現することが知られており、この点でも好ましい。
更に、例えば、WO2004/042851号、WO2007/083155号等の公報に記載される、サブミクロン直径のシリコンのピラーから形成された負極活物質、シリコンで構成される繊維からなる負極活物質等を用いてもよい。
((I)リチウムチタン酸化物)
負極活物質(I)リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム等を挙げることができる。
スピネル構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li4+αTi512(αは充放電反応により0≦α≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。また、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li2+βTi37(βは充放電反応により0≦β≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。これら負極活物質は、例えば特開2007−018883号公報、特開2009−176752号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、負極活物質としてハードカーボンやTiO2、V25、MoO3等の酸化物等が用いられる。例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、正極活物質としてNaFeO2、NaCrO2、NaNiO2、NaMnO2、NaCoO2等のナトリウム含有遷移金属複合酸化物、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物のFe、Cr、Ni、Mn、Co等の遷移金属が複数混合したもの、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の遷移金属以外の金属に置換されたもの、Na2FeP27、NaCo3(PO4227等の遷移金属のリン酸化合物、TiS2、FeS2等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
[負極集電体]
(ウ)負極は、負極集電体を有する。負極集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
[負極活物質層]
(ウ)負極は、例えば、負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が形成される。負極活物質層は、例えば、前述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、又はスチレンブタジエンゴム(SBR)樹脂等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、又は黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)等の炭素材料を用いることができる。
〔電極((イ)正極及び(ウ)負極)の製造方法〕
電極は、例えば、活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを所定の配合量でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水等の溶媒中に分散混練し、得られたペーストを集電体に塗布、乾燥して活物質層を形成することで得ることができる。得られた電極は、ロールプレス等の方法により圧縮して、適当な密度の電極に調節することが好ましい。
〔(エ)セパレータ〕
上記の非水電解液電池は、(エ)セパレータを備える。(イ)正極と(ウ)負極の接触を防ぐためのセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、セルロース、紙、又はガラス繊維等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。これらのフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化されているものが好ましい。
ポリオレフィンセパレ−タとしては、例えば、多孔性ポリオレフィンフィルム等の微多孔性高分子フィルムといった正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜が挙げられる。多孔性ポリオレフィンフィルムの具体例としては、例えば、多孔性ポリエチレンフィルム単独、又は多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンフィルムとを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。また、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの複合化したフィルム等が挙げられる。
〔外装体〕
非水電解液電池を構成するにあたり、非水電解液電池の外装体としては、例えば、コイン型、円筒型、角型等の金属缶や、ラミネート外装体を用いることができる。金属缶材料としては、例えば、ニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が挙げられる。
ラミネート外装体としては、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、SUS製ラミネートフィルム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルム等を用いることができる。
