(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.構成
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、収納箱BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての第1リールR1〜第3リールR3からなるリールユニットが収められている。また、筐体内のリールユニットの下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(
図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示す第1リールR1〜第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また、第1リールR1〜第3リールR3は、リール駆動手段としてのステッピングモータ(図示省略)に軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、ステッピングモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1〜第3リールR3を回転駆動し、制御基板から駆動パルスの供給が断たれると、ステッピングモータの回転が停止することに伴って第1リールR1〜第3リールR3が停止する。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1〜第3リールR3の停止状態では、第1リールR1〜第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が、遊技状態に応じてそれぞれ2枚又は3枚に設定されており、各遊技状態に設定された規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1、第3リールR3の中段と第2リールR2の上段とによって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインL1上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0017】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1〜ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0018】
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示機から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選コマンドに対応する表示である報知表示が表示される。また、主制御表示装置500では、報知表示の表示後、第1リールR1〜第3リールR3が停止した際に、報知表示を終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯することで、内部抽選で当選した役がどの役であるか遊技者が推測できるような報知表示が実行される。
【0019】
また、前面上扉UDには、演出を行うための表示装置330が設けられている。表示装置330は、例えば液晶ディスプレイから構成され、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像や画像が表示される。また、本実施形態のスロットマシン1では、前面上扉UDや前面下扉DDに対して、演出を行うためのスピーカ(図示省略)が複数設けられている。スピーカからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0020】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、第1リールR1〜第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1〜ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
【0021】
本実施形態のスロットマシン1では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、メダルが規定投入数以上にクレジットされている場合に、規定投入数と同じ回数シングルベットボタンBTを押下するシングルベット操作又はマックスベットボタンMBを押下するマックスベット操作を行うことで、規定投入数のメダルが投入状態に設定され、第1リールR1〜第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行すると、制御基板において第1リールR1〜第3リールR3をステッピングモータの駆動により回転開始させるとともに、乱数を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1〜第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇し定常回転になったことを条件に、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下操作が許可、すなわちストップボタンB1〜ストップボタンB3による停止操作が有効化される。
【0022】
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1〜ストップボタンB3を押下(以下、「押下タイミング」と記載)していくと、ストップボタンB1〜ストップボタンB3のそれぞれに内蔵されている停止信号出力手段としてのストップスイッチ240がON動作を行い、制御基板へ出力するリール停止信号をOFF状態からON状態へ変化させる。ここで、ストップスイッチは、例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサ等から構成される。
【0023】
また、遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1〜ストップボタンB3を解放すると、ストップボタンB1〜ストップボタンB3それぞれに対応するストップスイッチがOFF動作を行い、制御基板へ出力するリール停止信号をON状態からOFF状態に変化させる。そして、制御基板は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のOFF状態からON状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1〜第3リールR3を停止させる。
【0024】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0025】
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段100によって制御される。遊技制御手段100は、主に内部抽選、リール制御、メダルの払い出し、遊技状態の制御などの出玉に関する制御を担当するメイン基板100Aと、主に演出制御を担当するサブ基板100Bと、を備えて構成されており、これらメイン基板100A及びサブ基板100Bは、メイン基板100A側からサブ基板100B側へしか信号の通信ができないようになっている。
【0026】
ここで、メイン基板100Aは、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230及びストップスイッチ240と、の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット320、主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。サブ基板100Bは、メイン基板100Aからの信号を受けて表示装置330、音響装置340等の出力手段の動作を制御する。遊技制御手段100の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0027】
また、遊技制御手段100は、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190及びアシストタイム状態制御手段(以下、AT状態制御手段という)200を含む。遊技制御手段100を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。なお、演出制御手段180が読み出す演出データ記憶手段195及び演出抽選テーブル記憶手段196は、メイン基板100A側のメイン側記憶手段190Aではなく、サブ基板100B側に設けられたサブ側記憶手段190Bに設けられている。ここで、メイン側記憶手段190Aは、サブ側記憶手段190Bに比して、その容量が制限されており、サブ側記憶手段190Bより容量が小さくなっている。
