(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電部材は、前記センサ本体の前方を覆うとともに、前記投光素子と前記受光素子との間の部分と対向する位置に設けられた溝部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の吐水装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、受光素子の前方から入射する電磁ノイズを簡単な構成で抑制した吐水装置及び光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、水を吐出する吐水口を有する吐水部と、給水源から前記吐水口に水を導く給水路と、前記給水路を開閉する開閉弁と、検出光を投光し、前記検出光の反射光を受光し、前記反射光の受光量に対応した受信信号を出力する光電センサと、前記受信信号を基に対象物の有無を検出し、前記対象物の検出結果に応じて前記開閉弁の開閉を制御する制御部と、を備え、前記光電センサは、前記検出光を投光する投光素子と、前記反射光を受光する受光素子と、を有するセンサ本体と、シート状に形成され、前記受光素子の前方を覆うとともに、前記検出光及び前記反射光に対する光透過性と導電性とを有し、前記センサ本体の基準電位と導通された導電部材と、
前記センサ本体を囲む導電性のシールド部材であって、前記センサ本体の前記基準電位と導通されたシールド部材と、を有
し、前記シールド部材は、折り曲げ可能であり、前記導電部材と導通する導通部を有し、前記導通部は、前記シールド部材の前端を内側に折り曲げて形成され、前記導電部材と導通することを特徴とする吐水装置である。
【0010】
この吐水装置によれば、導電部材により、受光素子の前方から入射する電磁ノイズを抑制することができる。また、シート状の導電部材を受光素子の前方に配置するだけでよく、構成が複雑になることを抑制することもできる。従って、受光素子の前方から入射する電磁ノイズを簡単な構成で抑制した吐水装置を提供することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記光電センサは
、前記センサ本体を保持する内部ケース
をさらに有し、前記シールド部材は、
前記センサ本体及び前記内部ケースを囲み、前記導通部は、前記導電部材と導通する舌片部
であることを特徴とする吐水装置である。
【0012】
この吐水装置によれば、センサ本体に電磁ノイズが入射することを、シールド部材によって抑制することができる。また、舌片部を設けることにより、導電部材とシールド部材とを簡単な構成で導通させることができる。例えば、導電部材とシールド部材とをハンダ付けや配線をすることなく導通させることができる。つまり、シールド部材は、電磁ノイズの入射を抑制するだけでなく、導通部材を基準電位に導通させるための役割も果たしており、1つの部材で2つの役割を果たしている。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記内部ケースの外面には、前記舌片部を収納する凹部が設けられていることを特徴とする吐水装置である。
【0014】
この吐水装置によれば、内部ケースの外面に凹部を設けることにより、舌片部が内部ケースの外面よりも突出することを抑制し、光電センサ全体の大きさが大きくなることを抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記光電センサは、前記受光素子を囲み、導電性と、前記検出光と前記反射光とに対する遮光性と、を有する筒体をさらに有し、前記筒体は、前記センサ本体の基準電位と導通され、前記センサ本体とともに前記内部ケースに保持され、前記シールド部材は、前記筒体をさらに囲むことを特徴とする吐水装置である。
【0016】
この吐水装置によれば、受光素子に入射する電磁ノイズをより抑制することができる。さらに、筒体は遮光性を有しているため、投光素子から投光された光の一部が乱反射して受光素子に直接入射することを抑制することができる。
【0017】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、前記導電部材は、弾力性と導電性とを有する弾力体を介して前記基準電位と導通され、前記弾力体
の少なくとも一部は、
前方から見た状態において、前記投光素子と前記受光素子との間に設けられることを特徴とする吐水装置である。
【0018】
この吐水装置によれば、弾力体により、導電部材をより確実に基準電位と導通させることができる。導電部材を接触を介して基準電位に導通させる場合、導電部材と接触部材との接触面積はできるだけ広くした方が望ましいが、導電部材と接触する接触部材の形状や素材によっては接触面積を広くとることが難しく、実質的に1点接触となり、接触状態が不安定になることが懸念される。例えば、基準電位との導通にシールド部材を用いた場合、導電部材とシールド部材が共に完全に平らな面となっていれば接触面積は広くとることが可能であるが、実際には完全に平らな面を形成することは困難であり、僅かな歪みや表面の粗さが発生してしまう。そうなると、一見すると両者が導通されているようにみえても、実質上は1点接触となっており、振動や温度変化などでその導通が遮断されてしまうことがある。そこで、弾力性のある弾力体を用いることで、接触面積を広くとることが可能となり、より確実に導電部材を基準電位に導通させておくことが可能となる。また、弾力体を投光素子と受光素子との間に設けることにより、投光素子から受光素子に向かう乱反射光を、弾力体によって遮ることができる。投光素子から投光された光の一部が、乱反射して受光素子に直接入射することを抑制することができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、前記弾力体は、前記受光素子を前記前方から見た状態において、前記受光素子を囲うことを特徴とする吐水装置である。
【0020】
この吐水装置によれば、投光素子又は外部からの乱反射光などが意図せず受光素子に入射してしまうことを、より抑制することができる。
【0021】
第7の発明は、第5又は第6の発明において、前記導電部材及び前記弾力体の一方は、導電性の粘着層を有し、前記粘着層を介して導通されることを特徴とする吐水装置である。
【0022】
この吐水装置によれば、導電部材と弾力体との組み立て性を向上させることができる。また、導電部材と弾力体とをより確実に接触させることができる。導電部材と弾力体とをより確実に導通させることができる。
【0023】
第8の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つにおいて、前記導電部材は、前記受光素子の前方のみを覆うことを特徴とする吐水装置である。
