特許第6785939号(P6785939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6785939緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法
<>
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000002
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000003
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000004
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000005
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000006
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000007
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000008
  • 特許6785939-緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785939
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】緊急時の地表のマップ情報を生成するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20201109BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20201109BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20201109BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20201109BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20201109BHJP
【FI】
   G08G1/16 A
   G08G1/09 V
   G09B29/00 Z
   B60W30/06
   B60W40/06
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-500869(P2019-500869)
(86)(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公表番号】特表2019-527418(P2019-527418A)
(43)【公表日】2019年9月26日
(86)【国際出願番号】EP2017063416
(87)【国際公開番号】WO2018010891
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】102016212587.7
(32)【優先日】2016年7月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ステーン クリステンセン
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング ハーマー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ グレーヴェ
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−096890(JP,A)
【文献】 特開2015−230641(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/126425(WO,A1)
【文献】 特開2009−169527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 30/06
B60W 40/06
G08G 1/09
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルロードマップの1つ以上の道路区間用のマップ情報を生成するシステムであって、
前記1つ以上の道路区間用のデータセットを受信(102)するインタフェース(208)であって、前記データセットは、直接的な道路区域(404;604;704)外の地表(402;602)の特性を記述している、インタフェース(208)と、
受信された前記データセットを、前記直接的な道路区域外の第1の地表を識別するために評価する第1のモジュール(104)であって、前記第1の地表は、道路を離脱後の車両による走行が可能であり、前記第1の地表上で、道路を離脱後の前記車両を停止させることができる、第1のモジュール(104)と、
