特許第6785762号(P6785762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785762
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】製品を加水分解する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20201109BHJP
   A23J 1/04 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   B63B35/00 Z
   A23J1/04
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-522856(P2017-522856)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公表番号】特表2018-502758(P2018-502758A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2015074134
(87)【国際公開番号】WO2016066463
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】1419096.1
(32)【優先日】2014年10月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オドヴァー ビェルゲ
(72)【発明者】
【氏名】オーレ マリウス ビェルゲ
(72)【発明者】
【氏名】エイナー リード
【審査官】 松田 芳子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02715795(US,A)
【文献】 特表平03−502164(JP,A)
【文献】 特表2013−545470(JP,A)
【文献】 特開平06−086639(JP,A)
【文献】 特表2008−532512(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02493337(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/00
A23J 1/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/FSTA/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を加水分解する装置を使用する方法であって、
前記装置は、
前記製品を受け入れる入口と前記製品を排出する出口とを有した連続的な導管であって、該導管は、長手方向軸線の周りに巻きつく経路をたどって、該導管が前記入口と前記出口との間で前記長手方向軸線に対して平行に延在するように形成されている、導管と、
前記導管の少なくとも一部を加熱する加熱システムと、
を有し、
前記導管は、前記入口で受け入れた製品を前記出口に向かって搬送するように、前記長手方向軸線を中心として回転可能であり、
前記方法は、
前記装置を設けるステップと、
加水分解される製品と1種以上の酵素とを含む製品・酵素混合物を前記導管に供給するステップと、
前記加熱システムを使用して前記導管の少なくとも一部を加熱するステップと、
前記製品・酵素混合物を前記導管の前記出口に向かって搬送するように、前記長手方向軸線を中心として前記導管を回転させるステップと、を有している、法。
【請求項2】
前記長手方向軸線を中心として前記導管を回転させる前記ステップを、前記製品・酵素混合物が前記導管の前記出口から出ていく前に30〜60分間、前記導管内に存在するような速度で行う、請求項記載の方法。
【請求項3】
前記加熱システムを使用して前記導管の少なくとも一部を加熱する前記ステップを、前記製品・酵素混合物を40〜70℃の温度に加熱する又は維持するように行う、請求項又は記載の方法。
【請求項4】
前記長手方向軸線を中心として前記導管を回転させる前記ステップは、前記製品・酵素混合物を前記導管の前記出口に向かって搬送するように前記導管を前進方向で回転させるステップと、前記製品・酵素混合物を前記導管の前記出口から離れる方向で搬送するように前記導管を後退方向で回転させるステップと、を含み、前記出口に向かって前記製品・酵素混合物の正味移動が生じるように、一定時間にわたって、前記導管を、後退方向の回転よりもより大きな量を前進方向で回転させる、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
加水分解される前記製品は、海産物である、又は海産物を含む、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
