【文献】
Kratz, F. et al.,Probing the Cysteine-34 Position of Endogenous Serum Albumin with Thiol-Binding Doxorubicin Derivatives. Improved Efficacy of an Acid-Sensitive Doxorubicin Derivative with Specific Albumin-Binding Properties Compared to That of the Parent Compound,Journal of Medicinal Chemistry,2002年,45(25),pp. 5523-5533
【文献】
Hochdorffer, K. et al.,Development of Novel Bisphosphonate Prodrugs of Doxorubicin for Targeting Bone Metastases That Are Cleaved pH Dependently or by Cathepsin B: Synthesis, Cleavage Properties, and Binding Properties to Hydroxyapatite As Well As Bone Matrix,Journal of Medicinal Chemistry,2012年,55(17),pp. 7502-7515
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
別段の記述がない限り、本明細書中で使用されている以下の用語及びフレーズは次の意味を有している。
【0035】
用語「直鎖または分枝C
1−C
4アルキル」に関して、本発明者は例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルのような基を意図している。
【0036】
用語「直鎖または分枝C
1−C
4ヒドロキシアルキル」に関して、本発明者は例えば2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチルのような基を意図している。
【0037】
用語「直鎖または分枝C
1−C
4アルコキシ」に関して、本発明者は例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等のような基を意図している。
【0038】
用語「ポリフッ素化アルキル」または「ポリフッ素化アルコキシ」は、2個以上のフッ素原子で置換されている上記直鎖または分枝C
1−C
4アルキルまたはC
1−C
4アルコキシ基、例えばトリフルオロメチル、トリフルオロエチル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル、トリフルオロメトキシ等を意味する。
【0039】
用語「ハロゲン」に関して、本発明者はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意図している。
【0040】
用語「一置換ベンジル」に関して、本発明者は4−メトキシベンジル、4−メチルベンジル、4−フルオロベンジル、3−メトキシベンジル、3−メチルベンジル、3−フルオロベンジル、2−メトキシベンジル、2−メチルベンジル、2−フルオロベンジル等のような基を意図している。
【0041】
用語「二置換ベンジル」に関して、本発明者は2,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,4−ジフルオロベンジル、2,3−ジメトキシベンジル、2,3−ジメチルベンジル、2,3−ジフルオロベンジル、2,5−ジメトキシベンジル、2,5−ジメチルベンジル、2,5−ジフルオロベンジル、2−フルオロ−4−メトキシベンジル、2−フルオロ−4−メチルベンジル等のような基を意図している。
【0042】
用語「直鎖または分枝C
1−C
6アルキルカルボニル」に関して、本発明者は例えばメチルカルボニル、エチルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソプロピルカルボニル等のような基を意図している。
【0043】
用語「直鎖または分枝C
1−C
6アルキルアミノカルボニル」に関して、本発明者は例えばメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル等のような基を意図している。
【0044】
本明細書中で使用されている用語「直鎖または分枝C
1−C
4スルフヒドリルアルキル」は、上に規定されている直鎖または分枝C
1−C
4アルキル基に結合している−SH基を指す。
【0045】
本明細書中で使用されている用語「直鎖または分枝C
1−C
4ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲンで置換されている上に規定されている直鎖または分枝C
1−C
4アルキル基を指す。
【0046】
用語「直鎖または分枝C
1−C
6アルキルスルホニル」に関して、本発明者は例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソプロピルスルホニル等を意図している。
【0047】
用語「直鎖または分枝C
1−C
6アルコキシカルボニル」に関して、本発明者は例えばエトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル等を意図している。
【0048】
用語「C
3−C
7シクロアルキル」に関して、別段の定めがない限り、本発明者は1つ以上の二重結合を含有し得るが、完全共役π−電子系を有さない3〜7員の全炭素単環式環を意図している。シクロアルキル基の例は、非限定的にシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエンである。
【0049】
本明細書中で使用されている用語「ヘテロシクリル」は、1〜3個の炭素原子が窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子により置換されており、ヘテロ原子が相互に直接結合されていてもよく、窒素及び硫黄は場合により酸化されていてもよく、窒素は場合により4級化されていてもよい、R4置換基を有していてもよい飽和または不飽和の非芳香族5〜7員炭素環式環を指す。ヘテロシクリル基の非限定例は、例えばピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、4−メチルピペラジニル、4−エチルピペラジニル等である。
【0050】
本明細書中で使用されている用語「アリール」は、単結合により相互に縮合または結合されている1〜2個の環部分を有し、前記環の少なくとも1個が芳香族である炭素環式炭化水素を指す。本発明に従うアリール基の例は、例えばフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、ジヒドロナフチル基である。
【0051】
本明細書中で使用されている用語「ヘテロアリール」は、酸素、窒素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有している芳香族ヘテロ環式環、典型的には4〜7員ヘテロ環を指し、窒素及び硫黄は場合により酸化されていてもよい、窒素は場合により4級化されていてもよい。ヘテロアリール環は場合により更に1つの環、または一緒に縮合されている2個以上の環、芳香族及び非芳香族炭素環式及びヘテロ環式環に縮合または連結され得る。ヘテロ原子が相互に直接結合していてもよい。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、ピリミジル、フラニル、ピロリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、チエニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、キノキサリニル、イソキノリル及びキノリルが含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、ヘテロアリール基は1〜4個のヘテロ原子を含む。「C
1ヘテロアリール基」はヘテロ芳香族基の環系中に1個の炭素原子しか存在していない(任意の置換基中の炭素原子はカウントされない)ことを指すことに注目すべきである。このようなヘテロ芳香族基の例はテトラゾリル基である。
【0052】
用語「離脱基」は、置換反応において別の基で置換され得る基を指す。離脱基は当業界で公知であり、例にはハライド(フロリド、クロリド、ブロミド及びヨージド)、アジド、スルホネート(例えば、メタンスルホネートやトリフルオロメタンルホネートのような場合により置換されているC
1−C
6アルカンスルホネート、またはp−トルエンスルホネートのような場合により置換されているC
7−C
12アルキルベンゼンスルホネート)、スクシンイミド−N−オキシド、p−ニトロフェノキシド、ペンタフルオロフェノキシド、テトラフルオロフェノキシド、カルボキシレート、アミノカルボキシレート(カルバメート)及びアルコキシカルボキシレート(カーボネート)が含まれるが、これらに限定されない。飽和炭素での置換のためには、ハライド及びスルホネートが好ましい離脱基である。カルボニル炭素での置換のためには、例えばハライド、スクシンイミド−N−オキシド、p−ニトロフェノキシド、ペンタフルオロフェノキシド、テトラフルオロフェノキシド、カルボキシレートまたはアルコキシカルボキシレート(カーボネート)が離脱基として使用され得る。用語「離脱基」は、脱離反応、例えば電子カスケード反応またはスピロ環化反応の結果として脱離する基をも指す。この場合、例えばハライド、スルホネート、アジド、アミノカルボキシレート(カルバメート)またはアルコキシカルボキシレート(カーボネート)が離脱基として使用され得る。
【0053】
化学官能基の別の基への変換には望ましくない副反応を避けるために該官能基を含有している化合物中の1個以上の反応性中心を保護しなければならないことは当業者に公知である。反応性中心の保護及び合成変換の最後でのその後の脱保護は、文献(例えば、Green,Theodora W.and Wuts,Peter G.M.−Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley & Sons Inc.,New York(NY),1999を参照されたい)に記載されている標準手順に従って行われ得る。
【0054】
従って、用語「保護基」は、化学合成においで反応性中心を保護するために使用される基、例えばヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH)、チオール基(−SH)、カルボニル基(−C=O)、カルボキシル基(−COOH)を指す。保護基の例は文献(例えば、同書を参照されたい)に報告されているものである。
【0055】
用語「窒素保護基」は、窒素原子と一緒にカルバメート、アミド、環状イミド、N−アルキル及びN−アリールアミンを形成する基を指す。前記保護基は当業界(例えば、同書を参照されたい)で公知である。カルバメート保護基の非限定例は、例えばメチル及びエチルカルバメート、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、t−ブチルカルバメート(BOC)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−ニトロベンジル等である。アミドの非限定例は、例えばN−トリクロロアセタミド、N−トリフルオロアセタミド(TFA)等である。環状イミド保護基の非限定例は、例えばN−フタルイミド、N−ジチアスクシノイルイミド(Dts)等である。N−アルキル及びN−アリール保護基の非限定例は、例えばN−アリルアミン、N−ベンジルアミン等である。
【0056】
用語「ヒドロキシル保護基」は、酸素原子と一緒にエーテル、エステル、環状アセタールまたはケタールを形成する基を指す。前記保護基は当業界(例えば、同書を参照されたい)で公知である。エーテル保護基の非限定例は、例えばアルキルエーテル及びベンジルエーテル、例えばメトキシメチルエーテル(MOM−OR)、テトラヒドロピラニルエーテル(THP−OR)、アリルエーテル(Allyl−OR)、ベンジルエーテル(Bn−OR)、トリフェニルメチルエーテル(Tr−OR)等;シリルエーテル、例えばトリメチルシリルエーテル(TMS−OR)、t−ブチルジメチルシリルエーテル(TBS−ORまたはTBDMS−OR)、t−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS−OR)、ジフェニルメチルシリルエーテル(DPMS−OR)等である。エステル保護基の非限定例は、例えばトリフルオロアセテート、ベンゾエート(Bz−OR)及びカーボネート、例えばエチルカーボネート等である。環状アセタールまたはケタール保護基の非限定例は、例えばメチレンアセタール、エチリデンアセタール、メトキシメチレンアセタール等である。
【0057】
用語「活性化部分」は、該活性化部分が結合している化学官能基の化学反応性を改善する官能基を指す。このようにして活性化され得る化学官能基は、例えばアミン及びカルボニルであり得る。活性化アミンの例は、アルキルスルホニルオキシアミン、アルキルスルホニルオキシカルバメート、フェニルスルホニルオキシアミン、フェニルスルホニルオキシカルバメートである。活性化カルボニル基の例は、例えば活性化エステルである。
【0058】
用語「活性化エステル」は、エステル部分のアルコキシ基が良好な離脱基である官能基を指す。アルコキシ基の例には、スクシンイミド−N−オキシド(NHSエステル)、p−ニトロフェノキシド、ペンタフルオロフェノキシド、テトラフルオロフェノキシド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及び1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、及び匹敵する離脱能を有する基が含まれるが、これらに限定されない。未置換のアルキルをベースとするアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシは良好な離脱基として適格でなく、従ってメチル、エチル、イソプロピル及びtert−ブチルエステルは活性化エステルであると見なされない。
【0059】
用語「電子吸引基」は、電子密度を隣接原子からそれ自体の方向に通常共鳴または誘起効果により引き出す原子基を指す。非限定例は、ハロゲン、トリフルオロメチル基、ニトロ(NO
2)基及びニトリル(CN)である。
【0060】
用語「求核試薬」は、求核基を有している分子を指す。用語「求核基」は、化学反応において求電子基に電子対を与えて化学結合を形成する種を指す。求核基の例には、ハロゲン、アミン、ナイトライト、アジド、ヒドロキシル、アルコキシドアニオン、カルボキシレートアニオン、チオール、チオレート等が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
用語「求電子基」は、化学反応において求核基から電子対を受け取って化学結合を形成する種を指す。求電子基の例には、エステル、アルデヒド、アミド、ケトン等が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
用語「非天然アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸(L−立体異性体)のD−異性体を指す。
【0063】
好ましいアントラサイクリン部分(Ant)は、以下に示す式(IIa)、(IIIa)、(IVa)及び(Va):
【0064】
【化2】
(式中、R1、R2及びR15は上に規定されている通りである)
の化合物である。
【0065】
式(I)の化合物の医薬的に許容され得る塩には、無機または有機塩基、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属、特にナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムまたはマグネシウム水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、非環状または環状アミンとの塩も含まれる。
【0066】
式(I)の化合物の医薬的に許容され得る塩には、無機または有機酸、例えば硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、フマル酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メヌンスルホン酸、イセチオン酸及びサリチル酸との塩が含まれる。
【0067】
立体中心または別の形態の異性体中心が本発明の化合物中に存在しているならば、エナンチオマーやジアステレオマーを含めた異性体の全ての形態が本発明に包含されると意図される。立体中心を含む化合物はラセミ混合物、エナンチオマーを多く含む混合物として使用され得、またラセミ混合物は公知の技術を用いて分離され得、個々のエナンチオマーは単独で使用され得る。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有している場合には、シス(Z)及びトランス(E)異性体の両方が本発明の範囲内である。
【0068】
化合物が互変異性体の形態で存在する場合には、各異性体が均等に存在していても、1つの形態が優勢に存在していても本発明の範囲に含まれると意図される。
【0069】
条件付きで開裂可能な部分L
存在するならば、L部分はある条件に導かれたときまたはある条件下で化学的、光化学的、物理的、生物学的または酵素的プロセスにより開裂され得る条件付きで開裂可能な基である。これらの条件の1つは、例えば本発明の化合物をLの加水分解をもたらす水性環境に導くこと;もしくは本発明の化合物をLを認識し、開裂する酵素を含む環境に導くこと;もしくは本発明の化合物をLの還元及び/または除去をもたらす還元条件下に導くこと;もしくは本発明の化合物をLの酸化及び除去をもたらす酸化条件下に導くこと;もしくは本発明の化合物をLの開裂をもたらす放射線、例えばUV光と接触させること;または本発明の化合物をLの開裂をもたらす熱と接触させることであり得る。この条件は、循環系中に偏在性酵素が存在するために本発明の化合物を動物、例えばヒトのような哺乳動物に投与した直後に直面し得る。或いは、前記条件は、化合物が例えば内部要因(例えば、標的特異的酵素または低酸素)の存在、または外部要因(例えば、放射線、磁場)の適用により特定の臓器、組織、細胞、細胞内標的、或いは細菌性、ウイルス性または微生物性標的に局在化すると直面し得る。
【0070】
1つの実施形態では、Lは、身体の他の部分と比較して標的細胞の付近または内部に存在している酵素または加水分解条件により、または標的細胞の付近または内部に存在する酵素または加水分解条件により開裂される部分であり得る。標的部位特異性が単に標的部位でのLの選択的変換及び/または開裂に基づいてのみ達成されるならば、開裂を引き起こす条件は好ましくは少なくともある程度標的部位特異性でなければならないことを認識することが重要である。
