(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
提案されるのは、診断カテーテルと切除カテーテルとを包含する切除システムである。診断カテーテルは、切除カテーテルを摺動式に収容するとともに双極子マッピング情報を提供するように構成される。このシステムは、電極と人体との間で電気信号を送達(deliver)および記録することにより人体の中および/または上の電極の位置を特定(「位置確認」)するとともに、解剖学的マッピング情報を提供するように構成される。本発明の様々な態様によれば、単一の導体が左心房にアクセスして心房内で操作されて心臓組織をマッピングおよび/または切除し、二重の経中隔穿孔を実施する必要性を回避する。電極の位置確認は、システムの一つまたは複数のカテーテルの視覚化および正確な操作を可能にする。一つまたは複数のカテーテルの誘導は、位置確認情報に基づいて実施されうる。
【0012】
本開示の一態様によれば、切除システムは切除カテーテルと診断カテーテルとを包含する。切除カテーテルは、遠位部分を備える長尺シャフトと、切除カテーテルシャフト遠位部分に配置されて組織へエネルギーを送達するように構成される少なくとも一つの切除要素とを包含する。診断カテーテルは、診断カテーテルシャフトが切除カテーテルシャフトの遠位部分を摺動式に収容するように構成されるところである遠位端部を包含する長尺シャフトと、診断カテーテルシャフトに取り付けられて圧縮状態から拡開状態へ移行するように構成される拡開アセンブリと、拡開アセンブリに結合される複数の双極子マッピング電極と、拡開アセンブリに結合される複数の超音波トランスデューサとを包含する。切除カテーテルは、患者、例えば患者の心臓組織を治療するのに使用されうる。
【0013】
システムは、心房細動患者か心室頻拍患者の少なくとも一方を治療するように構成される。
【0014】
システムは、単一の経中隔穿孔を利用しながら患者の左心房か患者の左心室の少なくとも一方を治療するように構成されうる。
【0015】
システムは、大動脈弁の単一の交差部を利用して左心室へアクセスしながら、患者の左心室を治療するように構成される。
【0016】
診断カテーテルは、表面単極電圧情報と、表面双極電圧情報と、表面電荷密度情報と、単相活動電位情報と、心臓壁位置および心臓壁厚情報などの解剖学的幾何学情報と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される情報を提供するように構成されうる。いくつかの実施形態でシステムはさらに、基準情報を包含するメモリ記憶モジュールを包含し、診断カテーテルにより提供される情報が記憶された基準情報と比較されうる。
【0017】
診断カテーテルは、左心房か左心室の少なくとも一方に配置されるように構成されうる。
【0018】
診断カテーテルは、遠位部分と操縦アセンブリとを包含し、操縦アセンブリは診断カテーテル遠位部分を一つまたは複数の方向に操縦するように構成されうる。いくつかの実施形態では、操縦アセンブリはロボット式操縦アセンブリを包含する。
【0019】
診断カテーテルは、15Fr以下の直径を持つ遠位部分を包含しうる。
【0020】
診断カテーテルシャフトは、切除カテーテルの遠位部分と付加的な長尺装置の遠位部分とを摺動式に収容するように構成されうる。付加的な長尺装置は、左心房、左心室、右心房、ヒス束、右室心尖部、肺静脈、または冠状静脈洞からの信号を記録するように構築および配設(arrange)される診断カテーテルなどの診断カテーテルと、電極の線形アレイを備えるカテーテルと、電極の螺旋アレイを備えるカテーテルと、ペーシングカテーテルと、無線周波数エネルギー、低温エネルギー、レーザエネルギー、または超音波エネルギーを送達するように構築および配設されるカテーテルなどのエネルギー送達カテーテルと、以上の組み合わせとから成るグループから選択されるカテーテルを包含しうる。
【0021】
拡開アセンブリは、診断カテーテルシャフトの遠位端部に配置されうる。
【0022】
拡開アセンブリは、径方向に拡開するように構成されうる。いくつかの実施形態で、システムはさらに遠位端を備えるシースを包含し、拡開アセンブリはシース遠位端部を出る際に径方向に拡開するように構成されうる。
【0023】
拡開アセンブリは、複数の拡開可能部材を包含しうる。複数の拡開可能部材は、形状記憶合金、例えばニチノールを包含する形状記憶合金を包含する材料から形成されうる。複数の拡開部材は、形状記憶ポリマー、例えば三層アクリルを包含する形状記憶ポリマーを包含する材料から形成されうる。
【0024】
拡開アセンブリは複数の屈曲スプラインを包含し、各スプラインは近位端部と遠位端部とを包含する。各スプラインは、離間した双極子マッピング電極のセットをさらに包含しうる。離間双極子マッピング電極セットは、少なくとも4個の双極子マッピング電極か少なくとも6個の双極子マッピング電極か少なくとも8個の双極子マッピング電極を包含しうる。各スプラインは、離間した超音波トランスデューサのセットをさらに包含しうる。離間超音波トランスデューサセットは、少なくとも4個の超音波トランスデューサか少なくとも6個の超音波トランスデューサか少なくとも8個の超音波トランスデューサを包含しうる。各スプラインはさらに、複数の双極子マッピング電極を少なくとも二つと、複数の超音波トランスデューサを少なくとも二つ包含する。例えば、複数の双極子マッピング電極のうち一つまたは複数が、各スプラインで隣接する二つの超音波トランスデューサの間に設置されうる。
【0025】
各スプライン近位端部は、診断カテーテルの長尺シャフト遠位端部に近接する位置に固定装着され、各スプライン遠位端部は周方向配設形態で接続されうる。拡開アセンブリが拡開状態にある時に、周方向配設形態は開口部を画定しうる。診断カテーテルシャフトは中心軸線を画定する遠位部分を包含し、開口部は軸線で相対的にセンタリングされうる。切除カテーテルは遠位端部を包含し、診断カテーテルを通る切除カテーテルの進出が切除カテーテルシャフト遠位端部に開口部を通過させるように開口部が配置されうる。拡開アセンブリはさらに、二つ以上のガイド要素、例えば診断カテーテルを通る切除カテーテルの進出中に、切除カテーテル遠位端部がガイド要素により案内されて開口部を通過するように構成されうる二つ以上のガイド要素を包含しうる。二つ以上のガイド要素は、診断カテーテルが圧縮状態から拡開状態へ移行する際に診断カテーテル遠位端部から部分的に進出するように構成されうる。拡開アセンブリはさらに、開口部に接続されるガイド管を包含し、例えばガイド管は、診断カテーテルが圧縮状態から拡開状態へ移行する際に診断カテーテル遠位端部から部分的に進出するように構成されうる。
【0026】
切除カテーテルは遠位端部を包含し、各スプラインはその近位端部とその遠位端部との間に配置される中央部分をさらに包含し、屈曲スプラインが拡開状態にある時に径方向に撓曲されて切除カテーテル遠位端部に第1スプライン中央部分と第2スプライン中央部分との間を通過させるように、切除カテーテル遠位端部が構成されうる。例えば切除カテーテル遠位端部の撓曲が切除カテーテル遠位端部に二つのガイド要素の間を通過させる場合には、拡開アセンブリは二つ以上のガイド要素をさらに包含しうる。
【0027】
複数の双極子マッピング電極は非分極金属を包含しうる。複数の双極子マッピング電極は、血液、血漿、または食塩溶液の少なくとも一つと接触した時に酸化するように構築および配設される非貴金属を包含しうる。複数の双極子マッピング電極は、金属酸化物コーティング、導電性ポリマーコーティング、および以上の組み合わせから成るグループから選択されるコーティングを包含しうる。複数の双極子マッピング電極は、血液、血漿、または食塩溶液の少なくとも一つと電気化学的触媒作用か直接反応の少なくとも一方を行うように構築されるコーティングを包含しうる。複数の双極子マッピング電極はさらに、外層と、外層の中に配置される内層とを包含し、外層はインピーダンス低下層を包含して、内層は外層に接合するように構成されうる。複数の双極子マッピング電極は分極金属を包含しうる。複数の双極マッピング電極は貴金属を包含しうる。
【0028】
複数の双極子マッピング電極は、複数の超音波トランスデューサの量と等しい量を包含する。双極子マッピング電極の数は、超音波トランスデューサの数より大きい。複数の双極子マッピング電極の各々は、二つの超音波トランスデューサの間に設置されうる。複数の超音波トランスデューサの各々は、二つの双極子マッピング電極の間に設置されうる。
【0029】
複数の双極子マッピング電極は、約0.1ヘルツを上回る周波数について10,000オーム未満のインピーダンスを持つ少なくとも一つの双極子マッピング電極を包含しうる。
【0030】
複数の超音波トランスデューサは、単要素または多要素の圧電セラミックスと、圧電微細加工による超音波トランスデューサ(pMUT)と、容量性微細加工による超音波トランスデューサ(cMUT)と、圧電ポリマーと、以上の組み合わせとから成るグループから選択されるアセンブリを包含しうる。
【0031】
診断カテーテルシャフトは編組層を包含しうる。編組層は、中に配置される二つ以上の電気導体を包含しうる。二つ以上の電気導体は、二つ以上の同軸ケーブルを包含しうる。少なくとも一つの導体は双極子マッピング電極に電気的に接続され、少なくとも一つの導体は超音波トランスデューサに電気的に接続されうる。少なくとも一つの導体は、螺旋パターンで編組層に配置されうる。
【0032】
切除カテーテルは遠位端部を包含し、少なくとも一つの切除要素が切除カテーテル遠位端部に配置されうる。少なくとも一つの切除要素は、切除カテーテルシャフト遠位部分に線形アレイで配置される多数の電極を包含しうる。切除カテーテルは、エネルギーを送達して電気信号を記録するように構成される多数の電極を包含しうる。切除カテーテルは、エネルギーを送達して双極子マッピング情報を記録するように構成される多数の電極を包含しうる。
【0033】
切除カテーテルは、切除カテーテルの遠位部分を選択的に操作するように構成される操縦機構を包含しうる。操縦機構は、アンカ要素と、切除カテーテル遠位部分の一方向から多方向の変位を可能にするように構成される一つまたは複数の装着プルワイヤとを包含しうる。操縦機構は、ロボット操縦機構を包含しうる。
【0034】
少なくとも一つの切除要素は少なくとも一つの電極を包含しうる。少なくとも一つの切除要素は、電極と、低温エネルギーを送達するように構成される導管と、レーザダイオードと、切除エネルギーを送達するように構成される光ファイバ、マイクロ波エネルギー送達要素、超音波エネルギーの送達要素と、薬品または他の薬剤の送達要素と、以上の組み合わせから成るグループから選択される切除要素を包含しうる。少なくとも一つの切除要素は、無線周波数エネルギーと、低温エネルギーと、レーザエネルギーと、光エネルギーと、マイクロ波エネルギーと、超音波エネルギーと、化学エネルギーと、以上の組み合わせとから成るグループから選択されるエネルギーを送達するように構成されうる。
【0035】
システムはさらに、距離測定アセンブリを包含しうる。距離測定アセンブリは、複数の超音波トランスデューサの各超音波トランスデューサと各超音波トランスデューサに直交する組織表面との間の距離を表すデータのセットを作成する。距離測定アセンブリは、診断カテーテルの複数の超音波トランスデューサへ信号を送達し、診断カテーテルの複数の超音波トランスデューサからの第1発生信号を記録し、第1発生信号の記録に基づいて第1距離情報セットを作成する。切除カテーテルは、少なくとも一つの超音波トランスデューサを包含し、距離測定アセンブリは、切除カテーテルの少なくとも一つの超音波トランスデューサへ信号を送達し、切除カテーテルの少なくとも一つの超音波トランスデューサからの第2発生信号を記録し、第2発生信号の記録に基づいて第2距離情報セットを作成する。いくつかの実施形態で、システムはさらに、少なくとも一つの超音波トランスデューサを包含する補助装置を包含し、距離測定アセンブリは、補助装置の少なくとも一つの超音波トランスデューサへ信号を送達し、補助装置の少なくとも一つの超音波トランスデューサからの第2発生信号を記録し、第2発生信号の記録に基づいて第2距離情報セットを作成するように構成される。補助装置は、外部の超音波装置と、経食堂心エコー装置と、心腔内心エコー装置と、記録電極の線形アレイを備えるカテーテルと、記録電極の螺旋アレイを備えるカテーテルと、冠状静脈洞診断カテーテル記録装置と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される装置を包含しうる。
【0036】
システムは、少なくとも第1電極と第2電極とを包含し、距離測定アセンブリは、第1電極と第2電極との間の距離を表すデータを作成しうる。第1電極は電気信号を送達するように構成され、第2電極は第1電極により送達される電気信号を記録するように構成され、距離測定アセンブリは記録された電気信号に基づいてデータを作成しうる。送達される信号は電流を包含しうる。記録される信号は電圧を包含しうる。距離測定アセンブリは、第1発生信号と送達信号との比較に基づいて第1距離情報セットを作成するように構成されうる。第1距離情報セットは電気インピーダンスによって表されうる。第1距離情報セットは、第1電極と第2電極との間の既知の距離を使用して決定される生理学的インピーダンスに基づきうる。いくつかの実施形態では、拡開アセンブリは少なくとも一つのスプラインを包含し、第1電極と第2電極とは少なくとも一つのスプラインに装着されうる。第1距離情報セットは、少なくとも第1および第2電極に近接する血液および/または組織を循環させるためのインピーダンス値を使用して決定されうる。
【0037】
