(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6784930
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】動力伝達機構
(51)【国際特許分類】
B60K 6/36 20071001AFI20201109BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20201109BHJP
B60K 6/383 20071001ALI20201109BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20201109BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20201109BHJP
B60L 9/18 20060101ALN20201109BHJP
【FI】
B60K6/36
B60K6/48ZHV
B60K6/383
B60L50/16
B60L15/20 S
B60L15/20 K
!B60L9/18 P
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-92617(P2019-92617)
(22)【出願日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】森本 孝之
(72)【発明者】
【氏名】國松 幸平
(72)【発明者】
【氏名】中川 栄一
【審査官】
神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2017/056813(WO,A1)
【文献】
特開2018−069801(JP,A)
【文献】
特開2012−030775(JP,A)
【文献】
特開2014−065480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00〜20/50
B60K 6/20〜 6/547
B60L 1/00〜 3/12
B60L 7/00〜13/00
B60L 15/00〜58/40
B60K 17/00〜17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1動力源と第2動力源を含む少なくとも2つの動力源と、第1入出力軸を含む少なくとも1つの入出力軸と、第1減速機構と第2減速機構とを含む2つの減速機構と、第1クラッチと第2クラッチとを含む少なくとも2つのクラッチとを備えた動力伝達機構であって、
前記第1クラッチと前記第2クラッチが、ワンウェイクラッチであり、
第1減速機構と第2減速機構が、第1回転中心軸線と第2回転中心軸線を含む少なくとも2つの共通する回転中心軸線を有し、
前記第1動力源が、前記第1回転中心軸線上で前記第1減速機構の高速側に結合され、
前記第2動力源が、前記第2回転中心軸線上で前記第2減速機構の高速側に結合され、
前記第1入出力軸が、前記第1回転中心軸線上で前記第2減速機構の低速側に結合され、
前記第1減速機構の高速側が、前記第1回転中心軸線上で前記第2減速機構の低速側と前記第1クラッチを介して結合され、
前記第1減速機構の低速側が、前記第2回転中心軸線上で前記第2減速機構の高速側と前記第2クラッチを介して結合されていることを特徴とする動力伝達機構。
【請求項2】
前記2つの減速機構の少なくとも1つが、スプロケットとチェーンから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達機構。
【請求項3】
前記少なくとも2つの動力源が、少なくとも1つの電動モーターを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動力伝達機構。
【請求項4】
前記少なくとも2つの動力源が、少なくとも1つの内燃機関を含むことを特徴とする請求項3に記載の動力伝達機構。
【請求項5】
前記第2動力源が、前記第2回転中心軸線上で前記第2減速機構の高速側に第3クラッチを介して結合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の動力伝達機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1動力源と第2動力源を含む少なくとも2つの動力源と、第1入出力軸を含む少なくとも1つの入出力軸と、第1減速機構と第2減速機構とを含む2つの減速機構、第1クラッチと第2クラッチと含む少なくとも2つのクラッチとを備えた動力伝達機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリット自動車の動力伝達機構のように、内燃機関や電気モーター等の複数の動力源を有し、複数の減速機構、クラッチを介して入出力軸の駆動や回生等を行う動力伝達機構が周知である。
