特許第6785700号(P6785700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785700
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20201109BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20201109BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H04M1/02 G
   H05K5/02 L
   H04M9/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-65636(P2017-65636)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-170599(P2018-170599A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】山口 英紀
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−049515(JP,A)
【文献】 特開2001−076590(JP,A)
【文献】 特開2001−345027(JP,A)
【文献】 特開2012−123372(JP,A)
【文献】 特開2000−294073(JP,A)
【文献】 中国実用新案第206098232(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/00
1/16−1/18
H01H13/00−13/88
H04M1/02−1/23
9/00−9/10
H05K5/00−5/06
7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に挿通孔が開設された本体ケースと、
透光性を有する合成樹脂により成形されているとともに、前記挿通孔を介して前記本体ケースの前面側に露出する前部、及び前記挿通孔の周縁部と前後方向で重なる段部を介して前記前部の後側に設けられ、正面視が前記前部よりも大きな後部を有する発光部材と、
前記発光部材の前記前部内に、押し込み操作可能に設けられた操作部材と、
光を透過可能な薄さの合成樹脂により成形され、前記発光部材の前記後部を覆うように組み付けられるとともに、その外周縁に、前方へ立設されて前記後部の外側を覆う外壁部が設けられ、さらに前記外壁部の先端に、内側へ折り返されて前記段部と前記本体ケースとの間に介在される折り返し部が設けられた防水カバーと、
前記防水カバーの後面を覆うように配される光拡散板と、
LED及び前記操作部材により操作されるスイッチが搭載されており、前記光拡散板の後側に位置する制御基板とを備えており、
前記制御基板を前記本体ケースの内面側へ固定し、前記発光部材、前記防水カバー、及び前記光拡散板を前記制御基板と前記本体ケースの内面側とで挟み込んで固定することによって、前記防水カバーの前記折り返し部が、前記挿通孔の周縁部と前記発光部材の前記段部とにより、前記防水カバーの外縁部が前記発光部材の前記後部の先端と前記光拡散板とにより夫々前後から挟持されることを特徴とするインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば玄関の壁面に設置され、来訪者により呼出操作されるインターホン子機等といったインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばインターホン子機のように、玄関の壁面等といった屋外に設置されるインターホン機器がある。また、インターホン機器には、たとえば呼出ボタン等といったように種々の操作ボタンが設けられている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−236565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、操作ボタンを点灯させるようなインターホン機器が考案されており、操作ボタン部分における防水性の向上が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、操作ボタン部分における防水性の更なる向上を図ることができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、前面に挿通孔が開設された本体ケースと、透光性を有する合成樹脂により成形されているとともに、挿通孔を介して本体ケースの前面側に露出する前部、及び挿通孔の周縁部と前後方向で重なる段部を介して前部の後側に設けられ、正面視が前部よりも大きな後部を有