特許第6785581号(P6785581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785581
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】熱電発電装置
(51)【国際特許分類】
   F02G 5/02 20060101AFI20201109BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20201109BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20201109BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   F02G5/02 A
   H02N11/00 A
   H01L35/30
   F02G5/04 L
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-104246(P2016-104246)
(22)【出願日】2016年5月25日
(65)【公開番号】特開2017-210910(P2017-210910A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2018年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】畑迫 芳佳
(72)【発明者】
【氏名】福留 二朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 修一
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−004500(JP,A)
【文献】 特開昭61−134591(JP,A)
【文献】 特開2002−272152(JP,A)
【文献】 特開2013−172576(JP,A)
【文献】 特開平07−159058(JP,A)
【文献】 実開昭59−108085(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/114428(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02G 5/02
H02N 11/00
H01L 35/30
F02G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面を加熱部の外側に設けると共に他方の面を冷却部に設ける熱電素子を備える熱電発電装置であって、
高温流体が流れる流路に配置される伝熱管を備え、
前記加熱部と前記伝熱管とは、それぞれ互いに連通する内部空間を有し、
前記加熱部の内部空間と前記伝熱管の内部空間とは、熱媒体が循環する循環経路を形成し、
前記熱媒体が排出される前記伝熱管の出口は、前記熱媒体が流入する前記伝熱管の入口よりも高い位置に設けられ、
前記伝熱管の入口は、前記熱電素子の最下端部より低い位置に設けられ、
前記伝熱管は、前記高温流体の熱を利用して、前記循環経路を流れる前記熱媒体を蒸発させ、
前記加熱部は、蒸発した前記熱媒体を凝縮する、熱電発電装置。
【請求項2】
前記加熱部の底部に、前記加熱部の内部空間を流れる前記熱媒体を前記加熱部の出口に向かって流す勾配が設けられた、請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記加熱部の出口は、前記伝熱管の入口よりも高い位置に設けられた、請求項1又は2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
更に、前記加熱部の下部に、前記加熱部で凝縮された熱媒体を貯留する液溜まりを備え、
前記液溜まりは、前記加熱部の出口と前記伝熱管の入口とに接続される、請求項3に記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記液溜まりの底部に、前記伝熱管の入口に向かって前記熱媒体を流す勾配が設けられた、請求項4に記載の熱電発電装置。
【請求項6】
前記加熱部の底部に、前記加熱部の出口を複数設け、
前記加熱部の下部に、前記加熱部の複数の出口と前記伝熱管の入口とを接続する接続管が設けられた、請求項3に記載の熱電発電装置。
【請求項7】
前記加熱部は板状に形成されており、前記熱媒体が通過する前記内部空間を有している、請求項1に記載の熱電発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱電素子の高温側にエンジンの排ガスを熱源とする熱源部を設けると共に低温側に冷却水容器を設けることによって、温度差を利用して発電を行う熱電発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−83251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、熱電発電装置において、発電効率の向上が求められている。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するもので、発電効率を向上させることができる熱電発電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る熱電発電装置は、
