(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硬化性樹脂を吐出する第1吐出装置を含む樹脂層形成ユニットと、金属微粒子を含有する金属含有液を吐出する第2吐出装置を含む配線形成ユニットとを少なくとも含む複数のユニットと、
基板が載置される複数のステージと、
前記複数のステージの各々を、前記複数のユニットの任意の1のユニットに移動させる移動装置と
を備え、
前記移動装置が、
前記複数のステージのうちの任意の1のステージを、前記複数のユニットの各々に向けて回転させるための回転テーブルと、
前記回転テーブルに設けられたテーブル側ガイドレールと、
前記複数のユニットの各々に設けられたユニット側ガイドレールと、
前記複数のステージの各々に設けられ、各ステージが前記回転テーブルによって前記複数のユニットのうちの任意の1のユニットに向けて回転された際に、その1のユニットの前記ユニット側ガイドレールと、前記テーブル側ガイドレールとに跨ってスライドするスライダと、
前記テーブル側ガイドレールと前記ユニット側ガイドレールとの各々に沿って延びるように設けられた給電端子と、
前記スライダに設けられ、前記スライダのスライド時に前記給電端子と摺接する1対の受電端子と
を有し、
前記1対の受電端子が、前記テーブル側ガイドレールと前記ユニット側ガイドレールとの各々の延びる方向において離間した状態で配設され、
前記第1吐出装置の硬化性樹脂の吐出により形成される樹脂層、及び前記第2吐出装置の金属含有液の吐出により形成される配線を含む回路を基板上に形成する回路形成装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
回路形成装置の構成
図1に回路形成装置10を示す。回路形成装置10は、複数台のステージ20と、樹脂印刷ユニット22と、樹脂硬化ユニット24と、金属インク印刷ユニット26と、焼成ユニット28と、装着ユニット30と、収納ユニット群32と、移動装置34と、制御装置(
図6参照)36とを備える。それら樹脂印刷ユニット22と、樹脂硬化ユニット24と、金属インク印刷ユニット26と、焼成ユニット28と、装着ユニット30と、収納ユニット群32と、移動装置34とは、回路形成装置10のベース38の上に配置されている。
【0009】
各ステージ20は、基板(
図7参照)50を保持するものであり、基台52と、保持装置54と、ステージ昇降装置56とを有している。基台52は、概して矩形の平板状に形成され、上面に基板50が載置される。保持装置54は、基台52の両側部に設けられている。そして、基台52に載置された基板50の両縁部が、保持装置54によって挟まれることで、基板50が固定的に保持される。また、ステージ昇降装置56は、基台52の下方に配設されており、基台52を昇降させる。
【0010】
樹脂印刷ユニット22は、ステージ20の基台52に載置された基板50の上に紫外線硬化樹脂を薄膜状に印刷するユニットであり、インクジェットヘッド(
図6参照)60と、平坦化装置(
図6参照)62とを有している。インクジェットヘッド60は、基台52に載置された基板50の上に紫外線硬化樹脂を吐出する。なお、インクジェットヘッド60は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させノズルから吐出するサーマル方式でもよい。また、平坦化装置62は、インクジェットヘッド60によって基板50の上に吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。
【0011】
樹脂硬化ユニット24は、基板50の上に吐出された紫外線硬化樹脂を硬化させるユニットであり、照射装置(
図6参照)66を有している。照射装置66は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、基板50の上に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基板50の上に吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、樹脂層が造形される。
【0012】
金属インク印刷ユニット26は、基板50の上に金属インクを回路パターンに応じて印刷するユニットであり、インクジェットヘッド(