第1電極と第2電極とは、双極子マッピング電極を包含しうる。拡開アセンブリは、第1電極を包含する第1スプラインと第2電極を包含する第2スプラインとを包含し、距離測定アセンブリは第1スプラインと第2スプラインとの間の距離を表すデータを作成しうる。第1電極は双極子マッピング電極を包含し、切除カテーテルは第2電極を包含し、距離測定アセンブリは、診断カテーテルと切除カテーテルとの間の距離を表すデータを作成しうる。いくつかの実施形態では、第2電極を包含する第3カテーテル装置をシステムがさらに包含し、第1電極は双極子マッピング電極を包含し、距離測定アセンブリは、診断カテーテルと第3カテーテル装置との間の距離を表すデータを作成しうる。
【0038】
診断カテーテルは少なくとも二つの電極を包含し、距離測定アセンブリは、診断カテーテルの少なくとも二つの電極へ信号を送達し、診断カテーテルの少なくとも二つの電極からの第1発生信号を記録し、第1発生信号の記録に基づいて第1距離情報セットを作成しうる。診断カテーテルの複数の双極子マッピング電極は少なくとも二つの電極を包含しうる。第1距離情報セットは、拡開アセンブリの幾何学的構成を表しうる。
【0039】
システムはさらに、少なくとも一つの電極を包含する第2診断カテーテルを包含し、距離測定アセンブリはさらに、第2診断カテーテルの少なくとも一つの電極へ信号を送達し、第2診断カテーテルの少なくとも一つの電極からの第2発生信号を記録し、第2発生信号の記録に基づいて第2距離情報セットを作成するように構成されうる。
【0040】
切除カテーテルは少なくとも一つの電極を包含し、距離測定アセンブリはさらに、切除カテーテルの少なくとも一つの電極へ信号を送達し、第2発生信号を記録し、切除カテーテルの少なくとも一つの電極へ送達される信号と第2発生信号の記録との比較に基づいて第2距離情報セットを作成するように構成されうる。診断カテーテルは電極を包含し、第2距離情報セットは切除カテーテルの少なくとも一つの電極と診断カテーテル電極との間の距離を包含しうる。切除カテーテルの少なくとも一つの電極は第1電極と第2電極とを包含し、距離情報は第1電極と第2電極との間の距離を包含しうる。
【0041】
システムはさらに、少なくとも一つの電極を包含する第2切除カテーテルを包含し、距離測定アセンブリはさらに、第2切除カテーテルの少なくとも一つの電極へ信号を送達し、第2切除カテーテルの少なくとも一つの電極からの第2発生信号を記録し、第2発生信号の記録に基づいて第2距離情報セットを作成するように構成されうる。
【0042】
システムはさらに、少なくとも一つの電極を包含する第2診断カテーテルを包含し、距離測定アセンブリはさらに、第2診断カテーテルの少なくとも一つの電極へ信号を送達し、第2診断カテーテルの少なくとも一つの電極からの第2発生信号を記録し、第2発生信号の記録に基づいて第2距離情報セットを作成するように構成されうる。
【0043】
システムはさらに、少なくとも一つの体表面電極を包含し、距離測定アセンブリはさらに、少なくとも一つの体表面電極へ信号を送達し、少なくとも一つの体表面電極からの第2発生信号を記録し、第2発生信号の記録に基づいて第2距離情報セットを作成するように構成されうる。
【0044】
システムはさらに、近位端部と遠位端部とその中の内腔とを備える長尺シャフトを包含する操縦可能シースを包含し、シース長尺シャフトは身体へ挿入されるように構成され、シース内腔は診断カテーテルシャフトを摺動式に収容するように構成されうる。
【0045】
システムはさらに、ロボット操作アセンブリを包含しうる。システムはさらに、ロボット操作可能アセンブリを操作するように構成されるロボットアセンブリを包含しうる。システムは、少なくとも一つの双極子マッピング電極により記録される双極子マッピング情報または少なくとも一つの超音波トランスデューサにより記録される距離情報の少なくとも一方の解析に基づいて、ロボット操作アセンブリを操作するように構成されうる。システムは、少なくとも一つの双極子マッピング電極により記録される双極子マッピング情報と少なくとも一つの超音波トランスデューサにより記録される距離情報との解析に基づいてロボット操作アセンブリを操作するように構成されうる。システムは第1電極と第2電極とを包含し、システムはさらに、第1電極に送達される信号と第2電極により記録される信号とを比較することにより作成される距離情報に基づいて、ロボット操作アセンブリを操作するように構成されうる。システムは、ロボット操作アセンブリを自動的に操作するように構成され、例えば、システムはオペレータから操作基準を受理するように構成され、オペレータ入力情報に基づいて自動的な操作が実施されうる。システムは、組織との接触を評価するように構成され、ロボット操作アセンブリは、接触評価に基づいて操作され、例えばシステムはオペレータからの接触閾値基準を受理するように構成され、オペレータ入力情報に基づいて操作が実施されうる。システムは、ロボット操作アセンブリをオペレータに操作させるように構成されうる。例えば、ロボット式に操作されるように構成される操縦可能部分を切除カテーテルが包含する場合には、切除カテーテルはロボット操作アセンブリを包含しうる。例えば、ロボット式に操作されるように構成される操縦可能部分を診断カテーテルが包含する場合には、診断カテーテルはロボット操作アセンブリを包含しうる。
【0046】
システムはさらに、切除カテーテルの少なくとも一つの切除要素へエネルギーを提供するように構成されるエネルギー源を包含する。エネルギー源は、無線周波数エネルギーと低温エネルギーとレーザエネルギーと光エネルギーとマイクロ波エネルギーと超音波エネルギーと化学エネルギーと以上の組み合わせとから成るグループから選択されるエネルギーを提供するように構成されうる。診断カテーテルは少なくとも一つの切除要素を包含し、エネルギー源は、診断カテーテルの少なくとも一つの切除要素へエネルギーを送達するように構成されうる。システムはさらに、少なくとも一つの切除要素を包含する第2切除カテーテルを包含し、エネルギー源は、第2切除カテーテルの少なくとも一つの切除要素へエネルギーを送達するように構成されうる。
【0047】
システムはさらに、複数の双極子マッピング電極に結合される電気信号源を包含しうる。電気信号源は電流源を包含しうる。
【0048】
システムはさらに電位図記録カテーテルを包含する。診断カテーテルは、左心房に配置されるように構成され、電位図記録カテーテルは冠状静脈洞に配置されるように構成されうる。電位図記録カテーテルは、電極の螺旋アレイを備えるカテーテルを包含しうる。電位図記録カテーテルは、左心房、肺静脈、または冠状静脈洞のうち少なくとも一つに配置されるように構成されうる。電位図記録カテーテルは、診断カテーテルシャフトにより摺動式に収容されるように構成される遠位部分を包含しうる。
【0049】
システムはさらに、第2切除カテーテルを包含しうる。第2切除カテーテルは、診断カテーテルシャフトにより摺動式に収容されるように構成されうる。第2切除カテーテルは、第1切除カテーテルと類似または非類似の構造のものでありうる。
【0050】
システムはさらに、診断カテーテルシャフトにより摺動式に収容されるように構成される第3カテーテル装置を包含しうる。第3カテーテル装置は、ラッソカテーテルのような電極の螺旋アレイを備えるカテーテルと、ペーシングカテーテルと、無線周波数エネルギー、マイクロ波エネルギー、低温エネルギー、レーザエネルギーおよび/または超音波エネルギーを送達するように構築および配設されるカテーテルなどのエネルギー送達カテーテルと、抗不整脈薬、幹細胞、または他の生物学的薬剤を送達するように構築および配設されるカテーテルなどの薬品または他の薬剤の送達カテーテルと、機械装置送達カテーテルと、以上の組み合わせとから成るグループから選択される装置を包含しうる。第3カテーテル装置は、機械装置配備カテーテルを包含しうる。機械装置配備カテーテルは、ロボット誘導または操作装置と心耳閉塞装置と弁交換装置と組織生検装置と以上の組み合わせとから成るグループから選択される装置を配備するように構成されうる。第3カテーテル装置は、ロボット操作可能なカテーテル装置を包含しうる。
【0051】
システムはさらに治療装置を包含しうる。治療装置は、診断カテーテルのシャフトにより摺動式に収容される形態を持つ遠位部分を包含しうる。治療装置は、ペーシング装置と、除細動装置とステント送達装置と薬品送達装置と幹細胞送達装置と以上の組み合わせとから成るグループから選択される装置を包含しうる。
【0052】
本開示の別の態様によれば、診断カテーテルは、遠位端部を包含する長尺シャフトであって、第2カテーテルのシャフトの遠位部分を摺動式に収容されるように構成されるシャフトと、診断カテーテルシャフトに取り付けられて圧縮状態から拡開状態へ移行するように構成される拡開アセンブリと、拡開アセンブリに結合される複数の双極子マッピング電極と、拡開アセンブリに結合される複数の超音波トランスデューサとを包含する。
【0053】
カテーテルは、表面単極電圧情報と表面双極電圧情報と表面電荷密度情報と単相活動電位情報と解剖学的幾何学構成と以上の組み合わせとから成るグループから選択される情報を提供するように構成されうる。
【0054】
カテーテルは、左心房および左心室の少なくとも一方に配置されるように構成されうる。
【0055】
カテーテルはさらに、ロボット操作アセンブリを包含しうる。カテーテルは、ロボット式に操作される形態を持つ操縦可能部分を包含しうる。カテーテルは、進出か退避の少なくとも一方をロボット式に行うように構成されるシャフトを包含しうる。
【0056】
拡開アセンブリは、シャフトの遠位端部に配置されうる。拡開アセンブリは、径方向に拡開するように構成されうる。いくつかの実施形態では、カテーテルは遠位端部を備えるシースをさらに包含し、拡開アセンブリはシース遠位端部を出る際に径方向に拡開するように構成されうる。
【0057】
拡開アセンブリは、複数の拡開可能部材を包含しうる。複数の拡開可能部材は、形状記憶合金、例えばニチノールを包含する形状記憶合金を包含する材料から形成されうる。複数の拡開可能部材は、形状記憶ポリマー、例えば三層アクリルを包含する形状記憶ポリマーを包含する材料から形成されうる。
【0058】
拡開アセンブリは複数の屈曲スプラインを包含し、各スプラインは近位端部と遠位端部とを包含する。各スプラインはさらに、離間した双極子マッピング電極のセットを包含しうる。離間双極子マッピング電極セットは、少なくとも4個の双極子マッピング電極または少なくとも6個の双極子マッピング電極または少なくとも8個の双極子マッピング電極を包含しうる。各スプラインはさらに、離間した超音波トランスデューサのセットを包含しうる。超音波トランスデューサのセットは、少なくとも4個の超音波トランスデューサまたは少なくとも6個の超音波トランスデューサまたは少なくとも8個の超音波トランスデューサを包含しうる。各スプラインはさらに、複数の双極子マッピング電極を少なくとも二つと複数の超音波トランスデューサを少なくとも二つ包含しうる。例えば、複数の双極子マッピング電極のうち一つまたは複数は、各スプラインで、隣接する二つの超音波トランスデューサの間に設置されうる。
【0059】
各スプラインの近位端部は、診断カテーテルの長尺シャフト遠位端部に近接する位置に固定装着され、各スプライン遠位端部は周方向配設形態で接続されうる。周方向配設形態は、拡開アセンブリが拡開状態にある時に開口部を画定しうる。診断カテーテルシャフトは、中心軸線を画定する遠位部分を包含し、開口部は軸線で相対的にセンタリングされうる。拡開アセンブリはさらに二つ以上のガイド要素、例えば第2シャフトの遠位端部に開口部を通過させようとするように構成される二つ以上のガイド要素を包含しうる。
【0060】
複数の双極子マッピング電極は、非分極金属を包含しうる。複数の双極子マッピング電極は、血液、血漿、または食塩溶液の少なくとも一つと接触する時に酸化するように構築および配設される非貴金属を包含しうる。複数の双極子マッピング電極は、金属酸化物コーティングと導電性ポリマーコーティングと以上の組み合わせとから成るグループから選択されるコーティングを包含しうる。複数の双極子マッピング電極は、血液、血漿、または食塩溶液の少なくとも一つと電気化学的触媒作用か直接反応の少なくとも一方を行うように構築されたコーティングを包含しうる。複数の双極子マッピング電極はさらに、外層と、外層の中に配置される内層とを包含し、外層はインピーダンス低下層を包含し、内層は外層に接合するように構成されうる。複数の双極子マッピング電極は分極金属を包含しうる。複数の双極子マッピング電極は貴金属を包含しうる。
【0061】
複数の双極子マッピング電極は、複数の超音波トランスデューサの量に等しい量を包含しうる。双極子マッピング電極の数は、超音波トランスデューサの数より大きい。複数の双極子マッピング電極の各々は、二つの超音波トランスデューサの間に設置されうる。複数の超音波トランスデューサの各々は、二つの双極子マッピング電極の間に設置されうる。
【0062】
複数の超音波トランスデューサは、単要素または多要素の圧電セラミックスと、圧電微細による加工超音波トランスデューサ(pMUT)と、容量性微細加工による超音波トランスデューサ(cMUT)と、圧電ポリマーと、以上の組み合わせから成るグループから選択されるアセンブリを包含しうる。
【0063】
診断カテーテルシャフトは編組層を包含しうる。編組層は、中に配置される二つ以上の電気導体を包含しうる。二つ以上の電気導体は、二つ以上の同軸ケーブルを包含しうる。少なくとも一つの導体が双極子マッピング電極に電気的に接続され、少なくとも一つの導体が超音波トランスデューサに電気的に接続されうる。少なくとも一つの導体は、螺旋パターンで編組層に配置されうる。
【0064】
本発明の関連技術は、切除カテーテルであって、遠位部分を備える長尺シャフトと、
