(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施の形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面に関して、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて各部の幅、厚さ、形状等を模式的に表す場合があるが、それら模式的な図は一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同一又は類似の要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0012】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0013】
なお、本明細書中において、図面を説明する際の「上」、「下」などの表現は、着目する構造体と他の構造体との相対的な位置関係を表現している。本明細書中では、側面視において、後述する絶縁表面からバンクに向かう方向を「上」と定義し、その逆の方向を「下」と定義する。本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の構成を示した概略図であり、表示装置100を平面視した場合における概略構成を示している。本明細書では、表示装置100を画面(表示領域)に垂直な方向から見た様子を「平面視」と呼ぶ。
【0015】
図1に示すように、表示装置100は、絶縁表面上に形成された、表示領域103と、走査線駆動回路104と、データ線駆動回路105と、ドライバIC106と、を有する。ドライバIC106は、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路105に信号を与える制御部として機能する。データ線駆動回路105は、ドライバIC106内に組み込まれていてもよい。また、ドライバIC106は、フレキシブルプリント基板108上に設けて外付けされているが、第1基板101上に配置してもよい。フレキシブルプリント基板は、周辺領域110に設けられた端子107と接続される。
【0016】
ここで、絶縁表面は、第1基板101の表面である。第1基板101は、その表面上に設けられる画素電極や絶縁層などの各層を支持する。なお、第1基板101は、それ自体が絶縁性材料からなり、絶縁表面を有していても良いし、第1基板101上に別途絶縁膜を形成して絶縁表面を形成しても良い。絶縁表面が得られる限りにおいて、第1基板101の材質や、絶縁膜を形成する材料は特に限定しない。
【0017】
図1に示す表示領域103には、複数の画素109がマトリクス状に配置される。各画素109は、後述する画素電極と、該画素電極の一部(アノード)、該画素電極上に積層された発光層を含む有機層(発光部)及び陰極(カソード)からなる発光素子と、を含む。各画素109には、データ線駆動回路105から画像データに応じたデータ信号が与えられる。それらデータ信号に従って、各画素109に設けられた画素電極に電気的に接続されたトランジスタを駆動し、画像データに応じた画面表示を行うことができる。トランジスタとしては、典型的には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を用いることができる。但し、薄膜トランジスタに限らず、電流制御機能を備える素子であれば、如何なる素子を用いても良い。
【0018】
図1に示すように、表示領域103上に第1無機絶縁層131が設けられている。第1無機絶縁層131は、発光素子に水や酸素が侵入することを防止するための封止膜として機能する。第1無機絶縁層131は、表示領域103の外側の周辺領域110に、端部を有する。第1無機絶縁層131上に封止膜保護層134が設けられている。封止膜保護層134は、表示領域103の外側の周辺領域110において、第1無機絶縁層131の端部の外側に、端部を有する。封止膜保護層134上に、粘着材135を有する。粘着材135は、封止膜保護層134の端部とは重ならない。
【0019】
図2は、第1実施形態の表示装置100における画素の構成の一例を示す図である。具体的には、
図1に示した表示領域103をA1−A2線で切断した断面の構成を示す図である。
図2に、表示領域103の一部として、3つの発光素子130の断面を示す。なお、
図2では、3つの発光素子130について例示しているが、実際には、表示領域103では、数百万個以上の発光素子が画素に対応してマトリクス状に配置されている。
【0020】
図2に示すように、表示装置100は、第1基板101、第2基板112、及び対向基板102を有する。第1基板101、第2基板112、及び対向基板102として、ガラス基板、石英基板、フレキシブル基板(ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、環状オレフィン・コポリマー、シクロオレフィンポリマー、その他の可撓性を有する樹脂基板)を用いることができる。第1基板101、第2基板112、及び対向基板102が透光性を有する必要がない場合には、金属基板、セラミックス基板、半導体基板を用いることも可能である。本実施形態では、第1基板101としてポリイミドを用い、第2基板112及び対向基板102としてポリエチレンテレフタラートを用いる場合について説明する。
【0021】
第1基板101上には、下地膜113が設けられる。下地膜113は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機材料で構成される絶縁層である。下地膜113は、単層に限定されるわけではなく、例えば、酸化シリコン層と窒化シリコン層とを組み合わせた積層構造を有してもよい。この構成は、第1基板101との密着性や、後述するトランジスタ120に対するガスバリア性を考慮して適宜決定すれば良い。
【0022】