【0024】
この吐水装置によれば、導電部材の透過にともなう検出光の減衰を抑制し、より高い強度の検出光を外部に投光することができる。導電部材の透過率は100%であることが理想であるが、実質的には100%にすることは難しく、検出光は導電部材を透過することによって発光強度が低下する。ところで、シールド性が強く求められる箇所は受光素子と受光回路周辺であり、投光素子の周辺はシールドされていなくても光電センサとしてのシールド性は十分となる場合もある。その場合、投光素子の前方を導電部材でシールドする必要性は低くなり、受光素子の前方のみをシールドしておけばよい。つまり、光電センサとしてのシールド耐性は保持しつつ、より高い強度の検出光を外部に投光することができる。
【0025】
第9の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つにおいて、前記導電部材は、前記センサ本体の前方を覆うとともに、前記投光素子を露出させる開口部を有することを特徴とする吐水装置である。
【0026】
この吐水装置によれば、導電部材の透過にともなう検出光の減衰を抑制し、より高い強度の検出光を外部に投光することができる。導電部材の透過率は100%であることが理想であるが、実質的には100%にすることは難しく、検出光は導電部材を透過することによって発光強度が低下する。ところで、シールド性が強く求められる箇所は受光素子と受光回路周辺であり、投光素子の周辺はシールドされていなくても光電センサとしてのシールド性は十分となる場合もある。その場合、投光素子の前方を導電部材でシールドする必要性は低くなり、受光素子の前方のみをシールドしておけばよい。つまり、光電センサとしてのシールド耐性は保持しつつ、より高い強度の検出光を外部に投光することができる。
【0027】
第10の発明は、第1〜第9の発明のいずれか1つにおいて、前記導電部材は、光透過性の基板部と、前記基板部の一方の面に設けられた光透過性の導電膜と、を有し、前記導電部材を前記前方から見た形状は、前記導電膜を前記受光素子側に向けた場合と、前記導電膜を前記受光素子と反対側を向けた場合と、で異なることを特徴とする吐水装置である。
【0028】
この吐水装置によれば、基板部の一方の面のみに導電膜を設けた場合において、導電部材の取り付けの向きを一義的に決め、組み立て性をより向上させることができる。導電部材が逆向きに取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0029】
第11の発明は、第1〜第10の発明のいずれか1つにおいて、前記光電センサは、前記導電部材の前方に設けられた偏光部材をさらに有することを特徴とする吐水装置である。
【0030】
この吐水装置によれば、鏡面反射光の入射にともなう誤吐水を抑制することができる。
【0031】
第12の発明は、第11の発明において、前記偏光部材は、前記導電部材と一体に形成されていることを特徴とする吐水装置である。
【0032】
この吐水装置によれば、部品点数を減らし、組み立て性を向上させることができる。
【0033】
第13の発明は、第1〜第7の発明のいずれか1つにおいて、前記導電部材は、前記センサ本体の前方を覆うとともに、前記投光素子と前記受光素子との間の部分と対向する位置に設けられた溝部を有することを特徴とする吐水装置である。
【0034】
この吐水装置によれば、導電部材において乱反射した光が受光素子に入射することを、溝部によって抑制することができる。投光素子から投光された光の一部が、乱反射して受光素子に直接入射することを抑制することができる。
【0035】
第14の発明は、第2の発明において、前記内部ケースは、前記投光素子と前記受光素子との間に延びる前面と、前記前面に設けられた溝部と、を有することを特徴とする吐水装置である。
【0036】
この吐水装置によれば、導電部材において乱反射した光が受光素子に入射することを、溝部によって抑制することができる。投光素子から投光された光の一部が、乱反射して受光素子に直接入射することを抑制することができる。
【0037】
第15の発明は、第3の発明において、前記内部ケースは、前記投光素子と前記受光素子との間に延びる前面を有し、前記凹部は、前記前面に設けられていることを特徴とする吐水装置である。
【0038】
この吐水装置によれば、舌片部が内部ケースの前面よりも突出し、光電センサ全体の大きさが大きくなることを抑制しつつ、導電部材において乱反射した光が受光素子に入射することを、凹部によって抑制することができる。
【0039】
第16の発明は、検出光を投光する投光素子と、前記検出光の反射光を受光する受光素子と、を有し、前記反射光の受光量に対応した受信信号を出力するセンサ本体と、シート状に形成され、前記受光素子の前方を覆うとともに、前記検出光及び前記反射光に対する光透過性と導電性とを有し、前記センサ本体の基準電位と導通された導電部材と、
前記センサ本体を囲む導電性のシールド部材であって、前記センサ本体の前記基準電位と導通されたシールド部材と、を備え
、前記シールド部材は、折り曲げ可能であり、前記導電部材と導通する導通部を有し、前記導通部は、前記シールド部材の前端を内側に折り曲げて形成され、前記導電部材と導通することを特徴とする光電センサである。
【0040】
この光電センサによれば、導電部材により、受光素子の前方から入射する電磁ノイズを抑制することができる。また、シート状の導電部材を受光素子の前方に配置するだけでよく、構成が複雑になることを抑制することもできる。従って、受光素子の前方から入射する電磁ノイズを簡単な構成で抑制した光電センサを提供することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の態様によれば、受光素子の前方から入射する電磁ノイズを簡単な構成で抑制した吐水装置及び光電センサが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる水栓装置を表す説明図である。
図1に表したように、水栓装置10(吐水装置)は、対象物(人体や物体等)を検出して自動的な吐止水を行うものであり、洗面台に備え付けられる洗面器11に対して吐止水を行う。
【0044】
洗面器11は、洗面カウンタ12の上面に設けられる。洗面カウンタ12の上には、洗面器11のボウル面11aに対して水を吐出するためのスパウトを構成する水栓13(吐水部)が設けられる。水栓13は、水を吐出する吐水口13aを有し、この吐水口13aから吐出される水が洗面器11のボウル面11a内に吐出されるように設けられる。
【0045】