一方の面を加熱部に設けると共に他方の面を冷却部に設ける熱電素子を備える熱電発電装置であって、
高温流体が流れる流路に配置される伝熱管を備え、
前記加熱部と前記伝熱管とは、それぞれ互いに連通する内部空間を有し、
前記加熱部の内部空間と前記伝熱管の内部空間とは、熱媒体が循環する循環経路を形成し、
前記熱媒体が排出される前記伝熱管の出口は、前記熱媒体が流入する前記伝熱管の入口よりも高い位置に設けられ、
前記伝熱管の入口は、前記熱電素子の最下端部より低い位置に設けられ、
前記伝熱管は、前記高温流体の熱を利用して、前記循環経路を流れる前記熱媒体を蒸発させ、
前記加熱部は、蒸発した前記熱媒体を凝縮する。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の熱電発電装置によれば、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る熱電発電装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る熱電発電装置の加熱部の概略構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る熱電発電装置の冷却部の概略構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る熱電発電装置を用いた熱電発電システムの電気系統の概略図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る熱電発電装置を用いた熱電発電システムの熱媒体系統の概略図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る熱電発電装置の概略構成を示す図で
図7図7は、本発明の実施の形態2に係る熱電発電装置の変形例の概略構成を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態3に係る熱電発電装置の概略構成を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態3に係る熱電発電装置の変形例の概略構成を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態4に係る熱電発電装置熱電発電装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明者の知見)
本発明者らは、加熱部及び伝熱管の内部に形成された循環経路に熱媒体を封入し、熱媒体の蒸発と凝縮とを交互に行うことにより熱媒体を自然循環させることによって、熱電素子を加熱する熱電発電装置を開発している。このような構成の熱電発電装置においては、凝縮後の液体の熱媒体が加熱部内に滞留する。本発明者らは、加熱部内に滞留した液体の熱媒体が熱電素子への熱抵抗を増大させ、熱電素子による発電を阻害するという課題を新たに見出した。そこで、本発明者らは、この課題を解決するため、以下の発明に至った。
【0010】
本発明の一態様に係る熱電発電装置は、
一方の面を加熱部に設けると共に他方の面を冷却部に設ける熱電素子を備える熱電発電装置であって、
高温流体が流れる流路に配置される伝熱管を備え、
前記加熱部と前記伝熱管とは、それぞれ互いに連通する内部空間を有し、
前記加熱部の内部空間と前記伝熱管の内部空間とは、熱媒体が循環する循環経路を形成し、
前記熱媒体が排出される前記伝熱管の出口は、前記熱媒体が流入する前記伝熱管の入口よりも高い位置に設けられ、
前記伝熱管の入口は、前記熱電素子の最下端部より低い位置に設けられ、
前記伝熱管は、前記高温流体の熱を利用して、前記循環経路を流れる前記熱媒体を蒸発させ、
前記加熱部は、蒸発した前記熱媒体を凝縮する。
【0011】
このような構成により、凝縮した熱媒体が加熱部の内部空間に滞留することを抑制することができるため、凝縮した熱媒体による熱電素子への熱抵抗の増大を抑制することができる。その結果、凝縮した熱媒体により熱電素子の発電が阻害されないため、発電効率を向上させることができる。
【0012】
前記加熱部の底部に、前記加熱部の内部空間を流れる前記熱媒体を前記加熱部の出口に向かって流す勾配が設けられてもよい。
【0013】
このような構成により、加熱部の内部空間を流れる凝縮した熱媒体が加熱部の出口へ流れるため、加熱部の内部空間で凝縮した熱媒体を伝熱管へ排出し易い。このため、凝縮した熱媒体が加熱部の内部に滞留することを抑制し、熱電素子への熱抵抗の増大を更に抑制することができる。
【0014】
前記加熱部の出口は、前記伝熱管の入口よりも高い位置に設けられてもよい。
【0015】
このような構成により、加熱部で凝縮された熱媒体を伝熱管へ排出しやすくなる。これにより、凝縮した熱媒体が加熱部の内部空間に滞留することを抑制することができる。このため、凝縮した熱媒体による熱電素子への熱抵抗の増大を抑制することができ、凝縮された熱媒体に阻害されることなく熱電素子が発電を行うことができる。
【0016】
更に、前記加熱部の下部に、前記加熱部で凝縮された熱媒体を貯留する液溜まりを備え、
前記液溜まりは、前記加熱部の出口と前記伝熱管の入口とに接続されてもよい。
【0017】