切除カテーテルシャフト遠位部分に配置されて組織へエネルギーを送達するように構成される少なくとも一つの切除要素と、を包含する切除カテーテルと、診断カテーテルであって、遠位端部を包含する長尺シャフトであって、前記切除カテーテルシャフトの前記遠位部分を摺動式に収容するように構成される診断カテーテルシャフトである、長尺シャフトと、前記診断カテーテルシャフトに取り付けられて、圧縮状態から拡開状態へ移行するように構成される拡開アセンブリと、前記拡開アセンブリに結合され、双極子密度情報を提供するよう構成される複数の双極子マッピング電極と、前記拡開アセンブリに結合される複数の超音波トランスデューサと、を包含する診断カテーテルと、距離測定アセンブリであって、前記複数の超音波トランスデューサを駆動し、前記拡開アセンブリの形状を考慮した前記複数の超音波トランスデューサの各超音波トランスデューサと各超音波トランスデューサに直交する組織表面との間の距離を表すデータを包含する解剖学的幾何学データを作成する距離測定アセンブリと、前記解剖学的幾何学データを使用しそれが置かれる幾何学的空洞の三次元マップを作成し、前記双極子密度情報から双極子密度マップを作成するよう構成される処理ユニットであって、前記処理ユニットはディスプレイを駆動して前記幾何学的空洞の前記三次元マップと共に前記双極子密度マップを表示させる処理ユニットと、を包含する。
【0065】
望ましくは、前記拡開アセンブリが、形状記憶合金か形状記憶ポリマーの少なくとも一方、または両方を包含する複数の拡開部材を包含する。
【0066】
望ましくは、前記診断カテーテルシャフトが、中心軸線を画定する遠位部分を包含し、前記開口部が前記軸線で相対的にセンタリングされ、前記切除カテーテルの遠位端部を収容するのに十分な大きさである。
【0067】
望ましくは、前記拡開アセンブリが前記開口部を通して前記切除カテーテルの遠位端部を案内するよう構成された複数のガイド要素をさらに包含する。
【0068】
望ましくは、前記診断カテーテルシャフトが、中に配置される2つ以上の電気導体を包含する壁を包含する。
【0069】
望ましくは、前記三次元マップが前記空洞の解剖学的マップを包含する。
【0070】
望ましくは、前記三次元マップが前記空洞の電気的マップを包含する。
【0071】
望ましくは、前記解剖学的幾何学形状情報が心臓壁位置情報または心臓壁厚情報の少なくともどちらか一方を包含する。
【0072】
本発明は、添付図面および付属の詳細な説明を考慮すると、より明白になるだろう。ここに描かれた実施形態は、限定としてではなく例として提示されたものであり、同様の参照番号は同じか類似の要素を指す。図面は必ずしも一定尺度ではなく、むしろ発明の態様を図示することに強調が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0074】
いくつかの例示的実施形態が示される添付図面を参照して、様々な例示的実施形態が以下でより詳しく説明される。しかし、本発明概念は、多くの異なる形で具体化されうるものであり、ここに提示される例示的実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0075】
様々な要素を説明するのに第1、第2などの語がここで使用されるが、これらの要素がこれらの語により限定されるべきではないことが理解されるだろう。これらの語は、一つの要素を別のものと区別するのに使用され、必要とされる要素の順序を意味するものではない。例えば、本発明の範囲を逸脱することなく、第1要素が第2要素と呼ばれてもよく、同様に第2要素が第1要素と呼ばれてもよい。ここで使用される際に、「および/または」の語は、関連して挙げられる物品のうち一つまたは複数のいずれかまたはすべての組み合わせを含む。
【0076】
ある要素が別の要素の「上に」あるか、これに「装着」、「接続」、または「結合」されるものとして言及される時には、他の要素の直接上にあるか、これに直接的に接続または結合されうるか、あるいはその間の要素が存在しうる。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あるか、「直接的に接続」または「直接的に結合」されるものとして言及される時には、その間の要素は存在しない。要素の間の関係を説明するのに使用される他の単語は、同じように解釈されるべきである(「間に」と「の間に直接」、「隣接して」と「直接隣接して」など)。
【0077】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、発明の限定であることを意図するものではない。ここで使用される際に、単数形の“a”,“an”,“the”は、そうでないことが文脈上明らかでない限り、複数形も同じく含むことを意図している。“comprises”,“comprising”,“includes”および/または“including”の語は、ここで使用される時に、記載の特徴、工程、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を明示しているが、一つまたは複数の他の特徴、工程、動作、要素、コンポーネント、および/またはそのグループの存在または追加を除外するものではないことがさらに理解されるだろう。
【0078】
「真下に」、「下に」、「下方」、「の上に」、「上方」、その他のような空間的な相対語は、ある要素および/または特徴の、例えば図に示されているような別の要素および/または特徴に対する関係を説明するのに使用されうる。空間的な相対語は、図に描かれた配向に加えて、使用時の装置の多様な配向および/または動作を内含することが意図されている。例えば、図の装置がひっくり返された場合には、他の要素または特徴の「下に」および/または「真下に」あると記載される要素は、他の要素または特徴の「上方」に配向されることになる。装置がそれ以外の配向(90度回転または他の配向)でもよく、ここで使用される空間的な相対的記述子はこれに応じて解釈される。
【0079】
理想的な例示的実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して、例示的実施形態がここで説明される。そのため、例えば製造技術および/または公差の結果としての図の形状からの変更が予想されるはずである。ゆえに、例示的実施形態は、ここに図示される領域の特定形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造の結果得られる形状の逸脱を含むはずである。
【0080】
本発明のカテーテルおよび他の装置は、一つまたは複数の電極を含むカテーテルなどの診断カテーテル、または組織切除カテーテルなどの治療カテーテルという様々な形態を含みうる。電気活動を記録し、構造間の距離を測定し、エネルギーを送達するなどのため、カテーテルが患者の心臓へ経皮的に導入されうる。電気活動を記録するか電気信号を送達するのに使用される体表面電極、あるいは外部の超音波または透視撮像システムなどの視覚化装置など、外部の装置およびシステムが含まれうる。これらのカテーテルまたは他の装置のいずれかは、一つまたは複数の電極および/または一つまたは複数の超音波トランスデューサを含みうる。本発明の電極および/または超音波トランスデューサは、装置のいずれかの位置、例えば装置の遠位または近位部分に配置され、患者の身体の内部または外部に配置されうる。
【0081】
本発明の超音波トランスデューサのいずれかまたはすべては、当該技術で周知のようにトランスデューサと表面との間の距離を測定するのに使用されうる。一つの例は、超音波トランスデューサと心室の壁との間の距離を測定することを含む。
【0082】
本発明の電極のいずれかまたはすべては、電極位置またはその間の電気「信号」(電圧および/または電流など)を記録するのに使用されうる。記録された電気信号は、電極が組織と接触している時などに組織の電気活動をマッピングするのに使用され、例えば組織と接触していない一つの位置での記録信号を、例えば組織と接触している別の位置に存在する信号と相関させるのにアルゴリズムが使用される。マッピングされた電気活動は(電荷の供給源および電荷密度について)さらに処理されて(心臓の機能と関連する様々な生理学的パラメータと相関され)、マッピングされた電気活動と他の記録および計算済みの情報とが、本発明のシステムの一人以上のオペレータへ視覚的に提供されうる。
【0083】
本発明のいずれかまたはすべての電極は、システムにより発生される電気信号を送達および/または記録するのに使用されうる。このような送達信号は一つまたは複数の電極から発せられ、二つ以上の電極の間で送達されうる。記録信号は、単一の電極位置または多数の電極位置に存在する信号(二つ以上の電極位置に存在する二つ以上の信号の比較を表す信号など)を包含しうる。記録信号は、例えば電圧および/または電流について同期的または非同期的に測定されうる。記録信号はさらに、例えばインピーダンスの抵抗および反応成分、および/または原信号または処理信号「値」(瞬間大きさ、位相、ピーク、二乗平均平方根、復調大きさ、および以上の組み合わせから成るグループから選択されるパラメータにより表されるもの)と組み合わされたインピーダンスの大きさについて処理されうる。
【0084】
「マップ」および「マッピング」の語は、「電気的マップ」、「電気的マッピング」、「解剖学的マップ」、「解剖学的マッピング」、「装置マップ」、「装置マッピング」を含むものとし、その各々は以下で定義される。
【0085】
「電気的マップ」および「電気的マッピング」の語は、本発明の一つまたは複数の電極により記録される電気情報など、電気情報を記録、処理、および/または表示することを含むものとする。この電気情報は、心臓または他の組織の電圧測定値と、心臓または他の組織の双極および/または単極電位図と、心臓または他の組織の表面電荷データと、心臓または他の組織の双極子密度データと、心臓または他の組織の単相活動電位と、以上の組み合わせとを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0086】
「解剖学的マップ」および「解剖学的マッピング」の語は、本発明の一つまたは複数の超音波トランスデューサおよび/または本発明の一つまたは複数の電極により提供される解剖学的情報などの解剖学的情報を記録、処理、および/または表示することを含むものとする。この解剖学的情報は、一つまたは複数の心腔などの組織についての二次元または三次元表示と、心房または心室の壁の厚さなどの組織壁厚と、二つの組織表面の間の距離と、以上の組み合わせとを含むが、これらに限定されるわけではない。いくつかの実施形態では、「心臓壁での電気双極子密度の幾何学的決定のための装置および方法」という名称の出願人による同時係属国際出願である第PCT/US2012/028593号に記載されているように、多数の電極および多数の超音波トランスデューサにより提供される情報を使用することにより双極子密度マップが用意され、同出願の全体が本明細書に取り入れられる。
【0087】
「装置マップ」および「装置マッピング」の語は、装置または装置コンポーネントと、組織または別の装置や装置コンポーネントなど別の物体との間の距離を包含する情報などの装置距離情報を記録、処理、および/または表示することを含むものとする。
【0088】
本発明のいかなる電極対も、この電極対の間の距離または電極の一つと一つまたは複数の近接コンポーネント(この対の電極の一方または両方から既知の距離にあるコンポーネントなど)との間の距離などの距離情報を提供するように構築および配設されうる。既知の分離距離の電極の間で電気信号を送達および記録することにより、一つまたは複数の既知の分離距離(所定距離の剛性構造に固着される二つの電極の間の分離距離など)にしたがって信号が処理および/または較正されうる。分離距離が既知でない電極の対(システムの一つまたは複数の装置にある任意の電極対など)の間の距離を正確に推定するため、隣接する電極対セットで較正信号値が組み合わされうる。既知の、また計算による分離距離は「基準」電極として使用され、本発明または別の装置か外部装置に配置され本発明に近接して配置される電極など、一つまたは複数の「マーカ」電極の未知の位置を三角測量するために組み合わされる。三角測量のプロセスは、個別に、および/または三次元(3D)空間で組み合わされた全体として電極のいずれかまたはすべての三次元でのポジションを動的に位置確認するのに使用されうる。以下では、
図2Aおよび2Bを参照して多数の距離測定技術が詳しく説明される。
【0089】
さらに、本発明のいずれかまたはすべての電極は、無線周波数エネルギーなどの電気エネルギーを送達するのに使用されうる。
【0090】
さて
図1Aを参照すると、心房細動および/または心室頻拍などの心臓不整脈を診断および/または治療するためのシステムの遠位部分の斜視図が示されている。このシステムは、診断カテーテルのシャフトにより摺動式に収容される切除カテーテルを含む。システム10は、心腔などの身体位置への挿入のために構築および配設される診断カテーテル100を含む。カテーテル100は、患者の脈管系により課せられる蛇行部への挿入を可能にするのに充分な可撓性の材料で一般的に構築されるシャフト120を含む。シャフト120の遠位部分にあるのは、結合された複数の電極141を含む拡開アセンブリ130である。付加的に、複数の超音波トランスデューサ151が拡開アセンブリ130に結合される。システム10はさらに、シャフト220を含む切除カテーテル200を含む。シャフト220は、先端に、さもなければシャフト220の遠位部分に配置される少なくとも一つの切除要素261を含む。以下で
図6を参照して説明されるように、切除要素261は、切除カテーテル200がエネルギー源に装着された時など、組織へエネルギーを送達するように構築および配設される。
【0091】
シャフト120は、少なくともシャフト120の近位部分から(図示されていないが一般的にはシャフト120の近位端部に配置されるハンドルから)シャフト120の遠位部分まで(シャフト120の遠位端部まで)延在する内腔126を含む。切除カテーテル200のシャフト220と診断カテーテル100の内腔126とは、切除カテーテル200のシャフト220が内腔126により摺動式に収容されるように構築および配設される。内腔126はさらに、身体への診断カテーテル100の挿入に先立って、または診断カテーテル100が身体へ挿入された後などで、付加的なカテーテルまたは他の長尺装置を摺動式に収容するように構成されうる。
【0092】