前記第1の地表の記述を、前記デジタルロードマップに適したフォーマットで生成する第2のモジュール(108)と、
前記第1の地表の前記記述を、前記デジタルロードマップに適した1つ以上のフォーマットで呼び出し可能に提供する第3のモジュール(110)と、
を備え、
当該システムは、道路区間毎に複数のデータセットを受信するように構成されており、
前記複数のデータセットは、異なる時点で検出または生成されたものであり、
当該システムは、前記第1の地表について、該第1の地表が所与の時点で走行のためにMRMの流れの中で利用可能である確率を示すように構成されており、かつ/または、当該システムは、1年の間の異なる時期での前記第1の地表の異なる特性からMRMのための適性を求めるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記第1の地表を異なるカテゴリに分類する第4のモジュール(106)をさらに備え、この分類は、リストに含まれる基準のうちの1つ以上に従って行われ、前記基準は、異なる車両タイプに対する前記第1の地表の適性、前記第1の地表の表面の状態、前記表面の状態が当て嵌まる天候条件、前記地表を走行中に該地表において生じる損傷に対する確率および/またはコストを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のモジュールは、さらに、前記第1の地表の前記記述を、その速度および軌道のうちの少なくともいずれかの範囲においてまたは前記範囲を維持して前記地表の走行が可能になる、前記範囲を表す情報で補足する、請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
デジタルロードマップの1つ以上の道路区間用のマップ情報を生成する方法であって、
前記1つ以上の道路区間用のデータセットを受信するステップ(102)であって、前記データセットは、直接的な道路区域(404;604;704)外の地表(402;602)の特性を記述する、ステップと、
受信された前記データセットを、前記直接的な道路区域外の第1の地表を識別するために評価するステップ(104)であって、前記第1の地表は、道路を離脱後の車両による走行が可能であり、前記第1の地表上で、道路を離脱後の前記車両を停止させることができる、ステップと、
前記第1の地表の記述を、前記デジタルロードマップに適したフォーマットで生成するステップ(108)と、
前記第1の地表の前記記述を、前記デジタルロードマップに適した1つ以上のフォーマットで呼び出し可能に提供するステップ(110)と、
を含み、
前記所定の道路区間毎に複数のデータセットが受信され、
該複数のデータセットは異なる時点で検出または生成されたものであり、
前記第1の地表について、該第1の地表が所与の時点で走行のためにMRMの流れの中で利用可能である確率が示され、かつ/または、1年の間の異なる時期での前記第1の地表の異なる特性からMRMのための適性が求められる、
方法。
【請求項5】
前記第1の地表を異なるカテゴリに分類するステップ(106)をさらに含み、この分類は、リストに含まれる基準のうちの1つ以上に従って行われ、前記基準は、異なる車両タイプに対する前記第1の地表の適性、前記第1の地表の表面の状態、前記表面の状態が当て嵌まる天候条件、前記地表を走行中に当該地表において生じる損傷に対する確率および/またはコストを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1の地表の前記記述を、その速度および軌道のうちの少なくともいずれかの範囲においてまたは前記の範囲を維持して前記地表の走行が可能になる、前記範囲を表す情報で補足するステップをさらに含む、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
現在の時点での地理的位置周りの所定の半径内にある1つ以上の前記第1の地表の利用可能性に関する問い合わせを受信するステップと、
1つ以上の前記第1の地表について最後に受信されたそれぞれのデータセットから抽出された、MRMのために前記半径内にある前記地表の利用可能性を表す情報を送信するステップと、
をさらに含む、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
デジタルロードマップの1つ以上の道路区間用のマップ情報を生成するコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体上に記憶されており、コンピュータによって実行されるときに、請求項4から7までのいずれか1項記載の方法のステップを実行するプログラム命令を含んでいる、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明によるシステムまたは方法は、例えば、ナビゲーションシステム、eHorizonシステム、運転者支援システムに使用するか、または一般的に自律的なまたは高度に自動化された運転用の基礎として使用するマップ情報の生成に関する。
