(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保護部材の前記第2の面は、前記撮像部において反射されて前記保護部材に入射した前記光が再反射されるとき、前記撮像部から前記保護部材に入射する前記光の光路と、前記再反射された前記光の光路とが前記撮像部の受光面の法線に対して非対称となる傾斜角度を有する
請求項1に記載の撮像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した技術では、被写体そのものが発する高輝度光源を含む場合には効果がなく、有用な情報をより確実に得ることが困難であった。例えば、被写体から入射した強い光が撮像装置内部で反射され、撮像素子により撮像されると、その2次反射光により高輝度光源周辺の画像上にフレア(迷光)が発生してしまい、被写体の重要対象箇所の視認性が著しく損なわれてしまうことがある。
【0009】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、有用な情報をより確実に得ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般的に、撮像素子はその受光面に被写体の像を結像させて映像信号を得ることから、その表面にゴミ等の光路遮蔽有害物が落ちると、映像信号に光路遮蔽による欠陥画像が発生する。そのため、撮像素子の受光面は、結像面より離れた位置に配置されたゴミ等の不純物侵入から保護する光学的透過な保護部材で覆われる。
【0011】
本技術の一側面の撮像装置は、車両に搭載された撮像装置であって、前記車両とは異なる他車両が発光した光を集光する結像光学系と、前記結像光学系と略平行に配置され、前記結像光学系により集光された前記光を受光して光電変換する撮像部と、前記結像光学系に面する第1の面と、前記撮像部に面する第2の面とを有し、前記第2の面が前記撮像部に対して傾斜するように前記結像光学系と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を保護する保護部材と、前記第2の面が向く方向に配置され、前記光を吸収する吸収部材とを備え、前記第2の面に、
近赤外光成分を遮断または反射するとともに、前記他車両が発光した光に対する反射率が前記保護部材の反射率よりも高い光学膜が形成され、所定断面において、前記撮像部と前記保護部材と前記吸収部材とにより略三角形状の空間が形成されるように前記撮像部、前記保護部材、および前記吸収部材が配置されることで、前記他車両が発光した光に基づくフレアを、前記他車両と路面との接地面とは対向する方向へ移動させる。
【0014】
前記保護部材の
前記第2の面が、前記撮像部において反射されて前記保護部材に入射した前記光が再反射されるとき、前記撮像部から前記保護部材に入射する前記光の光路と、前記再反射された前記光の光路とが前記撮像部の受光面の法線に対して非対称となる傾斜角度を有するようにすることができる。
【0015】
前記結像光学系により、上下方向に反転して投影像が結像されるようにし、前記保護部材の
前記第2の面が、前記撮像部において反射されて前記保護部材に入射した前記光が鉛直方向下向きに再反射される傾斜角度を有するようにすることができる。
【0016】
前記保護部材における前記撮像部側の
前記第2の面を、前記撮像部の受光面に対して略45度の角度をなすように配置することができる。
【0019】
本技術の一側面においては、車両に搭載された撮像装置であって、前記車両とは異なる他車両が発光した光を集光する結像光学系と、前記結像光学系と略平行に配置され、前記結像光学系により集光された前記光を受光して光電変換する撮像部とを備える撮像装置において、前記結像光学系に面する第1の面と、前記撮像部に面する第2の面とを有する前記撮像部を保護する保護部材が、前記第2の面が前記撮像部に対して傾斜するように前記結像光学系と前記撮像部との間に配置され、前記第2の面が向く方向に前記光を吸収する吸収部材が配置される。また、前記第2の面に、
近赤外光成分を遮断または反射するとともに、前記他車両が発光した光に対する反射率が前記保護部材の反射率よりも高い光学膜が形成され、所定断面において、前記撮像部と前記保護部材と前記吸収部材とにより略三角形状の空間が形成されるように前記撮像部、前記保護部材、および前記吸収部材が配置されることで、前記他車両が発光した光に基づくフレアが、前記他車両と路面との接地面とは対向する方向へ移動される。
【発明の効果】
【0020】
本技術の一側面によれば、有用な情報をより確実に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本技術を適用した実施の形態について説明する。
【0023】
〈第1の実施の形態〉
〈本技術の概要について〉
本技術は、例えば車両に搭載され、運転補助等を目的とする情報を得るための画像を撮像する撮像装置に関するものである。
【0024】
本技術を適用した撮像装置の利用例として、例えば