図6参照)68を有している。インクジェットヘッド68は、基台52に載置された基板50の上に、金属インクを線状に吐出する。金属インクは、金属の微粒子が溶剤中に分散されたものである。なお、インクジェットヘッド68は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから金属インクを吐出する。
【0013】
焼成ユニット28は、基板50の上に吐出された金属インクを焼成させるユニットであり、レーザ照射装置(
図6参照)70を有している。レーザ照射装置70は、基板50の上に吐出された金属インクにレーザを照射する装置であり、レーザが照射された金属インクは焼成し、配線が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子保護膜の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクが焼成することで、金属製の配線が形成される。
【0014】
装着ユニット30は、基板50の上に電子部品(
図8参照)72を装着するユニットであり、テープフィーダ(
図6参照)74と、装着ヘッド(
図6参照)76と、移動装置(
図6参照)78とを有している。テープフィーダ74は、テーピング化された電子部品72を1つずつ送りだし、供給位置において、電子部品72を供給する。装着ヘッド76は、電子部品72を吸着保持するための吸着ノズル(図示省略)を有する。吸着ノズルは、正負圧供給装置(図示省略)から負圧が供給されることで、エアの吸引により電子部品72を吸着保持する。そして、正負圧供給装置から僅かな正圧が供給されることで、電子部品72を離脱する。また、移動装置78は、テープフィーダ74による電子部品72の供給位置と、基台52に載置された基板50との間で、装着ヘッド76を移動させる。これにより、装着ユニット30では、テープフィーダ74から供給された電子部品72が、吸着ノズルにより保持され、その吸着ノズルによって保持された電子部品72が、基板50に装着される。
【0015】
収納ユニット群32は、
図2に示すように、ラック80を有しており、ラック80の内部が、ステージ20を収納するための3つの収納ユニット82,84,86に区画されている。詳しくは、ラック80の内部は、棚板88によって、上下方向に離間した状態の3つのスペースに区画されている。各スペースは、ステージ20を収容可能な寸法とされており、各スペースの内部には、後述する移動装置34の一部が配設されている。そして、移動装置34の作動により、各スペースにステージ20が収容される。このため、各スペースが、ステージ20を収納するための収納ユニット82,84,86として機能している。
【0016】
移動装置34は、
図1に示すように、回転テーブル100と、スライド機構102と、リニアモータ104と、ラック昇降装置(
図2参照)106とを有している。回転テーブル100は、円盤状をなし、ベース38の略中央部において、回転可能に配設されており、回転モータ(
図6参照)108の駆動より、制御可能に回転する。なお、樹脂印刷ユニット22と、樹脂硬化ユニット24と、金属インク印刷ユニット26と、焼成ユニット28と、装着ユニット30と、収納ユニット群32とは、回転テーブル100の回転方向に沿うように、回転テーブル100の外周縁と対向した状態で、6等配の位置に配設されている。
【0017】
スライド機構102は、回転テーブル100の上に配設された1対のテーブル側ガイドレール110と、樹脂印刷ユニット22等の各ユニット(収納ユニット群32では、収納ユニット82,84,86)に配設された1対のユニット側ガイドレール112と、各ステージ20に配設された4個のスライダ114とを有している。1対のテーブル側ガイドレール110は、互いに平行かつ、回転テーブル100の回転中心を中心として対称的に、所定寸法、離間した状態で回転テーブル100の上面に配設されている。また、1対のユニット側ガイドレール112は、互いに平行かつ、回転テーブル100の径方向に延びる仮想線を中心として対称的に、1対のテーブル側ガイドレール110の離間寸法と同寸法、離間した状態で、樹脂印刷ユニット22等の各ユニットに配設されている。これにより、回転テーブル100が所定の位置に回転した場合に、1対のテーブル側ガイドレール110と、任意のユニットの1対のユニット側ガイドレール112とが、直線状に配置される。
図1では、1対のテーブル側ガイドレール110と、樹脂印刷ユニット22及び焼成ユニット28の1対のユニット側ガイドレール112とが、直線状に配置された状態の回路形成装置10が図示されている。なお、テーブル側ガイドレール110とユニット側ガイドレール112とは、回転テーブル100の回転を担保するべく、所定のクリアランスがある状態で配設されている。