診断カテーテル100は、臓器または臓器の一部分(心臓壁の一部分など)などの組織をマッピングするのに使用されうる。診断カテーテル100により収集される三次元解剖学的マッピング情報は、切除カテーテル200により少なくとも一部分が治療される解剖学的位置の三次元表示を生成するためシステム10によって使用されうる。診断カテーテル100は、臓器、神経、および体内の他の組織の容積、位置、形状、輪郭、および動きなど、診断カテーテル100により生成される解剖学的マッピング情報を表示するように構成される不図示のコンピュータシステムに結合されうる。上述したように双極子マッピングまたは他の情報を表示するためなど、診断カテーテル100により生成される電気マッピング情報を表示するため、診断カテーテル100はコンピュータシステムに結合されうる。付加的に、組織または診断カテーテル100に対するそのポジションなど、切除カテーテル200や他の挿入装置の位置が表示されうる。例えば、治療の標的とされる(診断カテーテル100により提供される情報に基づいて治療の標的とされる)心臓の組織位置へ切除カテーテル200が送られる間に、診断カテーテル100が心臓をマッピングするのに使用されうる。例えば、切除カテーテル200は、心房細動、心房粗動、上室性頻拍症(SVT)、ウォルフパーキンソンホワイト症候グループ、および心室頻拍症(VT)などの不整脈を患っている患者を治療するため心臓組織を切除するように構成されうる。本発明の態様を伝えることを目的として切除カテーテルが治療装置の形として説明されるが、異なるタイプの治療装置(ペーシング装置、除細動装置、ステント送達装置、薬品送達装置、幹細胞送達装置、その他など)が、診断カテーテル100との組み合わせで他の実施形態に使用されうる。いくつかの実施形態では、これらの治療装置のうち一つまたは複数が診断カテーテル100の内腔を通って挿入される。
【0093】
いくつかの実施形態では、システム10のすべてのカテーテルコンポーネントが左心房(ある事例では続いて左心室)へアクセスするための単一の経中隔穿孔を利用しながら患者の左心房へアクセスするようにシステム10が構成される。他の実施形態では、システム10のすべてのカテーテルコンポーネントが左心室(ある事例では続いて左心房)へアクセスするための大動脈弁の単一の交差部を利用しながら患者の左心室へアクセスするようにシステム10が構成される。システム10は、シース50、例えば標準的な経中隔アクセスシースなどの標準的なアクセスシースを含みうる。ある方法では、シース50が心房中隔を通って左心房へ挿入されてから、シース50の内腔を通した診断カテーテル100の挿入が行われる。続いて、診断カテーテル100の内腔126へ切除カテーテル200が挿入される。他の方法では、シース50が左心房へ挿入されてから、診断カテーテル100と切除カテーテル200との同時挿入が行われる(例えば、切除カテーテル200が少なくとも部分的に内腔126に所在している状態で診断カテーテル100が挿入される)。いくつかの実施形態では、シース50は操縦可能シースを含みうる。シャフト120は、シース50により摺動式に収容されるような直径をその長さの大部分に包含する。いくつかの実施形態では、15Fr以下の直径をシャフト120が包含する。いくつかの実施形態では、オペレータ、および/またはシステム10のロボット制御アセンブリにより手動、半自動、または自動の操縦が実施されうるようにするため、以下で
図3および6を参照して説明されるように、診断カテーテル100および/または切除カテーテル200は操縦可能である。
【0094】
診断カテーテル100は左心房に配置され、表面電荷情報などの電気情報と、心臓壁表面情報または心臓壁厚情報などの解剖学的幾何学情報と、ここに記載されるような他の生理学的および解剖学的情報と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される情報を提供できる。診断カテーテル100のシャフト120は静脈系、例えば脚部の静脈または頸部の静脈を介して心臓へ挿入されるように構成されうる。シャフト120は、一般的にはシャフト120の構造的一体性および性能を高めるプラスチックまたは金属繊維の編組体である不図示の編組体を、その内外の表面に含みうる。いくつかの実施形態では、シャフト120の編組体は、以下で
図3を参照して説明されるような導体を含みうる。
【0095】
上述のように、
図1Aの診断カテーテル100は、図のように、切除カテーテル200など別のカテーテルまたは他の長尺装置が挿入されるように、シャフト120の近位部分から遠位部分まで、例えばシャフト120の近位端部から遠位端部まで延在する内腔126を含む。代替的または付加的に、挿入されるカテーテルまたは他の長尺装置は、左心房、右心房、ヒス束、右室心尖部、肺静脈、冠状静脈洞から成るグループから選択される位置からの信号を記録するように構成される診断カテーテルなどの診断カテーテルを含みうる。代替的または付加的に、挿入されるカテーテルは、以下で
図6を参照して説明されるカテーテル装置700など、別のカテーテル装置を包含しうる。
【0096】
図1Aの診断カテーテル100は、シャフト120の遠位端部に配置される拡開アセンブリ130を含む。図のように、拡開アセンブリ130はスプライン131のアレイを含み、各スプライン131は、近位区分132と中央部分134と遠位区分133とを有する。各スプライン131の近位区分132は、以下で
図2を参照して詳しく説明される接続点127を介してシャフト120に接続される。各スプライン131の遠位端部は、周方向リング構成で接続されて開口部135を形成する。開口部135は、内腔126、例えば切除カテーテル200のシャフト220へ挿入される装置などの装置を通過させる。いくつかの実施形態で、拡開アセンブリ130は、開口部135に装置を案内するように構成される一つまたは複数のガイド要素を含み、ガイド要素は、図示されていないが以下で
図7A〜Bに詳しく説明される。
【0097】
拡開アセンブリ130は、
図1Aに示された拡開形状で配置されるように構築および配設される。拡開または部分的拡開状態(以下「拡開状態」)で少なくとも二つ以上のスプライン131を含むアセンブリ130の拡開幾何学形状は、実質的に中空の中央部と隣接するスプライン131の間の空間とを有する「バスケット」として説明されうる。図の実施形態では、バスケットは球体であるが、適当な形状、例えば楕円体を含みうる。ゆえに、他の実施形態では、スプライン131のアレイなど、異なる形状または形状組み合わせをアセンブリ130が包含し、二つ以上のスプライン131は類似または非類似の形状、寸法、または構成を包含する。いくつかの実施形態では、二つ以上のスプライン131は可変の曲率半径を含む。
【0098】
拡開アセンブリ130は、拡開または非拡開状態で付勢されうる。例として、スプライン131が
図1Aに示された湾曲の幾何学形状で弾性的に付勢されるように、アセンブリ130は自己拡開する。シャフト120の進出および/またはシース50の退避などによりアセンブリ130がシース50の遠位端部から出る時に、アセンブリ130は自動的に拡開できる。代替的に、以下で
図2を参照して詳しく説明されるように、例えば、シャフト120内を摺動してアセンブリ130の遠位端部に接続されるロッド129の退避を介して、アセンブリ130が手動で拡開されうる。
【0099】
ポリエーテルブロックアミドなど一種または複数種の熱可塑性ポリマーと、ポリウレタンおよび/またはポリエーテルエーテルケトンと、シリコンおよび/またはテトラフルオロエチレンなど一種または複数種の熱硬化性ポリマーと、ステンレス鋼および/またはニッケルチタン合金などの形状記憶合金など一種または複数種の金属と、三層アクリルなど一種または複数種の形状記憶ポリマーと、以上の組み合わせから成るグループから選択される材料で、スプライン131は構築されうる。概して、生体適合性、可撓性、または屈曲性であって必要な特定用途の電気特性を具備するいくつかの材料または組成物が、スプライン131に使用されうる。
【0100】
スプライン131は、何らかの組み合わせで配設される一つまたは複数の電極141および/または一つまたは複数の超音波トランスデューサを含みうる。例えば、いくつかの実施形態では、以下の構成のうち一つまたは複数が含まれる。各スプライン131が少なくとも4個、6個、または8個の電極を含む。各スプライン131が少なくとも4個、6個、8個の超音波トランスデューサ151を含む。そして、以上の組み合わせ。いくつかの実施形態では、単一のスプライン131の上の二つの超音波トランスデューサ151の間に少なくとも一つの電極141が配置される。いくつかの実施形態では、単一のスプライン131の上の二つの超音波トランスデューサ151の間に少なくとも二つの電極141が配置される。
【0101】
各スプライン131は、アセンブリ130の隣接スプラインまたは他のスプライン131と類似または非類似である電極141および/または超音波トランスデューサ151による配設を含みうる。いくつかの実施形態では、アセンブリ130が8個のスプライン131を含み、各スプライン131は、2から8個の電極141と2から8個の超音波トランスデューサ151とを含みうる。いくつかの実施形態では、アセンブリ130が6個のスプライン131を含み、各スプライン131は8個の電極141と8個の超音波トランスデューサ151とを含みうる。いくつかの実施形態において、一つまたは複数のスプライン131は、このスプライン131に含まれる超音波トランスデューサ151の量の一つに含まれる量を包含するいくつかの電極141を含む。例えば、スプライン131は7個の電極141と、6または8個の超音波トランスデューサ151とを含みうる。いくつかの実施形態では、電極141と超音波トランスデューサ151によるセットが交互配設で配設されるため、一つまたは複数の単一超音波トランスデューサ151は二つの電極141の間に位置する。いくつかの実施形態では、電極141と超音波トランスデューサ151によるいくつかのセットが配設されるため、二つの超音波トランスデューサ151の間に一つまたは複数の単一電極141が配置される。
【0102】
電極141は、電圧および/または電流信号などの電気信号を記録するように構成される。システム10は、記録された信号を利用して、電位図情報と、双極子マッピング情報と、システム10のいずれかの装置および/またはコンポーネントの間の距離などの距離情報と、ここで詳細に説明される他の情報または情報の組み合わせを作成しうる。システム10のいずれかまたはすべての電極141は、表面電荷または他の双極子マッピングパラメータに関する情報を提供するように構成されるインピーダンスまたは他の電気特性を備える電極などの双極子マッピング電極を包含しうる。いくつかの実施形態では、0.1Hz以上の信号周波数について高忠実度の記録を達成するなどのため、電極141は10,000オーム未満の範囲など充分に低いインピーダンスのものである。いくつかの実施形態では、電極141のインピーダンスを低減させるなどのため、一つまたは複数の電極141は酸化イリジウムコーティングを含む。代替的または付加的に、白金黒コーティングまたはカーボンナノチューブ層など、多数の形のコーティングまたは他の処理が一つまたは複数の電極141に含まれうる。電気信号の記録に加えて、またはこれに代わって、無線周波数エネルギーなどの電気エネルギーを送達するように電極141が構築および配設されうる。いくつかの実施形態では、電気的、解剖学的、および/または装置マッピング情報を提供するなど、診断カテーテルとしての機能に加えて、組織に施される切除治療などの治療を診断カテーテル100が施すことができる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数のコイルが一つまたは複数の磁場を生成するように構成される時などに、一つまたは複数の電極141の各々が一つまたは複数のコイルを包含する。
【0103】
電極141は、非分極金属および/または分極金属など様々な材料を含みうる。いくつかの実施形態では、血液、血漿、または食塩溶液のうち少なくとも一つと接触する時に電極141が酸化するように、一つまたは複数の電極141は少なくとも一つの非貴金属を包含する。いくつかの実施形態では、コーティング、例えば、金属酸化物コーティングと導電性ポリマーコーティングと以上の組み合わせとから成るグループから選択されるコーティングを電極141が含む。いくつかの実施形態では、外層がインピーダンス低下コーティングまたは他の層を包含して、一つまたは複数の電極141の金属および/または他の残り部分に外層を接合するように構成される層を内層が包含する時などに、一つまたは複数の電極141は外層と内層とを含む。
【0104】
超音波トランスデューサ151は、システム10の装置および/またはコンポーネントと心臓壁または他の固形組織などの組織との間の距離などの距離情報を記録するように構成されうる。超音波トランスデューサ151は、単要素または多要素の圧電セラミックスと、圧電微細加工による超音波トランスデューサ(pMUT)と、容量性微細加工による超音波トランスデューサ(cMUT)と、圧電ポリマーと、以上の組み合わせとを包含する構造を含みうる。
【0105】
いくつかの実施形態では、例えば、シャフト120が別の管の内側に管を含む場合、シャフト120がPTFEなどの潤滑性ライナなどのライナを含む場合、シャフト120の二つの層の間に配置される編組体などの編組構造をシャフト120が含む場合、そして以上の組み合わせの場合に、診断カテーテル100は多層または積層構造を含みうる。いくつかの実施形態では、例えば、図示され、以下で
図3を参照して説明されるプルワイヤおよびアンカの組み込みを介して、診断カテーテル100が操縦可能でありうる。一般的に、診断カテーテルシャフト120の外径は15Fr未満である。
【0106】