このような構成により、加熱部の内部空間で凝縮した熱媒体を液溜まりへ流すことができるため、凝縮した熱媒体が加熱部の内部空間に滞留することを抑制することができる。このため、凝縮した熱媒体による熱電素子への熱抵抗の増大を抑制することができ、凝縮された熱媒体に阻害されることなく熱電素子が発電を行うことができる。
【0018】
前記液溜まりの底部に、前記伝熱管の入口に向かって前記熱媒体が流れる勾配が設けられてもよい。
【0019】
このような構成により、液溜まりに貯留されている熱媒体を伝熱管へ排出し易くなる。このため、凝縮した熱媒体が加熱部内に滞留することを容易に抑制することができる。
【0020】
前記加熱部の底部に、前記加熱部の出口を複数設け、
前記加熱部の下部に、前記加熱部の複数の出口と前記伝熱管の入口とを接続する接続管が設けられてもよい。
【0021】
このような構成により、加熱部で凝縮した熱媒体を、加熱部の底部に設けられた複数の出口から接続管を通じて伝熱管の入口へ流すことができるため、熱媒体が加熱部の内部に滞留することを抑制することができる。このため、凝縮した熱媒体による熱電素子への熱抵抗の増大を抑制することができ、凝縮された熱媒体に阻害されることなく熱電素子が発電を行うことができる。
【0022】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。
【0023】
(実施の形態1)
[全体構成]
実施の形態1に係る熱電発電装置の全体構成について説明する。
【0024】
図1は、実施の形態1に係る熱電発電装置1Aの概略構成を示す。なお、図1中のX、Y、Z方向は、それぞれ熱電発電装置1Aの縦方向、横方向、高さ方向を示す。縦方向、横方向、高さ方向は、それぞれ熱電発電装置1Aの長手方向、短手方向、上下方向を意味する。
【0025】
図1に示すように、熱電発電装置1Aは、一方の面を加熱部3に設けると共に他方の面を冷却部4に設ける熱電素子2を備える。また、熱電発電装置1Aは、高温流体が流れる流路5に配置される伝熱管6を備える。加熱部3と伝熱管6とは、それぞれ互いに連通する内部空間9a、9bを有しており、内部空間9a、9bは、熱媒体が循環する循環経路9を形成している。熱媒体が排出される伝熱管6の出口6bは、熱媒体が流入する伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設けられている。伝熱管6の入口6aは、熱電素子2の最下端部より低い位置に設けられている。
【0026】
実施の形態1では、加熱部3と伝熱管6とは、伝熱管6から加熱部3へ熱媒体を流入する第1接続管7と加熱部3から伝熱管6へ熱媒体を排出する第2接続管8とを介して接続されている。また、加熱部3及び伝熱管6は、Y方向から見て、重力方向に傾斜している。
【0027】
<熱電素子>
熱電素子2は、加熱部3に設けられる一方の面(高温側)と、冷却部4に設けられる他方の面(低温側)の2つの面を有する素子である。熱電素子2は、加熱部3により一方の面が加熱されると共に冷却部4により他方の面が冷却されることによって、その温度差を利用して発電を行う。熱電素子2の厚さは、熱電素子2の一方の面及び他方の面の大きさ(幅)よりも小さく設計されている。具体的には、熱電素子2は、板状に形成されている。実施の形態1では、複数の熱電素子2を直列に接続した熱電モジュール20が、加熱部3に貼り付けられている。具体的には、4列×5行の20個の熱電素子2を有する熱電モジュール20が、加熱部3に貼り付けられている。なお、熱電素子2の数は、これに限定されない。例えば、熱電発電装置1Aは、加熱部3に1つの熱電素子2を貼り付ける構成であってもよい。
【0028】
<加熱部>
加熱部3は、熱伝導性に優れた金属材料によって形成されている。加熱部3は、熱電素子2の一方の面に接触する板状に形成されている。加熱部3と伝熱管6とは、それぞれ互いに連通する内部空間9a、9bを有している。加熱部3の内部空間9aと伝熱管6の内部空間9bには、熱媒体が封入されている。また、加熱部3の内部空間9aと伝熱管6の内部空間9bは、熱媒体が循環する循環経路9を形成している。実施の形態1では、加熱部3は、第1接続管7及び第2接続管8を介して伝熱管6と接続されている。第1接続管7及び第2接続管8は、循環経路9の一部を構成している。
【0029】
伝熱管6は、流路5を流れる高温流体の熱を利用して、循環経路9の一部である内部空間9bを流れる熱媒体を蒸発させる。即ち、伝熱管6は、熱媒体を蒸発させる蒸発部として機能する。加熱部3は、伝熱管6の内部空間9bで蒸発した熱媒体を凝縮する。即ち、加熱部3は、熱媒体を凝縮する熱媒体凝縮部として機能する。実施の形態1では、熱媒体として、水を用いている。また、流路5は、高温の排ガスが流れるエンジンの排ガスダクトである。流路5において、高温流体は、図1Aの紙面方向、即ちY方向へ流れる。なお、流路5は、エンジンの排ガスダクト以外に、例えば、産廃炉又はバイオマスボイラー等の高温環境であればよく、対流を必須としない輻射場であってもよい。
【0030】
図2は、熱電発電装置1Aの加熱部3及び伝熱管6の概略構成を示す。図2に示すように、加熱部3の内部には、熱電素子2と接する加熱面の全体に熱媒体が行き渡るような熱媒体流路が形成されている。具体的には、第1接続管7を介して伝熱管6から熱媒体が流入する入口3aを加熱部3の上部に設け、第2接続管8を介して伝熱管6へ熱媒体を排出する出口3bを加熱部3の下部に設けている。即ち、加熱部3の入口3aは加熱部3の内部空間9aの上流側に接続され、加熱部3の出口3bは加熱部3の内部空間9bの下流側に接続される。加熱部3の内部空間9aには、循環経路9の一部として、Z方向に延在する複数の熱媒体流路が形成されている。なお、加熱部3の内部空間9aの熱媒体流路は、熱媒体が重力方向に流れればよく、例えば、X方向などに傾斜していてもよい。
