【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マップ情報を生成するシステムに関する。このシステムは、マップ情報を生成する相応の方法を実行し、データ担体に記憶され得るコンピュータプログラムを含むことができる。本発明は、さらに、そのようなシステムを有する車両に関する。
【0007】
このシステムは、デジタルロードマップの1つ以上の道路区間に関するデータセットを受信する手段を備え、データセットは、直接的な道路区域外の地表の特性を記述する。この手段は、送信機および/または受信機を有する1つ以上のデジタルデータインタフェースを有することができ、これらの送信機および/または受信機は、1つ以上の電気通信規格に対して互換性を有するように形成され、システムの他のコンポーネントに通信可能に接続されている。このシステムはさらに、第1のデータ処理ユニットを備え、この第1のデータ処理ユニットは、1つ以上のデジタルインタフェースに通信可能に接続されており、受信したデータセットを分析し、そこからデジタルロードマップ用のマップ情報を生成する。このマップ情報は、直接的な道路区域外の地表を表している。データ処理ユニットは、マップ情報を生成する方法を実行する対応するコンピュータプログラムを実行する1つ以上のコンピュータを含むことができる。
【0008】
システムは、機能モジュールアーキテクチャの意味で、1つ以上の機能ブロックから形成されているものとして解釈することも可能である。この場合、各機能ブロックは、対応する機能を実行するための手段を表す。これらの手段は、対応する機能を実行するためのコンピュータプログラムによって構成された1つ以上のコンピュータまたはデータ処理ユニットによって実現されてもよい。1つ以上のコンピュータまたは処理ユニットは、1つ以上のマイクロプロセッサを含むことができ、これらのマイクロプロセッサは、コンピュータプログラム命令の実行前および/または実行中にデータを受信および/または送信する、メインメモリおよび/または不揮発性記憶手段ならびに他のシステムコンポーネントに、1つ以上のデータバスを介して通信可能に接続されている。これにより、コンピュータまたは処理ユニットは、この方法の少なくとも一部を実行する。不揮発性記憶手段は、様々な記憶媒体、例えば光学的または磁気的メモリ、相変化メモリまたはフラッシュメモリを含む。複数のモジュールまたは機能ブロックは、コンピュータまたはデータ処理ユニットで実現されてもよい。
【0009】
システムの少なくとも一部は、自動車の制御機器内に配置されてもよい。制御機器は、1つ以上のデータバスを介して記憶手段に通信可能に接続されたマイクロプロセッサを備えることができる。マイクロプロセッサは、記憶手段に記憶されたコンピュータプログラム命令を実行し、1つまたは複数のデータバスを介してデータを送信および/または受信するように構成されている。記憶手段は、メインメモリと不揮発性メモリとを含むことができる。不揮発性メモリは、例えば、光学的メモリ、磁気的メモリ、相変化メモリまたはフラッシュメモリを含む。1つ以上のデータバスは、制御命令および/またはデータを、様々な制御機器、センサおよび/またはアクチュエータに一方向または双方向に伝送するように構成されてもよい。この目的のために必要な方法は、マイクロプロセッサによってコンピュータプログラム命令の実行の際に実現されてもよい。
【0010】
コンピュータプログラム命令は、無線で接続されるかまたはケーブルもしくは線路を用いて接続されるインタフェースを使用して、記憶手段に伝送することができる。コンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体上に恒久的に記憶され、担体媒体上に記憶されたコンピュータプログラムとして解釈することができるコンピュータプログラム製品として、システム外部に存在する。
【0011】
コンピュータプログラム製品は、非恒久的で一時的な形態で、例えばその変調によってコンピュータプログラム命令を一時的に表す電磁的または光学的信号として存在することも可能である。したがって、この変調により、例えばコンピュータプログラム命令がデータ担体からシステムに伝送されている間に、信号にはコンピュータプログラム命令が一時的に読み取り可能に付与される。このケースでは、例えば変調された担体によって表される信号は、そこから取り出すかまたは取り上げることが可能であるコンピュータプログラム製品の具体的な具体例を示す。
