(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る排水栓装置を表す断面図である。
図1に表したように、排水栓装置10は、排水栓部12と、操作部14と、レリースワイヤ16と、を備える。
【0026】
排水栓部12は、浴槽100に設けられた排水口部102に取り付けられるとともに、排水口部102の下方に配置された配管200に接続される。配管200は、例えば、洗い場床240に設けられた排水トラップ242(
図10参照)を介して排水管に接続される。
【0027】
排水口部102は、例えば、浴槽100の底部に設けられ、浴槽100の底部から下方に凹んだ部分である。排水口部102は、排水口102a(開口)を有する。排水口102aは、例えば、排水口部102の底部に設けられる。排水口部102は、浴槽100に溜められた水を排水口102aを介して外部に排出可能とする。操作部14は、浴槽100のリム面104に設けられた貫通孔106に取り付けられる。操作部14は、使用者の操作を受ける。レリースワイヤ16は、操作部14の操作にともなう操作力を排水栓部12に伝達する。
【0028】
排水栓部12は、操作部14及びレリースワイヤ16を介して入力された操作力に応じて排水口部102(排水口102a)を開閉する。すなわち、排水栓部12は、使用者による操作部14の操作に応じて排水口部102を開閉する。
【0029】
排水栓部12で排水口部102を閉塞することにより、浴槽100内に水を溜めることができる。そして、操作部14を操作し、排水口部102を開放することにより、浴槽100に溜められた水を浴槽100の外部に排出することができる。例えば、排水口部102を開放することにより、浴槽100に溜められた水が、排水口部102、配管200、及び排水トラップ242を介して排水管などに排出される。排水栓装置10は、いわゆる遠隔操作式の排水栓装置である。
【0030】
操作部14は、筒状のケース14aと、ケース14a内において第1位置と第2位置とに移動する可動部14bと、可動部14bを第1位置又は第2位置に保持するラッチ機構14cと、を有する。第1位置は、例えば、
図1に表した位置である。第2位置は、例えば、第1位置よりもケース14a内に押し込められた位置である。
【0031】
ラッチ機構14cは、可動部14bを第1位置に保持した状態において、使用者の押圧操作により、可動部14bが第1位置から第2位置に移動した際に、可動部14bを第2位置に保持する。そして、ラッチ機構14cは、可動部14bを第2位置に保持した状態において、可動部14bが再び押圧操作された際に、第2位置における可動部14bの保持を解除し、可動部14bを第2位置から第1位置に復帰させ、可動部14bを再び第1位置に保持する。排水栓部12は、可動部14bが第1位置にある時に、排水口部102を閉塞し、可動部14bが第2位置にある時に、排水口部102を開放する。
【0032】
この例において、操作部14は、使用者の押圧操作を受ける押しボタン方式の操作部である。操作部14は、これに限ることなく、例えば、回転操作を受ける回転ハンドル方式の操作部やスライド操作を受けるスライドレバー方式の操作部などでもよい。操作部14は、使用者の任意の操作を受けることができる任意の構成でよい。
【0033】
レリースワイヤ16は、排水栓部12と操作部14とを接続するホース18内に挿通されている。レリースワイヤ16は、例えば、アウターチューブ16aと、アウターチューブ16aに挿通されたインナーワイヤ16bと、を有する(
図2参照)。インナーワイヤ16bの一端は、操作部14の可動部14bに接続されている。インナーワイヤ16bの他端は、排水栓部12に接続されている。レリースワイヤ16は、操作部14の操作に応じてインナーワイヤ16bを進退させることにより、操作力を排水栓部12に伝達する。操作部14から排水栓部12に操作力を伝達する伝達機構は、レリースワイヤ16に限ることなく、操作力を伝達可能な任意の機構でよい。
【0034】
図2は、実施形態に係る排水栓部を拡大して表す断面図である。
図2に表したように、排水栓部12は、栓蓋20と、排水口部材22と、支持機構24と、アタッチメント部材26と、を有する。栓蓋20は、浴槽100の排水口部102に上方(浴槽内側)から取り付けられ、上方から排水口部102を塞ぐ。栓蓋20は、例えば、排水口部102の周縁部102bに接することで、排水口部102を塞ぐ。
【0035】
栓蓋20は、例えば、パッキン21を有する。パッキン21は、栓蓋20の外縁に環状に設けられる。パッキン21には、例えば、ゴムなどの弾性材料が用いられる。栓蓋20は、パッキン21を排水口部102の周縁部102bに接触させることにより、排水口部102を塞ぐ。これにより、排水口部102をより確実に塞ぐことができる。栓蓋20は、排水口部102の周縁部102bに直接的に接してもよいし、パッキン21などを介して間接的に接してもよい。また、排水口部102を塞ぐ位置(接する位置)は、周縁部102bに限ることなく、例えば、排水口102aの内縁部や排水口部材22の上端部などでもよい。
【0036】
排水口部102を上方から見た形状は、略円形である。排水口102aは、例えば、略円形の貫通孔状である。栓蓋20は、排水口部102及び排水口102aの形状に対応した断面略円形の栓である。排水口部102の断面形状は、円形に限ることなく、例えば楕円形や多角形などの任意の形状でよい。栓蓋20の形状は、上方から排水口部102を閉塞可能な任意の形状でよい。