下地膜113上には、トランジスタ120が設けられる。トランジスタ120の構造は、トップゲート型であってもボトムゲート型であってもよい。本実施形態では、トランジスタ120は、下地膜113上に設けられた半導体層114、半導体層114を覆うゲート絶縁膜115、ゲート絶縁膜115上に設けられたゲート電極116を含む。また、トランジスタ120上には、ゲート電極116を覆う層間絶縁膜122、層間絶縁膜122上に設けられ、それぞれ半導体層114に接続されたソース電極又はドレイン電極117、ソース電極又はドレイン電極118が設けられている。なお、本実施形態では、層間絶縁膜122が単層構造を有している例を説明しているが、層間絶縁膜122は積層構造を有していてもよい。
【0023】
なお、トランジスタ120を構成する各層の材料は、公知の材料を用いればよく、特に限定はない。例えば、半導体層114としては、一般的にはポリシリコン、アモルファスシリコン又は酸化物半導体を用いることができる。ゲート絶縁膜115としては、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いることができる。ゲート電極116は、銅、モリブデン、タンタル、タングステン、アルミニウムなどの金属材料で構成される。層間絶縁膜122としては、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いることができる。ソース電極又はドレイン電極117、ソース電極又はドレイン電極118は、それぞれ銅、チタン、モリブデン、アルミニウムなどの金属材料で構成される。
【0024】
なお、
図2には図示しないが、ゲート電極116と同じ層には、ゲート電極116を構成する金属材料と同一の金属材料で構成された第1配線を設けることができる。第1配線は、例えば、走査線駆動回路104によって駆動される走査線等として設けることができる。また、
図2には図示しないが、ソース電極又はドレイン電極117、ソース電極又はドレイン電極118と同じ層には、第1配線と交差する方向に延在する第2配線を設けることができる。該第2配線は、例えば、データ線駆動回路105によって駆動されるデータ線等として設けることができる。
【0025】
トランジスタ120上には、平坦化膜123が設けられる。平坦化膜123は、有機樹脂材料を含んで構成される。有機樹脂材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、エポキシ等の公知の有機樹脂材料を用いることができる。これらの材料は、溶液塗布法により膜形成が可能であり、平坦化効果が高いという特長がある。特に図示しないが、平坦化膜123は、単層構造に限定されず、有機樹脂材料を含む層と無機絶縁層との積層構造を有してもよい。
【0026】
平坦化膜123は、ソース電極又はドレイン電極118の一部を露出させるコンタクトホールを有する。コンタクトホールは、後述する画素電極125とソース電極又はドレイン電極118とを電気的に接続するための開口部である。したがって、コンタクトホールは、ソース電極又はドレイン電極118の一部に重畳して設けられる。コンタクトホールの底面では、ソース電極又はドレイン電極118が露出される。
【0027】
平坦化膜123上には、保護膜124が設けられる。保護膜124は、平坦化膜123に形成されたコンタクトホールに重畳する。保護膜124は、水分や酸素に対するバリア機能を有することが好ましく、例えば、窒化シリコン膜や酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いて形成される。
【0028】
保護膜124上には、画素電極125が設けられる。画素電極125は、平坦化膜123及び保護膜124が有するコンタクトホールに重畳し、コンタクトホールの底面で露出されたソース電極又はドレイン電極118と電気的に接続する。本実施形態の表示装置100において、画素電極125は、発光素子130を構成する陽極(アノード)として機能する。画素電極125は、トップエミッション型であるかボトムエミッション型であるかで異なる構成とする。例えば、トップエミッション型である場合、画素電極125として反射率の高い金属膜を用いるか、酸化インジウム系透明導電膜(例えばITO)や酸化亜鉛系透明導電膜(例えばIZO、ZnO)といった仕事関数の高い透明導電膜と金属膜との積層構造を用いる。逆に、ボトムエミッション型である場合、画素電極125として上述した透明導電膜を用いる。本実施形態では、トップエミッション型の有機EL表示装置を例に挙げて説明する。画素電極125の端部は、後述する第1絶縁層126によって覆われている。
【0029】
画素電極125上には、有機樹脂材料で構成される第1絶縁層126が設けられる。有機樹脂材料としては、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系もしくはシロキサン系といった公知の樹脂材料を用いることができる。第1絶縁層126は、画素電極125上の一部に開口部を有する。第1絶縁層126は、互いに隣接する画素電極125の間に、画素電極125の端部(エッジ部)を覆うように設けられ、隣接する画素電極125を離隔する部材として機能する。このため、第1絶縁層126は、一般的に「隔壁」、「バンク」とも呼ばれる。この第1絶縁層126から露出された画素電極125の一部が、発光素子130の発光領域となる。第1絶縁層126の開口部は、内壁がテーパー形状となるようにしておくことが好ましい。これにより後述する発光層の形成時に、画素電極125の端部におけるカバレッジ不良を低減することができる。第1絶縁層126は、画素電極125の端部を覆うだけでなく、平坦化膜123及び保護膜124が有するコンタクトホールに起因する凹部を埋める充填材として機能させてもよい。
【0030】
画素電極125上には、有機層127が設けられる。有機層127は、少なくとも有機材料で構成される発光層を有し、発光素子130の発光部として機能する。有機層127には、発光層以外に、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層といった各種の電荷輸送層も含まれ得る。有機層127は、発光領域を覆うように、即ち、発光領域における第1絶縁層126の開口部及び第1絶縁層126の開口部を覆うように設けられる。
【0031】