図1Aの切除カテーテル200は、シャフト220上に、例えばシャフト220の遠位部分または遠位先端に配置される切除要素261を含む。切除要素261は、一つまたは複数の電極と、低温エネルギーを送達するように構成される導管と、レーザダイオードと、切除エネルギーを送達するように構成される光ファイバと、マイクロ波エネルギー送達要素と、超音波エネルギー送達要素と、薬品、幹細胞、または他の薬剤の送達要素と、機械的または他の切除装置の送達要素と、以上の組み合わせから成るグループから選択される機能的要素を含みうる。切除要素261が一つまたは複数の電極を含む事例において、電極は、無線周波数(RF)エネルギーを送達するように構築および配設される電極を含みうる。多電極の事例では、双極RFエネルギー送達のために電極が構成されうる。いくつかの実施形態では、
図6に示されたコンポーネントアレイ構成の一つまたは複数などの要素のアレイを切除要素261が含む。切除カテーテル200は、
図6のエネルギー送達ユニット400など、切除要素261へエネルギーを送達するように構成される装置に動作可能に接続されうる。切除要素261により送達される典型的なエネルギーは、無線周波数エネルギーなどの電磁エネルギーと、低温エネルギーと、レーザエネルギーと、光エネルギーと、マイクロ波エネルギーと、超音波エネルギーと、化学エネルギーと、以上の組み合わせとから成るグループから選択されるエネルギーを包含する。
【0107】
診断カテーテル100およびシース50と同様に、切除カテーテル200は、以下で
図3を参照して説明されるプルワイヤおよびアンカなどを介して操縦可能である。さて
図1Bを参照すると、切除カテーテル200の遠位部分225は、図の湾曲幾何学形状で操縦されて、切除要素261を診断カテーテル100の拡開アセンブリ130から出し、二つのスプライン131の二つの中央部分134の間を通過させる。さらに進出して心臓組織と接触しこれを切除するなどのため、二つのスプライン131の間または開口部135を通る空間を含めて拡開アセンブリ130の開口部を出るように、切除カテーテル200は臨床医などのオペレータにより操縦および進出されうる。
【0108】
さて
図2を参照すると、拡開アセンブリ130に動作可能に装着されるプッシュロッドを含めて、
図1Aおよび1Bのシステムの遠位部分の斜視図が示されている。システム10は、診断カテーテル100と切除カテーテル200とを含む。診断カテーテル100は、遠位端部から出る内腔126を含む長尺シャフト120を包含する。明瞭化のため除去された切除カテーテル200は、内腔126により摺動式に収容される形態を持つ。診断カテーテル100は、プッシュロッド129、一般的には拡開アセンブリ130を拡開または格納(つまり非拡開または圧縮)するのに使用されうるシャフト120の壁または内腔に摺動式に収容される固形管またはハイポチューブを含む。プッシュロッド129は、ハンドル、図示されていないが一般的にはプッシュロッド129を進出または退避させる、および/または一つまたは複数のカテーテルシャフトを操縦するのに使用される一つまたは複数の制御手段を含むハンドルに動作可能に装着されうる。いくつかの実施形態では、ロッド129の退避はアセンブリ130を拡開させ(ロッド129によりアセンブリ130の遠位端部に印加される後ろ向きの力がスプライン131を湾曲させるなど)、ロッド129の進出は、アセンブリ130を格納する(ロッド129によりアセンブリ130の遠位端部に印加される前向きの力はスプライン131を直線状にする。
【0109】
図2に図示されているように、拡開アセンブリ130はスプライン131のアレイを含み、各スプライン131は、近位区分132と中央部分134と遠位区分133とを有する。各スプライン131の遠位区分133は周方向リング構成で接続されて、シャフト120の遠位部分の中央軸線を包含する軸線「A」と相対的に直交してその相対的な中心に配置される開口部135を形成する。開口部135は、内腔126、例えば
図1Aおよび1Bの切除カテーテル200のシャフト220へ挿入される装置などの装置のシャフトの遠位部分を通過させる。各スプライン131の近位区分132は、接続点127を介してシャフト120に接続される。圧縮フィッティングまたは接着剤を包含するアタッチメントなどの接続点127で、いずれかのスプライン131とシャフト120の間に機械的装着が行われうる。スプライン131がシャフト120の壁に配置される場合、またはシャフト120が二つのポリマー同軸管を包含してスプライン131が管の間で熱硬化される時に、熱接合プロセスなどの接合プロセスを介して、スプライン131が接続点127でシャフト120に装着されうる。代替的または付加的に、接着剤接合、機械的圧着、および/または他の接合が使用されうる。近位区分132は、シャフト120の遠位部分の中心軸線「A」に対して凸状である。中央部分134と遠位区分133とが軸線「A」に対して凹状であるように、近位区分132は変曲点を通って中央部分134に移行する。いくつかの実施形態では、近位区分132の曲率半径はおよそ0.01mmから25mm以上の範囲である。シャフト120が退避している間など、近位区分132がシース50の内腔と嵌合すると、シース50により近位区分132に圧縮力が印加されてアセンブリ130の径方向圧縮を開始する。シャフト120の退避が継続すると、アセンブリ130はシース50の中に完全に捕捉されて非拡開状態に維持される。シース50によるアセンブリ130のスムーズな捕捉を可能にし、アセンブリ130の径方向圧縮を開始するのに必要となる望ましくない閾値力を回避するように、近位区分132の凸状が選択されうる。近位区分132の他の構成は、拡開状態から非拡開の捕捉状態へのスムーズな移行を促進するのに使用されうる。いくつかの実施形態では、拡開アセンブリ130を部分的に格納するようにプッシュロッド129が部分的に進出されて、アセンブリ130の径方向圧縮を開始し、こうしてシース50によるスプライン131の容易な捕捉を促進する。
【0110】
さて
図2Aを参照すると、一つの超音波トランスデューサと二つの隣接電極とを含めて、
図2の診断カテーテル100のスプラインの一部分の拡大図が図示されている。いくつかの実施形態では、48個の超音波トランスデューサ151と48個の電極141とを包含するアレイなど、診断カテーテル100は同数の超音波トランスデューサ151と電極141とを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、拡開アセンブリ130が予め構成された「付勢」状態(弾性的に付勢されて力の印加されない完全拡開状態など)である時のように、拡開アセンブリ130のスプライン131と電極141と超音波トランスデューサ151との相対位置は既知の値である。これら既知の値は、デカルト座標系などの3D座標系、球面座標系、および/または拡開アレイの中心またはいずれかの位置に原点を持つ座標系と相関されうる。座標系の原点は、一つまたは複数のスプライン131、一つまたは複数の電極141、または一つまたは複数の超音波トランスデューサ151など診断カテーテル100の一つまたは複数のコンポーネントと、切除要素261など
図1Aおよび1Bの切除カテーテル200の一つまたは複数のコンポーネントと、患者へ挿入される別個の装置の一つまたは複数のコンポーネントと、患者の外部にある別個の装置の一つまたは複数のコンポーネントと、患者の解剖学的構造の一つまたは複数の部分のうち一つまたは複数の位置をマッピングするのに使用されうる。診断カテーテルの他の部分は、診断カテーテル100により測定される解剖学的特徴とともに、シャフト120の遠位端部、拡開アセンブリ130の遠位先端、拡開アセンブリ130の幾何学的中心、電極141または超音波トランスデューサ151、または他の有益な位置など、医療処置を実施するのに有益なポジションに設けられうる。
【0112】
いくつかの実施形態で、診断カテーテル100は三つ以上の電極141(いずれか三つの電極141など)を基準として利用する。別個の装置にあって拡開アセンブリ130に近接して配置される電極など、マーカ電極のポジションを三角測量するのに、三つ以上の電極141が使用されうる。基準電極の各々は電気信号を発するように構成され、三つの信号は、120°の位相変移が見られることを除いて類似の3つの波形を包含する。マーカ電極は、三つの位相変移信号を組み合わせた合計を記録できる。この組み合わせ信号が(以下の
図6のシステム10などのシステムの一つまたは複数のコンポーネントなどにより)使用されて、一つまたは複数の三角測量アルゴリズムを使用することなどにより、三つの電極に対するマーカ電極のポジションを決定する。例えば、マーカ電極が三つの電極の幾何学的中心にある場合には、合成される電気信号はゼロになるだろう。非ゼロの読取値が解析されて、各基準電極からマーカ電極までの距離を決定する。配置アルゴリズムにより処理される値を持つマーカ電極により記録される信号を(4個以上などの)追加電極141に発信させることにより、マーカ電極ポジションの精度が向上されうる。
【0113】
いくつかの実施形態では、後述される
図6のシステム10などのシステムのコンポーネントにより提供される電気信号などの電気信号を、三つ以上の基準電極が発信する。このような基準電極は、診断カテーテル100と、ここに説明される
図1および6の切除カテーテル200などの切除カテーテルと、拡開アセンブリ130に近接する一つまたは複数の別個の装置などの一つまたは複数の別個の装置と、身体の表面上の一つまたは複数の位置と、上の組み合わせとから成るグループから選択される位置など、様々な位置に設けられる。各基準電極は同じ周波数の信号を順に発信するか、異なる周波数の信号を同時に発信する。三つ以上のマーカ電極は、基準電極とマーカ電極との間の分離距離に対数比例して異なる値を持つ信号を記録する。三つ以上のこのようなマーカ電極による組は、診断カテーテル100に設けられる電極141、または診断カテーテル100に設けられる電極141のうち二つ以上に、拡開アセンブリ130に近接して配置される一つまたは複数の別個の装置に設けられる一つまたは複数の電極が組み合わされたものから成る。マーカ電極により記録される信号値の差が組み合わされて、一つまたは複数の三角測量アルゴリズムを使用することなどにより、基準電極に対するマーカ電極のポジションを決定する。例えば、二つ以上のマーカ電極がいずれかの基準電極から等距離にある場合には、対応する各マーカ電極の記録信号値は大きさが等しくなるだろう。逆に、記録される信号の値は、各マーカ電極と基準電極との分離距離の差異である量に対数比例して相互に異なるだろう。記録された信号値と、各個別基準電極とマーカ電極とを接続する幾何学的多面体(一つの基準電極と三つのマーカ電極の事例では四面体)と組み合わせることにより、多面体の容積が解析され、マーカ電極のポジションを三角測量する。それぞれ信号を発信および記録する基準およびマーカ電極による近傍のセットを加えることにより、また同様に、関連する多面体容積の組を解析して三角測量の結果を組み合わせることにより、マーカ電極ポジションの精度が向上される。
【0114】
いくつかの実施形態では、以下で説明される
図6のシステム10などのシステムのコンポーネントなどにより、電気信号が二つの基準電極の間で送達される(つまり第1電極から発信されて第2電極へ「戻される」)。このような基準電極は、診断カテーテル100に設けられる電極141のいずれか二つ、または拡開アセンブリ130に近接して配置される別個の装置に設けられる電極との組み合わせで診断カテーテル100に設けられる電極141のいずれか一つ、または体表面に設けられる電極から成る。二つの基準電極の間でこれらに近接して設けられる三つ以上のマーカ電極は、二つの基準電極の各々とマーカ電極との間の分離距離に対数比例して異なる値を持つ信号を記録する。三つ以上のこのようなマーカ電極は、診断カテーテル100に設けられる電極141、または拡開アセンブリ130に近接して配置される一つまたは複数の別個の装置に設けられる一つまたは複数の電極との組み合わせで診断カテーテル100に設けられる電極141のうち二つ以上から成る。記録される信号値の差が組み合わされて、二つの基準電極の間で送達される信号により発生される合成電界に対するマーカ電極のポジションを決定する。すべてのマーカ電極の間でこれに近接する合成電界の幾何学形状に一致する形状パラメータを包含する記録信号値についての一つまたは複数の幾何学形状アルゴリズムが使用されうる(合成電界の形状がどれほど球体、偏球体、長球体、偏心状、歪曲状、回転体、および/またはオフセット状であるかを量化するパラメータなど)。マーカ電極ポジション決定の精度は、合成電界の形状をパラメータ化するのに使用されるマーカ電極の数を増加することにより、および/または、付加的で独自の隣接基準電極対を使用して、マーカ電極の間でこれらに近接する3D空間に独自の範囲にわたって合成電界を発生させることにより、向上される。合成マーカ電界値が記録され、関連する合成電界形状セットがパラメータ化され、パラメータは組み合わされて共通の合成形状となる。一つの周波数の信号が多数の基準電極対の間に順に印加され、異なる周波数の信号が同時に印加されうる。
【0115】
いすれかの実施形態では、一つまたは複数のマーカ電極が(RFエネルギーを送達するなどのため)切除要素を包含するか、後述される
図6のシステム10などのシステムの装置の切除要素または他のコンポーネントに対して既知のポジションにある。
【0116】
さて
図2Bを参照すると、組織に近接して配設されるスプラインの一区分の側面図が示されている。スプライン131は組織(「組織」)に近接して配置され、図のように超音波トランスデューサ151a,151bを含む。スプライン131はさらに、図のように電極141a,141b,141c,141dを含む。超音波トランスデューサ151a,151bは、各超音波トランスデューサ151a,151bと「組織」との間の距離などの距離情報を提供するのに使用されうる。この距離情報は、例えば、一つまたは複数の電極141a,141b,141c,141dと一つまたは複数の超音波トランスデューサ151a,151bとの間の既知の距離を、スプライン131の既知の、または測定による形状とともに使用することにより、一つまたは複数の電極141a,141b,141c,141dと「組織」との間の距離を決定するのに使用されうる。つまり、いずれかの超音波トランスデューサといずれかの電極との間の距離(図のd1またはd1’など)は、既知であるか、本発明のシステムにより計算されうる(スプライン131の屈曲による距離変化を考慮した計算など)。したがって、いずれかの超音波トランスデューサと「組織」との間の距離、例えば、それぞれd2およびd2’で表される超音波トランスデューサ151a,151bと「組織」との間の距離は、従来の超音波アルゴリズムにしたがって計算されうる。その結果、いずれかの電極と「組織」との間の距離、例えばそれぞれd3,d3’,d3”,d3”’で表される電極141a,141b,141c,141dと「組織」との間の距離が計算されうる。