する発光部材と、発光部材の前部内に、押し込み操作可能に設けられた操作部材と、光を透過可能な薄さの合成樹脂により成形され、発光部材の後部を覆うように組み付けられるとともに、その外周縁に、前方へ立設されて後部の外側を覆う外壁部が設けられ、さらに外壁部の先端に、内側へ折り返されて段部と本体ケースとの間に介在される折り返し部が設けられた防水カバーと、防水カバーの後面を覆うように配される光拡散板と、LED及び操作部材により操作されるスイッチが搭載されており、光拡散板の後側に位置する制御基板とを備えており、制御基板を本体ケースの内面側へ固定し、発光部材、防水カバー、及び光拡散板を制御基板と本体ケースの内面側とで挟み込んで固定することによって、防水カバーの折り返し部が、挿通孔の周縁部と発光部材の段部とにより、防水カバーの外縁部が発光部材の後部の先端と光拡散板とにより夫々前後から挟持されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、制御基板を本体ケースの内面側へ固定し、発光部材、防水カバー、及び光拡散板を制御基板と本体ケースの内面側とで挟み込んで固定することによって、防水カバーの折り返し部が、挿通孔の周縁部と発光部材の段部とにより、防水カバーの外縁部が発光部材の後部の先端と光拡散板とにより夫々前後から挟持されるようになっている。したがって、操作ボタン部分における防水性の更なる向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御基板を本体ケースの内面側へ固定し、発光部材、防水カバー、及び光拡散板を制御基板と本体ケースの内面側とで挟み込んで固定することによって、防水カバーの折り返し部が、挿通孔の周縁部と発光部材の段部とにより、防水カバーの外縁部が発光部材の後部の先端と光拡散板とにより夫々前後から挟持されるようになっている。したがって、操作ボタン部分における防水性の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】インターホン子機を前面側から示した説明図である。
図2】呼出ボタン部分における垂直断面を示した説明図である。
図3】呼出ボタン部分の分解状態を前側から示した斜視説明図である。
図4】呼出ボタン部分の分解状態を後側から示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、インターホン子機1を前面側から示した説明図である。図2は、呼出ボタン6部分における垂直断面を示した説明図である。図3は、インターホン子機1における呼出ボタン6部分の分解状態を前側から示した斜視説明図であり、図4は、呼出ボタン6部分の分解状態を後側から示した斜視説明図である。
【0011】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2と、前ケース2の後面側に組み付けられる後ケース(図示せず)とで構成される本体ケースを備えている。この本体ケースの前面上部には、呼び出し操作した来訪者を撮像するためのカメラ部3、及び来訪者が居住者と通話するためのマイク部4等が設けられている。また、カメラ部3の下側には、来訪者が居住者と通話するためのスピーカ部5が設けられ、さらにその下側には、来訪者が居住者を呼び出す際に押し込み操作する呼出ボタン6が設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者により呼出ボタン6が押し込み操作されると、カメラ部3により来訪者を撮像するとともに、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すようになっている。なお、7は、本体ケースの前面に組み付けられる化粧パネルである。
【0012】
ここで、本発明の要部となるインターホン子機1における呼出ボタン6部分の防水構造について説明する。
呼出ボタン6は、操作部材11と、操作部材11の周囲に配置される発光部材12と、本体ケース内への水の浸入を防止する防水カバー13と、光拡散板14と、LED15、15・・やスイッチ16が搭載された制御基板17とを有する。操作部材11は、前面が円形の操作面11aとされた透光性を有さない合成樹脂製の部材である。そして、操作面11aの周縁部から後方へむかって周壁部が立設されているとともに、周壁部の先端には、発光部材12に掛止する掛止部21が設けられている。また、操作面11aの後面中央には、防水カバー13を介してスイッチ16を操作する操作突起22が後方へ突設されている。さらに、操作面11aの後面周縁際には、防水カバー13に設けられた係合凹部31、31に係合する係合リブ23、23が突設されている。
【0013】
