特許第6785785号(P6785785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6785785タービン・エンジン・ケーシングの溝の機械加工用ツーリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785785
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】タービン・エンジン・ケーシングの溝の機械加工用ツーリング
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/18 20060101AFI20201109BHJP
【FI】
   B23C3/18
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-548949(P2017-548949)
(86)(22)【出願日】2016年3月14日
(65)【公表番号】特表2018-507789(P2018-507789A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】FR2016050560
(87)【国際公開番号】WO2016146926
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】1552226
(32)【優先日】2015年3月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メリー,ロールリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】クーエ,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】パイシャン,アドリエン
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−000506(JP,A)
【文献】 特開2012−016778(JP,A)
【文献】 特開2002−011608(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0168241(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102006048518(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/00 − 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(1)の環状ケーシング(4)の環状溝(16)の機械加工用ツーリング(24)であって、前記ツーリング(24)が、機械加工ツール(25)と、ベースプレート(33)と、タービンエンジン(1)の径方向軸を形成する第1の軸(Y)に沿ったベースプレート(33)に対する機械加工ツール(25)の第1の位置決め手段(28)と、第1の軸(Y)に垂直な第2の軸(X)に沿ったベースプレート(33)に対する機械加工ツール(25)の第2の位置決め手段(30)であって、前記第2の軸(X)が溝(16)および環状ケーシングの軸に沿って延びる第2の位置決め手段(30)と、ケーシング(4)の溝(16,37)に対するベースプレート(33)の軸方向および径方向の位置決めができる第3の位置決め手段(34)とを備え、前記第3の位置決め手段が、タービンエンジン(1)のケーシング(4)の溝(16)を定める径方向側面(35)などの環状側面に、形状嵌合によって径方向および軸方向に係合することおよび/または支持されることができる、少なくとも1つのベースプレート(33)の支持領域(34)を備え、ツーリングが、ベースプレート(33)をケーシング(4)に対して保持できる加圧手段(42,43,44,45,46)をさらに備える、機械加工用ツーリング(24)。
【請求項2】
第1の位置決め手段が、リング(28)を回転させることにより第1の軸(Y)に沿って機械加工ツール(25)の位置を適合できるリング(28)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のツーリング(24)。
【請求項3】
第2の位置決め手段が、ベースプレート(33)に対して第2の軸(X)に沿って可動の支持体(31)を備えるテーブル(30)を備え、機械加工ツール(25)が可動支持体(31)に取り付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のツーリング(24)。
【請求項4】