【0018】
また、各ステージ20には、長手方向における一端部側の両側面に、1対のスライダ114が固定され、他端部側の両側面に、1対のスライダ114が固定されている。つまり、ステージ20の両側面に4個のスライダ114が固定されている。そして、両側面のうちの一方の側面の1対のスライダ114が、1対のテーブル側ガイドレール110若しくは、1対のユニット側ガイドレール112の一方に、スライド可能に嵌合され、両側面のうちの他方の側面の1対のスライダ114が、1対のテーブル側ガイドレール110若しくは、1対のユニット側ガイドレール112の他方に、スライド可能に嵌合されている。なお、各スライダ114の長さ寸法は、テーブル側ガイドレール110とユニット側ガイドレール112との間のクリアランスより長くされている。これにより、
図3に示すように、テーブル側ガイドレール110とユニット側ガイドレール112とが直線状に配置されている際に、回転テーブル100の上と樹脂印刷ユニット22等の各ユニットとの間を、各ステージ20がスライドする。
【0019】
また、スライド機構102は、ベース38から各ステージ20に電力を供給するための電力供給機構(
図4参照)120を有している。電力供給機構120は、テーブル側給電配線122と、ユニット側給電配線124と、受電端子(
図4参照)126とによって構成されている。テーブル側給電配線122は、1対のテーブル側ガイドレール110の各々の上面に、各テーブル側ガイドレール110の延びる方向に沿って配設されている。ユニット側給電配線124は、樹脂印刷ユニット22等の各ユニットの1対のユニット側ガイドレール112の各々の上面に、各ユニット側ガイドレール112の延びる方向に沿って配設されている。そして、テーブル側給電配線122および、ユニット側給電配線124に、ベース38に配設された電力供給源(図示省略)から電力が供給されている。また、受電端子126は、
図3のAA線における断面図である
図4に示すように、スライダ114の内周面に露出した状態で配設されており、テーブル側ガイドレール110若しくは、ユニット側ガイドレール112にスライダ114が嵌合された状態で、スライダ114が、テーブル側給電配線122若しくは、ユニット側給電配線124に接触する。
【0020】
これにより、ステージ20が回転テーブル100の上に位置している場合において、受電端子126は、テーブル側給電配線122と接触し、テーブル側給電配線122から電力を受電する。また、ステージ20が樹脂印刷ユニット22等の各ユニットに位置している場合において、受電端子126は、ユニット側給電配線124と接触し、ユニット側給電配線124から電力を受電する。また、ステージ20が回転テーブル100と各ユニットとの間でスライドする際にも、受電端子126による受電は担保される。
【0021】
詳しくは、ステージ20が回転テーブル100と各ユニットとの間でスライドする際に、スライダ114がテーブル側ガイドレール110とユニット側ガイドレール112とのクリアランスに至ると、受電端子126が、テーブル側給電配線122とユニット側給電配線124との何れにも接触しない状態となる。しかしながら、受電端子126は、ステージ20に設けられている4個のスライダ114の全てに配設されており、1対のスライダ114と1対のスライダ114とは、ステージ20のスライド方向において離間した状態で配設されている。つまり、受電端子126は、ステージ20のスライド方向における前方と後方とに離間した状態で配設されている。このため、ステージ20のスライド方向における前方と後方との一方に配設されている受電端子126が、テーブル側ガイドレール110とユニット側ガイドレール112とのクリアランスに至り、テーブル側給電配線122とユニット側給電配線124との何れにも接触しない状態となっても、ステージ20のスライド方向における前方と後方との他方に配設されている受電端子126は、テーブル側給電配線122とユニット側給電配線124との何れかと接触している。これにより、ステージ20が回転テーブル100と各ユニットとの間でスライドする際にも、受電端子126による受電は担保される。
【0022】
また、リニアモータ104は、
図1に示すように、回転テーブル100の上に配設されたシャフト状のテーブル側固定子130と、樹脂印刷ユニット22等の各ユニットに配設されたシャフト状のユニット側固定子132と、各ステージ20に配設される円筒状の可動子(
