特許第6785410号(P6785410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6785410部品供給装置および部品供給システムならびに部品供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785410
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】部品供給装置および部品供給システムならびに部品供給方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20201109BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20201109BHJP
   B07C 5/344 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H05K13/02 D
   H05K13/04 Z
   H05K13/02 Z
   B07C5/344
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-211258(P2016-211258)
(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公開番号】特開2018-73965(P2018-73965A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】江口 亮司
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−340686(JP,A)
【文献】 特開2008−282964(JP,A)
【文献】 特開平05−090787(JP,A)
【文献】 特開2014−106052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B07C 5/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置に部品を供給する部品供給装置を備えた部品供給システムであって、
前記部品供給装置は、
種類の異なる部品を収納する収納部と、
前記種類の異なる部品のうち同じ種類の部品を一列に整列させて部品供給位置に移送する整列部と、
前記部品を廃棄部に移送する第1移送手段と、
前記部品を前記整列部または前記第1移送手段に移送する第2移送手段と、
前記整列部に整列させる部品の種類に対応する電気的特性を記憶する条件記憶部とを備え、
前記第2移送手段は、
前記収納部から移送される前記部品の電気的特性を検査する検査部と、
前記部品を所定の移送先に振り分ける振り分け部とを有し、
前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性が前記条件記憶部に記憶される電気的特性と一致する場合は前記整列部に振り分け、一致しない場合は前記第1移送手段に振り分け、
前記検査部が検査した前記部品の電気的特性を記憶する検査結果記憶部は、前記整列部に振り分けられた前記部品の前記検査部により検査された電気的特性を整列された順番に紐付けして記憶する部品供給システム。
【請求項2】
前記部品供給装置は、前記整列部を複数有し、
前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性に応じて種類ごとに分類して前記整列部に移送するように振り分ける請求項に記載の部品供給システム。
【請求項3】
前記部品供給装置は、前記部品を前記収納部に移送する第3移送手段をさらに有し、
前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性が前記条件記憶部に記憶される電気的特性とは一致しないが、その部品の電気的特性に異常がないときは前記第3移送手段に振り分ける請求項またはに記載の部品供給システム。
【請求項4】
前記第2移送手段は、前記部品の表裏を認識する表裏反転認識部をさらに有し、
前記振り分け部は、前記表裏反転認識部によって裏と認識された前記部品を前記第3移送手段に振り分ける請求項に記載の部品供給システム。
【請求項5】
前記部品実装装置によって前記整列部に整列された前記部品を基板に実装する際に、前記整列部に振り分けられた前記部品の前記検査部により検査された電気的特性をトレース情報として記憶するトレース情報記憶部をさらに備える請求項からのいずれかに記載の部品供給システム。
【請求項6】
前記条件記憶部は、管理コンピュータが記憶する条件データより、前記整列部が供給する前記部品に対応する電気的特性を含む条件情報を記憶する請求項1から5のいずれかに記載の部品供給システム。
【請求項7】
部品実装装置に部品を供給する部品供給装置を備えた部品供給システムによって前記部品を供給する部品供給方法であって、
前記部品供給装置は、
種類の異なる部品を収納する収納部と、
前記種類の異なる部品のうち同じ種類の部品を一列に整列させて部品供給位置に移送する整列部と、
前記部品を廃棄部に移送する第1移送手段と、
前記部品を前記整列部または前記第1移送手段に移送する第2移送手段と、を備え、
前記第2移送手段は、
前記収納部から移送される前記部品の電気的特性を検査する検査部と、
前記部品を所定の移送先に振り分ける振り分け部と
前記整列部に整列させる部品の種類に対応する電気的特性を記憶する前記条件記憶部とを有しており、
検査部は、前記部品の電気的特性を検査し、
