特許第6785959号(P6785959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

特許6785959機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法
<>
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000002
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000003
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000004
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000005
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000006
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000007
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000008
  • 特許6785959-機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785959
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20201109BHJP
【FI】
   H04Q9/00 301D
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-521528(P2019-521528)
(86)(22)【出願日】2017年5月29日
(86)【国際出願番号】JP2017019841
(87)【国際公開番号】WO2018220662
(87)【国際公開日】20181206
【審査請求日】2019年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】花井 諭司
(72)【発明者】
【氏名】中野 聡
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄喜
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−173995(JP,A)
【文献】 特開2014−003364(JP,A)
【文献】 特開2009−289476(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/115444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器制御装置が通信可能に接続されており、当該複数の機器制御装置のそれぞれの配下に1台以上の機器が接続された機器制御システムにおける機器制御装置であって、
前記機器についての情報であり、前記機器制御装置に接続された台数、及び、接続された前記機器制御装置との通信頻度を含むシステム情報を、配下の前記機器との通信を通じて収集すると共に、他の機器制御装置からも前記システム情報を収集する収集手段と、
前記収集手段が収集した前記システム情報に含まれる前記台数及び前記通信頻度のうち少なくとも何れかを用いた評価式による評価値に基づいて、前記他の機器制御装置を含めた全機器制御装置の中から、親局とすべき機器制御装置を選出する選出手段と、
前記収集手段が収集した前記システム情報に基づいて、親局の必要数を算定する算定手段とを備え、
前記選出手段は、前記算定手段が算定した前記必要数だけ、親局とすべき機器制御装置を選出する、
機器制御装置。
【請求項2】
前記収集手段が収集した前記システム情報に基づいて、前記全機器制御装置のそれぞれについて、親局としての適正を評価する評価手段を更に備え、
前記選出手段は、前記評価手段の評価結果に基づいて、親局とすべき機器制御装置を選出する、
請求項1に記載の機器制御装置。
【請求項3】
前記選出手段により選定されなかった残余の機器制御装置を、前記選出手段が親局として選定した機器制御装置に管理される子局として割り付ける割付手段を更に備え、
前記子局として割り付けられた機器制御装置の配下に接続された前記機器を、前記親局として選定された機器制御装置から制御可能である、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【請求項4】
発光素子を更に備え、
前記選出手段により親局として選出された機器制御装置が前記発光素子を発光させる、
請求項1から3の何れか1項に記載の機器制御装置。
【請求項5】
前記収集手段が収集した前記システム情報、及び、前記評価手段による評価結果のうち少なくとも何れかをユーザに提示すると共に、ユーザによる機器制御装置の選択を受け付ける入出力手段を更に備え、
前記選出手段は、前記入出力手段においてユーザに選択された機器制御装置を優先して、親局とすべき機器制御装置を選出する、
請求項2に記載の機器制御装置。
【請求項6】
複数の機器制御装置が通信可能に接続されており、当該複数の機器制御装置のそれぞれの配下に1台以上の機器が接続された機器制御システムであって、
