(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
本開示の無人航空機システムの用途の一例として、防犯やセキュリティ用途が挙げられる。例えば無人航空機で、特定の車や人物を追う場合を想定できる。
【0013】
無人航空機の例として、例えば遠隔操縦できるヘリコプターや、クアッドコプターなどの無人回翼機が挙げられる。操縦者は、操縦用端末を用いて遠隔地から無人航空機を操縦できる。
【0014】
無人航空機は、第1カメラとしてのメインカメラと、第2カメラとしてのサブカメラとを備えている。メインカメラには、サブカメラより画角の狭い望遠レンズが搭載されている。サブカメラには、メインカメラより画角の広い広角レンズが搭載されている。
【0015】
メインカメラで車のナンバーや人物の顔などを撮影し、サブカメラで車や人物等を含む周辺の風景を撮影できる。これらの映像は、表示部に表示できる。
図12は、表示部におけるこれらの映像の表示の一例である。
図12では、サブカメラで撮影された映像(第2映像71)と、メインカメラで撮影された映像(第1映像61)とを重畳して表示している。このような映像は、無人航空機の操縦者やカメラ部の撮影者等の操作者に利用される。
【0016】
操縦者は、表示部の映像から、目的となる車や人物を詳細に確認しながら、広範な周辺の地理情報や、無人航空機自体の位置並びに無人航空機の向いている方向等の情報を得る事ができる。したがって、無人航空機をより的確に操縦できる。
【0017】
また、カメラで撮影する際に、サブカメラの映像で全体の位置関係や方向を確認しながら、メインカメラで目的の映像を撮影できる。したがって、例えば映像を確認しながらメインカメラの向きを調整することもできる。つまり、より的確なデータ収集ができる。
【0018】
なお、一つのカメラのみを用いる場合、カメラの画角が狭いと周辺の地理情報を充分に得られず、無人航空機の位置や無人航空機の向いている方向を把握することは難しい。また、画角が狭いと、目的とする主被写体の位置や向きを把握することが難しく、的確な撮影をすることが難しい場合がある。これに対し本開示では、画角の広いカメラと狭いカメラとを用いるため、操縦の観点からも、データ収集の観点からも、有利である。
【0019】
表示部での映像の表示方法は、種々挙げられる。映像の表示例を含め、以下実施の形態を説明する。
【0020】
[実施の形態1]
以下、
図1〜
図3、
図5〜
図12を用いて、実施の形態1について説明する。
【0021】
[1.構成]
[1−1.無人航空機システムの全体構成]
図1は、実施の形態1にかかる無人航空機システムの全体構成を示す図である。無人航空機システムは、無人航空機50と、操縦用端末30と、表示部32とを備える。操縦用端末30は、無人航空機50を操縦できる。実施の形態1では、表示部32と操縦用端末30とは一体である。
【0022】
無人航空機50は、無人航空機本体10と、4つのロータ11a〜ロータ11dと、取付け部材12と、カメラ部20とを備えている。
【0023】
4つのロータ11a〜ロータ11dは、同一平面内に配置され、無人航空機本体10に取り付けられている。これらのロータ11a〜ロータ11dのモータは、独立に操縦可能である。ロータ11a〜ロータ11dの回転は、制御部により制御される。
【0024】
取付け部材12は、無人航空機本体10に接続されている。取付け部材12は、無人航空機本体10と一体となっていてもよい。
【0025】
カメラ部20は、取付け部材12を用いて無人航空機本体10に装着されている。
【0026】
カメラ部20は、メインカメラ23とサブカメラ22とを有する。メインカメラ23とサブカメラ22とは、一体に構成されている。メインカメラ23とサブカメラ22の構成は後述する。カメラ部20によって得られた映像信号(映像データ)は、収集データとして使用される以外に、地上から随時確認され、無人航空機50の操縦の補助としても使用される。
【0027】
操縦用端末30は、無人航空機50のカメラ部20によって撮影された映像信号を受信する。このように実施の形態1の無人航空機システムは、無人航空機50で撮影した映像を操縦用端末30の表示部32で確認するための映像伝送手段を備える。操縦用端末30は、無人航空機50のカメラ部20から得られた映像信号(映像データ)以外に、無人航空機50に設置された各種センサ(高度計、GPS(Global Positioning System)、加速度計など)による飛行データを、無人航空機50から受信する。操縦用端末30は、操作部33と、表示部32とを備える。
