特許第6785628号(P6785628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6785628樹脂潤滑用グリース組成物、樹脂歯車装置及び車載用空調処理システムのアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785628
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】樹脂潤滑用グリース組成物、樹脂歯車装置及び車載用空調処理システムのアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/00 20060101AFI20201109BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20201109BHJP
   C10M 107/02 20060101ALN20201109BHJP
   C10M 117/02 20060101ALN20201109BHJP
   C10M 143/12 20060101ALN20201109BHJP
   C10M 147/04 20060101ALN20201109BHJP
   C10M 147/02 20060101ALN20201109BHJP
   C10M 133/42 20060101ALN20201109BHJP
   C10M 137/04 20060101ALN20201109BHJP
   C10N 10/02 20060101ALN20201109BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20201109BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20201109BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20201109BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20201109BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20201109BHJP
【FI】
   C10M169/00
   F16H57/04 Z
   !C10M107/02
   !C10M117/02
   !C10M143/12
   !C10M147/04
   !C10M147/02
   !C10M133/42
   !C10M137/04
   C10N10:02
   C10N20:02
   C10N30:00 Z
   C10N40:02
   C10N40:04
   C10N50:10
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-233637(P2016-233637)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-90680(P2018-90680A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐木 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅井 佑介
【審査官】 三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−247971(JP,A)
【文献】 特開2014−167075(JP,A)
【文献】 特開2014−194276(JP,A)
【文献】 特開2006−044306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
C10N 10/00− 80/00
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリアルファオレフィン油からなる100℃における動粘度4〜8mm/sである基油、
(b)リチウム石鹸からなる増ちょう剤、
(c)スチレンイソプレン樹脂からなる増粘剤、及び
(d)テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体の少なくとも一方を含む、固体潤滑剤
を含有する、樹脂潤滑用グリース組成物。
【請求項2】
さらに(e)耐摩耗剤を含有する、請求項1に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。
【請求項3】
前記(d)固体潤滑剤は、さらにメラミンシアヌレートを含む、請求項1に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。
【請求項4】
前記(d)固体潤滑剤は、さらにポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項3に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。
【請求項5】
前記(d)固体潤滑剤であるテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体の少なくとも一方を、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。
【請求項6】
前記(d)固体潤滑剤は、少なくともテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。
【請求項7】