本実施形態にかかる非水電解液電池の構成は、特に制限されるものではないが、例えば、正極及び負極が対向配置された電極素子と、非水電解液とが、外装体に内包されている構成とすることができる。非水電解液電池の形状は、特に限定されるものではないが、以上の各要素からコイン状、円筒状、角形、又はアルミラミネートシート型等の形状の電気化学デバイスが組み立てられる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
【0053】
[実施例1−1]
非水電解液の調製条件を表1に、該電解液を用いた電池の評価結果を表2に示す。なお、表2中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35を用いて作製したラミネートセルの充放電サイクル試験後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0054】
非水溶媒としてエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートの体積比3:3:4の混合溶媒を用い、該溶媒中に溶質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように、上記イミドアニオンを有する塩として化合物No.1のリチウム塩(電解液中に溶解させる前の原料としての当該イミドアニオンを有する塩中のCl含有量は50質量ppm)を非水溶媒と溶質とイミドアニオンを有する塩の総量に対して1.0質量%の濃度となるように溶解し、非水電解液電池用電解液No.A−1を調製した。上記の調製は、液温を20〜30℃の範囲に維持しながら行った。なお、電解液中の、一般式[2]〜[5]で示される化合物の総量の濃度は5質量ppm未満であり、遊離酸濃度は45質量ppmであった。
【0055】
上記電解液を用いてLiNi1/3Co1/3Mn1/32を正極材料、黒鉛を負極材料としてセルを作製し、実際に電池のサイクル特性、内部抵抗特性を評価した。試験用セルは以下のように作製した。
【0056】
LiNi1/3Co1/3Mn1/32粉末90質量%にバインダーとして5質量%のポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」と記載する)、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、ペースト状にした。このペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより、試験用正極体とした。
また、黒鉛粉末90質量%に、バインダーとして10質量%のPVDFを混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、スラリー状にした。このスラリーを銅箔上に塗布して、120℃で12時間乾燥させることにより、試験用負極体とした。
そして、ポリエチレン製セパレータに電解液を浸み込ませてアルミラミネート外装の50mAhセルを組み立てた。
【0057】
[内部抵抗特性(−30℃)評価]
上記のセルを用いて、70℃の環境温度での充放電試験を実施した。充電、放電ともに電流密度3.5mA/cm2で行い、充電は、4.3Vに達した後、1時間4.3Vを維持、放電は、3.0Vまで行い、充放電サイクルを繰り返した。そして、300サイクル後のセルを25℃の環境温度で、電流密度0.35mA/cm2で4.3Vまで充電した後に、−30℃の環境温度で電池の内部抵抗を測定した。
【0058】
[ガス発生量評価]
上記の70℃でのサイクル試験の前後において、シリコンオイルを用いた浮力法によりセルの容積の増大量を見積もることで、ガス発生量を評価した。
【0059】
【表1】
*電解液No.A-44、A-45 は質量%
【0060】
[実施例1−2〜1−34]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.A−2〜A−34を調製し、同様に評価した。該電解液を用いた電池の評価結果を表2に示す。なお、実施例で用いたイミドアニオンを有する塩中のCl含有量は、すべて200質量ppm以下であった。また、実施例で用いた電解液中の遊離酸濃度は、すべて100質量ppm以下であった。なお、表2中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0061】
[比較例1−1〜1−3、参考例1−1、1−2]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.A−35〜A−37、A−44、及びA−45を調製し、同様に評価した。なお、比較例1−1〜1−3は、それぞれ、イミドアニオンを有する塩を含有しないか、溶質を含有しない電解液に関する実験例である。参考例1−1は一般式[2]で示される化合物を含有する電解液、また、参考例1−2は一般式[5]で示される化合物を含有する電解液に関する実験例である。該電解液を用いた電池の評価結果を表2に示す。なお、表2中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0062】
【表2】
(*比較例1−1の値を100とした場合の相対値)
【0063】
