特許第6785969号(P6785969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6785969臭化リチウム冷温水/ヒートポンプユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6785969
(24)【登録日】2020年10月29日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】臭化リチウム冷温水/ヒートポンプユニット
(51)【国際特許分類】
   F25B 15/06 20060101AFI20201109BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20201109BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20201109BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20201109BHJP
   F28F 19/00 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   F25B15/06
   F28F21/08 G
   F28F9/02 B
   F28F9/013 C
   F28F19/00 511Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-530004(P2019-530004)
(86)(22)【出願日】2017年12月4日
(65)【公表番号】特表2020-513530(P2020-513530A)
(43)【公表日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】CN2017114416
(87)【国際公開番号】WO2018107989
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】201710114255.4
(32)【優先日】2017年2月28日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201611141955.4
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201611141266.3
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519196140
【氏名又は名称】遠大空調有限公司
【氏名又は名称原語表記】BROAD AIR CONDITIONING CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 躍
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−242014(JP,A)
【文献】 特開2009−250485(JP,A)
【文献】 特開2005−090798(JP,A)
【文献】 中国実用新案第205373487(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第106052183(CN,A)
【文献】 特開平10−318691(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201488475(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00−49/04
F28F 9/00− 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器、コンデンサ、吸収器、追加温水器及び低温発生器を含み、これらの装置のいずれにも管板及び熱交換管が設けられ、前記熱交換管が管板の孔内に挿入される臭化リチウム冷温水ユニットであって、
前記熱交換管は、チタン熱交換管であり、前記管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルが塗布されている、ことを特徴とする臭化リチウム冷温水ユニット。
【請求項2】
