(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後側のストッパー係止孔と前記後側の長穴を連通する前記ストッパーピンが挿入された状態で、前記連結シャフトを前方に移動させて前記ストッパーピンがその長穴の後端に当接する際に、前記台車本体の後端に突き当たるストッパー片と、
前記前側のストッパー係止孔と前記前側の長穴を連通する前記ストッパーピンが挿入された状態で、前記連結シャフトを後方に移動させて前記ストッパーピンがその長穴の前端に当接する際に、前記台車本体の前端に突き当たるストッパー片とが、前記連結シャフトに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業台車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の作業台車には、ストッパーピンが挿入されるストッパー係止孔が形成されているストッパー受け板が、作業台車の前後にそれぞれ設けられており、前後のストッパー係止孔にストッパーピンが挿入されているときには連結シャフトは基準位置にあり、その移動が規制されている。
そして、前後何れかのストッパーピンを外すことにより、外した側に連結シャフトが移動可能となり、そちらを進行方向として作業台車を走行させることが可能になる。
【0005】
そのため、作業台車の進行方向を度々切り替えるような場合には、その都度作業員が作業台車の前後を行き来して、ストッパーピンの付け外しを行わなければならない。
つまり、この作業台車は、進行方向を切り替える度にストッパーピンの取り付けと取り外しを行うよう、作業台車の前後を行き来しなければならないのが煩雑であるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、進行方向の切り替えが容易な作業台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明は、
台車本体に前後方向へ移動可能に配設された連結シャフトと、
レール上を転動する前記台車本体の車輪を制動状態に保持するブレーキ機構と、
前記連結シャフトと連動して作動するリンク機構と、を備え、
前記ブレーキ機構は、前記連結シャフトが前方あるいは後方に移動されると連動する前記リンク機構の動作により制動状態から解除状態に切り替えられるように構成されている作業台車であって、
前記連結シャフトの前端側には、当該連結シャフトの軸方向に沿う長穴が前後に並んで2つ形成されており、
前記台車本体の前端部には、ストッパーピンが挿入されるストッパー係止孔が前後に並んで2つ形成されているストッパー受け板が設けられており、
前記作業台車の静止時において、前側のストッパー係止孔は前側の長穴の後端に対応する位置にあり、後側のストッパー係止孔は後側の長穴の前端に対応する位置にあ
り、
前記前側のストッパー係止孔と前記前側の長穴を連通する前記ストッパーピンが挿入されるとともに、前記後側のストッパー係止孔と前記後側の長穴を連通する前記ストッパーピンが挿入された状態で、前記連結シャフトの移動が規制されて、前記ブレーキ機構の制動状態が保持されるように構成されており、
前記ストッパーピンのうち、前記後側のストッパー係止孔と前記後側の長穴を連通する前記ストッパーピンのみが挿入された状態では、前方への移動が可能となった前記連結シャフトの移動に伴い前記ブレーキ機構の制動状態が解除状態に切り替えられるように構成されており、前記連結シャフトを前方へ引くようにして、前記後側のストッパー係止孔に通されている前記ストッパーピンを前記後側の長穴の後端に当接させて当該作業台車を前方へ移動させることが可能になり、
前記ストッパーピンのうち、前記前側のストッパー係止孔と前記前側の長穴を連通する前記ストッパーピンのみが挿入された状態では、後方への移動が可能となった前記連結シャフトの移動に伴い前記ブレーキ機構の制動状態が解除状態に切り替えられるように構成されており、前記連結シャフトを後方へ押すようにして、前記前側のストッパー係止孔に通されている前記ストッパーピンを前記前側の長穴の前端に当接させて当該作業台車を後方へ移動させることが可能になるようにした。
【0008】
作業台車の台車本体の前端部には、ストッパーピンが挿入されるストッパー係止孔が前後に並んで2つ形成されているストッパー受け板が設けられており、その台車本体に前後方向に移動可能に支持されている連結シャフトの前端側には、連結シャフトの軸方向に沿う長穴が前後に並んで2つ形成されている。