【0031】
加熱部3の底部には、加熱部3の内部空間9aを流れる熱媒体を、加熱部3の出口3bに向かって流す勾配が設けられている。具体的には、加熱部3の内部空間9a内の熱媒体を、第2接続管8を介して伝熱管6の入口6aへ流すことができるように、加熱部3の底部は所定の角度θの勾配を有する。所定の角度θは、凝縮された熱媒体が加熱部3の出口3bに向かって流れるように、Y方向から見て加熱部3を重力方向に傾斜させた角度である。このように、Y方向から見て、伝熱管6側に位置する加熱部3の下端が、伝熱管6の反対側に位置する加熱部3の下端よりも低くなるように加熱部3を重力方向に傾斜させることで、凝縮した熱媒体が加熱部3内部に滞留せずに、第2接続管8を介して伝熱管6へ排出される。
【0032】
<伝熱管>
伝熱管6は、高温流体が流れる流路5に配置され、高温流体の熱を利用して循環経路9を流れる熱媒体を蒸発させるものである。図2に示すように、伝熱管6は、高温流体が流れる方向、即ちY方向から見て、流路5を流れる高温流体との接触面積が大きく取れるように構成されている。具体的には、伝熱管6は、Y方向から見て、X方向に延在する複数の管状部材61と、複数の管状部材61を互いに連結する複数の曲げ部62とを有する。複数の管状部材61は、Y方向から見て、Z方向に所定の間隔を有して配列されると共に、端部を曲げ部62によって連結されている。このように、伝熱管6は、複数の管状部材61を曲げ部62で連結することによって、複数の屈曲部を有する連続した配管を構成している。
【0033】
実施の形態1において、流路5において、伝熱管6の一端側の管状部材61は、他端側の管状部材61と比べて長く構成されている。これにより、伝熱管6は、重力方向に傾斜して配置される。なお、伝熱管6の一端側の管状部材61とは、高さ方向(Z方向)において最も高い位置に配置される管状部材を意味する。伝熱管6の他端側の管状部材61とは、高さ方向(Z方向)において最も低い位置に配置される管状部材を意味する。
【0034】
伝熱管6の入口6a及び出口6bは、流路5を画定する壁部に設けられている。具体的には、伝熱管6の入口6aは、他端側の管状部材61と流路5の壁部とが接続される箇所に設けられる。また、伝熱管6の出口6bは、一端側の管状部材61と流路5の壁部とが接続される箇所に設けられる。このように、伝熱管6の出口6bは、入口6aよりも高い位置に設けられる。
【0035】
伝熱管6の入口6aは、熱電素子2の最下端部より低い位置に設けられている。実施の形態1では、伝熱管6の入口6aは、熱電モジュール20のうち最も低い位置に配置される熱電素子2の最下端部よりも低い位置に設けられる。
【0036】
<第1接続管>
第1接続管7は、伝熱管6から加熱部3へ熱媒体を流入する配管である。第1接続管7の内部には、熱媒体が流れる熱媒体流路が形成されている。第1接続管7の一端は、伝熱管6の出口6bに接続される。第1接続管7の他端は、加熱部3の入口3aに接続される。
【0037】
<第2接続管>
第2接続管8は、加熱部3から伝熱管6へ熱媒体を排出する配管である。第2接続管8の内部には、熱媒体が流れる熱媒体流路が形成されている。第2接続管8の一端は、伝熱管6の入口6aに接続される。第2接続管8の他端は、加熱部3の出口3bに接続される。
【0038】
実施の形態1では、流路5は、図1に示すように矩形の排ガスダクトを例として用いているため、流路5の壁面は平坦に形成されている。伝熱管6の入口6aと出口6bとは、流路5の平坦な壁面(Z方向に平行な面)に設けられている。第1接続管7は、伝熱管6の一端側の管状部材61の延在方向と同じ方向に延びており、第2接続管8は、伝熱管6の他端側の管状部材61の延在方向と同じ方向に延びている。また、第2接続管8の長手方向(X方向)の長さは、第1接続管7の長手方向(X方向)の長さよりも長く形成されている。このため、第2接続管8の設けられている部分における加熱部3と流路5との間の距離(以下、「離間距離」と称する)が、第1接続管7の設けられている部分に比べて長くなる。このような構成により、加熱部3は、重力方向に傾斜させることができる。加熱部3を重力方向に傾斜させることによって、加熱部3の底部に熱媒体が加熱部3の出口3bに向かって流れる勾配を設けることができる。
【0039】
<循環経路>
循環経路9は、加熱部3の内部空間9aと伝熱管6の内部空間9bとを連通して形成される。熱媒体は、加熱部3の内部空間9aと伝熱管6の内部空間9bとを循環している。具体的には、伝熱管6が流路5を流れる高温流体によって加熱されると、伝熱管6の内部空間9bを流れる熱媒体が液体から蒸気になる。即ち、伝熱管6内部において、熱媒体が蒸発し、液体から気体へと相変化する。蒸気は、伝熱管6の一端側の管状部材61から第1接続管7を通って加熱部3の内部空間9aの熱媒体流路の上流側に流入する。加熱部3の内部空間9aの熱媒体流路の上流側に流入した蒸気は、加熱部3の加熱面に注がれながら重力方向へ落下し、当該加熱面から放熱して熱電素子2を加熱することによって凝縮される。即ち、加熱部3の内部空間9aにおいて、熱媒体は、気体から液体へと相変化する。凝縮された熱媒体は、加熱部3の熱媒体流路の下流側に接続された第2接続管8を通って伝熱管6の他端側の管状部材61へ排出される。伝熱管6の内部空間9bに排出された熱媒体は、再び、流路5を流れる高温流体によって加熱され、液体から蒸気へと相変化する。このように、加熱部3と伝熱管6と第1接続管7と第2接続管8との内部に形成された循環経路9を熱媒体が自然循環する。言い換えると、加熱部3と伝熱管6と第1接続管7と第2接続管8とで形成される循環経路9においては、ポンプ等の動力を使用せずとも、熱媒体の相変化を利用して、熱媒体を繰り返し循環させている。
