(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785380
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】空気分離装置及び冷蔵冷凍装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/22 20060101AFI20201109BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20201109BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20201109BHJP
A01F 25/00 20060101ALI20201109BHJP
A23B 7/148 20060101ALN20201109BHJP
【FI】
B01D53/22
F25D11/00 101B
F25D23/00 302Z
A01F25/00 A
A01F25/00 B
A01F25/00 C
!A23B7/148
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-529904(P2019-529904)
(86)(22)【出願日】2017年12月1日
(65)【公表番号】特表2020-500699(P2020-500699A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】CN2017114219
(87)【国際公開番号】WO2018099464
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年6月3日
(31)【優先権主張番号】201611109706.7
(32)【優先日】2016年12月2日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516270865
【氏名又は名称】チンダオ ハイアール ジョイント ストック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER JOINT STOCK CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】ジァン ブォ
(72)【発明者】
【氏名】ワン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジン
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第2608114(CN,Y)
【文献】
特開2004−033964(JP,A)
【文献】
特開平01−176421(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201251336(CN,Y)
【文献】
特開昭63−207973(JP,A)
【文献】
中国実用新案第2697545(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気分離装置であって、
チャンネルを有する支持表面と前記チャンネルに連通する富化ガス収集室とが形成される支持フレームと、
前記支持フレームの支持表面に敷設され、前記空気分離装置の周囲空間の気流における特定のガスが当該気流における他のガスよりも多く透過して前記富化ガス収集室に進入するように構成された空気分離膜と、を備えており、
前記支持フレームは、前記富化ガス収集室における特定のガスの出力が許容されるように、前記富化ガス収集室に連通するエア抜き孔を有しており、
前記支持フレームは、
開口を有する収容室を内部に規定するベゼルと、
前記収容室の前記開口に間隔をおいて配置された複数のリブ板とを更に備え、
前記複数のリブ板の外側表面は、前記支持表面を形成し、
2つの隣接する前記リブ板の間の隙間は、前記チャンネルを形成し、
前記収容室の前記複数のリブ板の内側に存在するキャビティは、前記富化ガス収集室を形成しており、
前記エア抜き孔の軸線延在方向と前記複数のリブ板の延在方向とは、同じであり、
前記エア抜き孔は、前記支持表面から外方へ突起するように設けられ、
前記エア抜き孔は、2つの前記リブ板に対向し、且つ2つの前記リブ板の前記エア抜き孔に近接する外側表面は、外方へ持ち上げられて突起を形成し、2つの前記突起は、前記エア抜き孔に位置合わされた流れ案内通路を形成することにより、前記エア抜き孔の吸気量を大きくすることを特徴とする空気分離装置。
