(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、定着ベルト等として無端状の回転体を用いることがある。このような回転体における側端部の一部分のみが他の部材に対して押し付けられると、その一部分に荷重が集中することで側端部近傍に座屈が生じる虞があり、側端部近傍に座屈が生じることで回転体が破損する虞がある。
【0007】
この発明は、回転体の破損を生じにくくすることができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、無端状である回転体と、前記回転体に接触し、前記回転体との間に記録媒体を挟み込む挟込領域を形成する挟込領域形成部と、前記回転体の内周面側に配置されていて、前記回転体を回転可能に支持する支持部と、前記支持部に連結されていて、前記回転体と前記挟込領域形成部とが近づく方向と前記回転体と前記構造体とが遠ざかる方向とに揺動する揺動部材と、前記回転体と前記揺動部材との間に配置されていて、前記回転体の側端部が接触する接触面を有し、前記回転体の側端部側の移動を案内する案内部材と、前記揺動部材が傾くことに伴う前記接触面の傾きを低減させる傾き低減手段と、
を有する定着装置である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、前記案内部材は、前記揺動部材に対向する対向面をさらに有し、前記傾き低減手段は、前記対向面が前記接触面に対して傾斜することによりなる
請求項1記載の定着装置である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記揺動部材を回転可能に支持する支持軸と、前記回転体と前記挟込領域形成部材とが近づく方向へと前記揺動部材を付勢する付勢手段と、をさらに有し、前記対向面は、前記支持軸側から前記付勢手段側へと遠ざかるにしたがって前記揺動部材と前記対向面との間隔が大きくなるように傾斜している請求項2記載の定着装置である。
【0011】
請求項4に係る本発明は、前記案内部材は、前記支持部に対して移動することができるように、前記支持部に対して装着されている請求項1乃至3いずれか記載の定着装置である。
【0012】
請求項5に係る本発明は、前記案内部材は、前記揺動部材側に突出する突出部を有し、前記傾き低減手段は、前記突出部が前記揺動部材に接触し、前記揺動部材に接触する接触部を支点として、前記案内部材が前記揺動部材に対して前記回転体とともに移動する機構からなる請求項1記載の定着装置である。
【0013】
請求項6に係る本発明は、前記案内部材が、前記回転体と前記挟み込み領域形成部材とが近づく方向に対して傾く向きに、前記揺動部材に対して移動する請求項5記載の定着装置である。
【0014】
請求項7に係る本発明は、前記案内部材が、前記回転体と前記挟み込み領域形成部材とが近づく方向に対して傾く向きと、前記回転体と前記挟み込み領域形成部材とが近づく方向に対して交わる方向とに対して傾く向きに前記揺動部材に対して移動する請求項5記載の定着装置である。
【0015】
請求項8に係る本発明は、前記揺動部材は、前記案内部材側に突出する突出部を有し、前記傾き低減手段は、前記突出部が前記案内部材に接触し、前記突出部に接触する接触部を中心として、前記案内部材が前記揺動部材に対して前記回転体とともに移動する機構からなる請求項1記載の定着装置である。
【0016】
請求項9に係る本発明は、前記回転体の内周面に潤滑剤が塗布されていて、前記案内部材は、前記回転体の側端部により形成される開口部を塞ぐ位置に配置されている請求項1乃至8いずれか記載の定着装置である。
【0017】
請求項10に係る本発明は、記録媒体に現像剤像を形成する像形成部と、前記像形成部により現像剤像が形成された記録媒体に接触し、無端状である回転体と、前記回転体に接触し、前記回転体との間に記録媒体を挟み込む挟込領域を形成する挟込領域形成部と、前記回転体の内周面側に配置されていて、前記回転体を回転可能に支持する支持部と、前記支持部に連結されていて、前記回転体と前記挟込領域形成部とが近づく方向と前記回転体と前記挟込領域形成部とが遠ざかる方向とに揺動する揺動部材と、前記回転体と前記揺動部材との間に配置されていて、前記回転体の側端部が接触する接触面を有し、前記回転体の側端部側の移動を案内する案内部材と、前記揺動部材が傾くことに伴う前記接触面の傾きを低減させる傾き低減手段と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、回転の側端部が接触する接触面の傾きを低減させる傾き低減手段を有しない定着装置と比較して、回転体の破損を生じにくくすることができる定着装置を提供することができる。
【0019】
請求項2に係る本発明によれば、接触面に対して対向面を傾斜させずに傾き低減手段を構成する場合と比較して、傾き低減手段を簡単に構成することができる。
【0020】
請求項3に係る本発明によれば、揺動部材と対向面との間隔を変えずに傾き低減手段を構成する場合と比較して、傾き低減手段を簡単に構成することができる。