1種以上の前記酵素は、プロテアーゼ及びアルカラーゼのうちの一方又は両方を含む、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記1種以上の酵素は、総製品・酵素混合物の10質量%未満を成す、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記加熱システムは、前記導管の少なくとも一部を取り囲むタンクを含み、該タンクは、前記導管を加熱するように加熱された流体を含むように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法
【請求項9】
前記タンクはさらに、前記タンク内に含まれる流体を加熱するヒータを含む、請求項記載の方法
【請求項10】
前記タンクは、加熱された流体を収容するように構成されている、請求項記載の方法
【請求項11】
前記タンクは底部分と上部分とを含み、前記上部分は、前記底部分と前記上部分とにより閉鎖された室が形成される閉鎖構造と、前記底部分と前記上部分とにより閉鎖された室が形成されない開放構造との間で、前記底部分に対して相対的に可動である、請求項から10までのいずれか1項記載の方法
【請求項12】
前記装置は、前記入口で受け入れた製品を前記出口に向かって搬送するように、前記導管を回転させる駆動装置をさらに有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法
【請求項13】
前記駆動装置は、回転させることができるように前記導管に連結されたモータを有している、請求項12記載の方法
【請求項14】
前記導管は、その長さの少なくとも一部にわたって螺旋状である、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法
【請求項15】
前記製品を前記入口内へと導入するポンプをさらに有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を加水分解するための改良された装置及び方法に関し、特定の態様では、製品を加水分解するための連続的なプロセスを容易にする改善された装置に関する。
【0002】
背景
加水分解のプロセスは、化合物と水との化学反応を含み、通常、その結果、1つ以上の新しい化合物が形成される。加水分解は、特定の化合物を基材から抽出するために用いることができる。
【0003】
一例として、加水分解は、魚肉及びシーフードの副産物を含む海産物から特定の化合物を抽出する又は得るために使用されている。製品を加水分解する現在公知の方法はバッチプロセスを含み、このバッチプロセスでは、製品は、加水分解プロセスの持続中に大きなタンクに沈積され、その後、そこから回収される。
【0004】
製品を加水分解するための改良された装置及び/又は方法の必要性が存在している。
【0005】
本発明の特定の態様は、従来技術に関連する1つ以上の欠点を克服しようとしている。
【0006】
開示の簡単な概要
本発明の態様によれば、製品を加水分解する装置であって、
前記製品を受け入れる入口と前記製品を排出する出口とを有した連続的な導管を有していて、該導管は、前記長手方向軸線の周りに巻きつく経路をたどって、前記導管が前記入口と前記出口との間で長手方向軸線に対して平行に延在するように形成されており、
前記導管の少なくとも一部を加熱する加熱システムを有していて、
前記導管は、前記入口で受け入れた製品を前記出口に向かって搬送するように、前記長手方向軸線を中心として回転可能である、装置が提供される。
【0007】
前記加熱システムは、前記導管の少なくとも一部を取り囲むタンクを含んでいてもよく、該タンクは、前記導管を加熱するように加熱された流体を含むように構成されている。前記タンクはさらに、前記タンク内に含まれる流体を加熱するヒータを含んでいてもよい。選択的に、前記タンクは、加熱された流体を収容するように構成されていてもよい。
【0008】
前記タンクは底部分と上部分とを含んでいてもよく、前記上部分は、前記底部分と前記上部分とにより閉鎖された室が形成される閉鎖構造と、前記底部分と前記上部分とにより閉鎖された室が形成されない開放構造との間で、前記底部分に対して相対的に可動である。
【0009】
前記装置は、入口で受け入れた製品を出口に向かって搬送するように、前記導管を回転させる駆動装置をさらに有していてもよい。前記駆動装置は、回転させることができるように前記導管に連結されたモータを有していてもよい。
【0010】
特定の態様では、前記導管は、その長さの少なくとも一部にわたって螺旋状であってもよい。
【0011】
前記装置はさらに、製品を入口内へと導入するポンプを有していてもよい。
