(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785596
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】光起電ジャンクションボックス
(51)【国際特許分類】
H02S 40/34 20140101AFI20201109BHJP
【FI】
H02S40/34
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-161678(P2016-161678)
(22)【出願日】2016年8月22日
(65)【公開番号】特開2017-46574(P2017-46574A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2019年8月7日
(31)【優先権主張番号】201520650408.3
(32)【優先日】2015年8月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508079120
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100189360
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ツォン,ユェン
(72)【発明者】
【氏名】シュ,シァン
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ウェンボ
(72)【発明者】
【氏名】リー,クイ
【審査官】
小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/011051(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0263714(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0048614(US,A1)
【文献】
特開2012−049460(JP,A)
【文献】
特開2002−058128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/02−31/078
H01L31/18−31/20
H01L51/42−51/48
H02S10/00−10/40
H02S30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中に電子要素を受容するための受容チャンバを有する基部と、
前記基部上に設けられて、前記基部の前記受容チャンバの開口部を開閉するように構成されるカバーと、を備え、
前記カバーの周縁部と、前記基部の前記受容チャンバの前記開口部の周縁部との間に、複数の換気孔が形成されており、
前記基部の前記受容チャンバが、前記換気孔を介して外部雰囲気と連通している、
光起電ジャンクションボックス。
【請求項2】
前記換気孔が、前記カバーの前記周縁部上、および/または、前記基部の前記受容チャンバにおける前記開口部の前記周縁部上に形成されている、
請求項1に記載のジャンクションボックス。
【請求項3】
前記換気孔が前記カバーの前記周縁部上にのみ形成されている、
請求項1に記載のジャンクションボックス。
【請求項4】
前記電子要素が、前記基部の前記受容チャンバ内に受容される導電端子、および2つの隣接する導電端子間に接続されるダイオードを備える、
請求項1に記載のジャンクションボックス。
【請求項5】
前記ダイオードが、表面実装技術によって前記導電端子上にはんだ付けされている、
請求項4に記載のジャンクションボックス。
【請求項6】
前記電子要素が、前記受容チャンバ内に注入される注入封止材によって封止されており、
前記注入封止材は、前記受容チャンバ内を空気が流れることができるように前記カバーから所定の距離だけ距離を置いて前記受容チャンバ内に注入される、
請求項1に記載のジャンクションボックス。
【請求項7】
前記カバーがスナップ嵌合によって前記基部に装着される、
請求項1に記載のジャンクションボックス。
【請求項8】
前記カバーが弾性のピンを備えて形成されており、
前記基部が、スナップ嵌合によって前記ピンと係合するように適合されるスロットを備えて形成されている、
請求項7に記載のジャンクションボックス。
【請求項9】
前記複数の換気孔は、半円形状の孔として形成される、
請求項3に記載のジャンクションボックス。
【請求項10】
前記複数の換気孔は、前記外部雰囲気としての冷気が前記受容チャンバの内部に流入可能なように形成されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載のジャンクションボックス。
【請求項11】
前記複数の換気孔は、それぞれの少なくとも一端側が露出するように形成されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載のジャンクションボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月26日に中国国家知識産権局に出願された、中国特許出願第201520650408.3号の利益を主張する。その開示の全体を、参照によって本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、ソーラパネル上に装着するための光起電ジャンクションボックスに関する。
【背景技術】
【0003】