【請求項2】
前記エア抜き孔は、前記ベゼルの周方向の一方側に設けられ、前記エア抜き孔の軸線は、前記支持表面の垂直2等分面に位置することを特徴とする請求項1に記載の空気分離装置。
【請求項3】
前記エア抜き孔の軸線と前記複数のリブ板の内側表面とは、同一の平面に位置することを特徴とする請求項1に記載の空気分離装置。
【請求項4】
前記ベゼルの開口周縁の表面は、内方へ凹んで前記支持表面に揃う取付凹溝を形成し、前記空気分離膜は、前記取付凹溝に収容されており、
前記ベゼルの開口周縁の表面は、更に前記取付凹溝の周辺において内方へ凹むことにより、シーラを充填して前記空気分離膜を前記取付凹溝内に密封に取り付けるための環状溝を形成していることを特徴とする請求項1に記載の空気分離装置。
【請求項5】
前記空気分離膜は、酸素富化膜であり、前記特定のガスは、酸素ガスであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の空気分離装置。
【請求項6】
内部に収納スペースが規定される筐体であって、前記収納スペース内にガス調整鮮度保持空間が設けられた筐体と、
周囲空間が前記ガス調整鮮度保持空間に連通する、請求項5に記載の空気分離装置と、
入口側が管路を経由して前記空気分離装置の前記富化ガス収集室に連通することにより、前記富化ガス収集室内に透入したガスを前記ガス調整鮮度保持空間の外部へ引き抜く吸気ポンプと、を備えることを特徴とする冷蔵冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2016年12月02日であり、出願番号が201611109706.7であり、発明名称が「空気分離装置及び冷蔵冷凍装置」である中国特許出願の優先権を主張し、当該出願の全文が引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ガス分離技術分野に関し、特に空気分離装置及びそれを備える冷蔵冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0003】
冷蔵庫は、一定の低温を保持する冷却機器でありながら、食品や他の物品を一定低温冷間に保持する民生品でもある。生活品質の向上とともに、消費者は、食品の貯蔵に対する鮮度保持の要求がますます高まり、特に食品の色味、食感等に対する要求もますます高まってきている。したがって、貯蔵される食品は、貯蔵期間において食品の色味、食感、新鮮度等ができるだけ変化しないことを保証すべきである。
【0004】
冷蔵庫の鮮度保持技術では、酸素は、冷蔵庫における食品の酸化作用にも呼吸作用にも緊密に関連する。食品の呼吸が遅いほど、食品の酸化作用は、弱くなり、鮮度保持時間も長くなる。空気における酸素ガスの含有量を低減することは、食品の鮮度保持に対して著しい効果を有する。
【0005】
現在、冷蔵庫における酸素ガスの含有量を低減するには、従来技術において一般的に真空鮮度保持を利用したり脱酸装置を別途設けたりして低酸素鮮度保持を行う。しかし、真空鮮度保持の操作が一般的に繁雑であり、使用が大変不便である。その一方、脱酸装置が一般的に電解質等を利用して酸素除去を行うため、装置が複雑であり、且つ酸素除去効果が顕著ではない。
【0006】
ガス調整鮮度保持技術とは、一般的に、貯蔵物の所在する密閉空間の雰囲気(ガス成分の割合またはガス圧)を調整することで食品貯蔵寿命を延長する技術を指し、その基本的な原理は下記のようになる。特定の密閉空間内では、各種の調整手法で正常な空気成分とは異なる雰囲気を取得することにより、貯蔵物(通常は、食材)の腐敗劣化をもたらす生理・生化過程および微生物の活動を抑圧する。特に、本発明において議論されるガス調整鮮度保持は、ガス成分割合を調整するガス調整鮮度保持技術に関する。
【0007】
当業者であれば分かるように、正常な空気成分は、(体積百分率に準じる。以下では同じ)約78%の窒素ガス、約21%の酸素ガス、約0.939%の希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン)、0.031%の二酸化炭素、および0.03%の他のガスと不純物(例えば、オゾン、一酸化窒素、二酸化窒素、水蒸気等)を含む。ガス調整鮮度保持分野では、密閉空間に窒素富化ガスを注入して酸素ガスの含有量を低減する方式で窒素富化酸素欠損の鮮度保持雰囲気を取得することが一般的である。ここで、当業者であれば分かるように、窒素富化ガスとは、窒素ガス含有量が上記正常空気における窒素ガス含有量を超えるガスを指す。例えば、その中の窒素ガス含有量は、95%〜99%であり、より高くなってもよい。その一方、窒素富化酸素欠損の鮮度保持雰囲気とは、窒素ガス含有量が上記正常空気における窒素ガス含有量を超え、且つ酸素ガス含有量が上記正常空気における酸素ガス含有量より低い雰囲気を指す。
