(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記載置部と前記挿入口の間であって前記プランジャの移動経路に設けられ、前記レンズホルダの底部から前記プランジャの移動方向に直交する方向で突出する底部側支持部材を更に備える請求項1から4までの何れか一項に記載の眼内レンズ用インジェクタのレンズホルダ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態の眼内レンズ用インジェクタ1の外観を示す斜視図である。
【0019】
図1に示す眼内レンズ用インジェクタ1は、レンズホルダ4にセットされた眼内レンズ90をプランジャ3で押し出して先端チップ5から眼内に放出する眼内レンズ90の挿入器具である。
図1では、レンズホルダ4のカバー46が開いた状態が示されている。
【0020】
まず、眼内レンズ用インジェクタ1の全体構成について説明する。
図1に示すように、眼内レンズ用インジェクタ1は、本体2と、プランジャ3と、レンズホルダ4と、先端チップ5と、を備える。なお、以下の説明において、プランジャ3の移動方向と同じ方向を方向PDとし、方向PDにおける眼内レンズを放出する側を先端側とする。また、方向PDにおける先端側の反対側を基端側とする。更に、上下方向はレンズホルダ4の厚み方向と同じ方向を意味し、左右方向はレンズホルダ4を方向PDで見たときに前記上下方向と直交する方向を意味する。
【0021】
本体2は、プランジャ3を挿入するための貫通孔を有する円筒状に形成される。本体2の先端側の端面には、レンズホルダ4を固定するための板状の固定部21が先端側に突出している。一方、本体2の基端側の外周面には、使用者が手をかけるための場所となる鍔部22が形成される。
【0022】
プランジャ3は、レンズホルダ4にセットされた眼内レンズ90を先端側に押し出す軸状部材である。本実施形態のプランジャ3は、基端側から先端側に進むにつれて段階的に径が小さくなるように形成されている。
【0023】
プランジャ3の最も基端側に位置する基端側軸部31の基端には鍔状の押圧部32が形成される。使用者は、この押圧部32を本体2側に押し込むことにより、プランジャ3を先端側に移動させる。
【0024】
レンズホルダ4は、眼内レンズ90を眼内レンズ用インジェクタ1にセットするためのものであり、本体2と先端チップ5との間に配置される。レンズホルダ4に眼内レンズ90がセットされた状態でプランジャ3を先端チップ5側に押し込むことにより、眼内レンズ90がレンズホルダ4から先端チップ5に移動する。なお、レンズホルダ4の詳細な構成については後述する。
【0025】
先端チップ5は、ノズル部51と、放出部52と、を備える。ノズル部51は、レンズホルダ4に連通する内部通路を有し、この内部通路は先端側に進むに従って狭まるように構成されている。放出部52は、眼内レンズ90を眼内レンズ用インジェクタ1の外部に放出する放出口であり、眼内レンズ用インジェクタ1の先端に位置する。
【0026】
次に、レンズホルダ4の詳細な構成について説明する。
図2は、眼内レンズ90がレンズホルダ4にセットされた状態を示す平面図である。
図3は、第1実施形態のレンズホルダ4の内部を先端チップ5側から示す断面図である。
【0027】
まず、レンズホルダ4に収容される眼内レンズ90について説明する。
図2に示すように、眼内レンズ90は、レンズ本体としての光学部91と、第1レンズ支持部92と、第2レンズ支持部93と、から構成される3ピースレンズである。なお、以下の説明では3ピースレンズを例として説明するが、本発明は、3ピースレンズに限られず、シングルピース等、種々の眼内レンズに適用することができる。
【0028】
眼内レンズ90の構成について説明する。光学部91は、眼内挿入後に水晶体として機能するレンズ本体である。第1レンズ支持部92及び第2レンズ支持部93は、光学部91から曲線状に延び出るように形成され、眼内挿入後に光学部91を眼内で保持する。第1レンズ支持部92及び第2レンズ支持部93は、光学部91の中心を対称の中心とした点対称の位置関係になるように配置されている。これらの光学部91、第1レンズ支持部92及び第2レンズ支持部93は軟性を有する材質で変形可能に形成されている。