発光部材12は、透光性を有する合成樹脂製部材であって、内径が操作部材11と操作面11aと略同じとされた円環状の前部24と、内径及び外径ともに前部24よりも大径とされた円環状の後部25とを一体成形してなる。したがって、発光部材12の外周面で、前部24と後部25との境界部分には、径方向外側へ突出する段部26が形成されており、防水カバー13に設けられた折り返し部29が係止する被係止部として機能するようになっている。また、発光部材12の境界部分における内周側には、同様に内径が拡がる抜け止め段部27が設けられており、操作部材11の掛止部21が掛止することで操作部材11の前方への抜け止めを可能としている。
【0014】
防水カバー13は、光を透過可能な程度に薄いシリコンゴム製の部材であって、発光部材12の後部25よりも僅かに大径な正面視円形に成形されている。そして、防水カバー13の外周縁に沿っては、前方へ起立する外壁部28が周設されている。また、外壁部28の先端には、径方向内側へ折り返された折り返し部29が設けられており、折り返し部29の先端位置での開口径は、発光部材12の前部24と略同じ径となっている。一方、防水カバー13の中央部は外縁部13aよりも前方へ隆起しており、当該隆起部には、操作突起22が入り込む操作凹部30と、係合リブ23、23が係合する係合凹部31、31とが設けられている。また、防水カバー13における隆起部から外縁部13aにかけての表面は、径方向外側へ向かって徐々に後側へ傾斜する傾斜面32とされている。なお、33は、前ケース2の後面に設けられた位置決め凹部43内へ嵌まり込む位置決め突起である。
【0015】
光拡散板14は、防水カバー13と略同じ直径を有する円板体であって、透光性を有する合成樹脂により成形されており、その後面側には、多数の溝が刻設される等した拡散部14aが設けられている。また、光拡散板14の中央には、スイッチ16を露出させるための円形の開口34が設けられている。なお、35は、前ケース2の後面へ光拡散板14をネジ止めするためのネジ止め部であり、36は、制御基板17を位置決めするためのボスである。
【0016】
制御基板17には、前面側の略中央にスイッチ16が、その周囲で拡散部14aの後側に対応する位置にLED15、15・・が夫々搭載されてなる。また、制御基板17には、前ケース2の後面へ光拡散板14と共にネジ止めするためのネジ孔37、37、及びボス36が係合可能な切り欠き38が設けられている。
【0017】
一方、前ケース2には、呼出ボタン6を取り付けるためのボタン取付部が設けられている。このボタン取付部は、前ケース2の後面側から見て、前方へ凹んだ後面視円形の取付凹部41と、取付凹部41の底面(すなわち、前ケース2の前面)に開設された円形の挿通孔42とからなる。取付凹部41の開口径は、防水カバー13の直径と略同じとされている一方、挿通孔42の開口径は、取付凹部41の開口径よりは小さく、発光部材12の前部24の外径と略同じとされており、取付凹部41内へ発光部材12を取り付けた際、発光部材12のうち前部24のみが挿通孔42を介して前ケース2の前方へ突出し、本体ケースの前面側に露出するようになっている。なお、43は、位置決め突起33が嵌まり込み可能な位置決め凹部であり、44は、光拡散板14及び制御基板17をネジ止めするための固定ボスである。
【0018】
そして、上述したような呼出ボタン6の設置について説明すると、まず発光部材12の後部25側から操作部材11を発光部材12内へ嵌め込み、前部24側から操作面11aを露出させる。次に、再び発光部材12の後部25側から、今度は防水カバー13の隆起部を嵌め込んで、操作突起22を操作凹部30内へ入れ込むとともに、係合リブ23、23と係合凹部31、31とを係合させて、操作部材11と防水カバー13とを一体化する。また、防水カバー13の折り返し部29を、発光部材12の後部25の外側を回して段部26前面に係止させ、防水カバー13の外壁部28及び折り返し部29により発光部材12の後部25を外側から覆った状態とし、操作部材11及び防水カバー13と、発光部材12とを一体化する。
【0019】
さらに、一体化した状態のまま、挿通孔42を介して発光部材12の前部24及び操作部材11の操作面11aを前ケース2の前面側に露出させつつ、防水カバー13の各位置決め突起33を対応する位置決め凹部43に嵌め込み、前ケース2の後面側に操作部材11、発光部材12、及び防水カバー13を位置決めする。それから、防水カバー13の後側を覆うように光拡散板14をあてがった後、光拡散板14の更に後側に制御基板17を位置させて、ネジ40、40により制御基板17を前ケース2へとネジ止めすれば、発光部材12、防水カバー13、及び光拡散板14が、制御基板17と前ケース2とで前後から挟み込まれて固定され、呼出ボタン6の設置は完了となる。
【0020】