【0002】
eHorizonシステムは、車両システムの予測制御のために、デジタル地形マップデータを、例えばGPS受信機などのセンサデータと統合する。これから先の事象、例えば次のカーブの後の勾配などは、車両の適応制御のために早期に使用される。この場合、eHorizonシステムは、マップおよびセンサデータを解釈し、例えば、モータおよび変速機管理を自動的に適応化する。
【背景技術】
【0003】
高度に自動化された運転または自律的な運転のための今日のいくつかのシステムは、デジタルロードマップや道路の3D−CADモデルを、つまり、地表(Flaeche)に投影される道路経過の他に高さ情報および場合によっては道路表面上の物体に対する情報も含む道路のデジタル描写を使用する。これは、道路または道路の車道もしくは車線の非常に多くの特徴に関する情報を含み、かつ非常に高い微細解像度を提供する。ロードマップまたは3D−CADモデルは、ノード間のトラバースとして存在するが、他のフォーマットでも存在する。詳細は、一般的な地理的位置の他に、道路のそれぞれの場所における各方向の車線の幅、車線の幾何形状ならびに車線の数、時間経過にわたって緩慢に変化するかまたは変化しない道路の所定のさらなる特徴を含む。これらの特徴には、車道標示、道路側方に存在する物体、例えば、境界柱、道路看板または灯柱だけでなく、道路の合流点または入車口なども含まれる。道路または車道もしくは車線の詳細、あるいはそれらの各基準点は、マップ内の正確な地理的位置に結合されており、高度に自動化された運転または自律的運転の際に持続的に検出され、走行中の車線案内および/または位置決定のために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高度に自動化されたまたは自律的な運転車両は、人間の運転者のように、予期しない事象および/または誤機能が発生した場合に車両を安全な位置に運ぶことも、つまり例えば車両を安全な場所に停止させることもできる状況におかれるべきである。この機能は、最小のリスク操作(英記:Minimal Risk Manoeuvre)、またはMRMとも称される。人間の運転者は、必要に応じて、最短時間内ですべての適切な場所を検出し、そのうちの1つを選択し、この場所に安全に到達できるように車両を操縦する必要がある。
【0005】
複数車線の高速道路上の走行の場合、そのような安全な場所は、例えば、路肩またはパーキングエリアである。これらの安全な場所は、多くの標準的なデジタルロードマップにも記載されている。路肩のないルート区間、例えば工事箇所では、緊急停止地帯は安全な場所として有効であり得る。これらは、特に一時的にのみ設置された工事箇所において、通常は、標準的なデジタルロードマップには記載されていない。他の道路に沿って、適切で安全な場所は、デジタルロードマップを作成する際に無視されるかまたは全く検出されない領域のように、本来の道路外に存在することがよくある。例えば、緑地帯、道路に隣接して存在する芝地または耕地、私有地への入車口だけでなく、道路に沿って延在する駐車場の地表も、状況に応じて安全な場所として適切であり得る。現時点で得られるデジタルマップは、高度に自動化された運転または自律的運転に供するに値するものとしてマップを使用できるほど正確にかつ革新的にマッピングするものではない。また、現時点で得られるセンサシステムは、これらの場所を十分な精度でリアルタイムに検出して、運転操作に基づかせることができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マップ情報を生成するシステムに関する。このシステムは、マップ情報を生成する相応の方法を実行し、データ担体に記憶され得るコンピュータプログラムを含むことができる。本発明は、さらに、そのようなシステムを有する車両に関する。
【0007】
このシステムは、デジタルロードマップの1つ以上の道路区間に関するデータセットを受信する手段を備え、データセットは、直接的な道路区域外の地表の特性を記述する。この手段は、送信機および/または受信機を有する1つ以上のデジタルデータインタフェースを有することができ、これらの送信機および/または受信機は、1つ以上の電気通信規格に対して互換性を有するように形成され、システムの他のコンポーネントに通信可能に接続されている。このシステムはさらに、第1のデータ処理ユニットを備え、この第1のデータ処理ユニットは、1つ以上のデジタルインタフェースに通信可能に接続されており、受信したデータセットを分析し、そこからデジタルロードマップ用のマップ情報を生成する。このマップ情報は、直接的な道路区域外の地表を表している。データ処理ユニットは、マップ情報を生成する方法を実行する対応するコンピュータプログラムを実行する1つ以上のコンピュータを含むことができる。
【0008】