前記(e)耐摩耗剤は、トリクレジルホスフェートを含むものであり、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、トリクレジルホスフェートを0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項2に記載の樹脂潤滑用グリース組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のグリース組成物が塗布された樹脂歯車装置。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂歯車装置を有するアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂潤滑用グリース組成物、すなわち、樹脂と樹脂、樹脂と金属などの他の材料との間の潤滑性を良好にするグリース組成物に関し、特に車載用空調処理(「Heating Ventilation and Air Conditioning」。「HVAC」とも言う。)システムのアクチュエータに用いる樹脂歯車装置に対して好適に適用できる、樹脂潤滑用グリース組成物、並びに該樹脂潤滑用グリース組成物を塗布した樹脂歯車装置、並びに該樹脂歯車装置を備えたアクチュエータに関する。ここで樹脂歯車装置とは樹脂歯車、すなわち樹脂製の歯車を少なくとも一つ以上備えた装置をいう。
【背景技術】
【0002】
樹脂(プラスチック)製の歯車や摺動部材は、軽く、薬品に侵されにくく、錆びず、また運転騒音が小さく、自己潤滑性を有するという特徴を有する。加えて大量生産に適し、低いコストで生産できる等の優れた特徴を有していることから、近年、自動車部品、家電製品、電子情報機器、OA機器等の各種機械などに幅広く使用されている。
こうした樹脂製の部材表面に潤滑性を付与することを目的として、種々のグリース組成物の提案がある。例えば基油、増ちょう剤、フッ素系界面活性剤及びスチレン系ブロック共重合体を含有するグリース組成物(特許文献1)、特定のポリマー材料を用いることで油分の分離の防止を図った非油分離性潤滑剤組成物(特許文献2)、高温条件下における油の分離を抑制したグリース組成物(特許文献3)、さらには、潤滑機能(動摩擦係数が低い)とともに静止機能(静摩擦係数が高い)を併せ持つべく、固体潤滑剤としてメラミンシアヌレート(MCA)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を併用するグリース組成物(特許文献4)等の提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−297422号公報
【特許文献2】特開2002−327188号公報
【特許文献3】特開2012−177105号公報
【特許文献4】特許第5450935号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載HVAC用のアクチュエータに使用される樹脂歯車においても、金属歯車と同様に歯車の噛み合せ部及び歯車軸受部にグリースが用いられている。ただし車載用であるため、潤滑性能は当然のことながら、高速−高荷重環境下においても十分な性能を発揮できるグリース組成物に対する要求がある。すなわち、HVAC用のアクチュエータは、多数の歯車(ギヤ)で構成され、多段減速することでトルクを増加させる機構を有してなるが、昨今の製品の軽薄短小に伴い、歯車の点数を減らす傾向があり、それに伴い、モータには更なる高速回転が求められ、そして歯車と歯車の間には高荷重の負荷がかかることとなる。そのため、適用されるグリースにも応力がかかり、こうした環境下におけるグリースの潤滑特性が重要となる。
しかしこれまで、非粘着性や滑り性に優れる点から固体潤滑剤として使用されてきたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、耐荷重性が低く、ポリテトラフルオロエチレンのみを固体潤滑剤として配合したグリース組成物は、高速−高荷重環境下ではトルクの伝達効率が低下するなどの問題がみられる。
【0005】
そこで本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、樹脂(プラスチック)歯車装置等に対して、潤滑剤として要求される潤滑特性のみならず、特に高速−高荷重環境下におけるトルクの伝達効率の向上を図れるグリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、固体潤滑剤として、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)あるいはテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)を採用することにより、トルク伝達効率を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、(a)ポリアルファオレフィン油からなる100℃における動粘度4〜8mm/sである基油、
(b)リチウム石鹸からなる増ちょう剤、
(c)スチレンイソプレン樹脂からなる増粘剤、及び
(d)テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体の少なくとも一方を含む、固体潤滑剤
を含有する、樹脂潤滑用グリース組成物に関する。
【0008】
前記(d)固体潤滑剤は、さらにメラミンシアヌレートを含んでいてもよく、この場合にさらにポリテトラフルオロエチレンを含んでいてもよい。
前記(d)固体潤滑剤であるテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体の少なくとも一方は、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、2質量%乃至10質量%の割合で含むことが好ましい。
また特に前記(d)固体潤滑剤は、少なくともテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体を含むことが好適である。
【0009】