動力伝達機構の複数の動力源、減速機構、クラッチの配置、例えば、多段の遊星歯車機構を備えた複雑なものから、複数の駆動源を同軸に連結した単純なものまで、様々な構造のものが提案されており、複数の動力源、減速機構、クラッチの制御方法についても構造に関連して様々なものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のような、構造、制御を簡素化し、エンジンとモーター(電動機)以外の制御を不要とした、ハイブリッド自動車の動力伝達機構が知られている。
特許文献1に記載(特許文献1の
図1参照)の動力伝達機構は、第1モーター(16)とエンジン(20)との間に差動ギヤ部(22)が介在し、この差動ギヤ部(22)とエンジン(20)との間には第1ワンウェイクラッチ(26)が配置され、差動ギヤ部(22)内には第2ワンウェイクラッチ(28)が配置されている。
【0004】
差動ギヤ部(22)は、第1ワンウェイクラッチ(26)を介してエンジン(20)と連結される第1駆動ピニオン傘歯車(32)と、一側が第2ワンウェイクラッチ(28)を介してこの第1駆動ピニオン傘歯車(32)と連結され他側は前記第1モーター(16)に連結される第2駆動ピニオン傘歯車(34)と、この第1、第2駆動ピニオン傘歯車(32、34)に噛み合って作動する第1、第2従動傘歯車(36、38)と、この第1、第2従動傘歯車(36、38)を結合して、第1、第2駆動ピニオン傘歯車(32、34)の動力を前記従減速ギヤ(24)に伝達するキャリア(40)とからなる。
従減速ギヤ(24)の回転が車軸(30)に伝達されるとともに、車軸(30)には第2モーター(18)が連結されている。
【0005】
第1ワンウェイクラッチ(26)は、エンジン(20)の回転のうち第1駆動ピニオン傘歯車(32)が時計方向へ回転する動力のみが伝達され、第2ワンウェイクラッチ(28)は、第2駆動ピニオン傘歯車(34)の回転のうち第1駆動ピニオン傘歯車(32)が時計方向へ回転する動力のみが伝達されるように構成される。
第1モーター(16)の駆動によって第2駆動ピニオン傘歯車(34)を時計方向に回転させた場合、この動力は第1駆動ピニオン傘歯車(32)までのみ伝達されるがエンジン(20)には伝達されない。
エンジン(20)は時計方向に回転し、第1モーター(16)よりも速く回転した場合、動力は第1駆動ピニオン傘歯車(32)までのみ伝達され第2駆動ピニオン傘歯車(34)と第1モーター(16)までは伝達されない。
第1モーター(16)、エンジン(20)、第2モーター(18)を制御することで、駆動、回生を多様に制御することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4355444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1で公知の動力伝達機構は、エンジンとモーター(電動機)の回転により、直接、差動ギヤ部(22)を回転させるため、第1、第2従動傘歯車(36、38)がキャリアに自転可能に保持されながら高速で公転することとなる。
このように高速回転する差動ギヤ部(22)で正確な差動動作を行わせるため、剛性や強度を充分に確保する必要があり、小型化することが難しいという問題があった。
また、減速機構が差動機構のみのため、減速比を大きくしようとすると、装置を小型化するのが困難となるという問題があった。
また、高速回転し、かつ、小型化が難しい差動ギヤ部(22)は、回転慣性力が大きく、回転数の変化に対するレスポンスが低くなるという問題があった。
また、第1モーター(16)とエンジン(20)との両方で駆動している際には、第1駆動ピニオン傘歯車(32)と第2駆動ピニオン傘歯車と第1従動傘歯車(36)と第2従動傘歯車が相対回転しないため、同じ歯が噛み合う状態が続くことでギヤ歯面の偏摩耗が発生し耐久性が劣るという問題があった。
【0008】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、小型化が容易であり、かつ、レスポンスに優れた動力伝達機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の動力伝達機構は、第1動力源と第2動力源を含む少なくとも2つの動力源と、第1入出力軸を含む少なくとも1つの入出力軸と、第1減速機構と第2減速機構とを含む2つの減速機構と、第1クラッチと第2クラッチとを含む少なくとも2つのクラッチとを備えた動力伝達機構であって、
