特許第6786114号(P6786114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786114
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20201109BHJP
   B65B 35/24 20060101ALI20201109BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20201109BHJP
   B65G 43/00 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   B65G47/28 D
   B65B35/24
   B65G54/02
   B65G43/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-190860(P2017-190860)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-64788(P2019-64788A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 和樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 さゆみ
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌典
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−525176(JP,A)
【文献】 特開2012−056746(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0083817(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0084247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 19/00−19/30
B65G 43/00−43/10
B65G 47/22−47/32
B65B 35/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を受入れる受入部と物品を送出する送出部の間で複数の物品を載置する載置部を有し、
前記受入部に順次載置された物品のそれぞれを、独立して走行する各押送体によって押送すると共に各物品の押送方向における間隔と前記押送体の走行速度を調整して前記送出部から包装機等の処理機に向けて、該処理機の一定間隔ごとの処理タイミングに合わせて送出する搬送装置であって、
前記受入部に物品が到来することを検知する検知部と、
磁界を発する固定子が設けられた周回走行路と、
それぞれが前記押送体を支持すると共に前記周回走行路に配設されており、前記固定子が発する磁界によって得た推力で、前記周回走行路を互いに独立して循環走行する複数の走行体と、
前記検知部による検知情報に基づき前記受入部に到来する物品に前記走行体を対応付けると共に、該受入部に一の物品が到来する際に、該一の物品に対応付けた走行体を走行させて、一の物品を前記送出部まで押送するよう前記走行体に推力を付与する指令を行う制御部を備えており、
前記制御部は、
前記処理機の前記処理タイミングに関する情報を取得するタイミング取得部と、
前記一の物品に前記走行体を対応付けるにあたって、前記処理タイミングに関する情報に基づき、前記一の物品より1つ先行の物品が前記送出部に到来する際の前記処理タイミングの1つ後の前記処理タイミングに、前記一の物品が前記送出部に到来不可であることを判定する判定部を備え、
該判定部による判定結果が到来不可である場合には、複数の押送体の中の一つである前記物品を押送することなく走行する別の押送体が、前記一の物品の前方を走行するように、前記一の物品に対して複数の前記走行体の中から2つの走行体を対応付けると共に、前記別の押送体が前記送出部に到来するときの該別の押送体と前記一の物品を押送する前記押送体との押送体の前後間隔と両押送体の走行速度を調整して前記処理機の処理タイミングに合わせるよう構成する搬送装置。
【請求項2】
いずれか1つの押送体が、前記送出部に到来する直前となった前記一の物品を送出部に押送する際に、該物品を一定の速度で押送し、
前記直前となった前記一の物品を押送する押送体の位置より後方の載置部における押送体は、加速して徐々に先行する押送体との間隔が狭くなるよう駆動制御される請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記走行体は、第1係合体を備えると共に前記押送体を回動可能に支持しており、
前記周回走行路は、前記載置部に沿う直線状の直線走行路と、該直線状の走行路に接続された曲線状の曲線走行路を備え、