システムは、機能モジュールアーキテクチャの意味で、1つ以上の機能ブロックから形成されているものとして解釈することも可能である。この場合、各機能ブロックは、対応する機能を実行するための手段を表す。これらの手段は、対応する機能を実行するためのコンピュータプログラムによって構成された1つ以上のコンピュータまたはデータ処理ユニットによって実現されてもよい。1つ以上のコンピュータまたは処理ユニットは、1つ以上のマイクロプロセッサを含むことができ、これらのマイクロプロセッサは、コンピュータプログラム命令の実行前および/または実行中にデータを受信および/または送信する、メインメモリおよび/または不揮発性記憶手段ならびに他のシステムコンポーネントに、1つ以上のデータバスを介して通信可能に接続されている。これにより、コンピュータまたは処理ユニットは、この方法の少なくとも一部を実行する。不揮発性記憶手段は、様々な記憶媒体、例えば光学的または磁気的メモリ、相変化メモリまたはフラッシュメモリを含む。複数のモジュールまたは機能ブロックは、コンピュータまたはデータ処理ユニットで実現されてもよい。
【0009】
システムの少なくとも一部は、自動車の制御機器内に配置されてもよい。制御機器は、1つ以上のデータバスを介して記憶手段に通信可能に接続されたマイクロプロセッサを備えることができる。マイクロプロセッサは、記憶手段に記憶されたコンピュータプログラム命令を実行し、1つまたは複数のデータバスを介してデータを送信および/または受信するように構成されている。記憶手段は、メインメモリと不揮発性メモリとを含むことができる。不揮発性メモリは、例えば、光学的メモリ、磁気的メモリ、相変化メモリまたはフラッシュメモリを含む。1つ以上のデータバスは、制御命令および/またはデータを、様々な制御機器、センサおよび/またはアクチュエータに一方向または双方向に伝送するように構成されてもよい。この目的のために必要な方法は、マイクロプロセッサによってコンピュータプログラム命令の実行の際に実現されてもよい。
【0010】
コンピュータプログラム命令は、無線で接続されるかまたはケーブルもしくは線路を用いて接続されるインタフェースを使用して、記憶手段に伝送することができる。コンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体上に恒久的に記憶され、担体媒体上に記憶されたコンピュータプログラムとして解釈することができるコンピュータプログラム製品として、システム外部に存在する。
【0011】
コンピュータプログラム製品は、非恒久的で一時的な形態で、例えばその変調によってコンピュータプログラム命令を一時的に表す電磁的または光学的信号として存在することも可能である。したがって、この変調により、例えばコンピュータプログラム命令がデータ担体からシステムに伝送されている間に、信号にはコンピュータプログラム命令が一時的に読み取り可能に付与される。このケースでは、例えば変調された担体によって表される信号は、そこから取り出すかまたは取り上げることが可能であるコンピュータプログラム製品の具体的な具体例を示す。
【0012】
システムにおいて実行され、場合によっては対応するコンピュータプログラムによって実現される、デジタルロードマップの1つ以上の道路区間用のマップ情報を生成する方法によれば、第1のデータ処理ユニットに、1つ以上の事前に受信された、1つ以上の道路区間用のデータセットが供給され、これらのデータセットは、各道路区間の直接的な道路区域外の地表の特性を記述する。
【0013】
この説明の文脈においては、直接的な道路区域として、非定常的な交通の中で車両によりそれぞれの有効な交通規則の枠内で走行可能な道路もしく交通経路の地表が挙げられ、つまり特に道路の車線、交差領域などである。直接的な道路区域を記述するデータには、道路区域の表面を越えて延びる延長線上の情報、つまり、高さ制限に関する情報、または道路区域内に存在する物体の高さに関する情報も含まれ得る。同じことは、直接的な道路区域外の地表を記述するデータにも当て嵌まる。
【0014】
データセットは、道路を走行する車両のカメラまたは他の適切な装置を用いて撮影された道路区域の画像と、特に直接的な道路区域外の地表の画像とを含むことができる。他の適切な装置には、例えばレーダー、ライダーまたは超音波システムが含まれ、それらの信号からは、対応するコンピュータシステム上で実行されるソフトウェアを用いて画像が合成される。画像という用語は、ここでは専ら具体的な意味で使用されるのではなく、それぞれの装置によって走査された周辺環境の他の適切な描写、例えば、視差マップ、ライダーまたはレーダーピークリストだけでなく、既に部分的に処理または分析された画像などを含む。部分的に処理または分析された画像は、例えば、物体の縁部または道路標示に対応するベクトル情報が追加された画像である。次いで、処理または分析のレベルに応じて、基礎となる画像を、例えば、より強く圧縮して、またはより低い解像度で、共に伝送することができる。車両内でさらなる分析が既に行われている場合には、地表の抽象的な表示、例えば地表を表すトラバースかまたは対応するグリッドパターンを第1のデータ処理ユニットに送信すれば十分であり得る。車両内の処理のレベルは、この場合、例えば自律的なまたは高度に自動化された運転のために、画像が車両内で直接評価される程度に依存し得る。