[比較例1−4、1−5]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.A−38及びA−39を調製し、同様に評価した。なお、比較例1−4、1−5は、イミドアニオンを有する塩として、それぞれ、下記の化合物No.19、No.20のリチウム塩を用いた電解液に関する実験例である。なお、比較例1−4、1−5で用いたイミドアニオンを有する塩中のCl含有量は、それぞれ、90質量ppm、20質量ppmであった。また、比較例1−4、1−5で用いた電解液中の遊離酸濃度は、それぞれ、42質量ppm、40質量ppmであった。該電解液を用いた電池の評価結果を表3に示す。なお、表3中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35(比較例1−1)を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0064】

化合物No.19 化合物No.20
【0065】
【表3】
(*比較例1−1の値を100とした場合の相対値)
【0066】
[比較例1−6]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.A−40を調製し、同様に評価した。なお、比較例1−6は、イミドアニオンを有する塩として下記の化合物No.21のリチウム塩を用いた電解液に関する実験例である。なお、比較例1−6で用いたイミドアニオンを有する塩中のCl含有量は、5質量ppmであった。また、比較例1−6で用いた電解液中の遊離酸濃度は、37質量ppmであった。該電解液を用いた電池の評価結果を表4に示す。なお、表4中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35(比較例1−1)を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0067】
化合物No.21
【0068】
【表4】
(*比較例1−1の値を100とした場合の相対値)
【0069】
[比較例1−7]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.A−41を調製し、同様に評価した。なお、比較例1−7は、イミドアニオンを有する塩として下記の化合物No.22のリチウム塩を用いた電解液に関する実験例である。なお、比較例1−7で用いたイミドアニオンを有する塩中のCl含有量は、60質量ppmであった。また、比較例1−7で用いた電解液中の遊離酸濃度は、46質量ppmであった。該電解液を用いた電池の評価結果を表5に示す。なお、表5中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35(比較例1−1)を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0070】
化合物No.22
【0071】
【表5】
(*比較例1−1の値を100とした場合の相対値)
【0072】
[比較例1−8]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.A−42を調製し、同様に評価した。なお、比較例1−8は、イミドアニオンを有する塩として下記の化合物No.23のリチウム塩を用いた電解液に関する実験例である。なお、比較例1−8で用いたイミドアニオンを有する塩中のCl含有量は、110質量ppmであった。また、比較例1−8で用いた電解液中の遊離酸濃度は、36質量ppmであった。該電解液を用いた電池の評価結果を表6に示す。なお、表6中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35(比較例1−1)を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0073】
化合物No.23
【0074】
【表6】
(*比較例1−1の値を100とした場合の相対値)
【0075】
[比較例1−9]
表1に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.A−43を調製し、同様に評価した。なお、比較例1−9は、イミドアニオンを有する塩として下記の化合物No.24のリチウム塩を用いた電解液に関する実験例である。なお、比較例1−9で用いたイミドアニオンを有する塩中のCl含有量は、20質量ppmであった。また、比較例1−9で用いた電解液中の遊離酸濃度は、39質量ppmであった。該電解液を用いた電池の評価結果を表7に示す。なお、表7中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、電解液No.A−35(比較例1−1)を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0076】
【0077】
【表7】
(*比較例1−1の値を100とした場合の相対値)
【0078】
表2の結果を比較すると、ヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を含有し、上記一般式[1]で示されるイミドアニオンを有する塩を含有する場合において、良好な内部抵抗特性を示し、 更にサイクル後のガス発生量が抑制されている。本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない場合(比較例1−1、1−2)、本発明のイミドアニオンを有する塩のみでヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を含まない場合(比較例1−3)、では、内部抵抗が比較的高く、ガス発生量も比較的多い。それに対して、本発明のイミドアニオンを有する塩とヘキサフルオロリン酸塩及び/又はテトラフルオロホウ酸塩を共に含有した場合では、良好な内部抵抗特性及びガス発生量抑制効果を示した。
【0079】
