(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1流体が流れる内管と、前記内管に挿入される挿入体と、前記内管の外周に設けられ、第2流体が流れる少なくとも1本以上の外管と、を各々備えた複数の熱交換ユニットと、
前記内管に装着される継手部と、を備え、
前記挿入体は、軸部と前記軸部の外表面に配設された螺旋状突部とから構成され、
前記第1流体は、前記内管の内面と前記軸部と前記螺旋状突部とで構成される螺旋状流路を流れ、
前記複数の熱交換ユニットのうち、少なくとも2個以上の熱交換ユニットは、前記継手部により連通されており、
前記複数の熱交換ユニットの各々は、前記複数の熱交換ユニットの各々の内部の水を排水する排水口を備えており、
前記継手部は、複数の継手および前記複数の継手を連通させる連通路を備えており、
前記排水口は、前記複数の継手のいずれかまたは前記連通路に配設されている、熱交換器。
前記複数の熱交換器ユニットのうち、前記第1流体の流れ方向において、最上流側に位置する熱交換器ユニットにおける前記第1流体の流れ方向と、最下流側に位置する熱交換器ユニットにおける前記第1流体の流れ方向とは、逆方向である、請求項1に記載の熱交換器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、第1流体が流れる内管と、前記内管に挿入される挿入体と、前記内管の外周に設けられ、第2流体が流れる少なくとも1本以上の外管と、を各々備えた複数の熱交換ユニットと、前記内管に装着される継手部と、を備えている。前記挿入体は、軸部と前記軸部の外表面に配設された螺旋状突部とから構成される。前記第1流体は、前記内管の内面と前記軸部と前記螺旋状突部とで構成される螺旋状流路を流れる。前記複数の熱交換ユニットのうち、少なくとも2個以上の熱交換ユニットは、前記継手部により連通されて
おり、前記複数の熱交換ユニットの各々は、前記複数の熱交換ユニットの各々の内部の水を排水する排水口を備えており、前記継手部は、複数の継手および前記複数の継手を連通させる連通路を備えており、前記排水口は、前記複数の継手のいずれかまたは前記連通路に配設されている熱交換器である。
【0012】
これにより、鉛直方向や水平方向に、平行(略平行を含む)に複数本配設された熱交換ユニットにおいて、第1流体が流れる螺旋状流路が継手部により連通される。
【0013】
したがって、所定の熱交換能力に応じて伝熱面積(熱交換ユニットの数)を変更できるため、熱交換能力に応じて伝熱面積を変更できる利便性の高い熱交換器を提供できる。
【0014】
また、これにより、水抜き動作時には、位置エネルギーに従い、熱交換ユニット内の水を、排水口を介して全て外部に排水することができる。このため、凍結破壊に対して信頼性の高い熱交換器が提供できる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記複数の熱交換器ユニットのうち、前記第1流体の流れ方向において、最上流側に位置する熱交換器ユニットにおける前記第1流体の流れ方向と、最下流側に位置する熱交換器ユニットにおける前記第1流体の流れ方向とは、逆方向である。
【0016】
これにより、第1流体が熱交換ユニットを蛇行状(略蛇行状を含む)に流れるため、限られた設置面積において、所定の熱交換能力に応じた熱交換ユニットの伝熱面積を確保できる熱交換器を提供することができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記第1流体と前記第2流体との流れとが、対向流となるように構成されている。
【0018】
これにより、熱交換器の全域(略全域を含む)において、第1流体と第2流体とが対向流で熱交換できるので、熱交換性能の高い熱交換器を提供
できる。
【0019】
第4の発明は、特に、
第1〜第3のいずれかの発明において、前記複数の熱交換ユニットの各々は、前記複数の熱交換ユニットの各々の内部の空気を排出する排気口を備えている。前記排気口は、前記排水口よりも鉛直方向で上方に位置している。
【0020】
これにより、空気抜き動作時には、水と空気の密度差により、熱交換ユニットの内部の空気は、鉛直方向上方側に移動する。このため、排気口を介して、熱交換ユニットの内部の空気を速やかに排出することができ、熱交換器を搭載した機器の試運転時の作業時間を短縮することができる。加えて、熱交換ユニットの内部の空気を確実に外部に排出できるため、第1流体の搬送装置のエア噛みを防止することができる。したがって、熱交換器を搭載した機器の信頼性を向上することができる。
