特許第6785265号(P6785265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785265
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/04 20060101AFI20201109BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20201109BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H01R13/04 Z
   H01R13/42 B
   H01R13/52 301A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-114269(P2018-114269)
(22)【出願日】2018年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-220255(P2019-220255A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高木 章義
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智治
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−037147(JP,A)
【文献】 特開2004−327107(JP,A)
【文献】 特開2014−072169(JP,A)
【文献】 特開2012−113853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40−13/533
H01R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子接触部を有する導電性の端子本体と、前記端子接触部の後端側に配置され、前記端子本体をハウジングに設置する端子保持部とを有する絶縁部材を備え、前記ハウジングに設置される端子であって、
前記ハウジングに設けられている係止部に係合することで前記ハウジングに設置されるときに廻ってしまうことを防止する廻り防止部が、前記端子保持部に設けられており、
前記ハウジングの係止部は、アーム部とこのアーム部の先端に設けられている係止爪部とを備えて構成されており、
前記廻り防止部は、前記ハウジングに設置される途中の状態で前記係止爪部に係合する第1の被係合部と、前記ハウジングへの設置が終了したきに前記係止爪部に係合し前記ハウジングからの抜け止めをする第2の被係合部とを備えて構成されていることを特徴とする端子。
【請求項2】
請求項1に記載の端子であって、
前記端子保持部には、前記ハウジングに設置されたときに、前記ハウジングと前記端子保持部との間をシールするシール部が設けられており、
前記ハウジングに設置するときの移動方向で見ると、前記ハウジングの係止部と前記廻り防止部とが前記シール部の内側に位置していることを特徴とする端子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の端子において、
前記端子本体の端子接触部の内側には、軸方向に連通空間部が形成されており、
前記絶縁部材は、前記端子接触部の先端より前方に突出する先端絶縁部と、前記連通空間部に配置され、前記先端絶縁部と前記端子保持部間を連結する連通樹脂部とを備えていることを特徴とする端子。
【請求項4】
端子接触部を有する導電性の端子本体と、前記端子接触部の後端側に配置され、前記端子本体をハウジングに設置する端子保持部とを有する絶縁部材を備え、前記ハウジングに設置される端子であって、
前記ハウジングに設けられている係止部に係合することで前記ハウジングに設置されるときに廻ってしまうことを防止する廻り防止部が、前記端子保持部に設けられており、
前記端子本体の端子接触部の内側には、軸方向に連通空間部が形成されており、
前記絶縁部材は、前記端子接触部の先端より前方に突出する先端絶縁部と、前記連通空間部に配置され、前記先端絶縁部と前記端子保持部間を連結する連通樹脂部とを備えていることを特徴とする端子。
【請求項5】
円筒状部と、電線の芯線を保持する芯線保持部と、前記円筒状部と前記芯線保持部との間で前記円筒状部と前記芯線保持部とをつないでいる連結部とを備えた端子本体と、
前記端子本体の円筒状部の後端部と前記端子本体の連結部の前端部とに設けられ前記端子本体の円筒状部の後端部と前記端子本体の連結部の前端部とを覆っている後端絶縁部を備えた絶縁部材と、