【0071】
1つの実施形態では、Lの開裂は細胞内で起こる。
【0072】
別の実施形態では、Lの開裂は細胞外で起こる。
【0073】
別の実施形態では、Lの開裂は偏在性細胞内酵素により起こる。
【0074】
Ant−L結合が開裂すると、以下に報告するように式(II)’、(III)’、(IV)’または(V)’のアントラサイクリンが遊離する。
【0076】
1つの好ましい実施形態では、Lは、循環系中に存在する偏在性酵素(例えば、エステラーゼ)または細胞内酵素(例えば、プロテアーゼ及びホスファターゼ)により、またはpH制御加水分解により開裂され得る部分であり得る。従って、Lは場合により結合している原子と一緒に、インビボで開裂され得るアミド、アミン、エステル、エーテルまたはヒドラゾン結合を形成し得る。
【0077】
より好ましい実施形態では、Antが式(IIa)を有している場合、Lは独立して存在しないか、または式(VIa)、(VIb)及び(VIc):
【0078】
【化4】
(式中、C
1−C
6アルキルは直鎖または分枝鎖であり;R3は存在しないか、または水素であり;波線はAntへの結合点を示す)
から選択される基である。
【0079】
別のより好ましい実施形態では、Antが式(IIIa)を有する化合物の場合、Lは独立して存在しないか、または式(VIIa)及び(VIIb):
【0080】
【化5】
(式中、
R9は独立して存在しないか、または直鎖または分枝C
1−C
4アルキルまたはヒドロキシであり;
nは0〜2の整数であり;
波線はAntへの結合点を示す)
から選択される基である。
【0081】
別のより好ましい実施形態では、Antが式(IVa)を有する場合、Lは独立して存在しないか、または式(VIIIa):
【0082】
【化6】
(式中、R3は上に規定されている通りであり;波線はAntへの結合点を示す)
の基である。
【0083】
別のより好ましい実施形態では、Antが式(Va)を有する場合、Lは独立して存在しないか、または式(IXa)〜(IXd):
【0084】
【化7】
(式中、C
1−C
6アルキルは直鎖または分枝鎖であり;R3は存在しないか、または水素であり;波線はAntへの結合点を示す)
から選択される基である。
【0085】
自壊性系W
存在するならば、W基は、式(I)の化合物中で部分Lを式(I)の誘導体の他の部分(Z−RM)に安定的につなぐ自壊性系である。L−W間の結合、またはLが存在しないときにはWとAnt間の結合は、上記したようなある条件に導かれたときまたはある条件下で化学的、光化学的、物理的、生物学的または酵素的プロセスにより活性化されると不安定になり、場合により対応する部分が遊離されてもよい。
【0087】
自壊性系は、例えば溶解度を向上させるために、またはアントラサイクリン部分と反応性部分RM間のスベースを改善するために式(I)の化合物中に取り込まれ得る。加えて、自壊性基は求核試薬に対するRMの反応性をモジュレートすることができる。
【0088】
自壊性系は当業者に公知である(例えば、WO 2002/083180及びWO 2004/043493に記載されているもの;またはTranoy−Opalinsi,A.ら,Anticancer Agents in Medicinal Chemistry,2008,8,618−637;Ahmed Alouaneら,Angew.Chem.Int.,Ed.2015,54,7492−7509に記載されているものを参照されたい)。自壊性基の他の例には、場合により置換されている置換されていてもよい4−アミノ酪酸アミド、適当に置換されているビシクロ[2.2.1]及びビシクロ[2.2.2]環系、または2−アミノフェニルプロピオン酸アミド[WO 2005/079398,WO 2005/105154及びWO 2006/012527;Greenwald,R.B.ら,Adv.Drug Delivery Rev,2003,55,217−250;Kingsbury,W.D.ら,J.Med.Chem.,1984,27,1447−1451を参照されたい]が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
1つの好ましい実施形態では、Wは結合している原子と一緒に、場合により活性化されると開裂され得るカーボネート、カルバメート、尿素、エステル、アミドまたはエーテル結合を形成し得る。
【0090】
より好ましい実施形態では、Wは独立して存在しないか、または式(Xa)〜(Xf):
【0091】
【化9】
(式中、
2つのR3置換基の1つはLへのつなぎ鎖、またはLが存在しないときにはAntへのつなぎ鎖であり、他方は存在しないか、または水素であり;
R10及びR11は各々独立してハロゲン、メチル、エチル、または直鎖または分枝C
1−C
4ヒドロキシアルキルであり;
mは0〜3の整数であり;
Aは直鎖または分枝C
1−C
3アルキル鎖、−CH
2NH−、−NH−またはN−R10であり、ここでR10は上に規定されている通りであり;
R12及びR13は各々独立して水素、ハロゲン、メチル、エチル、直鎖または分枝C
1−C
4ヒドロキシアルキル、直鎖または分枝C
1−C
4ハロアルキルであり、またはR12及びR13は一緒に3〜6員炭素環を形成する)
から選択される基である。
【0092】
リンカーZ
存在するならば、リンカーZはペプチド(Z1)、非ペプチド(Z2)またはハイブリッド(Z3)であり得、前記ハイブリッドリンカーはペプチドと非ペフチドである。式(I)の化合物中で、リンカーZは、上記したようなある条件に導かれたときまたはある条件下で化学的、光化学的、物理的、生物学的または酵素的プロセスにより開裂されて、場合により対応する部分が遊離されてもよい(例えば、Dubowchik G.M.ら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,8,1998,3347−3352;Burke P.J.ら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,19,2009,2650−2653を参照されたい)。
【0094】
Zと部分Ant−L−W、Ant−L(Wが存在しない場合)、またはAnt(L及びWの両方が存在しない場合)間の結合は、上記したようなある条件に導かれたときまたはある条件下で化学的、光化学的、物理的、生物学的または酵素的プロセスにより活性化されると不安定になり、場合により対応する部分が遊離されてもよい。
【0095】
Zと結合原子の間の結合はカーボネート、カルボネート、尿素、エステル、アミド、チオアミドまたはジスルフィド基を形成し得る。
【0096】
リンカーZは直鎖または分枝であり得る。
【0097】
1つの実施形態では、Zは存在しない。
【0098】
別の実施形態では、Zは、蛋白分解酵素、プラスミン、カテプシン、β−グルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼ、前立腺特異抗原(PSA)、ウロキナーゼタイププラスミノーゲンアクチベーター(u−PA)、またはマトリックスメタロプロテアーゼのファミリーのメンバーにより開裂され得るペプチドリンカーZ1である。
【0099】
別の実施形態では、Zは、1つ以上の非ペプチド水溶性部分を含み得る非ペプチドリンカーZ2である。この場合、リンカーは式(I)の化合物の水溶性に寄与する。別の実施形態では、Z2は、式(I)の化合物の水溶性をも向上させる部分でも、そうでなくてもよい式(I)の化合物の凝集を低下させる1つ以上の非ペプチド部分を含有し得る非ペプチドリンカーである。
【0100】
例えば、非ペプチド水溶性Z2リンカーはオリゴエチレングリコールまたはポリエチレングリコール部分、またはその誘導体を含有し得る。
【0101】
別の実施形態では、Zは、一般式Z1−Z2(式中、Z1及びZ2は独立してペプチドリンカーまたは非ペプチドリンカーである)のペプチド及び非ペプチド残基の両方を含有し得るハイブリッドリンカーZ3である。ハイブリッドリンカーは式(I)の化合物の溶解性に寄与し得、及び/または蛋白分解酵素により、例えばマトリックスメタロプロテアーゼのファミリーのメンバーにより開裂され得る基質であり得る。
【0102】
好ましい実施形態では、Z1は、天然L−アミノ酸、非天然D−アミノ酸、合成アミノ酸またはその組合せを含む単一アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはオリゴペプチド部分であり、C末端またはN末端アミノ酸残基の一方はAnt、WまたはLに連結し、他の末端アミノ酸は場合によりRMに連結していてもよい。
【0103】
より好ましい実施形態では、Z1は、そのC末端を介してWに、Wが存在しない場合にはLに、W及びLの両方が存在しない場合にはAntに連結しているジペプチドまたはトリペプチドである。
【0104】
別のより好ましい実施形態では、ジペプチドまたはトリペプチドのC末端アミノ酸残基はグリシン、ロイシン、アラニン、アルギニン及びシトルリンから選択され、N末端アミノ酸残基は天然または非天然アミノ酸から選択される。好ましくは、トリペプチドの場合、中間アミノ酸残基はアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン及びプロリンから選択される。
【0105】
別のより好ましい実施形態では、Z1は、C末端アミノ酸が天然または非天然アミノ酸から選択され、N末端アミノ酸残基が6−アミノヘキサン酸であるペンタペプチドからなる。
【0106】
好ましい実施形態では、Z2は、オリゴエチレングリコールまたはポリエチレングリコール部分、またはその誘導体を含有し得る。
【0108】
【化11】
(式中、2つのR3の1つはAnt、WまたはLへのつなぎ鎖であり、他方は存在しないか、または水素であり;
pは1〜20の整数である)
から選択される基である。
【0109】
好ましい実施形態では、Z3は、天然L−アミノ酸及び非天然D−アミノ酸を含む単一アミノ酸、トリペプチドまたはテトラペプチドであるペプチド部分Z1、及びオリゴエチレングリコールまたはポリエチレングリコール部分、またはその誘導体である非ペプチド部分Z2を含むハイブリッド部分である。
【0110】
別の好ましい実施形態では、Zは、式(XIIa)〜(XIIn)
【0111】
【化12】
(式中、2つのR3の1つはAnt、WまたはLへのつなぎ鎖であり、他方は存在しないか、または水素である)
から選択される。
【0112】
反応性部分RM
存在するならば、RM部分は反応性部分を予め官能基化する必要なく、比較的温和な条件下で求核試薬、すなわち求核基を有している分子と反応し得る求電子基であり、反応性部分と求核試薬間の反応は熱、圧力、触媒、酸及び塩基からなる群から選択される1つ以上の因子の適用のみを必要としている。
【0113】
RMとZ間、RMとW間(Zが存在しない場合)、RMとL間(W及びZの両方が存在しない場合)、またはRMとAnt間(L、W及びZのすべてが存在しない場合)の結合は、上記したようなある条件に導かれたときまたはある条件下で化学的、光化学的、物理的、生物学的または酵素的プロセスにより開裂され、場合により対応する部分が遊離されてもよい。
【0114】
従って、RM部分が存在しているときには、式(I)の化合物は各種タイプの求核試薬とコンジュゲートする。RMが存在していないときには、式(I)の化合物はL、W及び/またはZ部分に存在する1個以上の求核基、例えばアミン、チオール及びアルコール基を介して各種タイプの求電子試薬、すなわち求電子基を有する分子とコンジュゲートする。
【0115】
反応性部分の例には、カルバモイルハライド、アシルハライド、活性化エステル、無水物、α−ハロアセチル、α−ハロアセトアミド、マレイミド、イソシアネート、イソチオシアネート、ジスルフィド、チオール、ヒドラジン、ヒドラジド、スルホニルクロリド、アルデヒド、メチルケトン、ビニルスルホン、ハロメチル及びメチルスルホネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0116】
本発明の1つの好ましい実施形態では、RMが反応し得る求核試薬の求核基がNH、NH
2、SHまたはOHである場合、RMは独立して存在しないか、または式(XIIIa)−(XIIIm):
【0117】
【化13】
(式中、R14はC
1−C
3アルキル、またはNO
2及びCN基を含む電子吸引基であり;rは0〜7の整数であり;R10、R12及びR13は上に規定されている通りであり;波線は式(I)の誘導体中の結合点を示す)
から選択される。
【0118】
本発明の別の好ましい実施形態では、RMが反応し得る求核試薬の求核基がCOOHの場合、RMは独立して存在しないか、または式(XIIIj)〜(XIIIk)
【0119】
【化14】
から選択される基である。
【0120】
上記すべてから、式(I)のモルホリニルアントラサイクリン誘導体が部分L、W、Z及びRMを連結するすべての結合で開裂され得ると、式(II)’、(III)’、(IV)’または(V)’のアントラサイクリンが遊離され得ることに留意すべきである。
【0121】
場合により医薬的に許容され得る塩の形態の本発明の式(I)の具体的な非限定的な好ましい化合物(化合物)は次の化合物(1)〜(20)、(23)〜(27)、(75)〜(78)からなる群から選択される:
【0123】
場合により医薬的に許容され得る塩の形態の本発明の式(I)の具体的化合物を照合するために、実施例の欄及び特許請求の範囲を参照されたい。
【0124】
本発明は、当業界で利用可能な技術及び容易に入手し得る出発物質を使用し、下記する反応ルート及び合成スキームを用いることによる上に規定されている式(I)の化合物の製造方法をも提供する。本発明のある実施形態の製造を以下の実施例に記載するが、当業者は記載されている製造方法を本発明の他の実施形態を製造するために容易に適合し得ることを認識している。例えば、本発明に従う例示されていない化合物の合成は、例えば干渉基を適切に保護することにより、当業界で公知の他の適当な試薬に変更することにより、または反応条件をルーチンに修飾することにより当業者に自明の修飾により実施し得る。或いは、本明細書中で言及されているか、または当業界で公知の他の反応は本発明の他の化合物を製造するための適合性を有していると認識されている。
【0125】
合成方法
式(I)の誘導体は、当業者に公知の有機化学反応、条件及び試薬を用いて幾つかのルートにより製造され得る。式(I)の誘導体は、各部分をカップリングすることにより逐次、すなわち各部分を1つずつ付加することにより、または同時に、すなわち前もって中間体を形成し、最後にこれらをカップリングして所望の誘導体を得ることにより製造され得る。
【0126】
カップリング反応には、
(1)式(II)’、(III)’、(IV)’及び(V)’のアントラサイクリンの求核または求電子基を二価試薬Lと反応させて共有結合を介して中間体Ant−Lを形成した後、場合により二価試薬Wと反応させて共有結合を介して中間体Ant−L−Wを形成し、その後場合により二価試薬Zと反応させて共有結合を介して中間体Ant−L−W−Zを形成し、最後に場合により反応性部分RMと反応させて最終官能基化モルホリニルアントラサイクリン誘導体(I)を形成する;
(2)式(II)’、(III)’、(IV)’及び(V)’のアントラサイクリンの求核または求電子基を二価試薬L−W−Z−と反応させて共有結合を介してAnt−L−W−Zを形成した後、反応性部分RMと反応させて最終官能基化モルホリニルアントラサイクリン誘導体(I)を形成する;
(3)式(II)’、(III)’、(IV)’及び(V)’のアントラサイクリンの求核または求電子基を試薬L−W−Z−RMと反応させて最終官能基化モルホリニルアントラサイクリン誘導体(I)を形成する:
のような非限定例が含まれる。
【0127】
その後、官能基化誘導体(I)を各種タンパク質、薬物部分、ペプチド、アプタマー、ポリマーまたはナノ粒子とコンジュゲートさせて、薬物−コンジュゲート化合物を作成し得る。
【0128】
中間体上の求核基には、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えばリシン、(iii)側鎖チオール基、例えばシステイン、(iv)ヒドロキシル基が含まれるが、これらに限定されない。これらの基はリンカー部分及びリンカー試薬上の求電子基と反応し得、これらには(i)活性エステル、例えばNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)エステル、HOBtエステル、ハロホルメート及び酸ハライド、(ii)アルキル及びベンジルハライド、例えばハロアセタミド、(iii)アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド基が含まれる。
【0129】
式(II)’、(III)’、(IV)’及び(V)’のアントラサイクリンの製造
式(I)の誘導体の製造において反応させる式(II)’、(III)’、(IV)’及び(V)’のアントラサイクリンは、以下のスキームXに要約されている代替経路の1つに従って製造され得る。スキームXには、経路Fに従う式(XXIV)の中間体化合物の製造及び経路Gに従う式(XX)の出発物質化合物の製造も要約されている。
【0131】
経路A
上に規定されている式(II)’または(V)’(式中、R1は上に規定されている通りであり、R2はOR6またはNR7R8であり、ここでR6、R7及びR8は上に規定されている通りである)の化合物は、以下のスキームAに要約されているように製造される。
【0133】
従って、本発明の方法は以下のステップを含む:
A1)式(XX)
【0134】
【化18】
(式中、R1はハロゲンまたはNR4R5であり、ここでR4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C
1−C
6アルコキシカルボニル−から選択される場合により置換されていてもよい基であり、またはR4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されているヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は水素、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル及びNR7R8−C
1−C
6アルキル−から選択される基であり、R6、R7及びR8は独立して水素、または場合により置換されている直鎖または分枝C
1−C
6アルキルである)
の化合物を式(XXI)
【0135】
【化19】
(式中、X及びYは同一または異なり、離脱基、好ましくはハロゲンである)
の化合物と反応させる;
A2)生じた式(XXII)
【0136】
【化20】
(式中、R1は上に規定されている通りである)
の化合物をオルトギ酸エチル及び臭素と反応させた後、HBrを添加する;
A3)生じた式(XXIII)
【0137】
【化21】
(式中、R1は上に規定されている通りである)
の化合物をホルミル化剤と反応させる;
A4)生じた式(XXIV)
【0138】
【化22】