また、表3〜表7の結果から、同様の置換基を有するイミドアニオンを有する塩を比較すると、リン原子のみもしくは硫黄原子のみを含有するイミドアニオンを有する塩を用いた場合(比較例1−4〜1−7、1−9)、P−F結合、S−F結合を共に含まないイミドアニオンを有する塩を用いた場合(比較例1−6、1−8、1−9)では、内部抵抗が比較的高く、ガス発生量も比較的多い。それに対して、本発明のイミドアニオンを有する塩を含有した場合では、良好な内部抵抗特性及びガス発生量抑制効果を示した。
【0080】
[実施例2−1〜2−47、比較例2−1〜2−30]<その他溶質、添加剤を添加した場合の実験例1>
表8に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.B−1〜B−77を調製し、同様に評価した。なお、各電解液は、溶質としてLiPF6を1.0mol/L含有し、電解液中の、一般式[2]〜[5]で示される化合物の総量の濃度は5質量ppm未満である。また、実施例で用いた電解液中の遊離酸濃度は、すべて120質量ppm以下であった。
該電解液を用いた電池の評価結果を表9に示す。なお、表9中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0081】
【表8】

【0082】
【表9】
【0083】
【0084】
*実施例2−1〜2−6、比較例2−1、2−2では、比較例2−1の値を100とした場合の相対値
実施例2−7、2−8、比較例2−3では、比較例2−3の値を100とした場合の相対値
実施例2−9〜2−10、比較例2−4では、比較例2−4の値を100とした場合の相対値
実施例2−11〜2−12、比較例2−5では、比較例2−5の値を100とした場合の相対値
実施例2−13〜2−14、比較例2−6では、比較例2−6の値を100とした場合の相対値
実施例2−15〜2−16、比較例2−7、2−8では、比較例2−8の値を100とした場合の相対値
実施例2−17〜2−18、比較例2−9では、比較例2−9の値を100とした場合の相対値
実施例2−19〜2−20、比較例2−10では、比較例2−10の値を100とした場合の相対値
実施例2−21〜2−22、比較例2−11では、比較例2−11の値を100とした場合の相対値
実施例2−23〜2−24、比較例2−12では、比較例2−12の値を100とした場合の相対値
実施例2−25〜2−26、比較例2−13では、比較例2−13の値を100とした場合の相対値
実施例2−27〜2−28、比較例2−14では、比較例2−14の値を100とした場合の相対値
実施例2−29〜2−30、比較例2−15、2−16では、比較例2−16の値を100とした場合の相対値
実施例2−31〜2−32、比較例2−17では、比較例2−17の値を100とした場合の相対値
実施例2−33〜2−34、比較例2−18では、比較例2−18の値を100とした場合の相対値
実施例2−35〜2−36、比較例2−19では、比較例2−19の値を100とした場合の相対値
実施例2−37、比較例2−20では、比較例2−20の値を100とした場合の相対値
実施例2−38、比較例2−21では、比較例2−21の値を100とした場合の相対値
実施例2−39、比較例2−22では、比較例2−22の値を100とした場合の相対値
実施例2−40、比較例2−23では、比較例2−23の値を100とした場合の相対値
実施例2−41、比較例2−24では、比較例2−24の値を100とした場合の相対値
実施例2−42、比較例2−25では、比較例2−25の値を100とした場合の相対値
実施例2−43、比較例2−26では、比較例2−26の値を100とした場合の相対値
実施例2−44、比較例2−27では、比較例2−27の値を100とした場合の相対値
実施例2−45、比較例2−28では、比較例2−28の値を100とした場合の相対値
実施例2−46、比較例2−29では、比較例2−29の値を100とした場合の相対値
実施例2−47、比較例2−30では、比較例2−30の値を100とした場合の相対値
【0085】
以上のように、LiPF6に加えて、 更にその他の溶質や添加剤を電解液に含有させたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いたラミネートセルの内部抵抗特性、ガス発生量は、それぞれの対応する比較例に比べて優れていることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、その他の溶質や添加剤の種類によらず、優れた内部抵抗特性、ガス発生量抑制効果を示す非水電解液電池を得られることが示された。
【0086】
[実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−4]<負極体を変更した場合の実験例>
実施例1−1で用いた負極体と電解液を、表10に示すように変更した構成の電池を、実施例1−1と同様に評価した。なお、負極活物質がLi4Ti512である負極体は、Li4Ti512粉末90質量%に、バインダーとして5質量%のPVDF、導電剤としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を2.7V、放電終止電圧を1.5Vとした。なお、実施例3−1〜3−4、及び比較例3−1〜3−4において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0087】
[実施例4−1〜4−5、比較例4−1〜4−5]<負極体を変更した場合の実験例>