【0029】
次に、レンズホルダ4の構成について説明する。レンズホルダ4は、ホルダ本体61と、カバー46と、軸ブレ防止部110と、を備える。
【0030】
ホルダ本体61は、平板状に形成されている。ホルダ本体61は、その平面部分の中央に眼内レンズ90の光学部91を載置する載置部62を有する。載置部62の両側には壁部65,66が方向PDに沿ってそれぞれ形成される。これらの壁部65,66によって方向PDに直交する方向の眼内レンズ90の動きが規制される。
【0031】
図3に示すように、本体2の基端側にはプランジャ3が挿通する開口部70が形成されている。そして、ホルダ本体61の基端側には開口部70と連通する挿入口63が形成されている。本実施形態の挿入口63は、ホルダ本体61の基端側の端面が開放されて形成されている。
【0032】
カバー46は、ホルダ本体61に開閉可能に取り付けられており、このカバー46を閉じることによってレンズホルダ4の内部と外部が隔絶される。また、カバー46の内面には、カバーリブ47,48が方向PDに沿って形成される。
【0033】
軸ブレ防止部110は、プランジャ3の軸ブレを防止するための部材であり、レンズホルダ4の内部に設けられる。軸ブレ防止部110は、光学部91が載置される載置部62と挿入口63の間に配置される。
【0034】
軸ブレ防止部110の構成について説明する。第1実施形態の軸ブレ防止部110は、左右一組の第1規制部材111及び第2規制部材112によって構成される。
【0035】
図3に示すように、第1規制部材111及び第2規制部材112は、ホルダ本体61の底部から閉鎖状態のカバー46側に突出している。第1規制部材111は、プランジャ3の移動経路における左右方向(移動方向に直交する方向)の一側に配置され、第2規制部材112は、プランジャ3の移動経路における左右方向の他側に配置されている。
【0036】
第1規制部材111及び第2規制部材112は、いずれも、レンズホルダ4の底部からカバー46に近づくにつれてレンズホルダ4の左右方向の中心に近づくように傾斜しており、初期位置のプランジャ3の先端が左右方向に挟まれた状態となる。本実施形態では、第1規制部材111及び第2規制部材112は、プランジャ3の曲面に応じた形状となっており、円柱状のプランジャ3の先端に第1規制部材111及び第2規制部材112が覆い被さるようになっている。
【0037】
また、第1規制部材111及び第2規制部材112は、プランジャ3の移動に伴って左右に拡がるように弾性変形可能な材料で形成されている。第1規制部材111及び第2規制部材112を構成する材料としては、プランジャ3の移動方向の移動を必要以上に妨げないように、すべり抵抗の少ない材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリウレタン、ABS樹脂で形成されることが好ましい。
【0038】
なお、軸ブレ防止部110は、初期位置のプランジャ3に対して予め接触するように配置してもよいし、プランジャ3が初期位置から移動した後に接触するように配置してもよい。また、本実施形態では、軸ブレ防止部110は、ホルダ本体61と一体的に成形されるものを例として説明したが、軸ブレ防止部がホルダ本体に別体として組み込まれる構成としてもよい。
【0039】
次に、プランジャ3の挿入過程における軸ブレ防止部110の軸ブレ防止機能について説明する。
図4は、プランジャ3が初期位置から先端側に移動した状態における第1実施形態のレンズホルダ4の内部の様子を示す斜視図である。
図4では、カバー46を鎖線で示しており、眼内レンズ90は先端チップ5の内部に送られている様子が示されている。
【0040】
図2に示す初期位置のプランジャ3が先端チップ5側に押し込まれると、