を有し、前記後端絶縁部は、前記芯線保持部とは反対側に位置している第1の円柱状部位と、前記芯線保持部側に位置している第2の円柱状部位とを備えて構成されており、
前記第1の円柱状部位の前記芯線保持部とは反対側に位置している前側箇所には、前記第1の円柱状部位の中心軸と平行な一対の第1の平面状部が形成されており、前記一対の第1の平面状部はお互いが平行になっているとともに前記第1の円柱状部位の中心軸に対してお互いが対称になっており、
前記第1の円柱状部位の前記芯線保持部側に位置している後側箇所には、前記第1の平面状部位と平行な一対の第2の平面状部が形成されており、前記一対の第2の平面状部は前記第1の円柱状部位の中心軸に対してお互いが対称になっているとともに、前記一対の第2の平面状部間の距離の値は、前記一対の第1の平面状部間の距離の値よりも小さくなっていることを特徴とする端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端に絶縁部を備えた端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングに設置されて使用される端子であって、軸方向に連通空間部が形成された端子接触部を有する導電性の端子本体と、端子接触部の先端より前方に突出する先端絶縁部と、端子接触部の後端側に配置され端子本体を固定する端子保持部と、連通空間部に配置され先端絶縁部と端子保持部間を連結する連通樹脂部とを備えて構成されている端子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−72169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の端子には、端子本体、先端絶縁部および端子保持部が円柱状に形成されているので、従来の端子が設置されるハウジングとの間でのシール性(防水性)は確保することができるが(端子保持部に円環状のシール部材を設置等することで確保することができるが)、ハウジングに対して回転(上記円柱の中心軸まわりで回転)してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、ハウジングに設置されて使用される端子であって、ハウジングに設置されるときに、ハウジングに対して回転してしまうことを防止することができる端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、端子接触部を有する導電性の端子本体と、前記端子接触部の後端側に配置され、前記端子本体をハウジングに設置する端子保持部とを有する絶縁部材を備え、前記ハウジングに設置される端子であって、前記ハウジングに設けられている係止部に係合することで前記ハウジングに設置されるときに廻ってしまうことを防止する廻り防止部が、前記端子保持部に設けられており、前記ハウジングの係止部は、アーム部とこのアーム部の先端に設けられている係止爪部とを備えて構成されており、前記廻り防止部は、前記ハウジングに設置される途中の状態で前記係止爪部に係合する第1の被係合部と、前記ハウジングへの設置が終了したきに前記係止爪部に係合し前記ハウジングからの抜け止めをする第2の被係合部とを備えて構成されている端子である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハウジングに設置されて使用される端子であって、ハウジングに設置されるときに、ハウジングに対して回転してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る端子が設置されているハウジングの側面図である。
図2図1におけるII矢視図である。
図3図2におけるIII矢視図である。
図4図2におけるIV−IV断面図である。
図5図3におけるV−V断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る端子と、ハウジングの分解斜視図である。
図7図4におけるIV部の拡大図である。
図8】本発明の実施形態に係る端子の斜視図である。
図9図8におけるIX矢視図である。
図10図8におけるX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る端子1は、たとえば、充電インレット装置3のコネクタ2の端子(オス端子)として使用されるものであり、図1図7等で示すように、充電インレット装置3のコネクタ2のハウジング5に設置されて使用されるものである。
【0010】
充電インレット装置3は、車両(図示せず)に設置されて使用される。充電インレット装置3は、充電スタンド等の充電コネクタ(図示せず)に嵌合され、充電コネクタを介して受電するようになっている。
