特許第6785344号(P6785344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6785344-ウエハ搬送用ブレード 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785344
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】ウエハ搬送用ブレード
(51)【国際特許分類】
   B65G 49/07 20060101AFI20201109BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   B65G49/07 E
   H01L21/68 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-133432(P2019-133432)
(22)【出願日】2019年7月19日
(62)【分割の表示】特願2015-134391(P2015-134391)の分割
【原出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2019-182664(P2019-182664A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】光洋サーモシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦崎 義彦
(72)【発明者】
【氏名】中井 克寿
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−134586(JP,A)
【文献】 特開2005−039121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/07
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード面における対向する2つ円弧で挟まれた領域で円盤状のウエハを支持する板状のウエハ搬送用ブレードであって、
前記ブレード面上のウエハ支持領域の外側に前記ウエハの外周が係止されるストッパが設けられるともに、前記ブレード面において、前記ストッパの内側に、前記ウエハの端部を支持する支持部が設けられ、
前記ブレード面の前記ウエハ支持領域の中央に、前記ウエハの中央に形成された碗状の陥没部が当接する周囲を有する開口が設けられ、
前記ウエハは、その底面の外周面が前記支持部に当接し、前記ウエハの碗状の陥没部が前記開口の周囲に当接することにより、前記ブレード面に接しないように持上げられて支持される、ウエハ搬送用ブレード。
【請求項2】
前記支持部の上面は、前記開口に向けて傾斜している、請求項1に記載のウエハ搬送用ブレード。
【請求項3】
前記ストッパは、前記ウエハの端部の端面と対向する面に、前記開口に向けて傾斜する面を含む、請求項1又は2に記載のウエハ搬送用ブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウエハを支持して搬送するためのウエハ搬送用ブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の基板などに使用されるウエハは、製品出荷前に熱処理炉に収容されて熱処理される。ウエハは円盤状であり、板状のブレードに載せられて搬送され、熱処理炉に搬出入される(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
このようなウエハ搬送用ブレード110は、図4に示すように、ブレード面上において、対向する2つ円弧C1,C2で挟まれた領域(図4中に斜線を施した領域。以下、「ウエハ支持領域」と称する。)111Aでウエハ100を支持する。ブレード面上のウエハ支持領域111Aの四隅には、極小面積の支持部114A,114B,115A,115Bがあり、ウエハ100はこれらの支持部によりブレード面とできるだけ接触しないように持ち上げられた状態で支持されている。
【0004】
各支持部は、ウエハ支持領域111Aの外側に、ウエハ100の外周が係止されるストッパ116,117が設けられており、搬送時にウエハ100が横滑りしてウエハ搬送用ブレード110から落下することが防止される。
【0005】
近年、ウエハの薄型化が進み、アニール処理の際にウエハに歪み変形が生ずることが問題視されている。そこで、ウエハの中央部を同心円状に肉厚を薄く形成し、アニール処理による変形をこの中央部に集約させることで、変形が全体に及ばないように工夫している。このようなウエハは、特にコンパウンドウエハと呼ばれ、中央部に碗状の陥没部が下方に突出して形成された状態で一般に流通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−116049号公報
【特許文献2】特開2001−44263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなコンパウンドウエハは、従来のウエハ搬送用ブレードのブレード面に載せた際に、凹凸のないウエハとは異なり、陥没部がブレード面に当接して外周部がストッパ116,117よりも上方に位置し、搬送時に横滑りを生じてブレード面から落下するおそれがある。
【0008】
この発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、搬送時に横滑りによるコンパウンドウエハの落下を防止できるウエハ搬送用ブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のウエハ搬送用ブレードは、ブレード面における対向する2つの円弧で挟まれた領域で円盤状のウエハを支持するものであり、ブレード面上のウエハ支持領域の外側にコンパウンドウエハの外周が係止されるストッパが設けられるともに、ブレード面のウエハ支持領域の中央に、コンパウンドウエハの中央に形成された碗状の陥没部が当接する周囲を有する開口が設けられている。
【0010】
この構成によれば、陥没部を中央部に有するコンパウンドウエハをブレード面上においたとき、陥没部は開口に位置してブレード面より下方に位置し、コンパウンドウエハの外周がストッパの上方に位置することがない。
【0011】
また、上記ブレード面において、ストッパの内側にウエハの端部を支持する支持部が設けられており、支持部の上面は、開口に向けて傾斜している。
【0012】