前記シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル又は改質シリコーンオイルである、ことを特徴とする請求項1に記載の臭化リチウム冷温水ユニット。
【請求項3】
前記熱交換管は、拡管機の拡管接合部分に挿入される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の臭化リチウム冷温水ユニット。
【請求項4】
前記シリコーンオイルの塗布厚さは0.1mm以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の臭化リチウム冷温水ユニット。
【請求項5】
前記吸収器、コンデンサ、蒸発器、及び発生器、追加温水器のうちの少なくとも1種の熱交換器は、チタン殻体を含み、チタン殻体の両端にチタン管板が設けられ、チタン管板の一側にキャビティが設けられ、チタン殻体内にチタン熱交換管が設けられ、チタン熱交換管が隣接する2つのチタン管板の間に設けられ、前記キャビティは、チタン板から構成され、前記チタン熱交換管は、隣接する2つのチタン管板の間に拡管接合され、その端部が隣接する2つのチタン管板に溶接される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の臭化リチウム冷温水ユニット
【請求項6】
前記チタン熱交換管の端部と隣接する2つのチタン管板の側縁との間に溶接スポットが設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の臭化リチウム冷温水ユニット
【請求項7】
前記溶接スポットがチタン管板の側縁の縁隅に設けられるか、又はチタン管板の側縁全体に線状の溶接スポットが設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の臭化リチウム冷温水ユニット
【請求項8】
前記チタン殻体とチタン管板の側縁との間に溶接スポットが設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の臭化リチウム冷温水ユニット
【請求項9】
前記キャビティのチタン板とチタン殻体とが溶接され、及び/又は締付具により接続される、ことを特徴とする請求項に記載の臭化リチウム冷温水ユニット
【請求項10】
以下のステップ1及びステップ2を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の臭化リチウム冷温水ユニットの拡管方法であって、
ステップ1において、チタン熱交換管を拡管する前に、まず管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルをシール剤として塗布し、
ステップ2において、チタン熱交換管を管板の孔内に挿入し、孔にあるチタン熱交換管が拡張された後管板に締め付けられるようにチタン熱交換管を拡管し、シリコーンオイルがチタン熱交換管と管板の孔との間に粘着されることにより補助シールが達成される、ことを特徴とする拡管方法。
【請求項11】
高温発生器を含み、前記高温発生器が管板及び熱交換管を含み、前記熱交換管が管板の孔内に挿入される臭化リチウム冷温水ユニットであって、
前記熱交換管は、チタン熱交換管であり、前記管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルが塗布されている、ことを特徴とする臭化リチウム冷温水ユニット。
【請求項12】
前記シリコーンオイルの塗布厚さは0.1mm以下である、ことを特徴とする請求項11に記載の臭化リチウム冷温水ユニット。
【請求項13】
以下のステップ1及びステップ2を含む請求項11又は12に記載の臭化リチウム冷温水ユニットの拡管方法であって、
ステップ1において、高温発生器のチタン熱交換管を拡管する前に、まず管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルをシール剤として塗布し、
ステップ2において、チタン熱交換管を管板の孔内に挿入し、孔にあるチタン熱交換管が拡張された後管板に締め付けられるようにチタン熱交換管を拡管し、シリコーンオイルがチタン熱交換管と管板の孔との間に粘着されることにより補助シールが達成される、ことを特徴とする拡管方法。
【請求項14】
蒸発器、コンデンサ、吸収器、追加温水器、低温発生器及び高温発生器を含み、これらの装置のいずれにも管板及び熱交換管が設けられ、前記熱交換管が管板の孔内に挿入される臭化リチウム冷温水ユニットであって、