【0011】
ここで、説明の便宜のために、空間における所定の一方向を前後方向とし、前後方向に対して直交する所定の一方向を横方向とし、前後方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0012】
オス端子1は、図8図10で示すように、導電性の端子本体7と、端子本体7に固定された絶縁樹脂部9とを備えて構成されている。端子本体7は、所定形状の導電性プレートをプレス加工で折り曲げることによって形成されている。
【0013】
端子本体7は、相手端子のメス端子(図示せず)が接触する端子接触部11と、電線接続部13と、これらを連結する繋ぎ部15とを備えて構成されている。端子接触部11は、軸方向(前後方向)に連通空間部である貫通孔17が設けられた筒状(円筒状)に形成されている。電線接続部13は、一対の加締片16を有し、一対の加締片16によって中継電線21が加締め接続されている(図6参照)。
【0014】
絶縁樹脂部(絶縁部材)9は、端子接触部11の先端(前端)より前方に突出している先端絶縁部23と、端子接触部11の後側に配置され端子1をハウジング(樹脂製で一体成形されたハウジング)5に一体的に設置するための端子保持部25と、端子接触部11の貫通孔17に配置され(端子接触部11の内側に配置され)、先端絶縁部23と端子保持部25間を連結する連通樹脂部27とを備えて構成されている。
【0015】
また、端子1の端子保持部25には、図7図10で示すように、廻り止め部(廻り防止部)29が設けられている。端子1の廻り止め部29は、端子1がハウジング5に設置されるときに(たとえば、設置されている途中や設置が終了した時点で)ハウジング5に設けられている係止部(ロック爪)31に係合するようになっている。そして、端子1が筒状の端子接触部11の中心軸まわりで廻ってしまうことを防止するようになっている。
【0016】
なお、端子接触部11の中心軸は、ハウジング5に端子1を設置するときにおける端子1の移動方向(前後方向)に延びている。
【0017】
ハウジング5の係止部31は、ハウジングの本体部33から延出しており、可撓性を備えた棒状のアーム部35とこのアーム部35の先端に設けられている係止爪部37とを備えて構成されている。
【0018】
廻り止め部29は、第1の被係合部(第1の被係止部)39と第2の被係合部(第2の被係止部)41とを備えて構成されている。第1の被係合部は、端子1がハウジング5に設置される途中の状態で係止爪部37に係合して、端子1の廻り止めをするようになっている。第2の被係合部41は、端子1のハウジング5への設置が終了したきに係止爪部37に係合し、端子1のハウジング5からの抜け止めをするようになっている。
【0019】
また、端子1のハウジング5への設置が終了したきに、ハウジング5の係止部31の係止爪部37が第2の被係合部41に係合していることで、端子1の抜け止めに加えて、端子1の廻り止めが防止されている。
【0020】
なお、端子1のハウジング5への設置が終了したきに、ハウジング5の係止部31のアーム部35が第1の被係合部39に係合(接触)していることで、端子1の廻り止めが防止される構成であってもよい。
【0021】
また、端子保持部25には、端子1がハウジング5に設置されたときに、ハウジング5と端子保持部25との間をシールするシール部(止水部)43が設けられている。
【0022】
シール部43は、端子1をハウジング5に設置するときの端子1の後側から前側へ向かう移動方向(ハウジングに対する端子の移動方向)で、廻り止め部29よりも後側に設けられている。
【0023】
ハウジング5への端子1の設置をしているときやハウジング5への端子1の設置が終了したときに、ハウジング5に設置するときの端子1の移動方向(前後方向)で見ると、ハウジング5の係止部31と廻り止め部29とがシール部43の内側に位置している。
【0024】
ここで、端子1についてさらに詳しく説明する。端子1は、端子本体7と絶縁部材9とを備えて構成されている。
【0025】
端子本体7は、円筒状部(端子接触部)11と、電線(中継電線)21の芯線22を保持する芯線保持部(電線接続部13の一部)45と、電線21の被覆(芯線22を覆っている被覆)を保持する被覆保持部(電線接続部13の他の一部)47と、円筒状部11と芯線保持部45との間で円筒状部11と芯線保持部45とをつないでいる連結部(繋ぎ部)15とを備えて構成されている。
【0026】
絶縁部材9は、前端絶縁部(前側絶縁部;先端絶縁部)23と中間絶縁部(連通樹脂部)27と後端絶縁部(後側絶縁部;端子保持部)25とを備えて構成されている。
【0027】