図1に示すように、乗用車等の車両11の前面に車載カメラなどの撮像装置21−1が設けられており、この撮像装置21−1により、車両11の前方を撮像するとする。例えば、撮像装置21−1は運転補助を目的として車両11前方の画像を撮像する。
【0025】
この例では、車両11は図中、右側から左側の方向に走行しており、車両11の前方からは、対向車線にいる車両12が車両11に向かって近付いてきている。また、
図1に示す例では夜間であるため、車両12はヘッドライトを点灯した状態で走行しており、車両12が被写体の1つとして撮像装置21−1により撮像される。
【0026】
また、本技術を適用した撮像装置の他の利用例として、
図2に示す例も考えられる。なお、
図2において
図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
【0027】
図2に示す例では、車両11が図中、左側から右側方向に走行しており、車両11の後方では、車両12がヘッドライトを点灯した状態で、車両11と同方向に走行している。
【0028】
この例では、車両11のサイドミラー近傍に、つまり車両11の側面に車載カメラなどの撮像装置21−2が設けられており、撮像装置21−2により車両11の後方が撮像される。また、車両11の後部、例えば車両11のリアバンパー近傍には、車載カメラなどの撮像装置21−3が設けられており、撮像装置21−3により車両11の後方が撮像される。これらの撮像装置21−2および撮像装置21−3によっても、車両12が被写体の1つとして撮像される。
【0029】
なお、以下、車両11の周囲、特に車両11から比較的遠方を撮像する撮像装置21−1乃至撮像装置21−3を特に区別する必要のない場合、単に撮像装置21とも称することとする。
【0030】
撮像装置21により撮像された撮像画像は、例えば車両11を運転する運転者の運転補助のために用いられる。具体的には、例えば撮像画像から人や車両12、白線などが検出され、その検出結果に応じて衝突注意や車線逸脱の警告などの警報が発せられる。また、撮像装置21−1乃至撮像装置21−3の例では、後方接近車両の判断を行い、急な車線変更や急ブレーキ動作を行うと追突危険状態になるため、その注意警報補助等の利用が想定される。
【0031】
ところで、
図1や
図2に示したような用途で、車両の周囲を撮像する車載カメラなどの撮像装置では、撮像装置内部に設けられた撮像素子(イメージセンサ)とレンズの間には、撮像素子を保護するためのカバーガラスが配置されている。
【0032】
例えば従来の撮像装置では、
図3に示すように被写体からの光を集光するレンズ51と、被写体からの光を受光して光電変換することで、撮像画像を撮像する撮像素子52との間に、撮像素子52の受光面(表面)を保護するためのカバーガラス53が設けられている。
【0033】
この例では、撮像素子52はレンズ51から入射する光を受光する受光部61と、受光部61を支持する基板62とから構成されており、受光部61の表面、すなわち受光面と、カバーガラス53の表面とが平行になるように各素子が配置されている。つまり、カバーガラス53の表面は、受光部61の表面の法線に対してほぼ垂直となるようになされている。
【0034】
そのため、図中、実線および点線の矢印で表すように、レンズ51により集光されて受光部61に入射した被写体からの光の一部は、受光部61表面で反射されて迷光となり、さらにその迷光はカバーガラス53で反射されて再び受光部61に入射する。
【0035】
このようにして、被写体から受光部61に入射した光の一部が、受光部61表面で拡散反射され、さらにカバーガラス53との間で反射を繰り返して拡散されて、受光部61により受光されると、撮像装置により撮像された撮像画像上にフレア(高輝度の迷光による明るい画像のにじみ)が発生する。
【0036】
例えば車両に設置された撮像装置が、その車両の前方を撮像したとすると、
図4に示す撮像画像が得られる。
【0037】
図4の例では、撮像画像上には、撮像装置が設置された車両の前方を走行している車両12が被写体として写っている。また車両12のハイビームヘッドランプからは強い光が発せられているため、その光が撮像装置の受光部61とカバーガラス53の間で反射され、ハイビームヘッドランプ近傍にフレアFL11およびフレアFL12が発生している。
【0038】
このようなフレアFL11やフレアFL12の発生により、
図4に示す撮像画像では、前方にある車両12の部分、特に車両12の図中、ライト周辺の視認性が著しく損なわれてしまっている。この例では、車両12と道路(路面)とが接している部分の領域の視認性が、フレアFL11およびフレアFL12により低下してしまっている事例を示している。
【0039】
一般に、路面に設置した対象物を認識する際に、対象物の状態把握の重要な手掛かりのひとつが、路面との接地面位置である。この例でみる様に、フレアの発生は、そのままでは車両12やさらにはその前方の路面に人等の障害物があった場合に、この路面との接地位置がフレアによる高輝度光の妨害を受けて識別が的確にできなくなる恐れがある。