【0037】
排水口部材22は、排水口部102の排水口102a及び配管200に挿通され、浴槽100に配管200を接続する。支持機構24は、栓蓋20を上下動可能に支持する。アタッチメント部材26は、配管200内に取り付けられ、支持機構24を保持する。支持機構24は、アタッチメント部材26を介して配管200内に取り付けられる。
【0038】
支持機構24は、ケース30と、支持軸32と、を有する。ケース30は、筒状である。ケース30は、軸を上下方向に向けた状態で配管200内に取り付けられる。支持軸32は、ケース30内に挿通され、ケース30の軸方向に沿って移動可能にケース30に保持される。支持軸32は、ケース30が配管200内に保持された状態において、上下方向に移動する。
【0039】
支持軸32の上端32aは、ケース30の上端よりも上方に突出する。栓蓋20は、支持軸32の上端32aに取り付けられる。支持機構24は、支持軸32の上端32aにおいて栓蓋20を支持する。このように、支持軸32は、上端32aに栓蓋20が取り付けられ、浴槽100に対して上下動可能に設けられる。
【0040】
一方、支持軸32の下端側は、ケース30内においてレリースワイヤ16に接続される。配管200は、貫通孔202を有する。貫通孔202は、配管200において排水栓部12よりも下方に設けられる。レリースワイヤ16は、貫通孔202を介して配管200内に挿通され、支持機構24と接続される。また、貫通孔202は、例えば、ホース18などによって塞がれる。これにより、貫通孔202からの水漏れが抑制される。
【0041】
操作部14の可動部14bが第1位置にある場合、支持軸32は、
図2に表したように、栓蓋20が排水口部102を塞いだ位置に保持される。操作部14の可動部14bが第1位置から第2位置に移動すると、レリースワイヤ16のインナーワイヤ16bが、可動部14bの移動量に応じて排水栓部12側に送り込まれる。従って、可動部14bが第2位置に移動すると、支持機構24の支持軸32が、
図2に表した状態よりもケース30から突出する。これにより、操作部14の可動部14bが第2位置にある場合には、栓蓋20が、支持軸32の移動にともなって上方に移動し、排水口部102を開放させる。
【0042】
このように、支持機構24は、操作部14の操作に応じて支持軸32を移動させることにより、栓蓋20が排水口部102を塞ぐ下降状態(
図2に表した状態)と、栓蓋20が排水口部102から上方に離間して排水口部102を開放する上昇状態と、に支持軸32切り替える。換言すれば、操作部14は、下降状態と上昇状態とに支持軸32を切り替える。
【0043】
図3は、実施形態に係る配管及び排水口部材を表す断面図である。
図4は、実施形態に係る配管を表す斜視断面図である。
図3及び
図4に表したように、配管200は、浴槽100と接続された状態において、排水口部102から下方に向かって延びる第1管部211と、第1管部211と直交する方向に延びる第2管部212と、を有する。すなわち、この例において、配管200は、略L字状に屈曲した管である。配管200は、L字状に限ることなく、少なくとも排水口部102から下方に向かって延びる部分を有する任意の形状でよい。
【0044】
第1管部211の開口端211aの形状は、排水口102aの形状と実質的に同じである。第1管部211及び第2管部212は、例えば、断面略円形の管である。第1管部211の内周面には、雌ねじ部214が設けられている。雌ねじ部214は、開口端211aに隣接して設けられる。第1管部211において、雌ねじ部214の設けられた部分の内周面の断面形状は、略円形である。配管200の雌ねじ部214以外の部分の内周面の断面形状は、必ずしも円形でなくてもよい。配管200の雌ねじ部214以外の部分の内周面の断面形状は、例えば、楕円形状や多角形状などでもよい。
【0045】
第1管部211は、載置部220と、第1収納空間221と、第2収納空間222と、を有する。載置部220は、配管200内に設けられ、配管200の内方に突出する。載置部220には、アタッチメント部材26の一部が載置される。アタッチメント部材26は、載置部220の上に載置されることにより、配管200内に取り付けられる。換言すれば、載置部220は、配管200内におけるアタッチメント部材26の下方への移動を規制する。アタッチメント部材26は、載置部220に直接的に接して載置されてもよいし、他の部材などを介して間接的に接して載置されてもよい。
【0046】
この例において、載置部220は、第1管部211の開口端211aよりも内径を小さくした部分である。載置部220は、配管200内において段差状に形成されている。この例において、載置部220は、配管200の内周に沿う環状の面(載置面)である。載置部220の形状は、上記に限ることなく、例えば、突起状に形成してもよい。例えば、複数の突起状の載置部を配管200の軸周りに所定の間隔で設けてもよい。載置部220の形状は、アタッチメント部材26の一部を載置可能な任意の形状でよい。
【0047】
第1収納空間221は、載置部220の上方に配置される。第1収納空間221は、載置部220に隣接する。第1収納空間221は、アタッチメント部材26の一部を収納する。第2収納空間222は、第1収納空間221の上方に配置される。第2収納空間222は、排水口部材22を収納する。第2収納空間222は、第1収納空間221に隣接するとともに、第1管部211の開口端211aに隣接する。雌ねじ部214は、第2収納空間222を形成する配管200の内周面に設けられる。