なお、本実施形態では、所望の色の光を発する発光層を有機層127に設け、各画素電極125上に異なる発光層を有する有機層127を形成することで、RGBの各色を表示する構成とする。つまり、本実施形態において、有機層127の発光層は、隣接する画素電極125の間では不連続である。また、各種の電荷輸送層は、隣接する画素電極125の間では連続である。有機層127には、公知の構造や公知の材料を用いることが可能であり、特に本実施形態の構成に限定されるものではない。また、有機層127は、白色光を発する発光層を有し、カラーフィルタを通してRGBの各色を表示してもよい。この場合、有機層127は、第1絶縁層126上にも設けられてもよい。
【0032】
有機層127上及び第1絶縁層126上には、対向電極128が設けられる。対向電極128は、発光素子130を構成する陰極(カソード)として機能する。本実施形態の表示装置100は、トップエミッション型であるため、対向電極128としては透明電極を用いる。透明電極を構成する薄膜としては、MgAg薄膜もしくは透明導電膜(ITOやIZO)を用いる。対向電極128は、各画素109間を跨いで第1絶縁層126上にも設けられる。対向電極128は、表示領域103の端部付近の周辺領域において下層の導電層を介して外部端子へと電気的に接続される。上述したように、本実施形態では、第1絶縁層126から露出した画素電極125の一部(アノード)、有機層127(発光部)及び対向電極128(カソード)によって発光素子130が構成される。
【0033】
図2に示すように、表示領域103上に第1無機絶縁層131を有する。第1無機絶縁層131は、発光素子130に水や酸素が侵入することを防止するための封止膜として機能する。表示領域103上に第1無機絶縁層131を設けることにより、発光素子130に水や酸素が侵入することを防止して、表示装置の信頼性を向上させることができる。第1無機絶縁層131として、例えば、窒化シリコン(SixNy)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlxOy)、窒化アルミニウム(AlxNy)、酸化窒化アルミニウム(AlxOyNz))、窒化酸化アルミニウム (AlxNyOz)等の膜などを用いることができる(x、y、zは任意)。
【0034】
第1無機絶縁層131上には、封止膜保護層134が設けられている。封止膜保護層134は、第1基板101と対向基板102との貼り合わせの際に、封止膜(
図1及び
図2では、第1無機絶縁層131)にダメージが生じることを防止するために設ける。封止膜保護層134の成膜方法としては、まず、インクジェット法やディスペンサ法により、有機樹脂を塗布する。その後、紫外線や熱によって、有機樹脂を硬化させることにより、封止膜保護層134を形成する。封止膜保護層134としては、アクリル、エポキシ等を用いることができる。インクジェット法やディスペンサ法を用いることにより、第1無機絶縁層131上に有機樹脂を塗布する際に、封止膜にダメージが生じることを防止することができる。
【0035】
以上説明した第2基板112から封止膜保護層134までをまとめて、本実施形態ではアレイ基板と呼ぶ。
【0036】
封止膜保護層134上には、粘着材135が設けられている。粘着材135は、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系の粘着材を用いることができる。また、粘着材135には、カルシウムやゼオライトなどの吸水物質が含まれていてもよい。粘着材135に吸水物質が含まれることにより、表示装置100の内部に水分が侵入した場合であっても、発光素子130に水分が到達することを遅らせることができる。また、粘着材135には、第1基板101と対向基板102との間の間隙を確保するためにスペーサを設けてもよい。このようなスペーサは、粘着材135に混ぜてもよいし、第1基板101上に樹脂等により形成してもよい。
【0037】
対向基板102には、例えば、平坦化を兼ねてオーバーコート層が設けられてもよい。有機層127が白色光を出射する場合、対向基板102には、主面(第1基板101に対向する面)にRGBの各色にそれぞれ対応するカラーフィルタ、及び、カラーフィルタ間に設けられたブラックマトリクスが設けられていてもよい。対向基板102側にカラーフィルタを形成しない場合は、例えば、封止膜又は封止膜保護層134上などに直接カラーフィルタを形成し、その上から粘着材135を形成すればよい。また、対向基板102の裏面(表示面側)には、偏光板138が設けられている。
【0038】
図3に、
図1に示すB1−B2線に沿った断面図を示す。具体的には、走査線駆動回路 104と、表示領域103の外側の周辺領域110における断面図である。
【0039】
図3において、第2基板112上に第1基板101が設けられている。第1基板101上に、下地膜113を介してトランジスタ140及びトランジスタ150が設けられている。トランジスタ140及びトランジスタ150を含む複数のトランジスタによって走査線駆動回路104が構成される。なお、トランジスタ140及びトランジスタ150は、同じ極性を有していてもよいし、異なる極性を有するCMOS構造であってもよい。トランジスタ140及びトランジスタ150上には、表示領域103と同様に、層間絶縁膜122が形成されている。層間絶縁膜122にはコンタクトホールが形成されており、コンタクトホールを介してソース電極又はドレイン電極117、118が、トランジスタ140の半導体層114と接続されている。また、周辺領域110において、層間絶縁膜122上に、配線144が設けられている。配線144は、ソース電極又はドレイン電極117、118と同じ膜から形成されている。
【0040】
走査線駆動回路104において、層間絶縁膜122上に、平坦化膜123が設けられている。また、周辺領域110において、平坦化膜123は端部を有している。また、周辺領域110において、層間絶縁膜122上に、第1凸部142が設けられている。第1凸部142は、平坦化膜123と同じ膜から形成される。
【0041】
平坦化膜123上に、保護膜124が設けられている。保護膜124は、平坦化膜123の端部に接して設けられている。保護膜124は、水分や酸素に対するバリア機能を有することが好ましい。保護膜124を、平坦化膜123の端部に接して設けることにより、平坦化膜123の端部から水分や酸素が侵入することを防止することができる。また、保護膜124を、層間絶縁膜122や配線144と接して設けることにより、保護膜124と層間絶縁膜122の隙間から水分や酸素が侵入することを防止することができる。
