特許第6785324号(P6785324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6785324α−グルコシダーゼ阻害剤を多量生産するバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785324
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】α−グルコシダーゼ阻害剤を多量生産するバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20201109BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20201109BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20201109BHJP
   C12R 1/10 20060101ALN20201109BHJP
【FI】
   C12N1/20 AZNA
   A23L33/135
   !C12N15/11 Z
   C12R1:10
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-565720(P2018-565720)
(86)(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公表番号】特表2019-517810(P2019-517810A)
(43)【公表日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】KR2017001754
(87)【国際公開番号】WO2017222142
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0076424
(32)【優先日】2016年6月20日
(33)【優先権主張国】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC13021BP
(73)【特許権者】
【識別番号】517428355
【氏名又は名称】カンウォン ナショナル ユニバーシティ−インダストリー コーポレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ヘイク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヘ ウン
【審査官】 佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0116262(KR,A)
【文献】 Food Research International,2014年,56,100-107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A23L
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の16s RNAを含み、α−グルコシダーゼ阻害剤を高生産するバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株(受託番号KCTC13021BP)。
【請求項2】
前記菌株が、嫌気性であることを特徴とする請求項1に記載の菌株。
【請求項3】
前記菌株が、好気性であることを特徴とする請求項に記載の菌株。
【請求項4】
前記菌株が、胞子を形成することを特徴とする請求項1に記載の菌株。
【請求項5】
前記菌株が、生物体から投与後2週以内に排泄されることを特徴とする請求項1に記載の菌株。
【請求項6】
前記菌株が、腸内でα−グルコシダーゼ阻害剤を生産することを特徴とする請求項1に記載の菌株。
【請求項7】
腸内で生産されたα−グルコシダーゼ阻害剤が、生物体から菌株投与後、2週以内に排泄されることを特徴とする請求項に記載の菌株。
【請求項8】
請求項1から請求項のうち何れか一項に記載の菌株を含む食品組成物。
【請求項9】
前記菌株が、胞子形態で含まれることを特徴とする請求項に記載の食品組成物。
【請求項10】
前記菌株が、1kg当たり10〜1010個の胞子で含まれることを特徴とする請求項に記載の食品組成物。
【請求項11】
前記食品組成物が、前記菌株の発酵物をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の食品組成物。
【請求項12】
前記発酵物が、大豆発酵物であることを特徴とする請求項11に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−グルコシダーゼ阻害剤を多量生産する新菌株であるバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株(Bacillus licheniformis NY1505)に関する。
【背景技術】
【0002】
α−グルコシダーゼ阻害剤(α−glucosidase inhibitors)は、一部の植物や微生物に分布し、オリゴ糖の単糖類への分解を抑制する作用を行う物質である。
【0003】