前記熱交換管は、チタン熱交換管であり、前記管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイル以外の潤滑シール剤が塗布されており、前記潤滑シール剤の耐熱温度は200℃以上であり、飽和蒸気圧は1Pa未満である、ことを特徴とする臭化リチウム冷温水ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換技術分野に関し、特に、臭化リチウム冷温水/ヒートポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
臭化リチウム冷温水ユニットは、蒸発器、コンデンサ、吸収器、追加温水器及び低温発生器を含む。これらの装置内の熱交換管は、従来では銅熱交換管であり、熱伝導率が高いが、以下の欠点を有する。1)大気側(水側)及び真空側(溶液側)の銅の硬度が低いため、洗掘による腐食、摩耗に耐えない。2)大気側(水側)の銅は、酸化物層が発生しやすく、スケールが発生しやすいため、長期間に使用すると熱伝導能力が低下する恐れがある。3)大気側(水側)の銅は、アンモニア、硫化物及び酸性物質により腐食されやすい。4)大気側(水側)の銅は、水垢が出た場合、アンダーデポジット腐食(酸素濃度の差に起因した腐食)が発生し、穿孔などの事故が発生しやすい。5)大気側(水側)の銅は、電位が鉄鋼材質のハウジングよりも顕著に高いため、銅鉄一次電池が形成されやすく、鉄鋼殻体の腐食が促進される。6)真空側(溶液側)の銅は、臭化リチウム溶液及びその腐食防止剤に接触して銅イオンが生成し、銅イオンが鉄鋼材質の殻体と置換反応が発生することで、局所銅メッキ現象が発生し、銅鉄一次電池が形成され、鉄鋼殻体の腐食が促進される。
【0003】
臭化リチウム吸収式冷温水ユニット又はヒートポンプユニットのハウジングは、通常低炭素鋼を殻体、銅管又はステンレス鋼管を熱交換管として使用する。分離式高温発生器に熱を供給する臭化リチウム冷温水ユニットは、暖房時に本体と高温発生器が分離する特徴を有し、高温発生器に无機械的可動部品がないため、本体が運転しない場合、摩耗が低減される。多くの使用者による20年以上の実際使用により、故障率が70%減少し、放熱損失が60%減少し、蒸発器による暖房時に形成されたスケールによる冷房に対する影響が防止されることが実証される。これにより、寿命は2倍に延長することができる。
【0004】
臭化リチウム吸収式冷温水ユニット又はヒートポンプユニットのハウジング、及び高温発生器内の熱交換管は、共に銅熱交換管を使用しており、熱伝導率が高いが、以下の欠点を有する。1)銅の硬度が低く、洗掘による腐食、摩耗に耐えない。2)銅は、酸化物層が発生しやすく、スケールが発生しやすいため、長期間に使用すると熱伝導能力が低下する恐れがある。3)銅は、アンモニア、硫化物及び酸性物質により腐食されやすい。
【0005】
そのため、銅熱交換管に代えてステンレス鋼熱交換管を用いる改良を行ったところ、硬度及び耐食性が向上したが、以下の欠点を有する。1)ステンレス鋼は、水中に大量に存在する塩化物イオンにより腐食されやすいため、点食、応力腐食などの問題がある。2)ステンレス鋼の熱膨張係数は、高温発生器の炭素鋼殻体よりも50%高いため、炭素鋼殻体と熱交換管の作業時の膨張が均一ではなく、比較的大きな応力が発生することで破損する場合がある。3)ステンレス鋼は、水垢が出た場合、アンダーデポジット腐食(酸素濃度の差に起因した腐食)が発生する。
【0006】
上記の問題を解決するために、従来ではステンレス鋼熱交換管に代えてチタン熱交換管を用いることにより良好な効果が得られたが、チタンは、弾性係数が高い材料であり、その降伏強度が破断強度に非常に近いため、拡管力が不十分であると材料はスプリングバックする場合があり、拡管力が大きすぎると破裂する場合があるため、チタン熱交換管の拡管力を把握することが困難であり、拡管による長期間のリーク防止も困難である。また、チタンは、鋼製管板と溶接することができない。さらに、低炭素鋼の管板耐食性は、チタンよりもはるかに低いため、管板腐食により全体の寿命が影響される。
【0007】