【0042】
保護膜124には開口部が設けられ、配線144が開口部を介して電極145と接続される。電極145は、発光素子130が有する画素電極125と同じ膜から形成される。保護膜124及び電極145上に、第1絶縁層146が設けられている。第1絶縁層146は、平坦化膜123と重なる領域に端部を有する。また、第1凸部142と重なる領域に、保護膜124を介して第2凸部143が設けられている。第1絶縁層146及び第2凸部143は、第1絶縁層126と同じ膜から形成される。
【0043】
第1絶縁層146上には、対向電極128が設けられている。対向電極128は、表示領域103及び走査線駆動回路104の全面を覆うように形成されている。そして、対向電極128が、電極145と接続された箇所が、陰極コンタクトとなる。また、電極145は、保護膜124に形成された開口部を介して配線144と接続される。陰極コンタクトは、陰極抵抗の上昇を防ぐために、周辺領域110において表示領域103及び走査線駆動回路104を囲むように設けられている。また、配線144も同様に、周辺領域110において表示領域103及び走査線駆動回路104を囲むように設けられている。この陰極コンタクトは断続的に複数配置されることで、表示領域103および走査線駆動回路104を囲むようになっていてもよい。なお、対向電極128と電極145との陰極コンタクトを、周辺領域110に設ける例を示したが、表示領域103と走査線駆動回路104との間の領域に設けてもよい。また、対向電極128を、第1絶縁層146の端部と接して設けることにより、第1絶縁層126の端部から水分や酸素が侵入することを防止することができる。
【0044】
保護膜124や対向電極128上には、封止膜として第1無機絶縁層131が設けられている。第1無機絶縁層131は、表示領域103の発光素子130に、水分や酸素が侵入することを防止するために設ける。第1無機絶縁層131は、周辺領域110において、保護膜124と接して設けられている。第1無機絶縁層131と保護膜124とは、それぞれ無機絶縁材料で形成されているため、密着性を向上させることができる。また、保護膜124は、平坦化膜123の端部及び第1絶縁層146の端部を覆うように設けられている。水分や酸素の侵入経路となる有機樹脂で形成された平坦化膜123の端部及び第1絶縁層146の端部を、第1無機絶縁層131で覆うことが好ましい。
【0045】
第1無機絶縁層131上には、封止膜保護層134が設けられている。封止膜保護層134は、少なくとも平坦化膜123の端部及び第1絶縁層146の端部を覆うことが好ましい。平坦化膜123の端部及び第1絶縁層146の端部の上方に、異物が存在する場合、対向基板102を貼り合わせる際に、第1無機絶縁層131にダメージが入りやすくなるためである。第1無機絶縁層131に生じたダメージから、水や酸素が侵入するすると、発光素子130の劣化につながる。封止膜保護層134は、保護膜124の端部及び第1無機絶縁層131の端部に接して設けられている。封止膜保護層134の厚さは、1μm以上10μm以下とすることが好ましい。また、封止膜保護層134上に設けられる粘着材135は、封止膜保護層134の端部と重ならない。
【0046】
従来の表示装置では、発光素子が形成された基板と、対向基板とを接着材を介して貼り合わせる際に、異物を挟み込んでしまうと、貼り合わせたときの圧力により、封止膜にダメージが生じるという問題があった。特に、平坦化膜123や第1絶縁層126上において、異物が存在すると、封止膜にダメージが生じやすくなる。封止膜にダメージが生じると、ダメージから水分や酸素が侵入し、発光素子に到達すると、発光素子が劣化するおそれがあった。また、発光素子が劣化すると、表示装置の信頼性が低下してしまうという問題があった。
【0047】
図3に示すように、封止膜として機能する第1無機絶縁層131上に、封止膜保護層134を設ける。これにより、第1基板101と、対向基板102とを粘着材135を介して貼り合わせる際に、異物を挟みこんだとしても、封止膜保護層134により、第1無機絶縁層131を異物から保護することができる。その結果、第1無機絶縁層131にダメージが生じることを防止することができるため、ダメージから水や酸素が侵入することを防止することができる。また、表示領域103の発光素子130の劣化を防止することができるため、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0048】
次に、
図4に、
図3に示す表示装置とは一部異なる構成を有する表示装置を示す。
図4に示す表示装置は、封止膜の構成が、
図3に示す表示装置に示す封止膜と一部異なっている。その他の構成については、
図3と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
図4に示す表示装置では、封止膜の構成が第1無機絶縁層131、有機絶縁層132、及び第2無機絶縁層133の三層構造となっている。第1無機絶縁層131は、
図3に示す第1無機絶縁層131と同様である。
図4では、第1無機絶縁層131上に、平坦化膜123の端部、第1絶縁層の端部を覆うように、有機絶縁層132が設けられている。また、第1無機絶縁層131及び有機絶縁層132上に、第2無機絶縁層133が設けられている。第2無機絶縁層133は、有機絶縁層132が形成されていない領域で、第1無機絶縁層131と接している。
【0050】
第1無機絶縁層131及び第2無機絶縁層133として、例えば、窒化シリコン(SixNy)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlxOy)、窒化アルミニウム(AlxNy)、酸化窒化アルミニウム(AlxOyNz))、窒化酸化アルミニウム (AlxNyOz)等の膜などを用いることができる(x、y、zは任意)。また、有機絶縁層132として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シロキサン樹脂などを用いることができる。なお、
図4では、封止膜として、第1無機絶縁層131、有機絶縁層132、及び第2無機絶縁層133の3層構造で形成する場合について示したがこれに限定されない。封止膜として、無機絶縁材料及び有機絶縁材料を組み合わせて、4層以上の膜で構成してもよい。