好ましい態様において、さらに本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は(e)耐摩耗剤を含有し、特にトリクレジルホスフェートを含むことが好ましい。このとき、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、トリクレジルホスフェートを0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことが好適である。
【0010】
さらに本発明は、前記グリース組成物が塗布された樹脂歯車装置、並びに該樹脂歯車装置を有するアクチュエータも対象とする。
【0011】
また本発明の別の形態として、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる100℃における動粘度4〜8mm/sである基油、
(b)リチウム石鹸からなる増ちょう剤、
(c)スチレンイソプレン樹脂からなる増粘剤、及び
(d)テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体と、
メラミンシアヌレート及びテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくとも一方、とを含む、固体潤滑剤
を含有する、樹脂潤滑用グリース組成物が挙げられる。
好ましい態様において、さらに(e)耐摩耗剤を含有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、樹脂製の歯車や軸受部等の摺動部品に対して優れた潤滑特性を提供するのみならず、高速−高荷重環境下においてトルクの伝達効率を優
れたものとすることができる。
このため本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、特に自動車のアクチュエータの軸受等の摺動部に好適に使用可能である。
また本発明によれば、上述の構成を有する樹脂潤滑用グリース組成物を樹脂歯車装置に用いることにより、高速−高荷重環境下においてトルクの伝達効率に優れる樹脂歯車装置、そして該樹脂歯車装置を具えた、特にHVACシステムに適するアクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明が対象とするアクチュエータの一例であって、その要部構造を説明する模式図である。
図2図2は、本発明が対象とするアクチュエータにおける多段歯車装置の一例であって、そのより詳細な模式図であり、図2(a)は多段歯車装置の正面図、図2(b)多段歯車装置の側面図(一部断面を含む)を示す。
図3図3は、実施例で実施したトルク伝達効率の測定に用いた装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、(a)基油、(b)増ちょう剤、(c)増粘剤、(d)固体潤滑剤、並びに所望により(e)耐摩耗剤を含有する。
【0015】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物に使用する(a)基油は、低粘度の合成炭化水素油を使用し、具体的にはポリアルファオレフィン油(以下、PAOとも称する)からなる。本発明において、上記PAOからなる基油は、100℃における動粘度が4〜8mm/sであるものを使用する。
本発明において、該基油の粘度が上記数値範囲より大きい場合、低温下におけるトルク性能が劣ることとなり、また上記数値範囲より小さい場合には、高温での蒸発量が増加するため好適でない。
【0016】
上記(a)基油は、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて70質量%乃至90質量%の割合で含むことが好ましく、例えば75質量%乃至90質量%の割合にて含む。
【0017】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は(b)増ちょう剤としてリチウム石鹸を使用する。
【0018】
上記(b)増ちょう剤は、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて3質量%乃至15質量%の割合で含むことが好ましく、例えば3質量%乃至10質量%の割合にて含むことが好ましい。
なお本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、高速−高荷重環境下における使用に適切なちょう度(混和ちょう度)となるように、上記(a)基油及び上記(b)増ちょう剤の配合量を適宜調整する。
例えば、前記(a)基油と(b)増ちょう剤の配合量を、質量割合にて94.0:6.0〜94.5:5.5の範囲に、あるいは94.0:6.0〜94.4:5.6の範囲に調整することができる。
【0019】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物において、(c)増粘剤は、グリース組成物に通常使用されるポリマー等を使用できるが、中でも増粘剤としての効果、並びにグリース組成物として使用した時の装置の低温起動性や耐久性等への効果等を考慮し、スチレンイソプレン樹脂を使用する。
【0020】
スチレンイソプレン樹脂としては、数平均分子量が100,000乃至200,000のものを好適に使用し得、分子量が高いものの方が増粘剤としての作用が大きいものとなる。
本発明で使用するスチレンイソプレン樹脂は上述の数平均分子量を有するものであれば特に限定されず好適に使用し得るが、具体例を挙げるとすれば、たとえばJSR(株)製JSR SIS 5200、同5405、同5505;ルーブリゾール(Lubrizol)社製Lubrizol(登録商標)7306、同7308、同7460;インフィニアムジャパン(株)製Infineum(登録商標)SV140、同SV150、同SV160;(株)クラレ製Septon(登録商標)1001、同1020などが挙げられる。
【0021】