このような構成では、ウエハは、ウエハの端部が支持部の上面と当接することでブレード面のウエハ支持領域の中央側に位置し、これにより、ウエハの陥没部はブレード面の開口に位置することができる。
【0013】
更に、ウエハの端部の端面と対向する面に、ストッパは、開口に向けて傾斜する面を含む。
【0014】
このような構成では、ウエハは、ウエハの端部の端面がストッパの傾斜面と当接することでブレード面のウエハ支持領域の中央側に位置し、これにより、ウエハの陥没部はブレード面の開口に位置することができる。
【0015】
なお、開口の周囲に、コンパウンドウエハの陥没部の外周が当接するテーパを形成しておくと、コンパウンドウエハとブレード面との接触面積が増え、ウエハ搬送用ブレードにコンパウンドウエハを安定して支持することができる。このとき、開口のエッジが陥没部に当接することがないので、コンパウンドウエハの傷付きも防止できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、コンパウンドウエハの横滑りによるブレード面からの落下を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)及び(B)は、この発明の一実施形態に係るウエハ搬送用ブレードの平面図及びX−X線断面図である。
図2】(A)及び(B)は、コンパウンドウエハを示す平面図及び断面図である。
図3】(A)及び(B)は、ブレード面のウエハ支持領域を説明する上記ウエハ搬送用ブレードの平面図、及びブレード面にコンパウンドウエハを載置した状態を示す断面図である。
図4】従来のウエハ搬送用ブレードを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、この発明の実施の形態に係るウエハ搬送用ブレードを説明する。本実施の形態に係るウエハ搬送用ブレード10は、コンパウンドウエハの搬送に適したものである。図2(A)及び(B)に示すように、コンパウンドウエハ100は、円盤状を呈し、中央部に碗状の陥没部100Aが下方に突出して形成されている。
【0019】
図1(A)及び(B)に示すように、ウエハ搬送用ブレード10は、金属等の耐熱性を有する材料から成る板状部材であり、ウエハ支持板11および取付板12を一体的に有する。
【0020】
ウエハ支持板11は、円形の板状体を互いに平行な2直線で切断し、基端側及び先端側の外縁を単一円の部分円弧状とした形状を呈している。ウエハ支持板11は、基端側の外縁から取付板12を延出させており、先端側にスリット19が形成されている。ウエハ支持板11の上面(本発明のブレード面に相当する。)の四隅には、ブレード面から隆起する極小面積の支持部14A,14B,15A,15Bが設けられている。支持部14A,14Bはウエハ支持板11の先端側に形成され、支持部15A,15Bはウエハ支持板11の基端側に形成される。
【0021】
支持部14A,14Bのそれぞれの外側には、ストッパ16が凸設されている。支持部15A,15Bの外側には、ストッパ17が凸設されている。ストッパ17はウエハ支持板11の基端側の支持部15A,15Bに跨って形成され、ウエハ支持板11と取付板12とを隔てる境界を兼ねている。ストッパ16及び17の互いに対向する内側面は、ウエハ支持板11の基端側及び先端側の外縁を構成する円弧と同心状で、ウエハ支持板11に支持すべきコンパウンドウエハ100の直径に等しい径の円弧面で構成されている。
【0022】
ウエハ支持板11の中央部には、円形の開口13が形成されている。開口13は、ウエハ支持板11の基端側及び先端側の外縁を構成する円弧と同心上に形成されており、ブレード面側に全周にわたってテーパ13Aを備えている。開口13の直径は、陥没部100Aの直径よりも少し小さめに設定される。なお、開口13の形状および大きさは陥没部100Aの形状に対応して決められるものであり、上記に限定されない。
【0023】
取付板12は、ウエハ搬送用ブレード10を、図示しないロボットアームに取付けるための接合部である。取付板12には小孔18が2箇所設けられ、この小孔18とロボットアーム側に設けられたネジ穴とにネジを螺号することにより、ウエハ搬送用ブレード10はロボットアームに固定される。
【0024】
図3(A)及び(B)に示すように、ウエハ支持板11は、ストッパ16の内側面を構成する円弧C1とストッパ17の内側面を構成する円弧C2で挟まれた領域(図3(A)中に斜線を施した領域。以下、「ウエハ支持領域」と称する。)11Aでコンパウンドウエハ100を支持する。このとき、コンパウンドウエハ100の外周面がストッパ16,17の内側面に当接し、コンパウンドウエハ100の底面の外周部がウエハ支持板11の支持部14A,14B及び15A,15Bに当接する。コンパウンドウエハ100は、ウエハ支持領域11Aのブレード面とできるだけ接しないように持ち上げられた状態で支持される。
【0025】
また、開口13の周囲にはテーパ13Aが形成されており、コンパウンドウエハ100の陥没部100Aの外周がテーパ13Aに当接する。これにより、コンパウンドウエハ100とウエハ支持板11との接触面積が増え、ウエハ搬送用ブレード10にコンパウンドウエハ100を安定して支持することができる。このとき、開口13のエッジが陥没部100Aに当接することがないので、コンパウンドウエハ100の傷付きも防止される。
【0026】
コンパウンドウエハ100をブレード面上に置いたとき、ウエハの陥没部100Aが開口13に位置してブレード面より下方に逃げる。したがって、コンパウンドウエハ100の外周がストッパ16,17から浮き上がることがなく、搬送時に横滑りによりコンパウンドウエハ100が落下することが防止される。
【0027】
なお、支持部14A,14B及び15A,15Bの上面を、中央の開口に向けて低くなる傾斜面とすることもできる。コンパウンドウエハ100は、陥没部100Aの周囲から外縁部に向かう方向に沿って徐々に大きくなるように下方に湾曲し、全体として下に凸となる変形を生じる。これによって、コンパウンドウエハ100の陥没部100Aが開口13のテーパ13Aに確実に当接し、コンパウンドウエハ100をウエハ支持板11に確実に固定することができる。
【0028】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、この発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0029】
10−ウエハ搬送用ブレード
11−ウエハ支持板
11A−ウエハ支持領域
12−取付板
13−開口
13A−テーパ
100−ウエハ
100A−陥没部
図1
図2
図3
図4