【0040】
<冷却部>
冷却部4は、熱伝導性に優れた金属材料によって形成されている。冷却部4は、熱電素子2の他方の面に接触する板状に形成されている。冷却部4の内部には、冷却液が流れる冷却液流路が形成されている。
【0041】
図3は、熱電発電装置1Aの冷却部4の概略構成を示す。図3に示すように、冷却部4の内部には、熱電素子2と接触する冷却部4の冷却面の全体に冷却液が行き渡るように板状の冷却液流路40が形成されている。具体的には、冷却液流路40は、X方向に延在する複数の流路を有し、これらの流路が互いに接続されている。冷却液流路40には、低い側にある冷却液流入管41と、高い側にある冷却液排出管42と、が設けられている。冷却液流入管41から冷却液流路40に流入した冷却液は、熱電素子2の他方の面と接触する冷却面を冷却した後、冷却液排出管42から排出される。なお、実施の形態1では、冷却液流路40は、熱電素子2と接触する冷却面の全体に冷却液が行き渡るような板状形状に形成されているが、熱電素子2の他方の面を全体的に均一に冷却することができればよく、形状は限定されない。また、冷却部4の内部の冷却液流路40の複数の流路は、X方向だけでなくZ方向に延在していてもよい。実施の形態1では、冷却液として、水を用いている。
【0042】
<電気系統>
図4は、熱電発電装置1Aを用いた熱電発電システム10の電気系統の概略図を示す。図4に示すように、熱電発電システム10は、4つの熱電発電装置1Aと、インバータ11と、電気負荷12と、を備える。熱電発電システム10において、4つの熱電発電装置1Aは、並列に接続されている。並列に接続された4つの熱電発電装置1Aは、インバータ11に接続されている。インバータ11は、電気負荷12に接続されている。熱電発電システム10において、4つの熱電発電装置1Aで発電された電力は、インバータ11を介して電気負荷12へ供給される。
【0043】
<熱媒体系統>
図5は、熱電発電装置1Aを用いた熱電発電システム10の熱媒体系統の概略図を示す。図5において、点線は熱媒体のライン、実線は冷却液のラインを示す。まず、熱媒体の流れについて説明する。図5に示すように、熱媒体ラインL1、L2、L3が熱電発電装置1Aの加熱部3に接続されている。熱媒体ラインL1,L2,L3には、それぞれ弁が設けられている。加熱部3の内部において、熱媒体が自然循環している間、熱媒体ラインL1,L2,L3の弁は閉じている。なお、熱媒体ラインL3に設けられている弁は、圧力弁である。
【0044】
熱媒体ラインL1は、熱媒体となる水を充填するラインである。加熱部3内部に熱媒体を入れたい場合、熱媒体ラインL1の弁を開き、タンク13から熱媒体ラインL1を通って加熱部3内部へ熱媒体を供給する。
【0045】
熱媒体ラインL2は、真空ポンプ14を用いて真空引きするためのラインである。加熱部3内部に熱媒体が入っていない状態で、熱媒体ラインL2を介して真空ポンプ14により真空引きを行う。真空引き後、タンク13内の熱媒体が熱媒体ラインL1を通り、加熱部3内部へ供給される。
【0046】
熱媒体ラインL3は、加熱部3内の熱媒体をタンク13へ排出するラインである。加熱部3内部の蒸気圧が熱媒体ラインL3の圧力弁の許容値よりも大きくなると、圧力弁が開き、加熱部3内部の蒸気が熱媒体ラインL3へ排出される。加熱部3から排出された熱媒体は、熱媒体ラインL3を通り、熱交換器15を介してタンク13に排出される。実施の形態1では、熱媒体及び冷却液ともに水を用いているため、冷却液と熱媒体とをタンク13に貯留することができる。
【0047】
次に、冷却液の流れについて説明する。図5に示すように、冷却液は、ポンプ等によって、タンク13から冷却液ラインL4を通って冷却部4へ流れる。冷却部4を流れた冷却液は、冷却液ラインL5を通って冷却設備16へ流れる。冷却設備16は、例えば、冷却液を冷却するクーリングタワーである。冷却設備16において冷却された冷却液は、タンク13で貯留される。
【0048】
[効果]
実施の形態1に係る熱電発電装置1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0049】
熱電発電装置1Aは、加熱部3の内部空間9aと伝熱管6の内部空間9bとで熱媒体が循環する循環経路9を形成し、伝熱管6の出口6bを伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設け、伝熱管6の入口6aを熱電素子2の最下端部より低い位置に設けている。このような構成により、凝縮した熱媒体が加熱部3の内部空間9aに滞留することなく、加熱部3から伝熱管6へ排出される。このため、熱電発電装置1Aでは、凝縮した熱媒体による熱電素子2への熱抵抗の増大を抑制することができ、凝縮された熱媒体に阻害されることなく熱電素子2が発電を行うことができる。その結果、熱電発電装置1Aによれば、発電効率を向上させることができる。