前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性が所定の電気的特性と一致する場合は前記整列部に振り分け、一致しない場合は前記第1移送手段に振り分け、
前記整列部に振り分けられた前記部品の前記検査部により検査された電気的特性を整列された順番に紐付けして記憶する部品供給方法。
【請求項8】
前記部品供給装置は、前記整列部を複数有し、
前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性に応じて種類ごとに分類して前記整列部に移送するように振り分ける請求項に記載の部品供給方法。
【請求項9】
前記部品供給装置は、前記部品を前記収納部に移送する第3移送手段をさらに有し、
前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性が前記条件記憶部に記憶される電気的特性とは一致しないが、その部品の電気的特性に異常がないときは前記第3移送手段に振り分ける請求項またはに記載の部品供給方法。
【請求項10】
前記第2移送手段は、前記部品の表裏を認識する表裏反転認識部をさらに有し、
前記振り分け部は、前記表裏反転認識部によって裏と認識された前記部品を前記第3移送手段に振り分ける請求項に記載の部品供給方法。
【請求項11】
前記条件記憶部は、管理コンピュータが記憶する条件データより、前記整列部が供給する前記部品に対応する電気的特性を含む条件情報を取得して、記憶する請求項7から10のいずれかに記載の部品供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置に部品を供給する部品供給装置および部品供給装置を備える部品供給システムならびに部品供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、部品供給装置が部品供給位置に供給する部品を吸着ノズルによって真空吸着してピックアップし、基板まで移送して基板の表面に実装している。部品供給装置として、半球形のボウルの内壁に部品が滑走して移動することができる螺旋状走路が設けられた収納部に振動を加えて部品供給位置に部品を移送させるボウルフィーダが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1のボウルフィーダでは、移送途中に部品をテストして、そのテスト結果に基づいて複数設けられた部品供給位置のうち部品を移送する部品供給位置を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4943540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品実装装置において吸着ノズルが部品を吸着する際、傾いた姿勢で吸着されるなど吸着ノズルに正常に吸着されなかった部品は、基板に実装されることなく部品実装装置に設けられた廃棄部に廃棄されている。廃棄部には種類の異なる複数の部品が混在しているが、部品自体には異常が無い部品も含まれており、このような廃棄部品を再利用することが望まれている。しかしながら特許文献1を含む従来技術では、廃棄部品を再利用することを想定した部品供給装置は開示されていない。
【0005】
そこで本発明は、不良部品や種類の異なる複数の部品が混在する部品の中から利用可能な部品を選別して供給することができる部品供給装置および部品供給システムならびに部品供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品供給装置は、種類の異なる部品を収納する収納部と、前記種類の異なる部品のうち同じ種類の部品を一列に整列させて部品供給位置に移送する整列部と、前記部品を廃棄部に移送する第1移送手段と、前記部品を前記整列部または前記第1移送手段に移送する第2移送手段と、前記整列部に整列させる部品の種類に対応する電気的特性を記憶する条件記憶部とを備え、前記第2移送手段は、前記収納部から移送される前記部品の電気的特性を検査する検査部と、前記部品を所定の移送先に振り分ける振り分け部とを有し、前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性が前記条件記憶部に記憶される電気的特性と一致する場合は前記整列部に振り分け、一致しない場合は前記第1移送手段に振り分ける。
【0007】
本発明の部品供給システムは、部品実装装置に部品を供給する部品供給装置を備えた部品供給システムであって、前記部品供給装置は、種類の異なる部品を収納する収納部と、前記種類の異なる部品のうち同じ種類の部品を一列に整列させて部品供給位置に移送する整列部と、前記部品を廃棄部に移送する第1移送手段と、前記部品を前記整列部または前記第1移送手段に移送する第2移送手段と、前記整列部に整列させる部品の種類に対応する電気的特性を記憶する条件記憶部とを備え、前記第2移送手段は、前記収納部から移送される前記部品の電気的特性を検査する検査部と、前記部品を所定の移送先に振り分ける振り分け部とを有し、前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性が前記条件記憶部に記憶される電気的特性と一致する場合は前記整列部に振り分け、一致しない場合は前記第1移送手段に振り分け、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性を記憶する検査結果記憶部は、前記整列部に振り分けられた前記部品の前記検査部により検査された電気的特性を整列された順番に紐付けして記憶する。
【0008】