図4に示すようにプランジャ3の基端側の部位がレンズホルダ4の内部に進入していく。このとき、プランジャ3の先端は、第1規制部材111及び第2規制部材112によって挟まれ、付勢力が働いているので、眼内レンズ90に接触するまでにブレを生じさせることなく、適切な位置で眼内レンズ90の光学部91の端面にプランジャ3の先端を接触させることができる。
【0041】
図4に示すように、プランジャ3の径は、先端側から基端側に進むにつれて段階的に大きくなるように形成されている。従って、第1規制部材111及び第2規制部材112が設けられる位置では、眼内レンズ90の押出しが進むに従ってプランジャ3の径が次第に大きくなることになる。
【0042】
第1規制部材111及び第2規制部材112は、第1規制部材111及び第2規制部材112の間を通過するプランジャ3の径が大きくなるにつれてその形状に応じて弾性変形するので、第1規制部材111及び第2規制部材112とプランジャ3の接触が維持された状態で眼内レンズ90の押出し作業が行われることになる。
【0043】
プランジャ3によってレンズホルダ4から先端チップ5に送り込まれた眼内レンズ90は、ノズル部51の内部通路の内壁によって光学部91が折りたたまれた状態で放出部52から眼内に放出される。なお、眼内レンズ90の挿入作業は、適宜、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の粘弾性物質又は創傷治療薬物等をレンズホルダ4に充填した状態で行う。
【0044】
以上説明した第1実施形態の眼内レンズ用インジェクタ1に適用されるレンズホルダ4によれば以下のような効果を奏する。
第1実施形態の眼内レンズ用インジェクタ1のレンズホルダ4は、眼内レンズ90の光学部91をセットする載置部62を有し、載置部62にセットされた光学部91を先端側に押し出すプランジャ3の挿入口63が基端側に形成されるホルダ本体61と、ホルダ本体61の内部における載置部62と挿入口63の間であってプランジャ3の移動経路に設けられ、プランジャ3が先端側に移動すると該プランジャ3の形状に追従して変形する弾性部材としての軸ブレ防止部110と、を備える。
【0045】
これにより、弾性部材としての軸ブレ防止部110がプランジャ3の移動に伴って変形するので、プランジャ3の移動を妨げることなくプランジャ3の軸ブレを効果的に防止できる。プランジャ3の断面形状が先端側から基端側に進むにつれて大きくなる場合であっても、弾性変形する軸ブレ防止部110によって付勢力を作用させ続けることができるので、眼内レンズ90が眼内レンズ用インジェクタ1の先端側に押し出されるまでプランジャ3の軸ブレを一貫して防止することができる。
【0046】
軸ブレ防止部110は、ホルダ本体61における載置部62が配置される面(載置部62が配置される側)から突出し、プランジャ3の移動方向に直交する方向の一側に形成される第1規制部材111と、ホルダ本体61における載置部62が配置される面(載置部62が配置される側)から突出し、プランジャ3の移動方向に直交する方向の他側に形成される第2規制部材112と、を有し、第1規制部材111及び第2規制部材112は、載置部62が配置される面から離れるにつれて互いに近づくように形成されるとともに、移動方向に直交する方向でプランジャ3を挟むように配置される。
【0047】
これにより、プランジャ3をホルダ本体61側に押し付ける力が第1規制部材111及び第2規制部材112により作用し、左右方向にずれる動きやプランジャ3の浮き上がる動きを効果的に規制することができる。
【0048】
次に、第2実施形態のレンズホルダ204について説明する。
図5は、第2実施形態のレンズホルダ204に眼内レンズ90がセットされた状態を示す斜視図である。
【0049】
第2実施形態のレンズホルダ204は、軸ブレ防止部110の構成が第1実施形態のレンズホルダ4と異なっている。以下の説明において第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0050】