水栓13が吐水口13aから吐出する水は、給水路14により供給される。給水路14は、水道管等の給水源から供給される水を吐水口13aへと導く。洗面器11には、排水路15が接続されている。排水路15は、吐水口13aから洗面器11のボウル面11a内に吐水された水を排出する。
【0046】
水栓装置10は、電磁弁16(開閉弁)と、光電センサ18と、制御部20とを備える。光電センサ18は、制御部20と分離されている。光電センサ18は、例えば、水栓13の内部に収容される。光電センサ18は、例えば、水栓13の先端部において吐水口13aの上方に設けられる。
【0047】
電磁弁16及び制御部20は、例えば、洗面台の下側に収容される。電磁弁16及び制御部20は、例えば、洗面カウンタ12の下方に設けられるキャビネット(図示は省略)内に収容される。
【0048】
光電センサ18と制御部20とは、接続ケーブル17で接続されている。制御部20は、例えば、接続ケーブル17を介して光電センサ18に電源電圧を供給し、接続ケーブル17を介して光電センサ18を制御する。
【0049】
電磁弁16は、給水路14に設けられ、給水路14の開閉を行う。電磁弁16が開くと、給水路14から供給された水が吐水口13aから吐出される吐水状態となり、電磁弁16が閉じると、給水路14から供給された水が吐水口13aから吐出されない止水状態となる。
【0050】
電磁弁16は、制御部20に接続されており、制御部20は、電磁弁16を駆動して開/閉動作を制御する。電磁弁16は、制御部20からの制御信号に従って電気的に制御され、給水路14の開閉を行う。このように、電磁弁16は、吐水口13aから吐水される水の給水路14を開閉する給水バルブとして機能する。
【0051】
電磁弁16は、いわゆるラッチング・ソレノイド・バルブと称される自己保持型電磁弁(ラッチ式電磁弁)であり、ソレノイドコイルへの一方向への通電によって閉状態から開状態に動作(開動作)し、その後ソレノイドコイルへの通電を遮断しても開状態を保持し、ソレノイドコイルへの他方向への通電によって開状態から閉状態に動作(閉動作)し、その後ソレノイドコイルへの通電を遮断しても閉状態を保持する。給水路14の開閉は、電磁弁16に限ることなく、制御部20の制御に応じて給水路14を開閉可能な他の開閉弁機構で行ってもよい。
【0052】
光電センサ18は、吐水口13aに接近する対象物(手など)を検出する。この吐水口13aの吐水先が、光電センサ18の検出領域となる。光電センサ18は、検出光を投光し、人体等の対象物から反射した検出光の反射光を受光することにより、対象物の位置や動き等を検出する。
【0053】
光電センサ18は、例えば、赤外光を検出光として投光する。検出光は、例えば、可視光などでもよい。なお、「赤外光」とは、例えば、0.7μm以上1000μm以下の波長の光である。
【0054】
光電センサ18は、水栓13の吐水口13a近くの内部に設けられ、洗面台の使用者側(
図1において左側)に向けて検出光を投光するように配置される。これにより、光電センサ18は、吐水口13aに人体が近づいてきたことや、吐水口13aに近づいた人体から吐水口13aに向けて手が差し出されたこと等を検出可能にする。
【0055】
光電センサ18は、反射光の受光量に応じた受信信号を接続ケーブル17を介して制御部20に入力する。制御部20は、光電センサ18から入力された受信信号に基づいて、対象物の有無を検出する。制御部20は、例えば、受信信号に基づいて、対象物の位置や動き等を検出する。そして、制御部20は、この検出結果に基づいて電磁弁16の開/閉動作を制御する。また、制御部20は、光電センサ18に対して制御信号を出力して、光電センサ18のセンシング動作を制御する。
【0056】
以上のように、本実施形態の水栓装置10は、電磁弁16と、光電センサ18と、制御部20とを備え、光電センサ18の受信信号に基づいて制御部20が制御することにより、電磁弁16の開/閉動作が制御される。これにより、吐水口13aに接近する対象物の検出結果(洗面台の使用者の動き等)に応じた吐水を行う。制御部20は、対象物の感知に応じて吐水を行い、対象物の非感知に応じて吐水を停止させる。すなわち、水栓装置10では、使用者が吐水口13aの近くに手などを差し出している間、自動的に吐水が行われる。
【0057】
また、光電センサ18は常に動作しているのではなく、センシングを必要とするタイミングに動作をするように、制御部20が制御している。これにより、光電センサ18の消費電力を下げることができる。制御部20は、例えば、使用者が不便に感じない程度に光電センサ18のセンシング動作の頻度を下げる。これにより、水栓装置10全体の低消費電力化を図ることができる。
【0058】
図2は、第1の実施形態にかかる光電センサを表す分解斜視図である。
図2に表したように、光電センサ18は、センサ本体30と、筒体32と、内部ケース34と、シールド部材36と、弾力体38と、導電部材40と、偏光板42(偏光部材)と、センサケース44と、を有する。
【0059】
センサ本体30は、基板50と、投光素子52と、受光素子54と、を有する。投光素子52及び受光素子54は、基板50に実装されている。また、基板50には、例えば、投光素子52を駆動する投光回路や、受光素子54を駆動する受光回路などが設けられている。
【0060】
投光素子52は、検出光を投光する。投光素子52は、例えば、非偏光(自然光)の赤外光を投光する。投光素子52には、例えば、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子が用いられる。投光素子52は、前方に向けて検出光を投光する。以下では、投光素子52が検出光を投光する方向を「前方」とし、これと反対の方向を「後方」とする。
【0061】
受光素子54は、反射光を受光する。受光素子54は、前方から入射する反射光を受光可能に設けられる。受光素子54は、例えば、投光素子52と並べて設けられ、投光素子52と実質的に同じ方向を向く。すなわち、受光素子54は、前方を向いて設けられる。受光素子54の光軸は、投光素子52の光軸と略平行である。これにより、対象物などで反射し、前方から後方に向かって進行する反射光が、受光素子54に入射する。受光素子54には、例えば、赤外光に感度を有するフォトトランジスタやフォトダイオードが用いられる。センサ本体30は、反射光の受光量に対応した受信信号を制御部20に出力する。
【0062】
筒体32は、前後方向に延びる筒状である。受光素子54は、筒体32に挿通される。これにより、筒体32は、受光素子54を囲む。筒体32は、前後方向を軸とする軸周りに受光素子54を囲む。換言すれば、筒体32は、受光素子54の側方を囲む。
【0063】