上記(c)増粘剤は、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、0.5質量%乃至10質量%の割合で含むことが好ましく、例えば2質量%乃至8質量%の割合で含むことが好ましい。
【0022】
またこの他にも、増粘剤として液状イソプレンゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン等を併用することもできる。但し、高粘度を有するPAO100等のポリアルファオレフィン、或いはアルファオレフィンコポリマー(AOCP)等は、低温下における粘度上昇が懸念されるため使用を控えることが望ましい。
【0023】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物において、(d)固体潤滑剤としてテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)の少なくとも一方を含む。
本発明では、固体潤滑剤として使用されてきたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に替えて、PTFEより機械強度(圧縮強さ)が大きい上記テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)を採用することにより、高速−高荷重環境下におけるトルクの伝達効率を向上できるという効果を実現できる。
特に本発明の効果を最も好適に発揮するという観点より、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体を少なくとも使用することが好ましい。
【0024】
これらテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)の少なくとも一方は、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、2質量%乃至10質量%の割合で含むことが好ましい。好ましくは、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)の一方を含む場合には、その一方の配合量が、そしてテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)とテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)の双方を含む場合には、双方の配合量の合計量が、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、いずれも2質量%乃至10質量%であることが好ましい。上記数値範囲より過少である場合には所望の効果が得られず、一方、過多に配合した場合にはグリース組成物が硬質化して、音響特性に悪影響を与える虞がある。
【0025】
さらに本発明の効果を損なわない範囲において、これらテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及び/又はテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)に加えて、(d)固体潤滑剤として、メラミンシアヌレート(MCA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を配合してもよい。好適な態様として、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)の少なくとも一方を
含む態様において、メラミンシアヌレート(MCA)をさらに含む態様、そしてメラミンシアヌレート(MCA)に加えてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む態様が挙げられる。
この場合、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)の一方又は双方と、メラミンシアヌレート(MCA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のいずれか一方又は双方との合計(好適には固体潤滑剤全量としての配合量)が、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、2質量%乃至10質量%の割合となるように、配合することが好ましい。そして、PFA、ETFE、MCA及びPTFEの合計に対して、MCA及びPTFEのいずれか一方又は双方を50質量%以下となるように配合することが好ましい。中でも、PTFEの配合割合は、PFA、ETFE、MCA及びPTFEの合計に対して20質量%以下とすることが好ましい。(d)固体潤滑剤におけるPTFEの割合を増加させると、トルクの伝達効率の向上効果が鈍いものとなり得る。
【0026】
なお一実施形態として、(d)固体潤滑剤として、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)と、メラミンシアヌレート(MCA)及びテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の少なくとも一方、とを含む態様とすることができる。
【0027】
さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、前述の固体潤滑剤に加えて、炭酸カルシウムや二硫化モリブデンなどの当該技術分野に既知の固体潤滑剤を配合してもよい。
【0028】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物において、さらに(e)耐摩耗剤を含むことが好ましい。耐摩耗剤は、リン酸エステル、高分子エステル、硫黄系添加剤等を挙げることができる。
上記リン酸エステルとしてはトリクレジルホスフェート(Tricresyl phosphate)、トリフェニルホスフェート(Triphenyl phosphate)、トリブチルホスフェート(Tributyl phosphate)、トリオクチルホスフェート(Triocyl phosphate)、トリオレイルホスフェート(Trioleyl phosphate)等が挙げられる。