【0021】
第5の発明に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機、上記
発明1〜4のいずれかに記載の熱交換器、減圧装置、蒸発器を環状に接続した冷媒回路、および、前記蒸発器の着霜を溶かす除霜運転モードを実行する制御装置を備えている。前記挿入体は樹脂製である。第1流体の流路の一部(挿入体)を金属よりも比熱の大きな
樹脂で形成することにより、熱交換器の蓄熱量が増加し、除霜時により多くの熱量を熱交換器から利用できる。
【0022】
これにより、短時間で除霜運転を終えることができ、機器の除霜性能が向上する。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における熱交換器の斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1における熱交換器の一部部品を取り外した場合の斜視図である。
【0025】
図1において、本発明の実施の形態1における熱交換器30は、鉛直方向および水平方向に、平行(略平行を含む)に並べられた複数の熱交換ユニット11を備えている。そして、少なくとも2個以上の熱交換ユニット11の端部が、継手部40にて接続されている。なお、本実施の形態においては、継手部40は、複数の継手4および複数の継手4を連通する連通路8を備えているが、これに限られない。継手4は一つであってもよい。継手4と連通路8とが一体的に形成されていてもよい。継手4が連通路8の機能を備えることで連通路8を設けない構成であってもよい。また、連通路8が継手4の内部に設けられていてもよい。また、複数の継手4は、互いに同一形状であることが好ましい。
【0026】
熱交換ユニット11は、内部を第1流体である水が流れる直管状の内管1と、内部を第2流体である冷媒が流れる少なくとも1本以上の外管3とから構成されている。なお、外管3は冷媒が一流路を連続して流れるように、ロウ付けにて接続されている。
【0027】
また、
図2において、内管1の端部には、シール部6が固定、または、フランジ加工されており、シール部品溝が形成されている。組み立て時には内管1の端部のシール部品溝にシール部品7がセットされ、挿入体2と継手4が嵌め合わせられることで、水密性が確保される。継手4は、内管1を外方から覆い、締結部材5にて装着固定される。これにより、継手4の内管1からの抜けが防止される。なお、継手4は、挿入体2と嵌合することで、挿入体2と内管1との位置を固定してもよい。
【0028】
図3は、
図1における熱交換器の下段側の概略図であり、
図4は、
図1における熱交換器の上段側の概略図である。
【0029】
図3、
図4に示すように、本発明の実施の形態1における熱交換器30においては、下段側には、水平方向に、平行(略平行を含む)に並べられた4個の熱交換ユニット11(11a〜11d)が配設されており、上段側には、水平方向に、平行(略平行を含む)に並べられた5個の熱交換ユニット11(11e〜11i)が配設されている。
【0030】
そして、下段側の熱交換ユニット11(11a〜11d)においては、それぞれ、2個の熱交換ユニット11(11aと11b、および、11cと11d)が、継手部40にて接続されている。また、上段側の熱交換ユニット11(11e〜11i)においては、3個の熱交換ユニット11(11g〜11i)と、2個の熱交換ユニット11(11eと11f)が、継手部40にて接続されている。
【0031】
さらに、継手4に設けられている連通路8を介して、継手部40にて接続されている熱交換ユニット11においては、内管1内を同一方向に水が流れるように構成されている。
【0032】
すなわち、
図3に示すように、下段側に位置する1個の熱交換ユニット11aから水が流入し、継手4に設けられている連通路8により、水は2方向に分岐される。2個の熱交換ユニット11a、bにおいて、内管1内を同一方向に水が流れ、さらに、継手4に設けられている連通路8を介して他の2個の熱交換ユニット11c、dに水が流入する。2個の熱交換ユニット11c、dにおいて、内管1内を同一方向に水が流れる。
【0033】
さらに、
図4に示すように、下段側に位置する熱交換ユニット11c、dから流れてきた水は、上段側に位置する2個の熱交換ユニット11e、fへと水が流入する。そして、2個の熱交換ユニット11e、fにおいて、内管1内を同一方向に水が流れ、継手4に設けられている連通路8を介して、水は3個の熱交換ユニット11g、h、iに流入する。3個の熱交換ユニット11g、h、iにおいて、内管1内を同一方向に水が流れ、さらに、継手4に設けられている連通路8により、水は集約される。そして、熱交換器30より、水が流出する。