前記機器制御装置は、
前記機器についての情報であり、前記機器制御装置に接続された台数、及び、接続された前記機器制御装置との通信頻度を含むシステム情報を、配下の前記機器との通信を通じて収集すると共に、他の機器制御装置からも前記システム情報を収集する収集手段と、
前記収集手段が収集した前記システム情報に含まれる前記台数及び前記通信頻度のうち少なくとも何れかを用いた評価式による評価値に基づいて、前記複数の機器制御装置の中から、親局とすべき機器制御装置を選出する選出手段と、
前記収集手段が収集した前記システム情報に基づいて、親局の必要数を算定する算定手段とを備え、
前記選出手段は、前記算定手段が算定した前記必要数だけ、親局とすべき機器制御装置を選出する、
機器制御システム。
【請求項7】
複数の機器制御装置が通信可能に接続されており、当該複数の機器制御装置のそれぞれの配下に1台以上の機器が接続された機器制御システムにおける親局選出方法であって、
前記機器制御装置が行う、前記機器についての情報であり、前記機器制御装置に接続された台数、及び、接続された前記機器制御装置との通信頻度を含むシステム情報を、配下の前記機器との通信を通じて収集すると共に、他の機器制御装置からも前記システム情報を収集する収集ステップと、
前記機器制御装置が行う、前記収集ステップにて収集した前記システム情報に含まれる前記台数及び前記通信頻度のうち少なくとも何れかを用いた評価式による評価値に基づいて、前記複数の機器制御装置の中から、親局とすべき機器制御装置を選出する選出ステップと、
前記機器制御装置が行う、前記収集ステップにて収集した前記システム情報に基づいて、親局の必要数を算定する算定ステップとを備え、
前記選出ステップでは、前記算定ステップにて算定した前記必要数だけ、親局とすべき機器制御装置を選出する、
親局選出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の制御装置の中から親局と子局とを選出することで、集中制御を実現する各種システムが提案されている。例えば、特許文献1には、複数の制御装置(コントローラ)の中から親局と子局とを自動で振り分ける遠隔監視制御システムの発明が開示されている。この発明では、制御装置の起動順や固有の識別子に基づいて、各制御装置を親局と子局とに振り分けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−173995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1の発明では、制御装置の起動順や固有の識別子に基づいて、親局(代表の制御装置)が選定されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明では、システム構成が何ら考慮されていないため、処理負荷の高い制御装置を親局に選定してしまうおそれがあった。つまり、処理負荷の高い制御装置が最初に起動した場合や、処理負荷の高い制御装置の識別子や型番を誤って設定(親局に選定されるように設定)してしまった場合などである。なお、当初処理負荷の低い制御装置を設定していたとしても、システム構成が変更されるに伴って、処理負荷の高い制御装置へと変遷してしまう場合もある。
【0006】
このように、処理負荷の高い制御装置が親局に選定されてしまうと、レスポンスが遅れたり、入力を取りこぼすなど、親局としての機能が十分に果たせなくなる。また、処理負荷が高いと、通常の処理負荷の制御装置に比べ、電子素子の劣化が進むことが予想される。そして、電子素子の劣化に伴い、故障の頻度も高くなるため、親局が一時的に不在となることも懸念される。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、親局を適切に選定することのできる機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る機器制御装置は、
複数の機器制御装置が通信可能に接続されており、当該複数の機器制御装置のそれぞれの配下に1台以上の機器が接続された機器制御システムにおける機器制御装置であって、
前記機器についての情報であり、前記機器制御装置に接続された台数、及び、接続された前記機器制御装置との通信頻度を含むシステム情報を、配下の前記機器との通信を通じて収集すると共に、他の機器制御装置からも前記システム情報を収集する収集手段と、
前記収集手段が収集した前記システム情報に含まれる前記台数及び前記通信頻度のうち少なくとも何れかを用いた評価式による評価値に基づいて、前記他の機器制御装置を含めた全機器制御装置の中から、親局とすべき機器制御装置を選出する選出手段と、
前記収集手段が収集した前記システム情報に基づいて、親局の必要数を算定する算定手段とを備え、
前記選出手段は、前記算定手段が算定した前記必要数だけ、親局とすべき機器制御装置を選出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る機器制御装置では、機器についての台数、通信頻度、処理負荷、及び、エラー履歴のうち少なくとも何れかを含むシステム情報を、他の機器制御装置からも含めて収集し、このシステム情報に基づいて、全機器制御装置の中から、親局とすべき機器制御装置を選出する。この結果、親局を適切に選定することができる。これに伴い、親局の故障頻度を低減でき、システムの可用性を向上させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る機器制御システムの全体構成の一例を示す模式図