【0015】
データセットは、対応する道路区間を走行中の複数の車両によって生成される。これらのデータセットは、この場合、直接的な道路区域外の地表の上方の空間、特にフリーの空き高に関する情報も含むことができる。さらに、車両内で少なくとも部分的な分析が既に行われている場合には、データセットは、それらに基づいて地表を分類することができる情報を含むことができる。
【0016】
分類は、例えば異なるタイプの車両による走行に対する地表の適正に従って行うことができる。車両のタイプは、例えば、乗用車、トラック、いわゆるスポーツユーティリティビークル(SUV)などを含む。しかしながら、型付けは、最低地上高、車両の高さ、車両の幅または長さ、最小回転半径、車両重量、駆動軸および/または非駆動軸の数、連結車の存在などに基づいて行うことができる。適性は、例えば、表面の状態に依存することができる。そのため、タールされた滑らかな地表は、多くの車両タイプにとって走行できる確率が高く、それに対して、砂利や砂で覆われた地表は、低い耐荷重能力を有している確率が高く、それ故、重い車両に適さない可能性がある。他の表面、例えば、草地や所定の舗装タイプなどは、付加的に天候に依存した適性を有し得る。それにより、例えば草地の表面は、雨の中では滑りやすく、乾燥した天候のときよりも柔らかい可能性がある。地表の平面度も分類に使用できる。凹凸の激しい地表は、より高い最低地上高を有する車両にとっては依然として走行できるが、それに対して、より低い最低地上高を有する車両によっては凹凸の激しい地表はもはや走行することができない。分類は、積み荷のタイプに基づいて行うこともできる。それにより、安全な場所に到達するために車道の離脱を表示することは、水資源保護区域内では、水を汚染する積み荷を有する車両に対してなされるべきではないが、それに対して、別の積み荷を有する車両または積み荷を持たない車両はこの場所において制限されることはない。これらの分類および類似の分類は、例えば、地表の近傍に設置された対応する交通標識の識別によって行うことができる。
【0017】
分類は、最小のリスク操作を実行する必要のある車両に、異なる適性または異なる分類の多数の利用可能な地表の中から、現在の状況に最も適した地表を選択させることを可能にする目的のために用いることができる。それにより、舗装されていない地表よりも、舗装されている地表の優先順位付けを行うことができるが、舗装されていない地表においても、例えば砂地よりも砂利、草地よりも砂地を優先させるなどの格付けを行うことができる。他方、状況の危険度に応じて、より遠くに存在するアスファルト面よりも、より近くに存在する草地面を優先させることができる。
【0018】
受信されたデータセットは、例えばそこに車両を停止させるべく、道路を離脱後の車両による走行が可能である、直接的な道路区域外の地表を識別するために、第1のデータ処理ユニットにおいて評価される。この場合、個々の地表に対し、データセットに含まれる、分類に適した情報が相応に考慮され得る。しかしながら、分類は、最初に第1のデータ処理ユニットにおける評価によって行うことも可能であり、例えば、画像分析方法によって、および表面を表す画像内容と、所定の表面に対して特徴的である基準パターンまたは基準テクスチャとの比較によって、行うことも可能である。ステレオカメラ、レーダーまたはライダーを用いて撮影された画像は、表面の高さ輪郭の経過またはうねりを求めるために使用することができる。順次連続する画像間で撮影場所にずれが存在し、その際、少なくとも一部の画像領域が重なっている場合には、単眼カメラを同様に使用することができる。ライダーまたはレーダーセンサを用いて検出された地表は、草や他の柔らかい植物の植生が存在するにもかかわらず適していると格付けすることが可能である。評価の結果として、地表の地理的位置、その大きさ、その表面状態などに関する情報が利用可能となり、これらの情報は、デジタルロードマップに適切なフォーマットで付加することができる。これらの情報は、デジタルロードマップ、ナビゲーションシステム、ADASシステムおよび/またはeHorizonシステムに適した1つ以上のフォーマットで呼び出し可能に提供される。簡単化のために、この明細書では、様々なシステムの様々なフォーマットに対する代行として、デジタルロードマップという用語が使用される。呼び出し可能な提供とは、ここでは、データを使用するシステムの対応する問い合わせに応じた伝送(プル伝送)の他に、先行する特定の問い合わせなしで第1のデータ処理ユニットによってトリガされる情報の伝送(プッシュデータ伝送)も含む。
【0019】
基本的には、潜在的な緊急時の地表の識別を、完全に車両内で、または専ら第1のデータ処理ユニット内で実施することが可能である。この2つの組み合わせも同様に可能である。その場合には、車両または第1のデータ処理ユニットにおいて、同一車両の時間的に順次連続する個々の測定または個々の検出のシーケンスに基づく方法を使用することができる。その上さらに、第1のデータ処理ユニットにおける評価の際には、複数の様々な車両の時間的に一致するかまたは別々に存在する測定または検出を考慮することも可能である。