さらに、チタン−低炭素鋼複合板を熱交換器殻体材料として用いるユニットである場合、外部媒体に接触する部分は全てチタンであるが、ユニットのハウジングは低炭素鋼であるため、腐食されやすく、腐食防止が必要である。また、低炭素鋼部品は臭化リチウム溶液に接触するため、化学反応が発生して水素ガスを生成する可能性があり、これにより、ユニットの真空度に影響を与え、冷房効率が低下し、空気がユニットに入ると腐食を引き起こし、スケールが形成され、ユニットの使用寿命及び熱交換効率が低下する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、従来技術における上記欠点を克服するために、耐食性が強く、重量が軽く、シール性に優れ、材料節約で、拡管が容易である臭化リチウム冷温水/ヒートポンプユニットを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の技術手段は以下である。
【0010】
本発明に係る臭化リチウム冷温水ユニットは、蒸発器、コンデンサ、吸収器、追加温水器及び低温発生器を含み、上記装置のいずれにも管板及び熱交換管が設けられ、上記熱交換管は、管板の孔内に挿入され、上記熱交換管は、チタン熱交換管であり、上記管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルが塗布されている。
【0011】
本発明は、チタン熱交換管と管板の孔との間にシリコーンオイルが塗布されることにより、拡管力が不十分であることでチタン熱交換管がスプリングバックしたとしても、チタン熱交換管と管板の孔との間に隙間が発生しない。また、シリコーンオイルは、高温に耐えることができるので、長期間作業の場合において揮発して損失することがなく、シール性が保証され、使用寿命が向上する。
【0012】
臭化リチウム冷温水ユニットにおける、管板及び熱交換管を含む熱交換器の少なくとも1つに本発明の技術手段が含まれれば、本発明の保護範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0013】
また、上記臭化リチウム冷温水ユニットは、臭化リチウムヒートポンプユニット中の各熱交換器にも適用される。
【0014】
さらに、上記シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル、又は他の官能基を含む、高沸点(大気圧での沸点≧250℃)、熱安定性、化学的に不活性を有する様々な改質シリコーンオイルである。
【0015】
さらに、上記熱交換管は、拡管機の拡管接合部分に挿入される。
【0016】
さらに、上記シリコーンオイルの塗布厚さは0.1mm以下である。
【0017】
本発明に係る臭化リチウム冷温水ユニットの拡管方法は、以下のステップ1及びステップ2を含む。
ステップ1において、チタン熱交換管を拡管する前に、まず管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルをシール剤として塗布する。
ステップ2において、チタン熱交換管を管板の孔内に挿入し、孔にあるチタン熱交換管が拡張された後管板に締め付けられるようにチタン熱交換管を拡管し、シリコーンオイルがチタン熱交換管と管板の孔との間に粘着されることにより、補助シールが達成される。
【0018】
本発明に係る臭化リチウム冷温水ユニットは、高温発生器を含む。上記高温発生器は、管板及び熱交換管を含み、上記熱交換管は、管板の孔内に挿入される。上記熱交換管は、チタン熱交換管であり、上記管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルが塗布されている。
【0019】
さらに、上記シリコーンオイルの塗布厚さは0.1mm以下である。これにより、シリコーンオイルが節約され、コストが低減し、シール性が向上する。塗布厚さが大きすぎると、拡管力が把握されにくくなり、シリコーンオイルにより影響されやすくなる。例えば、拡管力が不十分となり、この場合シリコーンオイルの厚さが大きいので、シール性が依然として確保され得るが、高温環境で長期間作業すると、シリコーンオイルが揮発することになり、また、最初から拡管力が不十分であるため、チタン熱交換管と管板との間のシール性が低下する。
【0020】
本発明に係る臭化リチウム冷温水ユニットの拡管方法は、以下のステップ1及びステップ2を含む。