【0040】
このように、撮像画像上にフレアが発生すると撮像画像の品質が低下し、撮像画像から運転補助のための有用な情報になり得る路面接地位置の判別をすることが困難になってしまう。
【0041】
例えば
図4に示す例では、車両12と道路(路面)とが接している部分の視認性が低下しているため、運転補助のために用いられる路面上の障害物やさらには道路の白線等を認識できなくなってしまう恐れがある。
【0042】
特に、前方や後方の車両の下半分の部分、すなわち車両と路面とが接する領域近傍は走行に有害となる障害物等の存在確認が重要な領域であり、車両の下半分の部分の領域は運転者にとって注意する必要がある領域である。撮像装置で平面路面上の特定位置までの距離の推定を行うには路面接地点の正確な位置が求められることから、対象車両12やその前方にあるかもしれない歩行者や自動二輪車等のその他障害物の路面接地部を正確にとらえる必要がある。したがって、このような運転者に必要となる情報を多く含む画像領域、つまり注目すべき領域の視認性がフレアにより低下してしまうと、有用な情報を確実に得ることが困難となる。
【0043】
また、例えば車両12のハイビームヘッドランプの光が強い場合には、撮像画像上においてフレアFL11やフレアFL12によって、車両12の輪郭も認識できなくなってしまうこともある。そのような場合には、車両12より接近する位置の路面に直立した人や自動二輪車等の車両12より接近した位置の路面接面を認識できなくなってしまう恐れがある。
【0044】
以上のように、従来の撮像装置では、撮像装置に比較的強い光が入射すると、フレアが生じて車両12の路面接地面近傍の情報が失われ、車両運行上で有用な歩行者・自転車・二輪自動車両等(図示はしていない)の有無判断と距離推定や白線情報、対象車両の距離推定の為の車輪輪郭,路面接地位置等の情報を確実に得ることができなくなってしまうことがあった。
【0045】
〈撮像装置の構成例〉
そこで、本技術では例えば
図5に示すように、カバーガラスを撮像素子に対して斜めに取り付ける構成とすることにより、フレア光による妨害迷光を低減して撮像画像から有用な情報をより確実に得ることができるようにした。
【0046】
図5には、
図1や
図2に示した車両11に設けられる車載カメラ等である撮像装置21のより詳細な構成が示されている。すなわち、本技術を適用した撮像装置21は、
図5に示すように光学系91、カバーガラス92、撮像素子93、および迷光吸収体94から構成される。
【0047】
なお、
図5では撮像装置21の図中、左側には車両12が撮像画像の被写体の例として示されており、撮像装置21の図中、右側には車両12等の被写体の像IM11が示されている。
【0048】
光学系91は、1または複数のレンズ等から構成される結像光学系であり、車両12等の被写体から入射した光を撮像素子93上に結像させる。
【0049】
カバーガラス92は、光学系91と撮像素子93との間に配置され、撮像素子93の受光面を保護する保護部材として機能するとともに、近赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの光学フィルタとしても機能する。
【0050】
カバーガラス92の面S11と面S12は、撮像素子93に対して所定の角度をなすように斜めに傾けられている。さらに、面S11と面S12の少なくとも一方の面に蒸着等により光学膜を形成(成膜)させることで、カバーガラス92が光学フィルタとして機能するようにしてもよい。また、例えばカバーガラス92は平板形状となっており、カバーガラス92の光学系91側の面S11と、カバーガラス92の撮像素子93側の面S12とが平行になるように形成されてもよい。本図では、カバーガラス92と受光部102の間の空間が封止されたものとして描かれていない。
【0051】
撮像素子93は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサなどの固体撮像素子から構成され、カバーガラス92を介して光学系91から入射した光を受光して光電変換することで、撮像画像を撮像する。より詳細には、撮像素子93は基板101と、その基板101に固定された受光部102とを備えており、光学系91から入射する光が受光部102の受光面上で結像するように受光部102が配置されている。
【0052】
したがって、例えば図中、左側に示す車両12が被写体となる場合、車両12からの光は、光学系91およびカバーガラス92を通って受光部102表面に入射する。このとき、車両12からの光は光学系91により集光されるので、受光部102表面には、図中、右側に示すように反転して投影像IM11が結像される。この例では、被写体である車両12の上下が反転した像IM11が得られるようになされている。
【0053】