【0028】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間において、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また、投入受付手段105は、メダルがクレジットされた状態でシングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、規定投入数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
【0029】
本実施形態において、投入受付手段105は、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態が非リプレイタイム状態〜リプレイタイム3状態(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)である場合に、規定投入数を第1規定投入数としての3枚に設定し、遊技状態が非RT状態〜RT3状態中に第2種特別役物としてのチャレンジボーナス(以下、「CB」と記載)が作動している場合に、規定投入数を第2規定投入数としての2枚に設定する。各遊技状態の詳細については、後述する。
【0030】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、第1リールR1〜第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0031】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。乱数は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0032】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0033】
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段191に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0〜65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。
【0034】
図3、
図4は、遊技状態が非RT状態〜RT3状態、非RT状態〜RT3状態におけるCB作動中である場合に選択される内部抽選テーブルである内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルHを示す図である。
図3に示すように、遊技状態が非RT状態〜RT3状態である場合に選択される内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルDは、小役を含む当選エリアの当選確率が同一に設定されており、小役を含む当選エリアとして、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」と、当選エリア「第1レア役」〜当選エリア「第3レア役」と、当選エリア「取りこぼし役」と、にそれぞれ乱数が対応付けられている。また、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルDでは、本実施形態において用意されているボーナスとして、CBに当選する当選エリアである当選エリア「CB」が抽選対象として設定されている。
【0035】
また、
図4に示すように、遊技状態が非RT状態〜RT3状態である場合におけるCB作動中に選択される内部抽選テーブルE〜内部抽選テーブルHは、現在のRT状態において選択されていた内部抽選テーブルにそれぞれ対応しており、現在のRT状態において当選可能なリプレイと、当選エリア「CB」と、に乱数が対応付けられている。
【0036】
図5は、非RT状態〜RT3状態において当選可能な小役を含む当選エリア(当選態様)と、各当選エリアの当選時に実行されるストップボタンB1〜ストップボタンB3の操作態様によって入賞可能となる小役と、を示す図である。
図5に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、入賞可能な小役(以下、「入賞役」と記載)として、ベル、特殊小役1〜特殊小役6、チェリー、スイカ及び取りこぼし役が用意されており、複数種類の入賞役が重複して当選する小役の当選エリア(当選態様)として、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」が設定されている。
【0037】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対して押下操作を実行する順番を意味し、打順1〜打順6の6通りの打順から構成されている。本実施形態のスロットマシン1では、ストップボタンB1を押下することが第1リールR1を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB2を押下することが第2リールR2を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB3を押下することが第3リールR3を停止させるための操作に対応する。このため、本実施形態のスロットマシン1では、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下順序が変化すると、第1リールR1〜第3リールR3の停止順序が変化する。
【0038】
打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0039】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって第1リールR1〜第3リールR3の回転が開始され、遊技者が最初に有効なストップボタンB1〜ストップボタンB3のいずれかを押下操作することを第1停止操作とも記載し、第1リールR1〜第3リールR3のうち、第1停止操作で押下操作されたストップボタンに対応した1つのリールの回転が停止した状態で遊技者が有効なストップボタンB1〜ストップボタンB3のいずれかを押下操作することを第2停止操作とも記載し、第1リールR1〜第3リールR3のうち第1停止操作で押下操作されたストップボタンに対応したリールと第2停止操作で押下操作されたストップボタンに対応したリールとの2つのリールの回転が停止した状態で遊技者が有効なストップボタンB1〜ストップボタンB3のいずれかを押下操作することを第3停止操作とも記載する。
【0040】
当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」は、ベルと、特殊小役1〜特殊小役6のうちいずれか1種類と、が重複して当選する当選エリアである。ここで、ベルは、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時に適切な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に、各ストップボタンの押下タイミングによらず入賞する入賞役であり、例えば当選エリア「打順ベル1」の当選時である場合には、打順1でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に入賞する。また、特殊小役1〜特殊小役6は、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞可能な打順以外の打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ各ストップボタンの押下タイミングが適切であった場合に入賞可能な入賞役であり、例えば当選エリア「打順ベル1」の当選時である場合には、打順2〜打順6のいずれかの打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ各ストップボタンの押下タイミングが適切であった場合に入賞する。
【0041】
なお、本実施形態のスロットマシン1において、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞させることができない打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、かつ特殊小役1〜特殊小役6を入賞させることができない押下タイミングで各ストップボタンが押下操作された場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)が発生する。また、以下の記載において、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞させることができる打順を、正解打順とも記載する。また、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時にベルを入賞させることができない打順を、不正解打順とも記載する。