【0117】
一つまたは複数の力がいずれかのスプライン131により加えられる場合には、スプラインが形状を変化させうる。代替的または付加的に、いずれかのスプライン131に加えられる力は、このスプライン131を別のスプライン131に対して移動させる。本発明のシステムは、一つまたは複数のスプライン131へのこれらの幾何学的変化を測定するように構築および配設されうる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の電極141によって電気情報が収集されて一つまたは複数の距離を測定し、システム10の一つまたは複数のアルゴリズムが一つまたは複数の測定距離を使用して一つまたは複数のスプライン131の幾何学的構成を決定する。いくつかの実施形態では、上記で
図2Aを参照して詳しく説明されたように、二つの電極141の間に電流が印加され、距離を決定する一つまたは複数のアルゴリズムなどにより、二つの電極141の間の距離が決定されうる。
【0118】
システム10の一つまたは複数のアルゴリズムによって距離情報が使用されて、一つまたは複数のスプライン131の実時間形状または相対的配置を導出しうる。スプライン131が平衡(例えば弾性的付勢)状態にある時に、スプライン131の形状とスプライン131に配置される二つの電極141の間の距離とは既知である。単一のスプライン131に配置される二つの電極141の間の平衡分離距離の変化の測定がシステム10のアルゴリズムにより使用されて、(スプライン131が心臓壁に押圧される際など)一つまたは複数の力が印加される際のスプライン131の形状変化を決定しうる。いくつかの実施形態では、スプライン131の湾曲の増大は電極141の分離距離を減少させ、スプライン131の直線化は電極141の分離距離を増加させ、それぞれが予測可能な手法で行われる。同様に、スプライン131のアレイが平衡状態にある時には、第1スプライン131上の第1電極141と第2スプライン131上の第2電極141との間の距離も既知である。これら二つのスプライン131に配置されるこれら二つの電極141の分離距離の変化の測定が使用されて、(スプライン131が心臓壁に押圧される際など)一つまたは複数の力が印加される際の二つのスプライン131の相対的配置の変化を決定しうる。
【0119】
同様に、各々が
図1および6を参照して各々が説明される、診断カテーテル100の一つまたは複数の部分と切除カテーテル200の一つまたは複数の部分との間の距離など、二つの別個の装置に配置されるいずれか二つの電極の間の距離は、システム10のアルゴリズムにより決定されうる。システム10の別のアルゴリズムは、診断カテーテル100に配置される電極と、以下の
図6で説明されるカテーテル500および600などの第3カテーテル装置に配置される電極との間の距離を測定することを含みうる。臨床処置中のいずれかの時点に、いずれかの装置に配置される二つの電極の間でこの測定が反復されうる。この距離情報は、既知の拡開幾何学形状が変化した時、例えば組織壁によりアセンブリ130に力が加えられる時に、ここで説明される拡開アセンブリ130などの拡開アセンブリの幾何学形状を決定するのに有益でありうる。システム10は、距離情報を使用してシステム10の一つまたは複数の装置を位置確認するか、オペレータに位置確認させる一つまたは複数のアルゴリズムを含みうる。代替的または付加的に、システム10の一つまたは複数の装置を誘導するか、オペレータに誘導させる距離情報を使用する一つまたは複数のアルゴリズムをシステム10が含みうる。位置確認および/または誘導は、実時間または近実時間の位置確認および/または誘導を包含しうる。システム10の電極のいずれかに印加される信号は、一定または可変の電流および/または電圧および/または他の処理値を含みうる。
【0120】
さて
図3を参照すると、診断カテーテルがシースへ退避した
図1Aのシステムの遠位部分の側面図が示されている。拡開アセンブリ130のスプライン131および他のコンポーネントが格納または非拡開状態であるように、診断カテーテル100はシース50へ退避している。切除要素261が部分的に露出したままであるように、切除カテーテル200は診断カテーテル100のシャフト120に若干退避している。診断カテーテル100および/または切除カテーテル200の退避は、関連の近位部分(ハンドルなど)を把持してシース50に対して装置を近位方向に移動させるオペレータにより、実施されうる。
【0121】
診断カテーテル100のシャフト120は、編組体121を含みうる。いくつかの実施形態では、編組体121はシャフト120の内層と外層との間に配置される。編組体121のいくつかの部分またはすべては、導体、例えば、編組体121と一体的であって、その中に配置される、および/またはこれを通過し、電極141および/または超音波トランスデューサ151に動作可能に接続される導体の例えば螺旋や他の配設形態を含みうる。図の実施形態では、導体125は接続点143(電極141に動作可能に接続されるはんだ接続点など)で導線142に接続される。同様に、導体124は、接続点153(超音波トランスデューサ151に動作可能に接続されるはんだ接続点など)で導線152に接続される。いくつかの実施形態では、導体124および/または125は、絶縁カバーを備える標準的な導線を含む。代替的に、導体124および/または125は、およそ0.012インチ未満の直径を持つ同軸ケーブルなどの同軸ケーブルを含む。いくつかの実施形態では、導体124および/または125は編組体121の一部ではなく、編組体121を通過する、および/または編組体121の内面または外面に延在する。
【0122】
やはり
図3に示されているのは、シース50と診断カテーテル100と切除カテーテル200のためのプルワイヤおよびアンカを含めることであり、各組がそれぞれの装置を操縦するように構成されている。シース50は、ハンドルに配置されるノブまたはスライドに動作可能に接続されるレバー、カム、または他のワイヤ制御機構に接続されうるプルワイヤ52およびアンカ53を含み、これらすべては図示されていないが、シース50の近位端部に設けられる。同様に、診断カテーテル100はプルワイヤ122とアンカ123とを含んで、切除カテーテル200はプルワイヤ222とアンカ223とを含み、各プルワイヤ122,222は一般的に、ハンドルの制御手段により上記のように制御される。各装置は当該の操縦プルワイヤおよびアンカを介して単独で制御されうるが、所望であれば、単一の制御手段などを介して二つ以上の装置が協調的に制御されてもよい。各装置は、図示されていないが多くの操縦自由度を提供するように構成される多数のプルワイヤを包含しうる。
【0123】
さて
図4を参照すると、本発明のシステムを使用して体内の3D空間をマッピングするための方法のフローチャートが図示されている。ステップ902では、診断カテーテルが心腔、例えば左心房、右心房、左心室、または右心室へ挿入される。診断カテーテルは、ここで説明された診断カテーテル100と同じか類似している。前もって挿入される経中隔シース、例えばここで説明されたシース50を通って挿入されうる。診断カテーテルは、ここに説明された超音波トランスデューサ151など一つまたは複数の距離測定要素を含む。切除カテーテル200などの処置装置も、(切除カテーテルシャフトが診断カテーテルの内腔に所在する時など)診断カテーテルと同時に、または例えば心腔の3Dマップが作成された後の時点で診断カテーテルの挿入に続いて挿入されうる。上で
図1Aを参照して説明されたように、単一の経中隔穿孔のみを必要とするように処置装置は診断カテーテルの内腔を通って挿入されうる。
【0124】
ステップ904では、ここで説明された超音波トランスデューサ151など、診断カテーテルに配置される一つまたは複数の超音波トランスデューサを介して、第1表面データセットが収集される。代替的または付加的に、装置200,500,600,700など別個の装置、および/または
図6の装置800など外部の超音波装置や他の補助装置に配置される超音波トランスデューサから、表面データが収集されうる。装置100,200,500,600,700、および/または800の超音波トランスデューサから収集されるデータは、超音波トランスデューサから心臓組織などの組織までの距離などの距離情報を含みうる。任意で、ここで説明された電極141、またはここで説明された装置100,200,500,600、および/または700など一つまたは複数の装置に配置される一つまたは複数の電極など、装置に配置される一つまたは複数の電極を介して、電気情報も収集されうる。電気情報は装置または装置コンポーネントの間の距離を決定するのに使用され、上で
図2Bを参照して説明されたアルゴリズムを使用することなどにより、力が付与される時に発生する装置の幾何学的変化を決定するのに使用されうる。超音波トランスデューサから収集されるデータと同時的または同期的に、電気情報が収集されうる。いくつかの実施形態では、連続データセット、例えば同時に収集される表面ECG記録と整合されるデータセットが心臓サイクルの特定の点と相関される多数の心臓サイクルの間に、データが収集される。
【0125】
ステップ906では、ステップ904のデータ収集と同様に、次の表面データセットが収集されるように、超音波トランスデューサおよび/または電極を含む診断カテーテルおよび/またはいずれかの装置が、心腔に再配置される。
【0126】
ステップ908では、信号処理ユニット、例えば
図6の信号処理ユニット300を介して、いずれかまたはすべての収集表面データセットが組み合わされる。多数の超音波距離セットが組み合わされて、表面点の点グループを生成する。密度および分散均一性についての閾値を満たすように充分な点が組み合わされる時に、心腔表面の高解像度での再構築が点グループにわたって「メッシュ状に行われ」、解剖学的三次元モデルとして表示される。この閾値に達するため、続いて獲得されるすべての距離が座標系の共通原点へ平行移動で戻され、単一セットの表面点に組み合わされるように、アレイの相対的ポジションが時系列で位置確認される。表面再構築が完成すると、表面からいずれかの要素までの距離とこの要素の電圧読取値とが使用され、時間に関して電荷源値を計算する。電荷源値、単極電圧または双極電圧値、単相活動電位値、または他の処理済み生理学的パラメータ、および以上の組み合わせが、表面再構築時に表示されうる。
【0127】
ステップ910で、信号処理ユニットは、組み合わされたデータが表示に充分であるかどうかを決定するか決定を助けるアルゴリズムを含みうる。例えば、信号処理ユニットにより提供される一つまたは複数の出力に基づいてデータが充分であるかどうかを臨床医が決定できる場合には、このステップは手動ステップである。代替的または付加的に、例えば、データ点が特定の数値範囲内であるかどうか、または収集されたデータ点の量が充分なデータ点の最低数を満たすかどうかを信号処理ユニットの閾値アルゴリズムが決定する場合には、これは自動ステップでありうる。データ点が不充分であると決定された場合には、ステップ906で方法が初めから繰り返され、次のデータセットが収集される。
【0128】
ステップ910でデータが充分であることが分かると、方法はステップ912へ進み、ここで3Dマップが表示される。超音波トランスデューサまたは他のトランスデューサから収集される表面データが使用されて心腔の解剖学的マップを作成し、電極または他のセンサから収集される表面データが使用されて心腔の電気的マップを作成する。解剖学的および電気マップが互いに重ね合わされる。電気データを使用すると、双極子密度マップを作成するのにアルゴリズムが利用されうる。適用可能なアルゴリズムに関する詳細は、出願人による同時係属国際出願である、「心臓壁の電気的双極子密度の幾何学的決定のための装置および方法」という名称の出願番号第PCT/US2012/028593号に開示されており、その全体がここに取り入れられる。解剖学的および電気的マップが重ねられて、心腔の包括的3Dマップを作成する。データは、心臓の心拍サイクルと関連する心臓壁の動き(収縮期および拡開期など)に対応する連続的なデータ点セットを表す。
【0129】
さらなる処理、再生、または他の所望の提示または解析などのため、本発明のシステムの信号処理ユニットまたは別のコンポーネントによって、すべてのデータがメモリに記憶されうる。
【0130】
さて
図5を参照すると、本発明のシステムを使用して体内で切除カテーテルを位置確認するための方法のフローチャートが図示されている。ステップ922で、例えば
図4に開示された方法を介して、心腔の電気的および/または解剖学的3Dマップが作成される。
【0131】
ステップ924では、マッピングされた心腔に切除カテーテルが配置される。切除カテーテルは、ここで説明された切除カテーテル200および/または600と同じか類似している。一実施形態では、診断カテーテル、例えばここで説明された診断カテーテル100の内腔に切除カテーテルが挿入されうる。
【0132】
ステップ926では、患者の解剖学的構造、および/または本発明のシステムの別の装置に対する位置として、切除カテーテルが位置確認される。
図6のカテーテル200または600などの切除カテーテルが、上記で
図2を参照して説明されたような三角測量技術を使用して位置確認されうる。三角測量技術は、ここに説明された拡開アセンブリ130などの拡開アセンブリに配置される多数の電極と、