本発明の部品供給方法は、部品実装装置に部品を供給する部品供給装置を備えた部品供給システムによって前記部品を供給する部品供給方法であって、前記部品供給装置は、種類の異なる部品を収納する収納部と、前記種類の異なる部品のうち同じ種類の部品を一列に整列させて部品供給位置に移送する整列部と、前記部品を廃棄部に移送する第1移送手段と、前記部品を前記整列部または前記第1移送手段に移送する第2移送手段と、を備え、前記第2移送手段は、前記収納部から移送される前記部品の電気的特性を検査する検査部と、前記部品を所定の移送先に振り分ける振り分け部とを有しており、検査部は、前記部品の電気的特性を検査し、前記振り分け部は、前記検査部が検査した前記部品の電気的特性が所定の電気的特性と一致する場合は前記整列部に振り分け、一致しない場合は前記第1移送手段に振り分け、前記整列部に振り分けられた前記部品の前記検査部により検査された電気的特性を整列された順番に紐付けして記憶する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不良部品や種類の異なる複数の部品が混在する部品の中から利用可能な部品を選別して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装装置の平面図
図3】本発明の一実施の形態のバルクフィーダの構成説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
図5】本発明の一実施の形態のバルクフィーダの制御系の構成を示すブロック図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける部品供給方法を示すフロー図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける部品供給方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム(部品供給システム)、部品実装装置、バルクフィーダ(部品供給装置)の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における上下方向)が示される。
【0012】
まず図1を参照して部品実装システム1について説明する。図1において部品実装システム1は、部品実装装置M1、部品実装装置M2、部品実装装置M3を連結して通信ネットワーク2によって接続し、全体が管理コンピュータ3によって制御される構成となっている。部品実装システム1は、基板に部品を実装して実装基板を製造する機能を有する。なお、部品実装システム1の構成は図1の例に限定されることはなく、2台、4台以上の部品実装装置M1〜M3を連結しても、1台の部品実装装置M1〜M3で構成してもよい。
【0013】
次に図2を参照して、部品実装装置M1〜M3の構成を説明する。部品実装装置M1〜M3は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M1について説明する。部品実装装置M1は、部品供給部から供給された部品を基板に実装する部品実装作業を実行する機能を有する。基台4の中央には、基板搬送機構5がX方向に配設されている。基板搬送機構5は、上流側から搬送された基板6を実装作業位置に搬入し、位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品実装作業が完了した基板6を実装作業位置から下流側に搬出する。
【0014】
基板搬送機構5の両側方には、部品供給部7が配置されている。それぞれの部品供給部7には、複数のテープフィーダ8が並列に装着されている。また、一方の部品供給部7(図2では手前の部品供給部7)には、バルクフィーダBが装着されている。テープフィーダ8は、部品を収納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部7の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する部品実装機構の実装ヘッドによる部品供給位置に部品を供給する。バルクフィーダBは、ボウルにばら積み状態で収納された部品を整列部に移送して、整列部に設けられた部品供給位置に部品を供給する。
【0015】
基台4上面においてX方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム9が配設されている。Y軸ビーム9には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム10が、Y方向に移動自在に結合されている。2基のX軸ビーム10には、それぞれ実装ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド11は、部品を吸着保持して昇降可能な複数の吸着ユニット11aを備える。吸着ユニット11aのそれぞれの下端部には、部品を吸着保持する吸着ノズルが装着されている。
【0016】
Y軸ビーム9、X軸ビーム10を駆動することにより、実装ヘッド11はX方向、Y方向に移動する。これにより2つの実装ヘッド11は、それぞれ対応した部品供給部7に配置されたテープフィーダ8またはバルクフィーダBの部品供給位置から部品を吸着ノズルによって吸着して取り出して、基板搬送機構5に位置決めされた基板6の実装点に実装する。Y軸ビーム9、X軸ビーム10および実装ヘッド11は、部品を保持した実装ヘッド11を移動させることにより、部品を基板6に実装する部品実装機構12を構成する。
【0017】