(式中、R1は上に規定されている通りである)
の化合物を酸化する;
A5)生じた式(XXV)
【0139】
【化23】
(式中、R1は上に規定されている通りである)
の化合物を式(XXVa)または(XXVb)
R6−OH(XXVa);R7R8NH(XXVb)
(式中、R6、R7及びR8は上に規定されている通りである)
の化合物と反応させる;
A6a)生じた式(XXVI)
【0140】
【化24】
(式中、R1は上に規定されている通りであり、R2はOR6またはNR7R8である)
の化合物をまずDMDOと反応させる;
A6b)次いで、生じた式(XXVII)
【0141】
【化25】
(式中、R1及びR2は上に規定されている通りである)
の化合物をシアヌル酸クロリドまたは鉄(II)塩と反応させ、最後に所望により窒素及び/またはヒドロキシ保護基を除去して、式(II)’
【0142】
【化26】
(式中、R1及びR2は上に規定されている通りである)
の化合物を得る;
場合により、上に規定されている式(II)’の第1化合物を公知の化学反応により式(II)’の第2化合物に変換し;及び/または所望により、式(II)’の化合物をその医薬的に許容され得る塩に変換し、または塩を式(II)’の遊離化合物に変換する。
【0143】
R1がNH−R4であり、ここでR4が水素、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C
1−C
6アルコキシカルボニルであり、R8がHであり、R7が上に規定されている通りである場合、式(II)’の誘導体は式(V)’の誘導体に相当し、従って上記した製造は式(V)’の誘導体の製造にも当てはまると意図されることに注目されたい。
【0144】
ステップA1)によれば、式(XX)の化合物の式(XXI)の化合物との反応は、当業界(例えば、WO 91/09046を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って有機溶媒、好ましくはDMF中室温で実施される。
【0145】
ステップA2)によれば、式(XXII)の化合物のオルトギ酸エチル及び臭素、次いでHBrとの反応は、当業界(例えば、Doxorubicin Anticancer Antibiotics,Vol.17,1981,p.168;F.Arcamoneら,J.Med.Chem.,1974,17,p.335を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って2ステップで実施される。
【0146】
ステップA3)によれば、式(XXIV)の化合物を得るための反応は、当業界(例えば、Doxorubicin Anticancer Antibiotics,Vol.17,1981,p.168;US 3803124を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。方法を限定すると意図しない例は式(XXIII)の化合物のギ酸ナトリウムとの反応である。反応はCH
3CN、アセトンまたはその混合物中、約20℃から環流の範囲の温度で約30分間から約24時間の範囲の時間実施される。
【0147】
ステップA4)によれば、式(XXIV)の化合物の酸化は、酸化試薬、好ましくはNalO
4を用いて実施される。反応はMeOH、水またはその混合物中、約20℃から環流の範囲の温度で約30分間〜約24時間の範囲の時間実施される。
【0148】
ステップA5)によれば、式(XXV)の化合物と式(XXVa)または(XXVb)の化合物とのカップリング反応は、当業界(一般的なカップリング試薬については、例えばAmino Acids,Peptides and Proteins in Organic Chemistry:Building Blocks,Catalysis and Coupling Chemistry,第3巻;Andrew B.Hughes,Ayman El−Faham,Fernando Albericio,2010を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。方法を限定すると意図しない例は、縮合剤、例えばDCCまたはEDCの存在下での式(XXV)の化合物の式(XXVa)の化合物との反応である。この反応は有機溶媒、好ましくはDMF中、約20℃から環流の範囲の温度で約30分間〜約24時間の範囲の時間実施される。
【0149】
ステップA6a)及びA6b)によれば、式(XXVI)の化合物のまずDMDOとの反応、次いで生じた式(XXVII)の化合物のシアヌル酸クロリドまたは鉄(II)塩との反応は、当業界(例えば、GB 2296495A、WO 2012073217、WO 9802446を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。
【0150】
所要による窒素及び/またはヒドロキシ保護基の除去は、当業界(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis;Theodora W.Greeen,Peter G.M.Wuts,第4版を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。
【0151】
経路B
上に規定されている式(II)’(式中、R1はハロゲンまたはNR4R5であり、ここでR4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C
1−C
6アルコキシカルボニル−から選択される場合により置換されている基であり;またはR4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されているヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は水素、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル及びNR7R8−C
1−C
6アルキル−から選択される基であり;R6、R7及びR8は独立して水素、または場合により置換されている直鎖または分枝C
1−C
6アルキルであり;
R2はメチルである)
の化合物は、以下のスキームBに要約されているように製造される。
【0153】
従って、本発明の方法は以下のステップを含む:
B1)経路Aに規定されている式(XXII)の化合物をステップA6a)及びA6b)に報告されている同一条件下で反応させて、式(II)’
【0154】
【化28】
(式中、R1及びR2は上に規定されている通りである)
の化合物を得;
場合により、上に規定されている式(II)’の第1化合物を公知の化学反応により式(II)’の第2化合物に変換し;及び/または所望により、式(II)’の化合物をその医薬的に許容され得る塩に変換し、または塩を式(II)’の遊離化合物に変換する。
【0155】
R1がNH−R4であり、ここでR4が水素、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C1−C
6アルコキシカルボニルであり、ここでR8がHであり、R7が上に規定されている通りである場合、式(II)’の誘導体は式(V)’の誘導体に相当し、従って上記した製造は式(V)’の誘導体の製造にも当てはまると意図されることに注目されたい。
【0156】
ステップB1)によれば、反応はそれぞれステップA6a)及びA6b)に上記されているように実施される。
【0157】
経路C
式(III)’(式中、R1はハロゲンまたはNR4R5であり、ここでR4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C
1−C
6アルコキシカルボニル−から選択される場合により置換されている基であり;またはR4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されているヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は水素、または直鎖または分枝O−C
1−C
6アルキル及びNR7R8−C
1−C
6アルキル−から選択される基であり、ここでR6、R7及びR8は独立して水素、または場合により置換されている直鎖または分枝C
1−C
6アルキルである)
の化合物は、以下のスキームCに要約されているように製造される。
【0159】
従って、本発明の方法は以下のステップを含む:
C)経路Aに規定されている式(XXIV)の化合物をステップA6a)及びA6b)に報告されている同一条件下で反応させて、式(III)’
【0160】
【化30】
(式中、R1は上に規定されている通りである)
の化合物を得る。
【0161】
経路D
式(IV)’(式中、R1はハロゲンまたはNR4R5であり、ここでR4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C
1−C
6アルコキシカルボニル−から選択される場合により置換されている基であり;またはR4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は水素、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル及びNR7R8−C
1−C
6アルキル−から選択される基であり;R6、R7及びR8は独立して水素、または場合により置換されている直鎖または分枝C
1−C
6アルキルであり;
R2はヒドロキシである)
の化合物は、以下のスキームDに要約されているように製造される。
【0163】
従って、本発明の方法は以下のステップを含む:
D)経路Aに規定されている式(XXV)の化合物をステップA6a)及びA6b)に報告されている同一条件下で反応させて、式(IV)’
【0164】
【化32】
(式中、R1は上に規定されている通りであり、R2はヒドロキシである)
の化合物を得る。
【0165】
経路F
または、経路Aに規定されている式(XXIV)の誘導体は、以下のスキームFに要約されているように製造される。
【0167】
従って、本発明の方法は以下のステップを含む:
F1)式(XXVIII)
【0168】
【化34】
(式中、R1はハロゲンまたはNR4R5であり、ここでR4及びR5は上に規定されている通りである)
の化合物を臭素及び酢酸カリウムと反応させる;
F2)生じた式(XXIX)
【0169】
【化35】
(式中、R1は上に規定されている通りである)
の化合物を式(XXIXa)
【0170】
【化36】
(式中、R23及びR24は独立して水素、または適当な窒素またはヒドロキシ保護基、例えばトリフルオロアセチルまたはベンジルである)
の糖と反応させる;
F3)生じた式(XXX)
【0171】
【化37】
(式中、R1、R23及びR24は上に規定されている通りである)
の化合物をオルトギ酸エチル及びピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)と反応させる;
F4)生じた式(XXXI)
【0172】
【化38】
(式中、R1及びR24は上に規定されている通りである)
の化合物を上に規定されている式(XXI)の化合物と反応させる;
F5)生じた式(XXXII)
【0173】
【化39】
(式中、R1及びR24は上に規定されている通りである)
の化合物を脱保護して、上に規定されている通りの式(XXIV)の化合物を得る。
【0174】
ステップF1)によれば、反応は有機溶媒、好ましくはアセトンまたはジオキサン中、20℃から環流の範囲の温度で約30分間から約24時間の範囲の時間実施される。
【0175】
ステップF2)によれば、式(XXIX)の化合物のグリコシド化反応は、当業界(例えば、GB 2225781、GB 2215332Aを参照されたい)で報告されている公知の手順に従って銀トリフルオロメタンスルホネートの存在下で実施される。
【0176】
ステップF3)によれば、式(XXXI)の化合物を得るための反応は、式(XXX)の化合物をオルトギ酸エチル及びPPTSと反応させることにより実施される。反応は有機溶媒、好ましくはDCM中、0℃から環流の範囲の温度で約30分間から約24時間の範囲の時間実施される。
【0177】
ステップF4)によれば、反応はステップA1に上記されているように実施される。
【0178】
ステップF5)によれば、ヒドロキシ保護基の除去は、当業界(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis;Theodora W.Greeen,Peter G.M.Wuts,第4版を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。
【0179】
経路G
経路Aに規定されている式(XX)(式中、R1はNH
2及びハロゲンを除き本明細書中に規定されている通りである)の化合物は、以下のスキームGに従って製造される。
【0181】
従って、本発明の方法は以下のステップを含む:
G1)式(XXXIII)
【0182】
【化41】
(式中、R25及びR26は独立して水素、または適当なヒドロキシ保護基、例えばトリフルオロアセチル、9−フルオレニルメチル、ジ−t−ブチルメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルまたはジフェニルメチルシリルであり;Qは酸素、または適当なカルボニル保護基、例えばアセタールまたはケタール、好ましくは1,3−ジオキサンまたは1,3−ジオキソランである)
の化合物を所望ならばアミノ基を適当な窒素保護基で保護し、
i)式(XXXIIIa)〜(XXXIIId)
【0183】
【化42】
(式中、Xは離脱基、好ましくはハロゲンであり;R27及びR28は同一または異なり、独立して水素、ハロゲン、直鎖または分枝C
1−C
3アルキルまたはC
1−C
3アルコキシであり;Aは直鎖または分枝C
1−C
6アルキルであり;R6、R7及びR8は独立して水素、または場合により置換されている直鎖または分枝C
1−C
6アルキルである)
の化合物と反応させ、存在するならば保護基を除去した後、式(XXVIII)
【0184】
【化43】
(式中、R1は式NR4R5の基であり、ここでR4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル及びR6O−C
1−C
6アルキルから選択される場合により置換されている基であり、ただし両方水素ではない)
の対応する化合物を得る;または
ii)式(XXXIIIe)または(XXXIIIf)
【0185】
【化44】
(式中、Y’はOHまたは離脱基、好ましくは塩素であり;A、R6、R7及びR8は上に規定されている通りである)
の化合物と反応させ、存在するならば保護基を除去した後、上に規定されている式(XXVIII)(式中、R1は式NR4R5の基であり、ここでR4またはR5の1つは水素であり、他方は基R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニルまたはR6O−C
1−C
6アルキルカルボニルであり、ここでR6、R7及びR8は上に規定されている通りである)の対応する化合物を得る;または
iii)式(XXXIIIg)または(XXXIIIh)
【0186】
【化45】
(式中、Y’、A、R6、R7及びR8は上に規定されている通りである)
の化合物と反応させ、存在するならば保護基を除去した後、上に規定されている式(XXVIII)(式中、R1は式NR4R5の基であり、ここでR4またはR5の1つは水素であり、他方は基R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニルまたはR6O−C
1−C
6アルキルカルボニルであり、ここでR6、R7及びR8は上に規定されている通りである)の対応する化合物を得る;または
iv)式(XXXIIIi)
【0187】
【化46】
(式中、WはCHまたはNであり;R4’は水素、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル及びNR7R8−C
1−C
6アルキルから選択される基であり;Xは離脱基、好ましくはハロゲンである)
の化合物と反応させ、存在するならば保護基を除去した後、上に規定されている式(XXVIII)(式中、R1は式NR4R5の基であり、ここでR4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されている6員ヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は上に規定されている通りである)の化合物を得る;或いは、
G2)式(XXXIII)’
【0188】
【化47】
(式中、R25、R26及びQは上に規定されている通りであり;R21は適当な離脱基、例えばメシル、トシルまたは4−フルオロベンゼンスルホニルである)
の化合物を式(XXXIIIm)
【0189】
【化48】
(式中、R4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル及びR6O−C
1−C
6アルキルから選択される場合により置換されている基であり、ただし両方水素でなく;または、R4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されているヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は上に規定されている通りである)
の化合物と反応させ、存在するならば保護基を除去した後、上に規定されている式(XXVIII)(式中、R1は式NR4R5の基であり、ここでR4またはR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル及びR6O−C
1−C
6アルキルから選択される場合により置換されている基であり、ただし両方水素ではなく;または、R4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されているヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は上に規定されている通りである)
の対応する化合物を得;
G3)ステップG1i)〜G1iv)またはステップG2)から得られた式(XXVIII)
【0190】
【化49】
(式中、R1は式NR4R5の基であり、ここでR4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C
1−C
6アルコキシカルボニル−から選択される場合により置換されている基であり;または、R4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されているヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は水素、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル及びNR7R8−C
1−C
6アルキル−から選択される基であり;R6、R7及びR8は独立して水素、または置換されていてもよい直鎖または分枝C
