特許第6784971号(P6784971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784971
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】着脱式電動台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20201109BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20201109BHJP
   B62B 3/04 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   B62B3/00 G
   B62B3/02 F
   B62B3/04 B
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-169100(P2016-169100)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-34633(P2018-34633A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月23日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、「革新的設計生産技術 東工大−大田区協創による喜びを創出する革新的ものつくり環境の構築と快適支援機器の設計製造技術の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】391005444
【氏名又は名称】有限会社安久工機
(73)【特許権者】
【識別番号】502226151
【氏名又は名称】シマフジ電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516262446
【氏名又は名称】株式会社ヤマショウ
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 玄
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆
(72)【発明者】
【氏名】東 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】犬尾 武
(72)【発明者】
【氏名】清水 治代
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−122124(JP,A)
【文献】 特開2006−298157(JP,A)
【文献】 特開2008−114623(JP,A)
【文献】 米国特許第5322306(US,A)
【文献】 特開平11−157452(JP,A)
【文献】 特開2004−74875(JP,A)
【文献】 特開2011−207327(JP,A)
【文献】 特開2004−49523(JP,A)
【文献】 特開2015−16080(JP,A)
【文献】 特開2001−71927(JP,A)
【文献】 特開2000−62658(JP,A)
【文献】 特開平10−109649(JP,A)
【文献】 特開2003−118622(JP,A)
【文献】 特開2011−104663(JP,A)
【文献】 特開2006−233633(JP,A)
【文献】 特開2001−222372(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011076517(DE,A1)
【文献】 特開2010−167076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
B62B 3/02
B62B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動台車に連結されるための連結部を有するベースと、
前記ベースの底部に設けられた1対のモータと、
前記ベースの底部に対向して設けられ、前記各モータによって駆動されるための1対の駆動輪と、
前記ベースと前記1対の駆動輪との間に設けられ、前記1対の駆動輪が前記ベースの垂直軸に対して回転できるようにするための受動関節と、
前記各モータを介して前記各駆動輪を独立に制御するための制御ユニットと
を具備し、
前記連結部は、
前記ベースの前記受動台車側の両端に設けられたトグルクランプと、
前記トグルクランプの先端に前記受動台車のポールを把持するためのUアタッチメントと、
前記ベースの前記受動台車側に設けられ、前記受動台車の荷台の一端を載せて押し上げるための傾斜部材と
を具備し、
前記傾斜部材のベース側の上端には前記受動台車の荷台の一端に当接するための荷台当接部が設けられ、