【0012】
本発明の別の態様によれば、上記のように規定された装置を含む乗り物が提供される。一例では、前記乗り物は船舶である。
【0013】
本発明の別の態様によれば、上記のように規定された装置を使用する方法であって、
上記のように規定された装置を設けるステップと、
加水分解される製品と1種以上の酵素とを含む製品・酵素混合物を前記導管に供給するステップと、
前記加熱システムを使用して前記導管の少なくとも一部を加熱するステップと、
前記製品・酵素混合物を前記導管の出口に向かって搬送するように、前記長手方向軸線を中心として前記導管を回転させるステップと、を有している方法が提供される。
【0014】
前記長手方向軸線を中心として前記導管を回転させる前記ステップを場合によっては、製品・酵素混合物が前記導管の出口から出ていく前に30〜60分間、場合によっては40〜50分間、場合によっては約45分間、前記導管内に存在するような速度で行うことができる。
【0015】
前記加熱システムを使用して前記導管の少なくとも一部を加熱する前記ステップを場合によっては、製品・酵素混合物を40〜70℃の温度に、場合によっては50〜60℃の温度に、場合によっては約55℃に加熱する又は維持するように行うことができる。
【0016】
前記長手方向軸線を中心として前記導管を回転させる前記ステップは、製品・酵素混合物を前記導管の出口に向かって搬送するように前記導管を前進方向で回転させるステップと、製品・酵素混合物を前記導管の出口から離れる方向で搬送するように前記導管を後退方向で回転させるステップと、を含んでいてもよく、一定時間にわたって、前記導管を、後退方向の回転よりも著しく大きな量を前進方向で回転させ、これにより前記出口に向かって製品・酵素混合物の正味移動が生じる。
【0017】
特定の態様では、加水分解される前記製品は、海産物である、又は海産物を含む。
【0018】
特定の態様では、1種以上の前記酵素は、プロテアーゼ及びアルカラーゼのうちの一方又は両方を含む。
【0019】
1種以上の前記酵素は、総製品・酵素混合物の10質量%未満を、場合によっては5質量%未満を、場合によっては1質量%未満を成す。
【0020】
以下に、本発明の態様を添付の図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の態様による装置を示す側方断面図である。
図2】本発明の態様による装置を示す斜視図である。
【0022】
詳細な説明
本発明の1つの態様による装置10が図1に示されている。装置10は、製品を加水分解するのに適していて、好適には、製品供給からの製品の連続的な加水分解を容易にすることができる。
【0023】
装置10は、入口14と出口16との間に延在する連続的な導管12を含む。限定することを意図しない図示した態様では、導管12はほぼ長手方向軸線100に沿って延在していて、入口14と出口16との間のその長さの大部分にわたって螺旋として形成されている。選択的な態様では、導管12は別の構造であってもよく、この別の構造では、導管12は、入口14と出口16との間の長手方向軸線100に平行に延在するように、この長手方向軸線100を中心として巻成される経路をたどっている。例えば、導管は、この規定を満たす多数の直線区分から成っていてもよい。
【0024】
図示した(図1に示したような)断面図に示した態様に戻るが、導管12は、長手方向軸線の上方の一連の頂部12aと長手方向軸線の下方の一連の谷部12bとを規定している。
【0025】
装置10はさらに、フレーム20と、フレーム20に取り付けられたタンク18とを含む。導管12は、長手方向軸線100に沿ってタンク18を横断していて、導管12はタンク18に(例えば、回転カプラ及びグラインダベアリングにより)回転可能に取り付けられている。特に、導管12は、長手方向軸線100を中心として回転することができるように回転可能に取り付けられている。長手方向軸線100を中心として導管12を回転させることにより、導管12内に含まれる製品は、長手方向軸線100に対して平行な方向に沿って導管12内で並進運動させられる。この並進運動の方向は(即ち、出口16から離れるか、又は出口16に向かうかは)、長手方向軸線100を中心とした導管12の回転方向に依存する。装置10は付加的に長手方向軸線100を中心とした導管12の回転のための駆動装置を含んでいてもよい。この駆動装置は、図2に示したモータ22を有していてもよい。モータ22、又はその他の駆動装置は、駆動可能に導管12に連結することができ、これにより導管12が回転させられる。適切な駆動可能な連結装置の例は、プーリ、チェーン、スプライン接続装置又はその他のギア接続装置であるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