α−グルコシダーゼ活性の阻害は、腸内で糖類の円滑な吸収を阻害することにより、食後血糖上昇抑制はもとより、肥満治療のような付随的な効果が期待されるので、α−グルコシダーゼ阻害剤を経済的に量産するための必要性は次第に高まりつつある。
【0004】
植物由来のα−グルコシダーゼ阻害剤としては、桑の葉に含有された1−デオキシノジリマイシン(1−deoxynojirimycin)のようなアザ糖(aza sugar)類、大豆に含有されたゲニステイン(genistein)、ダイゼイン(daidzein)のようなイソフラボン(isoflavone)、一部のフラボン配糖体(flavone glycoside)などが知られており、微生物由来のα−グルコシダーゼ阻害剤としては、アクチノプラネス属(Actinoplanes)菌株由来の類似オリゴ糖(pseudooligosaccharide)、ストレプトミセス属(Streptomyces)またはバチルス属(Bacillus)などの微生物が生産する1−デオキシノジリマイシン、トリス塩(tris base)などが知られており、医薬品としては、アカルボース(acarbose)、ボグリボース(voglibose)のようなα−グルコシダーゼ阻害剤が既に糖尿病治療剤として販売されている。
【0005】
最近、血糖降下に効果があるα−グルコシダーゼ阻害剤を食品として摂取するために、食用可能な天産物についての研究が活発に進められている。食品として使われる天産物由来のα−グルコシダーゼ阻害剤は、植物の場合、桑の葉、微生物の場合、一部の納豆を代表的な例として挙げられる。これらの1次加工品または抽出物は、量産されているが、共通してにおい、色沢のような嗜好性を落とす因子を有しているので、製品の多様化に制限がある。また、これらは、植物または微生物が生産した二次代謝産物を利用する場合なので、一日に数回一定量を服用して初めて、所期の目的を果たすことができるという短所がある。
【0006】
一方、乳酸菌のような腸内細菌は、腸内で生息しながら増殖する特性を有している。したがって、α−グルコシダーゼ阻害剤のような二次代謝産物を生産する腸内細菌は、腸内で増殖しながら切れ目なく腸内環境にα−グルコシダーゼ阻害剤を生産して供給すると予想される。しかし、従来に知られたバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)のような一部の納豆菌は、α−グルコシダーゼ阻害剤を生産すると知られているが、バチルス・サブチリスは、好気性菌で腸内で生息しにくいために、バチルス・サブチリスの増殖でα−グルコシダーゼ阻害剤を腸内で供給されることは難しく、納豆の摂取を通じてα−グルコシダーゼ阻害剤を供給されるためには、多量摂取しなければならないという問題点がある。
【0007】
したがって、腸内で生息が可能であり、α−グルコシダーゼ阻害剤を多量生成することができて、体重減量と血糖降下などのための目的として効果的に活用可能な新たな菌株についての研究及び開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10−2014−0123847号(2014.10.23)
【特許文献2】大韓民国公開特許第10−2007−0028997号(2007.03.13)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】海外論文(Zhu Y.P,Li X.T,Teng C,Sun B.G,“Enhanced production of α−glucosidase inhibitors by a newly isolated strain of Bacillus subtilis B2 using response surface methodology”FOOD AND BIOPRODUCTS PROCESSING Vol.91 No.3 264p〜270p)
【非特許文献2】大韓民国論文(キム・ヒョンス、リ・ゼヨン、ファン・ギョヨル、チョ・ヨンソク、パク・ヨンシク、カン・ギョンドン、ソン・スイル、“α−グルコシダーゼ阻害剤1−デオキシノジリマイシンを生産するバチルス(Bacillus)菌株の分離及び同定”Korean J.Microbiol.Biotechnol.Vol.39,No.1,49−55(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、α−グルコシダーゼ阻害活性が強い腸内微生物を選抜するために鋭意研究した結果、α−グルコシダーゼ阻害活性を示す微生物のうちから通性嫌気性であり、胞子を形成し、腸内で増殖が可能なGRAS菌としてα−グルコシダーゼ阻害剤を多量で生産する新規なバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株を分離・同定し、前記微生物の発酵物または胞子を含んだ栄養細胞は、体重減量と血糖降下とを目的として食品、医薬品、飼料などに有用に使われうるということを確認した。
【0011】