ステップ1において、高温発生器のチタン熱交換管を拡管する前に、まず管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイルをシール剤として塗布する。
ステップ2において、チタン熱交換管を管板の孔内に挿入し、孔にあるチタン熱交換管が拡張された後管板と締め付けられるようにチタン熱交換管を拡管し、シリコーンオイルがチタン熱交換管と管板の孔との間に粘着されることにより、補助シールが達成される。
【0021】
本発明に係る臭化リチウム冷温水ユニットは、蒸発器、コンデンサ、吸収器、追加温水器、低温発生器及び高温発生器を含む。上記装置のいずれにも管板及び熱交換管が設けられ、上記熱交換管は、管板の孔内に挿入され、上記熱交換管は、チタン熱交換管であり、上記管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイル以外の潤滑シール剤が塗布されており、上記潤滑シール剤は、200℃以上において熱安定性及び化学的不活性を有し、飽和蒸気圧が1Pa未満であり、例えば、伝熱油、真空ポンプ油などである。
【0022】
本発明に係る臭化リチウム冷温水/ヒートポンプユニットは、複数の熱交換器を含む。上記熱交換器は、チタン殻体を含み、チタン殻体の両端にチタン管板が設けられ、チタン管板の一側にキャビティが設けられる。チタン殻体内にチタン熱交換管が設けられ、チタン熱交換管が隣接する2つのチタン管板の間に設けられる。上記キャビティは、チタン板から構成され、上記チタン熱交換管は、拡管により隣接する2つのチタン管板の間に接合し、その端部が隣接する2つのチタン管板に溶接される。
【0023】
上記技術手段は、以下の利点を有する。(1)熱交換器は、全てチタン材料を採用することにより、臭化リチウム冷温水(ヒートポンプ)ユニットの使用環境においても腐食されず、長期間使用できる。(2)チタン殻体とチタン熱交換管の作業時の膨張が一致するため、応力破壊の懸念がなく、移動式シールヘッド又は伸縮継手を用いる必要がなく、部品が節約され、コストが低減する。(3)チタンの強度はステンレス鋼に近く、洗掘腐食及び摩耗の懸念がない。(4)チタン表面の酸化物層の厚さは増加することがなく、スケールが発生しにくいため、長期間使用されても伝熱能力が低下しにくい。(5)チタン殻体、チタン熱交換管、チタン管板及びキャビティのチタン板に予め腐食代を設ける必要がないので、厚さは銅管などの材料の1/2に減少され、また、チタンの密度が銅の約1/2であるため、このようなユニットは、従来のユニットと比較して材料重量を70%以上減少することができ、輸送及び取り付け(特に屋上などの位置)に有利であり、スペースを取る。(6)拡管や包装による基本的な強度及びシール性に加えて、チタン熱交換管の端部とチタン管板とを溶接することによりシール効果を達成する。(7)熱交換器全体はチタン材料を使用することにより、各部品の使用寿命がほぼ同じであり、頻繁に部品を交換する必要がない。(8)重量は軽く、ユニット全体の軽量化レベルが向上する。
【0024】
また、本発明のチタン熱交換管と隣接する2つのチタン管板との間の拡管接合は、上記臭化リチウム冷温水ユニットの拡管構造及び拡管方法を使用することができる。
【0025】
さらに、上記チタン熱交換管の端部と隣接する2つのチタン管板の側縁との間に溶接スポットが設けられる。チタン管板の側縁に溶接スポットが設けられることにより、溶接が便利である一方、シール効果が達成される。チタンは弾性係数が高い材料であり、その降伏強度が破断強度に非常に近いため、拡管力が不十分であると材料はスプリングバックする場合があり、拡管力が大きすぎると破裂する場合があるため、拡管により長期間のリーク防止を保証することが非常に困難である。本態様は、拡管後に溶接スポットをさらに設けることによりシール性を向上させる。
【0026】
さらに、上記溶接スポットがチタン管板の側縁の縁隅に設けられるか、又はチタン管板の側縁全体に線状の溶接スポットが設けられる。線状の溶接スポットとは、溶接スポットが単なるドットではなく、線形構造であることをいい、溶接スポットの長さはチタン管板側縁の長さと同じであってもよいが、異なっていてもよい。
【0027】
さらに、上記チタン殻体とチタン管板の側縁との間に溶接スポットが設けられる。チタン殻体とチタン管板との間に溶接スポットのみに介して接続されてもよいが、チタン殻体とチタン管板との接触面で溶接してから溶接スポットによりさらに強化してもよい。
【0028】