筒体32は、導電性を有する。筒体32には、例えば、銅やアルミニウムなどの金属材料が用いられる。筒体32は、例えば、金属パイプである。従って、筒体32は、検出光及び反射光に対して遮光性を有する。筒体32は、センサ本体30の基準電位(例えば、グランド電位)と導通される。換言すれば、筒体32は、センサ本体30の基準電位と実質的に同電位に設定される。筒体32は、例えば、受光素子54を囲んだ状態で基板50にハンダ付けされ、基板50の基準電位のパターンと電気的に接続されることにより、センサ本体30の基準電位と導通される。
【0064】
内部ケース34は、センサ本体30を保持する。また、この例において、内部ケース34は、筒体32をセンサ本体30とともに保持する。内部ケース34は、例えば、絶縁性である。また、内部ケース34は、例えば、投光素子52の投光する検出光に対して遮光性を有する。内部ケース34には、例えば、黒色の樹脂材料が用いられる。
【0065】
内部ケース34は、例えば、センサ本体30及び筒体32の形状に対応して形成され、後方に向かって開口した内部空間を有する。内部ケース34は、後方側からセンサ本体30及び筒体32を内部空間に挿通することにより、センサ本体30及び筒体32を保持する。
【0066】
また、内部ケース34は、前方を向く前面34aと、前面34aに設けられた一対の開口34b、34cと、を有する。開口34bは、内部空間に挿通された投光素子52を前方に露出させる。開口34cは、内部空間に挿通された受光素子54を前方に露出させる。これにより、開口34bを介して検出光が内部ケース34内から出射し、開口34cを介して反射光が内部ケース34内に入射する。
【0067】
シールド部材36は、センサ本体30及び内部ケース34を囲む。この例において、シールド部材36は、筒体32をさらに囲む。シールド部材36は、前後方向に延びる筒状である。シールド部材36は、前後方向を軸とする軸周りに、センサ本体30、内部ケース34、及び筒体32を囲む。また、シールド部材36は、各部を囲んだ状態において、開口34b、34cを露出させる。すなわち、シールド部材36は、投光素子52及び受光素子54を前方に露出させる。
【0068】
シールド部材36は、導電性を有する。シールド部材36には、例えば、銅やアルミニウムなどの金属材料が用いられる。従って、シールド部材36は、検出光及び反射光に対して遮光性である。シールド部材36は、板金でもよいし、内部ケース34の周面に巻き付けられる金属テープなどでもよい。
【0069】
シールド部材36は、センサ本体30の基準電位と導通される。シールド部材36は、例えば、ハンダ付けや配線などにより、基板50の基準電位のパターンと電気的に接続されることにより、センサ本体30の基準電位と導通される。
【0070】
このように、センサ本体30をシールド部材36で囲む。これにより、前後方向と直交する方向からのセンサ本体30への電磁ノイズの入射が抑制される。また、この例では、シールド部材36内において、筒体32が受光素子54のみをさらに囲む。これにより、受光素子54に入射する電磁ノイズをより抑制することができる。
【0071】
また、シールド部材36は、折り曲げ部36aを有する。折り曲げ部36aは、シールド部材36の後端から後方に向かって延びる。折り曲げ部36aは、内部ケース34をシールド部材36で囲んだ後に折り曲げられることにより、受光素子54の後方を覆う。これにより、後方から受光素子54に入射する電磁ノイズも抑制することができる。
【0072】
なお、シールド部材36のみで十分な電磁シールド性を得られる場合には、筒体32及び折り曲げ部36aは、省略してもよい。このように、筒体32及び折り曲げ部36aは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0073】
さらに、シールド部材36はセンサ本体30を完全に囲う必要はなく、十分な電磁シールド性を得られる範囲であれば、部分的に囲う部分が無くてもよい。例えば、シールド性が強く求められる箇所は受光素子54と受光回路周辺であり、投光素子52の周辺はシールドされていなくても光電センサ18としてのシールド性は十分となる場合もある。その場合は、投光素子54の周辺がシールド部材36で囲われていなくても問題ない。つまり、光電センサ18のシールド性が保つことができる範囲内で、センサ本体30がシールド部材36で囲われていればよい。
【0074】
また、シールド部材36は、舌片部36bを有する。舌片部36bは、シールド部材36の前端に設けられ、内側に折り曲げられている。舌片部36bは、例えば、シールド部材36が内部ケース34を囲んだ状態において、内部ケース34の前面34aに接触する。舌片部36bは、開口34b、34cと重ならない位置に配置される。舌片部36bは、例えば、前方から見た状態において、開口34b、34cの間に設けられる。換言すれば、舌片部36bは、前方から見た状態において、投光素子52と受光素子54との間に設けられる。
【0075】
弾力体38は、弾力性と導電性とを有する。弾力体38は、例えば、スポンジ状であり、厚さ方向において弾力を有する。換言すれば、弾力体38は、クッション性を有するクッション電極である。弾力体38には、例えば、導電性不織布が用いられる。弾力体38は、例えば、導電性ゴムや導電性バネなどでもよい。
【0076】
この例において、弾力体38の形状は、内部ケース34の前面34aの形状と実質的に同じである。弾力体38は、内部ケース34の前面34a及びシールド部材36の舌片部36bに接触する。これにより、弾力体38は、シールド部材36を介してセンサ本体30の基準電位と導通される。
【0077】
弾力体38は、一対の開口38a、38bを有する。開口38aは、内部ケース34の開口34b及び投光素子52を前方に露出させる。開口38bは、内部ケース34の開口34c及び受光素子54を前方に露出させる。換言すれば、弾力体38は、開口38aにより、前方から見た状態において、投光素子52を囲む。弾力体38は、開口38bにより、前方から見た状態において、受光素子54を囲む。
【0078】
弾力体38の一部は、前方から見た状態において、投光素子52と受光素子54との間に設けられている。弾力体38の形状は、上記に限ることなく、前方から見た状態において、少なくとも一部が投光素子52と受光素子54との間に設けられる任意の形状でよい。弾力体38は、例えば、投光素子52と受光素子54との間の部分のみに設けられる形状でもよい。
【0079】
導電部材40は、シート状に形成され、受光素子54の前方を覆う。この例において、導電部材40の形状は、内部ケース34の前面34aの形状と実質的に同じである。これにより、導電部材40は、センサ本体30全体の前方を覆う。導電部材40は、弾力体38の前方に設けられ、弾力体38を介して内部ケース34の前面34aの上に設けられる。
【0080】