第1クラッチと前記第2クラッチが、ワンウェイクラッチであり、第1減速機構と第2減速機構が、第1回転中心軸線と第2回転中心軸線を含む少なくとも2つの共通する回転中心軸線を有し、前記第1動力源が、前記第1回転中心軸線上で前記第1減速機構の高速側に結合され、前記第2動力源が、前記第2回転中心軸線上で前記第2減速機構の高速側に結合され、前記第1入出力軸が、前記第1回転中心軸線上で前記第2減速機構の低速側に結合され、前記第1減速機構の高速側が、前記第1回転中心軸線上で前記第2減速機構の低速側と前記第1クラッチを介して結合され、前記第1減速機構の低速側が、前記第2回転中心軸線上で前記第2減速機構の高速側と前記第2クラッチを介して結合されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1にかかる発明の動力伝達機構は、第1減速機構と第2減速機構が、第1回転中心軸線と第2回転中心軸線を含む少なくとも2つの共通する回転中心軸線を有し、第1動力源が、前記第1回転中心軸線上で前記第1減速機構の高速側に結合され、前記第2動力源が、前記第2回転中心軸線上で前記第2減速機構の高速側に結合され、前記第1入出力軸が、前記第1回転中心軸線上で前記第2減速機構の低速側に結合され、前記第1減速機構の高速側が、前記第1回転中心軸線上で前記第2減速機構の低速側と前記第1クラッチを介して結合され、前記第1減速機構の低速側が、前記第2回転中心軸線上で前記第2減速機構の高速側と前記第2クラッチを介して結合されていることにより、動力源、入出力軸及びクラッチが、2つの回転中心軸線上に集約され、コンパクトに配置することが可能となり、小型化が容易となる。
また、減速機構を2つ有することで、小型で大きな減速比を得ることが可能となる。
また、2つの回転中心軸線を平行に配置することで、減速機構を簡単な構成で実現できるため小型化が可能で、回転慣性力も小さくできレスポンスに優れたものとすることが可能となる。
さらに、減速機構は常に相対回転しているので、摩耗が均一化され耐久性を向上できる。
また、第1クラッチと前記第2クラッチが、ワンウェイクラッチでありことにより、外部からのクラッチ制御を行うことなく動力源の回転制御のみで動力配分の制御が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の構成によれば、2つの減速機構の少なくとも1つが、スプロケットとチェーンから構成されていることにより、2つの回転中心軸線の軸間距離を自由に設定でき、動力源及び入出力軸の配置の自由度が向上する
。
請求項3に記載の構成によれば、少なくとも2つの動力源が、少なくとも1つの電動モーターを含むことにより、駆動制御のレスポンスが向上するとともに、制動時の回生制御も可能となる。
請求項4に記載の構成によれば、少なくとも2つの動力源が、少なくとも1つの内燃機関を含むことにより、ハイブリット自動車の動力伝達機構に適用することができる。
請求項5に記載の構成によれば、
第2動力源が、前記第2回転中心軸線上で前記
第2減速機構の
高速側に第3クラッチを介して結合されていることにより、動力伝達機構自体を大型化したり、複雑化することなく、3つの動力源を用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る動力伝達機構100の説明図。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る動力伝達機構100の動作説明図。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る動力伝達機構200の説明図。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る動力伝達機構200の動作説明図。
【
図5】本発明の第2実施形態の第1変形例に係る動力伝達機構200Bの説明図。
【
図6】本発明の第2実施形態の第2変形例に係る動力伝達機構200Cの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の動力伝達機構について、図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施形態に係る動力伝達機構100は、
図1に示すように、第1動力源121、第2動力源122と、第1入出力軸141と、第1減速機構111、第2減速機構112と、第1クラッチ131、第2クラッチ132とを備えている。
第1減速機構111と第2減速機構112は、第1回転中心軸線101と第2回転中心軸線102の2つの共通する回転中心軸線を有している。
【0014】
第1減速機構111は、高速側に第1回転中心軸線101上のスプロケット151と、低速側に第2回転中心軸線102上のスプロケット152とを有し、スプロケット151とスプロケット152との間にチェーンが掛け回されて構成されている。
第2減速機構112は、高速側に第2回転中心軸線102上のスプロケット154と、低速側に第1回転中心軸線101上のスプロケット155とを有し、スプロケット154とスプロケット155との間にチェーンが掛け回されて構成されている。
【0015】
第1動力源121はインバータ回路124で駆動される電動モーターで構成され、第1回転中心軸線101上で第1減速機構111の高速側に結合されている。
第2動力源122はインバータ回路125で駆動される電動モーターで構成され、第2回転中心軸線102上で第2減速機構112の高速側に結合されている。
インバータ回路124、125は、制御装置103によって制御される。
第1入出力軸141は、第1回転中心軸線101上で第2減速機構112の低速側に結合されている。
