技術分野
この発明は、少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
しかしながら、厚いバッファ層の成膜は、エピ成長のスループット低下によるコスト増大、欠陥密度増加による歩留まり低下および基板の抵抗増大につながる。このため、基板と同程度以上の不純物濃度の窒素(N)に加えて、ライフタイムキラーとなる元素を同時添加(コドープ)して、少数キャリア寿命の短いバッファ層を成膜することが提案されている。
少数キャリア寿命が短いと、ホールのライフタイムが短くなるため、ホールを十分に減少させることができ、基板へのホールの到達を減少させ、基板中での電子−ホールの再結合を防ぐことができる。これにより、炭化珪素半導体基板(以下、積層欠陥抑制半導体基板と略する)は、バッファ層の厚みを抑制しつつ、大電流でバイポーラ動作させても、基板内の三角・帯状積層欠陥の発生を効果的に抑制することが可能になる。
図6は、積層欠陥抑制半導体基板の構成を示す断面図である。図6に示すように、積層欠陥抑制基板は、n型炭化珪素基板1の第1主面(おもて面)、例えば(0001)面(Si面)、にn
+ 型炭化珪素バッファ層2が堆積されている。
n型炭化珪素基板1は、例えば窒素がドーピングされた炭化珪素単結晶基板である。n
+ 型炭化珪素バッファ層2は、ライフタイムキラーとなる元素をコドープしたバッファ層(コドープエピ層)である。ライフタイムキラーとしては、例えば、ホウ素(B)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)等の少なくとも1種類以上が選択可能である。n
+ 型炭化珪素バッファ層2の、n型炭化珪素基板1側に対して反対側の表面側は、n型耐圧維持層3が形成されている。n型耐圧維持層3は、n型炭化珪素基板1およびn
+ 型炭化珪素バッファ層2より低不純物濃度で、例えば窒素がドーピングされているドリフト層である。
積層欠陥抑制半導体基板は、n
+ 型炭化珪素バッファ層2内で電子−ホールの再結合を促進し、n型炭化珪素基板1に注入されるホール密度を抑えることで、三角・帯状積層欠陥の発生を効果的に抑制する。
ここで、コドープエピ層において、ライフタイムキラーとなる元素の密度を増やすと少数キャリア寿命が一定の間隔で短くなることが知られている。図7は、コドープ元素密度と少数キャリア寿命の関係を示すグラフである。図7において、縦軸は250℃における少数キャリア寿命の逆数であり、単位は/μsである。また、横軸はコドープした元素の密度であり、単位は/cm
3 である。図7は、窒素の密度が5×10
18 /cm
3 で、ライフタイムキラーとしてVをコドープした結果である。図7に示すように、少数キャリア寿命の逆数をy、コドープしたVの密度をxとすると、y=5.708×10
-14 x+7.343の関係があり、Vの密度を増やすと少数キャリア寿命が一定の間隔で短くなっている。
従来、少数キャリア寿命の評価は以下のTRPL(Time Resolved Photo Luminescence)法で行われている。図8は、従来の少数キャリア寿命評価方法であるTRPL法を示す図である。TRPL法は、まず、n型炭化珪素基板
1上のn
+ 型炭化珪素バッファ層2にSiCのバンドギャップ(3.24eV)以上のエネルギーをもつ励起レーザー光を照射する。次に、コドープエピ層から輻射されるPL(Photo Luminescence)発光のうち、自由キャリアの再結合に起因するPL発光(中心波長387nm)をバンドパスフィルタ12によって選別し、光電子増倍管14で受信しながら、その発光量の時間減衰を測定する。その結果を例えば、演算装置15で計測する。
図9は、発光量の時間減衰から少数キャリア寿命の測定を示すグラフである。図9において、縦軸は光電子増倍管14がカウントした光子数であり、横軸はレーザー照射からの経過時間であり、単位はμsである。少数キャリア寿命は、熱平衡状態より増加した少数キャリアの数がe
-1 倍(eは自然対数の底)に減衰する時間であるため、図9から光子数がe
-1 倍になる時間幅(例えば、図9で示された実線の間)より評価することができる。
しかしながら、コドープした元素の密度を増やし、少数キャリア寿命が10ns以下と短くなると、減衰時間が非常に短くなってしまい、TRPL法では測定できなくなる。図10は、従来の少数キャリア寿命評価方法の限界を示すグラフである。図10において、縦軸はTRPL法で測定した少数キャリア寿命であり、単位はnsである。横軸は温度であり、単位は℃である。図10は、窒素の密度が5×10
18 /cm
3 で、ライフタイムキラーとしてVをコドープした結果である。図10において、◇は、Vがドープされない場合を示し、□はVを密度4×10
13 /cm
3 でコドープし、×はVを密度3×10
14 /cm
3 でコドープした場合である。図10に示すように、Vを密度3×10
14 /cm
3 でコドープした場合、温度50℃〜100℃では少数キャリア寿命が10ns以下となる。このため、Vの濃度が3×10
14 /cm
3 より大きくなると、TRPL法では少数キャリア寿命を測定できなくなる。
従来、このような短い少数キャリア寿命の評価は、図7に示す関係を利用して、コドープした元素の密度を評価することにより、少数キャリア寿命を推定することが行われている。しかしながら、コドープした元素の密度の評価にはSIMS(二次イオン質量分析:Secondary Ion Mass Spectrometry)法のような破壊評価が必要であるため、製品の現物評価ができないという問題がある。ここで、SIMS法とは、固体の表面にビーム状のイオンを照射し、そのイオンと固体表面の分子・原子レベルでの衝突によって発生するイオンを質量分析計で検出する表面計測法である。さらに、SIMS法は、超高真空下で測定しなければならないため、真空引き等の前準備が必要であり、評価に時間がかかるという問題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、少数キャリア寿命が短い場合にPL発光によって少数キャリア寿命を評価できる少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる少数キャリア
寿命評価方法は、次の特徴を有する。まず、少数キャリア寿命が評価済みの第2半導体膜にレーザーからレーザー光を照射する第1工程を行う。次に、前記第2半導体膜から輻射されたバンド端PL発光の時間積分値を測定する第2工程行う。次に、測定した前記時間積分値と、評価済みの前記少数キャリア寿命とから、前記少数キャリア寿命と前記・・・ 続きを
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【発明の効果】
本発明にかかる少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置によれば、少数キャリア寿命が短い場合にPL発光によって少数キャリア寿命を評価できるという効果を奏する。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 実施の形態1にかかる少数キャリア寿命評価方法を示す図である。
【図2】 実施の形態1にかかる少数キャリア寿命評価方法のフローチャートである。
【図3】 既知の少数キャリア寿命と取得したPL発光スペクトル強度の関係を示すグラフである。
【図4】 コドープエピ膜のPL発光スペクトル強度を示すグラフである。
【図5】 実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価方法を示す図である。
【図6】 積層欠陥抑制半導体基板の構成を示す断面図である。
【図7】 コドープ元素密度と少数キャリア寿命の関係を示すグラフである。
【図8】 従来の少数キャリア寿命評価方法であるTRPL法を示す図である。
【図9】 発光量の時間減衰から少数キャリア寿命の測定を示すグラフである。
【図10】 従来の少数キャリア寿命評価方法の限界を示すグラフである。
1 n型炭化珪素基板
2 n+型炭化珪素バッファ層
3 n型耐圧維持層
11 レーザー
12 バンドパスフィルタ
13 光学系
14 光電子増倍管
15 演算装置
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