【0021】
請求項4に係る本発明によれば、案内部材が移動することができないように装着されている場合と比較して、回転体の即端部の一部分のみが案内部材の接触面に対して押し付けられる所謂エッジ当たりを生じにくくすることができる。
【0022】
請求項5に係る本発明によれば、突出部を有しない技術と比較して、傾き低減手段を簡単に構成することができる。
【0023】
請求項6に係る本発明によれば、案内部材が、回転体と挟み込み領域形成部材とが近づく方向と交わる方向に対して傾く向きに揺動部材に対して移動する技術と比較して、回転体と挟み込み領域形成部材とが近づく方向に案内部材が移動することにより生じる所謂エッジ当たりを生じにくくすることができる。
【0024】
請求項7に係る本発明によれば、一方向にのみ揺動部材が移動する技術と異なり、揺動部材に対して案内部材が全方向に移動することができる。
【0025】
請求項8に係る本発明によれば、突出部を有しない技術と比較して、傾き低減手段を簡単に構成することができる。
【0026】
請求項9に係る本発明によれば、案内部材が開口部を塞ぐ位置に配置されていない場合と比較して、潤滑剤を漏れ出しにくくすることができる。
【0027】
請求項10に係る本発明によれば、回転の側端部が接触する接触面の傾きを低減させる傾き低減手段を有しない画像形成装置と比較して、回転体の破損を生じにくくすることができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10が示されている。
図1に示されているように、画像形成装置10は画像形成装置本体20を有し、画像形成装置本体20には、記録媒体として用いられている用紙を排出する排出口22が形成されている。また、画像形成装置本体20の上側の面は、現像剤像が定着された用紙が排出される排出部24として用いられている。
【0030】
画像形成装置本体20内には、記録媒体に該当する用紙に現像剤像を形成する像形成部100がさらに配置されている。像形成部100は、像を保持する像保持体として用いられている感光体ドラム102と、感光体ドラム102の表面を均一に帯電する帯電装置104と、帯電装置104により均一に帯電された感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置106と、潜像形成装置106によって形成された潜像を現像剤を用いて現像する現像装置110と、現像装置110によって潜像が現像されることで感光体ドラム102の表面に形成された現像剤像を用紙に転写する転写装置112と、転写装置112によって現像剤像が用紙に転写された後に、感光体ドラム102の表面に残留する現像剤等を清掃する清掃装置114とを有する。
【0031】
画像形成装置本体20内には、像形成部100によって用紙に形成された現像剤像を用紙に定着させる定着装置200がさらに配置されている。定着装置200の詳細は後述する。
【0032】
また、画像形成装置本体20内には、像形成部100に用紙を供給する給紙装置500がさらに配置されている。給紙装置500は、積層された状態にある用紙を収納する用紙収納部510と、用紙収納部510に収納された用紙を後述する搬送路600へと送り出す送り出し装置512とを有する。
【0033】
また、画像形成装置本体20内には、用紙を搬送するための搬送路600が形成されていて、搬送路600の用紙搬送方向における上流側から順に、送路600に沿って、先述の給紙装置500と、レジストロール610と、先述の転写装置112及び先述の感光体ドラム102と、先述の定着装置200と、排出ロール612とが配置されている。
【0034】
レジストロール610は、給紙装置500及び給紙装置から供給された用紙の先端部の移動を一時的に停止させ、感光体ドラム102の表面に現像剤像が形成されるタイミングに合致させるように、感光体ドラム102と転写装置112とで形成される転写部への用紙の先端部の移動を再開させる。
【0035】
排出ロール612は、定着装置200によってトナー像が定着された用紙を、排出口22を通過させるようにして排出部24に向けて排出する。
【0036】
図2乃至
図5には定着装置200が示されている。
図2乃至
図5に示すように、定着装置200は、定着ベルト210を有する。定着ベルト210は、回転体として用いられていて、像形成部100により現像剤像が形成された用紙に接触し、無端状であり、帯状であり、可撓性を有する。また、定着ベルト210は、図示を省略する例えばモータ等から駆動が伝達されて、
図4に矢印aで示す方向に回転する。定着ベルト210は、例えば右側端部212Rや左側端部212L等の一部のみが対向する部材に対して押し付けられる所謂エッジ当たりをすることがあり、エッジ当たりをすることで定着ベルト210における右側端部212R近傍の一部分や左側端部212L近傍に一部分に対してのみに力が加わることで定着ベルト210に座屈が生じることがある。そして、定着ベルト210に座屈が生じると、定着ベルト210の座屈が生じた部分が破損する虞がある。
【0037】