1−C
6アルキルである)
の化合物を本明細書中に報告されているのと同一の条件下でステップF2)に規定されている式(XXIXa)の化合物と反応させて、式(XX)
【0191】
【化50】
(式中、R1は式NR4R5の基であり、ここでR4及びR5は独立して水素、一置換ベンジル、二置換ベンジル、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル、NR7R8−C
1−C
6アルキル−、R6O−C
1−C
6アルキル−、R7R8N−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R6O−C
1−C
6アルキルカルボニル−、R7R8N−C
1−C
6アルコキシカルボニル−及びR6O−C
1−C
6アルコキシカルボニル−から選択される置換されていてもよい基であり;または、R4及びR5はこれらが結合している窒素原子と一緒にR4’で置換されているヘテロシクリルを形成し、ここでR4’は水素、または直鎖または分枝C
1−C
6アルキル及びNR7R8−C
1−C
6アルキル−から選択される基であり、ただしNH
2及びハロゲンを除き;
R6、R7及びR8は独立して水素、または場合により置換されている直鎖または分枝C
1−C
6アルキルである)
の化合物を得る。
【0192】
R8が水素である場合には式(XX)の中間体化合物は式(V)’の化合物を得るために有用であり、R8が水素でない場合には式(XX)の化合物は上記した経路Aまたは経路Bに従って式(II)’の化合物を得るために有用であることに注目されたい。
【0193】
ステップG1i)によれば、式(XXXIII)の化合物と式(XXXIIIa)、(XXXIIIb)、(XXXIIIc)または(XXXIIId)の化合物のカップリング反応は、当業界(例えば、Ngu,K.;Patel,D.V.,Tetrahedron Lett,1997,38(6),p.973−976を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。方法を限定すると意図しない例として、反応はDCM中、20℃から環流の範囲の温度で30分間から約24時間の範囲の時間実施される。
【0194】
ステップG1ii)によれば、式(XXXIII)の化合物と式(XXXIIIe)または(XXXIIIf)の化合物のカップリング反応は、当業界(一般的なカップリング試薬については、例えばAmino Acids,Peptides and Proteins in Organic Chemistry:Building Blocks,Catalysis and Coupling Chemistry,第3巻;Andrew B.Hughes,Ayman El−Faham,Fernando Albericio,2010を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。方法を限定すると意図しない例は、縮合剤、例えばDCC、EDC、ギ酸ナトリウムの存在下での反応である。反応は有機溶媒、好ましくはDMF中、20℃から環流の範囲の温度で30分間から約24時間の範囲の時間実施される。
【0195】
ステップG1iii)によれば、式(XXXIII)の化合物と式(XXXIIIg)または(XXXIIIh)の化合物のカップリング反応は、当業界(例えば、Fukuoka S.ら,J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1984,6,p.399を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。
【0196】
ステップG1iv)によれば、式(XXXIII)の化合物と式(XXXIIIi)の化合物のカップリング反応は、当業界(例えば、Ismailov,V.ら,Russ J Org Chem,2004,40(2),p.284−285;Mewshaw R.E.ら;Bioorg Med Chem Lett,1998,8(19),p.2675−2680;Mishani E.ら,Tetrahedron Lett,1996,37(3),p.319−322を参照されたい)で報告されている公知の手順に従って実施される。方法を限定すると意図しない例として、反応はDMSO、DCM、MeOHまたはその混合物中、場合により塩基またはルイス酸(例えば、Al
2Cl
3)の存在下で20℃から環流の範囲の温度で30分間から約24時間の範囲の時間実施される。
【0197】
ステップG2)によれば、反応は特許出願GB 2215322に記載されているように実施される。方法を限定すると意図しない例として、反応はCH
3CN、THFまたはDMF中、場合により塩基の存在下で20℃から環流の範囲の温度で1から72時間の範囲の時間実施される。
【0198】
ステップG3)によれば、反応はステップF2)に上記したように実施される。
【0199】
次いで、式(I)の最終官能基化モルホリニルアントラサイクリン誘導体を製造するために、式(II)’、(III)’、(IV)’及び(V)’のアントラサイクリンを適当な試薬と反応させる。その試薬は、式(I)の最終誘導体を得るために複数の部分を連結させるために逐次または同時合成方法を使用するかに応じて例えばL、L−W、L−W−Z、L−W−Z−RM等であり得る。
【0200】
式(XXXIII)(式中、R1はNH
2である)の化合物は、特許出願EP 288268に記載されているように製造され得る。
【0201】
式(XX)(式中、R1はハロゲンである)の化合物は、特許出願WO 9802446及びGary Wら,J.O.C,1987,52,p.713に記載されているように製造され得る。
【0202】
式(XXXIII)’の化合物は、特許出願EP 288268に記載されているように製造され得る。
【0203】
式(XXI)、(XXIXa)、(XXXIIIa)〜(XXXIIIm)の化合物は、市販されているか、或いは当業者に公知の方法で製造され得る。
【0204】
上記すべてから、式(I)の化合物を上記した方法のバリアントのいずれか1つに従って製造するとき、望ましくない副反応が生ずる恐れがある出発物質またはその中間体内の任意の官能基を慣用の技術に従って適切に保護する必要があることは当業者に自明である。同様に、これらの後者の遊離の脱保護化合物への変換は公知の手順に従って実施され得る。
【0205】
容易に認識されるように、上記した方法に従って製造される式(I)の化合物が異性体の混合物として得られるならば、慣用の技術を用いる式(I)の単一の異性体へのその分離は本発明の範囲内である。
【0206】
薬理
本発明の新規モルホリニルアントラサイクリン誘導体は、抗腫瘍薬として有用な、またはタンパク質、ペプチド、アプタマー、ポリマーまたはナノ粒子にコンジュゲートさせるのに有用な官能基化化合物である。
【0207】
従って、ヒトまたは動物のような哺乳動物は、これらに対して医薬有効量の式(I)のモルホリニルアントラサイクリン誘導体を投与することを含む方法により治療され得る。このようにして、ヒトまたは動物の状態は緩和または改善され得る。
【0208】
式(I)の化合物の細胞傷害性の評価は下記するように評価される。
【0209】
インビトロ細胞増殖アッセイ
ヒト癌細胞株(1250細胞/ウェル)を白色384ウェルプレート中の完全培地(RPMI1640またはEMEM+10% ウシ胎児血清)に接種し、接種から24時間後に0.1% DMSO中に溶解させた化合物で処理した。細胞を37℃及び5% CO
2でインキュベートし、72時間後にプレートをCellTiter−Gloアッセイ(Promega)を製造業者の指示に従って用いて処理した。
【0210】
CellTiter−Gloは、代謝的に活性な細胞の指標である存在するATPの定量に基づく均質方法である。ATPは光を発するルシフェラーゼ及びD−ルシフェリンをベースとする系を用いて定量する。簡単に説明すると、各ウェルに25μL/ウェルの試薬溶液を添加し、5分間振とう後マイクロプレートをルミノメーターにより調べる。発光シグナルは培地中に存在している生細胞の数に比例している。
【0211】
用量応答曲線を8個の濃度ポイントのシグモイド関数補間により作成し、化合物の増殖抑制活性を半数阻害濃度(IC
50)として報告した。
【0212】
特に、式(I)の化合物から遊離され得る以下に示す化合物(21)、(22)及び(26)の細胞傷害性を評価した(表1):
【0215】
これらの誘導体は、それぞれ式(II)’(R1がフッ素であり、R2がメチルである化合物(21);R1がアミノであり、R2がメチルである化合物(22))、及び式(V)’(R2がメチルであり、R15が存在しない化合物(22);R2がメチルであり、R15が−NR7−C
1−C
6アルキルカルボニル
*であり、R7が水素であり、C
1−C
6アルキルが−(S)CH(CH
3)−である化合物(26))により包含される。
【0216】
上記薬理データから当業者により認識され得るように、これらの代表的化合物、すなわち(21)、(22)及び(26)は抗癌治療において特に有利である。
【0217】
これらの化合物は、インビボで式(I)の誘導体より遊離され得るアントラサイクリンの非限定例である。
【0218】
例として、化合物(21)の場合、スキーム1:
【0219】
【化52】
に示すように、該化合物は式(I)(式中、Antは式(IIa)を有し、R1はフッ素であり、R2はメチルである)の誘導体より遊離されると予想される。
【0220】
更なる例として、化合物(22)の場合、スキーム2:
【0221】
【化53】
に示すように、該化合物は式(I)(式中、Antは式(IIa)を有し、R1はアミノであり、R2はメチルである)の誘導体、または式(I)(式中、Antは式(Va)を有し、R2はメチルであり、R15は存在しない)の誘導体より遊離されると予想される。
【0222】
本発明の式(I)の化合物は単剤として、或いは放射線療法または化学療法レジメンのような公知の抗癌治療と組み合わせて、細胞増殖抑制または細胞傷害剤、抗生物質、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ホルモン物質、免疫物質、インターフェロンタイプ物質、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、COX−2阻害剤)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗増殖因子受容体物質、抗HER剤、抗EGFR剤、抗血管新生剤(例えば、血管新生インヒビター)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras−rafシグナル伝達経路インヒビター、細胞周期インヒビター、他のcdkインヒビター、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤等と組み合わせて投与され得る。
【0223】
固定用量として処方する場合、前記配合剤は以下に記載する用量範囲内の本発明の化合物及び承認されている用量範囲内の他の医薬活性物質を使用する。
【0224】
配合処方が不適切の場合には、式(I)の化合物を公知の抗癌剤と順次使用してもよい。
【0225】
哺乳動物(例えば、ヒト)に対して投与するのに適している本発明の式(I)の化合物は通常のルートにより投与され得、用量レベルは患者の年齢、体重及び状態、及び投与ルートに依存する。
【0226】
例えば、式(I)の化合物を経口投与するために適応される適当な用量は約1〜約300mg/回、1日1〜5回の範囲であり得る。本発明の化合物は各種投与形態で、例えば錠剤、カプセル剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、溶液剤または懸濁液剤の形態で経口的に;座剤の形態で直腸内に;非経口的に、例えば皮下に、筋肉内に、または静脈内及び/または脊髄内及び/または髄腔内注射または注入により投与され得る。
【0227】
本発明は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を医薬的に許容され得る賦形剤と一緒に含む医薬組成物をも包含し、前記賦形剤は担体または希釈剤であり得る。
【0228】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は通常慣用方法に従って製造され、適当な医薬形態で投与される。例えば、固体経口剤は、活性化合物と一緒に希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシ澱粉またはジャガイモ澱粉;滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、及び/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えば澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば澱粉、アルギン酸、アルギネートまたはデンプングリコール酸ナトリウム;飽和剤;染料;甘味剤;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート;並びに、通常医薬製剤中に使用されている非毒性の医薬不活性物質を含有し得る。これらの医薬製剤は公知の方法で、例えば混合、顆粒化、錠剤化、糖コーティングまたはフィルムコーティング方法により製造され得る。
【0229】
経口投与用分散液剤は、例えばシロップ剤、エマルジョン剤または懸濁液剤であり得る。1例として、シロップ剤は担体としてサッカロース、サッカロースとグリセリン及び/またはマンニトール及びソルビトールを含有し得る。懸濁液剤及びエマルジョン剤は、担体の例として天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含有し得る。筋肉内注射用懸濁液剤または溶液剤は、活性化合物と一緒に医薬的に許容され得る担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールのようなグリコール、並びに所望により、適量の塩酸リドカインを含有し得る。静脈内注射または注入用溶液剤は、担体として滅菌水を含有し得、或いは滅菌水性等張性食塩液の形態であったり、担体としてプロピレングリコールを含有したりしていることが好ましい。座剤は、活性化合物と一緒に医薬的に許容され得る担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤またはレシチンを含有し得る。
【0230】
本発明に限定を加えることなく本発明をより良く説明することを目的として、ここで下記実施例を提示する。
【実施例】
【0231】
本発明の式(I)の幾つかのモルホリニルアントラサイクリン誘導体の合成を以下の実施例に記載する。以下の実施例に従って製造した本発明の化合物を
1H−NMR及び/または精密質量データESI(+)により特性評価もした。
【0232】
1H−NMRスペクトルは、28℃の一定温度で400.50MHzで操作し、5mm z軸PFG間接検出プローブ(
1H{
15N−
31P})を備えたVarian INOVA 400分光計を用いて記録した。
【0233】
化学シフトは残留溶媒シグナル(他に断りのない限り、DMSO−d
6:
1Hの場合2.50ppm)に対して関係づけた。データは次のように報告している:化学シフト(δ)、多重度(s=一重項,d=二重項,t=三重項,q=四重項,br.s.=幅広一重項,dd=二重の二重項,ddd=二重の二重項,m=多重項,spt=七重項)、カップリング定数(J,Hz)及びプロトンの数。
【0234】
精密質量データESI(+)は、既に記載されているように(M.Colombo,F.Riccardi−Sirtori,V.Rizzo,Rapid Commun.Mass Spectrom.,2004,18,511−517)、Agilent 1100マイクロHPLCシステムに直接接続したWaters Q−Tof Ultima質量分光計を用いて得た。
【0235】
以下の実施例及び明細書を通じて、以下の略号は次の意味を有する。規定されていないときには、用語は一般的に認められている意味を有している。
【0236】
【表2】
【0237】
[実施例(A)]
MCM2タンパク質とのコンジュゲートの作成
MCM2タンパク質(完全長配列の残基10−294に相当する,Ishimiら,2001,Journal Biological Chemistry,vol.276,p.42744−42752を参照されたい,1.5mg,0.045μmol)をリン酸緩衝食塩液(pH7.2)(0.5ml)中に溶解し、1M NaHCO
3(pH8.5)(55μL)を添加することによりpH値を8.5に調節し、式(I)の誘導体(0.040〜0.080μmol)を10mg/ml DMSO溶液で添加した。反応物を室温で1時間インキュベートした後、反応混合物をリン酸緩衝食塩液で調整したNAP−10カラムを用いて脱塩し、タンパク質を含有する画分を収集し、プールした。
【0238】
こうして得られたMCM2コンジュゲートをHPLC/ESIまたはQ−ToF2/nanoESI質量分析により以下の手順に従って特性評価した。
【0239】
手順A
ヒドラゾン結合の加水分解を促進させるために上記したように得たコンジュゲートしたMCM2−化合物(3)(付加物1)を酸性条件(pH3)下でインキュベーして、アントラサイクリン誘導体(22)及びMCM2−リンカー残留物を遊離させた。
【0240】
【化54】
【0241】
サンプルを分析し、生成物を溶離液として5〜100% B(溶媒A:水中0.05% TFA;溶媒B:アセトニトリル中0.05% TFA)の直線勾配を用いるHPLC/MS分析により特性評価した。検出をダイオードアレイシステムを用いて220nmでのUVシグナル及び600−2000捕捉距離でクワドラポールMSDを用いてm/zシグナルを記録することにより実施した。タンパク質ピーク下のm/zシグナル積分からの質量スペクトルをAgilentケミステーションアルゴリズムを用いてデコンボリュートして、対応するタンパク質種のMWを〜100ppm精度で得た(
図1〜4)。
【0242】
手順B
付加物1の特性評価を100mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH7)を用いる中性pH条件でのMS分析によっても実施した。サンプルを直接nanoESIソースを備えたQ−ToF2質量分析器(英国のMicromass)に0.5μL/分の流速で注入した。キャピラリー電圧を2KVに設定し、MSシグナルを500〜3000m/z範囲(
図6A〜6B)で収集した。
【0243】
適切な機器パラメーターを設定するためにMCM2を標準物質として使用した。サンプルを質量分析器に注入した(
図5A〜5B)。質量スペクトルをMassLynx 4.0ソフトウェアのMaxEntlアルゴリズムを用いてデコンボリュートして、対応するタンパク質種のMWを〜100ppmの精度で得た。
【0244】
[実施例(B)]
システインとのコンジュゲートの作成