【0028】
操作部33は、操縦用端末30のコンソールに設けられている。操作部33は、十字キー33a,33bや、操作釦33c,33d,33e等のハードキーを含む。無人航空機50の操縦者は、操作部33を用いて無人航空機50に後述する各種コマンドを送信して無人航空機50を操縦する。
【0029】
表示部32は、カメラ部20で撮影された映像を表示する。表示部32は、操縦用端末30と一体であるが、独立していてもよい。ここで、無人航空機50が目視できる距離に位置する場合は、無人航空機50自体を見ながら操作できる。しかし、無人航空機50が目視できないくらい、あるいは目視は出来ても無人航空機50の向きなどの確認が困難なくらい遠く離れている場合には、つまり数百メートル以上離れている場合には、無人航空機を操縦する上で映像信号(映像データ)が有用である。したがって、操縦者は、操縦の際、表示部32の画面に映し出された映像を見て無人航空機50を操縦する。
【0030】
カメラ部20の撮影者(実施の形態1では操縦者)は、表示部32の画面に映し出された映像を見て、カメラ部20の向きを調整することができる。したがって、より目的に応じた撮影をすることができる。表示部32の映像を記録し、収集データとして用いる場合、より適切なデータを収集できる。
【0031】
なお、実施の形態1では、無人航空機本体10の動作に関する処理とカメラ部20の動作に関する処理とを、カメラ部20に搭載された制御部に相当するコントローラ45がまとめて行うとして説明する。
【0032】
[1−2.カメラ部の構成]
続いて、カメラ部20の電気的構成について、
図2を用いて説明する。
【0033】
[1−2−1.メインカメラの構成]
まず、
図2を用いて、メインカメラ23の電気的構成について説明する。メインカメラ23は、メイン光学系24aにより形成された被写体像をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ25a(以下イメージセンサ25aという)で撮像する。イメージセンサ25aは撮像した被写体像に基づく撮像データ(RAWデータ)を生成する。撮像データは、アナログ−デジタル・コンバータ(以下ADC26aという)でデジタル信号に変換される。メイン映像処理部27aは、デジタル信号に変換された撮像データに対して各種処理を施して、映像データを生成する。コントローラ45は、メイン映像処理部27aにて生成された映像データをカードスロット40aに装着されたメモリカード40bに記録する。
【0034】
メイン光学系24aは、一つまたは複数のレンズを含む。実施の形態1では、メイン光学系24aは、ズームレンズ111と、フォーカスレンズ112と、絞り113等とを含む。ズームレンズ111を光軸に沿って移動させることにより、被写体像を拡大、縮小できる。また、フォーカスレンズ112を光軸に沿って移動させることにより、被写体像のピントを調整できる。また、絞り113は、使用者の設定に応じて若しくは自動で、開口部の大きさが調整され、透過する光の量を調整する。なお、メインカメラ23には、望遠レンズが搭載されている。メインカメラ23の画角は、後述するサブカメラ22の画角よりも狭い。またメインカメラ23は、レンズ交換式である。
【0035】
メインレンズ駆動部29aは、ズームレンズ111や、フォーカスレンズ112、絞り113をそれぞれ駆動させるアクチュエータを含む。そして、メインレンズ駆動部29aは、例えば、各アクチュエータを制御する。
【0036】
イメージセンサ25aは、メイン光学系24aを介して形成された被写体像を撮像して、撮像データを生成する。イメージセンサ25aは、露光、転送、電子シャッタなどの各種動作を行う。イメージセンサ25aは、所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)で新しいフレームの映像データを生成する。イメージセンサ25aにおける、撮像データの生成タイミングおよび電子シャッタ動作は、コントローラ45によって制御される。なお、撮像素子はCMOSイメージセンサに限定されず、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサやn-Channel Metal Oxide Semiconductor(NMOS)イメージセンサなど、他のイメージセンサを用いてもよい。