定着装置200は、定着ロール220をさらに有する。定着ロール220は、挟込領域形成部として用いられていて、定着ベルト210に接触し、定着ベルト210との間に用紙が挟み込まれる挟込領域Nを形成する。定着ロール220は、右端部側に装着された右軸受222Rと、左端部側の装着された左軸受222Lによって回転することができるように支持されていて、例えば定着ベルト210とは独立に駆動が伝達されることで、
図4に示す矢印b方向に回転する。また、定着ロール220は円筒形状をしていて、定着ロール220の中空部には、例えばハロゲンランプ等を用いることができる熱源224が配置されている。
【0038】
定着ベルト210と定着ロール220とに独立に駆動を伝達することに替えて、定着ベルト210と定着ロール220との一方に駆動を伝達し、この一方に、定着ベルト210と定着ロール220の他方が従動するようにしてもよい。
【0039】
また、挟込領域Nを形成する挟込領域形成部として回転する定着ロール220を用いることに替えて、例えば定着パット(不図示)等の回転しない部材を用いてもよい。
【0040】
定着装置200は、右側板230Rと左側板230Lとをさらに有する。右側板230Rと左側板230Lとは、それぞれが底板部232を折り曲げるようにして形成されていて、底板部232を介して右側板230Rと左側板230Lとは一体となっている。また、右側板230Rには先述の右軸受222Rが固定されていて、左側板230Lには先述の左軸受222Lが固定されている。
【0041】
定着装置200は、ベルト支持部240をさらに有する。ベルト支持部240は、定着ベルト210の内周面側に配置されていて、定着ベルト210を回転可能に支持している。また、ベルト支持部240と定着ベルト210の内周面との間の摩擦を低減させるように、ベルト支持部240と定着ベルト210の内周面とには潤滑剤が塗布されている。
【0042】
定着ベルト210の内周面に塗布された潤滑剤が漏れ出し、定着ベルト210の外周面に付着すると、定着ベルト210の外周面に付着した潤滑剤が用紙に付着し、用紙が潤滑剤で汚れる虞がある。
【0043】
ベルト支持部240は、定着ベルト210の内周面に直接に接触する部分である支持部本体242と、支持部本体242から右側に突出した右突出部244Rと、支持部本体242から左側に突出した左突出部244Lとを有する。
【0044】
定着装置200は、右揺動部材250Rと左揺動部材250Lとをさらに有する。右揺動部材250Rと左揺動部材250Lとは、それぞれがベルト支持部240に連結されている。より具体的には、右揺動部材250Rが右突出部244Rに連結されていて、左揺動部材250Lが左突出部244Lに連結されている。
【0045】
右揺動部材250R、左揺動部材250L、ベルト支持部240及び定着ベルト210は、
図3、
図4に矢印c1で示す定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向と、
図3、
図4に矢印c2で示す定着ベルト210と定着ロール220とが遠ざかる方向とへ一体として揺動することができるようになっている。より具体的には、右揺動部材250Rは、右支持軸252Rを用いて右側板230Rに対して回転することができるように支持されていて、左揺動部材250Lは、左支持軸252Lを用いて、左側板230Lに対して回転することができるように支持されている。
【0046】
定着装置200は、それぞれが付勢手段として用いられている右コイルスプリング256R、左コイルスプリング256Lをさらに有する。右コイルスプリング256Rは、下端部側が右側板230Rに対して装着されていて、上端部側が右揺動部材250Rに対して装着されて、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向へと右揺動部材250Rを付勢している(
図3における矢印c1、矢印dを参照)。また、左コイルスプリング256Lは、下端部側が左側板230Lに対して装着されていて、上端部側が左揺動部材250Lに対して装着されて、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向へと左揺動部材250Lを付勢している(
図4における矢印c1、矢印dを参照)。
【0047】
定着装置200は、それぞれが案内部材として用いられている右案内部材260Rと左案内部材260Lとをさらに有する。右案内部材260Rは、定着ベルト210と右揺動部材250Rとの間に配置されていて(
図2を参照)、定着ベルト210の右側端部212R側の移動を案内している。また、左案内部材260Lは、定着ベルト210と左揺動部材250Lとの間に配置されていて(
図2を参照)、定着ベルト210の左側端部212L側の移動を案内している。右案内部材260Rと左案内部材260Lとの詳細は後述する。
【0048】
定着装置200は、傾き低減手段として用いられている右低減機構300Rと左低減機構300Lとをさらに有する。右低減機構300Rは、右揺動部材250Rが右側に傾くことに伴う接触面262(後述する、