図5参照)134とを有している。テーブル側固定子130および、ユニット側固定子132の各々は、
図5に示すように、円筒状のパイプ140と、そのパイプ140内に配設された複数の永久磁石142とによって構成されている。複数の永久磁石142の各々は、概して円柱状とされており、一端部側がN極とされ、他端部側がS極とされている。それら複数の永久磁石142は、1軸線上に延びるように配設されており、隣り合う2つの永久磁石142の向かい合う端部は、互いに同じ磁極とされている。そして、隣り合う2つの永久磁石142の間には、非磁性材製のスペーサ(図示省略)が設けられている。また、パイプ140は、1軸線上に延びるように配設された複数の永久磁石142を覆うように設けられており、非磁性材料によって形成されている。
【0023】
また、可動子134は、ステージ20の下面側に固定されおり、円筒状の複数のコイル146により構成されている。複数のコイル146の各々は、線材が巻回されて円筒状とされており、線材同士の隙間に樹脂が充填されている。複数のコイル146は、同心状に等間隔で設けられており、隣り合う2つのコイル146の間には、非磁性材製の円環状のスペーサ(図示省略)が設けられている。そして、複数のコイル146およびスペーサが、シャフト状のテーブル側固定子130若しくは、ユニット側固定子132の外周面にクリアランスのある状態で嵌合されている。これにより、可動子134のコイル146に電力が供給されることで、ステージ20が、テーブル側固定子130若しくは、ユニット側固定子132の軸方向に制御可能にスライドする。なお、可動子134への電力の供給は、電力供給機構120を介して行われる。つまり、テーブル側給電配線122若しくは、ユニット側給電配線124から受電端子126が受電した電力が、可動子134に供給される。また、可動子134の長さ寸法は、テーブル側固定子130とユニット側固定子132との間のクリアランスより長くされている。これにより、テーブル側固定子130とユニット側固定子132とが直線状に配置されている際に、回転テーブル100の上と樹脂印刷ユニット22等の各ユニットとの間を、リニアモータ104の駆動によって、ステージ20がスライドする。
【0024】
また、ラック昇降装置106は、
図2に示すように、収納ユニット群32のラック80の下方に配設されており、ラック80を昇降させる。これにより、収納ユニット82,84,86の各々に配設されているユニット側ガイドレール112及びユニット側固定子132が、回転テーブル100に配設されているテーブル側ガイドレール110及びテーブル側固定子130と同じ高さとなるように、ラック80を昇降させるとともに、テーブル側ガイドレール110とユニット側ガイドレール112とが直線状に配置され、テーブル側固定子130とユニット側固定子132とが直線状に配置されるように、回転テーブル100を回転させることで、回転テーブル100の上と各収納ユニット82,84,86との間を、各ステージ20がリニアモータ104の駆動により制御可能にスライドする。
【0025】
また、制御装置36は、
図6に示すように、コントローラ150と、複数の駆動回路152とを備えている。複数の駆動回路152は、上記保持装置54、ステージ昇降装置56、インクジェットヘッド60、平坦化装置62、照射装置66、インクジェットヘッド68、レーザ照射装置70、テープフィーダ74、装着ヘッド76、移動装置78、リニアモータ104、ラック昇降装置106、回転モータ108、に接続されている。コントローラ150は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路152に接続されている。これにより、ステージ20、樹脂印刷ユニット22、樹脂硬化ユニット24、金属インク印刷ユニット26、焼成ユニット28、装着ユニット30、収納ユニット群32の作動が、コントローラ150によって制御される。
【0026】
回路形成装置の作動
回路形成装置10では、上述した構成によって、樹脂印刷ユニット22、樹脂硬化ユニット24、金属インク印刷ユニット26、焼成ユニット28、装着ユニット30、収納ユニット82,84,86の8つのユニットの間で、回転テーブル100を介して、複数のステージ20が順次、移動され、各ユニットにおいて作業が実行されることで、回路が形成される。なお、回路形成装置10では、7台のステージ20が、移動装置34の作動により、8つのユニットの間で、順次、移動可能とされている。以下に、7台のステージ20のうちの1台のステージ20を、各ユニットの間で移動させ、基板50に回路を形成する手法について説明する。