【0037】
ADC26aは、イメージセンサ25aで生成されたアナログ映像データをデジタル映像データに変換する。
【0038】
メイン映像処理部27aは、ADC26aでデジタル変換された映像データに対して各種処理を施し、メモリカード40bに格納するための映像データを生成する。各種処理としては、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、H.264規格やMoving Picture Experts Group(MPEG)2規格に準拠した圧縮形式等の圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されない。メイン映像処理部27aは、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成されてもよい。
【0039】
コントローラ45は、カメラ部20全体の動作を統括制御する。コントローラ45は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、マイクロコンピュータなどで構成されてもよい。また、コントローラ45は、メイン映像処理部27aなどと共に1つの半導体チップで構成されていてもよい。また、コントローラ45は、内部にRead-Only Memory(ROM)を有している。ROMには、他の通信機器とのWiFi通信を確立するために必要なSSID(Service Set Identifier)、WEPキー(Wired Equivalent Privacy Key)が記憶されている。コントローラ45は、必要に応じて、ROMからSSID、WEPキーを読み出すことができる。また、ROMには、オートフォーカス制御(AF制御)や、ロータ11a〜ロータ11dの回転制御や、通信制御に関するプログラムの他、カメラ部20全体の動作を統括制御するためのプログラムが記憶されている。
【0040】
バッファメモリ28aは、メイン映像処理部27aやコントローラ45のワークメモリとして機能する記憶媒体である。バッファメモリ28aは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などにより実現される。
【0041】
[1−2−2.サブカメラの構成]
次に、
図2を用いて、サブカメラ22の電気的構成について説明する。サブカメラ22は、サブ光学系24bにより形成された被写体像を、CMOSイメージセンサ25b(以下イメージセンサ25bと言う)で撮像する。イメージセンサ25bは、撮像された被写体像に基づく撮像データ(RAWデータ)を生成する。撮像データは、アナログ−デジタル・コンバータ(以下ADC26bと言う)でデジタル信号に変換される。サブ映像処理部27bは、デジタル信号に変換された撮像データに対して各種処理を施して、映像データを生成する。コントローラ45は、サブ映像処理部27bにて生成された映像データを、カードスロット40aに装着されたメモリカード40bに記録する。
【0042】
サブ光学系24bは、一つまたは複数のレンズを含む。サブ光学系24bは、フォーカスレンズ114、絞り115等により構成される。各要素の構成はメインカメラ23に備えられたものと同様であるとして、詳細な説明を省略する。ただしサブカメラ22には、広角レンズが搭載されている。なお、サブカメラ22のサブ光学系24bを構成する要素の種類は、フォーカスレンズ114や絞り115に限られたものではなく、ズームレンズ等を有していてもよい。
【0043】
サブカメラ22が有するサブレンズ駆動部29b、イメージセンサ25b、ADC26b、サブ映像処理部27b、バッファメモリ28bの主な構成は、メインカメラ23が有するメインレンズ駆動部29a、イメージセンサ25a、ADC26a、メイン映像処理部27a、バッファメモリ28aの主な構成と同様であるとして、詳細な説明を省略する。なお、サブカメラ22のサブ光学系24bとして固定焦点の光学系を用いる場合は、サブレンズ駆動部29bが存在しなくてもよい。
【0044】
以上でカメラ部20の、メインカメラ23及びサブカメラ22の電気的構成について説明した。次にカメラ部20に含まれる他の構成要素について説明する。
【0045】
カメラ部20は、さらにカードスロット40aと、WiFiモジュール41とを備える。
【0046】