【0048】
排水口部材22は、略円筒状の筒部22aと、筒部22aの上端に設けられたフランジ部22bと、を有する。フランジ部22bは、筒部22aの上端から外方に向かって延びる。筒部22aの外径は、排水口102aの開口径及び第1管部211の内径と実質的に同じである。一方、フランジ部22bの外径は、排水口102aの開口径及び第1管部211の内径よりも大きい。
【0049】
また、筒部22aの外周面には、雄ねじ部22cが設けられている。雄ねじ部22cは、配管200の雌ねじ部214に対応して形成され、雌ねじ部214に螺合する(噛み合う)。これにより、排水口部材22の筒部22aが、配管200の第2収納空間222に収納される。
【0050】
排水口部材22は、筒部22aを上方から排水口102a及び配管200に挿通し、配管200の雌ねじ部214に雄ねじ部22cを螺合させ、フランジ部22bと配管200との間で浴槽100を挟み込む(
図2参照)。これにより、排水口部材22は、浴槽100に配管200を接続する。排水口部材22は、例えば、締付フランジと呼ばれる場合もある。
【0051】
図5は、実施形態に係る支持機構及びアタッチメント部材を表す斜視図である。
図5に表したように、アタッチメント部材26は、保持部50と、支持部60と、を有する。保持部50は、支持機構24を保持する。この例において、保持部50は、支持機構24を直接的に保持している。保持部50は、例えば、他の部材などを介して間接的に支持機構24を保持してもよい。
【0052】
支持部60は、配管200内において排水口部材22よりも下方に取り付けられ、保持部50を支持する(
図2参照)。支持部60は、載置部220に載置されることにより、配管200内に取り付けられる。支持部60は、載置部220の上に載置されることにより、配管200内におけるアタッチメント部材26の下方への移動を規制する。また、支持部60は、排水口部材22により下方に押付けられることにより、上方への移動を規制する。また、支持部60は、例えば、係合爪62(
図2参照)を配管200の第1管部211と第2管部212との屈曲部に係合させることにより、配管200内におけるアタッチメント部材26の水平方向における回転を抑制する。すなわち、支持部60は、アタッチメント部材26を配管200内の所定の位置に位置決めする。支持部60の構造は、上記に限ることなく、アタッチメント部材26を配管200内の所定の位置に位置決めすることができる任意の構造でよい。
【0053】
このように、アタッチメント部材26は、支持部60において載置部220の上に載置される。配管200の第1収納空間221は、アタッチメント部材26の支持部60を収納する。アタッチメント部材26は、支持部60を介して配管200内に取り付けられることにより、支持機構24及び保持部50を配管200内の所定の位置に配置する。
【0054】
図6は、実施形態に係る保持部を表す斜視図である。
図5及び
図6に表したように、保持部50は、支持機構24を収納する筒部52と、筒部52を支持部60に接続するための複数の脚部54と、を有する。
【0055】
筒部52は、筒体の両端面を開放させるとともに、筒体の側面を両端面に亘って切り欠いた側方開口部52aを有する。保持部50は、弾性を有する。保持部50には、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂材料が用いられる。これにより、保持部50では、側方開口部52aを広げるように一時的に筒部52を変形させることができる。
【0056】
筒部52の下端には、側方開口部52aを挟んで対向するように配置された一対のリブ52bが設けられている。各リブ52bは、筒部52の内方に向かって突出する。支持機構24のケース30には、溝30aが設けられている。溝30aは、ケース30の下端付近に設けられ、ケース30の側面から内方に向かって凹んだ凹形状に形成されている。溝30aの形状は、各リブ52bの形状に対応している。
【0057】
支持機構24を保持部50に保持させる場合には、支持機構24を側方開口部52aに対して水平方向に押し当て、筒部52を弾性変形させることにより、側方開口部52aを押し広げる。そして、広がった側方開口部52aから筒部52内に支持機構24を挿入する。この際、各リブ52bを溝30aに嵌め込む。これにより、支持機構24が筒部52内に挿入されるとともに、各リブ52bと溝30aとの係合により、支持機構24の上下動が規制される。換言すれば、各リブ52bと溝30aとの係合により、筒部52の軸方向の両端からの支持機構24の抜けが抑制される。これにより、支持機構24が、保持部50に保持される。
【0058】
各脚部54は、筒部52の下端付近から外方向かって延びるとともに、下方に向かって延びる。各脚部54の下端は、筒部52の下端よりも下方に位置する。また、各脚部54の下端には、外方に向かって延びる係合爪54aが設けられている。
【0059】
各脚部54は、例えば、筒部52の軸周りに等間隔に配置される。この例において、保持部50は、3つの脚部54を有する。3つの脚部54は、筒部52の軸周りに120°おきに配置される。脚部54の数は、3つに限ることなく、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0060】