2nmolのシステイン(Cys,MW 121Da)を2nmolの式(I)の官能基化誘導体と反応させ、反応物を21℃で50mM ホウ酸緩衝液(pH8)、2mM DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、50mM NaClの存在下で1時間インキュベートして、最終コンジュゲートを得た。次いで、コンジュゲートを直交ESIソースを有するAgilent 1946シングル四重極質量分析検出器に連結した1100 Agilent HPLC機器で逆相HPLC方法(PLRP−Sカラム 1000A 8μΜ 150×2.1mm)を用いてHPLC/ESI−MSにより分析した。
【0245】
[実施例1]
化合物(4)の合成
【0246】
【化55】
【0247】
ステップ1
3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸ヒドラジドHCl(41.5mg,)を無水メタノール(5ml)中に含む溶液を化合物(II)’(化合物22,実施例6を参照されたい)(50mg)に添加した。溶液を暗所において室温で20時間攪拌した。反応の経過を逆相HPLC−MSにより追跡した。この後、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH
2Cl
2)により精製して、化合物(4)を得た。
MS(ESI):822[M+H]
+。
【0248】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、次の化合物を製造した:
【0249】
【化56】
MS(ESI):838[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3,温度60℃) ppm 1.25−1.40(m,2H),1.32(d,J=6.7Hz,3H),1.49−1.66(m,4H),1.60−1.71(m,1H),1.85−1.93(m,1H),2.22−2.33(m,1H),2.40−2.56(m,3H),2.70−2.82(m,2H),3.05−3.15(m,2H),3.40(s,3H),3.40−3.45(m,3H),3.53−3.60(m,1H),3.75−3.83(m,1H),4.02(dd,J=1.5,6.8Hz,1H),4.07−4.23(m,3H),4.21(br.s.,1H),4.32(d,J=2.4Hz,1H),4.51(d,J=2.4Hz,1H),5.15−5.24(m,1H),5.39−5.41(m,1H),6.69(s,2H),7.16(d,J=8.4Hz,1H),7.22(br.s.,2H),7.54(dd,J=6.7,8.4Hz,1H),7.64(d,J=6.7Hz,1H),8.45(br.s.,1H),13.45(s,1H),13.82(s,1H)。
【0250】
【化57】
MS(ESI):834[M+H]
+。
【0251】
【化58】
MS(ESI):818[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,アセトニトリル−d
6,温度60℃) δ ppm 1.25−1.35(m,2H),1.31(d,J=6.7Hz,3H),1.49−1.66(m,4H),1.70−1.77(m,1H),1.85−1.93(m,1H),1.98(s,3H),2.22−2.33(m,1H),2.35−2.56(m,3H),2.70−2.82(m,2H),3.05−3.20(m,2H),3.40(s,3H),3.40−3.48(m,3H),3.53−3.60(m,1H),3.74−3.80(m,1H),4.03(dd,J=1.5,6.8Hz,1H),4.07−4.13(m,1H),4.21(br.s.,1H),4.30(d,J=2.4Hz,1H),4.56(d,J=2.4Hz,1H),5.15−5.24(m,1H),5.36−5.40(m,1H),6.69(s,2H),7.16(d,J=8.4Hz,1H),7.21(br.s.,2H),7.54(dd,J=6.7,8.4Hz,1H),7.64(d,J=6.7Hz,1H),8.41(br.s.,1H),13.46(s,1H),13.81(s,1H)。
【0252】
[実施例2a]
化合物(5)の合成
【0253】
【化59】
【0254】
ステップ1
中間体:(3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イルメトキシ)酢酸エチルの合成
【0255】
【化60】
アルゴン雰囲気下で乾燥丸底フラスコにおいて60% 水素化ナトリウム(240mg,6.0mmol)を無水w−ペンタンで3回濯いだ。2−ヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(570.8mg,5mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)中に含む溶液を0℃で冷却した後、NaHに添加した。水素発生が終わるまで反応混合物を0℃で攪拌した。ブロモ酢酸エチル(1253mg,7.5mmol)をテトラヒドロフラン(6ml)中に含む溶液を反応混合物に添加し、出発アルコールが消失するまで(TLC分析)、攪拌を室温で続けた。冷却後、H
2Oを添加し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン=1:12)より精製して、626mg(収率57%)の(3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イルメトキシ)酢酸エチルを無色油状物として得た。
1H NMR(401MHz,DMSO−d
6) δ ppm 1.18−1.23(m,3H),3.55−3.59(m,2H),3.93(m,J=10.08,5.11,5.11,2.38Hz,1H),4.13(q,J=7.07Hz,2H),4.14(s,2H),4.67(dddd,J=6.14,4.83,2.56,1.34Hz,1H),6.36(dt,J=6.13,1.75Hz,1H)。
【0256】
ステップ2
中間体(35)の合成
アルゴン雰囲気下で式(III)’の化合物(化合物29,実施例6を参照されたい)(50mg)を乾燥ジクロロメタン(4ml)中に含む溶液にステップ1からの(3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イルメトキシ)酢酸エチル(118.5mg,)及び無水p−トルエンスルホン酸(22.3mg,0.12mmol)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(TLC分析,MeOH:CH
2Cl
2)、反応混合物を室温で4時間攪拌した。次いで、10% 炭酸水素ナトリウム水溶液を反応混合物に添加し、水性相をジクロロメタン(4×20ml)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH
2Cl
2)により精製して、中間体(35)を4つのジアストレオマーの混合物として得た。
MS(ESI):827[M+H]
+。
【0257】
ステップ3
酸中間体(36)の合成
ステップ2から得たエチルエステル中間体(35)(40mg)を0℃で冷却し、これをアルゴン下で水性0.1N 水酸化ナトリウム(1.5ml)で処理した。反応混合物を0℃で2時間攪拌した。反応の経過を逆相HPLC−MSにより追跡した。その後、反応混合物を10% 酢酸水溶液でpH≧8とし、水を飽和させたn−ブタノール(8×10ml)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を真空下で除去した。残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH
2Cl
2)により精製して、(36)をジアステレオマー混合物として得た。
MS(ESI):799[M+H]
+。
【0258】
ステップ4
中間体(37)の合成
方法のステップ3で得た酸中間体(36)(2mg)を乾燥ジクロロメタン(1ml)中に含む溶液を0℃で冷却し、ここにN−ヒドロキシスクシンイミド(1mg)及びΝ,Ν’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1mg)を添加した。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を0℃で2.5時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をエチルエーテル(2×4ml)で処理した。懸濁液を10分間攪拌し、固体を濾過により除去し、有機溶液を真空中で濃縮して、2mgの中間体(37)をジアステレオマーの混合物として得た。
MS(ESI):896[M+H]
+。
【0259】
ステップ5
標記化合物(5)
方法のステップ4から得た(37)(1mg)を乾燥ジクロロメタン(100μL)中に含む溶液にN−(2−アミノエチル)マレイミドトリフルオロ酢酸塩(2eq)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC−MS分析)、溶液を室温で4時間攪拌し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:CH
2Cl
2)により精製して、化合物(5)をジアステレオマーの混合物として得た。
MS(ESI):921[M+H]
+。
【0260】
[実施例2b]
化合物(9)の合成
【0261】
【化61】
化合物(III)’(化合物29,実施例6を参照されたい)(10mg)、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート(22mg)及びトリエチルアミン(0.021ml)を乾燥DCM(1ml)及び乾燥THF(1ml)中に含む溶液を窒素雰囲気下で6時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテルで処理した。生じた沈殿(38)を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥した。この化合物を乾燥DCM(2ml,10% 乾燥DMFを含む)中に溶解し、N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−{4−[({メチル[2−(メチルアミノ)エチル]カルバモイル}オキシ)メチル]フェニル}−L−オルニチンアミド塩酸塩(39)(実施例8に報告されているように製造)(30mg,0.04mmol)及びトリエチルアミン(0.016ml,0.11mmol)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気下で一晩攪拌し、溶媒を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー精製(DCM/MeOH)後標記化合物(9)を得た。
MS(ESI):1339[M+H]
+。
【0262】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、次の化合物を製造した:
【0263】
【化62】
MS(ESI):1339[M+H]
+。
【0264】
【化63】
MS(ESI):1400[M+H]
+。
【0265】
[実施例3]
化合物(18)の製造
【0266】
【化64】
【0267】
ステップ1
中間体(40)の製造
化合物(III)’(化合物29,実施例6を参照されたい)をメタノール(3ml)及びH
2O(2ml)中に含む溶液にNaIO
4(5.1mg,0.0238mmol)をH
2O(1ml)中に含む溶液を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(TLC及びHPLC分析)、反応混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗な酸(40)を更に精製することなく次ステップで使用した。
MS(ESI):613[M+H]
+。
【0268】
ステップ2
標記化合物(18)
アルゴン雰囲気下で粗な中間体(40)(4.4mg)を無水ジクロロメタン(1.5ml)中に含む溶液に無水トリエチルアミン(2.2mg)、TBTU(4.4mg)及び市販されているN−(2−アミノエチル)マレイミドトリフルオロ酢酸塩(3.6mg)を添加した。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を室温で30分間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOH:CH
2Cl
2)により精製して、標記化合物(18)を得た。
MS(ESI):735[M+H]
+。
【0269】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、下記化合物を製造した:
【0270】
【化65】
MS(ESI):1279[M+H]
+。
【0271】
【化66】
MS(ESI):1340[M+H]
+。
【0272】
【化67】
MS(ESI):809[M+H]
+。
【0273】
[実施例4a]
化合物(12)の合成
【0274】
【化68】
アルゴン雰囲気下で粗な中間体(III)’(化合物29,実施例6を参照されたい,4.4mg)を無水ジクロロメタン(1.5ml)中に含む溶液に無水トリエチルアミン(1.5mg)、TBTU(2.7mg)及び市販されている1−{6−[(2,5−ジジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}−1H−ピロール−2,5−ジオン(1.8mg)を添加した。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を室温で30分間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOH:CH
2Cl
2)により精製して、標記化合物(12)を得た。
MS(ESI):820[M+H]
+。
【0275】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、下記化合物を製造した:
【0276】
【化69】
MS(ESI):804[M+H]
+。
【0277】
【化70】
MS(ESI):824[M+H]
+。
【0278】
【化71】
MS(ESI):808[M+H]
+。
【0279】
【化72】
MS(ESI):1121[M+H]
+。
【0280】
[実施例4b]
化合物(16)の合成
【0281】
【化73】
化合物(V)’(化合物29,実施例6を参照されたい,10mg)の溶液を10% 乾燥DMFを含む乾燥DCM(2ml)中に溶解し、N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[2−({[(4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]−L−オルニチンアミド(41)(EP 0624377A2及びEP 2357006A2に報告されているように製造,15mg)及びトリエチルアミン(0.0033ml)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気下で一晩攪拌し、溶媒を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー精製(DCM/MeOH)後標記化合物(16)を得た。
MS(ESI):1225[M+H]
+。
【0282】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、次の化合物を製造した:
【0283】
【化74】
MS(ESI):1270[M+H]
+。
【0284】
【化75】
MS(ESI):1225[M+H]
+。
【0285】
【化76】
MS(ESI):1123[M+H]
+。
【0286】
【化77】
MS(ESI):1139[M+H]
+。
【0287】
[実施例4b]
化合物(23)の合成
【0288】
【化78】
【0289】
ステップ1
中間体:9H−フルオレン−9−イルメチル[(2S)−1−{[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’,4,5]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]アミノ}−1−オキソプロパン−2−イル]カルバメート(化合物42)の合成
【0290】
【化79】
乾燥丸底フラスコにおいてFmoc−L−アラニン(50mg,1.6mmol)を乾燥ジクロロメタン(9ml)中に含む溶液をSOCl
2(190mg,1.61mmol)で処理し、混合物をアルゴン雰囲気下で2時間環流した。溶媒及び過剰のSOCl
2を真空下で除去すると、粗な中間体9H−フルオレン−9−イルメチル[(2S)−1−クロロ−1−オキソプロパン−2−イル]カルバメートが生じた。
【0291】
アルゴン雰囲気下で化合物(II)’(化合物22,実施例6を参照されたい)(10mg,0.0164mmol)を乾燥ジクロロメタン(5ml)中に含む溶液に9H−フルオレン−9−イルメチル[(2S)−1−クロロ−1−オキソプロパン−2−イル]カルバメート(30mg,0.091mmol)及び飽和NaHCO
3水溶液(5ml)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(TLC分析、AcOEt/トルエン)、反応混合物を室温で4時間攪拌した。有機相を分離し、水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt/トルエン=4/6)により精製して、化合物(42)(7.2mg,赤色ワックス)を得た。
MS(ESI):904[M+H]
+。
【0292】
ステップ2
化合物(26)の合成
【0293】
【化80】
ステップ1から得た中間体9H−フルオレン−9−イルメチル[(2S)−1−{[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’,4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]アミノ}−1−オキソプロパン−2−イル]カルバメート(42)(7.2mg,0.008)を乾燥ジクロロメタン(1.5ml)中に溶解し、ピペリジン(20.4mg,0.24mmol)で処理した。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt/トルエン=4/6;次いで、EtOH/CH
2Cl
2=1/1)により精製して、化合物(26)(2.5mg,赤色ワックス)を得た。
MS(ESI):682[M+H]
+。
1H NMR(401MHz,CH
3CN−d