カードスロット40aは、メモリカード40bを着脱可能である。カードスロット40aは、カメラ部20とメモリカード40bとを電気的かつ機械的に接続する接続手段である。
【0047】
メモリカード40bは、内部にフラッシュメモリ等の記録素子を備えた外部メモリである。メモリカード40bは、メイン映像処理部27a、サブ映像処理部27bで生成される映像データなどのデータを格納できる。
【0048】
WiFiモジュール41は、映像伝達手段の一例である。WiFiモジュール41は、通信規格IEEE802.11nに準拠した通信を行う通信モジュールである。WiFiモジュール41は、WiFiアンテナを内蔵している。カメラ部20は、WiFiモジュール41を介して、WiFiモジュール42を搭載した他の通信機器である操縦用端末30と通信できる。WiFiモジュール41は、操縦用端末30のコンソールの操作部33を用いて送られてきた各種コマンドに対応する動作指示信号を受信する。カメラ部20のコントローラ45は、この動作指示信号に応じてロータ11a〜ロータ11dのモータ駆動や、カメラ部20で撮影された撮影データを送信又は記録させる動作や、カメラ部20で撮影された撮影データを記録・停止させる動作を実施する。カメラ部20は、WiFiモジュール41を介して、他の通信機器と直接通信を行ってもよいし、アクセスポイント経由で通信を行ってもよい。なお、映像伝達手段として、WiFiモジュール41に換えて、他の通信規格に準拠した通信を行う通信モジュールを使用しても構わない。
【0049】
[1−3.操縦用端末の構成]
図3を用いて、操縦用端末30の電気的構成について説明する。操縦用端末30は、WiFiモジュール42と、映像処理部34と、バッファメモリ36と、コントローラ37と、表示部32と、操作部33とを備えている。
【0050】
WiFiモジュール42は、信号の送受信手段の一例である。WiFiモジュール42は、通信規格IEEE802.11nに準拠した通信を行う通信モジュールである。WiFiモジュール42は、WiFiアンテナを内蔵している。WiFiモジュール42は、カメラ部20のWiFiモジュール41から送信された映像信号(映像データ)を受信する。カメラ部20のWiFiモジュール41から、無人航空機50に設置された各種センサ(高度計、GPS、加速度計など)による飛行データが送られてくる場合は、WiFiモジュール42は、この飛行データも受信する。
【0051】
映像処理部34は、Picture-IN-Picture(PinP)処理部35を内蔵する。PinP処理部35は、WiFiモジュール42で受信した映像信号を用いてメイン映像にサブ映像を重畳処理(PinP処理)する。コントローラ37は、PinP処理部35にて重畳処理された映像データを表示部32に表示する。
【0052】
バッファメモリ36は、映像処理部34やコントローラ37のワークメモリとして機能する記憶媒体である。バッファメモリ36は、例えばDRAMである。
【0053】
コントローラ37は、操縦用端末30全体の動作を統括制御する。コントローラ37は、操作コマンドに基づいて動作指示信号を生成し、WiFiモジュール42を用いて無人航空機50へ動作指示信号を送信する。コントローラ37は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、マイクロコンピュータなどで構成してもよい。またコントローラ37は、映像処理部34などと共に1つの半導体チップで構成されてもよい。またコントローラ37は、内部にROMを有している。ROMには、他の通信機器とのWiFi通信を確立するために必要なSSID、WEPキーが記憶されている。コントローラ37は、必要に応じて、ROMからSSID、WEPキーを読み出すことができる。また、ROMには、通信制御に関するプログラムの他、操縦用端末30全体の動作を統括制御するためのプログラムが記憶されている。
【0054】
表示部32は、例えば液晶モニタである。表示部32は、映像処理部34で処理された映像データに基づく映像を表示する。無人航空機50から、無人航空機50に設置された各種センサ(高度計、GPS、加速度計など)による飛行データが送られてくる場合は、この飛行データを映像と共に表示部32に表示させてもよい。なお、表示部32は、液晶モニタに限定されず、有機EL(Electroluminescence)モニタなど、他のモニタを用いてもよい。
【0055】