【0051】
図4に示すように、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133とが接することにより、密着性を向上させることができる。また、周辺領域110において、第1凸部及び第2凸部を設けることにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133とが接する領域を増加させることができる。これにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133とが剥がれることを防止することができる。また、表示装置の外部からの水や酸素の侵入を防止することができる。さらに、第1無機絶縁層131が、保護膜124と接して設けられることにより、第1無機絶縁層131と保護膜124との密着性を向上できるため、好ましい。
【0052】
図4に示すように、封止膜保護層134は、第1無機絶縁層131の端部及び第2無機絶縁層133の端部と接する領域を有する。また、封止膜保護層134上に設けられる粘着材135は、封止膜保護層134の端部と重ならない。
【0053】
図4に示すように、封止膜として機能する第1無機絶縁層131、有機絶縁層132、及び第2無機絶縁層133上に、封止膜保護層134を設ける。これにより、第1基板101と、対向基板102とを粘着材135を介して貼り合わせる際に、異物を挟みこんだとしても、封止膜保護層134により、第2無機絶縁層133を異物から保護することができる。その結果、第2無機絶縁層133にダメージが生じることを防止することができるため、ダメージから水や酸素が侵入することを防止することができる。また、表示領域103の発光素子130の劣化を防止することができるため、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0054】
また、第1基板101、第2基板112、及び対向基板102としてフレキシブルな材料を用いて、折り曲げ可能な表示装置とすることができる。この場合、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133との間に、有機絶縁層132を挟むことにより、表示装置の折り曲げによる応力を緩和することができる。これにより、表示装置の折り曲げによって封止膜からダメージが入り、水分や酸素が侵入することを防止することができる。その結果、表示領域103の発光素子130に水分や酸素が侵入することを防止することができるため、表示装置の信頼性を向上させることができる。尚、表示領域103において、各発光素子130上および第1絶縁層126上で、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133との間に、有機絶縁層132が挟まれる形態で封止膜が構成されるのは言うまでもない。
【0055】
[製造方法]
次に、
図4に示す表示装置100の製造方法について、
図5乃至
図7を参照して説明する。
図5乃至
図7は、走査線駆動回路104及び表示領域103の外側の周辺領域110の断面図である。
【0056】
まず、
図5に示すように、支持基板141上に形成された第1基板101上に下地膜113を形成する。本実施形態では、支持基板としてガラス基板を用い、第1基板101として、ポリイミドを用いる場合について説明する。次に、下地膜113上に、トランジスタ140及びトランジスタ150を形成する。次に、トランジスタ140及びトランジスタ150上に層間絶縁膜122を形成する。層間絶縁膜122に開口を形成し、層間絶縁膜122の開口を介して接続するソース電極又はドレイン電極を形成する。また、ソース電極又はドレイン電極117、118と同じ膜で、配線144を形成する。
【0057】
次に、層間絶縁膜122、ソース電極又はドレイン電極117、118上に、平坦化膜123を形成する。平坦化膜123は、走査線駆動回路104が形成される領域に形成する。また、平坦化膜123と同じ膜で、第1凸部142を形成する。
【0058】
次に、平坦化膜123及び第1凸部142上に保護膜124を形成する。保護膜124は、周辺領域110に存在する平坦化膜123の端部と、第1凸部142を覆うように、形成される。周辺領域110において、平坦化膜123の端部と保護膜124とが接することが好ましい。また、層間絶縁膜122と保護膜124とが接することが好ましい。平坦化膜123の端部と保護膜124とを接して設けることにより、平坦化膜123の端部から水や酸素が侵入することを防止することができる。
【0059】
次に、保護膜124に開口部を形成し、その後、保護膜124上に、電極145を形成する。電極145は、保護膜125の開口部を介して、配線144と接続される。電極145は、表示領域103における発光素子130の画素電極125と同じ膜により形成される。次に、電極145上に、第1絶縁層146を形成する。第1絶縁層146は、表示領域103における第1絶縁層126と同じ膜から形成される。また、周辺領域110において、第1凸部142上に保護膜124を介して第2凸部143が形成される。第2凸部143も、第1絶縁層126と同じ膜から形成される。次に、第1絶縁層146上に、対向電極128を形成する。対向電極128は、表示領域103及び走査線駆動回路104上に形成され、電極145と接続される。
【0060】
次に、保護膜124及び対向電極128上に、第1無機絶縁層131を形成する。次に、第1無機絶縁層131上に有機絶縁層132を形成する。次に、有機絶縁層132上に、第2無機絶縁層133を形成する。第1無機絶縁層131、有機絶縁層132、及び第2無機絶縁層133は、封止膜として機能する。
【0061】
次に、
図6に示すように、第2無機絶縁層133上に、封止膜保護層134を形成する。封止膜保護層134の成膜方法としては、まず、インクジェット法やディスペンサ法により、有機樹脂を塗布する。その後、紫外線や熱によって、有機樹脂を硬化させることにより、封止膜保護層134を形成する。封止膜保護層134としては、アクリル、エポキシ等を用いることができる。インクジェット法やディスペンサ法を用いることにより、第2無機絶縁層133上に有機樹脂を塗布する際に、第2無機絶縁層133にダメージが生じることを防止することができる。