図6のカテーテル200または600のそれぞれの電極241,641などの一つまたは複数のエネルギー送達要素からの記録信号を利用できる。
【0133】
ステップ928では、ここで説明された三角測量技術を使用して本発明のシステムにより誘導される間などに、切除カテーテルが案内により標的組織まで操縦される。適用可能な操縦機構に関する詳細は、上で
図3を参照して詳しく説明されている。一実施形態では、カテーテルを操縦するのにオペレータにより使用されるフィードバックループを提供するなどのため、
図2Aの三角測量技術が連続的または半連続的に反復される。フィードバックループはカテーテルのロボット的または他の自動的な案内を含み、例えば、
図6の信号処理ユニット300などのコンピュータシステムは、カテーテルのハンドルの操縦および線形動作アセンブリなどを介して一つまたは複数のカテーテルの操縦、進出、および/または退避を制御できる。代替的実施形態では、視覚的フィードバックがオペレータに提供されるため、オペレータは、カテーテルポジション情報を提供されながら手動による一つまたは複数のカテーテルの操縦、進出、および退避を実施できる。
【0134】
ステップ930では、標的組織が切除される。切除カテーテルは、一つまたは複数の電極を含みうる切除要素と、低温バルーンなどの低温エネルギーを送達するように構成されるエネルギー送達要素と、レーザダイオードなどのレーザ送達要素と、切除エネルギーを送達するように構成される光ファイバと、マイクロ波エネルギー送達要素と、超音波エネルギー送達要素と、薬品または他の薬剤の送達要素と、以上の組み合わせとを含む。切除要素が一つまたは複数の電極を含む事例では、切除要素が無線周波数電極を含みうる。多電極の事例では、双極および/または単極エネルギー送達のために電極が構成されうる。いくつかの実施形態では、
図6のカテーテル600などの要素のアレイを切除要素が含む。さらに、
図6のエネルギー送達ユニット400などのエネルギー送達ユニットに切除カテーテルが動作可能に接続されうる。
【0135】
処置が完了するか他の形で中断されるまで、ステップ928および930が一回または複数回反復されうる。
【0136】
さて
図6を参照すると、マッピング切除システムの実施形態の概略図が示されている。システム10は診断カテーテル100を含み、シース50、切除カテーテル200、第2診断カテーテル500、第2切除カテーテル600、および/または補助カテーテル装置700も含み、この図を参照して各々を説明する。システム10は、信号を受信して電気的、解剖学的、および/または装置マッピング情報を作成するのに使用されるコンピュータシステムなどの信号処理ユニット(SPU)300を含む。システム10は、以下で説明されるシステム10の一つまたは複数の切除要素へエネルギーを提供する電気または他のエネルギーの送達システムなどのエネルギー送達ユニット(EDU)400を含みうる。システム10は、外部から印加される超音波のプローブを包含する撮像装置などの補助装置800を含みうる。システム10は、SPU300、EDU400、またはシステム10の別の装置またはコンポーネントと一体的な一つまたは複数の視覚的ディスプレイなど、一つまたは複数の視覚的ディスプレイを含みうる。データおよび/または電力を伝送する導線および/または光ファイバを含むケーブルなど、一つまたは複数のケーブルによって、システム10の様々なコンポーネントが電気的および/または機械的に接続されうる。いくつかの実施形態では、
図6に示された有線または無線の通信経路などを介して、SPU300、EDU400、および/またはロボット制御アセンブリ850が相互間で情報を送達する。
【0137】
診断カテーテル100は、シャフト120の遠位端部に配置される拡開アセンブリ130を含む。拡開アセンブリ130は
図6に示された径方向拡開位置に弾性的に付勢されうるか、上で説明されたような手動の拡開手段を含みうる。拡開アセンブリ130は、図のスプライン131a、131bなど、多数のスプライン131を含む。スプライン131の遠位端部は、上で
図1Aを参照して説明されたようなリング形の幾何学形状の開口部135として構成されうる。拡開アセンブリ130は、
図1Aに記された電極141および超音波トランスデューサ151と同じか類似の機能を有する電極141a,141bと超音波トランスデューサ151a,151bとを含む。診断カテーテル100は一般的に、2から10個のスプライン131のアレイなど、4個以上の電極141を含み、各スプライン131が4から10個の電極141を含む。診断カテーテル100は一般的に、2から10個のスプライン131のアレイなど、4個以上の超音波トランスデューサ151を含み、各スプライン131が4から10個の超音波トランスデューサ151を含む。診断カテーテル100は、切除カテーテル200のシャフト220など、別個のカテーテルのシャフトを摺動式に収容するように構成される内腔を有するシャフト120を含む。シャフト120の近位端部に設けられるハンドル110はピグテール113を含み、一つまたは複数のシャフトが同時的または連続的に挿入されて内腔126へ入り、シャフト120の遠位端部から出る。診断カテーテル100は、例えばシース50などの経中隔シースを介して、心腔へ挿入されうる。ハンドル110は、制御手段115など一つまたは複数の制御手段を含みうる。制御手段115は、操縦シャフト120と径方向拡開アセンブリ130と径方向収縮アセンブリ130と以上の組み合わせとから成るグループから選択される作用をオペレータに実施させるように構築および配設されうる。一般的には、ここで説明される操縦プルワイヤに接続される制御ケーブル動作アセンブリなどの制御ケーブル動作アセンブリと、ここで説明されるようにアセンブリ130に装着されてアセンブリ130を拡開および/または退避させる制御ロッドなどの制御ロッドを進出および/または退避させるように構築および配設される線形動作アセンブリと、以上の組み合わせとから成るグループから選択される不図示の機構であるハンドル110内の機構に、制御手段115が動作可能に接続されうる。
【0138】
システム10は、
図1Aの切除カテーテル200に類似した構造を有する第1切除カテーテル200を含みうる。切除カテーテル200は、シャフト220の近位端部のハンドル210とシャフト220の遠位端部の切除要素261とを含む。切除要素261は、一形態または複数形態のエネルギーを受け取るように構成される電極を含みうる。解剖学的、電気的、および/または装置マッピング情報をSPU300および/またはシステム10の別のコンポーネントへ提供するなどのため、切除カテーテル200は、上で
図1Aを参照して説明された電極141および超音波トランスデューサ151と同じか類似の機能を有する一つまたは複数の電極241と一つまたは複数の超音波トランスデューサ251とを含みうる。ハンドル210は、制御手段215など一つまたは複数の制御手段を含みうる。制御手段215は、シャフト220の操縦、切除要素261によるエネルギー送達の起動と、切除要素261による切除エネルギー送達の調節と、電極241および/または超音波トランスデューサ251への電気接続の制御と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される動作をオペレータに実施させるように構築および配設されうる。一般的には、ここで説明されるように操縦プルワイヤに接続される制御ケーブル動作アセンブリなどの制御ケーブル動作アセンブリと、制御ロッドを進出および/または退避するように構築および配設される線形動作アセンブリと、電気スイッチと、以上の組み合わせから成るグループから選択される不図示の機構であるハンドル210内の機構に、制御手段215が動作可能に接続されうる。
【0139】
システム10は、シャフト520の近位端部のハンドル510とシャフト520の遠位端部のアレイ530とを有する第2診断カテーテル500を含みうる。アレイ530は、電気活動を記録するように構成される記録電極591を含みうる。一実施形態では、中の電気活動を記録するなどのため、冠状静脈洞または肺静脈に設けられるように螺旋アレイで配設される電極591を含みうる。解剖学的、電気的、および/または装置マッピング情報をシステム10のSPU300および/または別のコンポーネントへ提供するように、診断カテーテル500は、上で
図1Aを参照して説明された電極141および超音波トランスデューサ151と同じか類似の機能を有する一つまたは複数の電極541と一つまたは複数の超音波トランスデューサ551とを含みうる。ハンドル510は、制御手段515など一つまたは複数の制御手段を含みうる。制御手段515は、シャフト520の操縦と、アレイ530の径方向の拡開および/または収縮と、電極591、電極541、および/または超音波トランスデューサ551への電気接続の制御と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される動作をオペレータに実施させるように構築および配設されうる。一般的には、ここで説明される操縦プルワイヤに接続される制御ケーブル動作アセンブリなどの制御ケーブル動作アセンブリと、制御ロッドを進出および/または退避させるように構築および配設される線形動作アセンブリと、電気スイッチと、以上の組み合わせとから成るグループから選択される不図示の機構であるハンドル510内の機構に、制御手段515が動作可能に接続されうる。
【0140】
システム10は、シャフト620の近位端部のハンドル610とシャフト620の遠位端部のアレイ630とを有する第2切除カテーテル600を含みうる。アレイ630は、電気活動を記録するように構成される電極691を含みうる。一実施形態では、アレイ630は線形または二次元のアレイで構成される電極691を含みうる。解剖学的、電気的、および/または装置マッピング情報をシステム10のSPU300および/または別のコンポーネントへ提供するように、切除カテーテル600は、上で
図1Aを参照して説明された電極141および超音波トランスデューサ151と同じか類似の機能を有する一つまたは複数の電極641と一つまたは複数の超音波トランスデューサ651とを含みうる。ハンドル610は、制御手段615など一つまたは複数の制御手段を含みうる。制御手段615は、シャフト620の操縦と、拡開アセンブリ630の径方向拡開および/または収縮と、電極691によるエネルギー送達の起動と、電極691によるエネルギー送達の調節と、電極641および/または超音波トランスデューサ651への電気接続の制御と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される動作をオペレータに実施させるように構築および配設されうる。一般的には、ここで説明されるように操縦プルワイヤに接続される制御ケーブル動作アセンブリなどの制御ケーブル動作アセンブリと、制御ロッドを進出および/または退避させるように構築および配設される線形動作アセンブリと、電気スイッチと、以上の組み合わせとから成るグループから選択される不図示の機構であるハンドル610内の機構へ、制御手段615が動作可能に接続されうる。
【0141】
システム10は、それぞれ導線112,212,512,612,712を介して、システム10のカテーテルおよび/または装置、例えばカテーテル100,200,500,600,700のいずれかまたはすべてへエネルギーを送達するように構成されるEDU400を含みうる。一般的なエネルギータイプは、無線周波数エネルギーと、低温エネルギーと、レーザエネルギーと、光エネルギーと、マイクロ波エネルギーと、超音波エネルギーと、化学エネルギーと、以上の組み合わせとを含むが、これらに限定されるわけではない。一例では、EDU400は切除カテーテル200の切除要素261へエネルギーを送達する。EDU400は、切除カテーテル600の電極691など、システム10の切除要素へ切除エネルギーを提供しうる。処置要素261、電極691、またはシステム10の電極ベース切除要素などを介して、単極無線周波数エネルギーをEDU400が送達できるように、システム10は、患者Pの背中に装着された状態で示された接地パッド420を含みうる。EDU400は、切除カテーテル600の二つの電極691など、互いに相対的に近接するいずれか二つの電極の間で双極および/または単極の無線周波数エネルギーを送達するように構成されうる。
【0142】
システム10は、それぞれ導線111,211,511,611,711を介して、システム10のカテーテルおよび/または装置、例えばカテーテル100,200,500,600,700のいずれかまたはすべてへの、および/またはこれらからの信号を送信および/または記録するように構成されるSPU300を含む。いくつかの実施形態で、SPU300は、体表面電極820が図のように患者Pの胸部および腹部に配置される時など、補助装置800および/または体表面電極820への、および/またはこれらからの信号を送信および/または記録できる。例えば、SPU300は、システム10の超音波トランスデューサのいずれかまたはすべてからの超音波反射などの電気信号を記録することができ、またシステム10の電極のいずれかまたはすべてからの電流および/または電圧信号を記録できる。超音波トランスデューサは、システム10のカテーテルおよび/または他の装置のいずれかまたはすべてに含まれうる(トランスデューサ151a,151b,251,551,651,751のいずれかなど)。同様に、システム10のカテーテルおよび/または他の装置のいずれかまたはすべてに記録電極が含まれうる(電極141a,141b,241,541,641,741のいずれかなど)。様々な記録信号を使用して、SPU300は、記録信号から抽出されるデータに対して一つまたは複数のアルゴリズム機能と他の数学的計算を実施しうる。これらの計算の結果、上で
図4を参照して説明されたように、距離測定と、解剖学的マップと、装置ポジションマップと、電気的マップと、双極子マップと、以上の組み合わせとから成るグループから選択される出力が得られる。付加的に、SPU300は、上で