図5に示すように、第2実施形態のレンズホルダ204は、ホルダ本体261ではなく、カバー246の平面部分の基端側に軸ブレ防止部210が形成されている。第2実施形態の軸ブレ防止部210は、カバー246の内面から突出するようにカバー246と一体的に形成されている。本実施形態の軸ブレ防止部210は、プランジャ3に接触する側の面が内側に湾曲している。なお、軸ブレ防止部210は、この形状に限らず適宜変更可能である。
【0051】
図6は、第2実施形態のレンズホルダ204の内部の様子を示す側面断面図である。
図6では、鎖線によって移動後のプランジャ3及び弾性変形後の軸ブレ防止部210が示されている。
【0052】
図6に示すように、閉鎖状態では、軸ブレ防止部210は、カバー246からホルダ本体261の基端側に曲がるように形成されている。軸ブレ防止部210は、その先端がカバー246の閉鎖状態においてプランジャ3の上面に接触するようにその長さが設定されている。
【0053】
プランジャ3が軸ブレ防止部210に接触している状態では軸ブレ防止部210が弾性変形した状態となり、プランジャ3に対してホルダ本体261の底部側に押し込む力を作用させる。これによってプランジャ3の上方向の動きが規制され、軸ブレが防止される。
【0054】
なお、プランジャ3に接触していない自然状態ではその先端が初期位置のプランジャ3の先端部の上面の位置よりもホルダ本体261の底部に近い位置にあるように軸ブレ防止部210の位置を設定し、初期位置からプランジャ3を付勢するように軸ブレ防止部210を構成してもよいし、プランジャ3が初期位置から移動した後に該プランジャ3に対して軸ブレ防止部210が接触するように構成してもよい。
【0055】
この軸ブレ防止部210がプランジャ3に接触した状態でプランジャ3が先端チップ5側に移動すると、プランジャ3は先端側よりも基端側の径が大きく形成されているため、プランジャ3が先端チップ5側に進むにつれて軸ブレ防止部210が上方に押されて弾性変形する(
図6参照)。この弾性変形により、軸ブレ防止部210とプランジャ3の上面の接触が保たれ、プランジャ3をホルダ本体261側に押し込む力がプランジャ3に作用し続けることになる。
【0056】
以上説明した第2実施形態の眼内レンズ用インジェクタ201に適用されるレンズホルダ204によれば以下のような効果を奏する。即ち、第2実施形態のレンズホルダ204の軸ブレ防止部210は、ホルダ本体261における載置部62が配置される面とは反対側の面であるカバー241から突出し、その先端がプランジャ3の移動方向の一側に曲がった状態でプランジャ3に接触する。
【0057】
これにより、プランジャ3に付勢力を発揮しつつ、プランジャ3の移動に伴って軸ブレ防止部210が変形するのでプランジャ3の高さが基端側に進むにつれて高くなる形状であっても、プランジャ3の移動を妨げることなく、プランジャ3の軸ブレを適切に防止することができる。
【0058】
なお、第2実施形態では、軸ブレ防止部210が移動方向の基端側に曲がるように形成されている例を説明したが、この構成に限定されない。例えば、第2実施形態の軸ブレ防止部を移動方向の先端側に曲がるように形成してもよい。この場合においても、軸ブレ防止部は、プランジャの移動に伴ってプランジャの形状に追従変形しつつ、その付勢力によってプランジャの軸ブレを防止することができる。
【0059】
次に、第3実施形態の眼内レンズ用インジェクタ301について説明する。
図7は、第3実施形態の眼内レンズ用インジェクタ301の本体302の開口部370と初期位置のプランジャ303の位置関係を示す斜視図である。
図8は、第3実施形態の眼内レンズ用インジェクタ301においてプランジャ303が初期位置から先端側に移動した様子を示す斜視図である。
【0060】
第3実施形態の眼内レンズ用インジェクタ301は、シングルピース型の眼内レンズに適用するものである。なお、
図8の鎖線で示す第3実施形態のレンズホルダ304は、第1実施形態のレンズホルダ4と同様の構成の軸ブレ防止部110又は第2実施形態の軸ブレ防止部210と同様の軸ブレ防止部(図示省略)を備えるものとする。
【0061】
第3実施形態の眼内レンズ用インジェクタ301は、レンズホルダ304内部に設けられる軸ブレ防止部の構成に加え、プランジャ303及び本体302に形成される開口部370による軸ブレ防止機能を更に備える構成である。