図6を参照)の傾きを抑制するものである。左低減機構300Lは、左揺動部材250Lが左側に傾くことに伴う左案内部材260Lに形成された接触面(後述する)の傾きを抑制するものである。右低減機構300Rと左低減機構300Lとの詳細は後述する。
【0049】
以上のように構成された定着装置200においては、定着ベルト210が、定着ベルト210が回転する方向と交わる方向である右方向に移動することがある(
図2、
図5における矢印e1を参照)。また、定着ベルト210が回転する方向と交わる方向である左方向に移動することがある(
図2、
図5における矢印e2を参照)。これらの定着ベルト210の移動は、定着ベルト210と定着ロール220とが互いに押し付けられる力の左右方向における強さの違いから生じることが多く、この場合、定着ベルト210と定着ロール220とが互いに押し付けられる力の大きい側へと定着ベルト210が移動する。
【0050】
そして、このように定着ベルト210に左右いずれかの方向への移動が生じると、定着ベルト210の右側端部212Rの一部分だけが右案内部材260Rに対して押し付けられたり、定着ベルト210の左側端部212Lの一部分だけが左案内部材260Lに対して押し付けられたりすることで、定着ベルト210に破損が生じる虞がある。
【0051】
図6には、ベルト支持部240と右案内部材260Rとが示されている。
図6に示すように、右案内部材260Rは、接触面262と、対向面264と、案内部266とを有する。接触面262は、例えば定着ベルト210が右側に移動した際等に(
図6(B)における矢印e1を参照)、定着ベルト210の右側端部212Rが接触する面であり、例えば平面からなる。対向面264は右揺動部材250Rに対向する面であり、例えば平面からなる。また、案内部266は、定着ベルト210の右側端部212R側の移動を案内する曲面からなり、定着ベルト210の内側の面と接触している。
【0052】
接触面262は、定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して水平となるように形成されている。これに対して、対向面264は、定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して傾くように形成されている。このため、対向面264は、接触面262に対して傾斜している。また、対向面264が定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して傾く方向は、右支持軸252Rから右コイルスプリング256R側へと遠ざかるにしたがって右案内部材260Rの厚さが厚くなる向きとなっていて、右支持軸252Rから右コイルスプリング256R側へと遠ざかるにしたがって右揺動部材250Rと対向面264との間隔が小さくなる向きとなっている(
図7も参照)。
【0053】
右案内部材260Rには、貫通孔268が形成されている。貫通孔268は、ベルト支持部240が有する右突出部244Rの断面よりも、その断面が僅かに大きい。
【0054】
右案内部材260Rは、貫通孔268に対して右突出部244Rが挿入されるようにしてベルト支持部240に対して装着されている。そして、貫通孔268が右突出部244Rの断面よりも断面が僅かに大きくなるように形成されているため、
図6(B)の矢印fで示すように、右案内部材260Rはベルト支持部240の長手方向(
図6における上下方向)に対して傾くように移動をすることができるようになっている。
【0055】
以上で説明をした右案内部材260Rと同様に、左案内部材260L(
図1、
図4を参照)は、定着ベルト210の左側端部212Lが接触する接触面と、左揺動部材250Lに対向する対向面と、定着ベルト210の左側端部212L側の移動を案内する案内部とを有し、ベルト支持部240の左突出部244L(
図1を参照)に対し、ベルト支持部240の長手方向に対して傾くことができるように装着されている。
【0056】
図7には、右方向に移動した状態における定着ベルト210と、右揺動部材250Rと、右案内部材260Rとが示されている。定着ベルト210が矢印e1に示すように右側に移動をすると、定着ベルト210と一体としてベルト支持部240と右案内部材260Rとが右側に移動をする。そして、右案内部材260Rが右側に移動をすることにより、右案内部材260Rの対向面264に押されるようにして、右揺動部材250Rが右支持軸252Rを中心として右側に回転するように移動し、右揺動部材250Rが右側に傾く。
【0057】
この際、右案内部材260Rの対向面264が、定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して傾くように形成されているため、右揺動部材250Rが右側に傾いても、この傾きが対向面264の傾きより低減されて、接触面262の右側端部212Rが形成する面に対する傾きが低減する。そして、この実施形態においては、接触面262が、右側端部212Rが形成する面に対して略平行となっている。