前記周回走行路において前記送出部に対向する前記直線走行路から前記曲線走行路に移行した範囲には該周回走行路に沿って前記第1係合体と係合する第2係合体が配設されており、
該第2係合体に前記第1係合体が係合した際に、前記押送体の先端部を後方側に移動させるよう構成されている請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記載置部の下流側には、第2押送体によって物品を一定の間隔で押送する前記処理機のコンベヤの載置面が接続されることで、前記載置部から継続する物品の搬送路が構成されており、
前記第2押送体の夫々は、前記第2押送体の先端部が前記送出部より上流側から前記搬送路に進入を開始して下流側に移動するに連れて徐々に姿勢を変えて前記送出部で起立し終えるよう構成されており、
前記押送体の夫々には、前記押送体の先端部から後方に向けて延出した規制部材が設けられており、
該規制部材は、
前記押送体の前後間隔から前記物品の押送方向の長さを引いた長さよりも短い長さとされていると共に、
前記第2押送体の先端部が前記搬送路に進入してから起立し終えるまでの間、前記第2押送体に接触することなく、且つ前記押送方向と交差する方向から見て前記第2押送体と重なりながら、押送方向に移動するよう構成されている請求項1から請求項3の何れかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、順次受入れた物品をその下流側における包装機等の処理機に向けて搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上流側の製造機等から到来した各物品をリニアモータの原理を用いたコンベヤによって、その下流側の包装機等の処理機におけるコンベヤに向けて搬送する技術が知られている。例えば、特許文献1には、リニアモータの原理によってコンベヤにおける周回走行路を独立走行する複数の走行体に支持された押送体によって、搬送面を滑らせるように物品を順次、下流側の包装機のコンベヤに押送することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015−525176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1における搬送装置は、各物品を、その下流側のコンベヤの物品供給タイミングに合うように、各走行体の走行速度を加速又は減速させる制御を行って一つずつ物品を供給することが可能であるが、押送体が物品を押送している最中に走行体が減速すると、この物品が慣性によって押送体から前方に離れてしまう。ここで、搬送装置に所定間隔で連続して到来した物品の内、先頭以外の各物品は、走行体が減速して物品が押送体から前方に離れても一つ先行の押送体に当ることで位置が規制されるため下流側のコンベヤへの物品供給タイミングのずれを許容範囲内で納めることができる。ところが、先頭の物品は、先行の押送体が無いため走行体が減速した際に押送体から前方に大きく離れてしまい、下流側のコンベヤへの物品供給タイミングが許容範囲から外れたタイミングで下流側のコンベヤに渡ることになってしまう。このように物品供給タイミングが許容範囲から外れることは、例えば下流側の処理機が横形製袋充填機であってその供給コンベヤに物品を渡す場合に、筒状成形したフィルムに対してフィルム送り方向と交差する方向に沿って横シール装置がシールする際にこの横シール装置により物品を噛み込んでしまうなどの問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、独立走行する押送体が物品を順次、下流側の処理機の処理タイミングに合うように送出し得る搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の搬送装置は次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、物品(P)を受入れる受入部(112A)と物品(P)を送出する送出部(112B)の間で複数の物品(P)を載置する載置部(110)を有し、前記受入部(112A)に順次載置された物品(P)のそれぞれを、独立して走行する各押送体(137)によって押送すると共に各物品(P)の押送方向における間隔と前記押送体(137)の走行速度を調整して前記送出部(112B)から包装機等の処理機に向けて、該処理機の一定間隔ごとの処理タイミングに合わせて送出する搬送装置であって、前記受入部(112A)に物品(P)が到来することを検知する検知部(150)と、磁界を発する固定子(125)が設けられた周回走行路(122)と、それぞれが前記押送体(137)を支持すると共に前記周回走行路(122)に配設されており、前記固定子(125)が発する磁界によって得た推力で、前記周回走行路(122)を互いに独立して循環走行する複数の走行体(130)と、前記検知部(150)による検知情報に基づき前記受入部(112A