【0042】
当選エリア「第1レア役」は、ベルに当選し、打順及び押下タイミングによらずベルが入賞可能に構成されている。また、当選エリア「第2レア役」は、チェリーに当選し、打順及び押下タイミングによらずチェリーを入賞可能に構成されている。また、当選エリア「第3レア役」は、スイカに当選し、打順及び押下タイミングによらずスイカを入賞可能に構成されている。なお、当選エリア「第1レア役」〜当選エリア「第3レア役」は、いずれも他の小役を含む当選エリアよりも当選する確率が低くなるように構成されている。また、以下の記載において、当選エリア「第1レア役」〜当選エリア「第3レア役」をまとめて当選エリア群「レア役」とも記載する。また、ベルと、チェリーと、スイカと、の入賞形態を示す図柄組合せについては、後述する。
【0043】
当選エリア「取りこぼし役」は、取りこぼし役に当選し、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングが適切な場合に取りこぼし役を入賞可能に構成されており、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングが取りこぼし役を入賞させることができない押下タイミングであった場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。
【0044】
次に、リプレイを含む当選エリアについて説明する。
図3、
図4に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイのみを含む当選エリアとして、当選エリア「通常リプレイ」と、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ12」と、当選エリア「レアリプレイ」と、当選エリア「打順レアリプレイ」と、が設定されている。
【0045】
図6は、非RT状態〜RT3状態において当選可能なリプレイを含む当選エリアと、各当選エリアの当選時に実行されるストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順によって入賞可能となるリプレイと、を示す図である。
図3、
図4、
図6(A)に示すように、当選エリア「通常リプレイ」は、遊技状態が非RT状態である場合に選択される内部抽選テーブルAと、遊技状態がRT3状態である場合に選択される内部抽選テーブルDと、非RT状態でのCB作動中における遊技が実行される場合に選択される内部抽選テーブルEと、RT3状態でのCB作動中における遊技が実行される場合に選択される内部抽選テーブルHと、のそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、通常リプレイに当選し、打順及び押下タイミングによらず通常リプレイを入賞可能に構成されている。
【0046】
図3、
図4、
図6(B)に示すように、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」は、遊技状態がRT1状態である場合に選択される内部抽選テーブルBと、RT1状態でのCB作動中における遊技が実行される場合に選択される内部抽選テーブルFと、において設定されている当選エリアであり、通常リプレイと、RT2移行リプレイと、に重複して当選し、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」のそれぞれに設定された打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合にはRT2移行リプレイが入賞し、それ以外の打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に通常リプレイが入賞する。また、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」は、特殊リプレイ1〜特殊リプレイ5といったリプレイと
図6(B)に示す組合せで重複当選することで、重複当選する当選態様がそれぞれ異なるように構成されている。なお、後述するリール制御手段130は、内部抽選手段120による内部抽選で特殊リプレイ1〜特殊リプレイ5を含む当選エリアに当選した場合に、ストップボタンB1〜ストップボタンB3がいずれの打順及び押下タイミングで押下操作された場合にも、特殊リプレイ1〜特殊リプレイ5の入賞図柄組合せが表示されないようにリール停止制御を実行するように構成されている。
【0047】
図3、
図4、
図6(C)に示すように、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」は、遊技状態がRT2状態である場合に選択される内部抽選テーブルCと、RT2状態でのCB作動中における遊技が実行される場合に選択される内部抽選テーブルGと、において設定されている当選エリアであり、通常リプレイと、RT1移行リプレイと、RT3移行リプレイと、に重複して当選し、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」のそれぞれに設定された打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合にはRT3移行リプレイが入賞し、RT3移行リプレイを入賞可能な打順と第1停止操作が共通する打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には通常リプレイが入賞し、それ以外の打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合にRT1移行リプレイが入賞する。また、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」は、特殊リプレイ1〜特殊リプレイ5といったリプレイと
図6(C)に示す組合せで重複当選することで、重複当選する当選態様がそれぞれ異なるように構成されている。
【0048】
図3、
図4、
図6に示すように、当選エリア「レアリプレイ」は、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルHのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、レアリプレイに当選し、打順及び押下タイミングによらずレアリプレイを入賞可能に構成されている。また、当選エリア「レアリプレイ」は、各内部抽選テーブルにおいて当選可能なリプレイを含む当選エリアのいずれの当選エリアよりも当選確率が低くなるように設定されている。
【0049】
図3、
図4、
図6に示すように、当選エリア「打順レアリプレイ」は、内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルHのそれぞれにおいて設定されている当選エリアであり、レアリプレイと、通常リプレイに当選し、打順1〜打順4でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には、押下タイミングによらずレアリプレイが入賞し、打順5、打順6でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合には、押下タイミングによらず通常リプレイが入賞するように構成されている。また、当選エリア「打順レアリプレイ」は、各内部抽選テーブルにおいて当選可能なリプレイを含む当選エリアのうち、当選エリア「レアリプレイ」に次いで当選確率が低くなるように設定されている。
【0050】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0051】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段192に格納される。