図2】実施形態1に係る機器制御装置の構成の一例を示すブロック図
図3】実施形態1に係る親局選出処理を説明するためのフローチャート
図4】本発明の実施形態2に係る機器制御システムの全体構成の一例を示す模式図
図5】実施形態2に係る機器制御装置の構成の一例を示すブロック図
図6】実施形態2に係る親局選出処理を説明するためのフローチャート
図7】他の実施形態に係る機器制御装置の構成の一例を示すブロック図
図8】他の実施形態に係る入出力画面の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。以下では、機器制御システムの具体例として、照明機器(負荷となる装置)を制御する場合について説明するが、後述するように、他の機器を制御する場合においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る機器制御システム1の全体構成の一例を示す模式図である。この機器制御システム1は、例えば、ビル内に設置された照明機器を制御する照明制御システムである。機器制御システム1は、機器制御装置10と、1台以上の負荷装置20と、1台以上の入力装置30とが通信路L1を介して通信可能に接続されたユニット(1ユニット)が、2ユニット以上含まれている。そして、各ユニットの機器制御装置10は、通信路L2を介して相互通信可能に接続されている。なお、通信路L1,L2は、有線の通信路であっても無線の通信路であってもよい。例えば、Ethernet(登録商標)やPLC(Power Line Communication)を通信路L1,L2に利用可能である。
【0013】
機器制御装置10は、配下に接続された機器(負荷装置20及び入力装置30)を、通信路L1を介して制御する。なお、機器制御装置10の詳細については、後述する。
【0014】
負荷装置20は、通信路L1を介して機器制御装置10に制御される電気機器である。負荷装置20は、機器制御装置10からの指令に応じて、運転状態を変更可能となっている。例えば、LEDや蛍光灯などの照明装置が負荷装置20に利用可能である。
【0015】
入力装置30は、通信路L1を介し機器制御装置10に対して、入力信号を送信する。例えば、人感センサや照度センサ等のセンサ、並びに、照明操作用のスイッチが入力装置30に利用可能である。更に、システム外部からの入力インターフェースも入力装置30に利用可能である。
【0016】
以下、機器制御装置10の詳細を、図2を参照して説明する。図示するように、機器制御装置10は、収集手段としてのシステム情報収集部11と、評価手段としての親局適正評価部12と、選出手段としての親局選出部13と、を備える。これらシステム情報収集部11、親局適正評価部12、及び、親局選出部13は、一例として、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)を備えたマイコンにより実現される。つまり、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されている各種プログラムを適宜実行することにより、システム情報収集部11〜親局選出部13の機能が実現される。
【0017】
システム情報収集部11は、各ユニットのシステム情報を収集する。システム情報には、例えば、負荷装置20及び入力装置30についての台数、通信頻度、処理負荷、及び、エラー履歴のうち少なくとも何れかの情報が含まれている。また、システム情報には、機器制御装置10の識別情報も含まれており、どのユニットの情報であるのかも識別可能となっている。
【0018】
例えば、システム情報収集部11は、自ユニットのシステム情報を、通信路L1を介して負荷装置20及び入力装置30と通信することにより収集する。その際、システム情報収集部11は、負荷装置20及び入力装置30の種類、台数、及び、個体についての情報、運用期間についての情報、並びに、ユーザが設定したステータス情報のうち少なくとも何れかを含むシステム情報を収集する。また、システム情報収集部11は、他ユニットのシステム情報を、通信路L2を介して他の機器制御装置10から収集する。
【0019】
親局適正評価部12は、システム情報収集部11が収集した各ユニットのシステム情報を基に、各機器制御装置10について、親局としての適性を評価する。例えば、親局適正評価部12は、予め定められた評価式に基づき、各機器制御装置10について、親局としての適性を評価する。ここで、評価式とは、例えば、ユニット内における機器(負荷装置20及び入力装置30)と機器制御装置10との通信トラフィック、及び、接続台数を用いた一次式である。この評価式による各機器制御装置10の評価値(評価結果)は、親局適正評価値として、全ての機器制御装置10間で共有される。
【0020】
なお、評価式は、このような一次式に限られず、他の関数式であってもよい。更に、機器制御装置10が有する識別子と評価値とが対応付けられたテーブルを用いて、親局適正評価値を取得するようにしてもよい。
【0021】