操作部33は、操縦用端末30のコンソールに備わっている十字キー33a,33bや操作釦33c,33d,33e等のハードキーの総称である。操作部33は、操縦者などの操作者による操作を受け付ける。操作部33は、操作者による操作を受け付けると、その操作に対応した操作コマンドをコントローラ37に通知する。なお、十字キー33a,33bに換えてジョイスティックなどのレバーを用いることもできる。操縦者は、操作部33を用いて無人航空機50に各種コマンドを送信して無人航空機50を操縦する。
【0056】
操作部33から送信されるコマンドには、無人航空機50を離陸・着陸させる離陸・着陸コマンド、無人航空機50を上下・左右移動などの姿勢制御を行わせるコマンド等の操縦コマンドや、カメラ部20で撮影された撮影データを送信させる撮影データ送信コマンド、カメラ部20で撮影された撮影データを記録・停止させる記録開始・停止コマンドなどがある。操作部33のコマンド割り当てを以下に例示する。例えば、十字キー33aには、無人航空機50の姿勢を制御する姿勢制御コマンドを割り当てる。操作釦33cには、撮影データ送信コマンドを割り当てる。操作釦33dには、記録開始・停止コマンドを割り当てる。操作釦33eには、離陸・着陸コマンドを割り当てる。なお、メインカメラ23とサブカメラ22のカメラアングルを同期して変更できる場合は、十字キー33bにカメラアングルを変更するカメラアングルコマンドを割り当てても良い。
【0057】
[2.動作]
以上のように構成された無人航空機システムの動作の一例を以下に説明する。
【0058】
図5は、実施の形態1にかかる無人航空機システムの動作の一例を示す動作シーケンス図である。
図5では、操縦用端末30を用いて、無人航空機本体10とカメラ部20とを操作する動作と、操縦用端末30で表示部32にメインカメラ23とサブカメラ22の映像を重畳して表示する動作を説明する。
【0059】
操縦者は、操縦用端末30から、操作釦33eを用いて離陸コマンドを無人航空機50に送る。具体的には、コントローラ37は、離陸コマンドに対応した動作指示信号をWiFiモジュール42に送信させる。無人航空機50のWiFiモジュール41は、この動作指示信号を受信する。カメラ部20のコントローラ45が、この動作指示信号に応じてロータ11a〜ロータ11dのモータを駆動させることで、無人航空機50は離陸する。
【0060】
次に操縦者は、操作釦33cを用いて映像データ送信コマンドを無人航空機50に送る。具体的には、コントローラ37は、映像データ送信コマンドに対応した動作指示信号をWiFiモジュール42に送信させる。無人航空機50のWiFiモジュール41は、この動作指示信号を受信する。カメラ部20のコントローラ45は、この動作指示信号に応じてメインカメラ23とサブカメラ22の撮影を開始させるとともに、それぞれが撮影した映像のデータをWiFiモジュール41に送信させる。操縦用端末30のWiFiモジュール42は、無人航空機50のWiFiモジュール41から送信された映像のデータを受信する。コントローラ37は、受信した映像のデータをPinP処理部35に重畳させる。すなわちメインカメラ23の撮影映像(第1映像)とサブカメラ22の撮影映像(第2映像)のそれぞれの映像のデータは、カメラ部20から送信され、操縦用端末30で重畳処理される。
【0061】
その後コントローラ37は、重畳処理された映像を操縦用端末30の表示部32に表示させる。重畳表示の態様は、後述する。操縦者は、表示部32に重畳表示された映像を見ながら、無人航空機50の操縦を行うことができる。
【0062】
次に操縦者は、操作釦33dを用いて記録開始コマンドを無人航空機50に送る。具体的には、コントローラ37は、記録開始コマンドに対応した動作指示信号をWiFiモジュール42に送信させる。無人航空機50のWiFiモジュール41は、この動作指示信号を受信する。カメラ部20のコントローラ45は、この動作指示信号に応じてメインカメラ23とサブカメラ22によって撮影された映像の、メモリカード40bへの記録を開始させる。
【0063】
その後、操縦者が、無人航空機50の飛行プランに沿って各種操縦コマンドを無人航空機50に送ることで、無人航空機50の飛行を制御できる。飛行プランが終わると、撮影映像の記録を停止させる記録停止コマンドと、無人航空機50を着陸させる着陸コマンドを無人航空機50に送る。
【0064】
カメラ部20は、記録停止コマンドを受信すると、撮影映像の記録を停止する。無人航空機50は、着陸コマンドを受信すると、着陸する。
【0065】
[3.表示例]