この作業台車の静止時において、前側のストッパー係止孔は前側の長穴の後端に対応する位置にあり、後側のストッパー係止孔は後側の長穴の前端に対応する位置にあるので、その両方のストッパー係止孔にストッパーピンを挿入することで、連結シャフトは前後の何れにも移動できないようになる。
具体的には、連結シャフトを前方へ引いても、前側のストッパー係止孔に通されているストッパーピンが前側の長穴の後端に当接するので、連結シャフトの移動が規制される。同様に、連結シャフトを後方へ押しても、後側のストッパー係止孔に通されているストッパーピンが後側の長穴の前端に当接するので、連結シャフトの移動が規制される。
このように、連結シャフトが移動できない状態ではリンク機構は動作せず、静止している作業台車ではブレーキ機構による車輪の制動状態が保持される。
【0009】
そして、両方のストッパー係止孔にストッパーピンが挿入されている作業台車を前方へ移動させる場合、前後に並んでいる2つのストッパー係止孔のうち、前側にあるストッパー係止孔からストッパーピンを取り外す。
こうして後側のストッパー係止孔と後側の長穴を連通するストッパーピンが挿入されている状態で連結シャフトを前方へ引くと、連結シャフトは前方へ移動し、後側のストッパー係止孔に通されているストッパーピンが相対的に後側の長穴の後端へ移動し当接する。
このように連結シャフトが前方へ移動したことに応じて連動するリンク機構の動作により、ブレーキ機構は車輪の制動状態を解除状態に切り替える。
つまり、連結シャフトにレールスクーターを連結するなどして、そのレールスクーターを前進させて連結シャフトを引っ張って、連結シャフトを前方へ移動させると、連結シャフトと連動するリンク機構の動作により車輪が転動しない制動状態から解除状態に切り替わるので、前進するレールスクーターで牽引して、作業台車を前方へ移動させることができる。
【0010】
また、両方のストッパー係止孔にストッパーピンが挿入されている作業台車を後方へ移動させる場合、前後に並んでいる2つのストッパー係止孔のうち、後側にあるストッパー係止孔からストッパーピンを取り外す。
こうして前側のストッパー係止孔と前側の長穴を連通するストッパーピンが挿入されている状態で連結シャフトを後方へ押すと、連結シャフトは後方へ移動し、前側のストッパー係止孔に通されているストッパーピンが相対的に前側の長穴の前端へ移動し当接する。
このように連結シャフトが後方へ移動したことに応じて連動するリンク機構の動作により、ブレーキ機構は車輪の制動状態を解除状態に切り替える。
つまり、連結シャフトにレールスクーターを連結するなどして、そのレールスクーターを後退させて連結シャフトを押して、連結シャフトを後方へ移動させると、連結シャフトと連動するリンク機構の動作により車輪が転動しない制動状態から解除状態に切り替わるので、後退するレールスクーターで押すようにして、作業台車を後方へ移動させることができる。
【0011】
このような作業台車の進行方向を切り替える場合には、前側のストッパー係止孔と後側のストッパー係止孔に挿入するストッパーピンの付け外しを行うようにする。
具体的には、前方へ移動可能となっていた作業台車の進行方向を切り替え、後方へ移動可能とする場合、作業台車が停止している状態で、前側のストッパー係止孔にストッパーピンを挿入し、後側のストッパー係止孔からストッパーピンを取り外す。こうすることで、作業台車は後方へ移動することが可能になる。
同様に、後方へ移動可能となっていた作業台車の進行方向を切り替え、前方へ移動可能とする場合、作業台車が停止している状態で、後側のストッパー係止孔にストッパーピンを挿入し、前側のストッパー係止孔からストッパーピンを取り外す。こうすることで、作業台車は前方へ移動することが可能になる。
【0012】
このように、本発明に係る作業台車の進行方向を切り替える場合、後側のストッパー係止孔と後側の長穴を連通するようにストッパーピンを挿入することと、前側のストッパー係止孔と前側の長穴を連通するようにストッパーピンを挿入することを切り替えるようにすればよい。
ここで、2つのストッパー係止孔が形成されているストッパー受け板は、台車本体の前端部に設けられており、2つの長穴は連結シャフトの前端側に並んで形成されているので、ストッパーピンの付け外し作業は、作業台車の前端側で行うことができる。
つまり、従来技術の作業台車のように、その進行方向を切り替える度、ストッパーピンの付け外しを行うために作業員が作業台車の前後を行き来しなくて済むので、この作業台車の進行方向の切り替え作業は容易に行うことができる。