これにより、本発明では、α−グルコシダーゼ阻害剤を多量生産する新菌株であるバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株に関する技術内容を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような技術的課題を果たすために、本発明は、α−グルコシダーゼ阻害剤を高生産するバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株(受託番号KCTC13021BP)を提供する。
【0013】
また、前記菌株は、配列番号1の16s RNAを含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記菌株は、嫌気性であるか、または、好気性であり得る。
【0015】
また、前記菌株は、胞子を形成し、前記菌株が投与された後、生物体から2週以内に排泄されうる。
【0016】
また、前記菌株は、動物の腸内でα−グルコシダーゼ阻害剤を生産し、腸内で生産されたα−グルコシダーゼ阻害剤は、前記菌株が投与された後、生物体から2週以内に排泄されうる。
【0017】
また、本発明は、前記菌株を含む食品組成物を提供する。
【0018】
また、前記食品組成物には、前記菌株が胞子の形態で含まれ、1kg当たり10〜1010個の胞子で含まれうる。
【0019】
また、前記食品組成物は、前記菌株の発酵物をさらに含み、前記発酵物は、大豆発酵物であり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株は、嫌気性条件でも生息が可能な新菌株であって、腸内でα−グルコシダーゼ阻害剤を生産して供給するので、有効濃度を一定に保持して、優れた体重減量及び血糖降下の効果を示し、腸内に固着せず、一時的に生息する特性を示して、必要に応じて投与された菌株または菌株が生産したα−グルコシダーゼ阻害剤は、排出が可能であって、安全に使用することができる。
【0021】
また、α−グルコシダーゼ阻害剤の生成のための別途の発酵コスト及び加工費が不要であって、生産コストを節減し、発酵臭などの問題が発生せず、多様な形態の食品に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】高炭水化物食餌の給与時に、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株胞子の投与がマウスの体重に及ぼす影響を示すグラフである(対照群、高炭水化物食餌群及び高炭水化物食餌+胞子群)。
図2】高脂肪食餌の給与時に、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌胞子の投与がマウスの体重に及ぼす影響を示すグラフである(対照群、高脂肪食餌群及び高脂肪食餌+胞子群)。
図3】マウスの糞便に含まれた菌株数の変化を示すグラフである(高炭水化物食餌+胞子群及び高脂肪食餌+胞子群)。
図4】マウスの糞便に含まれたα−グルコシダーゼの阻害活性を示すグラフである(高炭水化物食餌+胞子群及び高脂肪食餌+胞子群)。
図5】バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の電子顕微鏡写真である。
図6】バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の分類学上の位置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0024】
本発明は、α−グルコシダーゼ阻害剤を高生産するバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株(受託番号KCTC13021BP)を提供する。
【0025】
前記菌株は、稲わら及び乾草を試料として耐熱性胞子を形成する菌を分離し、生体内で生育が可能であり、α−グルコシダーゼ阻害剤を高生産する菌株を選別することで得られる。
【0026】
前記菌株は、下記の配列番号1の16s RNAを含むことを特徴とする。
【0027】
配列番号1:
AGGGCTTCCCCTTCGGGGGCAGAGTGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTGATCTTAGTTGCCAGCATTCAGTTGGGCACTCTAAGGTGACTGCCGGTGACAAACCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGGCAGAACAAAGGGCAGCGAAGCCGCGAGGCTAAGCCAATCCCACAAATCTGTTCTCAGTTCGGATCGCAGTCTGCAACTCGACTGCGTGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGGATCAGCATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACCACGAGAGTTTGTAACACCCGAAGTCGGTGAGGTAACCTTTTGGAGCCAGCCGCCGAAGGTGGGACAGATGATTGGGGTGAAGTCGTACAGGGAAAA
【0028】
前記菌株は、α−グルコシダーゼ阻害剤を腸内で高収率で生産可能な嫌気性特性と生体外でもα−グルコシダーゼ阻害剤を生産可能な好気的特性とを同時に有しうる。