【0062】
次に、
図7に示すように、粘着材135を介して、対向基板102と、第1基板101とを貼り合わせる。粘着材135としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系の粘着材を用いることができる。また、粘着材135には、カルシウムやゼオライトなどの吸水物質が含まれていてもよい。粘着材135に吸水物質が含まれることにより、表示装置100の内部に水分が侵入した場合であっても、発光素子130に水分が到達することを遅らせることができる。
【0063】
本明細書で開示する表示装置では、表示領域103上に設けられた封止膜上に、封止膜保護層134が設けられている。これにより、第1基板101と対向基板102とを粘着材135を介して貼り合わせる際に、異物を挟みこんだとしても、封止膜保護層134により、封止膜を異物から保護することができる。その結果、封止膜にダメージが生じることを防止することができるため、ダメージから水や酸素が侵入することを防止することができる。また、表示領域103の発光素子130の劣化を防止することができるため、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0064】
次に、支持基板141を介して、第1基板101にレーザを照射することにより、支持基板141から、第1基板101を剥離する。次に、第1基板101の裏面に、第2基板112を貼り合わせる。その後、対向基板102の裏面側に偏光板138を貼り付けることにより、
図4に示す表示装置100を製造することができる。
【0065】
(第2実施形態)
本実施形態では、実施形態1で説明した表示装置とは一部異なる構成を有する表示装置について、
図8及び
図9を参照して説明する。本実施形態では、アレイ基板に貼り合わせる対向基板の構造が、実施形態1と異なっている。また、封止膜と、封止膜保護層134と、対向基板102との配置に特徴がある。その他の構成については、他の実施の形態で示した表示装置の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態に係る表示装置200の構成を示した概略図であり、表示装置200を平面視した場合における概略構成を示している。
図8に示すように、表示領域103上には、第1無機絶縁層131が設けられている。また、第1無機絶縁層131は、表示領域103の外側の周辺領域110に、端部を有する。また、第1無機絶縁層131上に、封止膜保護層134が設けられている。ここで、
図1に示す表示装置100と異なる点は、封止膜保護層134の端部が、第1無機絶縁層131の端部よりも内側に位置する点である。また、粘着材135の端部は、封止膜保護層134の端部及び第1無機絶縁層131の端部の外側に位置している。
【0067】
図9に、
図8に示すC1−C2線に沿った断面図を示す。
図9に示す表示装置200では、アレイ基板に貼り合わせる基板に防湿フィルムが用いられている。防湿フィルムは、対向基板102にバリア層147を設け、さらに、防湿性が高い粘着材135を組み合わせたものである。バリア層147は、水分や酸素が透過することを防止できる機能を有することが好ましい。これにより、対向基板102の上方から表示装置内部に水や酸素が侵入することを防止することができる。バリア層147として、例えば、窒化シリコンや、酸化アルミニウムなどを用いることができる。また、粘着材135としては、アクリル系、エポキシ系、オレフィン系のうち、吸湿性の低い材料を用いることが好ましい。また、粘着材135には、吸水物質を含むことが好ましい。吸水物質としては、カルシウムやゼオライトなどが含まれる。粘着材135に吸水物質が含まれることにより、表示装置100の内部に水分が侵入した場合であっても、発光素子130に水分が到達することを遅らせることができる。粘着材135は、封止膜保護層134と比較して、防湿性が高いことが好ましい。これにより、表示装置300の外部から水や酸素が侵入したとしても、粘着材135において、水や酸素を吸収できる。その結果、水や酸素が発光素子130に到達することを防止することができる。
【0068】
また、周辺領域110において、第1無機絶縁層131は、第2無機絶縁層133と接する領域を有する。これにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133との密着性を向上させることができる。また、第1無機絶縁層131は、保護膜124と接する領域を有する。第1無機絶縁層131及び保護膜124は、それぞれ無機絶縁材料で形成されるため、密着性を向上させることができる。これにより、周辺領域110から、水や酸素が侵入することができるため、好ましい。また、周辺領域110において、第1凸部及び第2凸部を設けることにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133とが接する領域を増加させることができる。これにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133とが剥がれることを防止することができる。
【0069】
封止膜保護層134は、少なくとも平坦化膜123の端部及び第1絶縁層146の端部を覆うことが好ましい。平坦化膜123の端部及び第1絶縁層146の端部の上方に、異物が存在する場合、対向基板102を貼り合わせる際に、封止膜にダメージが入りやすくなるためである。封止膜に生じたダメージから、水や酸素が侵入するすると、発光素子130の劣化につながる。また、封止膜保護層134の端部は、粘着材135に覆われることが好ましい。これにより、封止膜保護層134の端部からも水や酸素が侵入することを防止することができる。また、第1無機絶縁層131の端部及び第2無機絶縁層133の端部も、防湿性が高い粘着材135に覆われることが好ましい。
【0070】