)に到来する物品(P)に前記走行体(130)を対応付けると共に、該受入部(112A)に一の物品(P)が到来する際に、該一の物品(P)に対応付けた走行体(130)を走行させて、一の物品(P)を前記送出部(112B)まで押送するよう前記走行体(130)に推力を付与する指令を行う制御部(140)を備えており、前記制御部(140)は、前記処理機の前記処理タイミングに関する情報を取得するタイミング取得部(142)と、前記一の物品(P)に前記走行体(130)を対応付けるにあたって、前記処理タイミングに関する情報に基づき、前記一の物品(P)より1つ先行の物品(P)が前記送出部(112B)に到来する際の前記処理タイミングの1つ後の前記処理タイミングに、前記一の物品(P)が前記送出部(112B)に到来不可であることを判定する判定部(144)を備え、該判定部(144)による判定結果が到来不可である場合には、複数の押送体(137)の中の一つである前記物品(P)を押送することなく走行する別の押送体(137)が、前記一の物品(P)の前方を走行するように、前記一の物品(P)に対して複数の前記走行体(130)の中から2つの走行体(130)を対応付けると共に、前記別の押送体(137)が前記送出部(112B)に到来するときの該別の押送体(137)と前記一の物品(P)を押送する前記押送体(137)との押送体(137)の前後間隔(137L)と両押送体(137)の走行速度を調整して前記処理機の処理タイミングに合わせるよう構成する。
【0007】
この請求項1に係る発明によれば、搬送装置における制御部(140)は、処理機の処理タイミングに関する情報を取得するタイミング取得部(142)と、処理タイミングに関する情報に基づき、一の物品(P)より1つ先行の物品(P)が送出部(112B)に到来する際の処理タイミングの1つ後の処理タイミングに、一の物品(P)が送出部(112B)に到来不可であることを判定する判定部(144)を備える。そして、判定部(144)による判定結果が到来不可である場合には、物品(P)を押送することなく走行する別の押送体(137)が一の物品(P)の前方を走行するように、一の物品(P)に対して複数の走行体(130)の中から2つの走行体(130)を対応付けると共に、別の押送体(137)が送出部(112B)に到来するときの該別の押送体(137)と一の物品(P)を押送する押送体(137)との押送体(137)の前後間隔(137L)と両押送体(137)の走行速度を調整して処理機の処理タイミングに合わせる。そのため、先頭の物品(P)は、別の押送体(137)によって走行体(130)が減速しても押送体(137)から前方に大きく離れてしまうことを防ぐと共に、押送体(137)の前後間隔(137L)と両押送体(137)の走行速度を調整して処理機の処理タイミングに合わせて物品(P)を送出部(112B)に送出する。よって、独立走行する押送体(137)が物品(P)を順次、下流側の処理機の処理タイミングに合うように送出し得る搬送装置を提供することができる。
【0008】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、いずれか1つの押送体(137)が、前記送出部(112B)に到来する直前となった前記一の物品(P)を送出部(112B)に押送する際に、該物品(P)を一定の速度で押送し、前記直前となった前記一の物品(P)を押送する押送体(137)の位置より後方の載置部(110)における押送体(137)は、加速して徐々に先行する押送体(137)との間隔が狭くなるよう駆動制御される
【0009】
この請求項2に係る発明によれば、いずれか1つの押送体(137)が、送出部(112B)に到来する直前となった一の物品(P)を送出部(112B)に押送する際に、該物品(P)を一定の速度で押送する。そのため、下流側の処理機の処理タイミングに確実に合わせることができる。また、直前となった一の物品(P)を押送する押送体(137)の位置より後方の載置部(110)における押送体(137)は、加速して徐々に先行する押送体(137)との間隔が狭くなるよう駆動制御されることから、前工程からの物品(P)の供給が不規則であっても後工程としての処理機の処理タイミングに間に合わせることができる。
【0010】
次に、請求項1又は請求項2に従属する請求項3に係る発明は、前記走行体(130)は、第1係合体(135)を備えると共に前記押送体(137)を回動可能に支持しており、前記周回走行路(122)は、前記載置部(110)に沿う直線状の直線走行路(123)と、該直線状の走行路に接続された曲線状の曲線走行路(124)を備え、前記周回走行路(122)において前記送出部(112B)に対向する前記直線走行路(123)から前記曲線走行路(124)に移行した範囲には該周回走行路(122)に沿って前記第1係合体(135)と係合する第2係合体(126)が配設されており、該第2係合体(126)に前記第1係合体(135)が係合した際に、前記押送体(137)の先端部(137A)を後方側に移動させるよう構成されている。