支持部60は、筒状である。この例において、支持部60は、配管200の第1管部211の内周面に沿う円筒状である。支持部60の内周面には、保持部50の各脚部54の係合爪54aと係合する複数の係合溝が設けられている。この例において、支持部60は、3つの脚部54のそれぞれの係合爪54aに対応する3つの係合溝を有する。支持部60は、各係合爪54aと各係合溝との係合により、
図5に表したように、保持部50を支持する。
【0061】
排水栓装置10の排水栓部12を浴槽100及び配管200に取り付ける際には、まず、配管200を浴室内の所定の位置に設置する。支持機構24は、予めレリースワイヤ16の一端に接続しておく。そして、支持機構24及びレリースワイヤ16の一端を、貫通孔202を介して配管200内に挿通する。支持機構24を挿通した後、支持軸32を開口端211aから露出させる。
【0062】
支持機構24を配管200内に配置した後、アタッチメント部材26の支持部60のみを配管200内に挿通する。支持部60は、載置部220に載置されるまで、配管200内に挿通する。換言すれば、支持部60は、載置部220に当接するまで、配管200内に挿通する。そして、係合爪62を配管200の屈曲部に係合させることにより、支持部60を配管200内に取り付ける。そして、筒状の支持部60に支持機構24を挿通する。
【0063】
続いて、前述のように、側方開口部52aから筒部52内に挿入することにより、支持機構24をアタッチメント部材26の保持部50に保持させる。この後、保持部50の各脚部54の係合爪54aを、支持部60の各係合溝に係合させることにより、支持部60に保持部50を支持させる。これにより、支持機構24が、配管200内の所定の位置に取り付けられる。
【0064】
支持機構24を配管200に取り付けた後、開口端211aと排水口部102との位置を合わせて、配管200の上に浴槽100を設置する。この場合、支持機構24は、排水口102aを介して上方に露出された状態となる。
【0065】
浴槽100を設置した後、排水口部材22を上方から排水口102a及び配管200に挿通する。そして、配管200の雌ねじ部214に排水口部材22の雄ねじ部22cを螺合させ、フランジ部22bと配管200との間で浴槽100を挟み込むことにより、排水口部材22を介して浴槽100と配管200とを接続する。また、支持部60を排水口部材22と載置部220とで挟み込むことにより、支持部60が上方向へ移動しないようにする。
【0066】
この後、支持機構24の支持軸32の上端32aに、栓蓋20を取り付ける。以上により、排水栓装置10の排水栓部12の取り付けが完了する。なお、操作部14は、排水栓部12の取り付けの前に、予め浴槽100のリム面104に取り付けておいてもよいし、排水栓部12の取り付けを行った後に、浴槽100のリム面104に取り付けてもよい。
【0067】
図7は、実施形態に係る支持機構を表す断面図である。
図8は、実施形態に係る支持機構の一部を表す分解斜視図である。
図7及び
図8に表したように、支持機構24は、底板部34と、内筒36と、戻しバネ38と、弾性部40と、をさらに有する。
【0068】
支持軸32は、下方を開口させた中空状である。換言すれば、支持軸32は、上端32a側を閉塞させた円筒状である。レリースワイヤ16のアウターチューブ16aは、ケース30の下端部に保持される。レリースワイヤ16のインナーワイヤ16bは、ケース30の下端部に設けられた開口からケース30内に侵入するとともに、支持軸32の下端に設けられた開口から支持軸32内に侵入する。
【0069】
底板部34は、支持軸32の下端を塞ぐ。底板部34は、例えば、下端側を閉塞させた円筒状である。底板部34の内径は、支持軸32の外径と実質的に同じである。底板部34は、レリースワイヤ16のインナーワイヤ16bを挿通するための開口を有する。底板部34は、例えば、内周面に形成された雌螺子を、支持軸32の外周面に形成された雄螺子に噛み合わせることで、支持軸32の下端に取り付けられる。これにより、底板部34は、インナーワイヤ16bが挿通された状態で、支持軸32の下端を塞ぐ。
【0070】
内筒36は、支持軸32の内部に上下方向に移動可能に設けられている。内筒36は、レリースワイヤ16のインナーワイヤ16bの先端に被せられる。また、内筒36は、インナーワイヤ16bが抜けないように、インナーワイヤ16bの先端に取り付けられる。これにより、内筒36は、インナーワイヤ16bの進退にともなって上下方向に移動する。内筒36の下端には、外側に向かって突出したフランジ部36aが設けられている。フランジ部36aの外径は、例えば、支持軸32の下端付近の内径と実質的に同じである。
【0071】
戻しバネ38は、ケース30と支持軸32との間に設けられている。戻しバネ38は、例えば、コイルバネである。戻しバネ38は、ケース30と底板部34とに挟まれ、支持軸32及び底板部34に対して下方に向かう弾性力を付与する。換言すれば、戻しバネ38は、支持軸32及び底板部34を下方に付勢する。
【0072】
弾性部40は、支持軸32内に設けられる。弾性部40は、例えば、支持軸32と内筒36との間に設けられる。弾性部40は、支持軸32と内筒36のフランジ部36aとに挟まれ、上昇状態にある支持軸32に対して上方に向かう弾性力を付与する。換言すれば、弾性部40は、上昇状態にある支持軸32を上方に付勢する。これにより、弾性部40は、上昇状態において、下方に作用する荷重が栓蓋20及び支持軸32に加えられた場合に、荷重に対抗する弾性力を支持軸32に付与する。
【0073】