図2において、部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ13が配設されている。部品供給部7から部品を取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ13の上方を移動する際に、部品認識カメラ13は実装ヘッド11に保持された状態の部品を撮像して部品の保持姿勢を認識する。実装ヘッド11が取り付けられたプレート10aには、基板認識カメラ14が取り付けられており、実装ヘッド11と一体的に移動する。
【0018】
実装ヘッド11が移動することにより、基板認識カメラ14は基板搬送機構5に位置決めされた基板6の上方に移動し、基板6に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板6の位置を認識する。実装ヘッド11による基板6への部品実装動作においては、部品認識カメラ13による部品の認識結果と、基板認識カメラ14による基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0019】
部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ13に隣接して廃棄ボックス15が配設されている。廃棄ボックス15には、実装ヘッド11が保持する部品が傾いて吸着された吸着不良であることが基板認識カメラ14によって認識された場合に、実装ヘッド11が保持する吸着不良の部品が廃棄される。すなわち、廃棄ボックス15には、部品供給部7に装着されたテープフィーダ8とバルクフィーダBが供給する複数の部品が、種類や良品・不良品の区別がされることなく混然と蓄積される。
【0020】
次に図3を参照して、バルクフィーダBについて説明する。バルクフィーダBは、収納機構20、移送機構21、供給機構22を含んで構成される。収納機構20は、内壁に螺旋状の走路23aが設けられたボウル23と、ボウル23に振動を与える振動駆動部24を備えている。ボウル23には、種類の異なる部品Pがばら積み状態で収納される。すなわち、ボウル23は、種類の異なる部品Pを収納する収納部となる。振動駆動部24によってボウル23に振動が与えられると、ボウル23に収納された部品Pは順に走路23aに沿って上方の受け渡し口23bに向かって移動する。
【0021】
移送機構21は、廃棄経路25、搬送部26、戻し経路27を含んで構成される。供給機構22は、X方向に並設された複数(ここでは3本)の整列部28を含んで構成される。図3において、複数の整列部28を左から順に第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)と称する。なお、整列部28の並列数は3本に限定されることなく1本、2本、4本以上でもよく、適宜自由に設計することができる。搬送部26は、搬入部26a、検査部E、表裏反転認識部C(図5参照)、振り分け部26cを備えている。搬入部26aは、ボウル23が供給する部品Pを受け渡し口23bにおいて受け取り、検査部Eまで移送する(矢印a)。
【0022】
検査部Eは、LCRメータなどの電気的特性を測定する装置を備えており、ボウル23(収納部)から移送される部品Pの電気的特性を検査する。検査部Eは、例えば、検査部Eに移送された部品P(以下「検査対象部品P*」と称する)の抵抗、容量、インダクタンスなどの各種パラメータの他、ダイオードやトランジスタなどの極性を検査する。なお、検査部Eは検査対象部品P*の電気的特性を検査(計測)できるものであればよい。
【0023】
表裏反転認識部Cは、検査部Eの上方に設けられたカメラなどであり、検査対象部品P*を上方から撮像して認識処理する。表裏反転認識部Cによる認識結果より、後述するフィーダ制御部50の判断部50a(図5参照)は、検査対象部品P*が表面を上に向けているか裏面を上に向けているかを判断する。すなわち、搬送部26は、検査対象部品P*(部品)の表裏を認識する表裏反転認識部Cを有する。なお、表裏反転認識部Cはカメラに限定されず、検査対象部品P*の表裏を認識できるものであればよい。
【0024】
図3において、搬送部26は、X方向に延びるレール26bと、レール26bに沿ってX方向に移動するスライダを有する振り分け部26cとを備えている。振り分け部26cは、その上面に検査部Eより移送された(矢印b)部品Pを受け取って保持し、X方向に移動して(矢印c)廃棄経路25、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)、戻し経路27のいずれかに振り分けて受け渡す。搬送部26の振り分け先は、検査対象部品P*の検査結果を基に判断部50aによって判断される。
【0025】
廃棄経路25の前側(振り分け部26cとは反対側)には、廃棄される部品Pが収容される廃棄部29が配設されている。廃棄経路25は、廃棄部29に向けて下方に傾斜する斜面を有する滑り台である。振り分け部26cによって廃棄経路25に振り分けられた部品Pは、廃棄経路25の斜面を滑走して廃棄部29に移送される(図7(c)も参照)。すなわち、廃棄経路25は、部品Pを廃棄部29に移送する第1移送手段となる。なお、第1移送手段は、部品Pを廃棄部29に移送できるものであれば、例えば、コンベアであってもよい。
【0026】
図3において、3本の整列部28は、それぞれ、振り分け部26cによって振り分けられた部品Pを振り分け部26cとは反対側に設定される部品供給位置Sまで移送する機能を有している(図7(b)も参照)。部品供給位置Sまで移送された部品Pは、それぞれ、実装ヘッド11の吸着ノズルにより吸着されて取り出されて、基板6に実装される。ここでは、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)の部品供給位置Sを、それぞれ第1部品供給位置S(1)、第2部品供給位置S(2)、第3部品供給位置S(3)と称す。