ソーラパネル(または太陽電池パネル)は一般に、太陽エネルギーを収集し、収集された太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するように適合される。各ソーラパネルによって生成される電流は非常に弱く、複数のソーラパネルにより生成される電流が収束され次いでまとまって出力されるように、光起電ジャンクションボックスによって複数のソーラパネルを1つに接続すべきである。
【0004】
光起電ジャンクションボックスは主として、基部およびこの基部上に装着されるカバーを備える。基部の受容チャンバ内に、導電端子およびダイオードなどの電子要素が受容される。先行技術では、基部およびカバーは、これらの間に何ら間隙を有さずに互いに密封されて係合し、この結果、光起電ジャンクションボックスの内部空間は、外部空間から絶縁される。先行技術では、基部がカバーと密封されて係合するので、動作中に光起電ジャンクションボックスの内側でダイオードによって生み出される熱は、光起電ジャンクションボックス内に局限される場合があり、また外部雰囲気への放出が非常に困難になり得る。この結果、光起電ジャンクションボックス内の温度が上昇し、このためダイオードの耐用年数が悪影響を受け、また光電変換効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、先行技術に関する上述の技術的問題または他の技術的問題を解決することである。
【0006】
本開示の1つの目的は、ダイオードによって生成される熱を外部雰囲気へと短時間で拡散し、この結果、光起電ジャンクションボックスの温度を下げ、ダイオードの耐用年数を伸ばし、光電変換効率を改善できる、光起電ジャンクションボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、中に電子要素を受容するための受容チャンバを有する基部と、基部上に設けられて基部の受容チャンバの開口部を開閉するように構成されるカバーと、を備える、光起電ジャンクションボックスが提供される。カバーの周縁部と基部の受容チャンバの開口部の周縁部との間に複数の換気孔が形成されて、基部の受容チャンバは換気孔を介して外部雰囲気と連通している。
【0008】
本開示の例示の実施形態によれば、換気孔は、カバーの周縁部上および/または基部の受容チャンバの開口部の周縁部上に形成される。
【0009】
本開示の別の例示の実施形態によれば、換気孔は、カバーの周縁部上にのみ形成される。
【0010】
本開示の別の例示の実施形態によれば、電子要素は、基部の受容チャンバ内に受容される導電端子、および2つの隣接する導電端子間に接続されるダイオードを備える。
【0011】
本開示の別の例示の実施形態によれば、ダイオードは、表面実装技術によって導電端子上にはんだ付けされる。
【0012】
本開示の別の例示の実施形態によれば、電子要素は、注入封止材によって封止される。この注入封止材は、受容チャンバ内に、受容チャンバ内を空気が流れることができるようにカバーから所定の距離だけ距離を置いて注入される。
【0013】
本開示の別の例示の実施形態によれば、カバーは、スナップ嵌合によって基部に装着される。
【0014】
本開示の別の例示の実施形態によれば、カバーは弾性のピンを備えて形成され、基部は、スナップ嵌合によってこれらのピンと係合するように適合されるスロットを備えて形成される。
【0015】
本開示の様々な例示の実施形態では、換気孔はカバーの周縁部と基部の受容チャンバの開口部の周縁部との間に形成されるので、光起電ジャンクションボックスの内側の受容チャンバは、換気孔を介して外部雰囲気と連通される。換気孔を介して光起電ジャンクションボックスの中に冷たい空気を入れることができ、また換気孔を介して、光起電ジャンクションボックスの内側の熱い空気を外側に素早く放出することができる。このようにして、換気孔を通して、光起電ジャンクションボックスにおける対流の様式で空気を循環させることができる。また動作中にダイオードによって生成される熱を、光起電ジャンクションボックスから外に素早く持ち出すことができ、このことにより、光起電ジャンクションボックスの温度が下がり、ダイオードの耐用年数が伸び、光電変換効率が改善される。
【0016】
本開示の上記のおよび他の特徴は、以下の添付の図面を参照して、本開示の例示の実施形態について詳細に記載することにより、さらに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の例示の実施形態による光起電ジャンクションボックスの概略斜視図である。
【
図2】
図1に示すような光起電ジャンクションボックスの平面図である。
【
図3】
図1に示すような光起電ジャンクションボックスの局所を拡大した概略図である。
【
図4】
図1に示すような光起電ジャンクションボックスの基部の概略斜視図である。
【
図5】
図1に示すような光起電ジャンクションボックスのカバーの概略斜視図である。
【
図6】
図1に示すような光起電ジャンクションボックスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の技術的解決法について、付属の図面を参照しかつ実施形態と組み合わせて、以下で詳細に記載する。ここでは、類似の参照符号は類似の要素を指す。ただし本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、したがって、本明細書に提示される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなるように、および本開示の概念を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0019】