弾性部40は、第1コイルバネ41(第1弾性部材)と、第2コイルバネ42(第2弾性部材)と、を有する。第1コイルバネ41は、第1弾性率を有する。第2コイルバネ42は、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する。換言すれば、第2コイルバネ42のバネ定数は、第1コイルバネ41のバネ定数よりも小さい。第2コイルバネ42は、第1コイルバネ41と別体で構成されている。
【0074】
第2コイルバネ42の直径は、第1コイルバネ41の直径と実質的に同じである。第2コイルバネ42は、第1コイルバネ41と上下方向に重ねて支持軸32内に設けられる。これにより、例えば、弾性部40を第1コイルバネ41と第2コイルバネ42との2つのバネで構成する場合にも、支持軸32が太くなってしまうことを抑制することができる。なお、第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、上下方向に直接接して重ねてもよいし、間隔を空けて重ねてもよい。第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、例えば、スペーサなどの他の部材を介して上下方向に重ねてもよい。
【0075】
第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、支持軸32と内筒36のフランジ部36aとに挟まれ、予め縮められた状態で支持軸32内に収容される。これにより、第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、上昇状態にある支持軸32に対して上方に向かう弾性力を付与する。支持軸32は、各コイルバネ41、42の弾性力で上方に付勢された状態で保持される。従って、支持軸32は、栓蓋20及び支持軸32に対して下方に作用する力が僅かに加わった程度では下降しない。各コイルバネ41、42は、例えば、栓蓋20の自重では縮まない。
【0076】
この例では、第1コイルバネ41が、第2コイルバネ42の上に設けられている。これとは反対に、第2コイルバネ42を第1コイルバネ41の上に設けてもよい。
【0077】
また、第2コイルバネ42の形状は、第1コイルバネ41の形状と異なる。この例では、第2コイルバネ42の長さが、第1コイルバネ41の長さよりも短い。これにより、例えば、弾性部40を第1コイルバネ41と第2コイルバネ42との2つのバネで構成する場合にも、各コイルバネ41、42の取り付け間違いを抑制することができる。上記とは反対に、第1コイルバネ41の長さを、第2コイルバネ42の長さよりも短くしてもよい。例えば、第2コイルバネ42の太さ(直径)を、第1コイルバネ41の太さと異ならせてもよい。各コイルバネ41、42の形状の違いは、長さや太さに限ることなく、各コイルバネ41、42を容易に区別することが可能な任意の違いでよい。
【0078】
図9(a)及び
図9(b)は、実施形態に係る排水栓部を表す断面図である。
図9(a)は、上昇状態にある栓蓋20及び支持軸32を表している。
図9(b)は、上昇状態と下降状態との間の中間状態にある栓蓋20及び支持軸32を表している。
【0079】
支持軸32が下降状態にある状態で、操作部14を操作し、可動部14bを第1位置から第2位置に移動させると、レリースワイヤ16のインナーワイヤ16bが、可動部14bの移動量に応じて排水栓部12側に進出する。インナーワイヤ16bを排水栓部12側に進出させると、インナーワイヤ16bの駆動力が、内筒36及び弾性部40を介して支持軸32に伝達される。これにより、
図9(a)に表したように、支持軸32及び栓蓋20が上昇して、支持軸32が上昇状態に切り替わり、排水口部102が開放される。
【0080】
前述のように、支持軸32は、各コイルバネ41、42の弾性力によって上方に付勢されている。従って、栓蓋20及び支持軸32が上昇状態にある場合の各コイルバネ41、42の縮み量(弾性変形量)は、栓蓋20及び支持軸32が下降状態にある場合の各コイルバネ41、42の縮み量と実質的に同じである。
【0081】
栓蓋20の排水口部102からの上昇量は、支持軸32が上昇状態にある時に最大となる。支持軸32が上昇状態にある時の栓蓋20の排水口部102からの第1上昇量RA1は、例えば、9mm(7mm以上14mm以下)である。これにより、例えば、栓蓋20の過度の上昇を抑制しつつ、ヘッド圧が低い状態における排水速度の低下を抑制することができる。
【0082】
支持軸32が上昇状態に切り替わると、ケース30と底板部34とに挟まれた戻しバネ38が押し縮められる。支持軸32を上昇状態から下降状態に切り替えると、戻しバネ38が、支持軸32及び底板部34を下方に付勢する。これにより、支持軸32をより確実に下降させることができる。排水口部102を栓蓋20によって、より確実に塞ぐことができる。
【0083】
第2コイルバネ42は、浴槽100内の水のヘッド圧に応じて弾性変形する。一方、第1コイルバネ41は、浴槽100内の水のヘッド圧では、実質的に弾性変形しない。第1コイルバネ41の浴槽100内の水のヘッド圧による縮み量は、例えば、満水時において1mm以下である。
【0084】
弾性部40は、ヘッド圧が低い時に、栓蓋20及び支持軸32を上昇状態にする。弾性部40は、少なくとも浴槽100が空の状態の時に、栓蓋20及び支持軸32を上昇状態にする。
【0085】
弾性部40は、ヘッド圧が高い時に、第2コイルバネ42を弾性変形させることにより、