親局選出部13は、親局適正評価部12による評価結果を用いて、機器制御システム1内における全ての機器制御装置10の中から親局とすべき機器制御装置10を選出する。例えば、親局選出部13は、各親局適正評価値を比較し、その値が最も小さい機器制御装置10を選出する。このようにして親局に選出された機器制御装置10の識別情報は、全ての機器制御装置10間で共有される。
【0022】
このようにして、親局となる機器制御装置10が選出されると、その機器制御装置10が上位の機器制御装置10(代表コントローラ)となって、残余の機器制御装置10を取りまとめる。つまり、残余の機器制御装置10が下位の機器制御装置10(一般コントローラ)となり、上位の機器制御装置10による下位の機器制御装置10を通じた全ての負荷装置20及び入力装置30を集中管理することが可能となる。
【0023】
これにより、上位の機器制御装置10から下位の機器制御装置10に接続された負荷装置20及び入力装置30を、ユニットを跨いで制御することができる。
【0024】
以下、このような構成の機器制御装置10の動作について、図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態1に係る親局選出処理の一例を示すフローチャートである。この親局選出処理は、例えば、機器制御システム1への電源投入時に開始される。
【0025】
まず、機器制御装置10は、システム情報を収集する(ステップS101)。すなわち、システム情報収集部11は、各ユニットのシステム情報(例えば、負荷装置20及び入力装置30についての台数、通信頻度、処理負荷、及び、エラー履歴のうち少なくとも何れかが含まれている情報)を収集する。例えば、システム情報収集部11は、自ユニットのシステム情報を、通信路L1を介して負荷装置20及び入力装置30と通信することにより収集する。また、システム情報収集部11は、他ユニットのシステム情報を、通信路L2を介して他の機器制御装置10から収集する。
【0026】
機器制御装置10は、全体評価値を算出する(ステップS102)。例えば、機器制御装置10は、各ユニットのシステム情報を統合して分析し、親局が必要かどうかを判断するための全体評価値を算出する。
【0027】
機器制御装置10は、親局選出の要否を判定する(ステップS103)。例えば、機器制御装置10は、ステップS102にて算出した全体評価値と閾値とを比較し、親局選出の要否を判定する。具体的に、全体評価値が閾値を下回ると、機器制御装置10は、親局の選出が必要であると判定する。
【0028】
機器制御装置10は、判定結果から親局の選出が必要であるか否かを判別する(ステップS104)。機器制御装置10は、親局の選出が必要でないと判別すると(ステップS104;No)、そのまま、親局選出処理を終了する。
【0029】
一方、親局の選出が必要であると判別した場合(ステップS104;Yes)に、機器制御装置10は、親局を選出する(ステップS105)。すなわち、親局選出部13は、親局適正評価部12による評価結果を用いて、全ての機器制御装置10の中から親局とすべき機器制御装置10を選出する。例えば、親局選出部13は、各親局適正評価値を比較し、その値が最も小さい機器制御装置10を選出する。
【0030】
このような親局選出処理により、機器(負荷装置20及び入力装置30)についての台数、通信頻度、処理負荷、及び、エラー履歴のうち少なくとも何れかを含むシステム情報を、他ユニットの機器制御装置10からも含めて収集し、このシステム情報に基づいて、全での機器制御装置10の中から、親局とすべき機器制御装置10を選出する。この結果、システム構成に則した親局を適切に選定することができる。これに伴い、負荷の低い機器制御装置10や管理台数の少ない機器制御装置10が親局となるため、親局の故障頻度を低減でき、システムの可用性を向上させることも可能となる。
【0031】
また、親局となる機器制御装置10が選出されると、その機器制御装置10が上位の機器制御装置10となって、残余の機器制御装置10を取りまとめる。つまり、残余の機器制御装置10が下位の機器制御装置10となり、上位の機器制御装置10による下位の機器制御装置10を通じた全ての負荷装置20及び入力装置30を集中管理することが可能となる。
【0032】
これにより、上位の機器制御装置10から下位の機器制御装置10に接続された負荷装置20及び入力装置30を、ユニットを跨いで制御することができる。
【0033】
上記の実施形態1では、親局として1台の機器制御装置10を選定する場合について説明したが、システム構成に応じて、複数台の機器制御装置10を選定してもよい。以下、本発明の実施形態2に係る機器制御システム2について、説明する。
【0034】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る機器制御システム2の全体構成の一例を示す模式図である。この機器制御システム2も、例えば、上記と同様なビル照明制御システムである。機器制御システム2は、機器制御装置40と、1台以上の負荷装置20と、1台以上の入力装置30とが通信路L1を介して通信可能に接続されたユニット(1ユニット)が、3ユニット以上含まれている。そして、各ユニットの機器制御装置40は、通信路L2を介して相互通信可能に接続されている。なお、負荷装置20及び入力装置30は、図1の機器制御システム1と同様である。また、通信路L1,L2も同様に、有線の通信路であっても無線の通信路であってもよい。