【0052】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230から、スタート信号が出力されたことに基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1〜第3リールR3の回転駆動を開始する。また、リール制御手段130は、第1リールR1〜第3リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作の検出に基づきストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、リールユニット310のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リールR1〜第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。このとき、リール制御手段130は、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1〜第3リールR3を抽選フラグの設定状態、すなわち内部抽選の結果に応じた態様で停止させる制御を行う。つまり、リール制御手段130は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の各ボタンが押下されるごとに、第1リールR1〜第3リールR3のうち押下されたストップボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。
【0053】
また、本実施形態のスロットマシン1では、第1リールR1〜第3リールR3について、ストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。リール制御手段130は、ストップボタンB1〜ストップボタンB3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールの外周面上において、内部抽選で当選した役に対応する図柄が、ストップボタンに対する押下操作が行われた時点で有効ラインL1上の表示位置に対して0コマ〜4コマの範囲内に位置する場合に、抽選フラグが当選状態に設定されている役に対応する図柄を有効ラインL1上の表示位置に表示するように、押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御を行っている。
【0054】
このため、スロットマシン1では、上述したベルや各リプレイのようなストップボタンB1〜ストップボタンB3の押下タイミングによらず入賞可能な役の入賞図柄組合せを構成する図柄が、第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれにおいて、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに表示可能な範囲内に配列されている。特に、ベルの入賞図柄組合せのうち、第3リールR3に表示可能な図柄については、第3リールR3の滑りコマ数が最大1コマとなるCB作動時である場合にもストップボタンB3の押下タイミングによらず表示可能となるように配列されている。
【0055】
リール制御手段130は、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号を受信し、第1リールR1〜第3リールR3の回転を開始して1回の遊技を開始した場合に、一般にウェイト(又はウェイト時間)と称される待機時間(約4.1秒)を設定するように構成されている。そして、リール制御手段130は、待機時間の設定から待機時間が経過するまでの期間内にスタート信号をスタートスイッチ230から受信した場合に、待機時間が経過した後に第1リールR1〜第3リールR3の回転を開始するように構成されている。この構成により、リール制御手段130は、1回の遊技の開始から次の遊技の開始までに一定の時間として最小遊技時間(約4.1秒)を経過してから遊技を開始させることができる。
【0056】
リール制御手段130は、ロジック演算により回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段193に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理とを行っている。
【0057】
まず、ロジック演算処理では、役ごとに定められた優先順位データに従ってストップスイッチ240の作動時点、つまりストップボタンの押下操作を検出した時点におけるリールの位置である押下検出位置から0コマ〜4コマの範囲内に存在する5コマ分の停止位置の候補に対して優先度を求める。ここで、リール制御手段130は、リールユニット310に設けられたフォトセンサが各リールに設けられたリール位置検出部を検出した場合に出力されるリールが1回転したことを示す情報であるリールインデックスと、リールインデックスが検出されるリールの基準位置からの回転角度(ステッピングモータに供給した駆動パルスの供給回数から算出)を用いて、ストップスイッチ240からリール停止信号を受信した時点におけるリールの回転状態を取得する。そして、各停止位置の候補の優先度のうち最も優先度の高い停止位置の候補を実際の停止位置として決定する。ただし、ロジック演算処理では、内部抽選の結果や押下検出位置等に応じて複数の停止位置の候補に対して同一の優先度が求まる場合がある。最も優先度の高い停止位置の候補が複数となった場合には、テーブル参照処理によって実際の停止位置を決定する。
【0058】
ロジック演算処理では、2種類以上の役に関する抽選フラグが当選状態に設定されている場合、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補を、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補よりも優先度が高くなるように優先度を求める。本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態が非RT状態〜RT3状態である場合、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。また、本実施形態のスロットマシン1において、CB作動中である場合には、「小役>リプレイ>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、本実施形態のスロットマシン1は、CB作動中である場合におけるリール停止制御の実行時において、小役とリプレイ又はボーナスとに重複して当選した場合に、リプレイ及びボーナスに優先して小役の入賞図柄組合せを構成する図柄を有効ラインL1上に停止する。
【0059】
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法とが存在する。有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合には、有効ラインL1上に表示可能な入賞図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先度が高くなるように各停止位置の候補の優先度を求める。また、メダルの払出数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合には、有効ラインL1上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置、すなわち配当が多い小役を入賞させることができる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補の優先度を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0060】
また、ロジック演算処理では、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールの停止位置の候補を求める処理として行っている。ここで、引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるようにリールの停止位置の候補を求める処理である。一方、蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役を入賞させることができないようにリールの停止位置の候補を求める処理である。このように、リール制御手段130は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止しないようにリールの停止位置の候補を求めるロジック演算処理を行っている。
【0061】
ここで、本実施形態のスロットマシン1において、CBが入賞しCBが作動した場合、リール制御手段130は、第1リールR1〜第3リールR3のうち第3リールR3について、ストップボタンB3が押下された時点から75ms以内に回転中の第3リールR3を停止するようにリールの停止制御を実行する。ストップボタンの押下時点から75ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で1コマ分回転可能に構成されている。
【0062】