【0008】
ガス調整鮮度保持技術の歴史が、果物や野菜が低酸素レベルであるときに代謝作用を減少可能であることを1821年にドイツの生物学者より見出す時点に遡れるが、今までも、ガス調整鮮度保持のための従来の窒素製造機器の体積が膨大であり、コストが高価であるため、当該技術は、基本的に各種の大型の専門貯蔵庫(貯蔵容量が一般的に少なくとも30トン以上)への使用に限られている。何の適切なガス調整技術および対応する装置を用いて経済的にガス調整システムを小型化して静音化して家庭や個人ユーザに向かせるかは、ガス調整鮮度保持分野の技術者が解決しようとするが未だに解決できていない技術的な難関と言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1態様の1つの目的は、従来技術に存在する上記欠陥について、特定のガスを空気から分離可能な空気分離装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第1態様の別の目的は、冷蔵冷凍装置の収納スペースにおける特定のガス含有量が低減されるように、冷蔵冷凍装置の内部に適用可能な空気分離装置を提供することにある。
【0011】
本発明の第1態様の更に別の目的は、体積が小さく、強度が高く、且つ酸素除去効果が顕著な空気分離装置を提供することにある。
【0012】
本発明の第2態様の1つの目的は、従来の冷蔵庫の少なくとも1つの欠陥を克服する冷蔵冷凍装置を提供することにある。それは、空気分離装置を利用して空間内の空気における酸素ガスを当該空間から排出することにより、当該空間内で窒素富化酸素欠損を得て食品鮮度保持の雰囲気に有利にさせることを創造的に提出した。当該雰囲気は、果物・野菜保存空間内における酸素ガスの含有量を低減し、果物・野菜の酸素呼吸の強度を低下させつつ、基礎的な呼吸作用を保証し、果物・野菜の無酸素呼吸を防止することにより、果物・野菜の長期間にわたる鮮度保持の目的を果たす。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1態様によれば、空気分離装置を提供する。当該空気分離装置は、チャンネルを有する支持表面と前記チャンネルに連通する富化ガス収集室とが形成される支持フレームと、前記支持フレームの支持表面に敷設され、前記空気分離装置の周囲空間の気流における特定のガスが当該気流における他のガスよりも多く透過して前記富化ガス収集室に進入するように構成された空気分離膜と、を備える。
【0014】
好ましくは、前記支持フレームは、前記富化ガス収集室における特定のガスの出力が許容されるように、前記富化ガス収集室に連通するエア抜き孔を有する。
【0015】
好ましくは、前記支持フレームは、開口を有する収容室を内部に規定するベゼルと、前記収容室の前記開口に間隔をおいて配置された複数のリブ板とを更に備え、前記複数のリブ板の外側表面は、前記支持表面を形成し、2つの隣接する前記リブ板の間の隙間は、前記チャンネルを形成し、前記収容室の前記複数のリブ板の内側に存在するキャビティは、前記富化ガス収集室を形成する。
【0016】
好ましくは、前記エア抜き孔は、前記ベゼルの周方向の一方側に設けられ、前記エア抜き孔の軸線は、前記支持表面の垂直2等分面に位置する。
【0017】
好ましくは、前記エア抜き孔の軸線延在方向と前記複数のリブ板の延在方向とは、同じである。
【0018】
好ましくは、前記エア抜き孔の軸線と前記複数のリブ板の内側表面とは、同一の平面に位置する。
【0019】
好ましくは、前記エア抜き孔は、前記支持表面から外方へ突起するように設けられ、前記エア抜き孔は、2つの前記リブ板に対向し、且つ2つの前記リブ板の前記エア抜き孔に近接する外側表面は、外方へ持ち上げられて突起を形成し、2つの前記突起は、前記エア抜き孔に位置合わされた流れ案内通路を形成することにより、前記エア抜き孔の吸気量を大きくする。
【0020】
好ましくは、前記ベゼルの開口周縁の表面は、内方へ凹んで前記支持表面に揃う取付凹溝を形成し、前記空気分離膜は、前記取付凹溝に収容され、前記ベゼルの開口周縁の表面は、更に前記取付凹溝の周辺において内方へ凹むことにより、シーラを充填して前記空気分離膜を前記取付凹溝内に密封に取り付けるための環状溝を形成している。