【0058】
以上のように、この実施形態においては、右揺動部材250Rが右側に傾くことに伴う接触面262の傾きを低減する右低減機構300Rが、対向面264が接触面262に対して傾斜することによりなる。
【0059】
以上のように構成された定着装置200においては、右揺動部材250Rが右側に傾くことに伴う接触面262の傾きが抑制されるため、定着ベルト210の右側端部212Rの一部分のみが接触面262に対して押し付けられるとの弊害が生じにくくなり、右側端部212Rの一部分のみが接触面262に押し付けられることを原因とする定着ベルト210の座屈が発生しにくくなる。さらには、右案内部材260Rの厚さを、右支持軸252Rから右コイルスプリング256R側へと遠ざかるにしたがって厚くなるようにしているため、対向面264の全体が右揺動部材250Rに対して接触しやすくなり、右揺動部材250Rが急激に移動しにくくなり、右揺動部材250Rの挙動が安定しやすい。
【0060】
以上で説明をした右低減機構300Rと同様に左低減機構300Lが構成されていて、左低減機構300Lは、左揺動部材250Lが左側に傾くことに伴う左案内部材260Lの接触面の傾きを抑制する。このため、定着ベルト210の左側端部212Lの一部分のみが左案内部材260Lの接触面に対して押し付けられるとの弊害が生じにくくなり、左側端部212Lの一部分のみが接触面に押し付けられることを原因とする定着ベルト210の座屈が発生しにくくなる。
【0061】
図8には、第1の比較例に係る画像形成装置において、定着ベルト210が右方向に移動した状態における定着ベルト210と、右揺動部材250Rと、右案内部材260Rとが示されている。先述の本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、右案内部材260Rの対向面264は、定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して傾くように形成されていて、対向面264が接触面262に対して傾斜していていた。
【0062】
これに対して、この第1の比較例においては、右案内部材260Rの対向面264は、定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して水平となっていて、対向面264が接触面262に対して水平である。このため、この第1の比較例においては、右揺動部材250Rが右側に傾くことに伴う右案内部材260Rの接触面262の傾きが抑制されず、定着ベルト210の右側端部212Rの一部分のみが接触面262に対して押し付けられることになり、右側端部212Rの一部分のみが接触面262に押し付けられることを原因とする定着ベルト210の座屈が発生しやすい。
【0063】
図9には、本発明に第2の実施形態に係る画像形成装置10有する定着ベルト210と、右揺動部材250Rと、右案内部材260Rとが示されている。先述の本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、右案内部材260Rの対向面264が定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して傾くように形成されていて、対向面264が接触面262に対して傾斜していていた。これに対して、この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、対向面264は右側端部212Rが形成する面に対して水平であり、右案内部材260Rの接触面262が右側端部212Rが形成する面に対して傾くように形成されている。以上で第1の実施形態との違いを説明した部分を除き、この第2の実施形態の構成は、先述の第1の実施と同等である。
【0064】
図10には、本発明に第3の実施形態に係る画像形成装置10において、定着ベルト210が右方向に移動した状態における定着ベルト210と、右揺動部材250Rと、右案内部材260Rが示されている。先述の本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、右案内部材260Rの対向面264が定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して傾くように形成されていて、対向面264が接触面262に対して傾斜していていた。これに対して、この第2の実施形態に係る画像形成装置10においては、対向面264は右側端部212Rが形成する面に対して水平である。
【0065】
また、この第3の実施形態においては、右案内部材260Rの対向面264に凸部270が形成されている。そして、凸部270は、右支持軸252Rから右コイルスプリング256R側に遠ざかるにしたがって右揺動部材250Rと右案内部材260Rの対向面264との距離が大きくなるように形成されている。また、この第3の実施形態においては、右低減機構300Rが凸部270からなる。この実施形態によれば、右案内部材260Rを傾斜を有する複雑な形状とする必要がなくなり、右案内部材260Rの加工が容易になる。以上で第1の実施形態との違いを説明した部分を除き、この第3の実施形態の構成は先述の第1の実施と同等である。