上記高分子エステルとしては、例えば脂肪族1価カルボン酸及び2価カルボン酸と、多価アルコールとのエステルが挙げられる。上記高分子エステルの具体例としては、例えばクローダジャパン社製のPRIOLUBE(登録商標)シリーズなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また上記硫黄系添加剤としては、ジベンジルスルフィド(Dibenzyl Sulfide)、ジベンジルジスルフィド(Dibenzyl disulfide)等が挙げられる。
中でも、(e)耐摩耗剤としてトリクレジルホスフェートを含むことが好ましい。
(e)耐摩耗剤であるトリクレジルホスフェートは、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、0.5質量%乃至3質量%にて含むことが好ましい。0.5質量%よりも少ないと摩耗の抑制効果は見られず、3質量%よりも多いと樹脂の劣化促進(ケミカルアタック)を発生させる。
【0029】
また、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性向上剤、腐食防止剤等の当該技術分野に既知の各種添加剤を適宜選択して配合してもよい。
例えば酸化防止剤としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブ
チル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤は一種を単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよく、通常、樹脂潤滑用グリース組成物の総質量に基いて、0.1質量%乃至5質量%の割合で添加することが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、高速−高荷重環境下における使用に適切なちょう度(混和ちょう度)であれば、特にそのちょう度は限定されない。例えば、混和ちょう度範囲がおよそ430〜260の範囲内(NLGIちょう度番号が00号、0号、1号又は2号)にあるもの、さらには混和ちょう度範囲がおよそ360〜280の範囲内(NLGIちょう度番号が0号、1号又は2号)にあるものが挙げられる。これ以上に柔らかいグリース組成物とした場合、使用時にグリースの漏えいが起こり、また硬い場合は接触面にグリースが残存しにくくなり、また音響特性が悪化する場合がある。
【0031】
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物を用いて潤滑する樹脂部材の樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂(ABS)、ポリアセタール(POM)、ナイロン(PA)、ポリカーボネート(PC)、フェノール樹脂(PF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
【0032】
本発明に係る樹脂グリース組成物は、複写機、プリンター等の事務機器用部品、減速機・増速機、ギヤ、チェーン、モーター等の動力伝達装置、走行系部品、ABS等の制御系部品、操舵系部品、変速機等の駆動系部品、パワーウィンドウモーター、パワーシートモーター、サンルーフモーター等の自動車補強部品、電子情報機器、携帯電話等のヒンジ部品、食品・薬品工業、鉄鋼、建設、ガラス工業、セメント工業、フィルムテンター等化学・ゴム・樹脂工業、環境・動力設備、製紙・印刷工業、木材工業、繊維・アパレル工業における各種部品や相対運動する機械部品等に広く適用可能であり、また、転がり軸受、スラスト軸受、動圧軸受、樹脂軸受、直動装置等の軸受等にも適用可能である。
【0033】
特に本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、自動車の、特に車載HVAC用のアクチュエータ等において問題となる耐荷重性能、例えば高速−高荷重環境下でのトルクの伝達効率の向上に効果を発揮し得る。
アクチュエータは、一例としてステッピングモータと、前記ステッピングモータの回転を順に減速して回転トルクを増強する少なくとも複数段の歯車で構成される歯車装置と、これらを内部に設置するベース部材から構成される。
本発明の樹脂潤滑用グリース組成物は、歯車の噛み合せ部及び歯車の軸受部等に使用することにより、特に高速−高荷重環境下でのトルクの伝達効率の向上を図ることができる。
【0034】
図1に本発明の一実施形態によるアクチュエータの要部構造を説明するための模式図を示す。なお、以下の「多段歯車装置」とは、少なくともいずれかの歯車が樹脂製である歯車を備えた多段の歯車装置を指す。すなわち、本発明が対象とするアクチュエータは、多段歯車装置において、樹脂製歯車と例えば金属製歯車等の樹脂以外の材料からなる歯車とが混在していてもよく、また樹脂製歯車のみで構成されていてもよい。
そして本発明の上記樹脂潤滑用グリース組成物が、前記樹脂製の歯車の軸受部に、そし
て樹脂製の歯車と樹脂製又は樹脂以外の材料からなる歯車との噛み合せ部に、それぞれ塗り備えられる。
【0035】
図1に示すアクチュエータ10は、HVACシステム用のアクチュエータである。このアクチュエータ10は、ステッピングモータ11と、このステッピングモータ11の出力軸11aに一体回転可能に取り付けられた第一段歯車12、及び第一段歯車12と噛合された第二段歯車13、並びに第二段歯車13と噛合された第三段歯車14等の複数段の歯車を有する多段歯車装置15を備え、ステッピングモータ11の回転を第一段歯車12、第二段歯車13、第三段歯車14等の順に減速し、図示しない外部機器側に出力するように構成されている。