【0062】
まず、第3実施形態のプランジャ303の形状について説明する。プランジャ303は、基端側軸部31及び押圧部32(
図7及び
図8において省略)と、中軸部333と、先端側軸部335と、L字部336と、被規制部340と、を備える。
【0063】
基端側軸部31及び押圧部32については上記実施形態と同様の構成である(
図1参照)。中軸部333は、基端側軸部31の先端側に接続され、基端側軸部31よりも細い径の軸部である。
【0064】
図8に示すように、中軸部333は、その断面形状が扁平な形状に形成される。また、扁平に形成される中軸部333の厚み方向は、レンズホルダ304の厚み方向(上下方向)と同じ方向となっている。
【0065】
先端側軸部335は、中軸部333の先端側に接続され、中軸部333よりも細く形成される。本実施形態の先端側軸部335は、その先端に、眼内レンズの第2レンズ支持部に接触する断面形状がL字形状のL字部336を有する。第3実施形態では、眼内レンズの先端側のレンズ支持部がL字部336の切欠き部分に載ることにより、該レンズ支持部を適切な状態で曲げることができるようになっている。
【0066】
被規制部340は、先端側軸部335のL字部336の基端側から中軸部333の略全域にかけてプランジャ303の軸方向に沿って形成される。被規制部340は、先端側軸部335から中軸部333に途切れることなく連続的に形成されており、扁平に形成される中軸部333では、その扁平面から厚み方向(上下方向)に突出する細長のリブ状になっている。そして、被規制部340の断面形状は、蒲鉾状(セミシリンドリカルな形状)になっている。この被規制部340の軸方向の長さは、後述の初期位置の状態でプランジャ303が上方向にぶれた場合に開口部370に接触して軸ブレが防止されるように設定されている。
【0067】
このように、第3実施形態のプランジャ303は、基端側から先端側に向かうにつれて段階的に細くなるように形成される。また、プランジャ303は、その先端側の上面が滑らかな曲面状に構成される。本実施形態では、軸方向で見たときに、L字部336の上面が略円弧状に構成されるとともに、L字部336の基端側から形成される被規制部340の上面が左右方向の左右端から中央部に向かって滑らかな山状に構成される。このように、先端チップ5の内部に進入する部分の上面が滑らかな曲面で形成されることにより、プランジャ303の先端側が先端チップ5の内腔上部の形状にフィットし、スムーズな挿入作業が実現される。更に、プランジャ303の先端側の上面が滑らかな曲面で形成されているので、挿入過程において、プランジャ303の先端側の上面によって先端チップ5の内壁上部が傷つけられる事態も防止される。
【0068】
次に、開口部370について説明する。
図7に示すように、開口部370は、プランジャ303の形状に基づいて形成された中央開口部371と、規制部372と、底部側規制部373と、を備える。
【0069】
中央開口部371は、横長の略矩形状に形成される。本実施形態の中央開口部371は、プランジャ303の中軸部333の断面形状に応じて形成されており、角が丸められた左右方向に横長の長方形状になっている。
【0070】
規制部372は、中央開口部371の上辺(厚み方向の一側の辺)の中央から上方に突出するように切欠き状に形成される。本実施形態の規制部372は、その端面が被規制部340の断面形状にあわせて円弧状に形成されている。
【0071】
底部側規制部373は、中央開口部371の下辺(厚み方向の他側の辺)の中央から下方に突出するように切欠き状に形成される。本実施形態の底部側規制部373は、L字部336の底部の形状にあわせて角が丸められた左右方向に横長の長方形状に形成される。
【0072】
次に、プランジャ303の動作時における開口部70による軸ブレ防止の作用について説明する。
図7に示すように、プランジャ303の初期位置は、先端側軸部335の一部がレンズホルダ304の内部に露出した状態である。そして、眼内レンズ(図示省略)の基端側のレンズ支持部よりもプランジャ303のL字部336が基端側に位置する。