【0027】
第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)には、それぞれ、検査対象部品P*の検査結果に基づいて、振り分け部26cによって同じ種類の部品Pが振り分けられる。すなわち、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)は、それぞれ、ボウル23(収納部)に収納された種類の異なる部品Pのうち同じ種類の部品Pを一列に整列させて第1部品供給位置S(1)、第2部品供給位置S(2)、第3部品供給位置S(3)に移送する。第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)は、例えば、ベルトコンベアによって部品Pを移送する。
【0028】
図3において、戻し経路27の前側(振り分け部26cとは反対側)は、ボウル23の側面に設けられた戻し口23cに接続されている。戻し経路27は、戻し口23cに向けて下方に傾斜する斜面を有する滑り台である。振り分け部26cによって戻し経路27に振り分けられた部品Pは、戻し経路27の斜面を滑走してボウル23に移送される(戻される)(図7(a)も参照)。すなわち、戻し経路27は、部品Pをボウル23(収納部)に移送する第3移送手段となる。なお、第3移送手段は、部品Pをボウル23に移送できるものであれば、例えば、コンベアであってもよい。
【0029】
このように、搬送部26は、ボウル23(収納部)から移送される部品Pの電気的特性を検査する検査部Eと、部品Pを所定の移送先に振り分ける振り分け部26cとを有する第2移送手段となる。そして、第2移送手段は所定の移送先として、部品Pを第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)、廃棄経路25(第1移送手段)、戻し経路27(第3移送手段)のいずれかに移送する。
【0030】
次に、図4図5を参照して、部品実装システム1の制御系の構成を説明する。図4は部品実装システム1の全体構成を、図5はバルクフィーダBの構成をそれぞれ示している。図4において、部品実装装置M1〜M3は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M1について説明する。
【0031】
図4において、部品実装装置M1は、実装制御部30、実装記憶部31、基板搬送機構5、部品供給部7、部品実装機構12、部品認識カメラ13、基板認識カメラ14、表示部32、通信部33を備えている。実装制御部30はCPU機能を備える演算処理装置であり、実装記憶部31に記憶された処理プログラムを実行することにより、各部を制御して部品供給部7から供給された部品Pを基板搬送機構5によって保持された基板6に実装する部品実装作業を実行する。
【0032】
部品供給部7には、複数のテープフィーダ8およびバルクフィーダBが接続されており、テープフィーダ8およびバルクフィーダBが備える通信部を介して信号、データの授受を行う。表示部32は液晶パネルなどの表示装置であり、各種データ、情報などを表示する。通信部33は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3、他の部品実装装置M2,M3との間で信号、データの授受を行う。
【0033】
図4において、管理コンピュータ3は、管理制御部40、管理記憶部41、入力部42、表示部43、通信部44を備えている。管理制御部40はCPUなどの演算装置である。管理記憶部41は記憶装置であり、部品実装システム1を統括制御するための部品実装データの他、条件データ41a、検査結果データ41b、実装基板のトレース情報41cなどを記憶する。条件データ41aには、バルクフィーダBの整列部28が供給する部品Pなど、各種の部品Pに対応する電気的特性、サイズなどが記憶されている。
【0034】
検査結果データ41bには、バルクフィーダBにおいて検査部Eによって検査された検査対象部品P*の電気的特性が、整列部28に整列された部品P毎にIDが付与されて紐付けされて記憶されている。すなわち、管理記憶部41は、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性を記憶する検査結果記憶部となる。トレース情報41cには、整列部28から供給される部品Pが基板6に実装される際に、検査結果データ41bに記憶される電気的特性がその部品Pが実装された基板6(実装基板)と実装位置の情報に紐付けされて記憶される。すなわち、管理記憶部41は、部品実装装置M1〜M3によって整列部28に整列された部品Pを基板6に実装する際に、整列部28に振り分けられた部品Pの検査部Eにより検査された電気的特性をトレース情報41cとして記憶するトレース情報記憶部となる。
【0035】
入力部42は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部43は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部42による操作のための操作画面などの各種画面の他、条件データ41a、検査結果データ41bなどの各種情報を表示する。通信部44は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品実装装置M1〜M3との間で信号、データの授受を行う。
【0036】