【0021】
好ましくは、前記空気分離膜は、酸素富化膜であり、前記特定のガスは、酸素ガスである。
【0022】
本発明の第2態様によれば、冷蔵冷凍装置を提供する。当該冷蔵冷凍装置は、内部に収納スペースが規定される筐体であって、前記収納スペース内にガス調整鮮度保持空間が設けられた筐体と、上記何れか一項に記載の空気分離装置と、入口側が管路を経由して前記空気分離装置の前記富化ガス収集室に連通することにより、前記富化ガス収集室内に透入したガスを前記ガス調整鮮度保持空間の外部へ引き抜く吸気ポンプと、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明の空気分離装置では、支持フレームが特に支持表面および富化ガス収集室を有する構造とされ、支持表面には富化ガス収集室に連通するチャンネルが形成され、支持表面に空気分離膜が配置されることにより、内部ガスの流動性が良くて一定の強度を有する空気分離装置は、提供される。
【0024】
さらに、本発明の支持フレームがその収容室の開口に間隔をおいて複数のリブ板を設けて空気分離膜をリブ板の外側表面に設けることにより、気流通路の一貫性を保証しながら、支持フレームの体積を縮小して支持フレームの強度を向上させる。また、支持フレームの上記構造は、空気分離膜が十分な支持を得ることを保証し、富化ガス収集室の内部負圧が大きい場合にも良好な平坦度を常に保ち、空気分離装置の使用寿命を保証する。
【0025】
さらに、本発明では、エア抜き孔の位置を特別に設計することで、エア抜き孔の吸気量を大きくして空気分離装置のガス導入率を増加させる。これにより、富化ガス収集室の体積が大幅に縮小可能であり、空気分離装置の小型化にも有利になる。
【0026】
さらに、本発明では、支持フレームのベゼルに取付凹溝および環状溝を形成していることで、空気分離膜を便利で迅速且つ確実にフレームに取り付け可能であり、空気分離装置の気密性も保証できる。
【0027】
図面に合わせて後述する本発明の具体的な実施例の詳細な記述によれば、本発明の上記および他の目的、メリットと特徴は、当業者により良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
後文は、図面を参照しながら制限的ではなく例示的に本発明の幾つかの具体的な実施例を詳細に記述する。図面における同じ符号は、同じまたは類似する部品や部分を示す。当業者であれば分かるように、これらの図面が必ずしも割合に準じて描かれるものとは限らない。図面において、
【0029】
【
図1】本発明の一実施例に係る空気分離装置の模式的な構造図である。
【
図2】
図1に示す空気分離装置の模式的な断面図である。
【
図3】
図1に示す空気分離装置の模式的な分解図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る冷蔵冷凍装置の模式的な配置構造図である。
【
図6】
図5に示す冷蔵冷凍装置を別の角度で観察する模式的な構造図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る冷蔵冷凍装置の模式的な局所構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施例に係る空気分離装置100の模式的な構造図である。
図2は、
図1に示す空気分離装置100の模式的な断面図である。
図3は、
図1に示す空気分離装置100の模式的な分解図である。
図4は、
図3におけるA領域の拡大模式図である。
図1〜
図4を参照すると、本発明の実施例に係る空気分離装置100は、一般的に、支持フレーム110と、支持フレーム110に配置された空気分離膜120とを備えてもよい。支持フレーム110は、チャンネル1103を有する支持表面とチャンネル1103に連通する富化ガス収集室とが形成されている。空気分離膜120は、支持フレーム110の支持表面に敷設され、空気分離装置100の周囲空間の気流における特定のガスが当該気流における他のガスよりも空気分離膜120を多く透過して富化ガス収集室に進入するように構成されている。
【0031】