第1減速機構111の高速側は、第1回転中心軸線101上で第2減速機構112の低速側と第1クラッチ131を介して結合され、第1減速機構111の低速側は、第2回転中心軸線102上で第2減速機構112の高速側と第2クラッチ132を介して結合されている。
【0016】
第1クラッチ131は、第2減速機構112の低速側から第1減速機構111の高速側に向けてのトルクのみを伝達するワンウェイクラッチで構成されている。
このことで、第1減速機構111の高速側の回転速度が第2減速機構112の低速側の回転速度以上の場合、トルクの伝達はない。
第2クラッチ132は、第1減速機構111の低速側から第2減速機構112の高速側に向けてのトルクのみを伝達するワンウェイクラッチで構成されている。
このことで、第2減速機構112の高速側の回転速度が第1減速機構111の低速側の回転速度以上の場合、トルクの伝達はない。
なお、ワンウェイクラッチとして、正逆両方向の回転で一方からのトルク伝達のみを行うもの(「双方向ワンウェイクラッチ」、「ツーウェイクラッチ」等と称される)を採用することで、動力伝達の作用が正逆いずれの回転でも同じとなる。
【0017】
以上のように構成された動力伝達機構100の動作について説明する。
第1動力源121を駆動して第1入出力軸141に回転トルクを伝達する場合、
図2のFIG2Aに示すように、第1動力源121の駆動力は、第1減速機構111の高速側−第1減速機構111の低速側−第2クラッチ132−第2減速機構112の高速側−第2減速機構112の低速側−第1入出力軸141の順に伝達される。
この時、第2減速機構112の高速側と第2動力源122が連結されているため、第2動力源122にもトルクは伝わるが、第2動力源122をアイドル状態としておくことで、駆動力の消費はない。
また、第2動力源122も回転数を合わせて駆動することで、第1動力源121の駆動力を補強することも可能である。
【0018】
第2動力源122を駆動して第1入出力軸141に回転トルクを伝達する場合、
図2のFIG2Bに示すように、第2動力源122の駆動力は、第2減速機構112の高速側−第2減速機構112の低速側−第1入出力軸141の順に伝達される。
この時、第2減速機構112の低速側の回転は、第1クラッチ131を介して第1減速機構111の高速側に伝達されるため、第1動力源121にもトルクは伝わるが、第1動力源121をアイドル状態としておくことで、駆動力の消費はない。
【0019】
第1入出力軸141の回転トルクを第1動力源121や第2動力源122に伝達する場合、
図2のFIG2Cに示すように、第1入出力軸141の回転は、第2減速機構112の低速側−第1クラッチ131−第1減速機構111の高速側−第1動力源121の順に伝達されるとともに、第2減速機構112の低速側−第2減速機構112の高速側−第2動力源122の順に伝達される。
この時、第1動力源121や第2動力源122のいずれか、あるいは両方で発電することで、第1入出力軸141の回転に対して制動をかけることができる。
これらの動作は、制御装置103によって第1動力源121及び第2動力源122の駆動・回生を制御するだけでよく、その他の機構を動作させる行う必要はない。
【0020】
本発明の第2実施形態に係る動力伝達機構200は、内燃機関の駆動を電動モーターによりアシストし、制動時に回生するのに好適な実施形態であり、
図3に示すように、第2動力源222が内燃機関で構成され、インバータ回路を有していないことを除き、第1実施形態の動力伝達機構100と同じ構成であるため、説明を省略する(符号は、下2桁が同じで200番台を使用した。)。
【0021】
動力伝達機構200の動作について説明する。
第2動力源222の内燃機関のみを駆動して第1入出力軸241に回転トルクを伝達する場合、
図4のFIG4Aに示すように、内燃機関である第2動力源222の駆動力は、第2減速機構212の高速側−第2減速機構212の低速側−第1入出力軸241の順に伝達される。
この時、第2減速機構212の低速側の回転は、第1クラッチ231を介して第1減速機構211の高速側に伝達されるため、電動モーターである第1動力源221にもトルクは伝わる。
電動モーターである第1動力源221をアイドル状態としておくことで、駆動力の消費はなく、内燃機関である第2動力源222の駆動力に余裕がある場合は、電動モーターである第1動力源221で発電を行ってもよい。
【0022】
電動モーターである第1動力源221を駆動し、内燃機関である第2動力源222の駆動力をアシストして第1入出力軸241に回転トルクを伝達する場合、
図4のFIG4Bに示すように、第1動力源221の駆動力は、第1減速機構211の高速側−第1減速機構211の低速側−第2クラッチ232−第2減速機構212の高速側−第2減速機構212の低速側−第1入出力軸241の順に伝達される。
この時、第2減速機構212の高速側と第2動力源222が連結されているため、第2動力源222の回転数と合わせるように制御して駆動することで、電動モーターである第1動力源221の駆動力により、内燃機関である第2動力源222の駆動力をアシストすることが可能となる。