【0034】
すなわち、
図3、
図4に示すように、本発明の実施の形態1における熱交換器30は、第1流体である水の流れ方向において、最上流側に位置する下段側の水が流入する熱交換ユニット11の内管1内における水の流れ方向と、最下流側に位置する上段側の水が流出する熱交換ユニット11における内管1内の水の流れ方向とは、逆方向である構成となっている。
【0035】
図5は、
図3および
図4における熱交換器30のA−A断面図である。
図5に示すように、熱交換ユニット11は、熱交換ユニット11の内部の水を排水する排水口52を備えている。具体的には、
図5に示すように、排水口52は、各熱交換ユニット11に装着されている継手4、あるいは、継手4を連通する連通路8に設けられている。
【0036】
また、
図5に示すように、熱交換ユニット11は、熱交換ユニット11の内部の空気を排出する排気口62を備えている。排気口62は、排水口52よりも、継手4の上方側に設けられている。なお、
図5に示すように、各熱交換ユニット11に装着されている継手4において、排水口52側が下方に位置するように、熱交換器30を機器に設置すれば、水抜き性は向上する。
【0037】
すなわち、熱交換ユニット11を、設置面80に対して予め傾斜して設置している。そして、設置面80に対して、熱交換ユニット11の内管1の低い側に装着されている継手4にのみに、排水口52が設けられている。このため、熱交換器30の内部の水を速やかに外部に排出でき、水抜き作業にかかる時間が短縮される。したがって、メンテナンス性が向上した熱交換器30を提供できる。
【0038】
また、設置面80に対して、熱交換ユニット11の内管1の低い側からのみ内部の水を排出できるため、水抜き配管等の取り回しを簡略化でき、熱交換ユニット11から構成される熱交換器30の小型化を実現できる。
【0039】
図6Aおよび
図6Bは、本発明の実施の形態1における熱交換ユニット11を流れる流体の流れを示す斜視図である。また、
図7は、
図5のB部拡大図である。
図8A、
図8Bは、本発明の実施の形態1における熱交換ユニット11の断面図である。
【0040】
図6A、
図6B、および
図7において、熱交換ユニット11においては、第1流体である水は、内管1の内面と挿入体軸部21の外面と隣接する螺旋状突部22とで形成された螺旋状流路23を流れる。螺旋状突部22の螺旋方向と外管3の螺旋状の巻付け方向とは同じ方向であり、また、巻き付けピッチも同じである。螺旋状流路23の対向部に巻き付けられた外管3の内部を流れる第2流体である二酸化炭素と第1流体である水とは熱交換する。
【0041】
ここで、内管1と挿入体2との間の螺旋状流路23を流れる水と、外管3の内部を流れる二酸化炭素は流れる方向が反対であるため、熱交換器30の全域(略全域を含む)にわたって対向流で熱交換でき、高効率な熱交換器30が提供される。
【0042】
以上のように、継手部40は、複数の熱交換ユニット11を接続すると同時に、少なくとも2個以上の他の熱交換ユニット11の螺旋状流路23を連通させる。さらに、継手部40は、水の流れを分岐、または、合流させる役割を担う。
【0043】
なお、巻き付ける外管3のすべての部位が、螺旋状流路23の対向部に巻き付けられていなくとも、搭載する機器が必要とする熱交換効率を実現できる範囲に外管3が巻き付けられていればよい。また、第2流体が流れる外管3を複数本備え、交互に螺旋状流路23の対向部に巻き付けていてもよい。
【0044】
なお、
図7に示すように、挿入体2を中空とすることで、軽量化を実現できる。また、
図7に示すように、熱交換ユニット11の水流路である螺旋状流路23を、内管1と挿入体2との2部品で構成したことにより、水側伝熱面からの熱交換ユニット11の最長距離(a+2th)は、挿入体軸部21の直径aと螺旋状突部22の突部高さthとから設計できる。
【0045】
図8Aに示すように、熱交換ユニット11の水側伝熱面の濡れ長さLは、螺旋ピッチPから螺旋状リブ先端幅t(もしくはt1)を差し引いたP−t(もしくはP−t1)で決定される。
【0046】
図8Bに示すように、挿入体2の螺旋状突部の形状をt1<t2となるようにすることで、水側流路断面積Sを
図8Aの螺旋状突部厚みがt一定の場合と同じに保ちつつ、螺旋状突部厚みt一定の場合よりも水側伝熱面の濡れ長さLをt−t1だけ拡大することができる。これにより、水側の伝熱面積が拡大するため、熱交換性能が高い熱交換ユニット11を提供できる。
【0047】