【0020】
デジタルロードマップに適した各フォーマットに応じて、直接的な道路区域外の地表は、類似の方法で車線のように表示することができるが、これらの地表は、例えばトラバース、スプライン、ラスタグリッドなどの囲み曲線によって表示することもできる。
【0021】
本方法の1つの態様によれば、それぞれの地表に対して、その速度および/または軌道の範囲においてまたはその速度および/または軌道の範囲を維持して地表の走行が可能になる、速度および/または軌道の範囲が求められる。対応する情報は、デジタルロードマップまたはeHorizonデータに追加される。この態様は、例えば、最寄りの地表の走行のための最大速度が、現在の速度および地理的位置を出発点として、もはや安全に制動操作によって達成できない場合、または、地表の走行のための軌道範囲が、車両にとって維持できない曲率半径を必要とする場合に、車両に適した地表の選択に影響を与えることができる。そのようなケースでは、最寄りの選択されなかった地表よりもさらに遠方に存在する、場合によっては車両タイプにあまり適していない表面も有する地表が選択され得る。
【0022】
本方法の一態様によれば、道路区間毎に複数のデータセットが受信され、これらのデータセットは異なる時点で生成されていたものである。各データセットは、対応する情報、例えば週日、時刻、日付などを含む。この情報は、直接的な道路区域外の地表が所与の時点で最小のリスク操作のために利用可能である確率を決定する目的のために使用できる。
【0023】
この態様は、ここでは、例えば、道路の車道に隣接して平行に延在するパーキングエリアの所定の時点での利用可能性の評価を可能にする。1つの道路区間に関する、異なる昼間帯または週日に対するより長い期間にわたる複数のデータセットの評価は、例えば、所定の週日における所定の昼間帯の駐車帯が通常は空いていないことを明らかにすることができ、それに対して、他の昼間帯や他の日、例えば休日の駐車帯は占有されていないかまたは僅かしか占有されていないことを明らかにすることができる。日付データと、祝日との結合、または昼間帯と、この道路区間に置かれている店舗もしく官庁の営業または受付時間との結合は、この場合、対応するデータベースの問い合わせによって行うことができる。
【0024】
しかしながら、この態様は、直接的な道路区域外に存在する地表を、それが一回の検出によって確実に行うことができない場合に、適切なものとして分類することも可能である。例えば、より長い草または穀物を有する地表の密な植生は、地表が適していないものとして格付けされることにつながる可能性がある。しかしながら、1年を通して繰り返される検出により、同じ地表が、例えば合間に行われた刈り取りのために、植生が全くないかまたは僅かしかない時点で改めて検出可能となり、さらにこの地表の本来の表面が分類のために識別可能である。したがって、緊急時の地表の走行を妨げない、季節に依存する植生を、分類の際に考慮することができる。もちろん、直接的な道路区域外に存在する複数の地表が間近な最小のリスク操作のために選択可能である場合には、これらも優先順位付けの際に考慮することができる。それにより、例えば、近傍の適した他の地表に到達可能でかつそれが同等に良好に適する場合に、農業的に使用されている地表の作物被害を回避することが可能である。直接的な道路区域外に存在する地表に対して異なる季節毎に収集されるデータセットが多ければ多いほど、そして場合によりそれが数年を越えることがあっても、所定の時点での地表の適性をより良好に求めることができる。
【0025】
デジタルロードマップに適したフォーマットで存在する、直接的な道路区域外の地表に関する情報は、第1のデータ処理ユニットから自律的なまたは高度に自動化された運転車両に伝送される。この伝送は、移動無線ネットワーク、WLANネットワーク、車車間ネットワークまたは路車間ネットワークなどを介して行うことができる。
【0026】
システムによって実行される方法の一態様によれば、第1のデータ処理ユニットにおいて識別された表面は、それらが自律的なまたは高度に自動化された運転車両への伝送を許可される前に、例えば場所の検査によって、または空中写真または衛星写真との比較によって手動で検証される。
【0027】
自律的なまたは高度に自動化された運転車両は、システムへの問い合わせに応答するかまたはシステムによってトリガされるプッシュ更新の流れの中で、現在の時点での地理的位置周りの所定の半径内の1つ以上の第1の地表に関する情報を受信する。車両に配置されたナビゲーション装置、eHorizonまたは他の適切な運転者支援システムにより、間近な最小のリスク操作のための、直接的な道路区域外の地表に関する現在利用可能な情報を分析することができる。具体的な表面の選択は、さらに、車両にまたは車両内に局所的に配置されたセンサによって検出されるかまたはデジタルロードマップ情報またはeHorizon情報から抽出されるさらなる要因に依存し得る。そのため、例えばここでは、道路区間上の典型的な速度または最大許容速度、現在の視界、走行方向および/または対向方向の現在の交通密度などを考慮すること、ならびにそれに応じて道路上で停止することを決定することが可能である。道路上での停車は、例えば都市周辺環境では、しばしば問題にはならず、高速道路上よりも簡単であり、いずれにせよ走行を問題なく再び継続することができるのであれば、基本的には優先させることが可能である。