機械加工ツール(25)が第1の位置決め手段(28)を介して可動支持体(31)に取り付けられることを特徴とする、請求項3に記載のツーリング(24)。
【請求項5】
機械加工ツール(25)がフライスツールであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のツーリング(24)。
【請求項6】
第1の位置決め手段(28)が、0.05mm未満、好ましくは0.025mm未満の誤差で、機械加工ツール(25)をベースプレート(33)に対して径方向に位置決めでき、および/または第2の位置決め手段(30)が、0.1mm未満、好ましくは0.05mm未満の誤差で、機械加工ツール(25)をベースプレート(33)に対して軸方向に位置決めできることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のツーリング(24)。
【請求項7】
加圧手段が、少なくとも1つのローラ(43)と、前記ローラ(43)をケーシング(4)に前記溝(16)およびベースプレート(33)の反対側に保持するための弾性戻し手段(46)とを備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のツーリング(24)。
【請求項8】
タービンエンジン(1)の中間ケーシング(4)などのタービンエンジン(1)の環状ケーシング(4)の環状溝(16)の機械加工方法であって、
前記溝(16)の摩耗領域(23)を特定するステップと、
ベースプレート(33)が第3の位置決め手段(34,37)を介して前記溝(16)に前記摩耗領域(23)の高さに取り付けられるように、かつ加圧手段(42,43,44,45,46)がベースプレート(33)をケーシング(4)に対して保持するように、請求項1〜7のいずれか1項に記載のツーリング(24)を前記ケーシング(4)に取り付けるステップと、
ツーリング(24)を前記摩耗領域(23)に沿って動かすことにより、溝(16)の前記摩耗領域(23)の少なくとも一部(48)を機械加工するステップと、
を含む、機械加工方法。
【請求項9】
ツーリング(24)をケーシング(4)に取り付けるステップが、第1、第2、および第3の位置決め手段を使用して、機械加工ツール(24)を前記溝(16)に対して径方向および軸方向に位置決めするステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン・エンジン・ケーシングの環状溝の機械加工用ツーリングおよびこのような溝の機械加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンは、従来、中間ケーシングを備え、中間ケーシングは、タービンエンジンの中間ケーシングとナセルの逆推力装置カウルとの間に境界面を作るように設計された、中間ケーシングシュラウドとして知られているシュラウドを含む。
【0003】
中間ケーシングシュラウドの一例は、たとえば仏国特許発明第2925120号明細書に記載されている。
【0004】
中間ケーシングシュラウドは、逆推力装置カウルの一部を形成する追加の環状リップを収容するように設計された環状溝を備える。このリップは、溝の内面に径方向および/または軸方向に支持される。
【0005】
ターボジェットエンジンの運転中、支持力の方向および振幅はターボジェットエンジンの運転条件によって変化する。
【0006】
したがって、たとえば、ターボジェットエンジンが静止している場合、シュラウドは逆推力装置カウルを支持し、したがって、リップは溝の底部に径方向下向きに支持される。
【0007】
逆に、推力反転中、リップは、溝の壁に軸方向に一方向に、かつ溝の底部に径方向に支持される。
【0008】
また、ターボジェットエンジンは、リップと溝との間に相対運動をもたらす振動を発生させる。
【0009】
これらの全ての応力および振動は、溝の壁の摩耗を引き起こす。この摩耗は溝の周囲にわたって不規則に分布する。
【0010】
この摩耗が10分の数ミリメートルオーダで所定の限度を超える場合、溝は修復される必要がある。既存の修復方法がないので、シュラウドは交換され、これにはエンジンの完全な解体を必要とし、この種の作業は時間と費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許発明第2925120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、航空機の翼の直下で、すなわちエンジンを解体することなく、摩耗領域の修復を目的として、摩耗領域の機械加工を可能にするツーリングを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のため、本発明は、タービン・エンジン・ケーシングの環状溝の機械加工用ツーリングに関し、前記ツーリングが、機械加工ツールと、ベースプレートと、径方向軸を形成する第1の軸に沿ったベースプレートに対する機械加工ツールの第1の位置決め手段と、第1の軸に垂直な第2の軸に沿ったベースプレートに対する機械加工ツールの第2の位置決め手段であって、前記第2の軸が溝および環状ケーシングの軸に沿って延びる第2の位置決め手段と、ケーシングの溝に対するベースプレートの軸方向および径方向の位置決めができる第3の位置決め手段と、を備える。