【0013】
また、望ましくは、
前記後側のストッパー係止孔と前記後側の長穴を連通する前記ストッパーピンが挿入された状態で、前記連結シャフトを前方に移動させて前記ストッパーピンがその長穴の後端に当接する際に、前記台車本体の後端に突き当たるストッパー片と、
前記前側のストッパー係止孔と前記前側の長穴を連通する前記ストッパーピンが挿入された状態で、前記連結シャフトを後方に移動させて前記ストッパーピンがその長穴の前端に当接する際に、前記台車本体の前端に突き当たるストッパー片とが、前記連結シャフトに設けられているようにする。
【0014】
この作業台車が牽引されて前方へ移動する際、後側のストッパー係止孔に通されているストッパーピンが後側の長穴の後端に当接するとともに、台車本体の後端に連結シャフトのストッパー片が突き当たるので、牽引されている作業台車の荷重がストッパーピンとストッパー片に分散されるようになる。つまり、作業台車の荷重がストッパーピンに集中してしまうことはなく、ストッパーピンが変形するようなトラブルを防止することができる。
また、この作業台車が押されて後方へ移動する際、前側のストッパー係止孔に通されているストッパーピンが前側の長穴の前端に当接するとともに、台車本体の前端に連結シャフトのストッパー片が突き当たるので、押されている作業台車の荷重がストッパーピンとストッパー片に分散されるようになる。つまり、作業台車の荷重がストッパーピンに集中してしまうことはなく、ストッパーピンが変形するようなトラブルを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、進行方向の切り替えが容易な作業台車が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る作業台車の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
本実施形態の作業台車100は、例えば、
図1に示すように、レール上を転動する複数(本実施形態では4つ)の車輪1を有する台車本体10と、前後方向に移動可能に台車本体10に支持されている連結シャフト20と、連結シャフト20と連動するリンク機構30の動作により車輪1の制動状態と解除状態を切り替えるブレーキ機構40等を備えて構成されている。
ここでは、図中、左右方向を前後方向とし、図中の右方を前方、図中の左方を後方とする。
【0019】
台車本体10は、例えば、略矩形状に組まれたフレーム体を備え、そのフレーム体の四隅に設けられた軸受2に、両端に車輪1が取り付けられた車軸3が軸支されている。
この台車本体10の前端部には、ストッパー受け板11が固設されている。
ストッパー受け板11には、ストッパーピン12が挿入されるストッパー係止孔(15、16)が前後に並んで2つ形成されている。前後に並んでいる2つのストッパー係止孔のうち、後側のストッパー係止孔を第1ストッパー係止孔15、前側のストッパー係止孔を第2ストッパー係止孔16とする。
なお、台車本体10における前側の車軸3には、後述するブレーキ機構40が配設されている。
【0020】
また、台車本体10の前部と後部にはそれぞれベアリング機構50が配設されている。
ベアリング機構50は、例えば、台車本体10に固設されている固定板51と、その固定板51に回転可能に軸支された一対のベアリングローラー52を備えている。
この一対のベアリングローラー52に挟まれて、前後のベアリング機構50に架け渡された状態の連結シャフト20が前後方向に移動可能に支持されている。
なお、作業台車100におけるベアリング機構50の構成や動作は従来公知(例えば、特許文献1)のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0021】
連結シャフト20は、作業台車100の走行方向に延在し、両端が台車本体10の前後から突出するサイズを有している。
連結シャフト20の前端部には、作業員が人力で作業台車100を押し引きする際に使用する手押しハンドルや、エンジン等の動力装置を搭載したレールスクーター等を連結するための連結部21が設けられている。
この連結部21には、連結シャフト20を後方に移動させた際に、台車本体10の前端に突き当たるストッパー片22が設けられている。
また、連結シャフト20の後端部には、連結シャフト20を前方に移動させた際に、台車本体10の後端に突き当たるストッパー片23が設けられている。