さらに、上記キャビティは、水室、蒸気室又は煙箱である。ここで、蒸気室は蒸気式キャビティ、煙箱は煙気式キャビティである。
【0029】
さらに、上記キャビティのチタン板とチタン殻体が溶接され、及び/又は締付具により接続される。
【0030】
さらに、上記複数の熱交換器は、吸収器、コンデンサ、蒸発器及び発生器、追加温水器のうちの少なくとも1種を含む。本発明の熱交換器は、吸収器、コンデンサ、蒸発器、低温発生器(二重効用式)、追加温水器(直接燃焼式)、発生器(単効用蒸気又は湯式)、高温発生器(二重効用蒸気又は湯式)などであってよい。
【発明の効果】
【0031】
(1)チタン熱交換管を使用することにより、高耐食性、軽量、低垢係数、高強度、管路目詰まりが発生しにくいなどの利点を有し、予め腐食代を設ける必要がなく、厚さが銅管の1/2に減少され、チタンの密度が銅の約1/2であるため、チタン熱交換管を使用することにより、銅熱交換管の場合よりも材料の量を70%以上減少することができる。
【0032】
(2)管板の孔内及び/又はチタン熱交換管の管端外側にシリコーンオイル又は他の潤滑剤を塗布することにより、チタン熱交換管自体の弾性係数が高くても、シール性が低下することがなく、さらに拡管が容易になり、シール性が大幅に向上する。
【0033】
(3)臭化リチウム冷温水ユニット又はヒートポンプユニットは全体としてチタン材質を使用し、特に外部媒体と接触する部分は全てチタン材料であることにより、極めて優れた耐食性を有し、使用寿命が長く、酸化又はスケールが発生しにくいため高効率な熱交換性能が保持される。
【0034】
(4)チタン熱交換管は拡管接合と溶接の組み合わせの方式を採用する。拡管接合は、十分な強度を保証でき、且つ補助シールの作用を奏する。溶接は、シール性を保証でき、且つ一定の強度を提供する。これにより、チタン熱交換管とチタン管板との間の気密性がより良好となり、接合強度がより高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施例1の構造模式図である。
図2】本発明の実施例1のジメチルシリコーンオイルが塗布された構造模式図である。
図3】本発明の実施例10の構造模式図である。
図4】本発明の実施例10のチタン熱交換管とチタン管板の接続構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面及び具体的な実施例により本発明をさらに説明する。
【0037】
実施例1
図1及び図2に示すように、臭化リチウム冷温水ユニットは、蒸発器、コンデンサ、吸収器、追加温水器及び低温発生器を含む。上記装置のいずれにも管板2及び熱交換管が設けられ、熱交換管は、管板2の孔21内に挿入される。熱交換管はチタン熱交換管1であり、チタン熱交換管1の管端外側にジメチルシリコーンオイル3が塗布されている。ジメチルシリコーンオイル3の塗布厚さは0.05mmである。
【0038】
本実施例では、チタン熱交換管1を使用することにより以下の利点を有する。1)大気側(水側)及び真空側(溶液側)のチタン熱交換管は、使用環境で腐食されず、長期間使用できる。2)チタンの熱膨張係数は、熱交換器殻体となる炭素鋼との差が10%未満であり、殻体とチタン熱交換管の作業時の膨張が一致であり、応力破壊の懸念がない。3)大気側(水側)及び真空側(溶液側)のチタン熱交換管の強度はステンレス鋼に近く、洗掘腐食及び摩耗の懸念がない。4)チタン表面の酸化物層の厚さは増加することがなく、スケールが発生しにくいため、長期間使用されても伝熱能力が低下しにくい。5)以上の原因で、チタン熱交換管1に予め腐食代を設ける必要がないので、厚さは銅管などの材料の1/2に減少され、また、チタンの密度が銅の約1/2であるため、チタン熱交換管を使用することにより、銅熱交換管の場合よりも材料の量を70%以上減少することができる。6)真空側(溶液側)のチタン熱交換管は、臭化リチウム溶液又は腐食防止剤と反応せず、腐食防止剤の消耗及び溶液成分の変化がなく、銅鉄一次電池による腐食が発生せず、ユニットの熱交換器の腐食、スケール、様々な管路、ノズルの目詰まりが回避される。7)重量が軽く、臭化リチウム冷温水ユニット全体の軽量化が向上する。
【0039】