【0035】
以下、機器制御装置40の詳細を、図5を参照して説明する。図示するように、機器制御装置40は、収集手段としてのシステム情報収集部11と、評価手段としての親局適正評価部12と、選出手段としての親局選出部13と、算定手段としての必要親局数算定部41と、割付手段としての子局割付部42と、を備える。なお、システム情報収集部11〜親局選出部13は、上述した図2と同様である。
【0036】
これらシステム情報収集部11、親局適正評価部12、親局選出部13、必要親局数算定部41、及び、子局割付部42は、一例として、CPU、ROM、及び、RAMを備えたマイコンにより実現される。つまり、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されている各種プログラムを適宜実行することにより、システム情報収集部11、親局適正評価部12、親局選出部13、必要親局数算定部41、及び、子局割付部42の機能が実現される。
【0037】
必要親局数算定部41は、システム情報収集部11が収集したシステム情報に基づいて必要となる親局数を算定する。例えば、必要親局数算定部41は、機器制御システム2内の全ての機器(負荷装置20及び入力装置30)の合計台数、又は、何れかのユニットにおける機器の管理台数を基準値として、必要な親局数を算定する。その際、基準値が予め規定されたレベル値を超える毎に、必要となる親局数が増えるものとする。
【0038】
実施形態2において、親局選出部13は、必要親局数算定部41が算定した親局数だけ、親局とすべき機器制御装置40を選出する。
【0039】
子局割付部42は、親局に選定されなかった残余の機器制御装置40を、親局として選定された機器制御装置40に管理される子局として割り付ける。例えば、子局割付部42は、システム情報に基づき、親局間で、機器(負荷装置20及び入力装置30)の管理台数が均等化するように、子局を割り付ける。具体的に2つの親機を選定する場合を一例に説明すると、親機Aとなる機器制御装置40の管理台数とその子局となる機器制御装置40の管理台数との合計台数aと、親機Bとなる機器制御装置40の管理台数とその子局となる機器制御装置40の管理台数との合計台数bとの差が、規定値以下となるよう子局の割付を行う。
【0040】
以下、このような構成の機器制御装置40の動作について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態2に係る親局選出処理の一例を示すフローチャートである。この親局選出処理は、例えば、機器制御システム2への電源投入時に開始される。
【0041】
まず、機器制御装置40は、システム情報を収集する(ステップS201)。すなわち、システム情報収集部11は、各ユニットのシステム情報(例えば、負荷装置20及び入力装置30についての台数、通信頻度、処理負荷、及び、エラー履歴のうち少なくとも何れかが含まれている情報)を収集する。
【0042】
機器制御装置40は、全体評価値を算出する(ステップS202)。例えば、機器制御装置40は、各ユニットのシステム情報を統合して分析し、親局が必要かどうかを判断するための全体評価値を算出する。
【0043】
機器制御装置40は、親局選出の要否を判定する(ステップS203)。例えば、機器制御装置40は、ステップS202にて算出した全体評価値と閾値とを比較し、親局選出の要否を判定する。具体的に、全体評価値が閾値を下回ると、機器制御装置40は、親局選出が必要であると判定する。
【0044】
機器制御装置40は、判定結果により親局の選出が必要であるか否かを判別する(ステップS204)。機器制御装置40は、親局の選出が必要でないと判別すると(ステップS204;No)、そのまま、親局選出処理を終了する。
【0045】
一方、親局の選出が必要であると判別した場合(ステップS204;Yes)に、機器制御装置40は、必要な親局数を算定する(ステップS205)。すなわち、必要親局数算定部41は、システム情報収集部11が収集したシステム情報に基づいて必要となる親局数を算定する。例えば、必要親局数算定部41は、機器制御システム2内における全ての機器(負荷装置20及び入力装置30)の合計台数、又は、何れかのユニットにおける機器の管理台数を基準値として、必要な親局数を算定する。
【0046】
機器制御装置40は、親局を選出する(ステップS206)。すなわち、親局選出部13は、ステップS205にて算定された親局数だけ、親局とすべき機器制御装置40を選出する。
【0047】
機器制御装置40は、子局を割り付ける(ステップS207)。すなわち、子局割付部42は、親局に選定されなかった残余の機器制御装置40を、親局として選定された機器制御装置40に管理される子局として割り付ける。例えば、子局割付部42は、システム情報に基づき、親局間で、機器(負荷装置20及び入力装置30)の管理台数が均等化するように、子局を割り付ける。
【0048】
このような親局選出処理により、収集したシステム情報に基づき、必要な親局数だけ、親局を適切に選定することができる。これに伴い、機器制御システム2内において、機器制御装置40が、最適に分割され、各機器制御装置40の処理負荷を低減させることができる。
【0049】