図5において、バルクフィーダBは、フィーダ制御部50、フィーダ記憶部51、振動駆動部24、検査部E、表裏反転認識部C、振り分け部26c、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)、通信部52を備えている。通信部52は通信インターフェースであり、部品供給部7を介して部品実装装置M1〜M3、管理コンピュータ3との間で信号、データの授受を行う。フィーダ制御部50はCPU機能を備える演算処理装置であり、内部処理機能として判断部50aを備えている。フィーダ記憶部51は記憶装置であり、条件情報51a、検査結果情報51bなどを記憶する。
【0037】
条件情報51aには、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)が供給する部品Pに対応する電気的特性、サイズなどが、管理コンピュータ3より通信部52を介して記憶されている。部品Pに対応する電気的特性には、抵抗、容量、インダクタンス、ダイオードなどの部品Pの種類とその値(抵抗値、容量値、インダクタンス値)の範囲、極性のある部品Pの場合はその極性(電極の位置)が含まれている。このように、フィーダ記憶部51は、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)(整列部28)に整列させる部品Pの種類に対応する電気的特性を記憶する条件記憶部となる。なお、条件情報51aに設定される部品Pは予め作業者によって設定されてもよいし、生産データから使用する部品Pのうちで数量等を考慮して設定されてもよい。
【0038】
フィーダ制御部50は振動駆動部24を制御して、ボウル23(収納部)に収納された部品Pを受け渡し口23bまで移動させる。検査部Eは、ボウル23(収納部)から移送された検査対象部品P*の電気的特性を検査する。検査結果は、検査結果情報51bとしてフィーダ記憶部51に記憶されるとともに、通信部52を介して管理コンピュータ3に送信される。表裏反転認識部Cは、検査部Eに移送された検査対象部品P*を上方から撮像して認識処理する。判断部50aは、表裏反転認識部Cの認識結果を基に、検査対象部品P*の表裏を判断する。
【0039】
図5において、判断部50aは、検査対象部品P*の検査結果を基に、振り分け部26cが検査対象部品P*を振り分ける先を判断する。より具体的には、判断部50aは、検査対象部品P*の電気的特性が条件情報51aに記憶される第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)が供給する部品Pに対応する電気的特性と一致する場合は、検査対象部品P*を該当する整列部28に振り分けるように判断する。そして、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品P(検査対象部品P*)の電気的特性に応じて種類ごとに分類して第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)に移送するように振り分ける。
【0040】
また判断部50aは、検査対象部品P*の電気的特性が整列部28が供給する部品Pに対応する電気的特性とは一致しない種類の部品Pであって、その部品Pには異常がない場合は、検査対象部品P*を後で使用するためにボウル23(収納部)に戻すように判断する。そして、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性がフィーダ記憶部51(条件記憶部)に記憶される電気的特性とは一致しないが、その部品Pの電気的特性に異常がないときは戻し経路27(第3移送手段)に振り分ける。
【0041】
また判断部50aは、検査対象部品P*が裏面を上方に向けていると判断した場合は、表裏を反転させるためにその部品Pをボウル23(収納部)に戻すように判断する。そして、振り分け部26cは、表裏反転認識部Cによって裏と認識された部品Pを戻し経路27(第3移送手段)に振り分ける。
【0042】
また判断部50aは、検査対象部品P*の電気的特性が整列部28が供給する部品Pに対応する電気的特性と一致する場合であっても、その整列部28に移送されている部品Pの数が整列部28の保持可能数に達しているために移送できないが、他の整列部28に部品Pを補充する必要がある場合には、その整列部28に振り分けることなく検査対象部品P*をボウル23(収納部)に戻すように判断する。これにより、整列部28に部品Pが補充されずに部品Pの供給が中断することを防止できる。なお、整列部28に保持可能な部品Pの個数は、条件情報51aに含まれる部品Pのサイズより算出される。
【0043】
また判断部50aは、検査対象部品P*の検査結果が異常で実装基板の生産に使用不可能な場合は、検査対象部品P*を廃棄するために廃棄部29に移送するように判断する。また判断部50aは、バルクフィーダBにボウル23(収納部)に戻す戻し経路27がない場合には、検査対象部品P*の検査結果が整列部28より供給する部品Pの電気的特性と一致しない場合に、検査対象部品P*を廃棄部29に移送するように判断する。すなわち、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性がフィーダ記憶部51(条件記憶部)に記憶される電気的特性と一致する場合は整列部28に振り分け、一致しない場合は廃棄経路25(第1移送手)に振り分ける。この場合、廃棄部29に移送された部品Pは、作業者によってボウル23に戻されて再利用することもできる。
【0044】
図5において、フィーダ制御部50は、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)を制御して、振り分け部26cから振り分けられた部品Pをそれぞれ第1部品供給位置S(1)、第2部品供給位置S(2)、第3部品供給位置S(3)まで移送させる。