【0029】
前記菌株は、胞子を形成し、腸内に固着せず、一時的に生息する特性を示して、必要に応じて投与された菌株の除去が可能であって、安全に使用することができる。望ましくは、前記菌株は、生物体に投与された後、2週経過する時点に生物体外に排泄され、より望ましくは、1週経過する時点に排泄されうる。
【0030】
また、前記菌株は、腸内で前記α−グルコシダーゼ阻害剤を生産することができて、α−グルコシダーゼ阻害剤の有効濃度を一定に保持し、腸内で生産した前記α−グルコシダーゼ阻害剤は、排泄が可能であって、安全に使用することができる。望ましくは、前記α−グルコシダーゼ阻害剤は、菌株が生物体に投与された後、2週経過する時点に生物体外に排泄されうる。
【0031】
これにより、前記菌株を含む食品を摂取する方法によって投与して、腸内でα−グルコシダーゼ阻害剤を高収率で生産することができて、生物体外に排出が可能であって、体重減量と血糖降下との目的として効果的に使用することができる。
【0032】
本発明は、前記菌株を含む食品組成物を提供する。
【0033】
前記食品組成物は、通用されるバチルス・リケニフォルミスの培養方法によって培養された菌株、菌株の胞子または菌株の発酵物を含みうる。
【0034】
一例として、前記食品組成物は、前記菌株の胞子を含み、前記食品組成物は、1kg当たり10〜1010個の胞子であって、前記菌株を含んで前記菌株が、腸内でα−グルコシダーゼ阻害剤を多量生産することができる。
【0035】
さらに他の例として、前記食品組成物は、前記菌株の発酵物をさらに含み、前記発酵物は、前記菌株を大豆に接種して発酵した大豆発酵物であり得る。
【0036】
以下、本発明を実施例を挙げてより詳しく説明する。
【0037】
提示された実施例は、本発明の具体的な例示であり、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0038】
<実施例>
1.菌株の探索
韓国、中国、日本、米国など世界各地から収集した約500余点の稲わら及び乾草を試料として微生物を分離した。各試料を滅菌食塩水に少量加えて懸濁させた後、80℃恒温水槽で20分間熱処理して得た胞子液を2%寒天を含有するLB平板培地(1%トリプトン、0.2%砂糖、0.5%酵母抽出物及び0.5% NaCl、pH7.0)に塗抹し、55℃培養器で2日間嫌気的に培養し、培養後、菌集落を形成する菌体を分離した。α−グルコシダーゼ阻害剤の生産量を調査するために、分離された菌株を5mlの5%大豆粉を懸濁した培地に接種し、37℃で24時間培養した。培養液を遠心分離して、上澄み液からα−グルコシダーゼ阻害剤活性を測定した(表1の好気的培養)。前記の過程で約60種の通性嫌気性細菌をα−グルコシダーゼ阻害剤生産菌として1次選抜した後、50℃で嫌気的に生育が可能であり、プロピオン酸(propionic acid)を磁化する菌株を選抜して、α−グルコシダーゼ阻害活性が高い3種を2次選抜し、培養液を遠心分離して、上澄み液からα−グルコシダーゼ阻害剤活性を測定した(表1の嫌気的培養)。前記3種の菌株は、バージェイズマニュアル(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology、2002)による分類学的特性の分析方法によって分類し、そのうち、1種が食用可能な菌であるバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)に同定されてバチルス・リケニフォルミスNY1505と名付け、前記菌株が、下記の配列番号1の16S RNA配列を有するということを確認し、前記配列を韓国生命工学研究院生物資源センター(KCTC)に2016年5月3日付で寄託した(寄託番号:KCTC13021BP)。
【0039】
配列番号1:
AGGGCTTCCCCTTCGGGGGCAGAGTGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTGATCTTAGTTGCCAGCATTCAGTTGGGCACTCTAAGGTGACTGCCGGTGACAAACCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGGCAGAACAAAGGGCAGCGAAGCCGCGAGGCTAAGCCAATCCCACAAATCTGTTCTCAGTTCGGATCGCAGTCTGCAACTCGACTGCGTGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGGATCAGCATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACCACGAGAGTTTGTAACACCCGAAGTCGGTGAGGTAACCTTTTGGAGCCAGCCGCCGAAGGTGGGACAGATGATTGGGGTGAAGTCGTACAGGGAAAA
【0040】
2.納豆の製造
大豆を常温で12時間ふやかした後、121℃で40分間煮た。煮た大豆を冷却する前、g当たり10匹の胞子を接種した後、50gずつ納豆製造用発泡スチレン容器に入れ、ビニールカバーを被せた後、37℃で20時間培養した。該培養された納豆を12時間冷蔵保管した後、α−グルコシダーゼ阻害活性を測定及び官能評価を行った。(表1の納豆)。