【0023】
第1入出力軸241の回転を制動する場合、
図4のFIG4Cに示すように、第1入出力軸241の回転は、第2減速機構212の低速側−第2減速機構212の高速側−第2動力源222の順に伝達され、内燃機関である第2動力源222によるエンジンブレーキにより制動する。
また、第2減速機構212の低速側−第1クラッチ231−第1減速機構211の高速側−第1動力源221の順にも伝達されるため、電動モーターである第1動力源221で発電することで、さらに制動力をアシストすることが可能となる。
【0024】
本発明の第2実施形態の第1変形例に係る動力伝達機構200Bは、
図5に示すように、内燃機関である第2動力源222と第2減速機構212の高速側との間に第3クラッチ233を挿入し、内燃機関である第2動力源222から第2減速機構212の高速側への回転のみを伝達するよう構成したものであり、他の構成は第2実施形態の動力伝達機構200と同じ構成である。
この第1変形例に係る動力伝達機構200Bによれば、第1入出力軸241の回転の制動は電動モーターである第1動力源221の発電によってのみ行われ、エンジンブレーキによるエネルギーのロスを少なくすることが可能となる。
【0025】
これらの動作は、制御装置203によって第1動力源221の駆動・回生を制御するだけでよく、その他の機構を動作させる必要はない。
なお、第1クラッチ231や第2クラッチ232を制御装置203によってオンオフや滑り操作を可能に構成することで、さらに細かい制御を行ってもよい。
【0026】
本発明の第2実施形態の第2変形例に係る動力伝達機構200Cは、
図6に示すように、インバータ回路226で駆動される電動モーターからなる第3動力源223を、第2回転中心軸線202上で第1減速機構211の低速側に結合したものであり、他の構成は第2実施形態の第1変形例に係る動力伝達機構200Bと同じ構成である。
この第1変形例に係る動力伝達機構200Bによれば、電動モーターからなる第1動力源221と電動モーターからなる第3動力源223が第1減速機構211の高速側と低速側に直結され、異なる回転数で常に同時に回転することなる。
このことで、制御装置203によって、駆動・回生を2つの電動モーターに最適配分することが可能となり、駆動効率、回生効率のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0027】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、各実施形態では、各クラッチをワンウェイクラッチとし、外部からの制御を行うことなく、様々なモードに切り替わるように構成されているが、制御装置103によってオンオフや滑りの制御が可能なクラッチを採用し、さらに多彩なモードの切り替えを可能としたり、円滑なモード移行を可能としてもよい。
【0028】
また、各実施形態では、電動モーターからなる動力源をインバータ回路で駆動されるものとしたが、いかなる形式の電動モーターであってもよい。
さらに、各実施形態では、減速機構をチェーン伝動機構としたが、ベルト、歯車、油圧等、いかなる伝動機構であってもよく、それらを組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
100、200 ・・・ 動力伝達機構
101、201 ・・・ 第1回転中心軸線
102、202 ・・・ 第2回転中心軸線
103、203 ・・・ 制御装置
111、211 ・・・ 第1減速機構
112、212 ・・・ 第2減速機構
121、221 ・・・ 第1動力源
122、222 ・・・ 第2動力源
223 ・・・ 第3動力源
124、224 ・・・ インバータ回路(第1動力源の)
125、 ・・・ インバータ回路(第2動力源の)
226 ・・・ インバータ回路(第2動力源の)
131、231 ・・・ 第1クラッチ
132、232 ・・・ 第2クラッチ
233 ・・・ 第3クラッチ
141、241 ・・・ 第1入出力軸
151、251 ・・・ スプロケット(第1減速機構の高速側)
152、252 ・・・ スプロケット(第1減速機構の低速側)
154、254 ・・・ スプロケット(第2減速機構の高速側)
155、255 ・・・ スプロケット(第2減速機構の低速側)
【要約】
【課題】簡単な構成で、小型化が容易であり、かつ、レスポンスに優れた動力伝達機構を提供すること。
【解決手段】2つの減速機構が少なくとも2つの共通する回転中心軸線を有し、第1動力源121が第1回転中心軸線101上で第1減速機構111の高速側に結合され、第2動力源122が第2回転中心軸線102上で第2減速機構112の高速側に結合され、第1入出力軸141が第1回転中心軸線101上で第2減速機構112の低速側に結合され、第1減速機構111の高速側が第1回転中心軸線101上で第2減速機構112の低速側と第1クラッチ131を介して結合され、第1減速機構111の低速側が第2回転中心軸線102上で第2減速機構112の高速側と第2クラッチ132を介して結合されていること。
【選択図】
図1