【0027】
具体的には、ステージ20の基台52に基板50がセットされ、そのステージ20が、樹脂印刷ユニット22と樹脂硬化ユニット24との間を移動される。そして、樹脂印刷ユニット22及び樹脂硬化ユニット24において、
図7に示すように、基板50の上に樹脂層160が形成される。樹脂層160は、電子部品72を装着するためのキャビティ162を有しており、インクジェットヘッド60からの紫外線硬化樹脂の吐出と、吐出された紫外線硬化樹脂への照射装置66による紫外線の照射とが繰り返されることにより形成される。
【0028】
詳しくは、樹脂印刷ユニット22において、インクジェットヘッド60が、基板50の上面に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。この際、インクジェットヘッド60は、基板50の上面の所定の部分が概して矩形に露出するように、紫外線硬化樹脂を吐出する。続いて、紫外線硬化樹脂が薄膜状に吐出されると、紫外線硬化樹脂の膜厚が均一となるように、紫外線硬化樹脂が平坦化装置62によって平坦化される。そして、ステージ20が、樹脂印刷ユニット22から樹脂硬化ユニット24に移動され、樹脂硬化ユニット24において、照射装置66が、その薄膜状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基板50の上に薄膜状の樹脂層が形成される。
【0029】
続いて、再度、ステージ20が、樹脂硬化ユニット24から樹脂印刷ユニット22に移動される。そして、樹脂印刷ユニット22において、インクジェットヘッド60が、その薄膜状の樹脂層の上の部分にのみ紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。つまり、インクジェットヘッド60は、基板50の上面の所定の部分が概して矩形に露出するように、薄膜状の樹脂層の上に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。そして、平坦化装置62によって薄膜状の紫外線硬化樹脂が平坦化される。次に、ステージ20が、再度、樹脂印刷ユニット22から樹脂硬化ユニット24に移動され、樹脂硬化ユニット24において、照射装置66が、その薄膜状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、薄膜状の樹脂層の上に薄膜状の樹脂層が積層される。このように、樹脂印刷ユニット22と樹脂硬化ユニット24とにおいて、薄膜状の樹脂層の上への紫外線硬化樹脂の吐出と、紫外線硬化樹脂の平坦化と、紫外線の照射とが繰り返されることで、キャビティ162を有する樹脂層160が形成される。
【0030】
上述した手順により樹脂層160が形成されると、ステージ20が装着ユニット30に移動される。装着ユニット30では、テープフィーダ74により電子部品72が供給され、その電子部品72が装着ヘッド76の吸着ノズルによって、保持される。そして、装着ヘッド76が、移動装置78によって移動され、吸着ノズルにより保持された電子部品72が、
図8に示すように、樹脂層160のキャビティ162の内部において、基板50の所定の装着位置に装着される。なお、樹脂層160の高さ寸法と、電子部品72の高さ寸法とは略同じとされている。
【0031】
電子部品72がキャビティ162の内部において基板50に装着されると、樹脂印刷ユニット22と樹脂硬化ユニット24とにおいて、
図9に示すように、キャビティ162の隙間、つまり、キャビティ162を区画する内壁面と電子部品72の側壁面との間に、樹脂層166が形成される。なお、樹脂層166は、樹脂層160と同様の手法により形成されるため、樹脂層166の形成手法については、説明を省略する。なお、樹脂層166の高さ寸法は、樹脂層160および電子部品72の高さ寸法と略同じとされている。これにより、樹脂層160の上面と樹脂層166の上面と電子部品72の上面とは、面一とされる。
【0032】
次に、キャビティ162の隙間に樹脂層166が形成されると、ステージ20が、金属インク印刷ユニット26に移動される。そして、金属インク印刷ユニット26において、インクジェットヘッド68によって、金属インクが樹脂層160,166の上に、回路パターンに応じて線状に吐出される。この際、