導電部材40は、検出光及び反射光に対する光透過性と、導電性と、を有する。導電部材40は、例えば、透明である。換言すれば、導電部材40は、透明電極である。投光素子52から投光された検出光は、導電部材40を透過して前方に進行し、反射光は、導電部材40を透過して受光素子54に入射する。導電部材40には、例えば、ITO(Indium-Titanium-Oxide)などが用いられる。導電部材40の材料は、光透過性と導電性とを有する任意の材料でよい。例えば、光透過性を有する樹脂上に金属ワイヤーを格子状に形成したものを導電部材40として用いてもよい。導電部材40は、少なくとも一部に光透過性を有していればよく、一部に遮光性の部分を有していてもよい。
【0081】
導電部材40は、弾力体38に接触する。これにより、導電部材40は、弾力体38及びシールド部材36の舌片部36bを介してセンサ本体30の基準電位と導通される。このように、シールド部材36の舌片部36bは、導電部材40との導通に用いられる。
【0082】
この例では、導電部材40とシールド部材36の舌片部36bとの間に、弾力体38が設けられる。これにより、例えば、導電部材40と舌片部36bとの密着性を高めることができる。例えば、導電部材40をより確実に基準電位と導通させることができる。導電部材40を舌片部36bに直接接触させた状態で、適切な導通を得られる場合には、弾力体38を省略してもよい。弾力体38は、必要に応じて設けられ、省略可能である。導電部材40とセンサ本体30の基準電位とを導通させる方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。
【0083】
このように、センサ本体30の前方に光透過性の導電部材40を設け、導電部材40をセンサ本体30の基準電位と導通させる。これにより、前方からセンサ本体30(受光素子54)に入射する電磁ノイズも抑制することができる。
【0084】
この例において、導電部材40は、平面シート状であり、前後方向と略直交して配置される。換言すれば、導電部材40は、投光素子52の光軸及び受光素子54の光軸と略直交して配置される。これにより、例えば、導電部材40の構成を簡単にすることができる。前方からセンサ本体30に入射する電磁ノイズを、簡単な構成で抑制することができる。
【0085】
また、導電部材40を投光素子52の光軸と略直交させることにより、導電部材40の表面における検出光の反射を抑制することができる。同様に、導電部材40を受光素子54の光軸と略直交させることにより、導電部材40の表面における反射光の反射を抑制することができる。すなわち、投光素子52から投光される光の利用効率を高めることができる。
【0086】
偏光板42は、導電部材40の前方に設けられる。換言すれば、偏光板42は、導電部材40とセンサケース44との間に設けられる。偏光板42は、投光素子52の前方を覆う第1領域42aと、受光素子54の前方を覆う第2領域42bと、を有する。第1領域42aは、投光素子52から投光された非偏光の赤外光(検出光)のうち、第1偏光の成分のみを透過させる。第2領域42bは、反射光のうち、第2偏光の成分のみを透過させる。第1偏光は、例えば、垂直方向の直線偏光であり、第2偏光は、例えば、水平方向の直線偏光である。この場合、第2偏光の偏光方向は、第1偏光の偏光方向と異なる。第1偏光及び第2偏光は、上記に限ることなく、任意の方向の直線偏光でよい。また、第2偏光は、第1偏光に対して直交する方向の直線偏光に限ることなく、第1偏光の偏光方向と異なる任意の偏光方向の直線偏光でよい。
【0087】
例えば、偏光板42の第1領域42aを透過させることにより、検出光は、垂直方向の直線偏光となる。人体における反射は、拡散反射である。このため、検出光が人体で反射した場合、反射光は、非偏光となる。従って、この場合には、反射光に含まれる水平方向の直線偏光の成分が、偏光板42の第2領域42bを透過し、受光素子54に入射する。これにより、対象物の検出が可能となる。
【0088】
一方、検出光が金属製の洗面器11などで鏡面反射した場合には、偏光状態が維持される。このため、垂直方向の直線偏光の反射光が、第2領域42bに入射し、透過が抑制される。これにより、鏡面反射によって比較的高い強度の反射光が受光素子54に入射し、誤って感知状態となってしまうことを抑制することができる。
【0089】
このように、偏光板42を設けることにより、鏡面反射にともなう誤吐水を抑制することができる。また、この際、偏光板42を導電部材40の前方に設ける。これにより、導電部材40の透過にともなう偏光の乱れが生じたとしても鏡面反射による誤吐水の影響を、導電部材40が無い状態と実質的に同程度に抑制することができる。つまり、投光素子52から投光された非偏光の赤外光は偏光板42の第1領域42aを透過する手前までは偏光が乱れても影響がなく、反射物によって反射した赤外光が偏光板42の第2領域42bを透過した後は偏光が乱れても影響がないということである。
【0090】
第1偏光及び第2偏光は、直線偏光に限ることなく、円偏光や楕円偏光などでもよい。円偏光及び楕円偏光では、鏡面反射した場合に、偏光状態が反転する。例えば、右円偏光の光が鏡面反射した場合、左円偏光の光となる。従って、円偏光や楕円偏光を用いる場合、第2偏光の偏光方向は、第1偏光の偏光方向と実質的に同じにする。例えば、第1領域42aと第2領域42bとを右円偏光の偏光板とする。検出光が拡散反射した場合には、非偏光の反射光に含まれる右円偏光の成分が第2領域42bを透過し、対象物の検出が可能となる。一方、検出光が鏡面反射した場合には、左円偏光の反射光が第2領域42bによって遮断される。これにより、直線偏光の場合と同様に、鏡面反射にともなう誤吐水が抑制される。
【0091】
この例では、第1領域42aと第2領域42bとを有する1つの偏光板42を設けている。これに限ることなく、例えば、第1領域42aを有する偏光板と、第2領域42bを有する偏光板と、の2つの偏光板を並べて設けてもよい。また、第1領域42aの形成及び第2領域42bの形成は、偏光板に限ることなく、所定の偏光の光の透過及び遮断が可能な任意の偏光部材でよい。
【0092】
センサケース44は、後方に向かって開口する略開口箱状である。換言すれば、センサケース44は、一端が閉塞された筒状である。センサケース44は、内部の空間に、センサ本体30、筒体32、内部ケース34、シールド部材36、弾力体38、導電部材40、及び偏光板42などの各部を収納する。センサケース44は、例えば、上記の各部の全体を内部に収納する。従って、各部を組み立てた後の光電センサ18の外形形状は、センサケース44の外形形状と実質的に同じである。センサケース44は、例えば、衝撃、塵埃、及び水滴(水蒸気)などから各部を保護する。センサケース44は、換言すれば、外装カバーである。