しかし、チタンは、弾性係数が高い材料であり、その降伏強度が破断強度に非常に近いため、拡管力が不十分であると材料はスプリングバックする場合があり、拡管力が大きすぎると破裂する場合があるため、チタン熱交換管の拡管力を把握することが困難である。したがって、本実施例では、チタン熱交換管1の管端外側にジメチルシリコーンオイル3を塗布することにより、チタン熱交換管自体の弾性係数が高くても、シール性が低下することがなく、さらに拡管が容易になり、シール性が大幅に向上する。
【0040】
本実施例の拡管方法は、具体的に以下のステップ1及びステップ2を含む。
ステップ1において、チタン熱交換管1を拡管する前に、まずチタン熱交換管1の管端外側にジメチルシリコーンオイル3をシール剤として塗布する。
ステップ2において、チタン熱交換管1を管板2の孔21内に挿入し、チタン熱交換管1の末端に拡管機4の拡管接合部分を挿入し、孔21にあるチタン熱交換管1が拡張された後管板2に締め付けられるように拡管機4によりチタン熱交換管1を拡管し、ジメチルシリコーンオイル3がチタン熱交換管1と管板2の孔21との間に粘着されることにより、補助シールが達成される。
【0041】
本実施例でジメチルシリコーンオイル3を使用することは、ジメチルシリコーンオイルが以下の利点を有するためである。(1)粘度が高く、チタン熱交換管と管板孔との間の隙間に粘着されて補助シール作用を奏する。(2)ジメチルシリコーンオイルは、不活性物質であり、金属を腐食せず、臭化リチウム溶液と化学反応を発生しない。(3)ジメチルシリコーンオイルは、毒性がなく、操作者に無害である。(4)ジメチルシリコーンオイルの沸点は300℃以上であり、作業条件で長期間使用されても揮発して損失することがなく、使用寿命が長い。
【0042】
ジメチルシリコーンオイル3の塗布厚さを0.05mmとすることにより、塗布厚さが薄いため、拡管力が把握されやすく、シール性が向上することができる。
【0043】
実施例2
ジメチルシリコーンオイルが管板の孔内に塗布され、塗布厚さが0.1mmである以外、実施例1と同様である。
【0044】
実施例3
ジメチルシリコーンオイルが管板の孔内及びチタン熱交換管の管端外側の両方に塗布され、管板孔内の塗布厚さが0.02mmであり、チタン熱交換管の管端外側の塗布厚さが0.08mmである以外、実施例1と同様である。
【0045】
実施例4
臭化リチウム冷温水ユニットに代えて臭化リチウムヒートポンプユニットを使用する以外、実施例1と同様である。臭化リチウムヒートポンプユニットにおける、管板及び熱交換管を含む各熱交換器は、全て実施例1と同様であるため、ここで説明を省略する。
【0046】
実施例5
臭化リチウム冷温水ユニットは、高温発生器を含む。高温発生器は、管板及び熱交換管を含む。熱交換管は、管板の孔内に挿入される。熱交換管はチタン熱交換管であり、チタン熱交換管の管端外側にジメチルシリコーンオイルが塗布されている。ジメチルシリコーンオイルの塗布厚さは0.05mmである。
【0047】
本実施例では、チタン熱交換管1を使用することにより以下の利点を有する。(1)チタンが使用環境で腐食されず、長期間使用できる。(2)チタンの熱膨張係数は、熱交換器殻体となる炭素鋼との差が10%未満であり、殻体とチタン熱交換管の作業時の膨張が一致であり、応力破壊の懸念がない。(3)チタンの強度はステンレス鋼に近く、洗掘腐食及び摩耗の懸念がない。(4)チタン表面の酸化物層の厚さは増加することがなく、スケールが発生しにくいため、長期間使用されても伝熱能力が低下しにくい。(5)重量が軽く、ヒーターの軽量化が向上する。
【0048】
以上の原因で、チタン熱交換管に予め腐食代を設ける必要がないので、厚さは銅管の1/2に減少され、また、チタンの密度が銅の約1/2であるため、チタン熱交換管を使用することにより、銅熱交換管の場合よりも材料の量を70%以上減少することができる。
【0049】
本実施例の拡管方法は、具体的には、以下のステップ1及びステップ2を含む。
ステップ1において、チタン熱交換管を拡管する前に、まずチタン熱交換管の管端外側にジメチルシリコーンオイルをシール剤として塗布する。
ステップ2において、チタン熱交換管を管板の孔内に挿入し、チタン熱交換管の末端を拡管機の拡管接合部分に挿入し、孔にあるチタン熱交換管が拡張された後管板に締め付けられるように拡管機によりチタン熱交換管を拡管し、ジメチルシリコーンオイルがチタン熱交換管と管板的孔との間に粘着されることで補助シールが達成される。
【0050】
実施例6