【0045】
次に、図6のフローに則して、図7を参照しながら、部品実装装置M1〜M3に部品Pを供給するバルクフィーダB(部品供給装置)を備えた部品実装システム1(部品供給システム)によって部品Pを供給する部品供給方法について説明する。以下、バルクフィーダBのボウル23(収納部)には、部品実装装置M1〜M3の廃棄ボックス15に収容された部品Pなど複数の種類の部品Pが混載した状態(ばら積み状態)で収納されているとする。
【0046】
図6において、まず、通信部52を介して管理コンピュータ3が記憶する条件データ41aより、整列部28が供給する部品Pに対応する電気的特性を含む条件情報51aが取得されてフィーダ記憶部51に記憶される(ST1:条件取得工程)。次いでフィーダ制御部50は、ボウル23(収納部)より検査部Eに部品Pを移送させる(ST2)。次いで表裏反転認識部Cは検査対象部品P*を撮像認識し、判断部50aは検査対象部品P*が表面を上方に向けているか否かを判断する(ST3:表裏判断工程)。
【0047】
表裏判断工程(ST3)において検査対象部品P*が表面を上方に向けていないと判断された場合(No)、検査対象部品P*は振り分け部26cに移送され、戻し経路27に振り分けられる(ST4:戻し振り分け工程)。戻し経路27に移送された部品Pはボウル23に回収されて、その後、検査部Eまで移送される。これによって、部品Pが表裏反転状態で基板6に実装されることを防止できる。次いで(ST2)に戻って、次の部品Pが検査部Eに移送される。
【0048】
ここで図7(a)を参照して、振り分け部26cによる部品Pの振り分けの手順について説明する。振り分け部26cは、ボウル23に回収すると判断された部品P(1)を受け取ると、部品P(1)を保持して戻し経路27の手前まで移動し(矢印d)、戻し経路27に部品P(1)を受け渡す。戻し経路27に受け渡された部品P(1)は、戻し経路27の斜面を滑走して(矢印e)ボウル23に移送(回収)される。
【0049】
図6において、表裏判断工程(ST3)において検査対象部品P*が表面を上方に向けていると判断された場合(Yes)、検査部Eは、検査対象部品P*の電気的特性を検査する(ST5:検査工程)。検査結果は、検査結果情報51bとしてフィーダ記憶部51に記憶される。次いで判断部50aは、検査対象部品P*の電気的特性が条件情報51aに記憶される第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)が供給する部品Pに対応する電気的特性のいずれかと一致するか否かを判断する(ST6:特性判断工程)。
【0050】
特性判断工程(ST6)において検査対象部品P*の電気的特性が整列部28に対応する部品Pのいずれかに一致すると判断された場合(Yes)、判断部50aは、該当する整列部28に空きがあって部品Pが移送可能か否かを判断する(ST7:移送可能判断工程)。移送可能判断工程(ST7)において該当する整列部28に部品Pが移送不可能と判断された場合(No)、戻し振り分け工程(ST4)に進んで検査対象部品P*はボウル23に回収される。次いで(ST2)に戻って、次の部品Pが検査部Eに移送される。
【0051】
なお、移送可能判断工程(ST7)において該当する整列部28に部品Pが移送不可能と判断された場合であっても、他の整列部28に十分な数の部品Pがあって今すぐに部品Pを補給する必要がないと判断された場合は、検査対象部品P*をボウル23に回収することなく該当する整列部28に空きができるまで待機させてもよい。
【0052】
図6において、移送可能判断工程(ST7)において該当する整列部28に部品Pが移送可能と判断された場合(Yes)、振り分け部26cは、その部品Pを該当する整列部28に振り分ける(ST8:整列振り分け工程)。すなわち、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性に応じて種類ごとに分類して整列部28(第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)のいずれか)に移送するように振り分ける。
【0053】
ここで図7(b)を参照して、部品P(2)を第1整列部28(1)に振り分けると判断した場合の振り分け手順について説明する。振り分け部26cは、第1整列部28(1)に振り分けると判断された部品P(2)を受け取ると、第1整列部28(1)の手前まで移動し(矢印f)、第1整列部28(1)に部品P(2)を受け渡す。第1整列部28(1)は、受け取った部品P(2)を第1部品供給位置S(1)に向けて移送する(矢印g)。このように、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性が所定の電気的特性と一致する場合は整列部28に振り分ける。
【0054】
図6において、次いで整列部28に振り分けられた検査対象部品P*の検査結果が管理コンピュータ3に送信され、管理記憶部41に検査結果データ41bとして記憶される(ST9:記憶工程)。すなわち、管理記憶部41(検査結果記憶部)は、整列部28に振り分けられた部品Pの検査部Eにより検査された電気的特性を整列された順番に紐付けして記憶する。次いで(ST2)に戻って、次の部品Pが検査部Eに移送される。
【0055】
特性判断工程(ST6)において検査対象部品P*の電気的特性が整列部28に対応する部品Pのいずれにも一致しないと判断された場合(No)、判断部50aは、検査対象部品P*の電気的特性が異常であるか否かを判断する(ST10:廃棄判断工程)。廃棄判断工程(ST10)において検査対象部品P*の電気的特性が異常ではないと判断された場合(No)、戻し振り分け工程(ST4)に進んで検査対象部品P*はボウル23に回収される。