前記受動台車のポールを前記Uアタッチメントによって把持させた後に前記トグルクランプによって前記受動台車の荷台の一端を前記荷台当接部に当接させることにより前記受動台車の前記ベース側の第1の受動輪を浮かさせる一方、前記受動台車の前記ベース側から離れた第2の受動輪を接地させた状態で、前記制御ユニットは前記各駆動輪を独立に制御するようにした着脱式電動台車。
【請求項2】
前記ベース上に設けられ、前記制御ユニットに前記1対のモータを駆動するための操作信号を送出するための操作インタフェースを具備する請求項1に記載の着脱式電動台車。
【請求項3】
前記操作信号は前記1対の駆動輪が前方又は後方へ直進させるための直動方向信号と前記1対の駆動輪の推進方向を変化させるための斜行方向信号よりなる請求項に記載の着脱式電動台車。
【請求項4】
前記操作インタフェースは縦ハンドル型操作インタフェースであり、該縦ハンドル型操作インタフェースを並進させることにより前記直動方向信号を変化するようにし、前記縦ハンドル型操作インタフェースを捩ることにより前記斜行方向信号を変化するようにした請求項に記載の着脱式電動台車。
【請求項5】
前記操作インタフェースはジョイスティック型操作インタフェースであり、該ジョイスティック型操作インタフェースを一方向側へ倒すことにより前記直動方向信号を変化するようにし、前記ジョイスティック型操作インタフェースを他方向側へ倒すことにより前記斜行方向信号を変化するようにした請求項に記載の着脱式電動台車。
【請求項6】
前記制御ユニットは前記直動方向信号及び前記斜行方向信号を受信して前記1対の駆動輪を独立に制御する請求項に記載の着脱式電動台車。
【請求項7】
さらに、前記受動関節に設けられ、前記ベース上の基準横軸に対する前記1対の駆動輪の共通軸の関節角度信号を発生する関節角度センサを具備し、
前記制御ユニットは、
受動関節角度一定モードか否かを判別する手段と、
前記受動関節角度一定モードが成立したときに前記関節角度センサの関節角度信号の値が目標関節角度となるように前記1対の駆動輪の回転速度をフィードバック制御する手段と
を具備する請求項に記載の着脱式電動台車。
【請求項8】
前記受動関節角度一定モードの判定は前記直動方向信号の変化が第1の所定値以下かつ前記斜行方向信号の変化が第2の所定値以下が成立したか否かによる請求項に記載の着脱式電動台車。
【請求項9】
前記受動関節角度一定モードの判定は操作インタフェースの受動関節角度一定モードのスイッチがオンしたか否かによる請求項に記載の着脱式電動台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受動台車たとえばかご台車を牽引するための着脱式電動台車に関する。
【背景技術】
【0002】
かご台車は前後受動輪の一方又は両方にキャスタ輪を有し、オペレータによって前後左右に移動できる。この場合、かご台車は1台又は連結された複数台で移動する。このとき、かご台車全体の荷重が大きいときには、オペレータの人力のみでは移動が困難となるので、かご台車を牽引するための着脱式電動台車によって移動するのが便利である。
【0003】
かご台車を牽引するための従来の着脱式電動台車は、かご台車にフックによって連結されるための本体と、本体の底部に設けられた1つのモータと、本体の底部に対向して設けられ、モータによって差動ギアを介して駆動される1対の駆動輪と、本体の前部に設けられた補助輪と、本体の前部に設けられ、補助輪の方向を変更するためのアームとによって構成されている(参照:非特許文献1)。電動台車とかご台車との連結はフックによって行われるので、着脱容易である。
【0004】
上述の従来の着脱式電動台車においては、同時に回転した駆動輪の直進方向の推進力によって電動台車を直進させ、他方、駆動輪つまり電動台車の推進方向の変更又は旋回はオペレータの人力によってアームを操舵して補助輪の方向を変更することによって行われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.zallys.com/frontend/controller/prodotti.php?prod=212&cod=Z163.720-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来の着脱式電動台車においては、駆動輪つまり電動台車の推進方向の変更又は旋回はオペレータの人力によるアームの操舵によって行われるので、牽引されるかご台車が重くなればなる程、モーメントアームを稼ぐ必要性からアーム長を大きくしなければならない。この結果、電動台車の全長が大きくなり、狭い場所で旋回するのが困難であるという課題がある。
【0007】