3)] ppm 1.29(d,J=6.7Hz,3H),1.38(d,J=6.8Hz,3H),1.64−1.74(m,1H),1.86−1.91(m,1H),2.02−2.07(m,1H),2.35(s,3H),2.38−2.48(m,1H),2.68−2.81(m,2H),2.93−3.14(m,2H),3.38(s,3H),3.44−3.48(m,1H),3.54−3.60(m,1H),3.64(q,J=6.8Hz,1H),3.71−3.79(m,1H),4.01−4.06(m,1H),4.07−4.13(m,1H),4.27(d,J=2.7Hz,1H),4.55(d,J=2.7Hz,1H),5.19−5.24(m,1H),5.35−5.40(m,1H),7.86(dd,J=7.8,8.5Hz,1H),8.10(d,J=7.8Hz,1H),9.23(d,J=8.5Hz,1H)。
【0294】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、次の化合物を製造した:
N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]グリシンアミド(化合物75)
【0295】
【化81】
MS(ESI):668[M+H]+。
【0296】
ステップ3
標記化合物(23)
ステップ3から得た化合物(26)(1.8mg,0.00264mmol)を乾燥ジクロロメタン(3ml)中に含む溶液にN−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリン(4.9mg,0.016mmol)及びO−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(5.1mg,0.016mmol)を添加した。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を室温で4時間攪拌した。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を室温で20時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:AcOEt/トルエン=4/6)により精製して、化合物(23)(1.9mg,赤色ワックス)を得た。
MS(ESI):974[M+H]
+。
【0297】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、次の化合物を製造した:
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−L−オルニチル−N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−L−アラニンアミド(化合物27)
【0298】
【化82】
MS(ESI):1131[M+H]
+。
【0299】
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−L−オルニチル−N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]グリシンアミド(化合物76)
【0300】
【化83】
MS(ESI):1117[M+H]
+。
【0301】
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−[4−({[(2−{[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(3S,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]アミノ}−2−オキソエチル)カルバモイル]オキシ}メチル)フェニル]−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミド(化合物77)
【0302】
【化84】
MS(ESI):1266[M+H]
+。
【0303】
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−{4−[({[(2S)−1−{[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]アミノ}−1−オキソプロパン−2−イル]カルバモイル}オキシ)メチル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミド(化合物78)
【0304】
【化85】
MS(ESI):1280[M+H]
+。
【0305】
[実施例5]
ステップA1,ステップB1(A6a及びA6bに従う)
(8S,10S)−8−アセチル−1−フルオロ−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物21)
【0306】
【化86】
【0307】
ステップA1
(1S,3S)−3−アセチル−10−フルオロ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド[(XXII)](化合物44)
(1S,3S)−3−アセチル−10−フルオロ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド(70.0mg,0.136mmol)[WO 90/09392に報告されているように製造]を乾燥DMF(3ml)中に溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン(106mg,0.82mmol)を乾燥DMF(2ml)中に含む溶液及び(1S)−2−ヨード−1−(2−ヨードエトキシ)−1−メトキシエタン(XXI)(965mg,2.71mmol)を乾燥DMF(10ml)中に含む溶液を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、反応混合物を暗所において室温で48時間攪拌した。次いで、反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:EtOH/DCM=0.2/9.8)により精製して、所望の生成物(44)(35mg,赤色ワックス)を得た。
MS(ESI):616[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CHCl
3−d) δ ppm 1.39(d,J=6.71Hz,3H),1.78−1.85(m,2H),2.09−2.14(m,1H),2.46−2.56(m,3H),2.61(dd,J=11.41,3.97Hz,1H),3.03(d,J=19.04Hz,1H),3.27(dd,J=19.10,1.77Hz,1H),3.40(s,3H),3.57(ddd,7=11.57,5.34,3.11Hz,1H),3.70(s,1H),3.92−3.99(m,1H),4.04(q,J=6.47Hz,1H),4.48−4.52(m,1H),4.67(s,1H),5.28−5.30(m,1H),5.56(br.s.,1H),7.54(dd,J=10.44,8.48Hz,1H),7.83(td,J=7.97,4.58Hz,1H),8.25(d,J=7.69Hz,1H),13.31(s,1H),13.72(s,1H)。
【0308】
同様の手順により、次の化合物を製造する:
(1S,3S)−10−フルオロ−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシアセチル)−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド[(XXII)](化合物45)
【0309】
【化87】
MS(ESI):632[M+H]
+。
【0310】
ステップB1(A6a)
(1S,3S)−3−アセチル−10−フルオロ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル(3ξ)−2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシ−4−オキシドモルホリン−4−イル]−α−L−スレオ−ヘキソピラノシド[(XXII)](化合物46)
【0311】
【化88】
(1S,3S)−3−アセチル−10−フルオロ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド(28mg,0.045mmol)[ステップA1に報告されているように製造]をDCM(3.0ml)中に溶解させた。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、溶液を室温でアセトン中DMSOの0.1M溶液(0.8ml)で30分間処理した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮乾固して、所望の中間体(46)(赤色ワックス,24.1mg)を得た。
MS(ESI):632[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.23(d,J=6.7Hz,3H),1.96−2.00(m,1H),2.10(m,1H),2.35(s,3H),2.33−2.38(m,1H),2.56−2.64(m,2H),2.94−3.00(m,1H),3.07−3.12(m,1H),3.13−3.16(m,1H),3.23−3.29(m,1H),3.37(s,3H),3.38−3.46(m,2H),3.86−3.95(m,1H),3.99(q,J=6.7Hz,1H),4.14(s,1H),4.22−4.29(m,1H),4.32(br.s.,1H),4.91(dd,J=8.1,2.3Hz,1H),5.20(dd,J=4.6,1.9Hz,1H),5.60(d,J=3.9Hz,1H),7.62(dd,J
HH=8.3,J
HF=10.8Hz,1H),7.91(m,1H),13.26(br.s.,1H),13.69(br.s.,1H)。
【0312】
同様の手順により、次の化合物を製造する:
(1S,3S)−10−フルオロ−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシアセチル)−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル(3ξ)−2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシ−4−オキシドモルホリン−4−イル]−α−L−スレオ−ヘキソピラノシド[(XXII)](化合物47)
【0313】
【化89】
MS(ESI):648[M+H]
+。
【0314】
ステップB1(A6b)
標記化合物(21)
【0315】
【化90】
化合物(1S,3S)−3−アセチル−10−フルオロ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル(3ξ)−2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシ−4−オキシドモルホリン−4−イル]−α−L−スレオ−ヘキソピラノシド[(XXII)](20mg,0.032mmol)を乾燥CH
3CN(5.0ml)中に含む溶液にK
2CO
3(13.2mg,0.096mmol)及びシアヌル酸クロリド(11.8mg,0.064mmol)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで、反応混合物を暗所において室温で20分間激しく攪拌した。次いで、3−アミノ−1,2−プロパンジオール(17.5mg,0.192mmol)を水(0.84ml)中に含む溶液を反応混合物に添加し、水性相をDCM(4×10ml)で抽出した。合わせた有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(AcOEt/トルエン=4/6)により精製して、7.0mgの標記化合物(21)を赤色固体として得た。
MS(ESI):m/z 614[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.29(d,J=6.6Hz,3H),1.68−1.73(m,1H),1.86−1.91(m,1H),2.05(dd,J=14.8,4.3Hz,1H),2.34(s,3H),2.42−2.47(m,1H),2.67−2.81(m,2H),2.93−2.98(m,1H),3.05−3.11(m,1H),3.37(s,3H),3.42−3.47(m,1H),3.52−3.58(m,1H),3.71−3.76(m,1H),4.03(dd,J=7.1,1.8Hz,1H),4.06−4.12(m,1H),4.26(d,J=2.8Hz,1H),4.53(d,J=2.8Hz,1H),4.54(s,1H),5.20(dd,J=4.3,2.1Hz,1H),5.35(t,J=5.5Hz,1H),7.60(dd,J
HH=8.3,J
HF=11.6Hz,1H),7.89(m,1H),8.19(dd,J
HH=7.7,J
HF=0.8Hz,1H),13.25(br.s.,1H),13.61(br.s.,1H)。
【0316】
同様に適当な出発物質を用いることにより、次の化合物を製造する:
(8S,10S)−1−フルオロ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物28)
【0317】
【化91】
MS(ESI):630[M+H]
+。
【0318】
(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物30)
【0319】
【化92】
MS(ESI):655[M+H]
+。
【0320】
(8S,10S)−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物31)
【0321】
【化93】
MS(ESI):671[M+H]
+。
【0322】
(8S,10S)−8−アセチル−1−[(2−アミノエチル)アミノ]−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物32)
【0323】
【化94】
MS(ESI):654[M+H]
+。
【0324】
(8S,10S)−1−[(2−アミノエチル)アミノ]−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物33)
【0325】
【化95】
MS(ESI):670[M+H]
+。
【0326】
[実施例6]
ステップA1,ステップB1(A6a及びA6bに従う)
(8S,10S)−8−アセチル−1−アミノ−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン[(II)’](化合物22)
【0327】
【化96】
【0328】
ステップA1
(1S,3S)−3−アセチル−10−アミノ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド[(XXII)](化合物49)
(1S,3S)−3−アセチル−10−アミノ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド(165.0mg,0.322mmol)(化合物48,実施例7に報告されているように製造)を乾燥DMF(3.0ml)中に溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン(221mg,1.71mmol)を乾燥DMF(3ml)中に含む溶液及び(1S)−2−ヨード−1−(2−ヨードエトキシ)−1−メトキシエタン(XXI)(2.0g,5.64mmol)を乾燥DMF(10ml)中に含む溶液を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、反応混合物を暗所において室温で48時間攪拌した。次いで、反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:EtOH/DCM=0.2/9.8)により精製して、所望の生成物(49)(105mg,赤色固体)を得た。
MS(ESI):613[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.22−1.28(m,3H),1.65−1.83(m,2H),2.30−2.36(m,4H),2.40(dd,J=11.22,4.94Hz,3H),2.46−2.54(m,2H),2.87−2.96(m,1H),3.04−3.11(m,1H),3.32(s,3H),3.50(ddd,J=11.34,6.51,2.83Hz,1H),3.65(br.s.,1H),3.77−3.89(m,1H),4.04(d,J=6.51Hz,1H),4.44(dd,J=4.63,2.41Hz,1H),5.16(d,J=1.99Hz,1H),5.43−5.47(m,1H),7.12−7.16(m,1H),7.24(br.s.,1H),7.50−7.55(m,1H),7.58−7.61(m,1H)。
【0329】
同様の手順により、次の化合物を製造する:
(1S,3S)−10−アミノ−3,5,12−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシアセチル)−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド(化合物50)
【0330】
【化97】
MS(ESI):629[M+H]
+。
【0331】
保護
N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−5,12−ジオキソ−10−({2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(化合物51)
【0332】
【化98】
(1S,3S)−3−アセチル−10−アミノ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシド(49)(80.0mg,0.130mmol)を乾燥DCM(11ml)中に溶解し、無水トリフルオロ酢酸(273.0mg,1.3mmol)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、反応混合物を暗所において室温で30分間攪拌した。次いで、反応混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液(3×10ml)、次いで水(1×10ml)で洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させ、こうして得た残渣を室温でMeOH(10ml)で15分間処理した後、真空下で蒸発させて、所望の生成物(51)(77.0mg,赤色ワックス)を得た。