以下、
図6〜
図12を用いて、カメラ部20で撮影された映像の、表示部32における表示例を説明する。
【0066】
図6〜
図9では、メインカメラ23(第1カメラ)で山および麓の道路(第1映像60)を撮影し、サブカメラ22(第2カメラ)で第1映像60を含む風景全体(第2映像70)を撮影している場合の表示例を示す。
【0067】
図6では、第1映像60内に第2映像70を重畳した映像を表示している。さらに
図6では、第2映像70内に、第1映像60の領域に相当する領域枠80を重畳して表示している。領域枠80の中を、メインカメラ撮影領域90と呼ぶ。第1映像60に重畳して表示される第2映像70の大きさは、メインカメラ23とサブカメラ22の位置関係、およびメイン光学系24aのレンズの焦点距離によって決定される。第2映像70の大きさや、第1映像60内で第2映像を表示する場所の少なくとも一方は、操縦者等の操作者による操作又は自動で、かつ第1映像60の確認に影響がない範囲で、変更可能にしてもよい。
【0068】
図6の表示例では、第1映像60と第2映像70の対応関係がわかるように、第2映像70内にメインカメラ撮影領域90に相当する領域枠80を表示している。領域枠80の枠線は破線であるが、枠線の種類や色に特に制約はない。また、操縦用端末30は、メインカメラ23に装着されている交換レンズの焦点距離に応じて領域枠80の大きさを変更する。なお、領域枠80は、映像処理部34で生成され、第2映像70に重畳される。これらの重畳処理は、コントローラ37により制御される。そしてコントローラ37は、表示部32に、
図6に示すような第1映像60と、第2映像70と、領域枠80とが重畳した映像を表示させる。
【0069】
表示部32での表示例としては、
図7に示すように、
図6の表示例から領域枠80を取り除いた表示態様でもよい。
【0070】
また、
図8に示すように、第2映像70内に、第1映像60を表示することも可能である。第2映像70には、メインカメラ撮影領域90に相当する領域に、領域枠80を重畳して表示できる。
【0071】
さらに、
図9に示すように、
図8に示すような表示態様から第1映像60を取り除いてもよい。すなわち
図9に示すように、第2映像70と、メインカメラ撮影領域90に相当する領域枠80とを重畳した映像を表示させてもよい。
【0072】
図6〜
図9のいずれかの表示態様を、
図6〜
図9に示す他の表示態様や、重畳処理されていない第1映像60または第2映像70に切り替えられるようにしてもよい。例えば
図9の領域枠80を、操作部33を用いて選択すると、表示部32の表示が第1映像60に切り替わったり、あるいは
図6〜
図8の表示態様に切り替わったりしてもよい。
【0073】
操縦者は、操縦の際、無人航空機50が目視できないくらい離れたり、目視は出来ても無人航空機50の向きなどの確認が困難となる程度に離れたりした場合にも、
図6〜
図8の何れかの重畳映像を見ながら操縦用端末30で無人航空機50を操縦できる。また、本開示にかかる無人航空機システムは、メインカメラ23の画角が狭くても、サブカメラ22の映像を補助として使用することで無人航空機本体10の操縦が容易になる。
【0074】
さらに
図10〜
図12では、メインカメラ23(第1カメラ)で車のナンバーやドライバー等を確認できる映像(第1映像61)を撮影し、サブカメラ22(第2カメラ)で第1映像61を含む道路全体の映像(第2映像71)を撮影している場合の表示例を示す。
【0075】
図10では、表示部32は、第2映像71内に、第1映像61の領域に相当する領域枠81を重畳した映像を表示している。
図11では、表示部32は、第1映像61のみを表示している。
図10のような表示態様である時に、操縦者等の操作者が領域枠81を操作部33で選択することで、
図11の表示態様に切り替えてもよい。例えば操作者が、防犯セキュリティの観点から、
図10に示す車を追っている場合に、
図10の画面を確認しながら、道路における車の位置、向きを把握できる。そして
図11の画面に切り替えることで、車のナンバーや、運転者の顔を確認できる。そして再び
図10の画面に戻してもよい。
【0076】
図12では、表示部32は、第1映像61内に第2映像71を重畳した映像を表示している。また
図12では、表示部32は、第2映像71内に、第1映像61の領域(メインカメラ撮影領域91)に相当する領域枠81をさらに表示している。
【0077】
図12のような重畳映像は、