図9(b)に表したように、栓蓋20及び支持軸32を上昇状態と下降状態との間の中間状態にする。中間状態は、例えば、浴槽100内の水のヘッド圧により、第2コイルバネ42が最も縮んだ状態(縮みきった状態)である。
【0086】
弾性部40は、少なくとも浴槽100が満水の時に、栓蓋20及び支持軸32を中間状態にする。中間状態における栓蓋20及び支持軸32の上下方向の位置は、上昇状態と下降状態との間の任意の位置でよい。支持軸32が中間状態にある時の栓蓋20の排水口部102からの第2上昇量RA2は、例えば、4mm(2mm以上6mm以下)である。これにより、例えば、ヘッド圧が高い状態において、排水速度の上昇を抑え、排水の洗い場側への溢れを抑制することができる。
【0087】
図10(a)及び
図10(b)は、実施形態に係る排水栓部を表す断面図である。
図10(a)に表したように、弾性部40は、浴槽100内の水位が満水の時に、支持軸32を中間状態にし、栓蓋20の排水口部102からの上昇量を第2上昇量RA2にする。
【0088】
弾性部40は、浴槽100内の水が排水され、浴槽100内の水位が下がってヘッド圧が低下すると、そのヘッド圧に応じて栓蓋20及び支持軸32を上昇させる。そして、
図10(b)に表したように、弾性部40は、例えば、浴槽100内の水位が満水時の半分の水位の時に、支持軸32を上昇状態にし、栓蓋20の排水口部102からの上昇量を第1上昇量RA1にする。すなわち、弾性部40は、浴槽100内の水位が半分以下の時に、支持軸32を上昇状態にする。
【0089】
このように、弾性部40は、浴槽100内の水のヘッド圧に応じて、第2コイルバネ42を弾性変形させることにより、栓蓋20及び支持軸32の排水口部102からの上昇量を上昇状態と中間状態との間で変化させる。そして、弾性部40は、第1コイルバネ41の第1弾性率により、栓蓋20及び支持軸32が、ヘッド圧によって中間状態よりも下方に下がることを抑制する。
【0090】
なお、支持軸32が上昇状態となる水位は、半分の水位に限ることなく、満水の水位と空の水位との間の任意の水位でよい。例えば、浴槽100内の水が空になった時に、支持軸32が上昇状態となるようにしてもよい。但し、上記のように、浴槽100内の水が空になる前に、支持軸32を上昇状態とする。これにより、例えば、排水速度の低下をより確実に抑制することができる。
【0091】
図11は、実施形態に係る排水栓部を表す断面図である。
図11は、上昇状態にある栓蓋20及び支持軸32に上方から荷重を加えることにより、インナーワイヤ16bが排水栓部12側に進出した状態で、栓蓋20及び支持軸32が下降状態に戻された場合を表している。
【0092】
排水栓装置10では、例えば、入浴者や浴槽100の清掃者などが、上昇状態にある栓蓋20及び支持軸32を踏み、上昇状態にある栓蓋20及び支持軸32に上方から大きな荷重が加わってしまう場合がある。この場合、排水栓装置10の排水栓部12では、
図11に表したように、弾性部40の第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42が弾性変形して縮み、栓蓋20及び支持軸32に加わる衝撃を緩衝する。これにより、栓蓋20及び支持軸32などの破損を抑制することができる。
【0093】
また、インナーワイヤ16bの先端及び内筒36の上端は、インナーワイヤ16bが排水栓部12側に進出した状態で、栓蓋20及び支持軸32が下降状態に戻された場合でも、栓蓋20及び支持軸32に接触しない。従って、栓蓋20及び支持軸32が荷重によって意図せず下降状態に戻された場合でも、インナーワイヤ16bの先端に過大な力が加わることを抑制することができる。上昇状態にある栓蓋20及び支持軸32が踏まれた場合などにおいても、インナーワイヤ16bの破損を抑制することができる。
【0094】
このように、弾性部40は、上昇状態にある栓蓋20及び支持軸32に対して下方に作用する荷重が加えられた場合に、上昇状態と中間状態との間においては、第2コイルバネ42を弾性変形させ、中間状態と下降状態との間においては、第1コイルバネ41を弾性変形させる。すなわち、弾性部40においては、中間状態から下降状態までの弾性率(第1コイルバネ41の第1弾性率)が、上昇状態から中間状態までの弾性率(第2コイルバネ42の第2弾性率)よりも大きい。
【0095】
第1弾性率は、踏み付けなどの比較的大きな荷重に対抗し得る任意の弾性率でよい。踏み付けによる荷重は、例えば、25kgf程度(20kgf以上30kgf以下)である。第2弾性率は、ヘッド圧に応じて栓蓋20及び支持軸32の上昇量を変化させることが可能な任意の弾性率でよい。浴槽100内の水のヘッド圧は、例えば、満水時の水位を500mmとした場合、1.8kgf程度(1kgf以上3kgf以下)である。
【0096】
図12は、第1コイルバネ及び第2コイルバネの特性の一例を表すグラフ図である。
図12は、各コイルバネ41、42に対して圧縮する方向に荷重を加えた場合の荷重と縮み量(弾性変形量)との関係性を表す。また、
図12において、特性CT11は、第1コイルバネ41の特性を表し、特性CT12は、第2コイルバネ42の特性を表し、特性CT13は、第1コイルバネ41と第2コイルバネ42との合計の特性を表す。
【0097】
図12の特性CT11に表したように、第1コイルバネ41は、浴槽100が満水の時に栓蓋20に加わる荷重(ヘッド圧)よりも大きい荷重まで線形的に縮み量が変化する荷重特性を有する。
【0098】