【0073】
上述のように、プランジャ303の被規制部340は、初期位置で開口部70に規制されるように、その長さが設定されているので、初期位置では、プランジャ303の被規制部340と開口部370の規制部372が対向している状態となる。
【0074】
また、初期位置では、プランジャ303のL字部336の底部が開口部370の底部側規制部373に嵌り込んだ状態となっている。即ち、プランジャ303が初期位置にある状態では、プランジャ303の上下方向で開口部70の規制部372及び底部側規制部373に軸方向に直交するブレが規制された状態となっている。
【0075】
プランジャ303が初期位置にある状態で、使用者によってプランジャ303が初期位置から方向PDの先端側に押し込まれると、プランジャ303のL字部336が眼内レンズの基端側に位置する第2レンズ支持部に接触し、第2レンズ支持部が光学部側に折り曲げられた状態となる。本実施形態では、被規制部340が先端側軸部335から中軸部333にかけて途切れることなく形成されているので、初期位置からプランジャ303の先端面が第2レンズ支持部に接触するまで、プランジャ303の軸方向のブレが規制され続けることになる。更に、底部側規制部373によってもプランジャ303の左右方向及び下方向の動きが規制されているので、プランジャ303と眼内レンズ90の第2レンズ支持部93との接触を適切に制御することが可能になっている。
【0076】
図8に示すように、プランジャ303が更に先端側に進むと、先端チップ5での内壁により光学部が折り曲げられ、この状態で放出部52より眼内に挿入される。プランジャ303の先端側軸部335は、中軸部333よりも細く形成されており、先端チップ5の内壁に干渉することなく、眼内レンズ90が外部に排出されるまで、その接触を長く維持することが可能になっている。更に、プランジャ303の底部が底部側規制部373に規制され続けることによって、プランジャ303の軸方向への安定した移動が実現されている。
【0077】
以上説明した第3実施形態の眼内レンズ用インジェクタ301によれば、以下のような効果を奏する。
第3実施形態の眼内レンズ用インジェクタ301は、筒状に形成される本体302と、眼内レンズ90が収容され、本体302の先端に配置されるレンズホルダ304と、本体302に挿入され、本体302の先端側に形成される開口部370からレンズホルダ304にセットされた眼内レンズ90を先端側に押し出すプランジャ303と、を備える。そして、レンズホルダ304は、第1実施形態の軸ブレ防止部110又は第2実施形態の軸ブレ防止部210と同様の構成の軸ブレ防止部を備える。
【0078】
これにより、レンズホルダ304の軸ブレ防止構造と併せて本体302の開口部370によっても軸ブレが防止され、複合的にプランジャ303の軸ブレを防止することができる。
【0079】
また、第3実施形態のプランジャ303は、眼内レンズ90に接触するL字部336(接触部)を有する先端側軸部335(先端部)と、先端側軸部335の基端側に接続され、先端側軸部335よりも幅広な扁平に形成される中軸部333(扁平部)と、プランジャ303の軸方向に沿って先端側軸部335から中軸部333にかけて形成され、中軸部333では扁平面から突出する被規制部340と、を備える。また、本体302の開口部370は、中軸部333の形状に応じて開口された中央開口部371と、被規制部340の形状に応じて中央開口部371の端面から中軸部333の厚み方向に突出するように形成される規制部372と、を備える。そして、被規制部340は、L字部336が眼内レンズの第2レンズ支持部に接触を開始する前の初期位置から接触するまでの間、規制部72に規制されるように、その軸方向の長さが設定される。
【0080】
また、扁平に形成される中軸部333(扁平部)を有することにより、プランジャ303の剛性を高めつつ、先端側軸部335(先端部)を細く形成することができるとともに、プランジャ303が眼内レンズ90に接触するまでの間に生じる軸ブレを確実に防止することができる。