【0012】
システムにおいて実行され、場合によっては対応するコンピュータプログラムによって実現される、デジタルロードマップの1つ以上の道路区間用のマップ情報を生成する方法によれば、第1のデータ処理ユニットに、1つ以上の事前に受信された、1つ以上の道路区間用のデータセットが供給され、これらのデータセットは、各道路区間の直接的な道路区域外の地表の特性を記述する。
【0013】
この説明の文脈においては、直接的な道路区域として、非定常的な交通の中で車両によりそれぞれの有効な交通規則の枠内で走行可能な道路もしく交通経路の地表が挙げられ、つまり特に道路の車線、交差領域などである。直接的な道路区域を記述するデータには、道路区域の表面を越えて延びる延長線上の情報、つまり、高さ制限に関する情報、または道路区域内に存在する物体の高さに関する情報も含まれ得る。同じことは、直接的な道路区域外の地表を記述するデータにも当て嵌まる。
【0014】
データセットは、道路を走行する車両のカメラまたは他の適切な装置を用いて撮影された道路区域の画像と、特に直接的な道路区域外の地表の画像とを含むことができる。他の適切な装置には、例えばレーダー、ライダーまたは超音波システムが含まれ、それらの信号からは、対応するコンピュータシステム上で実行されるソフトウェアを用いて画像が合成される。画像という用語は、ここでは専ら具体的な意味で使用されるのではなく、それぞれの装置によって走査された周辺環境の他の適切な描写、例えば、視差マップ、ライダーまたはレーダーピークリストだけでなく、既に部分的に処理または分析された画像などを含む。部分的に処理または分析された画像は、例えば、物体の縁部または道路標示に対応するベクトル情報が追加された画像である。次いで、処理または分析のレベルに応じて、基礎となる画像を、例えば、より強く圧縮して、またはより低い解像度で、共に伝送することができる。車両内でさらなる分析が既に行われている場合には、地表の抽象的な表示、例えば地表を表すトラバースかまたは対応するグリッドパターンを第1のデータ処理ユニットに送信すれば十分であり得る。車両内の処理のレベルは、この場合、例えば自律的なまたは高度に自動化された運転のために、画像が車両内で直接評価される程度に依存し得る。
【0015】
データセットは、対応する道路区間を走行中の複数の車両によって生成される。これらのデータセットは、この場合、直接的な道路区域外の地表の上方の空間、特にフリーの空き高に関する情報も含むことができる。さらに、車両内で少なくとも部分的な分析が既に行われている場合には、データセットは、それらに基づいて地表を分類することができる情報を含むことができる。
【0016】
分類は、例えば異なるタイプの車両による走行に対する地表の適正に従って行うことができる。車両のタイプは、例えば、乗用車、トラック、いわゆるスポーツユーティリティビークル(SUV)などを含む。しかしながら、型付けは、最低地上高、車両の高さ、車両の幅または長さ、最小回転半径、車両重量、駆動軸および/または非駆動軸の数、連結車の存在などに基づいて行うことができる。適性は、例えば、表面の状態に依存することができる。そのため、タールされた滑らかな地表は、多くの車両タイプにとって走行できる確率が高く、それに対して、砂利や砂で覆われた地表は、低い耐荷重能力を有している確率が高く、それ故、重い車両に適さない可能性がある。他の表面、例えば、草地や所定の舗装タイプなどは、付加的に天候に依存した適性を有し得る。それにより、例えば草地の表面は、雨の中では滑りやすく、乾燥した天候のときよりも柔らかい可能性がある。地表の平面度も分類に使用できる。凹凸の激しい地表は、より高い最低地上高を有する車両にとっては依然として走行できるが、それに対して、より低い最低地上高を有する車両によっては凹凸の激しい地表はもはや走行することができない。分類は、積み荷のタイプに基づいて行うこともできる。それにより、安全な場所に到達するために車道の離脱を表示することは、水資源保護区域内では、水を汚染する積み荷を有する車両に対してなされるべきではないが、それに対して、別の積み荷を有する車両または積み荷を持たない車両はこの場所において制限されることはない。これらの分類および類似の分類は、例えば、地表の近傍に設置された対応する交通標識の識別によって行うことができる。