さらに、連結シャフト20におけるベアリング機構50に対応する位置の両側部には、一対のベアリングローラー52に保持されるガイド部24が設けられている。
【0022】
特に、この連結シャフト20の前端側には、連結シャフト20の軸方向に沿う長穴(25、26)が前後に並んで2つ形成されている。前後に並んでいる2つの長穴のうち、後側の長穴を第1長穴25、前側の長穴を第2長穴26とする。
そして、
図1に示すように、作業台車100の静止時において、連結シャフト20が基準位置にあるとき、ストッパー受け板11の第2ストッパー係止孔16が連結シャフト20の第2長穴26の後端に対応する位置にあり、ストッパー受け板11の第1ストッパー係止孔15が連結シャフト20の第1長穴25の前端に対応する位置にある。
【0023】
リンク機構30は、台車本体10に固設された一対の横板31と、対を成す横板31の一端部に跨り固定されている端部支持板32と、対を成す横板31のほぼ中央部に跨り固定されている中央支持板33と、中央支持板33に支点34cを中心に揺動可能に取り付けられている第1アーム34と、端部支持板32に支点35cを中心に揺動可能に取り付けられている第2アーム35と、第2アーム35に一端部が軸支されて他端部にブレーキ接続板37が軸支されているターンバックル36等を備えている。
【0024】
第1アーム34は、一端部が連結シャフト20に嵌挿されており、連結シャフト20の前後動に追従し、支点34cを中心に揺動する。
この第1アーム34の一端部近傍には第1押動部34aが設けられ、他端部には第2押動部34bが設けられている。
第2アーム35には、第1アーム34の第1押動部34aが突き当たる第1当接部35aと、第1アーム34の第2押動部34bが突き当たる第2当接部35bが設けられている。
そして、第2アーム35は、揺動した第1アーム34の第1押動部34aによって第1当接部35aが押されたり、揺動した第1アーム34の第2押動部34bによって第2当接部35bが押されたりして、支点35cを中心に揺動する。
【0025】
ターンバックル36は、第2アーム35の揺動に応じてブレーキ接続板37を揺動させる。
ブレーキ接続板37は、ブレーキ機構40の作動部に接続されており、このブレーキ接続板37が揺動することで後述する摩擦パッドが車軸3の制動用円板に対し接触するのと離間するのを切り替えるようになっている。
【0026】
ブレーキ機構40は、台車本体10に配設されており、車軸3に設けられている制動用円板に対し接離可能とされている摩擦パッドを備えている。
このブレーキ機構40は、作業台車100の静止時には制動用円板に対して摩擦パッドを押し付けて車輪1が転動しない制動状態とし、作業台車100の走行時には制動用円板から摩擦パッドを離間させて車輪1が転動するように制動状態から解除状態に切り替える。
なお、ブレーキ機構40の構成や動作は従来公知(例えば、特許文献1)のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0027】
次に、本実施形態の作業台車100が停止している制動状態と、制動状態が解除されて作業台車100が前方や後方へ移動する状態について説明する。
【0028】
作業台車100が静止している場合、連結シャフト20は基準位置にあって、上述したように、第2ストッパー係止孔16は第2長穴26の後端に対応する位置にあり、第1ストッパー係止孔15は第1長穴25の前端に対応する位置にある(
図1参照)。
このとき、
図2に示すように、第2ストッパー係止孔16と第2長穴26を連通するようにストッパーピン12を挿入するとともに、第1ストッパー係止孔15と第1長穴25を連通するようにストッパーピン12を挿入することで、連結シャフト20は前後の何れにも移動できないようになる。
【0029】
具体的には、連結シャフト20を前方へ引いても、第2ストッパー係止孔16に通されているストッパーピン12が第2長穴26の後端に当接しており、連結シャフト20の移動が規制されている。同様に、連結シャフト20を後方へ押しても、第1ストッパー係止孔15に通されているストッパーピン12が第1長穴25の前端に当接しており、連結シャフト20の移動が規制されている。
こうして連結シャフト20が移動できない状態ではリンク機構30は動作せず、第1アーム34と第2アーム35は互いに平行であって、連結シャフト20に対し垂直な姿勢を維持している。
ここで、第1アーム34と第2アーム35が互いに平行であって、連結シャフト20に対し垂直である姿勢を、リンク機構30の基準姿勢とする。