【0028】
以下では、図面を参照しながら本発明の態様について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】システムによって実行される本方法の一態様の例示的な簡略化されたフローチャート
図2】本方法の少なくとも一部の実行に適したシステムの第1の例示的なブロック図
図3】本方法の少なくとも一部の実行に適したシステムの第2の例示的なブロック図
図4】MRMに適した地表の第1の概略図
図5】所与の状況に限定される走行領域を伴う図4からのMRMに適した地表の第2の概略図
図6】MRMに適した地表の第3の概略図
図7a】第1の時点での一時的にMRMに適した地表の第4の概略図
図7b】第2の時点での図7aからの一時的にMRMに適した地表の概略図
【発明を実施するための形態】
【0030】
これらの図面の図中において、同一または類似の要素には同じ参照符号が付されている。
【0031】
図1は、システムによって実行される本方法の一態様の例示的な簡単化されたフローチャートを示す。このフローチャートは、機能モジュールの描写として解釈することもでき、その場合、各モジュールは、本方法の対応する部分を実行する。ステップまたはモジュール102では、直接的な道路区域外の地表の特性に対する情報を含むデータセットが受信される。ステップまたはモジュール104では、これらの情報に、道路を離脱後に走行可能である地表を識別するために分析が施される。ステップまたはモジュール106では、識別された地表の分類が、例えば所定の車両タイプのための適性に従って行われる。ステップまたはモジュール108では、識別された、および場合によっては分類された地表に対する記述が、デジタルロードマップに適した1つ以上のフォーマットで生成され、この記述は、ステップまたはモジュール110において呼び出し可能に提供される。
【0032】
図2は、本方法の少なくとも一部の実行に適したシステムの第1の例示的なブロック図を示す。マイクロプロセッサ202、RAM204、不揮発性メモリ206、インタフェース208、およびデータベース210は、1つ以上のバスシステム212を介して相互に通信可能に接続されている。不揮発性メモリ206は、コンピュータプログラム命令を含み、これらのコンピュータプログラム命令は、それらがメインメモリ204と共にマイクロプロセッサ202によって、場合によってはさらなるシステムコンポーネントへのアクセスのもとで実行される場合、本発明による方法の1つ以上の態様の少なくとも一部を実行する。
【0033】
図3は、本方法の少なくとも一部の実行に適したシステムの第2の例示的なブロック図を示す。この例示的に示されているシステムは、車両内に配置されてもよく、直接的な道路区域外に存在する地表を検出するセンサを装備していてもよい。この場合、全体のシステムによって実行される分析の少なくとも一部は、車両内に配置されたデータ処理ユニットによって実行される。この例示的に示されているシステムは、自律的なまたは高度に自動化された運転に必要な機能、例えばアクチュエータの駆動制御も提供することができる。この目的のために、図3に示されているシステムは、1つ以上のバスシステム312を介してRAM304および不揮発性メモリ306に相互に通信可能に接続されているマイクロプロセッサ302を含む。さらに、インタフェース308、センサ318およびアクチュエータ316は、1つ以上のバスシステム312を介してシステムの他のコンポーネントに通信可能に接続されている。ナビゲーションシステム314が、車両の地理的位置を決定するために設けられていてもよく、同様に、1つ以上のバスシステム312を介してシステムの他のコンポーネントに通信可能に接続されていてもよい。不揮発性メモリ306は、コンピュータプログラム命令を含み、これらのコンピュータプログラム命令は、それらがメインメモリ304と共にマイクロプロセッサ302によって、場合によってはさらなるシステムコンポーネントへのアクセスのもとで実行される場合、本発明による方法の1つ以上の態様の少なくとも一部を実行する。
【0034】