図6に示す重畳映像のように、操縦用端末30の映像処理部34で生成されてもよいが、例えば無人航空機本体10あるいはカメラ部20で生成されてもよい。すなわち無人航空機本体10あるいはカメラ部20が映像処理部34を有していてもよい。この場合は、第1映像61のデータと第2映像71のデータとが無人航空機50で合成される。そして合成された映像データが、WiFiモジュール41を介して操縦用端末30へ送信され、表示部32で表示される。
【0078】
無人航空機50で第1映像61と第2映像71とを重畳させる場合は、操縦用端末30へ送るデータを一本化できる。そして第1映像61と第2映像71のデータを別々に送るよりも送信するデータの容量を軽くできる。
【0079】
ここで、表示部32での表示態様を、
図12に示す表示態様から、例えば
図11に示す表示態様へ切り替えられるようにしてもよい。表示部32での表示態様を切り替える場合の動作を、
図5の動作シーケンス図に準じて説明する。
【0080】
例えば、操縦用端末30からの無人航空機50へ、
図12に示すような重畳映像のデータを送信させるコマンド(データ送信コマンド)を送信する。無人航空機50は、合成された重畳映像のデータを操縦用端末30に送信する。送信された重畳映像のデータに基づき、表示部32は、
図12に示すような映像を表示する。
【0081】
次に、操縦用端末30から無人航空機50へ、映像の切替コマンドを送信する。この切替コマンドは、例えば
図12に示すような重畳映像から、
図11に示すような第1映像61へ表示を切り替えるように指示するコマンドである。無人航空機50は、切替コマンドに応じて切り替えられた映像データ、すなわち第1映像61のデータを送信する。データを受信した操縦用端末30は、表示部32に、
図11に示すような第1映像61を表示させる。
【0082】
第1映像61から再び
図12に示す重畳映像に切り替える場合は、さらに操縦用端末30から無人航空機50へ切替コマンドを送信する。無人航空機50は、再び映像を合成して重畳映像のデータを操縦用端末30に送信する。
【0083】
[4.まとめ]
無人航空機システムの無人航空機50は、メインカメラ23とサブカメラ22とを備えている。これにより無人航空機システムは、メインカメラ23の画角が狭くても、サブカメラ22の映像を補助として使用できる。したがって、無人航空機本体10の操縦がより容易になる。また、カメラ部で撮影する操作もより容易となる。
【0084】
また表示部32は、メインカメラ23の第1映像(60,61)とサブカメラ22の第2映像(70,71)とを重畳して表示できる。すなわち無人航空機50の操縦者は、
図6〜
図8、
図12のような重畳映像を見ながら操縦できるため、無人航空機本体10の操縦がさらに容易になる。また、カメラ部20で撮影する操作もさらに容易となる。
【0085】
第1映像(60,61)と第2映像(70,71)とを重畳して表示する場合、第1映像(60,61)内に、第1映像(60,61)より小さな第2映像(70,71)を重畳して表示してもよく、第2映像(70,71)内に、第2映像(70,71)より小さな第1映像(60,61)を重畳して表示してもよい。目的に応じて重畳態様を設定することで、無人航空機本体10の操縦がさらに容易になる。また、カメラ部20で撮影する操作もさらに容易となる。
【0086】
また表示部32は、サブカメラ22の第2映像(70,71)内に、メインカメラ23の第1映像(60,61)の領域に相当する領域枠(80,81)を重畳した映像を表示できる。すなわち無人航空機50の操縦者は、
図9あるいは
図10のような重畳映像を確認しながら操作できる。つまり、必要に応じて、第2映像(70,71)をメインに確認できる。
【0087】
また表示部32は、第2映像(70,71)内に、第1映像(60,61)の領域に相当する領域枠(80,81)を表示できる。これにより、第2映像(70,71)を確認しながら、第1映像(60,61)が何を表示するかを把握できる。
【0088】
また表示部32は、第2映像(70,71)の大きさおよび第1映像(60,61)内で第2映像(70,71)を表示する場所の少なくとも一方を変更して表示できる。これにより、より目的に応じた表示を実現できる。
【0089】
また表示部32は、メインカメラ23に装着されているレンズの焦点距離に応じて領域枠(80,81)の大きさを変更して表示できる。これにより、メインカメラ23のレンズが交換式レンズである場合にも、適切な表示ができる。