【0030】
そして、リンク機構30が基準姿勢であるとき、ブレーキ接続板37は、ブレーキ機構40の摩擦パッドを車軸3の制動用円板に対し接触させる向きになっており、車輪1が転動しない制動状態となっている。
つまり、2つのストッパー係止孔(第1ストッパー係止孔15、第2ストッパー係止孔16)にストッパーピン12が挿入されていて、連結シャフト20の移動が規制されている状態では、連結シャフト20を前方へ引いても後方へ押しても、作業台車100を移動させることができないようになっている。
【0031】
この作業台車100(
図2に示した状態の作業台車100)を前方へ移動させる場合、
図3に示すように、前後に並んでいる2つのストッパー係止孔のうち、前側にある第2ストッパー係止孔16からストッパーピン12を取り外す。
こうして第1ストッパー係止孔15と第1長穴25を連通するストッパーピン12が挿入されている状態で連結シャフト20を前方へ引くと、
図3に示すように、連結シャフト20は前方へ移動し、第1ストッパー係止孔15に通されているストッパーピン12が相対的に第1長穴25の後端へ移動し当接する。このとき、台車本体10の後端にストッパー片23が突き当たるようになっている。
【0032】
そして、
図3に示すように、連結シャフト20が前方へ移動したことに追従し、リンク機構30の第1アーム34が図中反時計回りに揺動し、第1押動部34aを第2アーム35の第1当接部35aに突き当てて、第2アーム35を図中反時計回りに揺動させる。
この第2アーム35の揺動に伴い、ターンバックル36がブレーキ接続板37を図中反時計回りに揺動させる。揺動したブレーキ接続板37は、ブレーキ機構40の摩擦パッドを車軸3の制動用円板から離間させる向きになる。
つまり、連結部21に連結したレールスクーターを前進させて連結シャフト20を引っ張り、連結シャフト20を前方へ移動させると、連結シャフト20と連動するリンク機構30の動作により、車輪1が転動しない制動状態から解除状態に切り替わるので、前進するレールスクーターで牽引して、作業台車100を前方へ移動させることができる。
【0033】
この作業台車100が牽引されて前方へ移動する際、第1ストッパー係止孔15に通されているストッパーピン12が第1長穴25の後端に当接するとともに、台車本体10の後端にストッパー片23が突き当たるので、牽引されている作業台車100の荷重がストッパーピン12とストッパー片23に分散されるようになり、その荷重がストッパーピン12に集中してしまうことでストッパーピン12が変形するようなトラブルを防止することが可能になっている。
【0034】
そして、レールスクーターが停止し、連結シャフト20を引かなくなると、台車本体10が慣性で移動して相対的に連結シャフト20が基準位置に戻り、リンク機構30が基準姿勢に戻ることで、ブレーキ機構40によって車輪1が転動しない制動状態に切り替わる。
再度レールスクーターが前進し、連結シャフト20を前方へ移動させると、ブレーキ機構40によって車輪1が転動しない制動状態から解除状態に切り替わるので、前進するレールスクーターで牽引して、作業台車100を前方へ移動させることができる。
【0035】
また、
図2に示した状態の作業台車100を後方へ移動させる場合、
図4に示すように、前後に並んでいる2つのストッパー係止孔のうち、後側にある第1ストッパー係止孔15からストッパーピン12を取り外す。
こうして第2ストッパー係止孔16と第2長穴26を連通するストッパーピン12が挿入されている状態で連結シャフト20を後方へ押すと、
図4に示すように、連結シャフト20は後方へ移動し、第2ストッパー係止孔16に通されているストッパーピン12が相対的に第2長穴26の前端へ移動し当接する。このとき、台車本体10の前端のストッパー受け板11にストッパー片22が突き当たるようになっている。
【0036】
そして、
図4に示すように、連結シャフト20が後方へ移動したことに追従し、リンク機構30の第1アーム34が図中時計回りに揺動し、第2押動部34bを第2アーム35の第2当接部35bに突き当てて、第2アーム35を図中反時計回りに揺動させる。
この第2アーム35の揺動に伴い、ターンバックル36がブレーキ接続板37を図中反時計回りに揺動させる。揺動したブレーキ接続板37は、ブレーキ機構40の摩擦パッドを車軸3の制動用円板から離間させる向きになる。