実施例1−1で用いた負極体と電解液を、表10に示すように変更した構成の電池を、実施例1−1と同様に評価した。なお、負極活物質が黒鉛(ケイ素含有)である負極体は、黒鉛粉末80質量%に、ケイ素粉末10質量%、バインダーとして10質量%のPVDFを混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧と放電終止電圧は実施例1−1と同様とした。なお、実施例4−1〜4−5、及び比較例4−1〜4−5において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0088】
[実施例5−1〜5−4、比較例5−1〜5−4]<負極体を変更した場合の実験例>
実施例1−1で用いた負極体と電解液を、表10に示すように変更した構成の電池を、実施例1−1と同様に評価した。なお、負極活物質がハードカーボンである負極体は、ハードカーボン90質量%に、バインダーとして5質量%のPVDF、導電剤としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストを銅箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し、電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を2.2Vとした。なお、実施例5−1〜5−4、及び比較例5−1〜5−4において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値であ
【0089】
【表10】
【0090】
*実施例3−1、3−2、比較例3−1、3−2では、比較例3−1の値を100とした場合の相対値
実施例3−3、3−4、比較例3−3、3−4では、比較例3−3の値を100とした場合の相対値
実施例4−1〜4−3、比較例4−1〜4−3では、比較例4−1の値を100とした場合の相対値
実施例4−4、4−5、比較例4−4、4−5では、比較例4−4の値を100とした場合の相対値
実施例5−1、5−2、比較例5−1、5−2では、比較例5−1の値を100とした場合の相対値
実施例5−3、5−4、比較例5−3、5−4では、比較例5−3の値を100とした場合の相対値
【0091】
[実施例6−1〜6−4、比較例6−1〜6−4]<正極体を変更した場合の実験例>
実施例1−1で用いた正極体と電解液を、表11に示すように変更した構成の電池を、実施例1−1と同様に評価した。なお、正極活物質がLiCoO2である正極体は、LiCoO2粉末90質量%にバインダーとして5質量%のPVDF、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を3.0Vとした。なお、実施例6−1〜6−4、及び比較例6−1〜6−4において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0092】
[実施例7−1〜7−4、比較例7−1〜7−4]<正極体を変更した場合の実験例>
実施例1−1で用いた正極体と電解液を、表11に示すように変更した構成の電池を、実施例1−1と同様に評価した。なお、正極活物質がLiNi0.8Co0.15Al0.052である正極体は、LiNi0.8Co0.15Al0.052粉末90質量%にバインダーとして5質量%のPVDF、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を3.0Vとした。なお、実施例7−1〜7−4、及び比較例7−1〜7−4において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0093】
[実施例8−1〜8−4、比較例8−1〜8−4]<正極体を変更した場合の実験例>
実施例1−1で用いた正極体と電解液を、表11に示すように変更した構成の電池を、実施例1−1と同様に評価した。なお、正極活物質がLiMn24である正極体は、LiMn24粉末90質量%にバインダーとして5質量%のPVDF、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を3.0Vとした。なお、実施例8−1〜8−4、及び比較例8−1〜8−4において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0094】
[実施例9−1〜9−4、比較例9−1〜9−4]<正極体を変更した場合の実験例>
実施例1−1で用いた正極体と電解液を、表11に示すように変更した構成の電池を、実施例1−1と同様に評価した。なお、正極活物質がLiFePO4である正極体は、非晶質炭素で被覆されたLiFePO4粉末90質量%にバインダーとして5質量%のPVDF、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.1V、放電終止電圧を2.5Vとした。なお、実施例9−1〜9−4、及び比較例9−1〜9−4において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0095】
【表11】
【0096】
*実施例6−1、6−2、比較例6−1、6−2では、比較例6−1の値を100とした場合の相対値
実施例6−3、6−4、比較例6−3、6−4では、比較例6−3の値を100とした場合の相対値
実施例7−1、7−2、比較例7−1、7−2では、比較例7−1の値を100とした場合の相対値
実施例7−3、7−4、比較例7−3、7−4では、比較例7−3の値を100とした場合の相対値
実施例8−1、8−2、比較例8−1、8−2では、比較例8−1の値を100とした場合の相対値
実施例8−3、8−4、比較例8−3、8−4では、比較例8−3の値を100とした場合の相対値