本発明の幾つかの実施例では、空気分離膜120が全てのガスに対して浸透可能なものであってもよく、異なるガスが異なる浸透度を有せばよい。ガスが空気分離膜120を透過するのは、複雑な過程である。その透過メカニズムは、一般的に、ガス分子がまず空気分離膜120の表面に吸着されて溶解し、その後空気分離膜120で拡散し、最後に空気分離膜120の他方側から脱着することである。膜分離技術は、異なるガスが空気分離膜120の中で溶解と拡散する係数の相違に基づいてガスの分離を実現する。混合ガスが一定の駆動力(空気分離膜の両側の圧力差または圧力比)の作用の下で、浸透速度が相対的に速いガス(即ち、上記特定のガス)は、空気分離膜120を透過した後、空気分離膜120の浸透側で富化され、浸透速度が相対的に遅いガスは、空気分離膜120の滞在側に滞在して富化される。こうして、混合ガスを分離する目的は、達成される。
【0032】
好適な実施例では、空気分離膜120が酸素富化膜であってもよく、その場合、上記特定のガスが酸素ガスである。代替実施例では、空気分離膜120が当分野でよく見られる、他のガスを分離するための分離膜であってもよい。
【0033】
幾つかの実施例では、空気分離装置100の支持フレーム110は、富化ガス収集室における特定のガスの出力が許容されるように、富化ガス収集室に連通するエア抜き孔101を備えてもよい。富化ガス収集室は、エア抜き孔101を介して吸気ポンプに接続されることで、上記特定のガスを富化ガス収集室から出力してもよい。富化ガス収集室における富化ガスが出力されるにつれて、富化ガス収集室内は、負圧状態になる。したがって、空気分離装置100外側空気のうちの特定のガスは、引き続き空気分離膜120を透過して富化ガス収集室に進入する。
【0034】
幾つかの実施例では、空気分離装置100の支持フレーム110は、ベゼル102と複数のリブ板1102とを更に備えてもよい。ベゼル102内には、開口を有する収容室1101が規定されている。複数のリブ板1102は、収容室1101の上記開口に間隔をおいて配置されている。複数のリブ板1102の外側表面は、上記空気分離膜120を敷設するための支持表面を形成し、2つの隣接するリブ板1102の間の隙間は、上記支持表面のチャンネル1103を形成する。収容室1101の上記複数のリブ板1102内側に存在するキャビティは、前記富化ガス収集室を形成する。
【0035】
空気分離膜120は、上記複数のリブ板1102の外側表面に配置されている。当業者であれば意識できるように、上記複数のリブ板1102の内側表面がリブ板1102の収容室1101へ向かう側の表面、またはリブ板1102の上記開口から離隔する側の表面そのものであり、上記複数のリブ板1102の外側表面がリブ板1102の収容室1101から離隔する側の表面またはリブ板1102の上記開口へ向かう側の表面そのものである。本発明では、空気分離膜120を複数のリブ板1102の外側表面に設けることにより、支持フレーム110が空気分離膜120に対して良好な支持作用を果し、空気分離膜120が良好な平坦度を保持することに有利であり、且つ内部ガス流動性が良くて一定の強度を有する空気分離装置100を提供する。
【0036】
幾つかの実施例では、ベゼル102の開口周縁の表面が内方へ凹んで上記複数のリブ板1102の外側表面と揃うことにより、共同して取付凹溝114を形成し、空気分離膜120が取付凹溝114に収容されている。ベゼル102の開口周縁の表面は、更に取付凹溝114の周辺で内方へ凹んで環状溝115を形成する。環状溝115には、シーラ130が充填されることにより、空気分離膜120が取付凹溝114に密封に取り付けられている。本発明では、支持フレーム110のベゼル102に取付凹溝114および環状溝115を形成することにより、空気分離膜120を便利で迅速且つ確実に支持フレーム110に取り付けることを実現可能であり、空気分離装置100の気密性を保証し、空気分離膜120の内外に十分な圧力差を形成可能である。本発明の実施例の空気分離装置100が冷蔵庫食品鮮度保持に用いられる際、シーラに食品レベルの要求が保証される。即ち、シーラが異味および揮発性有害物質を発生しないことを保証する。
【0037】
幾つかの実施例では、
図3を参照すると、取り付けが更に便利になるように、先に1周の両面テープ140を用いて空気分離膜120を予め取付凹溝114に固定し、その後環状溝115に1周のシーラ130を充填することにより、空気分離膜120が凹溝114に密封に取り付けられている。
【0038】
幾つかの実施例では、リブ板1102の外側表面のエッジが面取り部を形成することにより、リブ板1102と空気分離膜120との間の接触面積を縮小可能であり、富化ガス収集室内部のガス流動性を更に向上させる。
【0039】