【0050】
熱電発電装置1Aは、加熱部3の底部に、加熱部3の内部空間9aを流れる熱媒体を加熱部3の出口3bに向かって流す勾配を設けている。このような構成により、加熱部3の内部空間9aの下流側に流れてきた凝縮された液体の熱媒体が加熱部3の出口3bから伝熱管6へ排出されやすくなる。また、実施の形態1では、伝熱管6を重力方向に傾斜させることによって、熱媒体が伝熱管6へ更に排出されやすくなっている。
【0051】
熱電発電装置1Aによれば、加熱部3の内部空間9aと伝熱管6の内部空間9bとで形成された循環経路9において、熱媒体を相変化により循環させることができる。このため、ポンプ等の動力を用いずとも、熱媒体を循環させることができ、装置の低コスト化及び小型化を実現することができる。また、熱媒体と冷却液として水を用いることにより、熱媒体と冷却液とを貯留するタンク13を共用することができるため、更に装置の低コスト化及び小型化を実現することができる。
【0052】
なお、実施の形態1では、熱電素子2は、加熱部3の一方の面に設ける例について説明したが、これに限られない。例えば、熱電素子2は、加熱部3の両面に設け、それぞれの熱電素子2を介して加熱部3の両面に冷却部4がそれぞれ対向して設けられてもよい。このような構成により、加熱部3の両面の熱を利用して、熱電素子2による発電を行うことができるため、発電効率を更に向上させることができる。
【0053】
実施の形態1では、加熱部3及び伝熱管6を重力方向に傾斜させる例について説明したが、これに限定されない。熱電発電装置1Aは、加熱部3の出口3bを熱電素子2の最下端部より低い位置に設けていればよく、例えば、加熱部3を重力方向に傾斜させる一方、伝熱管6を傾斜させなくてもよい。
【0054】
実施の形態1では、第1接続管7が伝熱管6の一端側の管状部材61の延在方向に延びる例、及び第2接続管が伝熱管6の他端側の管状部材61の延在方向に延びる例について説明したが、これらに限定されない。第1接続管7及び第2接続管8は、伝熱管6の管状部材61の延在方向と異なる方向に延びていてもよい。
【0055】
実施の形態1では、加熱部3と伝熱管6とが、第1接続管7及び第2接続管8を介して接続される例について説明したが、これに限定されない。熱電発電装置1Aでは、第1接続管7及び第2接続管8は必須の構成要素ではなく、例えば、加熱部3と伝熱管6とは、第1接続管7及び第2接続管8を介さずに直接接続されてもよい。また、加熱部3と伝熱管6とは、第1接続管7及び第2接続管8と異なる要素を介して接続されてもよい。
【0056】
実施の形態1では、4つの熱電発電装置1Aを用いた熱電発電システム10を説明したが、これに限定されない。熱電発電システム10は、1つ以上の熱電発電装置1Aを備えていればよい。
【0057】
実施の形態1では、熱媒体及び冷却液として水を用いたが、これに限定されない。熱媒体と冷却液とは、異なっていてもよい。熱媒体としては、循環経路9内で気体と液体とに相変化することができるものであればよい。冷却液としては、冷却できる液体であればよい。
【0058】
(実施の形態2)
[全体構成]
本発明の実施の形態2に係る熱電発電装置について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0059】
図6は、実施の形態2に係る熱電発電装置1Bの概略構成を示す。
【0060】
実施の形態2では、屈曲させた第2接続管8を加熱部3の出口3bと伝熱管6の入口6aとに接続することによって、加熱部3の出口3bを伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設けている点が、実施の形態1と異なる。
【0061】
図6に示すように、熱電発電装置1Bでは、屈曲させた第2接続管8を用いて、加熱部3の出口3bを伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設けている。実施の形態2では、第2接続管8は、伝熱管6の延在方向(X方向)に延びる第2接続管8を高さ方向(Z方向)に屈曲させることによって、加熱部3の出口3bに接続している。実施の形態2では、加熱部3の出口3bは、熱電素子2の最下端部より低い位置の加熱部3の側部に設けられている。なお、加熱部3の出口3bは、熱電素子2の最下端部より低い位置であればよく、例えば、加熱部3の底部に接続されてもよい。
【0062】
実施の形態2では、第2接続管8は、伝熱管6の延在方向(X方向)に延びる第2接続管8を上方向(Z方向)へ直角に曲げた後、更にX方向へ曲げることによって形成されている。このように屈曲した形状の第2接続管8により、加熱部3の出口3bを伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設けることができる。なお、実施の形態2では、第1接続管7は、第2接続管8と同様の形状のものを使用することができる。
【0063】
[効果]
実施の形態2に係る熱電発電装置1Bによれば、以下の効果を奏することができる。
【0064】
熱電発電装置1Bは、加熱部3の出口3bが、伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設けられている。このような構成により、Y方向から見て、伝熱管6の最下端から熱媒体の液面までの距離(液面高さ)Hよりも伝熱管6の最下端から加熱部3の出口3bまでの距離hを大きくすることができる。なお、本明細書では、熱媒体の液面とは、伝熱管6内を流れる液体の熱媒体と蒸気の熱媒体との境界面を意味する。