【0066】
図11には、本発明に第4の実施形態に係る画像形成装置10において、定着ベルト210が右方向に移動した状態における定着ベルト210と、右揺動部材250Rと、右案内部材260Rとが示されている。先述の本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、右案内部材260Rの対向面264が定着ベルト210の右側端部212Rが形成する面に対して傾くように形成されていて、対向面264が接触面262に対して傾斜していていた。これに対して、この第4の実施形態に係る画像形成装置10においては、対向面264は右側端部212Rが形成する面に対して水平である。
【0067】
また、この第4の実施形態においては、右揺動部材250Rの右案内部材260R側の面に凸部280が形成されている。そして、凸部280は、右支持軸252Rから右コイルスプリング256R側に遠ざかるにしたがって右揺動部材250Rと右案内部材260Rの対向面264との距離が大きくなるように形成されている。右揺動部材250Rは、強度を確保するために金属製であることが多く、板状であることが多い。このため、凸部280が一体として形成された金属製の板を用いるよりも、凸部280を有しない右揺動部材250Rに、例えば樹脂等の別部材を装着して凸部280を形成する方が製造が容易である。また、この第4の実施形態においては、右低減機構300Rが凸部280からなる、以上で第1の実施形態との違いを説明した部分を除き、この第4の実施形態の構成は先述の第1の実施と同等である。
【0068】
図12及び
図13には、本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置10が有し、本発明の第5の実施形態に係る定着装置200が示されている。
図12及び
図13に示すように、この第5の実施形態に係る定着装置200は、貫通部材290を有する。貫通部材290は、右端部側が右揺動部材250Rに連結されていて、左端部側が左揺動部材250L(不図示、
図2を参照)に連結されていて、右案内部材260Rを貫通していて、左案内部材260L(不図示、
図2を参照)を貫通している。
【0069】
より具体的には、貫通部材290は、右案内部材260Rに形成されている貫通孔268を貫通し、左案内部材260Lに形成されている貫通孔268(不図示)を貫通している。ここで、右案内部材260Rと左案内部材260Lとにそれぞれに形成されている貫通孔268の断面形状は、貫通部材290の断面形状よりも若干大きい。このため、右案内部材260Rと左案内部材260Lとは、貫通部材290の長手方向に対して傾くように移動することができる。
【0070】
右案内部材260Rは、右揺動部材250R側に突出する突出部272を有する。突出部272は、定着ベルト210が蛇行するようにして右側に移動し、定着ベルト210とともに右案内部材260Rが右側に移動した際に、右揺動部材250Rの接触する。また、左案内部材260Lは、左揺動部材250L側に突出する突出部272を有する。突出部272は、定着ベルト210が蛇行するようにして左側に移動し、定着ベルト210とともに左案内部材260Lが右側に移動した際に、左揺動部材250Lの接触する。
【0071】
図14は、右案内部材260Rを示し、
図14(A)は右側面図であり、
図14(B)は正面図である。
図14に示すように、右案内部材260Rは、先述の案内部266を有し、先述の貫通孔268が形成されていて、先述の突出部272が形成されている。ここで、突出部272は、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向(
図14においては上下方向)と交わる方向(
図14においては左右方向)に延びる形状をしている。
【0072】
左案内部材260Lも、右案内部材260Rと同様に、案内部266を有し、貫通孔268が形成されていて、突出部272が形成されている。そして、突出部272は、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向と交わる方向に延びる形状をしている。
【0073】
図15は、右揺動部材250Rが左側に傾いた状態における定着装置200の動作が説明されていている。
図15(A)に示すように、右揺動部材250Rが左側に傾いた状態で定着ベルト210が蛇行をし、定着ベルト210が右側へと移動をすると、定着ベルト210と一体として右案内部材260Rが右側に移動する。そして、
図15(B)に示すように、右案内部材260Rの突出部272が右揺動部材250Rに接触すると、右揺動部材250Rに接触する接触部272tを支点として、右案内部材260Rが右揺動部材250Rに対して定着ベルト210とともに移動する。
【0074】