前端絶縁部23は、円柱状に形成されており、端子本体7の円筒状部11の前端(連結部15や芯線保持部45とは反対側の端)から僅かに突出している。中間絶縁部27は、端子本体7の円筒状部11の内部に充填されている。
【0028】
後端絶縁部25は、端子本体7の円筒状部11の後端部と端子本体7の連結部15の前端部とに設けられており、端子本体7の円筒状部11の後端部と端子本体7の連結部15の前端部とを覆っている。
【0029】
前端絶縁部23の外径の値と端子本体7の円筒状部11の外径の値とはお互いが等しくなっており、前端絶縁部23の中心軸と端子本体7の円筒状部11の中心軸とはお互いが一致している。前端絶縁部23と中間絶縁部27と後端絶縁部25とは一体化している。
【0030】
後端絶縁部25は、前端絶縁部23側(前側)に位置している第1の円柱状部位49と、芯線保持部45側(後側)に位置している第2の円柱状部位51とを備えて構成されている。
【0031】
第1の円柱状部位49の外径は、端子本体7の円筒状部11の外径よりも大きくなっており、第2の円柱状部位51の外径は、第1の円柱状部位49の外径よりも大きくなっている。第1の円柱状部位49の中心軸と第2の円柱状部位51の中心軸とは、お互いが一致しているともに、前端絶縁部23の中心軸や端子本体7の円筒状部11の中心軸と一致している。
【0032】
第1の円柱状部位49の前端絶縁部23側(前側)に位置している前側箇所には、第1の円柱状部位49の中心軸と平行な一対の第1の平面状部53が形成されている。一対の第1の平面状部53は第1の被係合部39を形成している。また、一対の第1の平面状部53はお互いが平行になっているとともに第1の円柱状部位49の中心軸に対してお互いが対称なところに位置している(中心軸からの距離がお互いに等しくなっている)。
【0033】
第1の円柱状部位49の芯線保持部45側(後側)に位置している後側箇所には、第1の平面状部53と平行な一対の第2の平面状部55が形成されている。一対の第2の平面状部55は第2の被係合部41を形成している。また、一対の第2の平面状部55は第1の円柱状部位の中心軸に対してお互いが対称になっているとともに、一対の第2の平面状部55間の距離の値は、一対の第1の平面状部53間の距離の値よりも小さくなっている。
【0034】
第2の円柱状部位51の前後方向の中間部には、円環状の凹部57が形成されている。円環状の凹部57の中心軸と第2の円柱状部位51の中心軸とはお互い一致している。円環状の凹部57には、シール部43を構成するOリング等のシール材59が設置されるようになっている。
【0035】
端子1をハウジング5に設置するときや設置し終えた状態を、第1の円柱状部位49や第2の円柱状部位51の中心軸の延伸方向(前後方向;端子1をハウジング5に設置するときにおけるハウジング5に対する端子1の移動方向)で見ると、第2の円柱状部位51の内側に、ハウジング5の係止部31が位置している。また、係止部31の間に、第1の平面状部53や第2の平面状部55が位置している。
【0036】
ハウジング5は、上述したように、ハウジングの本体部33と係止部31とを備えて構成されている。
【0037】
ハウジングの本体部33の内側には、端子1や電線21が入り込む空間60が形成されている。空間60は、円柱状の第1の部位61と円柱状の第2の部位63と円柱状の第3の部位65と第4の部位67とが前から後に向かってこの順にお互いがつながってならんでいる。なお、ハウジングの本体部33の後端は開口している。
【0038】
第1の部位61の中心軸と第2の部位63の中心軸と第3の部位65の中心軸とはお互いが一致しているとともに、端子1が設置された状態で、第1の部位61等の中心軸と円筒状部11等の中心軸とはお互いが一致している。
【0039】
第1の部位61の内径は、端子1の円筒状部11の外径よりも大きくなっており、第2の部位63の内径は、第1の部位61の内径よりも小さくなっており、第3の部位65の内径は、第2の部位63の内径よりも大きくなっている。
【0040】
第2の部位63の内径は、第1の円柱状部位49の内径と等しいか、ごく僅かに大きくなっている。第3の部位65の内径は、第2の円柱状部位51の内径と等しいか、ごく僅かに大きくなっている。
【0041】
ハウジング5の係止部31は、第2の部位63に設けられている。また、ハウジング5の係止部31は、一対の第1の平面状部53と一対の第2の平面状部55とに対応して、1つの端子1に対して、第2の部位63の上部に1つ、第2の部位63の下部の1つ設けられている(一対で設けられている)。つまり、2つの端子1が設置される態様では、1つのハウジング5に4つの係止部31が設けられている。
【0042】