【0090】
また表示部32は、第2映像(70,71)および第2映像(70,71)内に第1映像(60,61)の領域に相当する領域枠(80,81)を重畳した映像と、第1映像(60,61)を含む映像とを切り替えて表示できる。切替られた映像は、第1映像(60,61)のみであってもよく、第1映像(60,61)内に第2映像(70,71)が重畳された映像であってもよい。これにより、より目的に応じた表示を実現できる。
【0091】
また無人航空機システムは、領域枠(80,81)を生成し、さらに第1映像(60,61)、第2映像(70,71)および領域枠(80,81)を重畳処理する映像処理部34を備えている。また無人航空機システムは、重畳映像を表示部32に表示させるコントローラ37を備えている。
【0092】
[他の実施の形態]
本開示は、上記実施の形態1に限定されず、種々の実施形態が考えられる。
【0093】
以下、本開示の他の実施形態についてまとめて記載する。
【0094】
実施の形態1のカメラ部20は、取付け部材12を用いて無人航空機本体10に装着可能である。しかし、カメラ部20は、無人航空機本体10に直接搭載されてもよいし、ジンバルなどの防振装置を介して接続されても構わない。また、無人航空機本体10とカメラ部20が一体となるような構成でも構わない。
【0095】
実施の形態1のカメラ部20は、メインカメラ23とサブカメラ22とが一体型の構成である。しかし、サブカメラ22は、メインカメラ23を搭載するカメラ部20に合わせて搭載されていてもよいし、サブカメラ22だけが無人航空機本体10に近づけて、(もしくは一体型として)搭載されても構わない。例えば、メインカメラ23を、防振装置を介して搭載し、サブカメラ22を無人航空機本体10と防振装置との接続部よりも無人航空機本体10側に近い位置に搭載してもよい。または、
図4に示すようにサブカメラ22を無人航空機本体10に固定し、メインカメラ23を備えたカメラ部20を、取付け部材12を用いて無人航空機本体10に装着してもよい。ただし、メインカメラ23とサブカメラ22の相対位置が変化しないように搭載することが望ましい。
【0096】
実施の形態1のメインカメラ23のレンズは、他のレンズと交換可能な交換式レンズであるが、固定レンズであってもよい。
【0097】
実施の形態1では、無人航空機本体10の処理とカメラ部20の処理をカメラ部20に搭載されたコントローラ45がまとめて行うとして説明したが、別々に行っても良い。
【0098】
実施の形態1では、操縦用端末30を、表示部32を含む1つの機器で構成するとして説明したが、操縦用端末本体にスマートフォンやタブレット端末等の端末を取り付け、操縦用端末30を構成してもよい。すなわち端末の操作部、表示部、通信部等を、操縦用端末30の操作部33、表示部32、WiFiモジュール42として用いてもよい。
【0099】
実施の形態1の表示部32は、操縦用端末30と一体であるが、操縦用端末30と独立していてもよい。
【0100】
実施の形態1では、表示部32の数は一つであるが、複数であってもよい。例えば無人航空機50を操縦する操縦者とカメラ部20で撮影する撮影者とが別の人物である場合に、すなわち無人航空機システムの操作者が複数存在する場合に、各自がそれぞれの表示部32を見ることができる。またそれぞれの表示部32で異なる映像を表示してもよい。例えば表示部32ごとに、メインカメラ23およびサブカメラ22の映像を重畳する形態を変えたり、領域枠80、81の表示形態を変えたりしてもよい。
【0101】
実施の形態1のメインカメラ23およびサブカメラ22の名称は一例であり、いずれを主に用いるかを限定するものではない。
【0102】
実施の形態1の用途として、防犯やセキュリティ用途を挙げたが、用途はこれに限定されない。例えば運動会の空撮にも適用できる。主たる被写体が自在に移動する場合に、無人航空機50を操縦したり、カメラ部20で撮影を行ったりする操作の補助として、種々の映像を表示できる表示部32が有用である。
【0103】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0104】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0105】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。