【0011】
この請求項3に係る発明によれば、走行体(130)が直線走行路(123)から曲線走行路(124)に移行する際に、押送体(137)の先端部(137A)が後方側に移動することによって物品(P)を前方に押し出すことがない。よって物品(P)の位置ずれを防止することができる。
【0012】
次に、請求項1から請求項3に従属する請求項4に係る発明は、前記載置部(110)の下流側には、第2押送体(222)によって物品(P)を一定の間隔で押送する前記処理機のコンベヤの載置面(202)が接続されることで、前記載置部(110)から継続する物品(P)の搬送路が構成されており、前記第2押送体(222)の夫々は、前記第2押送体(222)の先端部(222A)が前記送出部(112B)より上流側から前記搬送路に進入を開始して下流側に移動するに連れて徐々に姿勢を変えて前記送出部(112B)で起立し終えるよう構成されており、前記押送体(137)の夫々には、前記押送体(137)の先端部(137A)から後方に向けて延出した規制部材(139)が設けられており、該規制部材(139)は、前記押送体(137)の前後間隔(137L)から前記物品(P)の押送方向の長さを引いた長さよりも短い長さとされていると共に、前記第2押送体(222)の先端部(222A)が前記搬送路に進入してから起立し終えるまでの間、前記第2押送体(222)に接触することなく、且つ前記押送方向と交差する方向から見て前記第2押送体(222)と重なりながら、押送方向に移動するよう構成されている。
【0013】
この請求項4に係る発明によれば、押送体(137)の規制部材(139)は、処理機における第2押送体(222)の先端部(222A)が搬送路に進入してから送出部(112B)で起立し終えるまでの間、第2押送体(222)に接触することなく、且つ押送方向と交差する方向から見て第2押送体(222)と重なりながら、押送方向に移動する。そのため、押送体(137)の前後間隔(137L)内の物品(P)が第2押送体(222)と干渉することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、独立走行する押送体が物品を順次、下流側の処理機の処理タイミングに合うように送出し得る搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る搬送装置において先頭の物品を処理機に向けて押送する状態を示した正面図である。
図2】実施形態に係る搬送装置において連続して到来する各物品を処理機に向けて押送する状態を示した正面図である。
図3図2のIII部の部分拡大斜視図ある。
図4図2のIV部を拡大した図である。
図5】実施形態に係る搬送装置の制御ブロック図である。
図6】供給コンベヤの第2押送体が載置面に出現し始めた際の押送体の規制部材と第2押送体との位置の関係を示すと共に、押送体の動きを示した模式図である。
図7】供給コンベヤの第2押送体が起立し終え際の押送体の規制部材と第2押送体及び物品との位置の関係を示した模式図である。
図8】押送体の先端部が後方に傾いて第2押送体が重なった状態を維持する状態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の搬送装置における実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
本実施形態の搬送装置は、図1、2に示すように、物品Pを受入れる受入部112Aに順次載置された複数の物品Pのそれぞれを、独立して走行する各押送体137によって押送すると共に各物品Pの押送方向における間隔と押送体137の走行速度を調整して物品Pを送出する送出部112Bから横形製袋充填機などの包装機等の処理機に向けて、処理機の一定間隔ごとの処理タイミングに合わせて送出する装置である。
【0018】
搬送装置は、図1に示すように、第1コンベヤ100から排出された物品Pを載置する平坦な搬送面を有した第1搬送ベッド110(載置部)と、その上方において第1搬送ベッド110に載置された物品Pを押送し得る押送体137を複数有したオーバーヘッド式の第2コンベヤ120と、第2コンベヤ120を制御する制御部140(図5参照)と、物品検知部150(検知部)と、を備えている。
【0019】
第1コンベヤ100は、無端状のベルトで構成された搬送面102に上流側の製造機から搬送方向における前後不定間隔(ランダム)に排出された物品Pを載置して一定の速度で送出する装置である。この第1コンベヤ100の搬送面102における下流側端部102bは、第1搬送ベッド110が接続されている。
【0020】
第1搬送ベッド110は、第1コンベヤ100の下流側に配設されており、第1コンベヤ100から排出された物品Pを載置し、直線的に搬送する平坦な搬送面112を構成する。なお、第1搬送ベッド110と第1コンベヤ100の下流側端部102bが接続される部位が物品Pを受入れる受入部112Aである。