【0014】
この種のツーリングは、様々な位置決め手段を介して、溝に対する機械加工ツールの正確な位置決めを可能にし、続いて、エンジンの解体を必要とすることなく、各摩耗領域の正確な機械加工を可能にする。したがって、前記機械加工は、航空機の翼の下で領域毎に実施されることができる。このようにして、中間ケーシングシュラウドの完全な交換に加えて、エンジンの完全な解体が回避される。様々な摩耗領域の機械加工後、続いて、たとえば耐摩耗ストリップを機械加工された各領域に貼り付けることができ、この種の耐摩耗ストリップは、樹脂をベースにして作製され、繊維を含む。修復された領域を滑らかにする解決方法に加えて、別の解決方法は、たとえば樹脂の層を塗布するものである。
【0015】
第1の位置決め手段は、マイクロメトリックリングを回転させることにより第1の軸に沿って機械加工ツールの位置を適合できるマイクロメトリックリングを備えるのが好ましい。この種のリングは、溝に対する機械加工ツールの正確な径方向の位置決めを可能にする。
【0016】
さらに、第2の位置決め手段は、ベースプレートに対して第2の軸に沿って可動の支持体を備えるマイクロメトリックテーブルを備え、機械加工ツールが可動支持体に取り付けられる。マイクロメトリックテーブルの使用により、溝に対する機械加工ツールの正確な軸方向の位置決めが可能になる。
【0017】
この場合、機械加工ツールは、第1の位置決め手段を介して可動支持体に取り付けられることができる。
【0018】
さらに、第3の位置決め手段は、タービン・エンジン・ケーシングの溝を画定する径方向側面などの環状側面に、形状嵌合によって径方向および軸方向に係合することおよび/または支持されることができる、少なくとも1つのベースプレートの支持領域を備えてよい。
【0019】
本発明の特徴によれば、機械加工ツールはフライスツールでもよい。
【0020】
第1の位置決め手段は、0.05mm未満、好ましくは0.025mm未満の誤差で、機械加工ツールをベースプレートに対して径方向に位置決めできてよく、第2の位置決め手段は、0.1mm未満、好ましくは0.05mm未満の誤差で、機械加工ツールをベースプレートに対して軸方向に位置決めできてよい。
【0021】
さらに、ツーリングは、ベースプレートをケーシングに対して保持できる加圧手段を備えてよい。この種の性能は、溝に対するベースプレートの、したがって機械加工ツールの正確な位置を維持する。
【0022】
この場合、加圧手段は、少なくとも1つのローラと、前記ローラをケーシングに前記溝およびベースプレートの反対側に保持するための弾性戻し手段とを備えてよい。
【0023】
本発明はまた、
前記溝の摩耗領域を特定するステップと、
ベースプレートが第3の位置決め手段を介して前記溝に前記摩耗領域の高さに取り付けられるように、本発明によるツーリングを前記ケーシングに取り付けるステップと、
ツーリングを前記摩耗領域に沿って動かすことにより、溝の前記摩耗領域の少なくとも一部を機械加工するステップと、
を含む、タービンエンジン中間ケーシングなどのタービン・エンジン・ケーシングの環状溝の機械加工プロセスを含む。
【0024】
したがって、本発明は、エンジンを解体することなく、航空機の翼の直下で、溝の摩耗領域のみの機械加工を可能にする簡単な機械加工方法を提案する。
【0025】
ツーリングをケーシングに取り付けるステップは、第1、第2、および第3の位置決め手段を使用して、機械加工ツールを前記溝に対して径方向および軸方向に位置決めするステップを含むのが好ましい。
【0026】
前記位置決めステップは、溝の摩耗領域と健全領域との間のサイズの違いを求めるステップを含んでよい。
【0027】
非限定的な例として与えられる以下の説明を読むことにより、また添付図面を参照して、本発明がさらによく理解され、本発明の他の詳細、特徴、および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】航空機ターボジェットエンジンの軸方向部分断面を図示する。
図2】ケーシング回転部と逆推力装置カウルとの間の連結を示す、図1に示されるターボジェットエンジンのより大縮尺の詳細図である。