また、水流路断面積Sは、機器において、水を搬送する水搬送ポンプが許容できる水圧損となるように、挿入体2の螺旋状突部22の巻きピッチPを変更して設計できる。従って、水圧損制約範囲内で、死水域を大幅に低減することができる。
【0048】
また、水流路である螺旋状流路23の流路断面が、内管1の内面と挿入体軸部21と螺旋状突部22とで矩形状に形成されている。これにより、断面が円形の場合に比べて渦が発生しやすく二次流れの効果が大きくなる。
【0049】
以上のように、水流路である螺旋状流路23を、内管1と螺旋状突部22を有する挿入体2との2部品で構成したことにより、内管1を巻き回すことなく螺旋状流路23を形成できる。従って、内管1の肉厚を必要最小限とした軽量で経済性に優れた熱交換ユニット11が提供できる。
【0050】
また、水側流路の伝熱面からの最長距離(a+2th)が、挿入体軸部21の直径aと螺旋状突部22の突部の高さthで設計できる。また、流路断面積Sは、水圧損が制約内となるよう、螺旋状突部22の巻きピッチPを変更して設計できる。したがって、水圧損の制約範囲内で、死水域を大幅に低減した伝熱性能の高い熱交換ユニット11を提供できる。
【0051】
次に、熱交換ユニット11の内部の水を排水する水抜き処理、および、熱交換ユニット11の内部の空気を排出するエア抜き処理について、説明する。
【0052】
図9は、熱交換ユニット11の設置面に対する水平方向の中心軸、排水口52、および、排水口52の流れ下流側に設けられた開閉機構からなる排水機構51の中心軸の位置関係を示した概略断面図である。
【0053】
なお、排水機構51は、外気が低温時に熱交換器30を搭載した機器(給湯機など)を長期間使用しない場合などにおいては、継手4に接続された当該排水機構51が開かれることで、熱交換器30内部の水を完全に外部に排水する。
【0054】
図9に示すように、排水口52、および、排水機構51の中心軸が、熱交換ユニット11の中心軸より鉛直方向で下方となるように、継手4または連通路8に、排水口52、および、排水機構51は接続されている。
【0055】
具体的には、排水口52は内管1の内下面と、高さ方向において同一高さの位置に設けられている。すなわち、排水口52は、熱交換ユニット11の螺旋状流路23の下方側から排水するように、継手4または連通路8に設けられている。
【0056】
また、熱交換ユニット11の中心軸から内管1の内下面までの距離X1と、熱交換ユニット11の中心軸から排水機構51が設けられている水抜き配管53の鉛直下方底面までの距離X2との関係が、X1≦X2となるように熱交換器30が構成されている。また、
図5に示すように、排水口52側が下方に位置するように、熱交換器30を機器に設置すれば、水抜き動作時には位置エネルギーに従い、熱交換ユニット11内の水が全て外部に流れ出る。このため、熱交換器30の凍結破壊を防止した信頼性の高い熱交換器30を提供できる。
【0057】
図10は、熱交換ユニット11の設置面に対する水平方向の中心軸、排気口62、および、排気口62の流れ下流側に設けられた開閉機構からなるエア抜き機構61の中心軸の位置関係を示した概略断面図である。
【0058】
なお、エア抜き機構61は、熱交換器30を搭載した機器を設置してから最初の試運転及び長期運転休止からの復旧の際に、熱交換器30内に存在している空気を外部に追い出すエア抜き運転を実施するときに、継手4に接続された当該エア抜き機構61が開かれることで、熱交換器30内部の空気を完全に外部に排出する。
【0059】
図10に示すように、排気口62、および、エア抜き機構61の中心軸が、熱交換ユニット11の中心軸より鉛直方向で上方となるように、継手4に排気口62およびエア抜き機構61は接続されている。
【0060】
具体的には、排気口62は内管1の内上面と高さ方向において、同一高さの位置に設けられている。すなわち、排気口62は、熱交換ユニット11の螺旋状流路23の上方側から排気するように、継手4に設けられている。
【0061】
また、熱交換ユニット11の中心軸から内管1の内上面までの距離Y1と、熱交換ユニット11の中心軸からエア抜き機構61が設けられているエア抜き配管63の鉛直上方上面までの距離Y2との関係が、Y1≦Y2となるように熱交換器30が構成されている。
図5に示すように、各熱交換ユニット11の継手4に設けられている排水口52よりも、排気口62は上方の位置に設けられているため、エア抜き動作時には水と空気の密度差により、空気は鉛直上方に移動する。このため、熱交換ユニット11内の空気を完全に排出することができる。したがって、機器において、水を搬送する水搬送ポンプ(図示せず)のエア噛みを防止できるため、熱交換器30を搭載した機器の信頼性を向上することができる。