一方、
図12の特性CT12に表したように、第2コイルバネ42は、例えば、浴槽100が満水の時に栓蓋20に加わる荷重において縮みきり、それより大きい荷重が加わったとしても縮み量が変化しない荷重特性を有する。
【0099】
従って、第1コイルバネ41と第2コイルバネ42とを組み合わせて用いた場合には、満水時のヘッド圧以下の荷重までは、第1コイルバネ41と第2コイルバネ42との双方が弾性変形し、満水時のヘッド圧よりも大きい荷重に対しては、第1コイルバネ41のみが弾性変形する。これにより、
図12の特性CT13に表したように、満水時のヘッド圧を境に特性が変化する非線形の荷重特性を得ることができる。弾性部40は、例えば、満水時のヘッド圧を境に特性が変化する非線形の荷重特性を有する。
【0100】
なお、第2コイルバネ42の縮みきる荷重は、必ずしも満水時のヘッド圧と一致していなくてもよい。第2コイルバネ42の縮みきる荷重は、例えば、排水速度や栓蓋20の上昇量などを考慮して適宜設定すればよい。
【0101】
図13は、弾性部の特性の一例を表すグラフ図である。
図13は、支持軸32に対して下方に作用する荷重を加えた場合の荷重と弾性部40の縮み量(弾性変形量)との関係性を表す。前述のように、第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、予め縮められた状態で支持軸32内に収容され、上昇状態にある支持軸32に対して上方に向かう弾性力を付与している。このため、第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、ある程度の荷重が加えられるまで、縮み量が実質的に変化しない。
【0102】
第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、例えば、浴槽100の半分の水位のヘッド圧に対応する荷重が加えられるまで、弾性変形を開始しない。これにより、上記のように、浴槽100内の水位が半分以下の時に、支持軸32を上昇状態にすることができる。
【0103】
このように、排水栓装置10では、栓蓋20に小さい荷重しか作用していなくても、予め縮ませている縮み量が維持される。従って、
図13において破線で示すように、縮み量が小さくなっていく訳ではない。これにより低水位排水時でも、弾性部40によって栓蓋20が上方にほどほどの力で付勢されている状態を維持できる。従って、排水時、栓蓋20の上面近傍まで水位が低下した状態において、栓蓋20に上から作用する水の荷重と、栓蓋20の下から作用する流水の圧力(栓蓋20と排水口部102との間を流れる水の圧力であり、この圧力はばらつきやすい)とのバランスで栓蓋20が上下に振動してしまうことを抑制でき、支持軸32等の破損や断続的な空気吸い込み音の発生を抑制することができる。
【0104】
以上、説明したように、本実施形態に係る排水栓装置10では、浴槽100内の水位が高く、浴槽100内の水によって栓蓋20に下方に作用する荷重が大きい時には、排水口部102からの栓蓋20及び支持軸32の上昇量を小さく抑えることができる。これにより、排水口部102の周縁部102bと栓蓋20との間の流路断面を小さく抑えることができ、浴槽100内の水位が高い場合にも、洗い場床240の排水トラップ242からの排水の溢れを抑制することができる。
【0105】
例えば、排水管の経路を縦方向に落とした場合、流路断面を小さくし、排水速度を抑えることにより、排水管などにおいてサイホン現象が発生し、排水トラップ242から吸い込まれた空気によって一時的に排水トラップ242内の封水が切れてしまう瞬時破封が生じることを抑制することもできる。例えば、瞬時破封の発生にともなって、断続的な空気吸い込み音が生じてしまうことを抑制することができる。
【0106】
一方、浴槽100内の水位が低く、浴槽100内の水によって栓蓋20に下方に作用する荷重が小さい時には、水位が高い時に比べ、排水口部102からの栓蓋20及び支持軸32の上昇量を大きくすることができる。これにより、排水口部102の周縁部102bと栓蓋20との間の流路断面を大きくすることができ、浴槽100内の水位が低い場合に、排水速度が大きく低下してしまうことを抑制することができる。従って、洗い場床240の排水トラップ242からの排水の溢れを抑制しつつ、排水完了までの時間を短くすることが可能となる。
【0107】
また、例えば、上昇状態において、入浴者や清掃者によって栓蓋20が踏まれ、栓蓋20に急激に比較的大きな荷重が加わったとしても、弾性部40が、中間状態から下降状態までの弾性率を、上昇状態から中間状態までの弾性率よりも大きくすることにより、栓蓋20の急激な下降を抑制することができ、栓蓋20などの破損も抑制することができる。
【0108】
また、排水栓装置10では、弾性部40が、浴槽100内の水のヘッド圧に応じて、栓蓋20及び支持軸32の排水口部102からの上昇量を上昇状態と中間状態との間で変化させるとともに、栓蓋20及び支持軸32が、ヘッド圧によって中間状態よりも下方に下がることを抑制する。これにより、浴槽100内の水位が高い時には、排水口部102からの栓蓋20の上昇量を小さく抑え、洗い場床240の排水トラップ242からの排水の溢れを抑制することができる。そして、浴槽100内の水位が低い時には、水位が高い時に比べて、排水口部102からの栓蓋20の上昇量を大きくし、排水速度が大きく低下してしまうことを抑制することができる。従って、洗い場床240の排水トラップ242からの排水の溢れを抑制しつつ、排水完了までの時間を短くすることが可能となる。また、栓蓋20の急激な下降を抑制し、栓蓋20などの破損も抑制することができる。