【0017】
分類は、最小のリスク操作を実行する必要のある車両に、異なる適性または異なる分類の多数の利用可能な地表の中から、現在の状況に最も適した地表を選択させることを可能にする目的のために用いることができる。それにより、舗装されていない地表よりも、舗装されている地表の優先順位付けを行うことができるが、舗装されていない地表においても、例えば砂地よりも砂利、草地よりも砂地を優先させるなどの格付けを行うことができる。他方、状況の危険度に応じて、より遠くに存在するアスファルト面よりも、より近くに存在する草地面を優先させることができる。
【0018】
受信されたデータセットは、例えばそこに車両を停止させるべく、道路を離脱後の車両による走行が可能である、直接的な道路区域外の地表を識別するために、第1のデータ処理ユニットにおいて評価される。この場合、個々の地表に対し、データセットに含まれる、分類に適した情報が相応に考慮され得る。しかしながら、分類は、最初に第1のデータ処理ユニットにおける評価によって行うことも可能であり、例えば、画像分析方法によって、および表面を表す画像内容と、所定の表面に対して特徴的である基準パターンまたは基準テクスチャとの比較によって、行うことも可能である。ステレオカメラ、レーダーまたはライダーを用いて撮影された画像は、表面の高さ輪郭の経過またはうねりを求めるために使用することができる。順次連続する画像間で撮影場所にずれが存在し、その際、少なくとも一部の画像領域が重なっている場合には、単眼カメラを同様に使用することができる。ライダーまたはレーダーセンサを用いて検出された地表は、草や他の柔らかい植物の植生が存在するにもかかわらず適していると格付けすることが可能である。評価の結果として、地表の地理的位置、その大きさ、その表面状態などに関する情報が利用可能となり、これらの情報は、デジタルロードマップに適切なフォーマットで付加することができる。これらの情報は、デジタルロードマップ、ナビゲーションシステム、ADASシステムおよび/またはeHorizonシステムに適した1つ以上のフォーマットで呼び出し可能に提供される。簡単化のために、この明細書では、様々なシステムの様々なフォーマットに対する代行として、デジタルロードマップという用語が使用される。呼び出し可能な提供とは、ここでは、データを使用するシステムの対応する問い合わせに応じた伝送(プル伝送)の他に、先行する特定の問い合わせなしで第1のデータ処理ユニットによってトリガされる情報の伝送(プッシュデータ伝送)も含む。
【0019】
基本的には、潜在的な緊急時の地表の識別を、完全に車両内で、または専ら第1のデータ処理ユニット内で実施することが可能である。この2つの組み合わせも同様に可能である。その場合には、車両または第1のデータ処理ユニットにおいて、同一車両の時間的に順次連続する個々の測定または個々の検出のシーケンスに基づく方法を使用することができる。その上さらに、第1のデータ処理ユニットにおける評価の際には、複数の様々な車両の時間的に一致するかまたは別々に存在する測定または検出を考慮することも可能である。
【0020】
デジタルロードマップに適した各フォーマットに応じて、直接的な道路区域外の地表は、類似の方法で車線のように表示することができるが、これらの地表は、例えばトラバース、スプライン、ラスタグリッドなどの囲み曲線によって表示することもできる。
【0021】
本方法の1つの態様によれば、それぞれの地表に対して、その速度および/または軌道の範囲においてまたはその速度および/または軌道の範囲を維持して地表の走行が可能になる、速度および/または軌道の範囲が求められる。対応する情報は、デジタルロードマップまたはeHorizonデータに追加される。この態様は、例えば、最寄りの地表の走行のための最大速度が、現在の速度および地理的位置を出発点として、もはや安全に制動操作によって達成できない場合、または、地表の走行のための軌道範囲が、車両にとって維持できない曲率半径を必要とする場合に、車両に適した地表の選択に影響を与えることができる。そのようなケースでは、最寄りの選択されなかった地表よりもさらに遠方に存在する、場合によっては車両タイプにあまり適していない表面も有する地表が選択され得る。
【0022】