図3】本発明によるツーリングの斜視図である。
図4】ツーリングの正面図である。
図5】ツーリングがシュラウドの溝に取り付けられている、ツーリングおよび中間ケーシングシュラウドの斜視図である。
図6】ツーリングのベースプレートが溝に取り付けられている、部分的に機械加工された溝の摩耗領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、ナセル2と、中間ケーシング4によって後方に延長されるファンケーシング3とを備える航空機ターボジェットエンジン1を示す。
【0030】
中間ケーシング4は、ファンケーシング3の後方空気力学的延長部に配置された径方向外側シュラウド5と、前記外側シュラウド5に対して径方向内側に配置された横フランジ6とを備える。中間ケーシング4は、角度を有して分布し、フランジ6間を外側シュラウド5まで径方向に延びてこれに接触する、構造アーム7をさらに備える。
【0031】
中間ケーシング4の外側シュラウド5は、下流方向に直接隣接する外側シュラウド5とナセルカウルとの間の連結を確立することを主な目的とする回転部8を、その下流部分に備える。
【0032】
ナセル2は、空気取入口9、ファンカウル10、逆推力装置カウル11、および固定リアケーシング12で構成された連続的な空気力学的外面を形成し、これらの構成要素は前方から後方に向かって互いに隣接して配置される。
【0033】
一般に2つあり、剛性構造のパイロンにヒンジ連結された逆推力装置カウル11は、外側環状外板14および内側環状外板15を用いて、環状二次流路13を既知のやり方で画定する。
【0034】
図2により詳細に見られるように、ケーシングの回転部8と逆推力装置カウル11との間の連結は、回転部8に作成される環状溝16、およびカウル11を支える支持構造18に取り付けられ、溝16に収容される環状リップ17を用いて確立される。
【0035】
環状リップ17と溝16との間のこの相互作用は、逆推力装置カウル11をナセル2に軸方向および径方向に保持する。
【0036】
環状シール19が溝16とリップ17との間に配置されて、回転部8と支持構造18との間の接合部において空気循環を防ぐ。
【0037】
溝16の軸方向断面は全体的にU型であり、したがって、溝16は、回転前面20と、前面20に対向する回転後面21と、前面20および後面21をこれらの径方向内側端部で接続する円筒底面22とを備える。
【0038】
環状リップ17は、溝16に収容され、溝16の面20,21,22に軸方向および/または径方向に支持される。
【0039】
ターボジェットエンジン1の運転中、可動部によって発生する振動は、溝16内のリップ17の運動を引き起こし、したがって、溝16の面20,21,22の漸次摩耗を引き起こす。
【0040】
ターボジェットエンジンの全重量を制限するために、回転部8は急速に摩滅するアルミニウム系材料で作られている。
【0041】
溝16の面20,21,22の摩耗が過大な場合、リップ17と溝16との間に広い隙間が生じる。
【0042】
前記面20,21,22の修復を可能にするため、まず第一に、たとえば耐摩耗ストリップを機械加工された各領域に貼り付ける前に、これらの面20,21,22の摩耗領域23(図6)を機械加工することが必要であり、この種の耐摩耗ストリップは、たとえば樹脂をベースにして作製され、繊維を含む。修復された領域を滑らかにする解決方法に加えて、別の解決方法は、たとえば樹脂の層を機械加工された各領域に塗布することを含む。
【0043】
航空機の翼の直下で、すなわち、エンジン1の取り外しおよび/または完全な解体をすることなく、使用される異なる領域の機械加工を実施するために、本発明は図3図6に示されるツーリング24を提案する。
【0044】
ツーリング24は、フライス盤の形態で設けられる機械加工ツール25を備え、そのバーは、タービンエンジン1の長手方向軸Xに垂直な径方向軸Yを中心に回転する。前記フライス盤25は、たとえば空気圧式であり、圧縮空気供給ライン26(図5)に接続される。
【0045】
前記機械加工ツール25の固定部の径方向内側端部は、マイクロメトリックリング28を介してリング状プレート27に固定される。したがって、機械加工ツール25のバーは、プレート27に対してある程度まで径方向に可動である。軸Yを中心にしたリング28の旋回により、機械加工ツール25のバーの位置の調整が可能になる。
【0046】
バーの径方向位置は、0.05mm未満、好ましくは0.025mm未満の誤差で調整されることができる。
【0047】