MS(ESI):709[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.25(d,J=6.59Hz,3H),1.76(dd,J=8.68,2.61Hz,2H),2.27−2.45(m,8H),2.52(t,J=10.99Hz,2H),2.96−3.03(m,1H),3.08−3.15(m,1H),3.30−3.33(m,3H),3.50(ddd,J=11.27,6.57,2.61Hz,1H),3.66(br.s.,1H),3.79−3.87(m,1H),4.05(q,J=6.62Hz,1H),4.44(dd,J=4.70,2.35Hz,1H),5.17(d,J=2.27Hz,1H),5.45(s,1H),7.97(t,J=8.15Hz,1H),8.24(d,J=7.50Hz,1H),8.99(d,J=8.18Hz,1H)。
【0333】
ステップB1(A6a)
N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−5,12−ジオキソ−10−({(3ξ)−2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシ−4−オキシドモルホリン−4−イル]−α−L−スレオ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド[(XXII)](化合物52)
【0334】
【化99】
N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−5,12−ジオキソ−10−({2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシモルホリン−4−イル]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(51)(72.0mg,0.102mmol)をDCM(6.4ml)中に溶解した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、溶液を室温でアセトン中DMSOの0.1M溶液(1.7ml)で30分間処理した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮乾固して、所望の中間体(52)(赤色ワックス,73.0mg)を得た。
MS(ESI):725[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.23(d,J=6.51Hz,3H),2.32−2.39(m,4H),2.57(d,J=4.54Hz,1H),2.74(d,J=11.65Hz,1H),2.96−3.02(m,1H),3.08−3.15(m,1H),3.25−3.45(m,7H),3.57(br.s.,1H),3.92(d,J=12.79Hz,1H),4.04(d,J=6.88Hz,1H),4.18(s,1H),4.21−4.28(m,1H),4.92(dd,J=8.21,2.08Hz,1H),5.19(d,J=2.19Hz,1H),5.61(d,J=3.71Hz,1H),7.97(t,J=8.10Hz,1H),8.23(d,J=7.64Hz,1H),8.98(d,J=8.32Hz,1H)。
【0335】
同様の手順により、次の化合物を製造し得る:
N−[(8S,10S)−6,8,11−トリヒドロキシ−8−ヒドロキシアセチル−5,12−ジオキソ−10−({(3ξ)−2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシ−4−オキシドモルホリン−4−イル]−α−L−スレオ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(化合物53)
【0336】
【化100】
MS(ESI):645[M+H]
+。
【0337】
ステップB1(A6b)
N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(化合物34)
【0338】
【化101】
化合物N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−5,12−ジオキソ−10−({(3ξ)−2,3,6−トリデオキシ−3−[(2S)−2−メトキシ−オキシドモルホリン−イル]−α−L−スレオ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(52)(60.0mg,0.083mmol)を乾燥CH
3CN(13ml)中に含む溶液にK
2CO
3(34.4mg,0.249mmol)及びシアヌル酸クロリド(30.6mg,0.166mmol)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで、反応混合物を暗所において室温で15分間激しく攪拌した。次いで、反応混合物に3−アミノ−1,2−プロパンジオール(45.3mg,0.5mmol)を水(0.22ml)中に含む溶液を添加し、水性相をDCM(4×10ml)で抽出した。合わせた有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(AcOEt/トルエン=4/6)により精製して、12.0mgの化合物(34)を赤色固体として得た。
MS(ESI):707[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.29(d,J=6.58Hz,4H),1.70(d,J=15.21Hz,1H),1.90(d,J=15.59Hz,2H),2.04−2.08(m,2H),2.45(d,J=14.98Hz,1H),2.69−2.76(m,1H),2.77−2.83(m,1H),2.97(s,1H),3.08−3.14(m,2H),3.38(s,4H),3.45(d,J=6.88Hz,2H),3.56(d,J=5.22Hz,2H),3.74(s,1H),4.04(d,J=1.89Hz,2H),4.09(d,J=6.88Hz,1H),4.26(d,J=2.72Hz,1H),4.52−4.54(m,2H),5.22(br.s.,1H),5.36(t,J=5.60Hz,1H),7.98(t,J=8.06Hz,1H),8.26(d,J=7.87Hz,1H),9.00(d,J=8.10Hz,1H)。
【0339】
脱保護
標記化合物(22)
【0340】
【化102】
N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド中間体(34)(4.8mg,0,00679mmol)を0℃で冷却し、0.1N NaOH水溶液(0.5ml)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで、反応混合物を暗所において0℃で15分間攪拌した。次いで、反応混合物をH
2Oで希釈し、DCM(4×5ml)で抽出した。合わせた有機相を飽和水性NaCl溶液(1×10ml)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させて、4.0mgの標記化合物を赤色固体として得た。
MS(ESI):611[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.70(dt,J=15.06,5.82Hz,2H),1.87(dt,J=15.17,5.54Hz,1H),2.34(s,3H),2.43(d,J=14.41Hz,1H),2.68−2.81(m,2H),2.91−2.96(m,1H),3.07(d,J=18.66Hz,1H),3.37(s,3H),3.44(q,J=5.87Hz,1H),3.51−3.61(m,2H),3.74(ddd,J=11.63,8.25,2.96Hz,1H),4.01−4.04(m,1H),4.06−4.13(m,1H),4.26(d,J=2.66Hz,1H),4.54(d,J=2.58Hz,1H),5.21(br.s.,1H),5.37(t,J=5.61Hz,1H),7.16(d,J=8.57Hz,1H),7.54(t,J=7.89Hz,1H),7.62(d,J=7.06Hz,1H)。
【0341】
同様に適当な出発物質を使用することにより、次の化合物を製造する:
(8S,10S)−1−アミノ−6,8,11−トリヒドロキシ−8−(ヒドロキシアセチル)−10−{[(1S,3R,4aS,9S,9aR,10aS)−9−メトキシ−1−メチルオクタヒドロ−1H−ピラノ[4’,3’:4,5][1,3]オキサゾロ[2,3−c][1,4]オキサジン−3−イル]オキシ}−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物29)
【0342】
【化103】
MS(ESI):627[M+H]
+。
【0343】
[実施例7]
ステップG2,脱保護,保護,ステップG3,脱保護
(1S,3S)−3−アセチル−10−アミノ−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−リキソ−ヘキソピラノシド(XX)(化合物48)
【0344】
【化104】
【0345】
ステップG2
中間体(8S,10S)−1−[(3,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−8−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(XXVIII)(化合物55)の合成
【0346】
【化105】
(8S,10S)−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−8−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル4−フルオロベンゼンスルホネート(54)(400mg,0.682mmol)[GB 2215332に報告されているように製造]をTHF(10ml)中に含む溶液に3,4−ジメトキシベンジルアミン(0.532mg,3.1mmol)を添加した。溶液を60℃で加熱し、暗所において24時間攪拌した。次いで、溶媒を真空下で部分除去し、暗紫色沈殿を濾過により収集し、THF(3ml)で洗浄した後、Et
2O(10ml)で洗浄した。最後に、固体を真空下オーブンを用いて30℃で乾燥して、標記中間体(55)(188mg,収率48%)を得た。
【0347】
同様に適当なアミンを使用することにより、次の化合物を製造した:
(8S,10S)−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−8−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物57)
【0348】
【化106】
MS(ESI):472[M+H]
+。
1H NMR(499.75MHz,DMSO−d
6) δ ppm 1.33(s,3H),1.82(dd,J=14.3,4.3Hz,1H),2.20(d,J=14.3Hz,1H),2.67(d,J=18.7Hz,1H),3.10(d,J=18.7Hz,1H),3.45−3.49(m,2H),3.68−3.72(m,2H),3.92−4.01(m,4H),5.00(t,J=5.1Hz,1H),5.05−5.11(m,1H),5.35(d,J=7.6Hz,1H),5.44(s,1H),7.35(d,J=8.7Hz,1H),7.56(d,J=6.8Hz,1H),7.70(dd,J=8.7,6.8Hz,1H),9.61(t,J=5.1Hz,1H),13.52(br.s.,1H),13.74(br.s.,1H)。
【0349】
(8S,10S)−1−[(2−アミノエチル)アミノ]−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−8−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物58)
【0350】
【化107】
MS(ESI):471[M+H]
+。
【0351】
脱保護
中間体(8S,10S)−8−アセチル−1−アミノ−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(XXVIII)(化合物56)の合成
冷トリフルオロ酢酸(2ml)に(8S,10S)−1−[(3,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−8−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(55)(133mg,0.230mmol)及びアニソール(2滴)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで、溶液を5℃で20分間、次いで室温で2時間攪拌した。反応物を水(5ml)で希釈し、NaHCO
3溶液で中和した後、水性相をDCM(3×50ml)で抽出した。合わせた有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物をEt
2O(10ml)で処理した。暗紫色沈殿を濾過により集め、オーブンを用いて真空下30℃で乾燥すると、所望の中間体(82mg,収率93%)が生じた。
MS(ESI):384[M+H]
+。
1H NMR(400.5MHz,DMSO−d
6) δ ppm 1.99(dd,J=14.4,4.6Hz,1H),2.13−2.19(m,1H),2.30(s,3H),2.88−2.95(m,1H),2.98−3.05(m,1H),5.07(m,1H),5.29(br.s.,1H),6.07(s,1H),7.24(dd,J=8.3,1.1Hz,1H),7.51(dd,J=7.3,1.1Hz,1H),7.55−7.60(m,1H),8.05(br.s.,2H),13.49(br.s.,1H),13.85(br.s.,1H)。
【0352】
同様に適当な出発物質を使用することにより、次の化合物を製造した:
(8S,10S)−8−アセチル−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−1−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物59)
【0353】
【化108】
MS(ESI):428[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,DMSO−d
6) δ ppm 1.98(dd,J=14.2,4.6Hz,1H),2.16(d,J=14.2Hz,1H),2.31(s,3H),2.88−2.94(m,1H),2.98−3.04(m,1H),3.46−3.49(m,2H),3.68−3.72(m,2H),5.01(t,J=5.1Hz,1H),5.05−5.10(m,1H),5.30(d,J=6.7Hz,1H),6.10(s,1H),7.35(d,J=8.7Hz,1H),7.56(d,J=7.1Hz,1H),7.70(dd,J=8.7,7.1Hz,1H),9.62(t,J=5.1Hz,1H),13.47(br.s.,1H),13.76(br.s.,1H)。
【0354】
(8S,10S)−8−アセチル−1−[(2−アミノエチル)アミノ]−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(化合物60)
【0355】
【化109】
MS(ESI):427[M+H]+。
1H NMR(500MHz,DMSO−d
3) δ ppm 1.97(dd,J=14.2,4.6Hz,1H),2.14(d,J=14.2Hz,1H),2.31(s,3H),2.88−2.94(m,1H),2.98−3.04(m,1H),3.05−3.22(m,4H),5.05−5.10(m,1H),5.30(d,J=6.7Hz,1H),6.10(s,1H),7.35(d,J=8.7Hz,1H),7.54(d,J=7.1Hz,1H),7.70(dd,J=8.7,7.1Hz,1H),9.60(t,J=5.1Hz,1H),13.46(br.s.,1H),13.76(br.s.,1H)。
【0356】
保護
中間体N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(化合物61)の合成
【0357】
【化110】
中間体(8S,10S)−8−アセチル−1−アミノ−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−7,8,9,10−テトラヒドロテトラセン−5,12−ジオン(56)(600.0mg,1.56mmol)を乾燥DCM(120ml)中に溶解し、無水トリフルオロ酢酸(1.2ml)を添加した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、反応混合物を暗所において室温で5分間攪拌した。次いで、反応混合物をDCM(100ml)で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液(3×100ml)、次いで水(1×100ml)で洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、溶媒を真空下で除去した。こうして得られた残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH
3COCH
3/DCM=0.3/9.7)により精製して、所望の生成物(494.1mg,赤色固体)を得た。
MS(ESI):480[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CHCl
3−d) δ ppm 2.22(dd,J=14.5,4.9Hz,1H),2.36−2.41(m,1H),2.45(s,3H),3.01(d,J=18.7Hz,1H),3.23(dd,J=18.7,2.2Hz,1H),3.81(d,J=5.2Hz,1H),4.54(s,1H),5.35(m,1H),7.93(dd,J=8.4,7.7Hz,1H),8.29(dd,J=7.7,1.1Hz,1H),9.12(dd,J=8.4,1.1Hz,1H),13.29(br.s.,1H),13.29(s,1H),13.46(s,1H)。
【0358】
同様に適当な出発物質を使用することにより、次の化合物を製造する:
N−(2−{[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]アミノ}エチル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(化合物62)
【0359】
【化111】
MS(ESI):523[M+H]
+。
【0360】
ステップG3
N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−5,12−ジオキソ−10−({2,3,6−トリデオキシ−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]−L−リキソ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(化合物63)の合成
【0361】
【化112】