幾つかの実施例では、エア抜き孔101は、ベゼル102の周方向の一方側に設けられている。当業者であれば理解できるように、ここでの「周方向の一方側」は、ベゼル102の、収容室1101の開口の所在する平面に直交する何れか一側の周方向側壁そのものである。このような実施例では、エア抜き孔101の軸線は、上記支持表面またはリブ板1102の外側表面に平行となる。さらに、エア抜き孔101の軸線は、支持表面の垂直2等分面に位置する。ここでの「垂直2等分面」は、支持表面に直交して支持表面を2等分する平面そのものである。即ち、エア抜き孔101は、ベゼル102の周方向の一方側の中部に設けられている。このような構成は、空気分離膜120の各部分の均一な通気に有利になる。
【0040】
複数のリブ板1102が等間隔で配置され、且つ延在方向が同じであることが好ましい。幾つかの実施例では、エア抜き孔101の軸線延在方向と上記複数のリブ板1102の延在方向とは、同じである。これも、支持表面のチャンネル1103の延在方向とエア抜き孔101の軸線延在方向とが同じであることを意味する。このような構成は、チャンネル1103に進入したガスが迅速にエア抜き孔101へ流れ込んで富化ガス収集室内部の空気流通を加速することに有利し、更に空気分離装置100のガス分離速度の向上にも有利になる。
【0041】
図4を参照すると、エア抜き孔101は、上記支持表面から外方へ突起するように設けられてもよい。エア抜き孔101は、上記複数のリブ板1102のうちの2つのリブ板1102に対向する。つまり、エア抜き孔101軸線に直交する平面でのエア抜き孔101の横断面の投影輪郭と、エア抜き孔101軸線に直交する平面での当該2つのリブ板1102のうちの何れか1つの横断面の投影輪郭とは、少なくとも部分的に重なり合う。当該2つのリブ板1102のエア抜き孔101に近接する外側表面は、外方へ持ち上げられて突起1104を形成する。2つの突起1104は、エア抜き孔101に位置合わされた流れ案内通路を形成してエア抜き孔101の吸気量を大きくする。このような実施例では、2つの突起1104が空気分離膜120の該当領域を持ち上げることにより、リブ板1102の外側には、エア抜き孔101に連通する気流通路が形成され、ガス導入率を更に増加させる。このような実施例では、収容室1101の底壁とリブ板1102の内側表面との間の距離は、非常に小さく設定されてもよく、僅かな隙間があればよい。したがって、富化ガス収集室の体積を大きく縮小可能であり、空気分離装置100の小型化に有利になる。
【0042】
エア抜き孔101は、段差孔または段付き穴であってもよく、ホースを介して吸気ポンプに接続される際に、接続箇所の気密性を保証する。
【0043】
代替実施例では、上記複数のリブ板1102の延在方向は、エア抜き孔101の軸線延在方向とは夾角をなしてもよい。
【0044】
本発明の実施例では、支持フレーム110は、特殊な構造により、十分な強度を持つことを保証するため、支持フレーム110がプラスチックからなってもよい。本発明の実施例の空気分離装置100は、主に空気組成の分離を実現するために用いられる。空気分離膜120が酸素富化膜として選択されたとき、当該空気分離装置100によって空気における酸素ガスまたは窒素ガスまたは二酸化炭素の含有量を調整可能であり、更に異なる応用シーン(例えば、酸素富化環境、呼吸器や生鮮キープアライブや酸素富化水等、低酸素環境、ガス調整鮮度保持や難燃環境、窒素富化環境、二酸化炭素富化環境等)に適用される。本発明の実施例の空気分離装置100の体積が小さいため、冷蔵庫の食品鮮度保持に十分に適する。
【0045】
したがって、本発明は、冷蔵冷凍装置を更に提供する。
図5は、本発明の一実施例に係る冷蔵冷凍装置の模式的な構造図であり、
図6は、
図5に示す冷蔵冷凍装置を別の角度から観察する模式的な構造図である。
図7は、本発明の一実施例に係る冷蔵冷凍装置の模式的な局所構造図である。
図8は、
図7に示す構造の模式的な分解図である。
図5〜
図8に示すように、本発明の実施例の冷蔵冷凍装置は、筐体200、扉(図示せず)、空気分離装置100、吸気ポンプ41及び冷却システムを備えてもよい。
【0046】
筐体200内には、収納スペース211および圧縮機室240が規定されている。具体的に、筐体200は、内箱210を備えてもよく、内箱210内には、収納スペース211が区画されている。扉は、筐体200に回動可能に取り付けられ、筐体200で規定される収納スペース211を開放または閉鎖するように構成されている。さらに、収納スペース211内には、収納容器が配置され、収納容器内は、ガス調整鮮度保持空間を有する。ガス調整鮮度保持空間は、密閉型空間または略密閉型空間であってもよい。収納容器が引き出しユニットであることが好ましい。収納容器は、引き出し筒体220および引き出し本体230を備えてもよい。引き出し筒体220は、前向き開口を有してもよく、且つ収納スペース211内に配置されている。引き出し本体230は、引き出し筒体220にスライド可能に配置されることにより、引き出し筒体220の前向き開口から操作可能に外方へ引き出されたり、内方へ引き出し筒体220を押し込まれたりする。