ジメチルシリコーンオイルが管板の孔内に塗布され、塗布厚さが0.1mmである以外、実施例5と同様である。
【0051】
実施例7
ジメチルシリコーンオイルが管板の孔内及びチタン熱交換管の管端外側の両方に塗布され、管板孔内の塗布厚さが0.02mmであり、チタン熱交換管の管端外側の塗布厚さが0.08mmである以外、実施例5と同様である。
【0052】
実施例8
ジメチルシリコーンオイルに代えてエチルシリコーンオイルを用いる以外、実施例1又は実施例5と同様である。
【0053】
実施例9
ジメチルシリコーンオイルに代えて伝熱油を用いる以外、実施例1又は実施例5と同様である。伝熱油は、200℃以上において熱安定性及び化学的不活性を有し、飽和蒸気圧が1Pa未満である。
【0054】
実施例10
図3及び図4に示すように、臭化リチウム冷温水ユニットは、吸収器、コンデンサ、蒸発器及び発生器を含む。上記各熱交換器は、いずれもチタン殻体5を含む。チタン殻体5の両端にチタン管板2′が設けられ、チタン管板2′の一側にキャビティ6が設けられる。チタン殻体5内にチタン熱交換管1が設けられ、チタン熱交換管1が隣接する2つのチタン管板2′との間に設けられる。キャビティ6は、2つのチタン板61から構成される。チタン熱交換管1は、拡管により隣接する2つのチタン管板2′の間に接合され、その端部が隣接する2つのチタン管板2′に溶接される。
【0055】
キャビティ6は、溶媒式の水室、蒸気式の蒸気室又は煙気式の煙箱であってもよい。
【0056】
チタン熱交換管1の端部と隣接する2つのチタン管板2′との間でガスシールド溶接を行うことでシール効果が達成される。チタン熱交換管1の端部と隣接する2つのチタン管板2′の側縁との間に溶接スポット7が設けられ、溶接スポット7がチタン管板2′の側縁の縁隅に設けられる。チタン殻体1とチタン管板2′の側縁との間にも溶接スポット7が設けられる。本実施例では、まずチタン殻体5とチタン管板2′との接触面で溶接してから、溶接スポット7によりさらに強化する。キャビティ6のチタン板61とチタン殻体5との間で溶接される。熱交換器全体はチタン材料を使用することにより、材質が同じであるため、溶接がより容易であり、溶接がより強固であり、気密性がより良好である。
【0057】
本実施例は、上記実施例1〜実施例9のいずれか1つにおいて、熱交換器の殻体、キャビティ及び管板をチタン材質で作製し、チタン熱交換管と管板とを拡管接合した後溶接して接続する。拡管接合の方式は、上記実施例1〜実施例9のいずれか1つの拡管構造又は拡管方法を使用することができる。無論、他の拡管接合方式を使用してもよい。
【0058】
本実施例は、熱交換器内部が溶媒、蒸気又は煙気と接触する場合の高耐食性、及び吸収式冷温水/ヒートポンプユニットが外部媒体と接触する場合の高耐食性を保証することができる。これにより、ユニット全体の使用寿命及び熱交換効率が向上する。さらに、シール性に優れ、チタン熱交換管とチタン管板との間にリークが発生しにくい。
【0059】
実施例11
キャビティのチタン板とチタン殻体とがボルトにより接続される以外、実施例10と同様である。
【0060】
実施例12
チタン熱交換管の端部と隣接する2つのチタン管板の側縁との間に溶接スポットが設けられ、溶接スポットが線形構造であり、チタン管板の側縁の一端から他端に延伸することで溶接の接触面を向上させ、さらにシール性を向上させる以外、実施例10と同様である。
【0061】
実施例13
臭化リチウム冷温水ユニットに代えて臭化リチウムヒートポンプユニットを用いる以外、実施例10と同様である。臭化リチウムヒートポンプユニットにおける各熱交換器は、すべて実施例10と同様であるため、ここで説明を省略する。
【0062】
実施例14
臭化リチウム冷温水ユニットは、追加温水器をさらに含む以外、実施例10と同様である。本実施例14において、追加温水器の殻体、キャビティ及び管板もチタン材質で作製され、チタン熱交換管と管板とを拡管接合した後溶接により接続し、具体的には実施例10と同様である。
【0063】
本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、当業者は、本発明に対して様々な変更及び変形することができる。本発明に対するこれらの変更及び変形が本発明の特許請求の範囲及びその同等の技術範囲に含まれれば、本発明には、これらの変更及び変形が含まれる。
図1
図2
図3
図4