乾燥3首丸底フラスコにおいてアルゴン雰囲気下で中間体N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,10,11−テトラヒドロキシ−5,12−ジオキソ−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(61)(480.0mg,1.0mmol)を乾燥DCM(110ml)中に溶解し、粉末状モレキュラーシーブ(4Å,20.0mg)を添加した。反応混合物を10℃で冷却した。銀トリフルオロメタンスルホネート(334.0mg,1.3mmol)を乾燥Et
2O(15ml)中に含む溶液及び2,3,6−トリデオキシ−4−O−(トリフルオロアセチル)−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]−δ−L−リキソ−ヘキソピラノシルクロリド(511.4mg,1.43mmol)を乾燥DCM(15ml)中に含む溶液を同時に添加した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、反応混合物を暗所において10℃で45分間攪拌した。飽和NaHCO
3水溶液(50ml)を添加し、反応混合物を室温で30分間攪拌した後、セライトパッドを介して濾過した。有機相を分離し、水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、こうして得られた残渣を0℃で除去し、MeOH(20ml)及び固体NaHCO
3で15分間処理した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をシリカゲル(230〜400メッシュ)を用いるフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:CH
3COCH
3/DCM=0.5/9.5)により精製して、所望の生成物(320.0mg,赤色固体)を得た。
MS(ESI):705[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,CH
3CN−d
3) δ ppm 1.22(d,J=6.47Hz,3H),1.77(dd,J=13.18,4.64Hz,1H),2.00(td,J=13.15,3.97Hz,1H),2.10(d,J=10.13Hz,1H),2.33−2.35(m,1H),2.87−3.00(m,1H),3.01−3.13(m,1H),3.22(br.s.,1H),3.61(br.s.,1H),4.09−4.16(m,1H),4.22(q,J=6.47Hz,1H),4.29(s,1H),5.10(br.s.,1H),5.40(d,J=3.54Hz,1H),7.32(d,J=7.81Hz,1H),7.89(t,J=7.63Hz,1H),8.11(d,J=7.08Hz,1H),8.89(d,J=8.30Hz,1H),13.08(br.s.,2H)。
【0362】
同様に適当な出発物質を使用することにより、次の化合物を製造する:
N−(2−{[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−5,12−ジオキソ−10−({2,3,6−トリデオキシ−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]−L−リキソ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]アミノ}エチル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(化合物64)
【0363】
【化113】
MS(ESI):748[M+H]
+。
【0364】
(1S,3S)−3−アセチル−3,5,12−トリヒドロキシ−10−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル2,3,6−トリデオキシ−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]−L−リキソ−ヘキソピラノシド(化合物65)
【0365】
【化114】
MS(ESI):653[M+H]
+。
【0366】
脱保護
標記化合物(48)
中間体N−[(8S,10S)−8−アセチル−6,8,11−トリヒドロキシ−5,12−ジオキソ−10−({2,3,6−トリデオキシ−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル}オキシ)−5,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(63)(340.2mg,0.432mmol)をアルゴン下0℃で冷却し、0.1N NaOH水溶液(12ml)で処理した。出発物質が検出されなくなるまで(HPLC分析)、反応混合物を暗所において0℃で1時間攪拌した。次いで、反応混合物をDCM(50ml)で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液(3×30ml)、水(1×30ml)、飽和NaCl溶液(1×30ml)で順次洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、溶媒を真空下で除去して、所望の生成物(180.0mg,赤色固体)を得た。
MS(ESI):513[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,DMSO−d
6)δ ppm 1.14(d,J=6.52Hz,2H),1.47(dd,J=12.61,4.33Hz,1H),1.60(d,J=3.30Hz,1H),2.06−2.21(m,2H),2.24−2.27(m,3H),2.86(d,J=12.58Hz,1H),2.88−3.01(m,2H),3.28(br.s.,1H),4.09(d,J=6.29Hz,1H),4.45(br.s.,1H),4.94(t,J=4.22Hz,1H),5.19(d,J=3.53Hz,1H),5.44(s,1H),7.24(d,J=8.28Hz,1H),7.50(d,J=7.13Hz,1H),7.51−7.52(m,0H),7.55−7.59(m,1H),8.06(br.s.,2H)。
【0367】
同様に適当な出発物質を使用することにより、次の化合物を製造する:
(1S,3S)−3−アセチル−10−[(2−アミノエチル)アミノ]−3,5,12−トリヒドロキシ−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−リキソ−ヘキソピラノシド(化合物66)
【0368】
【化115】
MS(ESI):556[M+H]
+。
【0369】
(1S,3S)−3−アセチル−3,5,12−トリヒドロキシ−10−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−6,11−ジオキソ−1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロテトラセン−1−イル3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−L−リキソ−ヘキソピラノシド(化合物67)
【0370】
【化116】
MS(ESI):557[M+H]
+。
【0371】
[実施例8]
中間体N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N5−カルバモイル−N−{4−[({メチル[2−(メチルアミノ)エチル]カルバモイル}オキシ)メチル]フェニル}−L−オルニチンアミドエン酸塩(化合物39)の製造
【0372】
【化117】
【0373】
ステップa
N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−L−オルニチンアミド(1.3g,2.16mmol)(EP 0624377A2に報告されているように製造)及びビス(4−ニトロフェニル)カーボネート(1.32g,4.34mmol)を窒素雰囲気下で乾燥DMF(6ml)中に溶解し、DIPEA(0.75ml,4.35mmol)を添加し、生じた溶液を室温で1時間攪拌した。ジエチルエーテル(120ml)を添加し、生じた沈殿を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥して、N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[4−({[(4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]−L−オルニチンアミド(68)(1.47g,収率89%)を得た。
【0374】
【化118】
MS(ESI):767[M+H]
+。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6) δ 0.86(d,J=6.7Hz,3H),0.88(d,J=6.7Hz,3H),1.30−1.52(m,2H),1.60(m,1H),1.69(m,1H),1.99(m,1H),2.90−3.10(m,2H),3.93(dd,J=8.9,7.0Hz,1H),4.14−4.34(m,3H),4.42(m,1H),5.24(s,2H),5.39(s,2H),5.97(t,J=5.5Hz,1H),7.32(m,2H),7.42(m,5H),7.55(m,2H),7.65(d,J=8.4Hz,2H),7.74(t,J=7.9Hz,2H),7.88(d,J=7.6Hz,2H),8.12(d,J=7.4Hz,1H),8.31(m,2H),10.12(s,1H)。
【0375】
ステップb
N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[4−({[(4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]−L−オルニチンアミド(310mg,0.404mmol)及び2−(ビフェニル−4−イル)プロパン−2−イルメチル[2−(メチルアミノ)エチル]カルバメート(68)(132mg,0.404mmol)を乾燥DMF(6ml)中に溶解し、窒素雰囲気下室温で3時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、生じた粗な生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOH=9/1)により精製して、N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N−{4−[10−(ビフェニル−4−イル)−4,7,10−トリメチル−3,8−ジオキソ−2,9−ジオキサ−4,7−ジアザウンデカ−1−イル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミド(69)(200mg,収率52%)を得た。
【0376】
【化119】
MS(ESI):954[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,DMSO−d
6) δ 0.86(m,6H),1.21−1.64(m,4H),1.69(s,6H),2.00(m,1H),2.62−3.08(m,10H),3.44(m,2H),3.93(t,J=7.6Hz,1H),4.22(m,1H),4.30(m,1H),4.42(m,1H),4.94−5.03(m,2H),5.39(s,2H),5.96(m,1H),7.25−7.46(m,11H),7.45−7.66(m,6H),7.74(m,2H),7.89(m,2H),8.11(br.s.,1H),10.06(br.s.,1H)。
【0377】
ステップc
N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N−{4−[10−(ビフェニル−4−イル)−4,7,10−トリメチル−3,8−ジオキソ−2,9−ジオキサ−4,7−ジアザウンデカ−1−イル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミド(69)(200mg,0.21mmol)を乾燥DMF(6ml)中に含む溶液にピペリジン(0.105ml,1mmol)を添加した。生じた溶液を室温で2時間攪拌し、濃縮乾固すると、粗なL−バリル−N−{4−[10−(ビフェニル−4−イル)−4,7,10−トリメチル−3,8−ジオキソ−2,9−ジオキサ−4,7−ジアザウンデカ−1−イル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミドが生じた。これを更に精製することなく使用した。粗な中間体を乾燥DCM(6ml)中に溶解し、1−{6−[(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ]−6−オキソヘキシル}−1H−ピロール−2,5−ジオン(130mg,0.42mmol)及びトリエチルアミン(0.088ml,0.63mmol)を添加した。生じた溶液を室温で一晩攪拌し、溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOH=10/1)により精製して、N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−{4−[10−(ビフェニル−4−イル)−4,7,10−トリメチル−3,8−ジオキソ−2,9−ジオキサ−4,7−ジアザウンデカ−1−イル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミド(70)(150mg,収率77%)を得た。
【0378】
【化120】
MS(ESI):925[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,DMSO−d
6) δ 0.81(d,J=6.7Hz,3H),0.84(d,J=6.7Hz,3H),1.18(m,2H),1.36(m,1H),1.40−1.52(m,6H),1.60(m,1H),1.69(s,6H),1.97(m,1H),2.08−2.23(m,2H),2.63−2.96(m,8H),2.90(m,1H),3.01(m,1H),3.23−3.34(m,2H),3.36(m,2H),3.45(m,2H),4.19(t,J=7.4Hz,1H),4.38(m,1H),4.95−5.05(m,2H),5.40(s,2H),5.97(d,J=5.6Hz,1H),6.99(s,2H),7.25−7.41(m,5H),7.45(m,2H),7.53−7.66(m,6H),7.80(d,J=9Hz,1H),8.08(d,J=7.0Hz,1H),9.99(m,1H),10.76(br.s.,1H)。
【0379】
ステップe
標記中間体(39)
N−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]−L−バリル−N−{4−[10−(ビフェニル−4−イル)−4,7,10−トリメチル−3,8−ジオキソ−2,9−ジオキサ−4,7−ジアザウンデカ−1−イル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミド(50mg,0.054mmol)を乾燥THF(5ml)中に溶解し、塩酸(ジオキサン中4M,0.3ml)を添加した。溶液を3分間攪拌した。生じた沈殿を濾別し、THFで洗浄し、真空下で乾燥して、標記化合物(XX)’(36mg,収率92%)を得た。
MS(ESI):687[M+H]
+。
1H NMR(500MHz,メタノール−d
4) δ 0.97(d,J=6.8Hz,3H),0.98(d,J=6.8Hz,3H),1.31(m,2H),1.54−1.67(m,6H),1.76(m,1H),1.89(m,1H),2.08(m,1H),2.28(t,J=7.5Hz,2H),2.64−2.75(m,3H),2.98(s,3H),3.11(m,1H),3.20(m,3H),3.48(t,J=7.1Hz,2H),3.61(t,J=5.7Hz,2H),4.14(d,J=7.5Hz,1H),4.50(dd,J=9.1,4.9Hz,1H),5.11(s,2H),6.79(s,2H),7.35(d,J=8.3Hz,2H),7.60(d,J=8.3Hz,2H)。
【0380】
適当な出発物質を用いて同様の手順により、次の化合物を製造した:
【0381】
【化121】
MS(ESI):687[M+H]
+。
【0382】
[実施例9]
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N5−カルバモイル−N−(4−{[(ピペラジン−1−イルカルボニル)オキシ]メチル}フェニル)−L−オルニチンアミド(化合物72)の製造
【0383】
【化122】
【0384】
ステップ1
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−{4−[({[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}オキシ)メチル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミド
N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N
5−カルバモイル−N−[4−({[(4−ニトロフェノキシ)カルボニル]オキシ}メチル)フェニル]−L−オルニチンアミド(EP 0624377A2及びEP 2357006A2に報告されているように製造,30mg,0.041mmol)をアルゴン雰囲気下、室温で無水DMSO中でtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(5.3mg,0.0287mmol)と反応させた。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を1時間攪拌した。次いで、反応混合物にジエチルエーテル(80ml)を添加し、こうして得られた沈殿を濾過により収集して、N−[6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロル−1−イル)ヘキサノイル]−L−バリル−N−{4−[({[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}オキシ)メチル]フェニル}−N
5−カルバモイル−L−オルニチンアミドが黄色固体(22.0mg)として生じた。これを単離し、更に精製することなく次ステップで使用した。
MS(ESI):785[M+H]
+。
【0385】
ステップ2
標記化合物(72)
ステップ1の中間体(22.0mg)を無水ジクロロメタン(0.12ml)中のトリフルオロ酢酸(327mg,2.87mmol)で処理した。出発物質が消失するまで(HPLC−MS分析)、反応混合物を室温で15分間攪拌した。その後、反応混合物をジエチルエーテル(20ml)で処理し、こうして得られた残渣をジエチルエーテル(2×10ml)で濯いだ。こうして化合物(72)が単離され、更に精製することなく実施例3に報告されている手順に従う化合物(6)の製造のために使用した。
MS(ESI):685[M+H]
+。