【0065】
このような構成により、加熱部3の内部空間9aで凝縮された熱媒体が、第2接続管8を介して伝熱管6へ排出されやすくなる。これにより、凝縮した熱媒体が加熱部3の内部空間9aに滞留することを抑制することができる。このため、凝縮した熱媒体による熱電素子2への熱抵抗の増大を抑制することができ、凝縮された熱媒体に阻害されることなく熱電素子2が発電を行うことができる。その結果、熱電発電装置1Bによれば、発電効率を向上させることができる。
【0066】
熱電発電装置1Bによれば、第1接続管7と第2接続管8とを同様の形状のものを使用することができるため、製造コストを低減することができる。
【0067】
なお、実施の形態2では、Z方向に直角に屈曲させた形状の第2接続管8について説明したが、これに限定されない。熱電発電装置1Bは、加熱部3の出口3bが伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設けられていればよく、第2接続管8の形状は限定されない。例えば、第2接続管8は、加熱部3の出口3bから伝熱管6の入口6aに向かって、斜めに延びるような形状、又は円弧形状等であってもよい。
【0068】
実施の形態2では、第1接続管7は、第2接続管8と同様の形状である例について説明したが、これに限定されない。第1接続管7は、伝熱管6の出口6bと加熱部3の入口3aとを接続するものであればよく、その形状は限定されない。
【0069】
図7は、熱電発電装置1Bの変形例の概略構成を示す。図7に示すように、加熱部3の底部に、加熱部3の出口3bに向かって熱媒体を流す勾配が設けられていてもよい。即ち、実施の形態2では、実施の形態1と同様に、Y方向から見て、伝熱管6側に位置する加熱部3の下端が、伝熱管6の反対側に位置する加熱部3の下端よりも低くなるように加熱部3を重力方向に傾斜させてもよい。このような構成により、加熱部3で凝縮した熱媒体が加熱部3の出口3bへ向かって流れやすくなり、凝縮した熱媒体を伝熱管6へ簡単に排出することができる。
【0070】
(実施の形態3)
[全体構成]
本発明の実施の形態3に係る熱電発電装置について説明する。なお、実施の形態3では、主に実施の形態2と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態2と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態2と重複する記載は省略する。
【0071】
図8は、実施の形態3に係る熱電発電装置1Cの概略構成を示す。
【0072】
実施の形態3では、加熱部3の下部に、加熱部3で凝縮された熱媒体を貯留する液溜まり30aを備える点が、実施の形態2と異なる。
【0073】
図8に示すように、熱電発電装置1Cは、加熱部3の下部に液溜まり30aを備えている。液溜まり30aは、加熱部3で凝縮された液体の熱媒体を貯留するタンクである。液溜まり30aは、加熱部3の出口3bと接続されている。また、液溜まり30aは、第2接続管8を介して伝熱管6の入口6aと接続されている。
【0074】
実施の形態3では、加熱部3の出口3bは、加熱部3の底部に設けられており、液溜まり30aの上部に接続されている。また、伝熱管6の入口6aは、伝熱管6の延在方向(X方向)に延びる第2接続管8を介して、液溜まり30aの側部に接続されている。これにより、伝熱管6の入口6aを液溜まり30aの上面30aaと下面30abとの間に配置することができる。即ち、液溜まり30aが、伝熱管6内の熱媒体の液面高さH付近に配置される。
【0075】
このように、加熱部3の出口3bと伝熱管6の入口6aとは、液溜まり30aと第2接続管8とを介して接続されている。このため、液溜まり30aは、加熱部3の下部において、加熱部3の出口3bから流入する液体の熱媒体を貯留し、貯留した熱媒体を、第2接続管8を介して伝熱管6の入口6aに排出することができる。即ち、液溜まり30aは、循環経路9の一部を構成している。
【0076】
[効果]
実施の形態3に係る熱電発電装置1Cによれば、以下の効果を奏することができる。
【0077】
熱電発電装置1Cは、加熱部3の下部に、加熱部3で凝縮された熱媒体を貯留する液溜まり30aを備えている。このような構成により、加熱部3で凝縮した熱媒体を液溜まり30aへ流すことができるため、加熱部3の内部空間9aに熱媒体が滞留することを抑制することができる。このため、凝縮した熱媒体による熱電素子2への熱抵抗の増大を抑制することができ、熱電素子2が凝縮された熱媒体に阻害されることなく発電を行うことができる。その結果、熱電発電装置1Cによれば、発電効率を向上させることができる。
【0078】
熱電発電装置1Cによれば、伝熱管6の入口6aは、伝熱管6の延在方向(X方向)に延びる第2接続管8を介して、液溜まり30aの側部に接続されている。このような構成により、液溜まり30aを伝熱管6の内部空間9bを流れる凝縮した熱媒体の液面高さ付近に液溜まり30aを配置することができる。このため、液溜まり30a内に貯留した熱媒体が伝熱管6の内部空間9bに流入しやすくなり、加熱部3の内部空間9aに凝縮した熱媒体が滞留することを抑制することができる。
【0079】