このため、右案内部材260Rが、例えば左側等に傾いた状態にある右揺動部材250Rに接触しても右案内部材260Rが傾きにくく、定着ベルト210の右側端部212Rが接触する面である右案内部材260Rの接触面262の傾きが低減する。すなわち、この実施形態においては、接触面262の傾きを低減させる右低減機構300Rは、突出部272が右揺動部材250Rに接触し、右揺動部材250Rに接触する接触部272tを支点として、右案内部材260Rが右揺動部材250Rに対して定着ベルト210とともに移動する機構からなる。
【0075】
ここで、右案内部材260Rは、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向(
図15における上下方向)に対して傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動する(
図14(A)の矢印を参照)。また、左案内部材260Lも、右案内部材260Rと同様に、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動する。
【0076】
以上で説明をした右低減機構300Rと同様に、接触面262の傾きを低減させる左低減機構300Lは、突出部272が左揺動部材250Lに接触し、左揺動部材250Lに接触する接触部272tを支点として、左案内部材260Lが左揺動部材250Lに対して定着ベルト210とともに移動する機構からなる。
【0077】
図16は、定着ベルト210が傾いた状態における定着装置200の動作が説明されていている。
図16(A)に示すように、定着ベルト210が傾いた状態で定着ベルト210が蛇行をし、定着ベルト210が
図16における右側へと移動をすると、定着ベルト210と一体として右案内部材260Rが
図16における右側に移動する。そして、
図16(B)に示すように、右案内部材260Rの突出部272が右揺動部材250Rに接触すると、右揺動部材250Rに接触する接触部272tを支点として、右案内部材260Rが右揺動部材250Rに対して定着ベルト210とともに移動する。
【0078】
このため、定着ベルト210とともに傾いた状態にある右案内部材260Rが、右揺動部材250Rに接触しても、右案内部材260Rの傾きが変化しにくく、案内部材260の傾きが変化することによる定着ベルト210の破損が生じにくい。
【0079】
以上で説明をした右案内部材260Rと同様に、左案内部材260Lも、左揺動部材250Lに接触しても傾きが変化しにくく、左揺動部材250Lの傾きが変化することによる定着ベルト210の破損が生じにくい。
【0080】
図17は、第2の比較例に係る画像形成装置10において、右揺動部材250Rが左側に傾いた状態における定着装置200の動作が説明されていている。先述の第1の実施形態においては、右案内部材260Rは、突出部272が右揺動部材250Rに接触すると、接触部272tを支点として、右案内部材260Rが右揺動部材250Rに対して定着ベルト210とともに移動した。これに対して、この比較例においては、突出部272が右揺動部材250Rに接触すると、
図17(B)に示すように、右案内部材260Rは、接触面262及び対向面264が、右揺動部材250Rと平行になるように移動する。
【0081】
このため、右案内部材260Rの傾きが変化することで、支持する定着ベルト210の一部分に強い力が加えられる虞があり、定着ベルト210の一部に力が加えられることにより定着ベルト210が破壊する虞がある。
【0082】
図18は、第2の比較例に係る画像形成装置10に係る画像形成装置10において、定着ベルト210が傾いた状態における定着装置200の動作が説明されていている。先述の第1の実施形態においては、右案内部材260Rは、突出部272が右揺動部材250Rに接触すると、接触部272tを支点として、右案内部材260Rが右揺動部材250Rに対して定着ベルト210とともに移動した。これに対して、この比較例においては、突出部272が右揺動部材250Rに接触すると、
図18(B)に示すように、右案内部材260Rは、接触面262及び対向面264が、右揺動部材250Rと平行になるように、定着ベルト210とは独立して移動をする。
【0083】
このため、右案内部材260Rの傾きが変化することで、支持する定着ベルト210の一部分に強い力が加えられる虞があり、定着ベルト210の一部に力が加えられることにより定着ベルト210が破壊する虞がある。
【0084】
図19は、本発明の第5の実施形態に係る定着装置の第1の変形例が有する右案内部材260Rを示し、
図19(A)は右側面図であり、
図19(B)は正面図である。先述の第5においては、右案内部材260Rに形成された突出部272は、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向と交わる方向に延びる形状をしていた。これに対して、この第1の変形例においては、突出部272は、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向(
図15、