図9に示す表示装置では、表示領域103上に設けられた封止膜上に、封止膜保護層134が設けられている。これにより、第1基板101と対向基板102とを粘着材135を介して貼り合わせる際に、異物を挟みこんだとしても、封止膜保護層134により、封止膜を異物から保護することができる。その結果、封止膜にダメージが生じることを防止することができるため、ダメージから水や酸素が侵入することを防止することができる。また、表示領域103の発光素子130の劣化を防止することができるため、表示装置の信頼性を向上させることができる。更に、封止膜保護層134は有機絶縁層132の端部も覆うことが望ましい。第1基板101と対向基板102とを粘着材135を介して貼り合わせる際に、有機絶縁層132端部近辺において異物を挟みこんだとしても、封止膜保護層134により、封止膜を異物から保護することができるからである。封止膜保護層を設けることにより、異物により割れやすい有機絶縁層132上の第2無機絶縁層133が、割れることを防ぐことができる。
【0071】
また、第1基板101、第2基板112、及び対向基板102としてフレキシブルな材料を用いて、折り曲げ可能な表示装置とすることができる。この場合、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133との間に、有機絶縁層132を挟むことにより、表示装置の折り曲げによる応力を緩和することができる。これにより、表示装置の折り曲げによって封止膜からダメージが入り、水分や酸素が侵入することを防止することができる。その結果、表示領域103の発光素子130に水分や酸素が侵入することを防止することができるため、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0072】
(第3実施形態)
本実施形態では、他の実施形態で説明した表示装置とは一部異なる構成を有する表示装置について、
図10乃至
図14を参照して説明する。本実施形態では、封止膜上にタッチセンサを設ける構成について詳細に説明する。その他の構成については、他の実施形態で示した表示装置の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0073】
図10は、本発明の一実施形態に係る表示装置300の構成を示した概略図であり、表示装置300を平面視した場合における概略構成を示している。
図10に示す表示装置300には、表示領域103にオンセル型のタッチセンサ160が設けられている。タッチセンサ160は、第1導電層151、第2導電層152、及び配線153を有する。第1導電層151は、ひし形に形成された複数のパッドがy方向に直線状に連結されている。また、複数の第2導電層152は、それぞれひし形に形成され、配線153によって、x方向に直線状に連結されている。
【0074】
第1導電層151及び配線153は、表示領域103の外側の周辺領域110に引きまわされている。第1導電層151及び配線153は、端子157を介して、タッチパネル用FPC158と電気的に接続されている。また、タッチセンサ用ドライバIC156が、タッチセンサ用FPC158上に設けて外付けされている。タッチパネル用FPC158や端子157を設けず、フレキシブルプリント基板108上にタッチセンサ用ドライバIC156を設けて第1導電層151および配線153が端子107を介してタッチセンサ用ドライバIC156に接続される形態となってもよい。
【0075】
図11に、表示領域103の一部を拡大した平面視における図を示す。
図11には、複数の画素109がマトリクス状に配置されており、複数の画素109と重なるように、第1導電層151及び第2導電層152が設けられている。第1導電層151及び第2導電層152は、透明導電膜を用いて形成される。透明導電膜として、例えば、酸化インジウム系透明導電膜(例えばITO)や、酸化亜鉛系透明導電膜(例えばIZO、ZnO)を用いることができる。また、配線153は、銅、チタン、モリブデン、アルミニウムなどの金属材料を用いて単層又は積層して形成されている。配線153は、画素109の発光を遮光しないよう、画素109と画素109との間に配置されている。なお、
図11において、複数の第2導電層152を接続する配線153を、3本設ける構成を示しているが、配線153の本数は特に限定されない。
【0076】
図12に、
図11におけるE1−E2線に沿った断面図を示す。
図12には、複数の発光素子130の上方に、第2導電層152が形成されている図を示す。複数の発光素子130上には、封止膜として、第1無機絶縁層131、有機絶縁層132、及び第2無機絶縁層133が設けられている。第2無機絶縁層133上には、第2絶縁層154が設けられ、第2絶縁層154上には第2導電層152が設けられている。また、第2導電層152上に、第3絶縁層155が設けられており、第3絶縁層155上には封止膜保護層134が設けられている。尚、有機絶縁層132によりその下の層の凸凹が平坦化されるような形状であってもよく、その場合は有機絶縁層132よりも上層の各層は、平らに配置される。
【0077】
図13に、
図11におけるF1−F2線に沿った断面図を示す。なお、
図13では、第2無機絶縁層133よりも下に形成された層は、省略して図示している。
図13に示すように、第2無機絶縁層133上には、タッチセンサ160が設けられている。タッチセンサ160は、配線153、第1導電層151、第2導電層152、及び第2絶縁層154を有する。
【0078】
本実施形態における表示装置300の製造方法について
図13を参照して説明する。第1基板101上に、封止膜として機能する第1無機絶縁層131、有機絶縁層132、及び第2無機絶縁層133を形成する工程までは、他の実施形態における製造方法と同様である。
【0079】
まず、第2無機絶縁層133上に、配線153を形成する。配線153として、銅、チタン、モリブデン、アルミニウムなどの金属材料を用いて単層又は積層して形成する。配線153として、例えば、モリブデンとタングステンとの積層構造、モリブデンとアルミニウムとモリブデンの積層構造、チタンとアルミニウムとチタンの積層構造とすることができる。
【0080】
次に、配線153上に、第2絶縁層154を形成する。第2絶縁層154として、レジスト材や有機樹脂を用いて形成する。レジスト材や有機樹脂は、印刷法やインクジェット法により塗布した後、硬化させる。その後、第2絶縁層154に配線153の表面を露出させるコンタクトホールを形成する。
【0081】