また、駆動輪つまり電動台車の推進方向の変更又は旋回は、オペレータが腕をアームに固定したまま、時折振返るようにして操作しなければならず、この結果、オペレータの身体的な負担が大きいという課題もある。
【0008】
さらに、上述の駆動輪の接地圧力は電動台車の荷重のみで決定されるので、かご台車の荷重が増大すると、接地圧力は相対的に小さくなる。この結果、駆動輪が空回りして電動台車は動かなくなるという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明に係る着脱式電動台車は、受動台車に連結されるための連結部を有するベースと、ベースの底部に設けられた1対のモータと、ベースの底部に対向して設けられ、各モータによって駆動されるための1対の駆動輪と、ベースと1対の駆動輪との間に設けられ、1対の駆動輪がベースの垂直軸に対して回転できるようにするための受動関節と、各モータを介して各駆動輪を独立に制御するための制御ユニットとを具備し、連結部は、ベースの受動台車側の両端に設けられたトグルクランプと、トグルクランプの先端に受動台車のポールを把持するためのUアタッチメントと、ベースの受動台車側に設けられ、受動台車の荷台の一端を載せて押し上げるための傾斜部材とを具備し、傾斜部材のベース側の上端には受動台車の荷台の一端に当接するための荷台当接部が設けられ、受動台車のポールをUアタッチメントによって把持させた後にトグルクランプによって受動台車の荷台の一端を荷台当接部に当接させることにより受動台車のベース側の第1の受動輪を浮かさせる一方、受動台車のベース側から離れた第2の受動輪を接地させた状態で、制御ユニットは各駆動輪を独立に制御するようにしたものである。1対の駆動輪の同一方向の同一回転速度により電動台車は駆動輪の前方又は後方へ直進し、1対の駆動輪の異方向の同一回転速度により駆動輪の推進方向を変更する。また、1対の駆動輪の異なる回転速度により駆動輪つまり電動台車は左旋回又は右旋回する。さらに、連結部は受動台車の前方側の受動輪を浮かすように受動台車に連結される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駆動輪の推進方向の変更又は旋回は駆動輪の異方向の同一回転速度又は同一方向あるいは異方向の異なる回転速度により行われるので、操作用アームが不要となり、この結果、電動台車の全長を短くでき、狭い場所でも旋回できる。
【0011】
また、操作用アームの操作が不要となるので、オペレータの身体的な負担を軽減できる。
【0012】
さらに、駆動輪の接地圧力は電動台車の荷重と受動台車の荷重の一部とによって決定されるので、受動台車の荷重が増大すると、接地圧力も大きくなる。この結果、駆動輪の空回りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る着脱式電動台車の実施の形態を示す側方斜視図である。
図2図1の前方斜視図である。
図3図1図2の連結部の詳細を示す全体側面図である。
図4図3のトグルクランプの動作を説明するための図である。
図5図1図2の操作インタフェースの第1の例を示し、(A)は全体斜視図、(B)は部分拡大斜視図である。
図6図1図2の操作インタフェースの第2の例を示し、(A)は全体斜視図、(B)は部分拡大図である。
図7図1図2の制御ユニットの詳細なブロック回路図である。
図8図7のCPUの動作を説明するためのフローチャートである。
図9図7のROMに予め記憶された2次元マップ値を示す表である。
図10図8のステップ803を詳細説明するための図である。
図11図8のステップ807、808を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明に係る着脱式電動台車の実施の形態を示す側方斜視図、図2図1の前方斜視図である。
【0015】
図1図2において、着脱式電動台車1は受動台車たとえばかご台車2を牽引するためのものである。かご台車2はその荷台21の底面に1対の前方受動輪22、1対の後方受動輪23及び荷台21上の複数のポール24を有する。この場合、前方受動輪22及び/又は後方受動輪23はキャスタ輪である。
【0016】
電動台車1は板状のベース11を有し、ベース11の底部には所定距離だけ離間しかつ対向して1対の駆動輪12−1、12−2が設けられる。駆動輪12−1、12−2は共通軸12aの中央に設けられた平板12b及び共通軸2aの両端と平板12bとを支持するコ字状枠12cによって支持されている。各駆動輪12−1、12−2は、アウタロータ型ブラシレスDCモータ12−1a、12−2a、及びそのフライホイールの外周面に設けられたタイヤ12−1b、12−2bよりなる。但し、駆動輪12−1、12−2は、外付けのDCモータによって駆動されるものでもよい。また、駆動輪12−1、12−2のコ字状枠12cは受動関節13を介してベース11に結合されている。これにより、駆動輪12−1、12−2はベース11の垂直軸Aに対して回転できるようになる。また、受動関節13には関節角度センサ13aを設ける。この関節角度センサ13aはベース11上の基準横軸A図11参照)に対する駆動輪12−1、12−2の共通軸12aの関節角度信号θを出力する。この関節角度信号θは後述の制御ユニット14に送られる。