【0081】
また、プランジャ303は、中軸部333の被規制部340が形成される面とは、反対側の扁平面にプランジャ303の軸方向に沿って突出する底部(第2の被規制部)を更に備える。開口部370は、中央開口部371を挟んで規制部372の反対側に配置され、プランジャ303の底部の形状に応じて形成される底部側規制部373(第2の規制部)を更に備え、底部側規制部373は、L字部336が眼内レンズに接触を開始する前の初期位置から接触するまでの間、底部側規制部373に規制されるように、その軸方向の長さが設定される。
【0082】
これにより、規制部372と底部側規制部373(第2の規制部)によって扁平部の厚み方向でプランジャ303の移動を規制できるので、プランジャ303の軸ブレを一層効果的に防止することができる。
【0083】
底部側規制部373(第2の被規制部)は、中軸部333から先端側軸部335の先端面(L字部336の先端面)まで連続的に形成されている。
【0084】
これにより、プランジャ303が本体302に挿入され、開口部370に達した時点から底部側規制部373によってプランジャ303の軸ブレが防止されることになるので、プランジャ303の初期位置をより精密に設定することができる。
【0085】
第3実施形態では、開口部とプランジャの形状が略同形状に形成されているが、開口部によってプランジャの軸ブレを防止できれば、開口部とプランジャの形状が異なってもよい。このように、第3実施形態のプランジャの形状及び開口部の形状は事情に応じて適宜変更することができる。
【0086】
次に、第4実施形態のレンズホルダ404について説明する。
図9は、第4実施形態のレンズホルダ404の内部の様子を示す斜視図である。
図10は、第4実施形態のレンズホルダ404の内部の様子を示す平面図である。
【0087】
図9及び
図10に示すように、第4実施形態のレンズホルダ404は、上記実施形態の構成とは異なる軸ブレ防止部410及びサポート部材450を更に備えるように構成される。
【0088】
第4実施形態の軸ブレ防止部410は、第1規制部材411と、第2規制部材415と、を備える。第1規制部材411及び第2規制部材415は、その基本構成自体は第1実施形態の第1規制部材111及び第2規制部材112と同様であるが、第1壁部412及び第2壁部416をそれぞれ備える点が異なっている。
【0089】
まず、第4実施形態の軸ブレ防止部410の詳細な構成について説明する。
図11は、第4実施形態のレンズホルダの軸ブレ防止部410及びその近傍を示す拡大斜視図である。
図11に示すように、第1規制部材411の先端側には壁状の第1壁部412が設けられる。第1壁部412は第1規制部材411と一体的な部材として構成される。同様に、第2規制部材415の先端側には壁状の第2壁部416が当該第2規制部材415と一体的に設けられる。
【0090】
第1壁部412及び第2壁部416は、何れもその壁面がプランジャ3の軸方向(進行方向)の先端側を向いている。
図10に示すように、第1壁部412及び第2壁部416は、眼内レンズ90の後方に位置する第2レンズ支持部93が挿入口63側に移動しようとする動きを規制する規制壁として機能する。これにより、挿入作業前の眼内レンズ90において、第2レンズ支持部93の形状を適切な状態で維持することができ、眼内レンズ90の挿入作業をよりスムーズに行うことができる。また、眼内レンズ90の載置部62よりも後方側への移動も防止することができる。
【0091】
図12は、第4実施形態のレンズホルダ404の内部を先端チップ5側から示す断面図である。
図12に示すように、本実施形態では、第1壁部412は第1規制部材411の先端側上部に配置されるとともに、第2壁部416は第2規制部材415の先端側上部に配置される。このように、軸方向視において、第1壁部412及び第2壁部416がプランジャ3の移動軌跡に重ならない位置に配置されることにより、プランジャ3の移動を妨げない構成になっている。
【0092】
また、