図5を参照して説明されたようにカテーテル誘導または他の装置ポジション情報を提供できる。いくつかの実施形態では、上で
図2Aおよび2Bを参照して詳しく説明されたたように、例えばデータを収集して双極子マップを作成する、および/または距離測定を実施するため、診断カテーテル100の電極141a,141bに結合されうる電流源などの電気信号源をSPU300が含みうる。
【0143】
上で
図2Aおよび2Bを参照して説明されたように距離測定データを作成するなどのため、システム10のSPU300および/または他のコンポーネントは距離測定アセンブリとして構成されうる。システム10は、電極141,241,541,641,741などシステム10の電極の位置、および/または超音波トランスデューサ151,251,551,651,751などシステム10の超音波トランスデューサの位置など、システム10の身体挿入コンポーネントまたはアセンブリの位置と、表面電極820など患者の身体の外部にあるシステム10のコンポーネントの位置と、左心房または左心室の壁の位置など患者の解剖学的構造の位置と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される二つ以上の位置の間の距離測定データを作成するように構成されうる。いくつかの実施形態では、システム10の距離測定アセンブリによって、二つのスプライン131の間の距離が決定される。いくつかの実施形態では、診断カテーテル100上の位置と切除カテーテル200上の位置など、第1カテーテル上の位置と第2カテーテル上の位置との間の距離が、システム10の距離測定アセンブリにより決定される。いくつかの実施形態では、システム10の距離測定アセンブリは、血液および/または組織のインピーダンスについて決定および/または概算された値を利用して、一つまたは複数の距離測定を実施しうる。一つまたは複数のアルゴリズムでシステム10により使用されるインピーダンス値は患者ごとに変化し、一人の患者でも一つの位置と別の位置では変化する。分離距離が一定であるか他の形で既知である二つのシステム10のコンポーネントの間の距離測定を実施して、続く計算で使用されるインピーダンス値を決定することなどにより、システム10によってインピーダンス値が決定、較正、または他の形で改善されうる。決定および/または概算される多数のインピーダンス値が平均化され、平均化された値は後の計算に使用される。
【0144】
SPUおよび/またはEDU400は、タッチスクリーンディスプレイなどの視覚ディスプレイと、スピーカなどの聴覚装置と、オペレータ着用の振動バンドなどの触覚装置と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される出力装置など、一つまたは複数の出力装置を一般的に含む。いくつかの実施形態では、電気的、解剖学的、および/または装置マッピング情報などの情報が、SPU300と一体的な視覚ディスプレイを介してシステム10のオペレータへ提供されうる。いくつかの実施形態では、切除エネルギー送達情報などの情報が、EDU400と一体的な視覚ディスプレイを介してシステム10のオペレータへ提供されうる。
【0145】
システム10は、補助装置800、例えば患者の解剖学的構造の画像を作成するように構成される撮像装置を含みうる。解剖学的および他の情報が装置800によりケーブル804を介してSPU300へ提供されうるため、電気的、解剖学的、および/または装置マッピング情報など、オペレータのための情報を提供するようにSPU300が提供情報を一つまたは複数のアルゴリズムで処理する。
図6の実施形態で、補助装置800は、ケーブル803を介して超音波プローブ802に動作可能に接続される超音波発生器801を含む。当業者に周知の超音波ゲルとの組み合わせなどで、プローブ802が患者の皮膚に近接して配置されると、解剖学的画像が作成される。発生器801は、装置800により記録される患者の解剖学的構造の視覚的画像を提供する視覚ディスプレイなどの出力装置を含みうる。いくつかの実施形態では、視覚ディスプレイはSPU300および/またはEDU400と一体的である。
【0146】
いくつかの実施形態で、発生器801は、超音波トランスデューサ151a,151b,251,551,651,および/または751のうち一つまたは複数など、一つまたは複数の他の超音波トランスデューサと通信すること(間で信号を送受信することなど)ができる。
【0147】
代替的または付加的に、補助装置800は、経食道心エコー装置と、心腔内心エコー装置と、ラッソ診断カテーテル記録装置と、冠状静脈洞カテーテル記録装置と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される記録装置を包含しうる。
【0148】
システム10は、一般的には診断カテーテル100のシャフト120により摺動式に収容されるように構成されるカテーテル装置700を含みうる。カテーテル装置700は、可撓性シャフト720に固定装着されるハンドル710を含む。シャフト720は遠位端部729を含む。解剖学的、電気的、および/または装置マッピング情報をシステム10のSPU300および/または別のコンポーネントに提供するなどのため、カテーテル装置700は、上で
図1Aを参照して説明された電極141および超音波トランスデューサ151と同じか類似の機能性を有する一つまたは複数の電極741と一つまたは複数の超音波トランスデューサ751とを含みうる。図示されていないが、上で説明されたように、電極741および/または超音波トランスデューサ751は、シャフト720および/または拡開アセンブリに取り付けられうる。ハンドル710は、制御手段715など一つまたは複数の制御手段を含みうる。シャフト720の操縦と、電極741および/または超音波トランスデューサ751への電気接続の制御と、以上の組み合わせとから成るグループから選択される動作をオペレータに実施させるように、制御手段715は構築および配設されうる。一般的には、ここに説明された操縦プルワイヤに接続される制御ケーブル動作アセンブリなどの制御ケーブル動作アセンブリと、制御ロッドを進出および/または退避させるように構築および配設される線形動作アセンブリと、電気スイッチと、以上の組み合わせとから成るグループから選択される不図示の機構であるハンドル710内の機構に、制御手段715が動作可能に接続されうる。いくつかの実施形態で、カテーテル装置700は、ラッソカテーテルなど電極の螺旋アレイを含むカテーテルと、ペーシングカテーテルと、無線周波数エネルギー、マイクロ波エネルギー、低温エネルギー、レーザエネルギー、および/または超音波エネルギーを送達するように構築および配設されるカテーテルなどのエネルギー送達カテーテルと、抗不整脈薬、幹細胞、または他の生物学的薬剤を送達するように構築および配設されるカテーテルなどの薬品または他の薬剤の送達カテーテルと、ロボット誘導または操作装置、心耳閉塞装置、バルブ交換装置、組織生検装置、またはシャフト710の内腔を通って送達される他の診断または治療装置を(シャフト720の遠位端部729などから)配備するように構築および配設されるカテーテルなどの機械的装置送達カテーテルと、以上の組み合わせとから成るグループから選択されるカテーテルを包含する。
【0149】
システム10は、一つまたは複数のリンク機構、ケーブル、または他のロボット制御機構を制御するように構成されるロボットまたは他のアセンブリなどのロボット制御アセンブリ850を含みうる。ロボット制御アセンブリ850は、システム10の一つまたは複数のロボット操作可能アセンブリに動作可能に装着されうる制御導体859を含む。
図6に示されているように、制御導体は、ケーブル851を介して診断カテーテル100へ、ケーブル852を介して切除カテーテル200へ、ケーブル853を介して第2診断カテーテル500へ、ケーブル854を介して第2切除カテーテル600へ、ケーブル855を介してカテーテル装置700へ、のうち一つまたは複数に動作可能に装着されうる。システム10の各カテーテル装置は、操縦機構、および/またはカテーテルシャフト進出および/または退避機構など、一つまたは複数のロボット制御アセンブリを含みうる。いくつかの実施形態では、ロボット制御アセンブリ850が使用されて、診断カテーテル100および/または切除カテーテル200を操縦し、進出および/または退避させる。ロボット制御アセンブリ850は、手動(オペレータによる駆動など)、半自動(オペレータによる駆動とシステム10による駆動など)、自動(完全なシステム10による駆動)でシステム10の一つまたは複数のカテーテル装置を誘導するのに使用されうる。システム10の一つまたは複数のカテーテル装置を半自動または自動で誘導するのに使用される臨床医入力情報など、オペレータ(臨床医など)入力情報を受理するように、システム10が構成されうる。
【0150】
ロボット制御アセンブリ850は、少なくとも一つの双極子マッピング電極により記録される双極子マッピング情報と、少なくとも一つの超音波トランスデューサにより記録される距離情報のうち一つまたは複数の解析に基づいて、一つまたは複数の装置またはアセンブリを誘導できる。上で
図2Aおよび2Bを参照して説明されたように、システム10の第1電極と第2電極との間で実施される距離測定に基づいて、ロボット制御アセンブリ850は一つまたは複数の装置またはアセンブリを誘導できる。
【0151】
いくつかの実施形態で、手動または自動の誘導は、システム10の一部分と組織との接触の評価に基づくか、あるいはこれを含みうる。システム10の一部分と組織との接触は、超音波トランスデューサ151a,151b,251,551,651および/または751など、システム10の一つまたは複数の超音波トランスデューサにより受信される距離信号を解析することにより決定されうる。充分な接触の決定は、システム10の臨床医オペレータにより調節可能である閾値(臨床医入力情報に含まれる閾値など)のような閾値(距離または圧力閾値など)と比較されるとよい。
【0152】
さて
図7Aを参照すると、カテーテルを誘導するためのガイド要素を含む診断カテーテルの遠位部分の斜視図が図示されている。
図7Aの診断カテーテル100は、シャフト120と、内腔126と、スプライン131を含む拡開アセンブリ130と、開口部135とを含み、各々が一般的には、
図1Aのカテーテル100の類似コンポーネントについて記載されたものと類似の構造および配設形態を持つ。シャフト120が挿入されているシース50を含めて、診断カテーテル100は一般的にシステム10の一部である。診断カテーテル100はさらにガイド要素136を含む。ガイド要素136は、カテーテル100のシャフト120に挿入される第2カテーテルのシャフトに付勢力を加えるように構成される二つ以上の可撓性または剛性のフィラメント(ニッケルチタン合金フィラメントなど)を包含しうる。シャフト120の遠位部分を、拡開アセンブリ130の中で相対的に直線状の幾何学的センタリング状態にするように、付勢力が構成されうる。
図1Aに示されているように、付勢力は、切除要素261とシャフト220の遠位部分とを誘導して開口部135を通過させるのに使用されうる。開口部135まで末端方向に進出すると、切除要素261は、心臓壁組織などの組織と接触する、および/またはこれにエネルギーを送達するように配置される。
【0153】
いくつかの実施形態では、(ガイド要素136により印加される付勢力を克服することなどにより)挿入されたカテーテルの遠位端部が操縦されて二つのガイド要素136の間を通過させるとともに開口部135の通過は回避するように、ガイド要素136が構築および配設される。さて
図7Bを参照すると、切除カテーテル200のシャフト220の遠位部分225は、二つのガイド要素136の間を通過するように操縦されている。シャフト220はさらに進出および/または操縦されて、開口部135を通過することなく、図のように二つのスプライン131の間も通過する。スプライン131から径方向に進出すると、切除要素261は、心臓壁組織などの組織と接触する、および/またはこれにエネルギーを送達するように配置されうる。挿入されたシャフトの付勢による線形進出とともに、二つのガイド要素136と二つのスプライン131との間の曲線状の出口経路を可能にするように、多数の形のガイド要素が含まれうる。開口部135を通過する前に切除カテーテル200の遠位部分が拡開アセンブリ130から出るのを許可または防止するように、ガイド要素136が離間されるか、他の形で構築および配設されうる。
【0154】
いくつかの実施形態では、図のようにガイド要素136の各々はその近位および遠位端部で拡開アセンブリ130に固定される。これらの実施形態では、アセンブリ130の拡開および収縮に対応するように、ガイド要素136は各々を伸張させる弾性材料を包含しうる。付加的に、一つまたは複数のガイド要素136の弾性は、拡開アセンブリ130を径方向拡開状態で付勢するように構成されうる。代替的に、図示されていないが、拡開アセンブリ130が拡開および格納される(つまり非拡開または収縮状態)際にガイド要素136を中で摺動させるのに充分な直径および長さのものである一つまたは複数の内腔126または有限長の通路などを介して、近位端部がシャフト120に摺動式に摺動される時などには、ガイド要素136は剛性でありうる。代替的実施形態では、図示されていないが、カテーテルまたは他の長尺装置を案内して診断カテーテル100のシャフト120から出して開口部135を通過させるように構成される中空管である単一の管構造をガイド要素136が包含する。
【0155】
最良の態様および/または他の好適な実施形態であると考えられるものが上で説明されたが、様々な変形が行われうることと、単数または複数の発明が様々な形および実施形態で実行されうることと、多数の用途に適用可能であってその一部のみが説明されたこととが理解される。各請求項の範囲に含まれるすべての変形および変更を含めて、文字通り説明されたものとその均等物とを請求することが、以下の請求項により意図されている。