タンク18は、上部分18aと底部分18bとを含む。図1では、タンク18は閉じられた構造で示されており、上部分18aは、閉じられた室を形成するように底部分18bに対して配置されている。逆に図2では、タンク18は開かれた構造で示されており、上部分18aは底部分18bから取り外されている。上部分18aは好適には、底部分18bに対して可動であるので、タンク18を閉鎖構造と開放構造とに変更することができる。
【0027】
選択的な態様では、タンク18は、単一の構成要素、又は互いに可動又は可動ではない複数の構成要素を含んでいてもよい。タンク18を含むいずれの態様でも、タンク18は、導管を加熱することができる加熱された流体(液体及び/又は気体であってもよい)を含むために構成されていてもよい。例えばタンク18は、既に加熱された流体を受け取る又は含むように構成されていてもよく、又はタンク18内の流体を加熱するように配置されたヒータの形態の加熱手段を含んでいてもよい。タンク18は、流体を収容するかつ/又は排出するための1つ以上のポートを含んでいてもよい、又は流体は、タンク18の開放構造においてタンク18内に導入されてもよい。適切な流体は、水、空気、蒸気を含む。タンク18は、流体の温度(従って、導管12及び製品の温度)を、必要に応じて制御し、維持することができる。
【0028】
選択的な態様では、装置10は、タンク18を全く有していなくてもよい。このような態様では、導管12の加熱は、異なる加熱システムにより達成することができる。本発明の特定の態様と共に使用することができる選択的な加熱システムの例は、誘導コイル、赤外線ヒータ、加熱された流体を搬送するヒートパイプを含むが、これらに限定するものではない。
【0029】
付加的に、装置10は、製品を入口14へと導入する1つ以上のポンプ、又はその他の推進機構を含んでいてもよい。
【0030】
使用時、製品は入口14から導管12へと導入され、導管12は回転され加熱される。導管12の回転により、製品は出口16に向かって移動する。製品の連続供給が入口14へと提供されるならば、装置10は、連続的なプロセスを促進することができ、この場合、製品は、入口14に入ると同時に出口16から出ていくことができる。
【0031】
いくつかの好適な態様では、製品は、新鮮な又は冷凍の魚肉及び/又はシーフード副産物を含ませることができる海産物であってもよく、又はこのような海産物を含んでいてもよい。特定の態様では、目的は、海産物のタンパク質を加水分解することであってもよい。
【0032】
加水分解のためには、1つ以上の酵素を製品に添加して、酵素・製品混合物を形成する。次いで、この酵素・製品混合物を導管12に沿って搬送すると同時に加熱することができる。1つ以上の酵素は、プロテアーゼ及び/又はアルカラーゼを含んでいてもよい。1つ以上の酵素は、導管12内へと導入される前に製品に添加されてもよい、または酵素は別個に添加されてもよい。加水分解される製品に対する酵素の使用量は、所望の加水分解度及び採用される加水分解プロセスの速度に依存する。特定の好適な態様では、1種以上の酵素は、総製品・酵素混合物の10質量%未満を、場合によっては5質量%未満を、場合によっては1質量%未満を成すことができる。
【0033】
酵素を加える前に、製品に水を加えることができ、(水を含む)製品を(例えば約50℃まで)加熱することができる。 加えられる水の量は、所望の加水分解度、加水分解される製品の粘稠度を含むいくつかのファクタに応じたものであってもよい。特定の態様では、加えられる水は、この水が加えられる製品の質量の20%〜200%であってもよく、場合によっては30%〜100%であってもよい。一例では、水は、加水分解される製品に加えられ、この場合、水は製品の質量の30%の質量を有している。
【0034】
1種以上の酵素及び/又は水が加えられる前に、製品を細かく刻む、又は他の方法で加工することができる。
【0035】
導管12は、製品・酵素混合物が導管12の出口16から出ていく前に、30〜60分間、場合によっては40〜50分間、場合によっては約45分間、導管12内に存在するような速度で、長手方向軸線を中心として回転させられてもよい。特定の製品通過時間のために必要な回転速度は、少なくとも部分的に、導管12の寸法に依存するであろう。特定の好適な態様では、導管12は、150mm〜300mmの、好適には約200mmの直径を有している。特定の別の態様では、導管12は、1000mmまでの直径を有していてもよい。導管12の軸方向の長さは(即ち、長手方向軸線100に対して平行な方向における導管の延在は)、特定の態様では、1m〜5mであってもよい。 特に好適な態様では、導管12の軸方向長さは約2mである。いくつかの好適な態様では、導管12の直径と、導管12の選択された回転速度とにより、結果として導管12を通る製品の流量は、150〜350L/hであり、好適には約250L/hである。