【0056】
すなわち、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性がフィーダ記憶部51(条件記憶部)に記憶される電気的特性とは一致しないが、その部品Pの電気的特性に異常がないときは戻し経路27(第3移送手段)に振り分ける。これにより、検査対象部品P*の電気的特性には異常がないが、整列部28が供給する部品Pの種類外や、部品Pの方向(極性)が整列部28において供給される方向ではない場合などに、検査対象部品P*を回収して再度選別して使用することができる。次いで(ST2)に戻って、次の部品Pが検査部Eに移送される。
【0057】
図6において、廃棄判断工程(ST10)において検査対象部品P*の電気的特性が異常と判断された場合(Yes)、検査対象部品P*は振り分け部26cに移送され、廃棄経路25に振り分けられる(ST11:廃棄振り分け工程)。すなわち、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性が所定の電気的特性と一致しない場合は、部品Pを廃棄経路25(第1移送手段)に振り分ける。次いで(ST2)に戻って、次の部品Pが検査部Eに移送される。
【0058】
ここで図7(c)を参照して、部品P(3)を廃棄すると判断した場合の振り分け手順について説明する。振り分け部26cは、廃棄すると判断された部品P(3)を受け取ると、廃棄経路25の手前まで移動し(矢印h)、廃棄経路25に部品P(3)を受け渡す。廃棄経路25に受け渡された部品P(3)は、廃棄経路25の斜面を滑走して(矢印j)廃棄部29に移送(廃棄)される。
【0059】
このようにバルクフィーダBでは、ボウル23から検査部Eに移送された検査対象部品P*が順次検査され、検査結果に応じて所定の移送先(廃棄部29、整列部28、ボウル23)に振り分けられる。その結果、第1整列部28(1)、第2整列部28(2)、第3整列部28(3)には、あらかじめ設定された同じ種類の部品Pが整列されて、第1部品供給位置S(1)、第2部品供給位置S(2)、第3部品供給位置S(3)より順次供給される。
【0060】
上記説明したように、本実施の形態のバルクフィーダB(部品供給装置)は、種類の異なる部品Pを収納するボウル23(収納部)と、同じ種類の部品Pを一列に整列させて部品供給位置Sに移送する整列部28と、部品Pを廃棄部29に移送する廃棄経路25(第1移送手段)と、部品Pを整列部28または廃棄経路25に移送する搬送部26(第2移送手段)と、整列部28に整列させる部品Pの種類に対応する電気的特性を記憶するフィーダ記憶部51(条件記憶部)とを備えている。さらに、搬送部26は、ボウル23から移送される部品Pの電気的特性を検査する検査部Eと、部品Pを所定の移送先に振り分ける振り分け部26cとを有している。
【0061】
そして、振り分け部26cは、検査部Eが検査した部品Pの電気的特性がフィーダ記憶部51に記憶される電気的特性と一致する場合は整列部28に振り分け、一致しない場合は廃棄経路25に振り分けている。これによって、不良部品や種類の異なる複数の部品Pが混在する部品Pの中から利用可能な部品Pを選別して供給することができる。
【0062】
なお、上記では部品供給装置として種類の異なる部品Pをばら積み状態で収納するボウル23に振動を与えて上方から供給する収納機構20を有するバルクフィーダBを用いて説明しているが、部品供給装置はこの構成に限定されることはない。例えば、筒状のホッパに種類の異なる部品Pをばら積み状態で収納し、ホッパの下方より部品を供給する構成を有するバルクフィーダを用いてもよい。
【0063】
また、バルクフィーダBは、所定時間内に部品Pが振り分けられるはずの整列部28に振り分けられない場合、部品実装装置M1〜M3の表示部32または管理コンピュータ3の表示部43に部品の供給ができないこと報知してもよい。
【0064】
また、バルクフィーダBは、事前に条件情報51aを取得した後、部品供給部7から取り外されて電源が供給される孤立状態で、部品Pの振り分けをおこなってもよい。その際、一の整列部28に移送された部品Pの数が整列部28の保持可能数に達しているが、他の整列部28には部品Pを補充する必要がある場合には、一の整列部28に振り分けられるはずの検査対象部品P*はボウル23(収納部)に戻される。このように、全ての整列部28が保持可能数に達するまで部品Pの振り分けを繰り返すことで、部品実装装置M1〜M3に装着される前に、全ての整列部28への部品Pの整列を完了させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の部品供給装置および部品供給システムならびに部品供給方法は、不良部品や種類の異なる複数の部品が混在する部品の中から利用可能な部品を選別して供給することができるという効果を有し、部品を基板に実装する部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 部品実装システム(部品供給システム)
23 ボウル(収納部)
25 廃棄経路(第1移送手段)
26 搬送部(第2移送手段)
26c 振り分け部
27 戻し経路(第3移送手段)
28 整列部
29 廃棄部
B バルクフィーダ(部品供給装置)
E 検査部
M1〜M3 部品実装装置
P 部品
S 部品供給位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7