まず、上側の係止部31Aについて説明する。係止部31Aは、片持ち梁状に形成されており、第1の部位61と第2の部位63との境界のところよりも僅かに後側の部位の箇所から後方に向かって延出している。係止部31Aの先端(後端)は、第2の部位63と第3の部位65との境界のところよりも僅かに前側に位置している。また、係止部31Aのまわりには、係止部31Aをハウジングの本体部33から隔つための(係止部31Aを形作っている)空隙69が形成されている。
【0043】
係止部31Aのアーム部35は、矩形な平板状に形成されており、厚さ方向が上下方向と一致し、幅方向が横方向と一致しており、長手方向(延出方向)が前後方向と一致している。係止部31Aのアーム部35の基端(前端)は、ハウジングの本体部33と一体化している。
【0044】
係止部31Aの係止爪部37は、係止部31Aのアーム部35の先端(後端)に設けられている。また、上側の係止部31Aの係止爪部37は、係止部31Aのアーム部35よりも、端子1側(下側;円柱状の第2の部位63の中心軸側)に突出している。
【0045】
係止部31Aのアーム部35の厚さ寸法の値は、係止部31Aのアーム部35の幅寸法の値よりも小さく、係止部31Aのアーム部35の幅寸法の値は、係止部31Aのアーム部35の長さ寸法の値よりも小さくなっている。
【0046】
これにより、係止部31Aのアーム部35は、たとえば、係止部31Aの係止爪部37が上下方向に力を受けると、片持ち梁の態様で上下方向に撓み、力を除くと復元するようになっている。
【0047】
係止部31A(アーム部35、係止爪部37)の幅寸法の値は、端子保持部25の第1の円柱状部位49に設けられている第1の平面状部53の幅寸法(横方向の寸法)の値とほぼ等しくなっている。
【0048】
下側の係止部31Bや下側の空隙69は、上側の係止部31Aと同様に構成されており、円柱状の第2の部位63の中心軸(中心軸を含み上下方向に対して直交する平面)に対して対称に配置されている。
【0049】
そして、端子1をハウジング5に設置している途中の状態では、係止部31Aの係止爪部37が、端子保持部25の第1の円柱状部位49の第1の平面状部(上側の平面状部)53に接触して、係止部31Aのアーム部35が上方に撓むようになっている。
【0050】
同時に、係止部31Bの係止爪部37が、端子保持部25の第1の円柱状部位49の第1の平面状部(下側の平面状部)53に接触して、係止部31Bのアーム部35が下方に撓むようになっている。
【0051】
このとき、係止爪部37と第1の平面状部53とは、たとえば線接触(第1の円柱状部位49の横方向の全長にわたって延びている直線状の部位でお互いが接触)しており、端子1が一対の係止部31で付勢力をもって挟まれ、端子1のハウジング5に対する廻り止めがされるようになっている。
【0052】
端子1をハウジング5に設置し終えた状態では、係止部31Aのアーム部35が復元し、係止部31Aの係止爪部37が、第1の円柱状部位49の上側の第2の平面状部55のところに入り込み、同時に、係止部31Bのアーム部35が復元し、係止部31Bの係止爪部37が、第1の円柱状部位49の下側の第2の平面状部55のところに入り込み、端子1のハウジング5からの抜け止めがされるようになっている。
【0053】
なお、端子1をハウジング5に設置し終えた状態では、係止爪部37と第2の平面状部55とがたとえば線接触しており、ハウジング5に対する端子1の廻り止めがされるようになっている。さらに、端子1をハウジング5に設置し終えた状態で、アーム部35が、第1の平面状部53と面接触する構成であってもよい。そして、端子1の廻り止めがされるようになっていてもよい。
【0054】
また、コネクタ2には、図6で示すように、リヤホルダ71とシールキャップ73とシリコーン充填部75とシールドシェル77とシールドリング79と編組線81とが設けられている。
【0055】
リヤホルダ71は、ハウジング5に一体的に設置され、ハウジング5とともに、端子1から下側に延出している電線21を保持するようになっている。シールキャップ73は、シリコーン充填部75を形成するために端子1から下側に延出している電線21の途中に設けられており、シリコーン充填部75は、端子1の端子本体7の周囲の空間で形成されており、この空間に、シリコーン樹脂が充填されている。なお、シリコーン樹脂に代えて他の樹脂が充填されていてもよい。
【0056】
シールドシェル77は、ハウジング5の後側の開口部を塞ぐためにハウジング5に一体的に設置されるようになっている。シールドリング79は、端子1やシールドシェル77から延出している電線21を覆う編組線81を、シールドシェル77に一体的に設置するために使用されるようになっている。