実施例9−1、9−2、比較例9−1、9−2では、比較例9−1の値を100とした場合の相対値
実施例9−3、9−4、比較例9−3、9−4では、比較例9−3の値を100とした場合の相対値
【0097】
上記のように、負極活物質として、Li4Ti512、黒鉛(ケイ素含有)、ハードカーボンを用いたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いたラミネートセルの内部抵抗特性、ガス発生量は、それぞれの対応する比較例に比べて優れていることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、負極活物質の種類によらず、優れた内部抵抗特性、ガス発生量抑制効果を示す非水電解液電池を得られることが示された。
【0098】
また、上記のように、正極活物質として、LiCoO2、LiNi0.8Co0.15Al0.052、LiMn24、LiFePO4を用いたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いたラミネートセルの内部抵抗特性、ガス発生量は、それぞれの対応する比較例に比べて優れていることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、正極活物質の種類によらず、優れた内部抵抗特性、ガス発生量抑制効果を示す非水電解液電池を得られることが示された。
【0099】
[実施例10−1]
非水溶媒としてプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートの体積比2:2:6の混合溶媒を用い、該溶媒中に、溶質としてNaPF6を1.0mol/Lの濃度となるように、上記イミドアニオンを有する塩として化合物No.1のナトリウム塩(電解液中に溶解させる前の原料としての当該イミドアニオンを有する塩中のCl含有量は10質量ppm)を非水溶媒と溶質とイミドアニオンを有する塩の総量に対して1.0質量%の濃度となるように溶解し、表12に示すように非水電解液電池用電解液を調製した。なお、電解液中の遊離酸濃度は12質量ppmであった。上記の調製は、液温を25℃に維持しながら行った。
【0100】
この電解液を用いてNaFe0.5Co0.52を正極材料、ハードカーボンを負極材料とした以外は実施例1−1と同様にセルの作製を行い、実施例1−1と同様に電池の評価を実施した。なお、正極活物質がNaFe0.5Co0.52である正極体は、NaFe0.5Co0.52粉末90質量%にバインダーとして5質量%のPVDF、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製し電池評価の際の充電終止電圧を3.8V、放電終止電圧を1.5Vとした。評価結果を表13に示す。
【0101】
[実施例10−2〜10−18、比較例10−1〜10−9]
表12に示すように、溶質の種類と濃度及びイミドアニオンを有する塩の種類と濃度を変えたこと以外は実施例10−1と同様に非水電解液電池用電解液を調製し、セルを作製し、電池の評価を実施した。なお、実施例で用いた電解液中の遊離酸濃度は、すべて50質量ppm以下であった。評価結果を表13に示す。なお、実施例10−1〜10−18、及び比較例10−1〜10−9において、電池の内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0102】
【表12】
【0103】
【表13】
【0104】
*実施例10−1〜10−6、比較例10−1〜10−3では、比較例10−1の値を100とした場合の相対値
実施例10−7〜10−12、比較例10−4、10−5では、比較例10−4の値を100とした場合の相対値
実施例10−13、10−14、比較例10−6では、比較例10−6の値を100とした場合の相対値
実施例10−15、10−16、比較例10−7では、比較例10−7の値を100とした場合の相対値
実施例10−17、10−18、比較例10−8、10−9では、比較例10−8の値を100とした場合の相対値
【0105】
表13の結果から、ナトリウムイオン電池においても、電解液に本発明のイミドアニオンを有する塩を添加した実施例は、該塩を添加していない比較例に対し、良好な内部抵抗特性およびガス発生量抑制効果を確認できた。
【0106】
本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない場合(比較例10−1、10−4、10−6、10−7、10−8)、リン原子のみもしくは硫黄原子のみを含有するイミドアニオンを有する塩を用いた場合(比較例10−2、10−3、10−5、10−9)では、内部抵抗が比較的高く、ガス発生量も比較的多い。それに対して、本発明のイミドアニオンを有する塩とヘキサフルオロリン酸塩を共に含有した場合では、良好な内部抵抗特性及びガス発生量抑制効果が確認された。
【0107】
また、NaPF6に加えて、 更にその他の溶質や添加剤を電解液に含有させたいずれの実施例においても、本発明のイミドアニオンを有する塩を添加した実施例では、本発明のイミドアニオンを有する塩を添加していない比較例に対し、内部抵抗特性およびガス発生量抑制効果が向上しており、同様の効果が得られることが確認された。
【0108】
[実施例11−1〜11−21、比較例11−1〜11−19]<その他溶質、添加剤を添加した場合の実験例2>