なお、リール制御手段130は、CB作動中におけるリールの停止制御において、第1リールR1〜第3リールR3のうち、予め定められた少なくとも1つのリールをストップボタンが押下された時点から75ms以内に停止するようにリール停止制御を実行すればよく、本実施形態においては、ストップボタンB3が押下操作されたことでストップスイッチ240から出力されるリール停止信号を検出した時点から75ms以内に第3リールR3を停止するようにリールの停止制御を実行するが、第1リールR1や第2リールR2といった他のリールに対応するストップボタンが押下操作されたことをストップスイッチ240が検出し、リール停止信号がストップスイッチ240から出力された時点から75ms以内にリールを停止するようにリールの停止制御を実行するように構成されていてもよく、ストップスイッチ240からリール停止信号が出力された時点から75ms以内にリールを停止するように設定されるリールの本数は、1本ではなく複数本であってもよい。
【0063】
入賞判定手段140は、第1リールR1〜第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段194に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1〜第3リールR3の全てが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、小役、リプレイ、ボーナスの入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。
【0064】
また、本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナスが入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に入賞したボーナスを作動させる処理が行われる。
【0065】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0066】
本実施形態において、小役の配当は、第1規定投入数である場合と第2規定投入数である場合とで異なる払出数が設定されている。規定投入数が第1規定投入数に設定されている場合、ベルの配当は、第1規定投入数よりも多い9枚に設定され、チェリー及びスイカの配当は、第1規定投入数と同数の3枚に設定され、特殊小役1〜特殊小役6及び取りこぼし役の配当は、第1規定投入数よりも少ない1枚に設定されている。また、規定投入数が第2規定投入数に設定されている場合、ベル、チェリー及びスイカの配当は、第2規定投入数よりも多い15枚に設定され、特殊小役1〜特殊小役6及び取りこぼし役の配当は、第2規定投入数よりも少ない1枚に設定されている。なお、本実施形態において、CBは、入賞時にメダルの払い出しが実行されない役となっている。
【0067】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0068】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0069】
遊技状態移行制御手段170は、非RT状態〜RT3状態の間で遊技状態を移行させ、リプレイの当選態様を変更させるRT状態移行制御処理と、リール制御手段130によるリール停止制御によってボーナスの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、有効ラインL1上に表示されたボーナスを作動させるボーナス作動制御処理と、の遊技状態移行制御を行う。
【0070】
図7は、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態移行制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。なお、以下の記載において、非RT状態〜RT3状態のうちCBが作動していない状態をまとめて「非ボーナス状態」とも記載する。
【0071】
まず、RT状態移行制御処理の詳細について説明する。
図7に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、非RT状態からはRT1状態への移行が可能となっている。具体的には、非RT状態において当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」のいずれかが当選し、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御により小役、リプレイ及びボーナスのいずれの役の入賞図柄組合せとは異なる図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合にRT1状態へ移行する。また、非RT状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/7.3に設定された内部抽選テーブルAを参照した内部抽選が行われる。
【0072】
RT1状態は、非RT状態と、RT2状態と、RT3状態と、から移行可能な通常の状態に相当する遊技状態で、RT1状態からはRT2状態への移行が可能となっている。具体的には、RT1状態において、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」のいずれかに当選し、かつRT2移行リプレイを入賞可能な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御によりRT2移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、RT2状態に移行する。RT1状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/7.3に設定されている内部抽選テーブルBを参照した内部抽選が行われる。
【0073】
RT2状態は、RT1状態においてリール制御手段130によるリール停止制御によりRT2移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RT2状態からは、RT1状態と、RT3状態と、への移行が可能となっている。具体的には、RT2状態において、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」のいずれかに当選し、かつRT1移行リプレイを入賞可能な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御によりRT1移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合と、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」のいずれかが当選し、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御により小役、リプレイ及びボーナスのいずれの役の入賞図柄組合せとは異なる図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合と、に、RT1状態に移行する。また、RT2状態において、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」のいずれかに当選し、かつRT3移行リプレイを入賞可能な打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御によりRT3移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、RT3状態に移行する。RT2状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/7.3に設定されている内部抽選テーブルCを参照した内部抽選が行われる。
【0074】
RT3状態は、RT2状態においてリール制御手段130によるリール停止制御によりRT3移行リプレイの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RT3状態からは、RT1状態への移行が可能となっている。具体的には、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」のいずれかが当選し、かつストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作され、リール制御手段130によるリール停止制御により小役、リプレイ及びボーナスのいずれの役の入賞図柄組合せとは異なる図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、RT1状態に移行する。RT3状態では、リプレイの当選確率が例えば約1/1.4に設定されることで、小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに当選する確率が極めて高く設定されている内部抽選テーブルDを参照した内部抽選が行われる。