さらに、迷光吸収体94は、カバーガラス92の図中、下側に配置されており、被写体から光学系91を通って撮像素子93に入射した光のうち、撮像素子93とカバーガラス92で傾斜反射した光を吸収するセンサ反射迷光吸収体である。迷光吸収体94はカバーガラス92の面S12の光軸から傾けた方向に配置されている。
【0054】
ところで、車両11に設置された撮像装置21が、その車両11の前方を撮像したとすると、例えば
図6に示す撮像画像が得られる。
【0055】
図6の例では、撮像画像上には、撮像装置21が設置された車両11の前方を走行している車両12が被写体として写っている。また車両12のハイビームヘッドランプからは強い光が発せられているため、その光が受光部102とカバーガラス92の間で反射されて、ハイビームヘッドランプ近傍にフレアFL21およびフレアFL22が発生している。
【0056】
しかし、撮像装置21では、カバーガラス92の表面、特に受光部102側の面S12が、被写体からの光を受光する受光部102の表面(センサ面)に対して平行となるように取り付けられるのではなく、斜めになるように取り付けられている。また、撮像装置21には、迷光を吸収する迷光吸収体94も設けられている。
【0057】
そのため、
図6に示す例では、フレアFL21やフレアFL22が路面と逆方向の撮像画像の上方向、つまり撮像画像における空の方向にずれており、車両12と路面の接している部分の視認性が
図4の場合と比較して向上している。その結果、撮像画像から路面近傍の有用な情報をより確実に得ることができるようになっている。また、フレアFL21やフレアFL22の強度(光量)が
図4の場合と比較して低減されており、車両12周囲の視認性も向上している。
【0058】
具体的には
図5に示した撮像装置21では、面S12の法線と、受光部102の表面の法線とがほぼ45度の角度をなし、かつ面S12が
図5中、下側、つまり鉛直方向を向くように固定されおり、面S12が向く方向には迷光吸収体94が配置されている。
【0059】
このように、カバーガラス92の法線を受光部102の表面に対して実空間上の路面方向に傾けて配置することで、
図5中、実線および点線の矢印で表されるように、光学系91から受光部102に入射し、受光部102表面で反射された高輝度光(以下、単に迷光とも称する)の少なくとも一部は、再び受光部102の被写体近傍域に戻らないように反射または吸収される。
【0060】
例えば面S12は
図5中、右斜め下方向を向くように傾けられているので、点線の矢印で表されるように、受光部102表面で反射されて高輝度迷光となった光が面S12で反射されて受光部102に戻ってきたとしても、その迷光の入射位置は
図5中、下方向にずれることになる。換言すれば、面S12は、受光部102で反射されて戻ってきた光を、路面方向に再反射させる。ここで、迷光の入射位置がずらされる下方向とは、受光部102上において、撮像画像上の車両12と路面とが接する領域などの注目すべき領域に対応する受光部102の領域から遠ざかる方向である。
【0061】
面S12を傾斜させて設けることで、受光部102に戻ってきた迷光は、撮像画像の枠外に出るか、または迷光を完全に除外できないとしても撮像画像における上方向にずれることになる。これは、
図5中、右側に示したように受光部102表面では、被写体の上下が反転して像IM11が結像されるため、迷光の入射位置が
図5中、下方向に移動すると、その迷光は撮像画像上では
図6中、上方向に移動することになるからである。
【0062】
このような理由から、
図6の例では
図4の例と比べて、フレアFL21およびフレアFL22が撮像画像の上方向に移動している。面S12が受光部102から面S12に入射した迷光を実空間上の路面方向に再反射させる傾斜角度を有していれば、上下反転投影された受光部102表面では、つまり撮像画像上では、面S12に入射した迷光は、面S12での再反射によって路面方向とは逆方向の空方向に移動する。
【0063】
特にカバーガラス92、つまり面S12を傾斜させる角度を、例えば受光部102表面に対してほぼ45度とすると、迷光がカバーガラス92で反射されても、その迷光の大半が受光部102には入射しないようになるので望ましい。なお、カバーガラス92の面S12は、受光部102で反射されて面S12に入射した光が面S12で再反射されるときに、受光部102で反射されて面S12に入射する光の光路と、面S12で再反射された光の光路とが受光部102表面の法線に対して非対称となる傾斜角度を有していればよい。
【0064】
上述したように、車両12と路面とが接する領域近傍には障害物等の存在確率が高く、車両12の下半分の領域は運転者にとって注意する必要がある領域である。そのため、このような運転者の関心の高い領域から迷光の像が遠ざかる方向に、受光部102における迷光の入射位置をずらすことにより、撮像画像における注目すべき領域の視認性を向上させることができる。
【0065】
すなわち、撮像画像において、障害物のある関心領域については、より高画質な画像を得ることができるので、より有用な情報を確実に得ることができるようになり、運転者に対する車両の運転支援に貢献することができる。