【0093】
センサケース44は、検出光及び反射光に対して光透過性を有する。センサケース44には、例えば、透明な樹脂材料などが用いられる。なお、センサケース44は、全体が光透過性である必要はなく、少なくとも検出光及び反射光の透過する部分において光透過性を有していればよい。
【0094】
この例では、円筒状の水栓13の内部に光電センサ18を効率良く配置するため、水栓13の曲率に合わせて、内部ケース34、シールド部材36、弾力体38、導電部材40、偏光板42、及びセンサケース44の各部を、円弧状に湾曲した形状に形成している。内部ケース34、シールド部材36、弾力体38、導電部材40、偏光板42、及びセンサケース44の各部の形状は、上記に限ることなく、任意の形状でよい。
【0095】
図3(a)及び
図3(b)は、第1の実施形態にかかるセンサ本体及び内部ケースを表す断面図である。
図3(a)は、センサ本体30が内部ケース34に保持される前の状態を表し、
図3(b)は、センサ本体30が内部ケース34に保持された状態を表している。
図3(a)及び
図3(b)に表したように、内部ケース34は、筒状部34dを有する。筒状部34dは、前後方向に延びる筒状であり、前後方向を軸とする軸周りに投光素子52を囲む。換言すれば、筒状部34dは、投光素子52の光軸周りに投光素子52を囲む。開口34bは、換言すれば、筒状部34dの前方側の開口端である。開口34bは、内部ケース34に保持された状態の投光素子52の前端よりも前方に位置する。
【0096】
前述のように、内部ケース34は、例えば、投光素子52の投光する検出光に対して遮光性を有する。このように、遮光性の内部ケース34で投光素子52を囲む。これにより、検出光が、前後方向と直交する方向(側方)に向かうことを抑制することができる。例えば、検出光が、光電センサ18(センサケース44)内において直接的に受光素子54に受光されてしまうことを抑制することができる。
【0097】
例えば、光電センサ18を水栓13内において吐水口13aの近傍に配置した場合、電源で発生した電磁ノイズが、金属製の水栓13を経由して前方から光電センサ18に入射してしまう場合がある。
【0098】
これに対して、本実施形態に係る水栓装置10及び光電センサ18では、導電部材40により、受光素子54の前方から入射する電磁ノイズを抑制することができる。光電センサ18を水栓13内に配置した場合にも、水栓13を介して前方から受光素子54に入射する電磁ノイズを抑制することができる。
【0099】
本願発明者は、鋭意検討の結果、光電センサ18において受光素子54が電磁ノイズの影響を最も受けるという知見を得た。従って、少なくとも受光素子54の前方を覆うことで、センサ本体30における電磁ノイズの影響を抑制することができる。また、光電センサ18では、導電部材40が、センサ本体30全体の前方を覆う。この場合には、センサ本体30に対する電磁ノイズの影響をより抑制することができる。
【0100】
また、シート状の導電部材40を受光素子54の前方に配置するだけでよく、構成が複雑になることを抑制することもできる。従って、受光素子54の前方から入射する電磁ノイズを簡単な構成で抑制することができる。
【0101】
また、水栓装置10及び光電センサ18では、センサ本体30に電磁ノイズが入射することを、シールド部材36によって抑制することができる。例えば、基板50に設けられた受光回路に電磁ノイズが入射して、受信信号が変動してしまうことを抑制することができる。また、舌片部36bを設けることにより、導電部材40とシールド部材36とを簡単な構成で導通させることができる。例えば、導電部材40とシールド部材36とをハンダ付けや配線をすることなく導通させることができる。つまり、シールド部材40は電磁ノイズの入射を抑制するだけでなく、導電部材40を基準電位に導通させるための役割も果たしており、1つの部材で2つの役割を果たしている。
【0102】
また、水栓装置10及び光電センサ18では、筒体32が受光素子54を囲み、シールド部材36が筒体32をさらに囲む。これにより、受光素子54に入射する電磁ノイズをより抑制することができる。さらに、筒体32が遮光性を有しているため、投光素子52から投光された光の一部が乱反射して受光素子54に直接入射することを抑制することができる。
【0103】
また、水栓装置10及び光電センサ18では、導電部材40が、弾力性と導電性とを有する弾力体38を介してセンサ本体30の基準電位と導通される。これにより、導電部材40を弾力体38によって、より確実に基準電位と導通させることができる。導電部材40を接触を介して基準電位に導通させる場合、導電部材40と接触部材との接触面積はできるだけ広くした方が望ましいが、導電部材40と接触する接触部材の形状や素材によっては接触面積を広くとることが難しく、実質的に1点接触となり、接触状態が不安定になることが懸念される。例えば、基準電位との導通にシールド部材36を用いた場合、導電部材40とシールド部材36が共に完全に平らな面となっていれば接触面積は広くとることが可能であるが、実際には完全に平らな面を形成することは困難であり、僅かな歪みや表面の粗さが発生してしまう。そうなると、一見すると両者が導通されているようにみえても、実質上は1点接触となっており、振動や温度変化などでその導通が遮断されてしまうことがある。そこで、弾力性のある弾力体38を用いることで、接触面積を広くとることが可能となり、より確実に導電部材40を基準電位に導通させておくことが可能となる。また、弾力体38を前方から見た状態において投光素子52と受光素子54との間に設けることにより、投光素子52から受光素子54に向かう乱反射光を、弾力体38によって遮ることができる。投光素子52から投光された光の一部が、乱反射して受光素子54に直接入射することを抑制することができる。
【0104】
また、水栓装置10及び光電センサ18では、弾力体38が、前方から見た状態において、受光素子54を囲う。これにより、投光素子52又は外部からの乱反射光などが意図せず受光素子54に入射してしまうことを、より抑制することができる。
【0105】
また、水栓装置10及び光電センサ18では、導電部材40の前方に設けられた偏光板42を有するため、前述のように、鏡面反射光の入射にともなう誤吐水を抑制することができる。
【0106】
図4は、第1の実施形態にかかる内部ケースの変形例を表す斜視図である。
図4に表したように、この例において、内部ケース34は、凹部34eを有する。凹部34eは、内部ケース34の前面34aに設けられている。凹部34eは、シールド部材36の舌片部36bを収納する。
【0107】