図10に示すように、金属インク168は、電子部品72の電極170と、他の電極(図示省略)とを繋ぐように、線状に吐出される。続いて、金属インク168が印刷されると、ステージ20は、焼成ユニット28に移動される。そして、焼成ユニット28において、吐出された金属インク168に、レーザ照射装置70によってレーザが照射される。これにより、金属インク168が焼成し、電極間を繋ぐ配線が形成される。
【0033】
このように、回路形成装置10では、1台のステージ20が、樹脂印刷ユニット22と樹脂硬化ユニット24と装着ユニット30と金属インク印刷ユニット26と焼成ユニット28とを順次、移動し、紫外線硬化性樹脂の印刷工程と、紫外線硬化樹脂を硬化させる工程と、電子部品72の装着工程と、金属インクの印刷工程と、金属インクの焼成工程とが行われることで、回路が形成される。また、その1台のステージ(以下、「第1のステージ」と記載する場合がある)20に対して作業しているユニットと異なるユニットにおいて、第1のステージ20と異なるステージ(以下、「第2のステージ」と記載する場合がある)20に対して作業を行うことで、第1のステージと第2のステージ20との両方において、並行して各種工程を行うことが可能となる。
【0034】
詳しくは、例えば、第1のステージ20が樹脂印刷ユニット22に移動し、その樹脂印刷ユニット22において第1のステージ20に対して作業を行っている間に、第2のステージ20を金属インク印刷ユニット26に移動させることで、その金属インク印刷ユニット26において第2のステージ20に対して作業を行うことが可能となる。つまり、第1のステージ20に保持された基板50と、第2のステージ20に保持された基板50との両方に、同時に、各種作業が実行される。これにより、多くの回路を同時に作成することが可能となり、回路作成能力が向上する。特に、回路形成装置10では、7台のステージ20が各ユニット間で移動可能とされているため、樹脂印刷ユニット22と樹脂硬化ユニット24と装着ユニット30と金属インク印刷ユニット26と焼成ユニット28との5つのユニットにおいて、同時に作業を行うことが可能となり、回路作成能力が格段に向上する。
【0035】
また、回路作成能力の向上により、インクジェットヘッド68への金属インクの補充回数を少なくすることが可能となる。詳しくは、金属インクは、金属の微粒子が溶剤中に分散されたものであるため、金属微粒子の沈殿,金属微粒子の分散性の低下等により、劣化速度が速い。このため、所定時間内に使用される量の金属インクが、インクジェットヘッド68に補充される。つまり、単位時間当たりの回路の形成枚数が少ない場合には、少量の金属インクしかインクジェットヘッド68に補充できず、インクジェットヘッド68への金属インクの補給回数が多くなる。一方、回路形成装置10では、5つのユニットにおいて、同時に作業を行うことが可能であるため、単位時間当たりの回路の形成枚数は多くなる。このため、多くの量の金属インクをインクジェットヘッド68に補充することが可能となり、インクジェットヘッド68への金属インクの補給回数を少なくすることが可能となる。
【0036】
また、金属インク及び、紫外線硬化樹脂は、溶媒等の揮発成分を含んでおり、その揮発成分の種類,量に応じて、乾燥工程が必要な場合がある。詳しくは、印刷された紫外線硬化樹脂に、紫外線が照射される前に、紫外線硬化樹脂を乾燥させなければ、紫外線の照射により紫外線硬化樹脂が適切に硬化しない場合がある。また、印刷された金属インクに、レーザが照射される前に、金属インクを乾燥させなければ、レーザの照射により金属インクが適切に焼成しない場合がある。このため、印刷された紫外線硬化樹脂若しくは、金属インクに、紫外線若しくはレーザが照射される前に、紫外線硬化樹脂若しくは、金属インクを乾燥させる工程が必要となる場合がある。そして、この乾燥工程では、加熱による成分の変性を防止するべく、加熱などを行わずに、自然乾燥が好ましい場合があり、自然乾燥では、1時間以上、放置される場合もある。このように、長時間、ステージ20が、樹脂印刷ユニット22,樹脂硬化ユニット24,装着ユニット30,金属インク印刷ユニット26,焼成ユニット28に放置されると、作業効率が低下する。
【0037】