プレート27は、マイクロメトリックテーブル30の支持体29に固定される。マイクロメトリックテーブル30は、フレーム31をさらに備え、支持体29はフレーム31に対して軸Xに沿って可動である。可動支持体29の動作は、マイクロメトリックねじ32によって作動される。支持体29、したがってバーの軸方向位置は、0.1mm未満、好ましくは0.05mm未満の誤差で調整されることができる。
【0048】
フレーム31は、ベースプレート33の径方向外面に固定される。前記ベースプレート33は、周方向に、すなわち、軸XおよびYに垂直に延び、径方向内側に現れる2つの溝34(図5および図6)をさらに備える。前記溝34は、中間ケーシング4のシュラウド5の溝16を画定する側面35に適合する形状であり、シュラウド5の溝16に係合するように設計された突出部36を相互に画定する。
【0049】
より具体的には、前記溝34の表面は、溝16を画定する面20,21の反対側の側面35の表面37および/または側面35の径方向外側端部38に支持されるように設計されている。
【0050】
前記ベースプレート33はまた、図示されていない吸引ラインに連結された、機械加工中に発生する切りくずを吸引する働きをする中空ハンドル39を装備する。ベースプレート33はまた、吸引手段39の反対側に配置された送風手段40(図3)を装備し、それによって切りくずを前記吸引手段39に向かって運ぶ。送風手段40は、41において予備圧縮空気供給ライン(図示せず)に接続された送風ノズルを備える。
【0051】
ツーリング24は、径方向に延び、ベースプレート33に固定されたベース42をさらに備え、前記ベース42にローラ43がベースプレート33の反対側に取り付けられ、前記ローラ43はヨーク44に取り付けられ、それ自体は1つまたはいくつかの可動ロッド45の端部に固定され、前記ロッド45およびローラ43は、圧縮コイルばね46を備える弾性戻し手段を介して、径方向外側に、すなわちベースプレート33の方向に戻される。
【0052】
以下の手順は、1つまたはいくつかの摩耗領域23、すなわち、中間ケーシング4のシュラウド5の溝16の1つまたはいくつかの角度セクタを機械加工するために採用される。
【0053】
まず第一に、ナセル2の逆推力装置カウル11を開けた後、操作者はツーリング24をシュラウド5に取り付ける。具体的には、ベースプレート33の突出部36はシュラウド5の溝16に係合し、側面35はベースプレート33の溝34に係合する。
【0054】
ローラ43は、ばね46を用いて、溝削り16の反対側のシュラウド5の径方向内面に当てられる。次いで、側面35の径方向外側端部38はベースプレート33の溝34の底部に支持されることができ、それによってベースプレート33をシュラウド5に対して径方向に固定する。さらに、ベースプレート33の溝34の表面は、側面35の表面37に支持され、その結果、ベースプレート33はシュラウドに対して軸方向にも同様に固定される。表面37の形状(たとえば、フィレット形状または円錐台形)に応じて、シュラウド5の表面37に支持される溝34の表面だけにより、径方向および軸方向の位置決めを実現することができ、この場合、側面35の端部38は溝34の底部に当接しない。
【0055】
たとえば図2において47とされる領域などの、シュラウド5の非摩耗接触可能基準に対してバーの径方向位置を正確に調整するために、操作者はマイクロメトリックリング28を回転させる。さらに、シュラウド5の前記基準47に対してバーの軸方向位置を正確に調整するために、操作者はマイクロメトリックテーブル30のマイクロメトリックねじ32を回して支持体29を動かす。
【0056】
このために、操作者は、コンパレータ方式ツールを使用して、摩耗部の摩耗を測定することができる。この目的のため、溝が過度に損傷している場合、溝は追加の金属部材を使用して少なくとも部分的に復元され、その後溝の健全部の厚さがコンパレータの基準として利用される。言い換えれば、コンパレータは自重計量のために溝の健全部に配置される。続いて、コンパレータは、溝の健全部と摩耗部との間の厚さの違いを求めるために、溝の使用部に取り付けられる。次いで、バーの位置がそれに応じて適合される。
【0057】
続いて、フライスツール25が起動されることができ、ハンドル39を使用して、ツーリング24がシュラウド5の溝16の摩耗領域23に沿って周方向に動かされることができ、その結果、バーが面20,21,22の摩耗領域を機械加工することができる。
【0058】
図6は、部分的に機械加工された溝の摩耗領域23を示す。既に機械加工された部分は、この図において48とされる。
【0059】
このように、本発明は、航空機の翼の直下で、シュラウド5の溝16の摩耗領域23のみの機械加工を可能にするツーリング24および機械加工方法を提案する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6