【0075】
本実施形態のスロットマシン1では、非RT状態〜RT3状態の間で遊技状態を遷移させることで、各遊技状態で異なる遊技性を実現している。具体的には、本実施形態のスロットマシン1においては、通常の遊技が実行されるRT1状態と、リプレイの当選確率が高いRT3状態へ移行する頻度を抑制し過度にメダルの支払いが行われることを防止するRT2状態と、高確率でリプレイに当選することで毎回の遊技において小役、リプレイ又はボーナスのいずれかに極めて高い確率で当選可能なRT3状態と、でそれぞれ異なる遊技性を実現している。
【0076】
また、上述した通り、RT2状態において当選可能なリプレイである当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」は、RT3移行リプレイを入賞させることができる打順と第1停止操作が共通の打順でストップボタンB1〜ストップボタンB3が押下操作された場合に、RT1移行リプレイではなく通常リプレイが入賞するように構成されている。つまり、スロットマシン1では、RT2状態からRT1状態に遊技状態が移行する確率を低下させてRT2状態での遊技が実行される確率を高めることで、RT2状態からRT3状態への移行確率を高めることができるように構成されている。
【0077】
次に、遊技状態移行制御手段170が実行するボーナス作動制御処理のうち、CBが入賞した場合に実行する処理について説明する。上述した通り、本実施形態のスロットマシン1は、CB非作動中における当選エリア「CB」に当選した遊技において、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順及び押下タイミングによらずCBが入賞するように、CBの入賞図柄組合せと、第1リールR1〜第3リールR3のそれぞれの周面に配列された図柄と、が構成されている。また、遊技状態移行制御手段170は、リール制御手段130によるリール停止制御によってCBの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示された場合に、CBを作動させる。
【0078】
CBが作動した場合、遊技状態移行制御手段170は、1回の遊技が実行されると、CBを終了する。また、遊技状態移行制御手段170は、CBが作動した場合に、CBの作動に基づき遊技状態を変更しないように構成されている。例えば、遊技状態がRT2状態である状態でCBに当選し、CBの入賞に基づきCBを作動させた場合、遊技状態移行制御手段170は、CBの当選及び作動が遊技状態の移行条件ではないことから、現在の遊技状態であるRT2状態を維持したままCBを作動させる。
【0079】
CB作動中において、遊技状態移行制御手段170は、現在の遊技状態においてCBが作動した場合に対応する内部抽選テーブルを、内部抽選手段120に参照させる。遊技状態移行制御手段170は、例えば、遊技状態がRT1状態である状態でCBが作動した場合には、遊技状態がRT1状態である場合に参照させていた内部抽選テーブルB(
図3参照)に対応する内部抽選テーブルである内部抽選テーブルF(
図4参照)を参照させる。
図4に示すように、内部抽選テーブルE〜内部抽選テーブルHは、それぞれ
図3に示す内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルDに対応しており、対応する内部抽選テーブル同士において、リプレイの当選態様と、ボーナスの当選態様と、が共通のものとなっている。
【0080】
つまり、内部抽選手段120は、CB作動中における内部抽選において、ボーナスであるCBの作動中であるにも関わらず、ボーナスを含む当選エリアである当選エリア「CB」に当選可能に構成されている。
【0081】
そして、CB作動中である場合、内部抽選手段120は、内部抽選の結果によらずすべての小役の抽選フラグを成立状態(ON状態)にセットする。上述した通り、本実施形態のリール制御手段130は、CB作動中である場合、リール停止制御によりリプレイ及びボーナスに優先して小役の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止するように構成されている。また、上述したように、ベルの入賞図柄組合せは、第3リールR3の滑りコマ数が最大1コマとなるCB作動中である場合にもストップボタンB3の押下タイミングによらず表示可能となる図柄を有する図柄組合せとなっている。このため、スロットマシン1では、CB作動中である場合に、内部抽選手段120による内部抽選の結果と、ストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順及び押下タイミングと、によらずベルを入賞可能に構成されており、CBが作動した状態で遊技が実行されることで、遊技者が確実にメダルを獲得することができるように構成されている。
【0082】
演出制御手段180は、演出データ記憶手段195に記憶されている演出データに基づいて、例えば、表示装置330を用いて行う表示演出や音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1〜ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、表示装置330の表示内容の変化、スピーカからの音の出力、スタートスイッチ230からスタート信号が出力された状態で第1リールR1〜第3リールR3の回転開始を遅延させる第1リールR1〜第3リールR3を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0083】
また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。なお、本実施形態において、演出制御手段180は、乱数を用いる抽選処理ごとに、乱数生成手段110の乱数格納領域から乱数を取得し、演出抽選テーブル記憶手段196に記憶されている複数の演出抽選テーブルのうち、各抽選処理に必要な演出抽選テーブルを用いて各抽選処理を実行する。
【0084】
AT状態制御手段200は、特定役の入賞を補助する入賞補助制御が実行されるアシストタイム状態(以下、アシストタイムのことを「AT」とも記載)と、入賞補助制御が実行されない非アシストタイム状態(非AT状態)と、の間での移行に係る制御を実行する。即ち、別の言い方をすれば、AT状態制御手段200は、本実施の形態においては、遊技に関する状態を複数の遊技に関する状態の間で移行させる状態移行手段とも言える。
【0085】
ここで、AT状態制御手段200は、AT状態において、打順によって入賞する役が異なる当選エリアに内部抽選で当選した場合に、特定役が入賞する確率を上げるための制御として、内部抽選手段120に当選した当選エリアに応じてそれぞれ異なる当選コマンドを作成させる制御である入賞補助制御を実行し、作成させた当選コマンドを主制御表示装置500に送信させることで、内部抽選で当選した当選エリアがいずれの当選エリアであるかを報知する報知表示を主制御表示装置500に実行させる。ここで、入賞補助制御の対象になる当選エリアは、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」と、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ12」と、が含まれる。また、入賞補助制御によって入賞する確率が上がる特定役は、当選エリア「打順ベル1」〜当選エリア「打順ベル6」の当選時のベル、当選エリア「打順リプレイ1」〜当選エリア「打順リプレイ6」の当選時のRT2移行リプレイ、当選エリア「打順リプレイ7」〜当選エリア「打順リプレイ12」の当選時のRT3移行リプレイである。
【0086】
AT状態制御手段200は、記憶手段190の状態制御データ記憶手段197に記憶されている各データを用いて非AT状態及びAT状態における制御処理を実行する。具体的には、AT状態制御手段200は、例えばAT状態を実行するか否かを決定する抽選であるAT抽選を実行する場合に、乱数生成手段110から取得した乱数と比較するための抽選テーブルであるAT抽選テーブルを、状態制御データ記憶手段197から取得してAT抽選を実行する。なお、状態制御データ記憶手段197には、AT状態制御手段200が非AT状態及びAT状態における制御処理で実行する際にON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ及び各種制御データも格納されている。
【0087】