なお、実施の形態3では、第2接続管8を液溜まり30aの側部に接続する例について説明したが、これに限定されない。液溜まり30aは、少なくとも液溜まり30aの上面30aaが伝熱管6の入口6aよりも高い位置も配置されていればよい。例えば、液溜まり30aを更に高い位置に配置して、液溜まり30aの下面30abに第2接続管8が接続されてもよい。この場合、第2接続管8は、上方向(Z方向)に屈曲して液溜まり30aの底部の下面30abに接続される。このような構成により、液溜まり30aから伝熱管6へ熱媒体を排出し易くなると共に、伝熱管6から液溜まり30aへ熱媒体が逆流することを抑制することができる。
【0080】
実施の形態3では、加熱部3の出口3bは、加熱部3の底部に設けられる例について説明したが、これに限定されない。加熱部3の出口3bは、熱電素子2の最下端部よりも低い位置に設けられていればよく、加熱部3の側部に設けられていてもよい。また、加熱部3の出口3bと液溜まり30aとは、直接接続されてもよいし、配管などの要素を介して接続されてもよい。
【0081】
図9は、熱電発電装置1Cの変形例の概略構成を示す。図9に示すように、液溜まり30bの底部に、伝熱管6の入口6aに向かって熱媒体を流す勾配が設けられていてもよい。このような構成により、液溜まり30bに貯留されている熱媒体が伝熱管6へ排出されやすくなる。これにより、凝縮した熱媒体が加熱部3の内部空間9aに滞留することを抑制することができる。
【0082】
(実施の形態4)
[全体構成]
本発明の実施の形態4に係る熱電発電装置について説明する。なお、実施の形態4では、主に実施の形態2と異なる点について説明する。実施の形態4においては、実施の形態2と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態4では、実施の形態2と重複する記載は省略する。
【0083】
図10は、実施の形態4に係る熱電発電装置1Dの概略構成を示す。
【0084】
実施の形態4では、加熱部3の底部に複数の出口3bを設けている点が、実施の形態2と異なる。
【0085】
図10に示すように、熱電発電装置1Dは、加熱部3の底部に複数の出口3bを設けている。加熱部3の複数の出口3bは、加熱部3の下部において第2接続管8aと接続されている。
【0086】
実施の形態4では、4つの出口3bが加熱部3の底部に設けられている。また、第2接続管8aは、伝熱管6の入口6aからX方向に延び、加熱部3の下部において、複数の配管に分岐している。複数の配管は、上方向(Z方向)に延びて加熱部3の複数の出口3bのそれぞれに接続されている。
【0087】
実施の形態4では、加熱部3の複数の出口3bは、伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設けられている。このため、第2接続管8aの他端側で分岐する複数の配管の高さ(Z方向の高さ)は、伝熱管6の内部空間9bを流れる凝縮した熱媒体の液面高さHよりも高くなっている。
【0088】
[効果]
実施の形態4に係る熱電発電装置1Dによれば、以下の効果を奏することができる。
【0089】
熱電発電装置1Dは、加熱部3の底部に複数の出口3bを設け、加熱部3の複数の出口3bが伝熱管6の入口6aよりも高い位置に設け、加熱部3の下部に設けられた第2接続管8aによって加熱部3の複数の出口3bと伝熱管6の入口6aとを接続している。このような構成により、加熱部3で凝縮した熱媒体を、加熱部3の複数の出口3bから第2接続管8aを通して伝熱管6の入口6aへ流すことができるため、熱媒体が加熱部3内部に滞留することを抑制することができる。このため、凝縮した熱媒体による熱電素子2への熱抵抗の増大を抑制することができ、熱電素子2が凝縮された熱媒体に阻害されることなく発電を行うことができる。その結果、熱電発電装置1Dによれば、発電効率を向上させることができる。
【0090】
なお、実施の形態4では、加熱部3の底部に4つの出口3bを設けた例について説明したが、これに限定されない。加熱部3の底部に2つ以上の出口3bが設けられていればよい。また、加熱部3の複数の出口3bの一部は、加熱部3の側部に設けられていてもよい。
【0091】
実施の形態4では、第2接続管8の他端側に設けられた複数の配管は、例えば、屈曲した形状、又は円弧形状であってもよい。
【0092】
本発明をある程度の詳細さをもって各実施形態において説明したが、これらの実施形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、加熱部及び熱源部の内部に形成された循環経路に熱媒体を循環させ、熱媒体の蒸発と凝縮とを交互に行うことにより熱電素子を加熱する熱電発電装置に有用である。
【符号の説明】
【0094】
1A、1B、1C、1D 熱電発電装置
2 熱電素子
3 加熱部
3a 入口
3b 出口
4 冷却部
40 冷却液流路
41 冷却液流入管
42 冷却液排出管
5 流路
6 伝熱管
6a 入口
6b 出口
61 管状部材
62 曲げ部
7 第1接続管
8、8a 第2接続管
9 循環経路
10 熱電発電システム
11 インバータ
12 電気負荷
13 タンク
14 真空ポンプ
15 熱交換器
16 冷却設備
20 熱電モジュール
30a、30b 液溜まり
30aa 上面
30ab 下面
L1、L2、L3 熱媒体ライン
L4、L5 冷却液ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10