図19における上下方向)に延びる形状をしている。
【0085】
このため、第1の変形例によれば、右案内部材260Rは、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して交わる方向に傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動する(
図19(A)の矢印を参照)。また、左案内部材260Lも、右案内部材260Rと同様に、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して交わる方向に傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動する。
【0086】
図20は、本発明の第5の実施形態に係る定着装置の第2の変形例が有する右案内部材260Rを示し、
図20(A)は右側面図であり、
図20(B)は正面図である。先述の第5においては、右案内部材260Rに形成された突出部272は、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向と交わる方向に延びる形状をしていた。これに対して、この第2の変形例においては、突出部272は、一点で右揺動部材250Rに接触するように(点接触するように)、対向面264から右揺動部材250R側へと、対向面264から例えば垂直の突出している。
【0087】
このため、第2の変形例によれば、右案内部材260Rは、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向(
図15、
図20における上下方向)に対して傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動するとともに(
図20(A)の矢印を参照)、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して交わる方向に対して傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動する
図20(A)の矢印を参照)。
【0088】
以上のように、突出部272が右揺動部材250Rに対して点接触し、右案内部材260Rが、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく向きと、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して交わる方向に対して傾く向きに同時に移動することができるため、右案内部材260Rは、右揺動部材250Rに対して全方向に対して移動することが可能となっている。
【0089】
また、第2の変形例によれば、左案内部材260Lも、右案内部材260Rと同様に、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動するとともに(
図20(A)の矢印を参照)、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して交わる方向に対して傾く向きに右揺動部材250Rに対して移動する
図20(A)の矢印を参照)。
【0090】
また、左案内部材260Lが有する突出部272が左揺動部材250Lに対して点接触し、左案内部材260Lが、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく向きと、定着ベルト210と定着ロール220とが近づく方向に対して交わる方向に対して傾く向きに同時に移動することができるため、左案内部材260Lは、左揺動部材250Lに対して全方向に対して移動することが可能となっている。
【0091】
図21は、本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置の第3の変形例の一部を示す図である。先述の本発明の第5の実施形態、第5の実施形態の第1の変形例及び第5の実施形態の第2の変形例においては、右案内部材260Rが右揺動部材250R側に突出する突出部272を有し、右低減機構300Rが、突出部272が右揺動部材250Rに接触し、右揺動部材に接触する接触部を支点として、右案内部材260Rが右揺動部材250Rに対して定着ベルト210とともに移動機構から構成されていた。
【0092】
これに対して、この第3の変形例においては、右揺動部材250Rが右案内部材260R側に突出する突出部292を有し、右低減機構300Rは、突出部292が右案内部材260Rに接触し、突出部292に接触する接触部を中心として、右案内部材260Rが右揺動部材250Rに対して定着ベルト210とともに移動する機構からなる。また、この第3の変形例においては、左揺動部材250Lが右案内部材260R側に突出する突出部292を有し、左低減機構300Lは、突出部292が左案内部材260Lに接触し、突出部292に接触する接触部を中心として、左案内部材260Lが左揺動部材250Lに対して定着ベルト210とともに移動する機構からなる。