前記ステッピングモータ11は、ロータ11Aと、このロータ11Aの外周に配設されたステータ11Bを有してなり、ベース部材16の一面側に縦置き型にして設置されている。
前記多段歯車装置15は、ベース部材16の他面側に、ステッピングモータ11に対応するように設置されている。そして、ベース部材16の一面側から孔17を貫通して他面側、すなわち多段歯車装置15側に突出されたステッピングモータ11の出力軸11aに前記第一段歯車12を取り付けてなる。
また、ステッピングモータ11の外側には、このステッピングモータ11を外側から保持する第1外装部材18がベース部材16と対向して設けられており、多段歯車装置15の外側には、この多段歯車装置15を外側から保持する第2外装部材19がベース部材16と対向して設けられている。すなわち、ステッピングモータ11の出力軸11a及び多段歯車装置15の各軸は、それらベース部材16及び第1外装部材18及び第2外装部材19にそれぞれ支持されている。また、第1外装部材18と第2外装部材19は互いに結合されて、アクチュエータ10用のケースを構成してなる。
前記第二段歯車13は、互いに軸方向に直結された第1歯車部13aと第2歯車部13bとからなり、第1歯車部13aが第一段歯車12と噛み合っており、第2歯車部13bが第三段歯車14と噛み合っている。なお、第1歯車部13aと第2歯車部13bは好ましくは一体成型して作られるが、別体に成型して後から一体化するようにしても良い。
【0036】
なお図1に示すアクチュエータ10では、ステッピングモータ11が回転すると、ステッピングモータ11で発生した振動は第一段歯車12及び第二段歯車13に対して、図1中に一点鎖線で示すように伝播される。そして、最終的に第一段歯車12と第二段歯車13の噛み合せ部(噛合箇所)Xに集まり、噛み合せ部Xに大きな周期音を発生させる。また、第一段歯車12と第二段歯車13との回転方向の違いによっても振動と音圧に差異が生じ、振動音圧が大きい回転方向の振動音が騒音として耳につくことになる。そのため、一般に、歯車の噛み合せ部及び歯車の軸受部に、樹脂潤滑用グリース組成物を使用することで、騒音の低減を図る。
【0037】
図2は、上記アクチュエータの多段歯車装置のより詳細な模式図であり、図2(a)は多段歯車装置の正面図、図(b)多段歯車装置の側面図(一部断面を含む)である。図1同様、ステッピングモータ11の出力軸11aに一体回転可能に取り付けられた第一段歯車12と、第一段歯車12に噛合されてなる第二段歯車13、第二段歯車13に噛合されてなる第三段歯車14が図示され、また本図には、第二段歯車13の軸20、第三段歯車14の軸21がそれぞれ図示され、アクチュエータ出力軸22についても図示される。
図2に示す態様では、第一段歯車12と第二段歯車13との噛み合せ部X、第二段歯車13と第三段歯車14との噛み合せ部Y、第二段歯車13の軸受部20a、および第三段歯車14の軸受部21aに、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物が塗布され、これによりこれらの部位にグリース塗布部が形成されている。
【0038】
なお、本発明が対象とするアクチュエータにおいて、アクチュエータを構成する軸、す
なわちモータの出力軸、多段歯車装置の各軸並びにアクチュエータの出力軸は、金属製又は樹脂製のいずれであってもよい。
例えば、上記図1及び図2に示す二つの実施形態において、アクチュエータ10のステッピングモータ11の出力軸11aは金属製の回転する軸である。出力軸11aと第一段歯車12は固定されており、第一段歯車12は出力軸11aとともに回転するため、第一段歯車12と出力軸11aの間には相対的に回転する軸受部は存在しない。
一方、第二段歯車13の軸20と第三段歯車14の軸21は、いずれも樹脂製であって固定軸である。そして第二段歯車と第三段歯車は、それぞれの固定軸に対して摺動しながら回転する。そのため、第二段歯車13と第二段歯車の軸20(固定軸)との間の軸受部20a、並びに第三段歯車14と第三段歯車の軸21(固定軸)との間の軸受部21aには、本発明の樹脂潤滑用グリース組成物が噛みあわせ部X、Yに加えて塗布される。
【0039】
これら図1及び図2に示す実施形態は一例であり、本明細書に記載された実施形態や具体的な実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
以下の実施例及び比較例のグリースの調製に使用した各成分の詳細及びその略称は以下のとおりである。
(a)基油
・PAO4:ポリαオレフィン(100℃における動粘度:4mm/s)
・PAO6:ポリαオレフィン(100℃における動粘度:6mm/s)
・PAO8:ポリαオレフィン(100℃における動粘度:8mm/s)
(b)増ちょう剤
・Li石鹸:12ヒドロキシステアリン酸リチウム
(c)増粘剤
・SIP:スチレンイソプレン樹脂(Infineum(登録商標)SV150)
(d)固体潤滑剤
・PFA:テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
・ETFE:テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(粒径10〜25μm)
・MCA:メラミンシアヌレート(粒径15〜30μm)
(e)耐摩耗剤
・TCP:トリクレジルホスフェート
(その他添加剤)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
【0042】
〔グリース組成物の調製〕
下記各表に示す配合量にて(a)基油及び(b)増ちょう剤を加熱撹拌し、溶解させた後冷却し、ここに(c)増粘剤、(d)固体潤滑剤、さらに(e)耐摩耗剤及び酸化防止剤を加え、ロールミルで均質化し、実施例1乃至実施例15及び比較例1乃至比較例4のグリース組成物を調製した。
得られたグリース組成物に関する混和ちょう度並びにトルク伝達効率について、それぞれ以下の手順を用いて評価した。
【0043】
(1)混和ちょう度(JIS K2220 7.)