表14に示す非水電解液の調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.D−1〜D−40を調製し、同様に評価した。なお、各電解液は、溶質としてLiPF6を1.0mol/L含有し、電解液中の、一般式[2]〜[5]で示される化合物の総量の濃度は5質量ppm未満である。また、実施例で用いた電解液中の遊離酸濃度は、すべて120質量ppm以下であった。なお、正極活物質がLiNi0.6Co0.2Mn0.22である正極体は、LiNi0.6Co0.2Mn0.22粉末90質量%にバインダーとして5質量%のPVDF、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.35V、放電終止電圧を3.0Vとした。また、正極活物質がLiNi0.6Co0.2Mn0.22+LiMn24である正極体は、LiNi0.6Co0.2Mn0.22粉末60質量%とLiMn24粉末30質量%を混合し、バインダーとして5質量%のPVDF、導電材としてアセチレンブラックを5質量%混合し、 更にN−メチルピロリドンを添加し、得られたペーストをアルミニウム箔上に塗布して、乾燥させることにより作製した。電池評価の際の充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を3.0Vとした。
上記の電解液や電極を用いた電池の評価結果を表15に示す。なお、表15中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0109】
【表14】



【0110】
【表15】

【0111】
(*実施例11−1〜11−14は、それぞれ、比較例11−1〜11−14の値を100とした場合の相対値、
実施例11−15は、比較例11−1の値を100とした場合の相対値、
実施例11−16は、比較例11−2の値を100とした場合の相対値、
実施例11−17は、比較例11−15の値を100とした場合の相対値、
実施例11−18は、比較例11−16の値を100とした場合の相対値、
実施例11−19は、比較例11−17の値を100とした場合の相対値、
実施例11−20は、比較例11−18の値を100とした場合の相対値、
実施例11−21は、比較例11−19の値を100とした場合の相対値)
【0112】
以上のように、LiPF6に加えて、 更にその他の溶質や添加剤を電解液に含有させ、リチウム塩の合計を3種乃至4種以上としたいずれの実施例においても、本発明の非水電解液電池用電解液を用いたラミネートセルの内部抵抗特性、ガス発生量は、それぞれの対応する比較例に比べて優れていることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、その他の溶質や添加剤の種類によらず、優れた内部抵抗特性、ガス発生量抑制効果を示す非水電解液電池を得られることが示された。
【0113】
[実施例12−1〜12−6、比較例12−1〜12−6]<異なる非水溶媒を用いた場合の実験例>
溶質と非水溶媒の基本組成等を表16に示す調製条件に従う以外は実施例1−1と同様の手順で非水電解液No.E−1〜E−12を調製し、同様に評価した。なお、各電解液中の、一般式[2]〜[5]で示される化合物の総量の濃度は5質量ppm未満である。また、実施例で用いた電解液中の遊離酸濃度は、すべて120質量ppm以下であった。該電解液を用いた電池の評価結果を表17に示す。なお、表17中の電池の−30℃内部抵抗特性及びガス発生量のそれぞれの値は、本発明のイミドアニオンを有する塩を含まない電解液を用いて作製したラミネートセルのサイクル後の内部抵抗、及びサイクル試験に伴うガス発生量をそれぞれ100としたときの相対値である。
【0114】
【表16】
【0115】
【表17】
【0116】
(*実施例12−1〜12−6は、それぞれ、比較例12−1〜12−6の値を100とした場合の相対値)
【0117】
以上のように、異なる種類の非水溶媒を用いたとしても、本発明に係る非水電解液電池用電解液を用いたラミネートセルの内部抵抗特性、ガス発生量は、それぞれの対応する比較例に比べて優れていることが確認された。したがって、本発明の非水電解液電池用電解液を用いることで、非水溶媒の種類によらず、優れた内部抵抗特性、ガス発生量抑制効果を示す非水電解液電池を得られることが示された。
【0118】
表18に、電解液として電解液No.A−1,A−15,A−35を使用し、各正極体、各負極体を変更した場合の結果を示す。
【0119】
【表18】
【0120】
*実施例3−1、3−2は、比較例3−1の値を100とした場合の相対値
*実施例1−1、1−15は、比較例1−1の値を100とした場合の相対値
*実施例5−1、5−2は、比較例5−1の値を100とした場合の相対値
*実施例8−1、8−2は、比較例8−1の値を100とした場合の相対値
*実施例9−1、9−2は、比較例9−1の値を100とした場合の相対値
【0121】
<負極体による効果の比較>
負極活物質に負極電位の貴なLi4Ti512を使用した実施例3−1、3−2と比較して、負極電位の卑な負極活物質を使用した実施例1−1、1−15、実施例5−1、5−2のそれぞれの結果から、本発明の非水電解液電池用電解液を用いた非水電解液電池は、負極電位が1.5V(Li/Li+)未満の負極活物質を使用した非水電解液電池において、より優れた内部抵抗特性、ガス発生量抑制効果が得られることが示された。
【0122】
<正極体による効果の比較>
正極活物質にスピネル構造であるLiMn24を使用した実施例8−1、8−2、オリビン型構造であるLiFePO4を使用した実施例9−1、9−2と比較して、層状岩塩型構造である活物質を使用した実施例1−1、1−15のそれぞれの結果から、本発明の非水電解液電池用電解液を用いた非水電解液電池は、層状岩塩型構造である正極活物質を使用した非水電解液電池において、より優れた内部抵抗特性、ガス発生量抑制効果が得られることが示された。