つまり、連結部21に連結したレールスクーターを後退させて連結シャフト20を押し込み、連結シャフト20を後方へ移動させると、連結シャフト20と連動するリンク機構30の動作により、車輪1が転動しない制動状態から解除状態に切り替わるので、後退するレールスクーターで押すようにして、作業台車100を後方へ移動させることができる。
【0037】
この作業台車100が押されて後方へ移動する際、第2ストッパー係止孔16に通されているストッパーピン12が第2長穴26の前端に当接するとともに、台車本体10の前端にストッパー片22が突き当たるので、押されている作業台車100の荷重がストッパーピン12とストッパー片22に分散されるようになり、その荷重がストッパーピン12に集中してしまうことでストッパーピン12が変形するようなトラブルを防止することが可能になっている。
【0038】
そして、レールスクーターが停止し、連結シャフト20を押し込まなくなると、台車本体10が慣性で移動して相対的に連結シャフト20が基準位置に戻り、リンク機構30が基準姿勢に戻ることで、ブレーキ機構40によって車輪1が転動しない制動状態に切り替わる。
再度レールスクーターが後退し、連結シャフト20を後方へ移動させると、ブレーキ機構40によって車輪1が転動しない制動状態から解除状態に切り替わるので、後退するレールスクーターで押すようにして、作業台車100を後方へ移動させることができる。
【0039】
このような作業台車100の進行方向を切り替える場合には、第1ストッパー係止孔15と第2ストッパー係止孔16に挿入するストッパーピン12の付け外しを行うようにする。
具体的には、前方へ移動可能となっていた作業台車100の進行方向を切り替え、後方へ移動可能とする場合、作業台車100が停止している状態で、前側の第2ストッパー係止孔16にストッパーピン12を挿入し、後側の第1ストッパー係止孔15からストッパーピン12を取り外す。こうすることで、作業台車100は
図4に示したように、後方へ移動することが可能になる。
同様に、後方へ移動可能となっていた作業台車100の進行方向を切り替え、前方へ移動可能とする場合、作業台車100が停止している状態で、後側の第1ストッパー係止孔15にストッパーピン12を挿入し、前側の第2ストッパー係止孔16からストッパーピン12を取り外す。こうすることで、作業台車100は
図3に示したように、前方へ移動することが可能になる。
【0040】
このように、本実施形態の作業台車100の進行方向を切り替える場合、第1ストッパー係止孔15と第1長穴25を連通するようにストッパーピン12を挿入することと、第2ストッパー係止孔16と第2長穴26を連通するようにストッパーピン12を挿入することを切り替えるようにすればよい。
ここで、第1ストッパー係止孔15と第2ストッパー係止孔16とが形成されているストッパー受け板11は、台車本体10の前端部に設けられており、第1長穴25と第2長穴26は、連結シャフト20の前端側に並んで形成されているので、ストッパーピン12の付け外し作業は、作業台車100の前端側で行うことができる。
つまり、従来技術の作業台車のように、その進行方向を切り替える度、ストッパーピンの付け外しを行うために作業員が作業台車の前後を行き来しなくて済むので、本実施形態の作業台車100の進行方向の切り替え作業は簡便に行うことができる。
【0041】
特に、第1ストッパー係止孔15及び第2ストッパー係止孔16と、第1長穴25及び第2長穴26は、連結シャフト20の連結部21の近傍にあり、連結部21に連結したレールスクーターを運転する作業者や、連結部21に連結した手押しハンドルを押し引きする作業者と比較的近い位置にあるので、作業員は作業台車100の進行方向を切り替える作業を速やかに行うことができる。
【0042】
以上のように、本実施形態の作業台車100の進行方向を切り替える作業は、作業員の配置に比較的近い作業台車100の前端側で行うことができるので、従来技術のように、作業員が作業台車の前後を行き来して行うことに比べ、その切り替え作業を容易に行うことができる。
【0043】
なお、以上の実施の形態においては、エンジン等の動力装置を搭載した走行車の一例としてレールスクーター(軌道巡回車)を利用し作業台車100を牽引することを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、軌陸車などを利用して作業台車100を牽引してもよい。
【0044】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。