図8は、AT状態制御手段200によって制御される非AT状態とAT状態とを示す状態遷移図である。本実施形態のスロットマシン1は、AT状態制御手段200によって制御される状態として、入賞補助制御が実行されない非AT状態として、通常非アシストタイム状態(通常非AT状態)とチャンスゾーン状態(以下、CZ状態という)とを有し、入賞補助制御が実行されるAT状態として、準備状態、通常アシストタイム状態(以下、通常AT状態)と上乗せ特化状態と第1および第2特化状態を有している。
【0088】
まず、入賞補助制御が実行されない非AT状態について説明する。通常非AT状態は、入賞補助制御が実行されない非AT状態であり、かつCZ状態でない場合に実行される状態であり、他の状態が開始されるまで継続する状態である。通常非AT状態において、AT状態制御手段200は、予め定められた所定の当選役に当選した場合や予め定められた遊技回数の遊技が実行された場合等の、予め定められた抽選条件が成立した場合に、AT状態の実行を決定するか否かを抽選により決定するAT抽選を実行するように構成されている。本実施形態のAT状態制御手段200においては、予め定められた抽選条件として内部抽選で当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合にAT抽選を実行する。
【0089】
また、CZ状態は、非AT状態において、記憶手段190のCZポイントカウンタ250の値が閾値に到達することによって移行する状態であり、このCZポイントカウンタ250は、上記AT抽選に外れるなど、遊技者にとって不利な事象が発生したことに基づいて実行されるCZポイント(マイナスポイント)抽選によってその値が加算(更新)されるように構成されている。通常非AT状態からCZ状態へと移行すると、AT状態制御手段200は、記憶手段190のCZカウンタ251に規定の保障ゲーム数(本実施の形態では30ゲーム)に相当する値をセットし、遊技が実行される度にこのCZカウンタの値を減算(更新)する。そして、このCZ状態において、上述のAT抽選に当選すると記憶手段190のATストックカウンタ252の値が加算(更新)され、規定保障ゲーム数の遊技が実行された後に、詳しくは後述する第1特別上乗せ特化状態を介して通常上乗せ特化状態へと移行するように構成されている。また、規定の保障ゲーム数の遊技が実行された際にATストックカウンタ252の値が「0」の場合(即ち、AT抽選に当選していない場合)、AT状態制御手段200は、次ゲームから転落抽選を実行し、この転落抽選に当選することによって、CZ状態から通常非AT状態へと移行される。
【0090】
ついで、AT状態について、詳しく説明をする。上述したようにAT状態は、準備状態、通常上乗せ特化状態、通常AT状態及び第1及び第2特別上乗せ特化状態を備えており、通常上乗せ特化状態において通常AT状態を実行するゲーム数を加算し、この通常AT状態において入賞補助演出を受けながら遊技を進行することによりメダルを増加するように構成されている。上記準備状態は、通常非AT状態もしくは第1特別上乗せ特化状態から移行可能な状態であり、この状態においてAT状態制御手段200は、遊技状態がRT3状態となるように入賞補助演出を実行し、遊技状態がRT3状態になると通常上乗せ特化状態へと移行する。なお、準備状態において、入賞補助演出にて指示した打順と異なる打順で遊技を実行した場合、AT状態制御手段200は、遊技状態がRT3状態となっていなくとも通常上乗せ特化状態へと移行する。
【0091】
通常上乗せ特化状態は、上記準備状態から移行可能な状態であり、AT状態制御手段200は、通常上乗せ特化状態の開始時に、記憶手段190に格納されるカウンタであり、通常上乗せ特化状態を実行する遊技回数を管理する通常上乗せ状態終了判定カウンタ253に所定値(本実施の形態では「5」)をセットし、通常上乗せ特化状態において毎回の遊技が実行される都度通常上乗せ状態終了判定カウンタ253の記憶値を1ずつ減算(更新)する。そして、通常上乗せ状態終了判定カウンタ253の記憶値が値「0」に達した場合に、AT状態制御手段200は、1セットの通常上乗せ特化状態を終了すると判定し、1セットの通常上乗せ特化状態の終了後に上乗せ特化状態を終了せずに継続するか否かを決定する上乗せ継続判定処理を実行する。
【0092】
上記通常上乗せ特化状態における遊技では、通常AT状態の終了条件を管理する通常AT状態終了判定カウンタ254の値を更新する量を抽選するAT上乗せ抽選を実行するか否かを抽選する上乗せ前抽選が毎ゲーム実行され、この上乗せ前抽選に当選すると上記AT上乗せ抽選が実行されるように構成されている。そして、AT上乗せ抽選が実行されると、その抽選結果に応じて通常AT状態終了判定カウンタ254の値が更新されるようになっている。
【0093】
通常AT状態は、通常上乗せ特化状態から移行される状態である。通常AT状態において、AT状態制御手段200は、通常AT状態において毎回の遊技が実行される都度AT状態終了判定カウンタ254の記憶値を1ずつ減算することで、所定の値としての値「0」に近づく方向に通常AT状態ゲーム数カウンタの記憶値を更新する。そして、AT状態終了判定カウンタ198Aの記憶値が値「0」に達した場合に、AT状態制御手段200は、通常AT状態及びAT状態を終了し、次回のゲームから非AT状態の通常非AT状態を開始する。
【0094】
第1特別上乗せ特化状態は、CZ状態と通常上乗せ特化状態との間に存在する状態であり、CZ状態において上述した保障ゲーム数が実行された際にATストックカウンタ252の値が1以上であることに基づいて移行する状態である。この第1特別上乗せ特化状態に移行すると、AT状態制御手段200は、記憶手段190の第1特別上乗せカウンタ256に規定の保障ゲーム数(本実施の形態では12ゲーム)に相当する値をセットし、遊技が実行される度にこの第1特別上乗せカウンタ256の値を減算(更新)する。第1特別上乗せ特化状態の各遊技において、AT状態制御手段200は上乗せストック抽選を実行し、この上乗せストック抽選に当選すると、記憶手段190の上乗せストックカウンタ258の値が加算(更新)されて、上述した通常上乗せ特化状態における上乗せ前抽選の当選がストック(貯留)される。即ち、上乗せ前抽選時に上乗せストックカウンタ258の値が「0」以上の場合、この上乗せストックカウンタ258のカウンタ値を消費して、AT状態制御手段200は、上乗せ前抽選をその抽選結果に係わらず当選とする。なお、本実施の形態では、上記上乗せストックカウンタ258は、予め所定の初期値が付与される。具体的には、本実施の形態においては、AT抽選の当選特典及び特別上乗せ特化状態への突入特典として第1特別上乗せ特化状態へと移行する際に値「2」が初期値として付与される。これら保障されたストックは、第1特別上乗せ特化状態の最終ゲームの手前の遊技において演出装置300により報知するか否かの抽選が行われており、この報知抽選に当選した際に報知が実行される。また、最終遊技まで上記報知抽選に当選しなかった場合には、最終遊技にて遊技者に報知される。更に、第1特別上乗せ特化状態において、AT状態制御手段200は、入賞補助演出を実行せず、RT状態が通常上乗せ特化状態及び通常AT状態の際のRT3状態とならないようにしている。
【0095】
第2特別上乗せ特化状態は、通常AT状態と通常上乗せ特化状態との間に存在する状態であり、AT状態終了判定カウンタ254の値が「0」となった際に、抽選フラグ記憶手段192に記憶されている引き戻しフラグが「ON」となっていることに基づいて移行する所謂、引戻しゾーンである。より具体的には、上記引き戻しフラグは、上述した準備状態から通常上乗せ特化状態への移行時に実行される引き戻し抽選に当選することによって「ON」となり、この引き戻しフラグが「ON」の状態でAT状態終了判定カウンタ254の値が「0」となると、通常非AT状態へとは移行せずに第2特別上乗せ特化状態を介して再度、通常上乗せ特化状態へと移行するようになっている。
【0096】
第2特別上乗せ特化状態に移行すると、AT状態制御手段200は、記憶手段190の第2特別上乗せカウンタ257に規定の保障ゲーム数(本実施の形態では11ゲーム)に相当する値をセットし、遊技が実行される度にこの第2特別上乗せカウンタ257の値を減算(更新)する。第2特別上乗せ特化状態においては、AT状態制御手段200は、第1特別上乗せ特化状態と同様に、各ゲームにおいて上乗せストック抽選を実行する。
【0097】
2.データ削減構成
ついで、本実施の形態に係るスロットマシン1のデータ削減構成について説明をする。上述した第1及び第2特別上乗せ特化状態は、上乗せストックカウンタ258の値(上乗せ前抽選の当選ストック)を貯めるというゲーム性が共通しており、本実施の形態においては、これら第1及び第2特別上乗せ特化状態は、AT状態制御手段200が状態制御データ記憶手段197中において同じデータ領域のデータ(