【0017】
ベース11の裏面には駆動輪12−1、12−2を独立に制御するための制御ユニット(たとえばマイクロコンピュータ)14(図1図2に図示せず、図7に図示)が設けられる。制御ユニット14により、駆動輪12−1、12−2を同一方向に同一回転速度で制御すると、電動台車1は駆動輪12−1、12−2の推進力によって駆動輪12−1、12−2の前方又は後方へ直進する。他方、制御ユニット14により、駆動輪12−1、12−2を異方向に同一回転速度で制御すると、駆動輪12−1、12−2の推進方向が変化する。また、制御ユニット14により、駆動輪12−1、12−2の回転速度を異ならせると、駆動輪12−1、12−2つまり電動台車1は左旋回又は右旋回する。この場合、回転速度差が大きいと、小さい半径で旋回し、回転速度差が小さいと、大きい半径で旋回する。
【0018】
ベース11には、かご台車2の荷台21に連結するための連結部15を有する。この連結部15はかご台車2の荷台21に連結されたときに、前方受動輪22を浮かすようにする。これにより、駆動輪12−1、12−2には電動台車1の荷重に加えてかご台車2の荷重の一部が印加される。この結果、かご台車2の荷重が増大しても、駆動輪12−1、12−2の接地圧力が増大するので、駆動輪12−1、12−2の空転を確実に防止できる。
【0019】
尚、図1図2における補助輪16は着脱式電動台車1をかご台車2から離脱して立置きする際に用いられ、また、アーム17は離脱した着脱式電動台車1を移動する際に用いられるものである。従って、補助輪16及びアーム17は、共に、電動台車1の操作には関与しないので、大きくする必要がない。他方、電動台車1の操作に関与する操作インタフェースとして図5図6に示すものがある。図5図6については後述する。
【0020】
図3図1図2の連結部15の詳細を示す全体側面図、図4図3のトグルクランプの動作を説明するための図である。
【0021】
図3に示すように、連結部15は、ベース11のかご台車2側の両端に設けられたトグルクランプ151及び傾斜部材152よりなる。傾斜部材152はかご台車2側のベース11の一部に設ければよい。トグルクランプ151の先端にはかご台車2の1つのポール24を把持するためのUアタッチメント151aを設けてある。傾斜部材152のベース11側の上端にはかご台車2の荷台21の一端が当接するための荷台当接部152aが設けられる。
【0022】
図3図4においては、かご台車2の荷台21を傾斜部材152に載せると共に、トグルクランプ151のUアタッチメント151aをかご台車2のポール24に嵌込んでトグルクランプ151の取手を押し下げる。これにより、かご台車2のポール24がトグルクランプ151に固定されると共に、かご台車2の荷台21の一端が傾斜部材152の傾斜によってd=10mm程度浮き上がる。この結果、かご台車2の前方受動輪22がd=10mm程度浮かぶ浮遊状態になる。
【0023】
このように、電動台車1とかご台車2とは連結部15のトグルクランプ151によって容易に着脱できると共に、電動台車1がかご台車2に連結されたときには、かご台車2の前方受動輪22は浮き上がることになる。
【0024】
図5図1図2の制御ユニット14に操作信号を供給するための操作インタフェースの第1の例を示し、(A)は全体斜視図、(B)は部分拡大斜視図である。図5に示すように、操作インタフェース18はベース11上に設けられた縦ハンドル型であり、レール(図示せず)に沿う直動方向Xに並進させると、直動ポテンショメータ181がX成分信号(直動方向信号)を発生し、電動台車1は駆動輪12−1、12−2の前方又は後方に直進し、操作インタフェース18を捩り方向Tに捩ると、回転ポテンショメータ182がT成分信号(斜行方向信号)を発生し、駆動輪12−1、12−2の推進方向は変化し、操作インタフェース18を直動方向X及び捩り方向Tに同時に変化させると、駆動輪12−1、12−2つまり電動台車1は左旋回又は右旋回する。
【0025】
図6図1図2の操作インタフェースの第2の例を示し、(A)は全体斜視図、(B)は部分拡大斜視図である。図6に示すように、操作インタフェース19はベース11上に設けられたジョイスティック型であり、直動方向Xに傾けると、回転ポテンショメータ191がX成分信号(直動方向信号)を発生し、電動台車1は駆動輪12−1、12−2の前方又は後方に直進し、操作インタフェース18を捩り方向Tに傾けると、回転ポテンショメータ192がT成分信号(斜行方向信号)を発生し、電動台車1の推進方向が変化し、操作インタフェース18を直動方向X及び捩り方向Tに同時に変化させると、電動台車1は左旋回又は右旋回する。