【0057】
次に、コネクタ2の組立手順について説明する。
【0058】
まず、端子1に電線21を設置し、端子1の第2の円柱状部位51の円環状の凹部57に環状の凹部57のところにシール材59を設置し、この端子1をハウジング5に設置する。このとき上述したように、ハウジング5の係止部31によって、端子1の廻り止めがされる。
【0059】
続いて、ハウジング5にリヤホルダ71とシールキャップ73を設置する。この設置が終えた状態では、電線21がシールキャップ73を貫通しており、リヤホルダ71とハウジング5との挟み込みによって、電線21とシールキャップ73とがハウジング5に一体的に設置されている。リヤホルダ71もハウジング5に一体的に設置されている。
【0060】
続いて、各図に示されている前後方向が鉛直方向になり、しかも、前側が下になり後側が上になるように、ハウンジング5や端子1等の姿勢を変える。そして、シリコーン充填部75を形成すべく、熱硬化性の液状シリコーン樹脂を注入し、液状シリコーン樹脂を硬化させる。なお、液状シリコーン樹脂を注入したとき、シール材59やシールキャップ73やハウンジング5や端子1等の姿勢により、液状シリコーン樹脂がハウジング5の外部に漏れることがない。シリコーン充填部75を設けたことにより、端子1の気密性が確保される。
【0061】
続いて、シールドリング79を用いて、シールドシェル77に編組線81を設置し、このシールドシェル77をハウジング5等に一体的に設置する。シールドシェル77は図示しないロック部によってハウジング5に一体的に設置される。
【0062】
端子1によれば、ハウジング5に設けられている係止部31に係合することで端子1の廻り止めをする廻り止め部29が端子保持部25に設けられているので、ハウジング5に設置されるときに、ハウジング5に対して回転することがなくなり、ハウジング5への設置がしやすくなり、また、ハウジング5への誤った態様での設置を無くすことができる。
【0063】
また、端子1によれば、廻り止め部29が、ハウジング5に端子1が設置される途中の状態で係止部31の係止爪部37に係合する第1の被係合部39と、ハウジング5への端子1の設置が終了したきに係止部31の係止爪部37に係合し端子1のハウジング5からの抜け止めをする第2の被係合部41とを備えて構成されているので、ハウジング5に設置される途中およびハウジング5への設置が終了した時点の両方で、ハウジング5に対して回転することがなくなる。
【0064】
また、端子1において、端子1のハウジング5への設置が終了したきに、ハウジング5の係止部31のアーム部35が第1の被係合部39に係合しているようにすれば、これによっても端子1の廻り止めが防止され。そして、端子1のハウジング5への設置が終了した時点での端子1の廻り止めを一層確実におこなうことができる。
【0065】
また、端子1によれば、ハウジング5に端子1を設置するときの端子1の移動方向(前後方向)で見ると、ハウジング5の係止部31と端子1の廻り止め部29とがシール部43の内側に位置しているので、ハウジング5の係止部31とシール部43との干渉を避けつつ、ハウジング5への端子1の設置が終了してときにおけるハウジング5と端子1との間のシール性を確保することができる。
【0066】
また、係止部31が設けられているハウジング5が一体成形されているので、ハウジング5の構成が簡素化されている。
【0067】
なお、各図より理解されるように、1つもハウジング5には、複数(たとえば、2つ)の端子1が設置されるようになっているが、1つもハウジング5に1つの端子1が設置される構成であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、端子1を充電インレット装置3のコネクタ2に適用した場合を例示したが、これに限定されず、それ以外の端子に適用することができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0069】
1 端子
5 ハウジング
7 端子本体
9 絶縁部材
11端子接触部(円筒状部)
15 連結部
17 連通空間部
21 電線
22 芯線
23 先端絶縁部(前端絶縁部)
25 端子保持部(後端絶縁部)
27 連通樹脂部(中間絶縁部)
29 廻り防止部
31 係止部
35 アーム部
37 係止爪部
39 第1の被係合部
41 第2の被係合部
43 シール部
45 芯線保持部
49 第1の円柱状部位
51 第2の円柱状部位
53 第1の平面状部
55 第2の平面状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10