このため、回路形成装置10には、収納ユニット群32が設けられており、収納ユニット群32の収納ユニット82,84,86において、自然乾燥が行われる。つまり、紫外線硬化樹脂、若しくは、金属インクが基板50に印刷され、その紫外線硬化樹脂、若しくは、金属インクの自然乾燥が必要である場合には、印刷された基板50を保持するステージ20が、収納ユニット82,84,86に収容される。これにより、樹脂印刷ユニット22,樹脂硬化ユニット24,装着ユニット30,金属インク印刷ユニット26,焼成ユニット28において、ステージ20を長時間、放置させることが無くなり、作業効率の低下を防止することが可能となる。特に、収納ユニット群32では、3つの収納ユニット82,84,86が設けられており、3つのステージ20を放置することが可能となり、多くの基板50に対して、自然乾燥工程を行うことが可能となる。また、3つの収納ユニット82,84,86は、上下方向に離間した状態で配設されており、ラック昇降装置106によってラック80を昇降させることで、回転テーブル100から各収納ユニット82,84,86にステージ20を収納することが可能となっている。これにより、収納ユニット82,84,86の配設スペースを小さくすることが可能とされている。
【0038】
さらに言えば、回路形成装置10では、8つのユニット間で7台のステージ20が移動可能とされているため、最も効率よく回路形成を行うことが可能となる。詳しくは、8つのユニットの全てにステージ20が位置している場合には、ユニット間でステージ20を移動させることができない。このため、各ユニット間でステージ20を移動させるためには、少なくとも1つのユニットにステージ20が位置していないことが必要である。一方で、ステージ20の数は多いほど、回路の形成功率は高くなる。このため、ユニット数より1少ない数のステージ20を用いること、つまり、回路形成装置10では、7台のステージ20を用いることで、最も効率よく回路形成を行うことが可能となる。
【0039】
また、回路形成装置10では、ステージ20を移動させるための移動装置34として、回転テーブル100が採用され、その回転テーブル100の外周縁に沿って、樹脂印刷ユニット22等の各ユニットが配置されている。これにより、ステージ20の移動距離を少なくすることが可能となり、効率よく回路形成を行うことが可能となる。
【0040】
ちなみに、上記実施例において、回路形成装置10は、回路形成装置の一例である。ステージ20は、ステージの一例である。樹脂印刷ユニット22は、樹脂層形成ユニットの一例である。金属インク印刷ユニット26は、配線形成ユニットの一例である。移動装置34は、移動装置の一例である。インクジェットヘッド60は、第1吐出装置の一例である。インクジェットヘッド68は、第2吐出装置の一例である。回転テーブル100は、回転テーブルの一例である。ラック昇降装置106は、昇降装置の一例である。テーブル側ガイドレール110は、テーブル側ガイドレールの一例である。ユニット側ガイドレール112は、ユニット側ガイドレールの一例である。スライダ114は、スライダの一例である。テーブル側給電配線122およびユニット側給電配線124は、給電端子の一例である。受電端子126は、受電端子の一例である。
【0041】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記実施例では、樹脂印刷ユニット22と樹脂硬化ユニット24と金属インク印刷ユニット26と焼成ユニット28と装着ユニット30と収納ユニット82,84,86との8つのユニットが採用されているが、任意の数のユニットを採用することが可能である。ただし、回路形成装置10では、樹脂層および配線の形成は、必須であるため、樹脂印刷ユニット22と金属インク印刷ユニット26とは必ず採用する必要がある。一方、紫外線硬化樹脂などの硬化性樹脂,金属インクは、種類に応じて、自然乾燥で硬化するものもあるため、樹脂硬化ユニット24および焼成ユニット28は、必要に応じて採用すればよい。また、装着ユニット30および収納ユニット82,84,86も、必要に応じて採用すればよい。また、上記ユニット以外に、赤外線ランプ等により紫外線硬化樹脂などを乾燥させるためのユニット,電気炉等により金属インクを焼成するためのユニット等、種々のユニットを採用してもよい。
【0042】
また、上記実施例では、ステージ20を移動させる移動装置として、回転テーブル100が採用されているが、ステージ20をXY方向に移動させる移動装置を採用してもよい。なお、ステージ20をXY方向に移動させる移動装置が採用される場合には、複数のユニットを、X方向とY方向との少なくとも一方に並んで配設することで、効率的にユニット間でステージ20を移動させることが可能となる。