【0066】
なお、迷光の入射位置をずらすことにより、撮像画像において迷光の移動先の領域の画質が、迷光の移動前と比較して低下することがあるが、運転者にとって比較的関心の低い領域については高い画質を要求する必要はないので、運転補助のための情報の取得に支障が生じることはない。
【0067】
また、撮像装置21では、面S12が迷光吸収体94の方向を向くように配置されている。すなわち、面S12において迷光が迷光吸収体94に向かって反射されるように面S12と迷光吸収体94が配置されている。したがって、カバーガラス92において受光部102の領域外に向けて反射された迷光の多くは迷光吸収体94に吸収される。これにより、カバーガラス92で反射され、さらに撮像装置21内の筐体などで反射されて受光部102に戻ってくる迷光の光量を大幅に低減させることができる。
【0068】
図6の例では、カバーガラス92を受光部102に対して傾斜させたことや、迷光吸収体94を配置することで、
図4の例と比較してフレアFL21およびフレアFL22の強度が弱くなっており、撮像画像上の被写体の視認性が向上している。
【0069】
さらに、例えばカバーガラス92を近赤外カットフィルタなど、所定の波長帯域の光、つまり所定の波長成分を遮断または反射する光学フィルタとして機能させる場合、面S11ではなく面S12側に光学膜を成膜させると、より効果的にフレアを低減させることができる。
【0070】
例えば、受光部102からカバーガラス92に入射した迷光の一部は、面S12において受光部102側に反射され、迷光の残りの一部は面S12を透過して面S11に入射する。そして、面S11に入射した迷光は、面S11において受光部102側に反射される。
【0071】
ここで、迷光を反射するカバーガラス92の2つの面S11および面S12のうち、光学膜が形成されている面の反射率がより高くなる。
【0072】
したがって、カバーガラス92の面S11に光学膜が形成されている場合、面S11に入射した迷光の殆どは反射されることになるので、受光部102から面S12に入射した迷光の大半が面S12と面S11で受光部102側に向かって反射されることになる。これに対して、面S12に光学膜が形成されている場合には、面S12を透過した迷光の一部は面S11を透過するので、面S11に光学膜が形成されている場合よりも、受光部102方向に向かって反射される迷光の光量は少なくなる。
【0073】
以上のように、カバーガラス92が受光部102に対して所定の角度をなすように、カバーガラス92を傾斜させて固定することで、迷光により生じるフレアを低減させるとともに、注目すべき領域の視認性を向上させることができる。その結果、撮像装置21により撮像された撮像画像から有用な情報をより確実に得ることができる。
【0074】
なお、以上においては、撮像画像上においてフレアを上方向(鉛直方向上側)に移動させる例について説明したが、フレアを移動させる方向は、上方向に限らず、撮像画像上の左右方向など、どのような方向であってもよい。
【0075】
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0076】
さらに、本技術は、以下の構成とすることも可能である。
【0077】
[1]
被写体から入射した光を集光する結像光学系と、
前記結像光学系により集光された前記光を受光して光電変換する撮像部と、
前記撮像部側の面が前記撮像部に対して傾斜するように前記結像光学系と前記撮像部との間に配置され、前記撮像部を保護する保護部材と
を備える撮像装置。
[2]
前記撮像装置は車載カメラである
[1]に記載の撮像装置。
[3]
前記保護部材の前記撮像部側の前記面は、前記撮像部において反射されて前記保護部材に入射した前記光を、前記撮像部が前記光電変換することにより得られる撮像画像上の注目領域に対応する前記撮像部の領域から遠ざかる方向に向けて反射する
[1]または[2]に記載の撮像装置。
[4]
前記保護部材の前記撮像部側の前記面は、前記撮像部において反射されて前記保護部材に入射した前記光が再反射されるとき、前記撮像部から前記保護部材に入射する前記光の光路と、前記再反射された前記光の光路とが前記撮像部の受光面の法線に対して非対称となる傾斜角度を有する
[1]または[2]に記載の撮像装置。
[5]
前記保護部材の前記撮像部側の前記面は、前記撮像部において反射されて前記保護部材に入射した前記光が路面方向に再反射される傾斜角度を有する
[2]に記載の撮像装置。
[6]
前記保護部材における前記撮像部側の前記面は、前記撮像部の受光面に対して略45度の角度をなすように配置されている
[1]乃至[5]の何れかに記載の撮像装置。
[7]
前記保護部材の前記撮像部側の前記面が向く方向に配置され、前記光を吸収する吸収部材をさらに備える
[1]乃至[6]の何れかに記載の撮像装置。
[8]
前記保護部材は、前記被写体から入射した前記光の所定の波長成分を遮断または反射する光学フィルタとして機能する
[1]乃至[7]の何れかに記載の撮像装置。