【0047】
冷却システムは、圧縮機、凝縮器、絞り装置および蒸発器等によって構成される冷却循環システムであってもよい。圧縮機は、圧縮機室240内に取り付けられてもよい。蒸発器は、直接または間接に収納スペース211内へ冷気を供給するように配置される。
【0048】
空気分離装置100の周囲空間は、ガス調整鮮度保持空間に連通する。ガス調整鮮度保持空間の空気中の酸素ガスは、その中の窒素ガスよりも空気分離膜120を多く透過して富化ガス収集室に進入する。吸気ポンプ41は、圧縮機室240内に配置されて圧縮機室240の空間を十分に利用してもよい。吸気ポンプ41は、他の箇所を別途占用しないため、冷蔵冷凍装置の余分な体積を増大せず、冷蔵冷凍装置の構造をコンパクトにできる。吸気ポンプ41の入口側は、管路50を介して空気分離装置100の富化ガス収集室に連通することにより、富化ガス収集室内に透入したガスを収納容器外へ引き抜く。
【0049】
当該実施例では、吸気ポンプ41は、外方へガス抜きすることにより、富化ガス収集室の圧力を空気分離装置100の周囲空間の圧力よりも小さくしてもよく、さらに、空気分離装置100の周囲空間内の酸素ガスを富化ガス収集室に進入させてもよい。ガス調整鮮度保持空間が空気分離装置100の周囲空間に連通するため、ガス調整鮮度保持空間内の空気が空気分離装置100の周囲空間に進入する。よって、ガス調整鮮度保持空間内の空気における酸素ガスを富化ガス収集室に進入させることにより、ガス調整鮮度保持空間内で窒素富化酸素欠損を取得して食品鮮度保持の雰囲気に有利にさせることが可能である。
【0050】
幾つかの実施例では、
図7と
図8に示すように、空気分離装置100は、引き出し筒体220の筒体壁に配置されてもよく、引き出し筒体220の天壁に水平に配置されることが好ましい。具体的に、引き出し筒体220の天壁内には、収容室221が設けられて空気分離装置100を収容する。引き出し筒体220の収容室221とガス調整鮮度保持空間との間の壁面には、収容室221に連通する少なくとも1つの第1通気孔222と少なくとも1つの第2通気孔223が設けられている。第1通気孔222は、第2通気孔223に対して間隔を空けてそれぞれ異なる位置で収容室221とガス調整鮮度保持空間とを連通させる。第1通気孔222と第2通気孔223は、何れも小孔であり、且つ数が複数であってもよい。
【0051】
幾つかの実施例では、ガス調整鮮度保持空間と収容室221内のガスの流動を促進するために、冷蔵冷凍装置は、ファン60を更に備えてもよい。ファン60は、収容室221内に配置され、ガス調整鮮度保持空間のガスが第1通気孔222を経由して収容室221に進入することを促進し、且つ収容室221内のガスが第2通気孔223を経由してガス調整鮮度保持空間に進入することを促進するように構成される。ファン60は、遠心ファンであることが好ましく、収容室221内の第1通気孔222に配置されている。つまり、遠心ファンは、少なくとも1つの第1通気孔222の上方に位置し、且つ吸気口が第1通気孔222に正対する。遠心ファンの排気口は、空気分離装置100へ向かってもよい。空気分離装置100は、少なくとも1つの第2通気孔223の上方に配置され、且つ空気分離装置100の空気分離膜120は、筒体22の天壁に平行となる。ただし、空気分離膜120は、ガス調整鮮度保持空間へ向かうことができるように配置されている。第1通気孔222は、天壁前部に設けられてもよく、第2通気孔223は、天壁後部に設けられてもよい。即ち、遠心ファンは、収容室221の前部に配置され、空気分離装置100は、収容室221の後部に配置される。さらに、引き出し筒体220の天壁は、主板部224および蓋板部225を備えてもよく、主板部224の上面に凹溝が形成され、蓋板部225が凹溝を覆って収容室221を形成する。
【0052】
これまでに、当業者であれば分かるように、本発明の複数の例示的な実施例が本文に詳細に示されて記述されてきたが、本発明の要旨及び範囲を逸脱しない限り、本発明に開示された内容から本発明の原理に合致する大量の他の変形や改良を直接特定或いは推論することが可能である。したがって、本発明の範囲がこれらの他の変形や改良を全てカバーするとは、理解及び認定されるべきである。