また、親局となる機器制御装置40が選出されると、その機器制御装置40が上位の機器制御装置40となって、割り付けられた子局の機器制御装置40を取りまとめる。つまり、上位の機器制御装置40による下位の機器制御装置40を通じた負荷装置20及び入力装置30を集中管理することが可能となる。
【0050】
これにより、上位の機器制御装置40から下位の機器制御装置40に接続された負荷装置20及び入力装置30を、ユニットを跨いで制御することができる。
【0051】
(他の実施形態)
上記の実施形態1,2では、機器制御装置10,40(親局選出部13)が親局を選出する場合について説明したが、ユーザが親局を選択できるようにしてもよい。その際、ユーザに収集したシステム情報に含まれる情報を適宜提示して、ユーザが親局を容易に選択できるようにしてもよい。
【0052】
以下、他の実施形態に係る機器制御装置40の詳細を、図7を参照して説明する。図示するように、機器制御装置40は、収集手段としてのシステム情報収集部11と、評価手段としての親局適正評価部12と、選出手段としての親局選出部13と、算定手段としての必要親局数算定部41と、割付手段としての子局割付部42と、入出力手段としての入出力部43と、を備える。なお、システム情報収集部11、親局適正評価部12、親局選出部13、必要親局数算定部41、及び、子局割付部42は、上述した図5と同様である。
【0053】
入出力部43は、例えば、タッチパネルを備えた表示デバイスである。なお、配下の入力装置30が表示部も備えている場合に、入出力部43は、以下に説明する入出力画面を入力装置30に表示するようにしてもよい。
【0054】
入出力部43は、図8に示すような入出力画面Dを表示し、ユーザからの入力(親局数や親局の選択等)を受け付ける。入出力画面Dには、例えば、親局を選ぶための条件(基準)を設定するための設定エリアA1と、親局を選択するための選択エリアA2,A3とが含まれている。なお、選択エリアA2,A3は、2台の親局を選ぶ場合に対応しており、選択エリアの数は適宜変更されて表示される。また、選択エリアA2,A3には、親局を容易に選択できるように、参考情報(図8の例では、点線にて囲まれた管理台数)を表示している。
【0055】
ユーザは、このような入出力画面Dを操作することにより、親局を選択する。そして、親局選出部13は、ユーザに選択された機器制御装置40を優先して、親局とすべき機器制御装置40を選出する。
【0056】
また、上記の実施形態1,2では、親局として選出された機器制御装置10,40が、下位の機器制御装置10,40を取りまとめて動作することまで説明したが、ユーザが親局として選出された機器制御装置10,40を容易に認識できるようにしてもよい。
【0057】
例えば、機器制御装置10,40が、LEDに代表される発光素子(ユーザから見える位置に配置された発光素子)を備えるようにし、親局として選出された機器制御装置10,40が、この発光素子を発光させて親局であることを、報知するようにしてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態1,2では、機器制御システム1,2の具体例として、照明制御システムについて説明したが、他の制御システムにも適宜適用可能である。例えば、空調機器を制御する空調システムや換気装置を制御する換気システムにおいても、同様に適用可能である。
【0059】
また、上記の実施形態において、機器制御装置10,40の構成を実現するマイコンにより実行されるプログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc),MO(Magneto-Optical Disk),USBメモリ,メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを上記の実施形態における機器制御装置10,40として機能させることも可能である。
【0060】
また、上記のプログラムをインターネットといった通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロードするようにしてもよい。また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0061】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを上記の記録媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロードしてもよい。
【0062】
本発明は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能である。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、親局を適切に選定することのできる機器制御装置、機器制御システム、および、親局選出方法に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0064】
1,2 機器制御システム、10,40 機器制御装置、11 システム情報収集部、12 親局適正評価部、13 親局選出部、41 必要親局数算定部、42 子局割付部、43 入出力部、20 負荷装置、30 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8