本方法の一態様によれば、道路区間毎に複数のデータセットが受信され、これらのデータセットは異なる時点で生成されていたものである。各データセットは、対応する情報、例えば週日、時刻、日付などを含む。この情報は、直接的な道路区域外の地表が所与の時点で最小のリスク操作のために利用可能である確率を決定する目的のために使用できる。
【0023】
この態様は、ここでは、例えば、道路の車道に隣接して平行に延在するパーキングエリアの所定の時点での利用可能性の評価を可能にする。1つの道路区間に関する、異なる昼間帯または週日に対するより長い期間にわたる複数のデータセットの評価は、例えば、所定の週日における所定の昼間帯の駐車帯が通常は空いていないことを明らかにすることができ、それに対して、他の昼間帯や他の日、例えば休日の駐車帯は占有されていないかまたは僅かしか占有されていないことを明らかにすることができる。日付データと、祝日との結合、または昼間帯と、この道路区間に置かれている店舗もしく官庁の営業または受付時間との結合は、この場合、対応するデータベースの問い合わせによって行うことができる。
【0024】
しかしながら、この態様は、直接的な道路区域外に存在する地表を、それが一回の検出によって確実に行うことができない場合に、適切なものとして分類することも可能である。例えば、より長い草または穀物を有する地表の密な植生は、地表が適していないものとして格付けされることにつながる可能性がある。しかしながら、1年を通して繰り返される検出により、同じ地表が、例えば合間に行われた刈り取りのために、植生が全くないかまたは僅かしかない時点で改めて検出可能となり、さらにこの地表の本来の表面が分類のために識別可能である。したがって、緊急時の地表の走行を妨げない、季節に依存する植生を、分類の際に考慮することができる。もちろん、直接的な道路区域外に存在する複数の地表が間近な最小のリスク操作のために選択可能である場合には、これらも優先順位付けの際に考慮することができる。それにより、例えば、近傍の適した他の地表に到達可能でかつそれが同等に良好に適する場合に、農業的に使用されている地表の作物被害を回避することが可能である。直接的な道路区域外に存在する地表に対して異なる季節毎に収集されるデータセットが多ければ多いほど、そして場合によりそれが数年を越えることがあっても、所定の時点での地表の適性をより良好に求めることができる。
【0025】
デジタルロードマップに適したフォーマットで存在する、直接的な道路区域外の地表に関する情報は、第1のデータ処理ユニットから自律的なまたは高度に自動化された運転車両に伝送される。この伝送は、移動無線ネットワーク、WLANネットワーク、車車間ネットワークまたは路車間ネットワークなどを介して行うことができる。
【0026】
システムによって実行される方法の一態様によれば、第1のデータ処理ユニットにおいて識別された表面は、それらが自律的なまたは高度に自動化された運転車両への伝送を許可される前に、例えば場所の検査によって、または空中写真または衛星写真との比較によって手動で検証される。
【0027】
自律的なまたは高度に自動化された運転車両は、システムへの問い合わせに応答するかまたはシステムによってトリガされるプッシュ更新の流れの中で、現在の時点での地理的位置周りの所定の半径内の1つ以上の第1の地表に関する情報を受信する。車両に配置されたナビゲーション装置、eHorizonまたは他の適切な運転者支援システムにより、間近な最小のリスク操作のための、直接的な道路区域外の地表に関する現在利用可能な情報を分析することができる。具体的な表面の選択は、さらに、車両にまたは車両内に局所的に配置されたセンサによって検出されるかまたはデジタルロードマップ情報またはeHorizon情報から抽出されるさらなる要因に依存し得る。そのため、例えばここでは、道路区間上の典型的な速度または最大許容速度、現在の視界、走行方向および/または対向方向の現在の交通密度などを考慮すること、ならびにそれに応じて道路上で停止することを決定することが可能である。道路上での停車は、例えば都市周辺環境では、しばしば問題にはならず、高速道路上よりも簡単であり、いずれにせよ走行を問題なく再び継続することができるのであれば、基本的には優先させることが可能である。
【0028】
以下では、図面を参照しながら本発明の態様について説明する。