グリースの外観的硬さを評価するものであり、潤滑油の粘度に相当するものといえる。
試験温度:25℃
試験方法:JIS K2220 7.に準拠し、標準円すいを用いる混和ちょう度試験の手順に従い、60往復混和した直後に混和ちょう度測定を行った。
【0044】
(2)トルク伝達効率測定
図3に示す実験装置(概念図)にて、トルク伝達効率の測定を行った。
図3に示す実験装置31は、サーボモータ32、駆動側トルク測定機33、駆動側支持軸受34、駆動側ギヤ35、従動側ギヤ36、従動側支持軸受37、従動側トルク測定機38、パウダーブレーキ39、及びデータロガー40から構成される。
図3に示すように、サーボモータ32から発生するトルクを、駆動側トルク測定機33及び駆動側支持軸受34を介して駆動側ギヤ35から従動側ギヤ36に伝達するように、これら2個のギヤが噛合し対向結合されるように配置される。従動側ギヤ36に伝達されたトルクは、従動側支持軸受37及び従動側トルク測定機38を介してパウダーブレーキ39に伝達される。ここで、駆動側においてサーボモータ32は駆動側ギヤ35のトルクの回転数を制御し、従動側においてパウダーブレーキ39は従動側ギヤ36のトルクを制御する。そして、駆動側トルク測定機33並びに従動側トルク測定機38にて測定された各トルクはデータロガー40にて保存される。
下記実験条件を用いて実験装置を作動させ、データロガー40にて保存された各トルク値より、以下の式を用いてトルク伝達効率を算出した。
<実験条件>
・駆動側 1stギヤ:ウォームギヤ(材質:PA66) 回転数2,000rpm
・従動側 2ndギヤ:はすばギヤ (材質:POM)
・減速比:1/20
<トルク伝達効率>
・伝達効率(%)=[(従動側トルク値×減速比)/駆動側トルク]×100
【0045】
[実施例1乃至実施例15、比較例1乃至比較例4]
表1に従い調製した実施例及び比較例のグリース組成物に関して行った各種評価の結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)あるいはテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)の一方又は双方を採用することにより(実施例1乃至実施例3)、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)及びメラミンシアヌレート(MCA)を採用した場合(比較例1)と比べて、トルク伝達効率を向上させることができた。またETFEとMCAの組み合わせにおいて好適な結果が得られるという傾向が観察された。
【0048】
また耐摩耗剤を配合することによってトルク伝達効率は向上し(実施例4乃至実施例15)、PTFEとMCAを配合(比較例2)、PTFEのみ配合(比較例3)及び固体潤滑剤の配合なし(比較例4)の例と比べて、PFA又はETFEの一方又は双方を配合することにより(実施例4乃至実施例8)で、よりトルク伝達効率が向上した。特に、PFA又はETFEの配合量が少ない場合であっても(実施例5、実施例7)、それより添加量の多いPTFEとMCA(比較例2)、PTFEのみ(比較例3)の配合と比べて、トルク伝達効率が向上することが確認できた。
また、PFA又はETFEの少なくとも一方を採用することにより、MCAを併用した場合(実施例9及び実施例10)においても、比較例と較べてトルク伝達効率は高い値に維持され、さらにMCAとPTFEを併用した場合においても、PTFEの配合量が(d)固体潤滑剤全量の20質量%程度であればトルク伝達効率を高い値に維持することが確認された(実施例11乃至実施例13)。
さらに、基油動粘度の変化によらず、ほぼ同様のトルク伝達効率の向上を実現することが確認された(実施例8、実施例14及び実施例15)。
【0049】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれものである。
【符号の説明】
【0050】
10 アクチュエータ
11 ステッピングモータ
11a 出力軸
12 第一段歯車
13 第二段歯車
13a 第1歯車部
13b 第2歯車部
14 第三段歯車
15 多段歯車装置
16 ベース部材
17 孔
18 第1外装部材(ケース)
19 第2外装部材(ケース)
20 第二段歯車の軸
20a 軸受部(グリース塗布部)
21 第三段歯車の軸
21a 軸受部(グリース塗布部)
22 アクチュエータ出力軸
X 第一段歯車と第二段歯車との噛み合せ部
Y 第二段歯車と第三段歯車との噛み合せ部
31 実験装置
32 サーボモータ
33 駆動側トルク測定機
34 駆動側支持軸受
35 駆動側ギヤ
36 従動側ギヤ
37 従動側支持軸受
38 従動側トルク測定機
39 パウダーブレーキ
40 データロガー
図1
図2
図3