次に、第2絶縁層154上に、透明導電膜を形成して、フォトリソグラフィー工程により加工することで、第1導電層151及び第2導電層152を形成する。このとき、第2導電層152は、配線153と第2絶縁層154のコンタクトホールを介して接続される。これにより、複数の第2導電層152を、配線153によって、x方向に直線状に連結することができる。また、第1導電層151は、ひし形に形成された複数のパッドがy方向に直線状に連結するように形成される。
【0082】
透明導電膜としては、酸化インジウム系透明導電膜(例えばITO)や酸化亜鉛系透明導電膜(例えばIZO、ZnO)を用いることができる。ここで、透明導電膜の成膜温度は、100℃未満とすることが好ましい。発光素子130上に成膜される透明導電膜の成膜温度を高くすると、発光素子130が有する発光層が劣化してしまうおそれがある。そのため、発光素子130が形成された後に、透明導電膜を成膜する場合には、上記の温度で成膜することが好ましい。これにより、発光素子130の熱による劣化を抑制することができる。
【0083】
次に、第1導電層151及び第2導電層152上に第3絶縁層155を形成する。第3絶縁層155は、レジスト材や有機樹脂を用いて形成される。レジスト材や有機樹脂は、印刷法やインクジェット法により塗布した後、硬化させる。
【0084】
次に、第3絶縁層155上に、封止膜保護層134を形成する。封止膜保護層134の形成方法については、他の実施形態と同様である。なお、第1導電層151及び第2導電層152上に、第3絶縁層155を形成せずに、封止膜保護層134を形成してもよい。次に、粘着材135を介して、対向基板102と第1基板101とを貼り合わせる。なお、粘着材135には、カルシウムやゼオライトなどの吸湿物質が含まれていてもよい。
【0085】
以上の工程により、
図10に示すタッチセンサ160を有する表示装置300を製造することができる。
【0086】
本実施形態で示すように、本発明に係る表示装置において、表示領域103にオンセル型のタッチセンサを設けることができる。封止膜保護層の下にタッチセンサを配置することにより、アレイ基板と対向基板とを貼り合わせる際に、タッチセンサが破壊されることを防止することができる。
【0087】
ここで、タッチパネルの導電層として使用される透明導電膜の結晶粒径と、発光素子の陽極として使用される透明導電膜の結晶粒径と、を比較した結果について説明する。
図15に、タッチパネルの導電層として使用される透明導電膜の結晶粒径の模式図を示す。また、
図16に、発光素子の陽極として使用される透明導電膜の結晶粒径の模式図を示す。
【0088】
本実施形態で説明したように、タッチパネルの導電層として使用される透明導電膜は、発光素子の発光層上に成膜される。発光層が熱によって劣化してしまうのを防止するため、タッチパネルの導電層として使用される透明導電膜の成膜温度は、100℃未満とすることが好ましい。しかしながら、100℃未満では、透明導電膜の結晶化が進まないため、
図15に示すように、平均的な透明導電膜の結晶粒径が小さくなってしまう。これに対し、発光素子の陽極として使用される透明導電膜は、発光層の成膜前に形成される。よって、高温成膜(例えば、230℃)が可能となるため、透明導電膜の結晶化が進み、
図16に示すように、平均的な透明導電膜の結晶粒径を大きくすることができる。
【0089】
以上説明した通り、タッチパネルの導電層として使用される透明導電膜の結晶粒径は、発光素子の陽極として使用される透明導電膜の結晶粒径よりも小さくなる。
【0090】
図14に、
図10におけるD1−D2線に沿った断面図を示す。
図14に示す断面図は、走査線駆動回路104及び周辺領域110の断面図である。
図14に示すように、第2無機絶縁層133上に、配線153が設けられている。配線153は、周辺領域110において引き回され、
図10に示す端子157に接続される。配線153は、保護膜124の端部、第1無機絶縁層131の端部、及び第2無機絶縁層133の端部に接して設けられてている。また、配線153上には、第2絶縁層154が設けられている。
【0091】
また、他の実施形態と同様に、周辺領域110において、第1無機絶縁層131は、第2無機絶縁層133と接する領域を有する。これにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133との密着性を向上させることができる。また、第1無機絶縁層131は、保護膜124と接する領域を有する。第1無機絶縁層131及び保護膜124は、それぞれ無機絶縁材料で形成されるため、密着性を向上させることができる。これにより、周辺領域110から、水や酸素が侵入することを防止できるため、好ましい。また、周辺領域110において、第1凸部及び第2凸部を設けることにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133とが接する領域を増加させることができる。これにより、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133とが剥がれることを防止することができる。
【0092】
また、第1基板101、第2基板112、及び対向基板102としてフレキシブルな材料を用いて、折り曲げ可能な表示装置とすることができる。この場合、第1無機絶縁層131と第2無機絶縁層133との間に、有機絶縁層132を挟むことにより、表示装置の折り曲げによる応力を緩和することができる。これにより、表示装置の折り曲げによって封止膜からダメージが入り、水分や酸素が侵入することを防止することができる。その結果、表示領域103の発光素子130に水分や酸素が侵入することを防止することができるため、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0093】
本発明の実施形態及び実施例として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。また、上述した各実施形態は、技術的矛盾の生じない範囲において、相互に組み合わせることが可能である。
【0094】
また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。