凹部34eの深さ(前面34aからの距離)は、舌片部36bの厚さに対応する。凹部34eの深さは、舌片部36bの厚さと実質的に同じである。舌片部36bの厚さは、例えば、0.1mm以上0.5mm以下である。また、凹部34eを前方から見た状態は、舌片部36bを前方から見た形状と実質的に同じである。
【0108】
このように、内部ケース34の前面34aに凹部34eを設けることにより、舌片部36bが内部ケース34の前面34aよりも突出することを抑制することができる。例えば、光電センサ18の全体の大きさが大きくなることを抑制することができる。この例では、光電センサ18の前後方向の長さが長くなることを抑制することができる。
【0109】
なお、シールド部材36において舌片部36bを設ける位置は、導電部材40との導通が可能な任意の位置でよい。凹部34eは、内部ケース34の前面34aに限ることなく、舌片部36eの位置に対応した内部ケース34の外面の任意の位置でよい。
【0110】
図5(a)〜
図5(c)は、第1の実施形態にかかる導電部材及び弾力体の変形例を表す断面図である。
図5(a)に表したように、この例では、導電部材40と弾力体38との間に、粘着層46が設けられている。粘着層46は、粘着性を有するとともに、導電性を有する。さらに、粘着層46は、検出光及び反射光に対して光透過性を有する。導電部材40及び弾力体38は、粘着層46を介して互いに貼り付けられるとともに、粘着層46を介して互いに導通される。
【0111】
このように、粘着層46を設けることにより、例えば、導電部材40と弾力体38との組み立て性を向上させることができる。また、導電部材40と弾力体38とをより確実に接触させることができる。導電部材40と弾力体38とをより確実に導通させることができる。
【0112】
粘着層46は、
図5(b)に表したように、導電部材40に設けてもよいし、
図5(c)に表したように、弾力体38に設けてもよい。粘着層46は、導電部材40及び弾力体38の少なくとも一方に設ければよい。
【0113】
図6(a)〜
図6(d)は、第1の実施形態にかかる導電部材の変形例を表す断面図である。
図6(a)に表したように、この例において、導電部材40は、受光素子54の前方のみを覆う。このように、導電部材40は、必ずしも投光素子52の前方を覆わなくてもよい。この場合、導電部材40の透過にともなう検出光の減衰を抑制し、より高い強度の検出光を外部に投光することができる。導電部材40の透過率は100%であることが理想であるが、実質的には100%にすることは難しく、検出光は導電部材40を透過することによって発光強度が低下する。ところで、シールド性が強く求められる箇所は受光素子54と受光回路周辺であり、投光素子52の周辺はシールドされていなくても光電センサとしてのシールド性は十分となる場合もある。その場合、投光素子52の前方を導電部材40でシールドする必要性は低くなり、受光素子54の前方のみをシールドしておけばよい。つまり、光電センサ18としてのシールド耐性は保持しつつ、より高い強度の検出光を外部に投光することができる。
【0114】
図6(b)に表したように、この例において、導電部材40は、センサ本体30の前方を覆うとともに、投光素子52を露出させる開口部40aを有する。このように、センサ本体30の前方を覆いつつ、開口部40aによって投光素子52を露出させてもよい。この場合にも、
図6(a)の場合と同様に、導電部材40の透過にともなう検出光の減衰を抑制し、より高い強度の検出光を外部に投光することができる。
【0115】
また、この例では、例えば、導電部材40を内部ケース34の前面34aに合わせて配置すればよく、
図6(a)の場合と比べて、導電部材40の組み立て性を向上させることができる。また、投光素子52の前方の部分において、弾力体38と偏光板42との間に隙間が空き、偏光板42がガタついてしまうことなどを抑制することができる。
【0116】
図6(b)では、貫通孔状の開口部40aを表している。開口部40aの形状は、例えば、切り欠き状でもよい。
【0117】
図6(c)に表したように、この例において、導電部材40は、光透過性の基板部40bと、基板部40bの一方の面に設けられた光透過性の導電膜40cと、を有する。基板部40bには、例えば、透明な樹脂材料が用いられる。基板部40bは、絶縁性である。導電膜40cには、例えば、ITO膜が用いられる。このように、導電部材40は、片面のみに導電性を有するものでもよい。この場合、例えば、導電部材40の製造コストを抑えることができる。
【0118】
また、導電部材40の片面のみに導電性を持たせた場合には、例えば、
図6(a)や
図6(b)に表したように、導電部材40を前方から見た形状が、導電膜40cを受光素子54側に向けた場合と、導電膜40cを受光素子54と反対側を向けた場合と、で異なるようにする。
【0119】
これにより、基板部40bの一方の面のみに導電膜40cを設けた場合にも、導電部材40の取り付けの向きを一義的に決め、組み立て性をより向上させることができる。導電部材40が逆向きに取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0120】
図6(d)に表したように、この例において、導電部材40は、第1偏光膜40dと、第2偏光膜40eと、をさらに有する。第1偏光膜40d及び第2偏光膜40eは、基板部40bの他方の面に設けられている。第1偏光膜40dは、投光素子52の前方を覆う。第2偏光膜40eは、受光素子54の前方を覆う。第1偏光膜40dの機能は、偏光板42の第1領域42aの機能と実質的に同じである。第2偏光膜40eの機能は、偏光板42の第2領域42bの機能と実質的に同じである。すなわち、この例では、偏光板42が導電部材40と一体に形成されている。換言すれば、この例では、導電部材40が、偏光板42の機能を有する。
【0121】
このように、偏光板42は、導電部材40と一体に形成してもよい。これにより、光電センサ18の部品点数を減らし、組み立て性を向上させることができる。
【0122】
図7(a)及び
図7(b)は、第1の実施形態にかかる導電部材の変形例を表す斜視図及び説明図である。
図7(a)及び
図7(b)に表したように、この例において、導電部材40は、センサ本体30の前方を覆うとともに、投光素子52と受光素子54との間の部分と対向する位置に設けられた溝部40fを有する。なお、
図7(b)では、便宜的に、内部ケース34を簡略化して図示している。
【0123】
溝部40fは、例えば、投光素子52及び受光素子54と対向する面に設けられる。また、溝部40fは、例えば、投光素子52と受光素子54とが並ぶ方向と直交する方向に延びる。
【0124】
このように、溝部40fを設けることにより、例えば、導電部材40と内部ケース34との間で乱反射する光の進行方向を溝部40fによって変化させることができる。これにより、