さらに、以下の詳細な説明では、説明の目的で、多数の具体的な詳細が、開示される実施形態の徹底的な理解をもたらすために提示される。ただし、1つまたは複数の実施形態を、これらの具体的な詳細無しに実行できることは明らかであろう。他の場合には、よく知られている構造およびデバイスは、図面を単純化するために概略的に示される。
【0020】
本発明の一般的技術概念によれば、中に電子要素を受容するための受容チャンバを有する基部と、基部上に設けられて基部の受容チャンバの開口部を開閉するカバーと、を備える、光起電ジャンクションボックスが提供される。カバーの周縁部と基部の受容チャンバの開口部の周縁部との間に、複数の換気孔が形成されて、基部の受容チャンバは、換気孔を介して外部雰囲気と連通している。
【0021】
図1は、本開示の例示の実施形態による光起電ジャンクションボックスの概略斜視図を示す。
図2は、
図1に示すような光起電ジャンクションボックス100の平面図を示す。
図3は、
図1に示すような光起電ジャンクションボックスの局所を拡大した概略図を示す。
【0022】
本開示の例示の実施形態において、光起電ジャンクションボックスが開示される。
図1〜
図3に示すように、光起電ジャンクションボックスは主として、基部110とカバー120とを備える。基部は、電子要素111および112を受容するための、受容チャンバを有する。カバー120は基部110上に設けられ、基部110の受容チャンバの開口部を開閉するように適合される。
【0023】
図1〜
図3に示すように、本開示の例示の実施形態では、カバー120の周縁部と基部110の受容チャンバの開口部の周縁部との間に、複数の換気孔121が形成されて、基部110の受容チャンバは、換気孔121を介して外部雰囲気と連通している。このようにして、
図3および
図6に示すように、換気孔121を介して、外部の冷たい空気を光起電ジャンクションボックスの中に入れることができ、また換気孔121を介して、光起電ジャンクションボックスの内側の熱い空気を外側に短時間で放出することができる。このようにして、
図6において矢印で示されるように、換気孔121を通して、光起電ジャンクションボックス100における対流の様式で空気を循環させることができる。また動作中にダイオードによって生成される熱を、光起電ジャンクションボックスから外に素早く排出することができ、このことにより、光起電ジャンクションボックスの温度が下がり、ダイオードの耐用年数が伸び、光電変換効率が改善される。
【0024】
図4は、
図1に示すような光起電ジャンクションボックス100の基部110の概略斜視図を示す。また
図5は、
図1に示すような光起電ジャンクションボックス100のカバー120の概略斜視図を示す。
【0025】
本開示の実施形態では、カバー120の周縁部および/または基部110の受容チャンバの開口部の周縁部上に、複数の換気孔121を形成することができる。
【0026】
製造を容易にするために、示される実施形態では、
図4および
図5に示すように、換気孔121は、カバー120の周縁部上にのみ形成される。示される実施形態では、換気孔121は、半円形
状の孔として形成される。
【0027】
図4および
図6に示すように、示される実施形態では、既出の電子要素111および112は、基部110の受容チャンバ内に受容される導電端子111、および2つの隣接する導電端子111間に接続されるダイオード112を備える。
【0028】
本開示の実施形態では、
図4に示すように、ダイオード112は、表面実装技術(SMT)によって導電端子111上にはんだ付けされるように適合される。
【0029】
図6に示すように、本開示の例示の実施形態では、電子要素111および112は、注入封止材によって封止される。この注入封止材は、受容チャンバ内に、受容チャンバ内を空気が流れることができるように、カバー120から所定の距離だけ距離を置いて注入される。
【0030】
図1、
図4、および
図5に示すように、本開示の例示の実施形態では、カバー120は、スナップ嵌合によって基部100に装着される。
【0031】
示される実施形態では、
図1、
図4、および
図5に示すように、カバー120は、弾性のピン128を備えて形成され、基部110は、スロット118を備えて形成される。ピン128は、スナップ嵌合によってスロット118と係合するように適合される。
【0032】
本開示について付属の図面を参照して記載したが、付属の図面において開示される実施形態は、本開示の好ましい実施形態について例示的に記載することを意図しており、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0033】
本開示の一般的概念のいくつかの例示の実施形態が示され記載されたが、これらの実施形態において、本開示の原理および精神から逸脱することなく、様々な変更または修正がなされ得ることが、当業者には理解されるであろう。本開示の範囲は、特許請求の範囲およびそれらの均等物において規定される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「備える」または「有する」という用語は、他の要素またはステップを除外しないものとして理解されるべきであり、また、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、複数の要素またはステップを除外しないものとして理解されるべきである。さらに、請求項におけるどのような参照符号も、本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。