【0062】
以上説明したように、熱交換器30においては、熱交換ユニット11が並列に1段、または、複数段積んで並べられ、蛇行状に流路を形成するように継手4で接続されている。したがって、限られた設置面積に、無駄な空間なく熱交換ユニット11を配置でき、小型化を実現した熱交換器30を提供できる。
【0063】
また、本実施の形態においては、直管状の熱交換ユニット11が、熱交換器30が搭載される機器が所定の熱交換能力と収納性を満たすように、継手4を介して接続されるので、所定の熱交換能力を満たし、小型化を実現した熱交換器30を提供できる。
【0064】
(実施の形態2)
図11は、本実施の形態2における冷凍サイクル装置の構成図である。
【0065】
尚、本発明の実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
図11は、例えば、ヒートポンプ給湯機に搭載される冷凍サイクル装置である。冷凍サイクル装置は、圧縮機101、本発明の実施の形態1に記載の熱交換器30である放熱器102、電子服張弁である減圧装置103、蒸発器104、および、それらを環状に接続する冷媒回路105を備えている。
【0067】
冷媒回路105は、蒸発器104から流出した冷媒の温度を検知する蒸発器出口温度検知手段107を備え、冷凍サイクル装置は、除霜運転モードを実行する制御装置110を備えている。
【0068】
冷媒回路105内には、冷媒として二酸化炭素が封入されており、圧縮機101の運転時は、高圧側が超臨界状態で運転される。
【0069】
また、放熱器102(本発明の実施の形態1に記載の熱交換器30を構成する熱交換ユニット11に該当)を構成する螺旋状突部22を有する挿入体2は、金属より
も比熱の大きい樹
脂製である。
【0070】
以上のように構成された冷凍サイクル装置について、以下にその動作および作用を説明する。
【0071】
圧縮機101を運転すると、高圧に圧縮され吐出された冷媒は、放熱器102に送られ、水搬送ポンプ113によって入水配管111を通って送水された低温水と熱交換して放熱する。これにより加熱された低温水は高温水となり、出湯配管112を通り、貯湯タンク(図示せず)に送られ高温の温水として貯湯される。
【0072】
放熱器102から流出される冷媒は、減圧装置103に供給されて減圧膨張される。次に、冷媒は、蒸発器104に送られて、送風機106により導入された空気と熱交換し、蒸発してガス化する。ガス化した冷媒は、圧縮機101に吸入される。
【0073】
次に、ヒートポンプ給湯機の除霜運転動作について説明する。
【0074】
外気温度が低い状態で貯湯運転動作を行うと、蒸発器104に霜が付き、蒸発器104の熱交換能力が大幅に低下する。
【0075】
そこで、制御装置110は、蒸発器104に付着した霜を除霜し、蒸発器104の熱交換能力を回復させる除霜運転動作を行う。除霜運転動作は、蒸発器104に霜が付着し、蒸発器出口温度検知手段107で検知した温度が、所定の温度を下回ると実行される。
【0076】
まず、放熱器102に水を送水する水搬送ポンプ113および送風機106を停止させ、減圧装置103の流路抵抗を小さくする。圧縮機101で圧縮された高温の冷媒は、放熱器102、減圧装置103を通り、蒸発器104に流入し、冷媒の持つ熱で除霜を行い、圧縮機101に吸入される。
【0077】
そして、蒸発器出口温度検知手段107で検知された温度が、所定の温度を上回ると、制御装置110は、除霜運転動作を終了し、沸き上げ運転を開始する。
【0078】
この除霜運転時には、圧縮機101から吐出された冷媒の熱量に加え、放熱器102に蓄熱された熱量も活用されて蒸発器104を除霜する。
【0079】
放熱器102の流路の一部である挿入体2を金属よりも比熱の大きな
樹脂とすることにより、放熱器102の蓄熱量が増加し、除霜時により多くの熱量を、放熱器102から利用できる。したがって、短時間で除霜運転を終えることができ、機器の除霜性能が向上するという効果を奏する。
【0080】
尚、本発明の実施の形態2では、螺旋状突部22を有する挿入体2を樹脂製(PPS)としたが、PPS以外の樹脂、また
は、比熱の大きな材料であれば同様の作用効果を期待できる。
【0081】
なお、本発明の実施の形態1、2では、外管3を流れる冷媒を二酸化炭素としたが、ハイドロカーボン系やHFC系(R410A等)の冷媒、あるいはこれらの代替冷媒とすることも同様の作用効果が期待できる。