【0026】
図5図6の操作インタフェース18、19の運動量は小さく、従って、従来のアームに比較して小さいので、電動台車1を大型化する必要はない。
【0027】
図7図1図2の制御ユニット14の詳細なブロック回路図である。
【0028】
図7において、制御ユニット14は、操作インタフェース18又は19からの直動方向X、捩り方向Tの各X、T成分信号をアナログ/ディジタル(A/D)変換するA/D変換器141、142、関節角度センサ13aの関節角度信号θをA/D変換するA/D変換器143、直動方向X、捩り方向Tの各X、T成分信号及び関節角度信号θを処理する中央処理装置(CPU)144、及び駆動輪12−1、12−2のディジタル回転速度V1、V2をD/A変換するD/A変換器145、146、及びリードオンリメモリ(ROM)147、ランダムアクセスメモリ(RAM)148等よりなる。D/A変換器145、146のアナログ回転速度V1、V2(便宜上、ディジタル回転速度と同一表示とする)は回転方向信号D1、D2と共に駆動輪12−1、12−2つまりDCモータ12−1a、12−2aの各駆動回路(図示せず)に送出される。
【0029】
図8図7のCPU144の動作を説明するためのフローチャートである。図8のフローチャートは所定時間毎に実行される時間割込みルーチンである。尚、X、X0、T、T0、θ0は予め初期化たとえば0としておく。
【0030】
始めに、ステップ801において、A/D変換器141、142を動作させて図5又は図6の操作インタフェース18又は19からの直動方向X、捩り方向Tの各X、T成分をA/D変換して取込む。
【0031】
次に、ステップ802では、受動関節角度一定モードか否かを判別する。たとえば、X成分の変化量ΔX(=|X−X0|)(但し、X0はXの前回値)が第1の所定値以下かつT成分の変化量ΔT(=|T−T0|)(但し、T0はTの前回値)が第2の所定値以下のときに、受動関節角度一定モードが成立し、その他の場合には、受動関節角度一定モードは不成立である。受動関節角度一定モードが不成立のときには、ステップ803、804に進み、受動関節角度一定モードが成立のときには、ステップ805〜808に進む。
【0032】
ステップ803において、直動方向X、捩り方向Tの各X、T成分に基づいて駆動輪12−1、12−2の回転方向D1、D2、回転速度V1、V2及び目標受動関節角度θ0の各最適値を演算する。各最適値は、ROM147に図9に示す2次元マップとして予め記憶されている。
【0033】
たとえば、捩り方向Tの成分がゼロで、直動方向XのX成分が正であれば、駆動輪12−1、12−2の回転方向D1、D2及び回転速度V1、V2を
D1=D2=1(正方向回転)
V1=V2=V(T=0で直動方向XのX成分に応じたROM値に基づいて補間計算した値)
とする。これにより、図10の(A)に示すごとく、電動台車1を駆動輪12−1、12−2の前方側へ直進するようにする。また、受動関節13の目標関節角度θ0を
θ0=0
とする。
【0034】
また、捩り方向Tの成分がゼロで、直動方向XのX成分が負であれば、駆動輪12−1、12−2の回転方向D1、D2及び回転速度V1、V2を
D1=D2=0(逆方向回転)
V1=V2=V(T=0で直動方向XのX成分に応じたROM値に基づいて補間計算した値)
とする。これにより、図10の(B)に示すごとく、電動台車1を駆動輪12−1、12−2の後方側へ直進するようにする。また、受動関節13の目標関節角度θ0を
θ0=0
とする。
【0035】
さらに、直動方向Xの成分がゼロで、捩り方向TのT成分が正であれば、駆動輪12−1、12−2の回転方向D1、D2及び回転速度V1、V2を
D1=1(正方向回転)
D2=0(逆方向回転)
V1=V2=V(X=0で捩り方向TのT成分に応じたROM値に基づいて補間計算した値)
とする。これにより、図10の(C)に示すごとく、電動台車1の推進方向をたとえば左方向へ変化するようにする。尚、その後、直動方向Xの動作を行うことにより電動台車1は左方向へ斜行できる。また、受動関節13の目標関節角度θ0を
θ0=θ0(X=0で捩り方向TのT成分に応じたROM値に基づいて補間計算した値)
とする。
【0036】
さらにまた、直動方向XのX成分がゼロで、捩り方向TのT成分が負であれば、駆動輪12−1、12−2の回転方向D1、D2及び回転速度V1、V2を
D1=0(逆方向回転)
D2=1(正方向回転)
V1=V2=V(X=0で捩り方向TのT成分に応じたROM値に基づいて補間計算した値)