【0041】
3.α−グルコシダーゼ阻害活性の測定
α−グルコシダーゼは、豚の小腸から抽出して部分精製したものを酵素源として使用した。α−グルコシダーゼ酵素液は、24unit/mlになるように0.5Mリン酸塩緩衝溶液(potassium phosphate buffer、pH7.0)に適当に希釈して使用し、基質は、p−ニトロフェニルα−D−グルコピラノシド(p−nitrophenyl α−D−glucopyranoside、pNPG)を利用した。試験管に培養上澄み液30μlと酵素50μlとを混ぜて37℃で10分間予備保温を行った後、3mM pNPG 50μlを添加し、37℃で20分間反応させた。反応液に0.1M NaCOを加えて反応を停止し、405nmで吸光度を測定して、下記数式1で阻害活性を測定し、α−グルコシダーゼ阻害活性の測定結果を下記の表1に示した。この際、α−グルコシダーゼ阻害単位(α−glucosidase inhibition unit、AGI unit)は、下記数式1で活性測定に使われたα−グルコシダーゼ(α−glucosidase)を100%阻害する時の阻害剤の量と定義した。
【0042】
【数1】

【0043】
【表1】

【0044】
表1に示されたように、酸素の供給有無に関係なく、均一なAGI阻害活性を示して、バチルス・リケニフォルミスが通性嫌気性細菌なので、嫌気的な条件でも生育が可能であるという事実を確認することができた。したがって、動物の腸管内でバチルス・リケニフォルミスは、増殖を行い、有用な生理活性物質を生産することができると確認された。
【0045】
4.バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の食餌実験
バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株が、動物の腸管内で有用物質を生産するか否かを確認するために、マウスの飼料にバチルス・リケニフォルミスNY1505胞子を混合して投与することにより、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の腸内増殖有無、腸内でのα−グルコシダーゼ阻害剤の生成有無などを検討した。
【0046】
まず、α−グルコシダーゼ阻害剤を生産するバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の胞子を混合した飼料(10胞子/kg飼料)をマウスに給与し、体重の変化を観察した。このために、販売される標準飼料と水とを自在に給与し、雄マウス(00週齢)を1週間予備飼育した後に使用した。明暗サイクルは、午前08:00時から午後20:00を明期、午後20:00から午前08:00を暗期にし、22.5±0.5℃の温度及び50〜60%の湿度が保持される環境下で飼育した。肥満誘導式で下記表2及び表3の高炭水化物食餌と高脂肪食餌とにし、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の胞子が含有された飼料は、それぞれの肥満誘導式1kg当たり10胞子を混合して製造した。マウスは、5個の群(各8匹)に分けて、対照群、高炭水化物食餌群、高炭水化物食餌+胞子群、高脂肪食餌群、高脂肪食餌+胞子群に分けて、それぞれ7週間飼育した。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
(1)高炭水化物食餌の給与時に、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌胞子の投与がマウスの体重に及ぼす影響分析
高炭水化物食餌給与されたマウスの体重(body weight、単位gram)にバチルス・リケニフォルミスNY1505菌胞子の投与が及ぼす影響を分析した結果、図1に示されたように、高炭水化物飼料群は、対照群に比べて、明らかな体重増加を示すが、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の胞子が混合された高炭水化物飼料群では、対照群と同様の体重増加の態様を示すことを確認することができた。
【0050】
(2)高脂肪食餌の給与時に、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌胞子の投与がマウスの体重に及ぼす影響
高脂肪食餌給与されたマウスの体重にバチルス・リケニフォルミスNY1505菌胞子の投与がマウスの体重に及ぼす影響を分析した結果、図2に示されたように、高脂肪飼料群は、対照群に比べて、明らかな体重増加を示すが、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の胞子が混合された高脂肪飼料群では、対照群と同様の体重増加の態様を示すことを確認することができた。
【0051】
(3)糞便で排泄されるバチルス・リケニフォルミスNY1505菌数の変化