【0036】
導管12の回転の結果、導管に沿って製品が移動するだけではなく、加水分解プロセスを補助する製品・酵素混合物の攪拌も行われる。
【0037】
導管12は、製品・酵素混合物が導管の出口16へと搬送される前進方向で回転が行われるように、かつ付加的に、製品・酵素混合物が出口16から離れるように搬送される後退方向で回転が行われるように、回転させることができる。この場合、一定時間にわたって、導管12は、後退方向の回転よりも著しく大きな量を前進方向で回転するので、出口16に向かって製品・酵素混合物の正味移動が生じる。前進方向及び後退方向に連続的に回転させることにより、導管12に含まれる製品はより大きな攪拌を受け、これによりさらに加水分解を補助又は促進することができる。
【0038】
製品・酵素混合物が(例えば、出口16を通過することにより)導管12から取り出されると、この製品・酵素混合物を、酵素的プロセスを不活性にするために加熱することができる(例えば、約90℃で約15分間加熱する)。
【0039】
導管12から出ていく製品・酵素混合物が望ましくない不純物及び/又は固体(例えば骨)を含む場合、不純物を除去又は低減するために、ある種の精製プロセス(例えば濾過又はデカンテーション)を使用することができる。このような精製プロセスは、酵素的プロセスを不活性にする加熱ステップの前又は後に行うことができる。
【0040】
所望の粘性を得るために、加水分解された製品から水分を蒸発させることができる。付加的に又は選択的に、必要に応じて、最終的な加水分解された製品を噴霧乾燥させることができる。
【0041】
本発明の特定の態様により、比較的コンパクトにできる、加水分解を行う装置が提供される。特に、導管12の形状は、従来の加水分解システムと比較してコンパクトな配置を可能にする。本発明の特定の態様により、適切な供給があれば、製品の連続的な加水分解を容易にすることができる装置が提供される。本発明の特定の態様によれば好適には、比較的低温で行われる加水分解プロセスが可能になり、プロセス全体にわたって所定の温度に製品を維持することができる。本発明の特定の態様に関連する利点が与えられる場合、本発明の特定の態様による装置は、乗り物での使用に特に適したものとすることができ、これにより、製品又は加水分解されるものに関連する製品を伴う輸送中に、機内で加水分解プロセスを行うことができる。一例としては、本発明の特定の態様による装置は、船舶(例えば、漁船)上で使用することができる。これにより、海産物の供給源近くでの海産物製品の加水分解を容易にし、海産物を凍結して陸上に搬送し、陸上にある場所で海産物を加水分解する必要がなくなる。選択的な態様では、装置は、陸上自動車のような別の乗り物上で使用することもできる。
【0042】
本明細書の説明及び請求の範囲にわたって、「有する」及び「含む」、及びこれらの言い換えの語は、「含むがこれに限定するものではない」の意味であり、他の成分、添加物、構成要素、整数又はステップを除外しようとするものではない(除外するものではない)。本明細書の説明及び請求の範囲にわたって、文脈に他の規定がない限りは、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈に他の規定がなければ、明細書は複数形と単数形を考慮するものとして理解されるべきである。
【0043】
本発明の特定の態様、実施形態又は例に関連して説明される特徴、整数、特性、化合物、化学成分、又はグループは、本明細書に記載の他の態様、実施形態又は例と両立できないものでない限りは、これらに適用可能であると理解される。(添付の請求の範囲、要約書、図面を含む)本明細書に開示された特徴の全て及び/又は同様に開示された方法又はプロセスの全てのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが互いに排他的である組み合わせを除いて、任意に組み合わせることができる。本発明は、前述した任意の態様の詳細に限定されない。本発明の範囲は、(添付の請求の範囲、要約書、図面を含む)この明細書に開示された特徴の任意の新規のもの又は任意の新規の組み合わせまで及び、又は、ここに開示した任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規のもの又は任意の新規の組み合わせにまで及ぶ。
【0044】
読者の注意は、この出願と関連してこの明細書と同時に又はそれ以前に提出され、この明細書を用いて公衆の閲覧に供される全ての書類及び文書に向けられており、そのような書類及び文書全ての内容は、参照により本発明に含まれる。
図1
図2