【0109】
また、排水栓装置10では、弾性部40が、第1弾性率を有する第1コイルバネ41と、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する第2コイルバネ42と、を有する。これにより、浴槽100内の水位が高い時には、第2コイルバネ42を弾性変形させることにより、排水口部102からの栓蓋20の上昇量を小さく抑えることができる。そして、栓蓋20に急激に比較的大きな荷重が加わった時には、第1コイルバネ41を弾性変形させることにより、栓蓋20の急激な下降を抑制し、栓蓋20などの破損をより確実に抑制することができる。
【0110】
また、第1コイルバネ41と第2コイルバネ42とで弾性部40を構成することにより、弾性部40を簡単な構造で実現することができる。例えば、支持軸32や弾性部40の大型化を抑制することができ、支持軸32や弾性部40が排水の妨げとなることを抑制することができる。また、第2コイルバネ42を第1コイルバネ41と別体で構成することにより、弾性部40をより簡単な構造で実現することができる。
【0111】
また、排水栓装置10では、支持軸32が、中空状であり、第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42は、上下方向に重ねて支持軸32の内部に設けられる。これにより、弾性部40をより簡単な構造で実現することができる。また、第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42を支持軸32の内部に設けることにより、汚れが付着すると掃除し難い箇所に設けられる第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42が、排水などで汚れてしまうことを抑制することができる。さらに、上下方向に重ねて配置することにより、支持軸32が太くなってしまうことを抑制でき、支持軸32が排水の妨げとなることを抑制することができる。
【0112】
また、排水栓装置10では、第2コイルバネ42の形状が、第1コイルバネ41の形状と異なる。これにより、第1コイルバネ41と第2コイルバネ42とで弾性部40を構成する場合に、取り付け間違いなどが発生してことを抑制することができる。すなわち、弾性部40において、2つのコイルバネの両方を第1コイルバネ41又は第2コイルバネ42としてしまうことを抑制することができる。
【0113】
また、排水栓装置10では、弾性部40が、上昇状態にある支持軸32に対して上方に向かう弾性力を付与する。これにより、例えば、低水位排水時でも、弾性部40によって栓蓋20が上方にほどほどの力で付勢されている状態を維持できる。従って、排水時、栓蓋20の上面近傍まで水位が低下した状態において、栓蓋20に上から作用する水の荷重と、栓蓋20の下から作用する流水の圧力とのバランスで栓蓋20が上下に振動してしまうことを抑制でき、支持軸32等の破損や断続的な空気吸い込み音の発生を抑制することができる。
【0114】
図14は、実施形態に係る支持機構の変形例を表す断面図である。
図14に表したように、この例では、弾性部40が、第1弾性率を有する第1部分40aと、第1弾性率よりも小さい第2弾性率を有する第2部分40bと、を有する1つのコイルバネで構成されている。第1部分40aの直径は、第2部分40bの直径と実質的に同じである。一方、第1部分40aの巻線のピッチは、第2部分40bの巻線のピッチよりも狭い。すなわち、この例において、弾性部40は、いわゆる不等ピッチコイルバネである。このように、巻線のピッチを変化させた場合にも、
図12において特性CT13で表した、満水時のヘッド圧を境に特性が変化する非線形の荷重特性を得ることができる。
【0115】
弾性部40を不等ピッチコイルバネとする場合、巻線のピッチは、段階的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。すなわち、弾性部40の非線形の荷重特性は、
図12の特性CT13に表した直線の傾きが変化する特性に限ることなく、例えば、二次曲線的に変化する特性などでもよい。
【0116】
このように、非線形の荷重特性を有する弾性部40は、1つの弾性部材で構成でもよいし、複数の弾性部材で構成してもよい。1つの弾性部材で弾性部40を構成する場合、弾性部材は、不等ピッチコイルバネに限ることなく、例えば、巻線の径を変化させる、いわゆるテーパコイルバネなどでもよい。弾性部材の構成は、非線形の荷重特性を形成可能な任意の構成でよい。
【0117】
但し、踏み付けなどにおいて栓蓋20に加わる荷重は、浴槽100内の水のヘッド圧に比べてかなり大きい。従って、上記実施形態で表したように、弾性部40を第1コイルバネ41及び第2コイルバネ42などの複数の弾性部材で構成する。これにより、例えば、踏み付けなどに対応する荷重特性と、浴槽100内の水のヘッド圧に対応する荷重特性と、を形成し易くすることができる。また、弾性部40は、コイルバネに限ることなく、例えば、ゴムなどの弾性体で構成してもよい。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、排水栓装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。