図10の平面視に示すように、第1壁部412及び第2壁部416は、プランジャ3の軸方向でその位置がオフセット配置されている。第4実施形態の壁部66の挿入口63側には第2レンズ支持部93の向きをガイドするガイド部451が設けられているが、このガイド部451側に位置する第2壁部416が第1壁部412よりも先端側に位置している。このように、第1壁部412及び第2壁部416のそれぞれの位置を調節することにより、第2レンズ支持部93の位置及び姿勢をより精密に制御することが可能となっている。なお、第4実施形態では、第1壁部412及び第2壁部416を軸方向でずらして配置された例を説明したが、この構成に限定されない。例えば、第1壁部412と第2壁部416を軸方向で同じ位置に配置することもできる。また、第1壁部412を第2壁部416よりも先端側に位置させることもできる。
【0093】
次に、サポート部材450の詳細な構成について説明する。サポート部材450は、レンズホルダ404の底部に配置される。本実施形態では、レンズホルダ404を固定するための板状の固定部21から閉鎖位置のカバー46側に突出するように構成される。サポート部材450の上端面の高さは、プランジャ3の移動軌跡に基づいて設定されている。即ち、プランジャ3のレンズホルダ404の厚み方向での軸ブレを規制するために、サポート部材450をプランジャ3の下面に接触又は近接する位置に設けられる。
【0094】
第4実施形態では、プランジャ3をホルダ本体61側に押し付ける力が第1規制部材411及び第2規制部材415により作用するとともに、サポート部材450によってプランジャ3の下方向の移動が規制されるので、プランジャ3の上下左右のぐらつきが最小限に抑えられている。
【0095】
以上説明した第4実施形態の弾性部材としての軸ブレ防止部410は、第1規制部材411の先端側に配置され、先端側を向く面を有する第1壁部412と、第2規制部材415の先端側に配置され、先端側を向く面を有する第2壁部416と、を更に有する。
【0096】
これにより、第1壁部412と第2壁部416によって眼内レンズ90を適切な位置にセットすることができ、プランジャ3を眼内レンズ90により適切な状態で接触させることができる。また、第1壁部412と第2壁部416の位置によって第2レンズ支持部93の状態をより精密に調節することもできる。
【0097】
また、第4実施形態のレンズホルダ404は、載置部62と挿入口63の間であってプランジャ3の移動経路に設けられ、レンズホルダ404の底部からプランジャ3の移動方向に直交する方向で突出する底部側支持部材としてのサポート部材450を更に備える。
【0098】
これにより、サポート部材450によりプランジャ3が下支えされるので、プランジャ3の上下方向の軸ブレを効果的に抑制することができる。
【0099】
第4実施形態のサポート部材450は、本体2の固定部21からレンズホルダ404の底部を通ってプランジャ3の軸ブレを規制する構成であるが、レンズホルダ404の底部に設ける構成としてもよい。
【0100】
以上説明した第4実施形態のサポート部材450は、第1実施形態のレンズホルダ4,第2実施形態のレンズホルダ204及び第3実施形態のレンズホルダ304にも設けることができる。
【0101】
以上、本発明の眼内レンズ用インジェクタの好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、更に、適宜変更が可能である。
【0102】
上記実施形態では、レンズホルダと本体が別体に構成される眼内レンズ用インジェクタを例として説明したが、この構成に限定されるわけではなく、レンズホルダが本体と一体的に形成される構成とすることもできる。また、レンズホルダの構成についても、本実施形態の構成に限定されるわけではない。プランジャの軸ブレを防止する本発明の構成を有するものであれば、眼内レンズ用インジェクタは、その本体、先端チップ、レンズホルダ及びプランジャ等の各構成を適宜変更することができる。また、眼内レンズもシングルピース、スリーピース等、種々の形状のものにも対応することができる。