上述したように設置された呼出ボタン6にあって、防水カバー13は、その折り返し部29が、前ケース2の挿通孔42周縁部と発光部材12の段部26とで前後から挟持された状態となっている。また、折り返し部29の後方において防水カバー13の外縁部13aが、発光部材12の後端(後部25の先端)と光拡散板14とで前後から挟持された状態となっている。そして、防水カバー13は、このように外周縁部で挟持された状態で、制御基板17の前側を覆っており、たとえ操作部材11と発光部材12との隙間から、操作部材12の後側へ水が浸入してきたとしても、防水カバー13を超えて制御基板17側へ、ひいては本体ケース内部への更なる浸入を防止するようになっている。また、防水カバー13の隆起部から外縁部13aにかけては上述したような傾斜面32とされているため、傾斜面32ではなく垂直面とされたもの(すなわち、隆起部のみが前方へ隆起している構造のもの)と比べると、傾斜面32部分における防水カバー13と操作部材11や発光部材12との間の空間は狭くなっている。
【0021】
また、上記呼出ボタン6にあっては、操作部材11の操作面11aを押し込み操作すると、操作突起22により防水カバー13が押し込み方向(後方)へ押圧され、防水カバー13の隆起部が後方へ撓むように変形し、スイッチ16が操作されることになる。なお、押し込み操作が解除されると、防水カバー13は自身の弾性力によって変形前の状態へと復帰し、当該復帰に伴って操作部材11も押し出され、押し込み操作前の位置へ復帰する。なお、防水カバー13の位置決め突起33が、前ケース2の位置決め凹部43へ嵌め込まれ、且つ、操作部材11の係合リブ23が、防水カバー13の係合凹部31に係合した状態にあるため、操作部材11が前後方向を軸として回転することはない。
【0022】
以上のような呼出ボタン6を備えたインターホン子機1によれば、防水カバー13の折り返し部29が、前ケース2の挿通孔42周縁部と発光部材12の段部26とで前後から挟持された状態となっており、折り返し部29の後方において防水カバー13の外縁部13aが、発光部材12の後端(後部25の先端)と光拡散板14とで前後から挟持された状態となっている。そして、防水カバー13は、このように外周縁部で挟持された状態で、制御基板17の前側を覆うようになっている。したがって、たとえ操作部材11と発光部材12との隙間から、操作部材12の後側へ水が浸入してきたとしても、防水カバー13を超えて制御基板17側へ、ひいては本体ケース内部への更なる浸入が防止されることになり、高い防水性を発揮することができる。
【0023】
また、防水カバー13の隆起部から外縁部13aにかけては径方向外側へ向かって徐々に後側へ傾斜する傾斜面32とされているため、傾斜面32ではなく垂直面とされたものと比べると、傾斜面32部分における防水カバー13と操作部材11や発光部材12との間の空間は狭くなっている。したがって、操作部材11と発光部材12との隙間から防水カバー13の前面側へ浸入し得る水の量を少なくすることができ、更なる防水性の向上を図ることができる。
【0024】
さらに、防水カバー13の位置決め突起33を、前ケース2の位置決め凹部43へ嵌め込み、且つ、操作部材11の係合リブ23を、防水カバー13の係合凹部31に係合させている。したがって、発光部材12の前部24内において操作部材11が前後方向を軸として回転することを防止することができる。
【0025】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、ボタン部分の構成や防水に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0026】
たとえば上記実施形態では、操作部材や発光部材、防水カバー等を全て正面視円形に成形しているが、それらを正面視方形に構成することも当然可能であり、その際には、挿通孔を方形孔とすればよい。
また、上記実施形態では、防水カバーの中央部に係合凹部や操作凹部等を有する隆起部を設けているが、そのような隆起部を有さない、ひいては係合凹部や操作凹部等をも有さない防水カバーとすることも可能である。
さらに、上記実施形態では呼出ボタン部分における防水構造としているが、非常ボタン等の他のボタン部分における防水構造としても適宜採用可能である。
加えて、上記実施形態ではインターホン子機について説明しているが、たとえば居室内に設置されるインターホン親機等の他のインターホン機器であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、6・・呼出ボタン、11・・操作部材、12・・発光部材、13・・防水カバー、13a・・外縁部、14・・光拡散板、15・・LED、16・・スイッチ、17・・制御基板、24・・前部、25・・後部、26・・段部、28・・外壁部、29・・折り返し部、42・・挿通孔。
図1
図2
図3
図4