図4は、MRMに適した地表402の第1の概略図を示す。地表402は、2つの車道406および408を有している道路404の直接的な道路区域外に存在する。この道路は、さらに、側方境界線410および破線のセンターライン412を有する。道路404に隣接して存在する地表402は、溝414によって道路404から分離されており、この溝414は、例えばその幅、深さまたは輪郭経過に起因して車両によって走行することができない。溝414は、領域416において埋められている。この種の埋められた部分は、例えば農業的に使用されている地表では周知のものであり、それらは道路からの入車のために設けられている。地表402は、1つ以上の車両によって検出され、本発明によるシステムでの分析の後に、MRMに適したものとして格付けされている。検出の際には、溝を埋める領域414の始端および終端も検出されていた。この検出は、例えば、領域414内で破断されている側方境界線410の対応する識別によって、またはこの領域をマッピングする画像内容の分析によって行われている。地表402ならびに埋められた部分の始端および終端の地理的位置は、デジタルロードマップ用のデータ内に相応に含まれており、そのため、間近なMRM用として事前に分かっている。
【0035】
図5は、所与の状況に制限された走行領域を伴う、図4からのMRMに適した地表の第2の概略図を示す。この描写は、図4の描写に対応している。さらにここでは、図には示されていない車両が、所定の速度で道路を下方から到来して矢印方向に走行するものと想定されたい。破線502および504は、MRMが必要になる場合に車両によって危険なく使用できるであろう、車両タイプおよび車両の現在の速度に適した走行路を表している。
【0036】
図6は、MRMに適した地表602の第3の概略図を示す。この地表602は、それぞれが2つの車線を有する構造的に分離された2つの車道606,608を有する道路604に置かれた緊急停止帯である。構造的分離帯610のために、矢印方向に走行する車両(図示せず)の、対向車線の領域への回避操作は行うことができない。このことは、対面交通がない状況においては、危険なく可能であろう。緊急停止帯602の地理的位置、特に始点と長さLは、デジタルロードマップ用のデータに含まれており、これによって、間近なMRMについて事前に知ることができる。道路604が、例えば、道路工事に起因して4つの車線が路肩の使用も含めて狭い空間にまとめられていたために、一時的にのみ路肩を有していない場合には、本システムはMRMに適した地表602の即座の検出および分類を可能にし、デジタルロードマップ用の情報の対応する更新を可能にする。
【0037】
図7は、第1の時点での一時的にMRMに適した地表の第4の概略図を示す。図は、各方向のためのそれぞれの車道を有する2車線道路704を示す。各車道の他に、図7aでは駐車車両710によって大半が占有されている一連の駐車スペースを有する駐車帯706,708がそれぞれ配置されている。さらに、自動車の混雑した交通が支配的であり、これは道路704上の複数の車両712によって表されている。図7aに示されている状況は、例えば都市部では、店舗または官庁の通常の営業または受付時間に発生する可能性があろう。この場合は、駐車スペースが短時間内に空きになり、再び新たに占有される。それ故、MRMに対して、長期間にわたって有効である地表として一義的に決定することはできない。図7bは、同じ道路704を、別の時点の、例えば週末または休日のケースで示しており、このときは店舗も官庁も開いていない。僅かな駐車スペースのみが駐車車両710によって占有されており、混雑した交通も支配的ではなく、これは唯一の車両712によって表されている。駐車スペースの占有は、短い期間内では変化しない確率が高く、そのため、関連して空いている駐車帯706,708上の駐車スペースは、MRMに適した対応する確率を有するものとして格付けすることができる。所与の昼間帯および所与の週日または休日に対応する確率値は、デジタルロードマップ用の情報に含まれていてもよいし、または即座に更新可能であってよく、そのため、例えば、図に示されている道路区間に近づく自律的な運転車両は、近くに存在する、MRMに適している可能性のある地表に関する情報を事前に利用可能である。
【0038】
上述のシステムまたは方法は、eHorizonシステムを装備した車両または自律的なもしくは高度に自動化された運転車両に、最小のリスク操作に適した地表に関する現在の情報を提供することを可能にする。この場合、これらの情報に基づくデータセットは、複数の車両によって繰り返し新たに検出され、そのため利用可能性が繰り返し新たに検証され、新たに適した地表が追加され、またはもはや利用できない地表が削除される。これによって、走行中のあらゆる時点で、最小のリスク操作の場合に、車両を安全な場所で停止させることができるまでに、最大限進むべき区間がどれくらいなのかが分かる。この区間が過度に長い場合には、車両に関する制御を運転者に戻すことができ、次いで、運転者は、状況に応じて決定することができる。適切な緊急時の地表の地理的位置が既に事前に分かっていることにより、適切な回避面を求めるためにリアルタイムに必要とされる情報を供給する1つ以上のセンサが故障した場合でも、適切な回避面を確実に決定または選択することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a)】
図7b)】