とする。これにより、図10の(D)に示すごとく、電動台車1の推進方向をたとえば右方向へ変化するようにする。尚、その後、直動方向Xの動作を行うことにより電動台車1は右方向へ斜行できる。また、受動関節13の目標関節角度θ0を
θ0=θ0(X=0で捩り方向TのT成分に応じたROM値に基づいて補間計算した値)
とする。
【0037】
さらにまた、直動方向Xの成分も捩り方向Tの成分も共にゼロでないときには、駆動輪12−1、12−2の回転方向D1、D2、回転速度V1、V2は、直動方向X、捩り方向Tの各X、T成分に応じて予め記憶されたROM値を読出して補間計算で設定する。これにより、駆動輪12−1、12−2の回転速度差が大きければ、図10の(E)に示すごとく、電動台車1は小さい径で旋回でき、他方、駆動輪12−1、12−2の回転速度差が小さければ、図10の(F)に示すごとく、電動台車1は大きい径で旋回できる。また、受動関節13の目標関節角度θ0を
θ0=θ0(直動方向XのX成分、捩り方向TのT成分に応じたROM値に基づいて補間計算した値)
とする。
【0038】
尚、ステップ803にて演算されたD1、D2、V1、V2、θ0はステップ805〜809において用いるためにRAM148に格納しておく。
【0039】
次に、ステップ804にて、X、T成分を
X0←X
T0←T
として前回値X0、T0を更新しておく。この前回値X0、T0はたとえばステップ802にて用いる。
【0040】
他方、ステップ805〜808について説明する。
【0041】
ステップ805では、A/D変換器143を動作させて関節角度センサ13aから関節角度信号θをA/D変換して取込む。
【0042】
次に、ステップ806にて、関節角度信号θをRAM148に格納されている目標関節角度θ0と比較する。この結果、θ<θ0−Δθ(小さい所定値)であればステップ807に進み、θ>θ0+Δθであればステップ808に進み、θ0−Δθ≦θ≦θ0+Δθであれば直接ステップ806に進む。
【0043】
ステップ807では、たとえば、図11の(A)に示すごとく、
V1←V1−ΔV(小さい正の所定値)
V2←V2+ΔV
とし、受動関節13の関節角度θをθ0に近づけるようにし、逆に、ステップ808では、たとえば、図11の(B)に示すごとく、
V1←V1+ΔV
V2←V2−ΔV
として、受動関節13の関節角度θをθ0に近づけるように回転速度V1、V2をフィードバック制御する。つまり、関節角度θをθ0−Δθ〜θ0+Δθの範囲内に収束させるようにする。
【0044】
次に、ステップ809にて、駆動輪12−1の回転方向D1及び回転速度V1を駆動輪12−1つまりDCモータ12−2aの駆動回路に送出し、また、駆動輪12−2の回転方向D2及び回転速度V2を駆動輪12−2つまりDCモータ12−2bの駆動回路に送出する。
【0045】
そして、ステップ810にてこの時間割込みルーチンは終了する。
【0046】
尚、図8のステップ802の受動関節角度一定モードの判定は操作インタフェース18又は19に受動関節一定モードスイッチを設け、受動関節一定モードスイッチがオンか否かの判別によって行ってもよい。
【0047】
このように、図8のルーチンによれば、たとえば操作インタフェース18又は19が微小な変化をした場合には、そのときの受動関節13の関節角度θを目標関節角度θ0に維持する。特に、電動台車1が旋回中であれば、一定の旋回半径で安定的に旋回することができる。
【0048】
尚、上述の実施の形態においては、操作インタフェース18又は19と制御ユニット14との接続は有線、無線のいずれでもよい。
【0049】
また、本発明は、上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更も適用し得る。
【符号の説明】
【0050】
1:着脱式電動台車
11:ベース
12−1、12−2:駆動輪
12a:共通軸
12b:平板
12c:コ字状枠
13:受動関節
13a:関節角度センサ
14:制御ユニット
141、142、143:A/D変換器
144:CPU
145、146:D/A変換器
147:ROM
148:RAM
15:連結部
151:トグルクランプ
151a:Uアタッチメント
152:傾斜部材
16:補助輪
17:アーム
18:縦ハンドル型操作インタフェース
181:直動ポテンショメータ
182:回転ポテンショメータ
19:ジョイスティック型操作インタフェース
191:回転ポテンショメータ
192:回転ポテンショメータ
2:受動台車(かご台車)
21:荷台
22:前方受動輪
23:後方受動輪
24:ポール
X:直動方向信号
Y:捩り方向信号(斜行方向信号)
:垂直軸
:基準横軸
図1
図2
図3
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図11