図7(b)に表したように、導電部材40において乱反射した光が受光素子54に入射することを抑制することができる。投光素子52から投光された光の一部が、乱反射して受光素子54に直接入射することを抑制することができる。
【0125】
図8(a)及び
図8(b)は、第1の実施形態にかかる内部ケースの変形例を表す斜視図及び説明図である。
図8(a)及び
図8(b)に表したように、この例において、内部ケース34は、投光素子52と受光素子54との間に延びる前面34aと、前面34aに設けられた溝部34fと、を有する。溝部34fは、例えば、投光素子52と受光素子54とが並ぶ方向と直交する方向に延びる。なお、
図8(b)では、
図7(b)と同様に、内部ケース34を簡略化して図示している。
【0126】
このように、溝部34fを設けることにより、
図8(b)に表したように、導電部材40において乱反射した光が受光素子54に入射することを抑制することができる。投光素子52から投光された光の一部が、乱反射して受光素子54に直接入射することを抑制することができる。
【0127】
また、
図4に関して説明したように、シールド部材36の舌片部36bを収納する凹部34eを内部ケース34の前面34aに設ける場合には、投光素子52と受光素子54との間に凹部34eを配置することにより、舌片部36bを収納する機能と、受光素子54への乱反射光の入射抑制の機能と、を凹部34eに持たせてもよい。
【0128】
この場合、舌片部36bが内部ケース34の前面34aよりも突出し、光電センサ18全体の大きさが大きくなることを抑制しつつ、導電部材40において乱反射した光が受光素子54に入射することを、凹部34eによって抑制することができる。
【0129】
図9は、第1の実施形態にかかる光電センサの変形例を表す分解斜視図である。
図9に表したように、光電センサ18は、センサ本体30と、内部ケース64と、シールド部材66と、弾力体68と、導電部材70と、偏光板72と、センサケース74と、を有する。
【0130】
この例において、内部ケース64、シールド部材66、及びセンサケース74は、略直方体状である。また、弾力体68、導電部材70、及び偏光板72は、略長方形の平板状である。この例において、光電センサ18は、略直方体状である。
【0131】
内部ケース64、シールド部材66、弾力体68、導電部材70、偏光板72、及びセンサケース74のそれぞれにおいて、外形形状以外は、上記実施形態の内部ケース34、シールド部材36、弾力体38、導電部材40、偏光板42、及びセンサケース44と実質的に同じである。従って、内部ケース64、シールド部材66、弾力体68、導電部材70、偏光板72、及びセンサケース74についての詳細な説明は省略する。
【0132】
このように、光電センサ18の外形形状は、略直方体状でもよい。光電センサ18の外形形状は、任意の形状でよい。
【0133】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態にかかるトイレ装置を表す斜視図である。
図10に表したように、トイレ装置100(吐水装置)は、大便器102と、給水路14と、電磁弁16(開閉弁)と、光電センサ18と、制御部20と、を備える。なお、上記第1の実施形態に関して説明した水栓装置10と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0134】
大便器102は、凹状のボウル部と、ボウル部に洗浄水を吐出する吐水口(図示は省略)と、を有する。大便器102は、給水路14を介して供給された洗浄水を吐水口からボウル部内に吐出することにより、ボウル部内に排泄された汚物などを洗い流す。すなわち、この例においては、大便器102が吐水部として機能する。大便器102は、換言すれば、洋式腰掛便器である。
【0135】
光電センサ18は、上記第1の実施形態と同様に、センサ本体30や導電部材40などを有する。光電センサ18は、使用者の手などの対象物を検出し、検出結果を制御部20に入力する。制御部20は、例えば、光電センサ18が対象物を検出したことに応答して電磁弁16を所定時間開くことにより、自動的に大便器102の洗浄を行う。制御部20は、例えば、光電センサ18の検出結果が対象物を検出した状態から検出していない状態に切り替わった場合に、大便器102の洗浄を行うようにしてもよい。すなわち、制御部20は、使用者の大便器102から離れる動きに応答して大便器102の洗浄を行ってもよい。
【0136】
このように構成されたトイレ装置100において、上記第1の実施形態と同様に、受光素子54の前方に導電部材40を設ける。これにより、上記第1の実施形態の水栓装置10と同様に、トイレ装置100においても、受光素子54の前方から入射する電磁ノイズを簡単な構成で抑制することができる。
【0137】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態にかかるトイレ装置を表す説明図である。
図11に表したように、トイレ装置200(吐水装置)は、小便器202と、給水路14と、電磁弁16(開閉弁)と、光電センサ18と、制御部20と、を備える。
【0138】
小便器202は、凹状のボウル部と、ボウル部に洗浄水を吐出する吐水口(図示は省略)と、を有する。小便器202は、給水路14を介して供給された洗浄水を吐水口からボウル部内に吐出することにより、ボウル部の表面を洗い流す。すなわち、この例においては、小便器202が吐水部として機能する。
【0139】
光電センサ18は、上記第1の実施形態と同様に、センサ本体30や導電部材40などを有する。光電センサ18は、使用者の身体などの対象物を検出し、検出結果を制御部20に入力する。制御部20は、例えば、光電センサ18の検出結果が対象物を検出した状態から検出していない状態に切り替わった場合に、小便器202の洗浄を行う。
【0140】
このように構成されたトイレ装置200において、上記第1の実施形態と同様に、受光素子54の前方に導電部材40を設ける。これにより、上記第1の実施形態の水栓装置10と同様に、トイレ装置200においても、受光素子54の前方から入射する電磁ノイズを簡単な構成で抑制することができる。
【0141】
このように、吐水装置は、水栓装置でもよいし、大便器を用いたトイレ装置でもよいし、小便器を用いたトイレ装置でもよい。吐水装置は、これらに限ることなく、対象物の検出を行って吐止水を制御する任意の吐水装置でよい。
【0142】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水栓装置10、トイレ装置100、200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。