バチルス・リケニフォルミスNY1505菌胞子が投与されたマウスの便に含まれた胞子数を測定して、便で排泄される菌株の変化を分析した結果、図3に示されたように、飼料1g当たり10匹の胞子が混合されており、一匹当たり一日に約5gの飼料を摂取するので、一日に約5x10匹の胞子を摂取する。胞子投与3週後には、糞便1g当たり約10匹のバチルス・リケニフォルミスNY1505が検出されるので、腸内で本菌株が旺盛に増殖して排出されることが分かった。胞子を7週間投与した場合、胞子を投与していない1週間である8週次には、菌の数字が格段に減少するので、腸内に固着せず、一時的に生息すると判断することができた。したがって、本菌株の投与を中断すれば、腸内菌叢の変化が予想されるので、必要に応じて腸内で本菌株の除去も可能な長所があるということを確認することができた。
【0052】
(4)便で排泄されるα−グルコシダーゼ阻害活性の変化
バチルス・リケニフォルミスNY1505菌胞子が投与されたマウスの便に含まれたα−グルコシダーゼの阻害活性を分析した結果、図4に示されたように、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株は、便で排出される程度に腸内で旺盛に増殖し、α−グルコシダーゼ阻害剤を生産することを確認することができた。胞子が投与されたマウスの2週経過した時点の便で腸内で増殖したバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株が便で排出されて活性が検出された。また、4週次からは、7週までは排出されるバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の量が安定化される時期に排出されるα−グルコシダーゼ阻害剤の量も一定していることを確認することができた。すなわち、α−グルコシダーゼ阻害剤は、常に腸内で生産されるので、腸内での濃度が一定量保持され、効率が高く作用する長所を有し、生産された阻害剤の一定量が排出されることが分かる。糞便で排出されるα−グルコシダーゼ阻害剤の活性を見れば、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株で製造した納豆の活性(表1)と比べると、相当量のα−グルコシダーゼ阻害剤が腸内で生産され、その一部が排出されるという事実を確認することができた。
【0053】
前記のような結果を通じて、本発明によるバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株が発酵によって生成された生理活性物質を使用することではなく、体内で菌株が生理活性物質を連続して作って供給するので、α−グルコシダーゼ阻害剤の生成のための別途の発酵コスト及び加工費が不要であって、生産コストを節減し、体内で連続して生産することにより、有効な濃度を一定に保持できるという長所があるということを確認することができ、有用菌の胞子を利用することにより、発酵臭などの問題が発生せず、多様な加工食品に添加物として使用することができるので、多様な形態の食品に適用することができるという事実を確認することができた。
【0054】
5.分離された菌株の形態学的及び生化学的特性の究明
(1)分離された菌株の形態学的特性
前記のように分離されたバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株は、LB寒天平板培地でコロニーの中央部分は薄いさび色を示し、縁部は不規則な外形を示した(図5)。菌の生育が可能な温度範囲は、25〜50℃の範囲で成長が良好であり、60℃以上では、菌体成長が確認されていない。LB液体培地を利用した菌体成長の対数期で顕微鏡観察した結果、グラム陽性の短い棒状を示せれば、比較菌株であるバチルス・リケニフォルミスと類似した。また、分離した菌株は、下記表4に示されたように、グラム陽性であり、細胞のサイズは、ほぼ0.5〜0.7×1.5〜1.8μmであることを確認することができ、前記結果を総合して、バチルス・リケニフォルミスNY1505菌株の分類学上の位置を図6に示した。
【0055】
【表4】

【0056】
(2)分離された菌株の生化学的特性
バージェイズマニュアルによるバチルス属菌株の分類学的特性の分析方法とAPI50CHBキット(BioMerieux社、France)とを使用して、分離された菌株の生化学的特性などを調査した結果、分離した菌株は、グラム陽性の円筒状であって、胞子は細胞中央に形成され、硝酸塩の還元力は陽性であり、インドール形成は陰性であった。また、カゼインと澱粉とを分解し、カタラーゼ陽性であり、好気的条件及び嫌気的条件で成長すると確認され、下記表5に示すような生化学的特性(API test結果)を有することを確認することができた。
【0057】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によるバチルス・リケニフォルミスNY1505菌株は、腸内でα−グルコシダーゼ阻害剤を生産して供給するので、食品組成物に使われる。
【受託番号】
【0059】
寄託機関名:韓国生命工学研究院韓国生物資源センター(KCTC)
受託番号:KCTC13021BP
受託日:20160503
【0060】
(受託証)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]