図2の特定状態データ197A)を読み出すことによって実現されている。
【0098】
即ち、
図8では便宜的にこれら第1及び2特別上乗せ特化状態を別個の状態として記載しているが、遊技に関する状態としては、これら第1及び2特別上乗せ特化状態は同じ特別上乗せ特化状態(以下、特定状態という)であり、第1及び第2特別上乗せ特化状態の制御データを兼用することによって、記憶手段190の容量、特に容量の制限の厳しいメイン側記憶手段190Aの容量の削減を図っている。
【0099】
また、AT状態制御手段200を含むメイン基板100Aは、演出制御手段180を含むサブ基板100Bに対して、内部抽選の抽選結果のみならず、上記特定状態に移行する遊技に関する状態の移行態様を示す情報を送信している。このため、演出制御手段180は、このメイン基板100Aからの移行態様を示す情報に基づいて、第1及び第2特別上乗せ特化状態を判別し、それぞれ第1特別上乗せ特化状態の場合と、第2特別上乗せ特化状態の場合とで演出装置300に実行させる演出状態を変更している。
【0100】
より具体的には、上記特定状態に移行する遊技に関する状態の移行態様がCZ状態からの移行を示す第1移行態様の場合、演出制御手段180は、上記特定状態において演出装置300を第1特別上乗せ特化状態用の第1演出状態とし、上記特定状態に移行する遊技に関する状態の移行態様が通常AT状態からの移行を示す第2移行態様の場合、演出制御手段180は、上記特定状態において演出装置300を第2特別上乗せ特化状態用の第2演出状態としている。なお、サブ側記憶手段190Bの演出データ記憶手段195には、上記第1及び第2演出状態と対応する第1及び第2演出データ195A,195Bが記憶されており、演出制御手段180は、これらのデータを読み出して、演出装置300の演出状態を第1及び第2演出状態とする。
【0101】
上述したように、本実施の形態では、遊技に関する状態の移行態様に基づいて、1つの遊技に関する状態に対して、複数の演出状態を対応付けることによって、少ないデータ容量で多様なゲーム性を遊技者に提供することが可能となっている。より具体的には、本実施の形態では、メイン基板100A側の処理であるメイン処理と、サブ基板側の処理であるサブ処理との協働によって、異なる複数の上乗せ特化状態を形成しており、複数の上乗せ特化状態(第1及び第2特別上乗せ特化状態)に対応した共通メイン処理と、上記複数の上乗せ特化状態に対応した複数のサブ処理とを備えている。そして、メイン基板100A側の状態(メイン状態)に基づいて、上記共通メイン処理と複数のサブ処理とを組み合わせて実行することによって、互いに異なる多様な上乗せ特化状態を少ないデータ容量で実現している。
【0102】
3.変形例
なお、本実施形態では、AT状態制御手段200を、遊技に関する状態を特定状態を含む複数の遊技に関する状態の間で移行させる状態移行手段として構成したが、本発明はこれにかぎらない。例えば、遊技状態移行制御手段170によって状態移行手段を構成し、遊技状態の移行に基づいて演出状態を切り替えるように構成しても良い。また、これらAT状態制御手段200及び遊技状態移行制御手段170の組み合わせによって状態移行手段を構成しても良く、これらAT状態やRT状態を含むメイン状態の移行態様に基づいて演出状態を切り替えるように構成しても良い。
【0103】
更に、上述した実施の形態では、特別上乗せ特化状態について制御データの共通化を図ったが、制御データの共通化が可能な複数の異なる状態を持ち、その異なる状態の違いを演出の相違で表現できる状態であれば、AT状態、非AT状態の区別なく、どのような状態に対して本発明を適用しても良い。例えば、複数ある通常AT状態や、CZ状態などに適用しても良い。また、例えば、演出及び/もしくはゲーム性の異なる複数種類のボーナス状態を有し、このボーナス状態の後に例えばゲーム数固定の特定のRT状態へと移行する遊技機において、上記特定のRT状態における演出を、複数のボーナス状態の内、どのボーナス状態から特定のRT状態へと移行したかの移行態様に応じて変化させるように構成しても良い。即ち、この場合、複数の遊技に関する状態が上記複数のボーナス状態となり、特定状態が上記ビックボーナス後の特定のRT状態となる。そして、RT状態における複数の演出状態の内、第1ボーナス状態から特定のRT状態へと移行する第1移行態様に応じた演出状態が第1演出状態となり、第2ボーナス状態から特定RT状態へと移行する第2移行態様に応じた演出状態が第2演出状態となる。
【0104】
なお、上記RT状態における複数の演出状態と、複数のボーナス状態とは必ずしも同数で一対一対応している必要はない。例えば、ボーナス状態の数がRT状態における演出の数よりも多く、1つのRT状態の演出状態に複数のボーナス状態が対応付けられていても良い。また、逆に、RT状態における演出の数がボーナス状態の数よりも多く、1つのボーナス状態に複数のRT状態の演出状態が対応付けられていても良い。また、上記ボーナス状態は、第一種特別役物、第二種特別役物、もしくはこれら第一種/第二種特別役物に係る連続役物装置が作動している状態をいい、特定のRT状態は必ずしもゲーム数固定である必要はない。加えて、上記RT状態とボーナス状態を入れ替えて構成しても良い。
【0105】
また、制御データが共通化される状態は、演出状態を除き、必ずしもその全てにおいて互いに同一であるように構成される必要はなく、例えば、制御データが共通化される状態のうちの少なくとも一部が共通化できればよい。更に、上述した実施の形態におけるCZ状態では、AT抽選の非当選に基づいてCZポイントが貯まるように構成されていたが、CZポイントは、例えば、設定変更時や、他のポイント抽選、上乗せ抽選などの非当選などを契機として貯まるように構成しても良い。
【0106】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、データ記憶手段198に含まれる各カウンタに対して初期値として値「0」をセットし、該初期値に対して値を加算することで初期値とは異なる値を記憶させる処理と、加算する処理の実行後の各カウンタの記憶値を減算するような更新を実行することで初期値に近づく方向に更新する処理と、を実行するように構成されているが、これに限定されない。AT状態制御手段200は、データ記憶手段198に含まれる各カウンタに対して、例えば初期値として値「100」をセットし、該初期値を減算するような更新を実行する処理と、減算する処理の実行後の各カウンタの記憶値を加算するような更新を実行することで初期値に近づく方向に更新する処理と、を実行可能に構成されていてもよく、初期値、初期値から離れる方向に更新する処理及び初期値に近づく方向に更新する際の計算方法については、本実施形態に限定されるものではない。
【0107】
また、本実施形態において、リール制御手段130は、CB作動中でのリール停止制御において小役をボーナスとリプレイとに優先して有効ラインL1上に表示するように構成されているが、これに限らず、小役、リプレイ、ボーナスの優先順位については、予め設定されていればよい。
【0108】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、CBの作動中においてストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順及び押下タイミングによらずベルを入賞可能に構成されているが、これに限定されない。ベルの入賞図柄組合せは、CBの非作動時においてストップボタンB1〜ストップボタンB3の打順及び押下タイミングによらず入賞可能に構成されていればよく、CBの作動時にあってはストップスイッチ240が停止操作を検出してから75ms以内に停止するように制御されるリールに対応するストップボタンの押下タイミングが適切な場合にのみ入賞するように構成されていればよい。このように構成された場合、スロットマシン1は、CB作動中においては、ベルと、第2規定投入数における配当がベルと同一の払出数に設定された特別小役と、に入賞可能に構成されていればよい。なお、特別小役の配当は、第2規定投入数における配当がベルと同一の払出数に設定されていればよく、第1規定投入数における配当については、ベルと異なる払出数に設定されていてもよい。また、特別小役は、非ボーナス状態における内部抽選で当選可能に構成される必要がある。
【0109】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、メイン基板100Aとサブ基板100Bとに分割して制御基板を構成しているが、1つの制御基板によって遊技制御手段100を構成していてもよい。更に、上記上乗せ前抽選及びAT上乗せ抽選は、同一ゲーム中で実行される必要はなく、例えば上乗せ前抽選にて当選したことに基づいて実行される1ゲーム完結型の対価獲得ゲームとして構成されても良い。