【0021】
また、第1コンベヤ100の搬送方向に交差する幅方向における側方には、受入部112Aに到来する物品Pを検知する光電センサなどからなる物品検知部150(検知部)が配設されている。
【0022】
搬送装置の第1搬送ベッド110の下流側には、処理機としての横形製袋充填機(不図示)の一部を構成する供給コンベヤ200が配設される。供給コンベヤ200は、搬送装置の第1搬送ベッド110の送出部112Bから送出される物品Pを、順次、載置する平坦な載置面202を有しており、該載置面202に載置された各物品Pを、無端索体の外周に一定間隔ごとに着いた第2押送体222の各々で押送して、各物品Pを一定の間隔及び一定の速度で搬送する装置である。なお、供給コンベヤ200は、横形製袋充填機(処理機)の一部を構成するものであり、稼働前にオペレータ等が定めた、横形製袋充填機で1分間当たりの包装数(処理能力)に応じた物品Pの搬送速度で物品Pを搬送する。よって、処理機の一定間隔ごとの処理タイミングとは、本実施形態では供給コンベヤ200の各第2押送体222の間に物品Pを渡し得るタイミングであり、そのタイミングは、後述する横シールを施すタイミングと同期が図られている。なお、第1搬送ベッド110と供給コンベヤ200の載置面202が接続される部位が物品Pを送出する送出部112Bである。
【0023】
図示を省略するが、横形製袋充填機(包装機)は、フィルム供給源としての原反ロールから引出した帯状のフィルムをフィルム成形手段でそのフィルムの両端縁を重合して筒状に成形する際に、その成形中のフィルムに供給コンベヤ200から物品Pを所定間隔ごとに供給し、フィルム送り方向に沿って重合したフィルムの重合部に縦シールを施すと共にフィルム送り方向に交差する左右方向に沿って横シールを施して、包装品を得る周知の包装機である。これらフィルム送り、縦シール、横シール、物品供給などの包装動作等に関する制御を行う横形製袋充填機の制御部230(図5参照)には、単位時間当たりの包装処理数を設定し得るようになっており、その設定に基づき各包装動作の制御がなされる。
【0024】
オーバーヘッド式の第2コンベヤ120は、上下に対向離間して水平に配設された一対の直線状の直線レール123(直線走行路)と、上下の直線レール123の両端部をそれぞれ接続する一対の曲線状の曲線レール124(曲線走行路)と、を有しており、これら上下の直線レール123の夫々と曲線レール124の夫々により縦向きの周回走行路122が構成される。
【0025】
周回走行路122上には、複数の走行体130がリニアモータにより得た推力で互いに独立して、一方向に循環走行し得るように配設されている。また、第2コンベヤ120は、横形製袋充填機の制御部230(図5参照)との間で情報交換可能に接続され、物品検知部150による物品Pの検知情報などに基づき各走行体130の走行に推力を付与する指令を司る制御部140(図5参照)を備えている。リニアモータは、周回走行路122の全域に亘って磁界を発生する固定子としてのコイル125が周回走行路122に沿って配設され、可動子としての永久磁石132が各走行体130に固定され、第2コンベヤ120における制御部140による指令に基づきコイル125への電流供給が制御されることで固定子が発する磁界によって推力を発生させるものである。
【0026】
図1〜4に示すように、搬送装置における走行体130は、本体部131と、可動子としての永久磁石132と、センサ133とを有する。本体部131は、上述の一対の直線レール123及び曲線レール124に対し、回転部材としてのローラ131Rを介して摺動可能に嵌合される。ローラ131Rは、直線レール123及び曲線レール124の延出方向に交差する幅方向に2列設けられており、第1搬送ベッド110側に4つ、第1搬送ベッド110側とは反対側に2つ設けられている。1搬送ベッド110側の列のローラ131Rは、直線レール123及び曲線レール124の内周側に2つ、外周側に2つ設けられている。ここで、内周側の2つのローラ131Rのピッチより、外周側の2つのローラ131Rのピッチの方が大きく設定されている。これにより、走行体130は、曲線レール124においても滑らかに走行することができる。第1搬送ベッド110側とは反対側の列の2つのローラ131Rは、直線レール123及び曲線レール124の外周側に設けられている。これにより、下側の直線レール123上を移動する走行体130は、押送体137を下方に向けて垂下させた状態で移動する際にも脱落することなく移動可能となる。また、本体部131の内部には、一対の直線レール123及び曲線レール124に沿った固定子に対向する位置に可動子としての永久磁石132が固定される。これにより、固定子としてのコイル125に電流供給が制御されて、係るコイル125に生じる磁束と可動子としての永久磁石132の磁束との相互作用によって推力が発生し、走行体130が一対の直線レール123及び曲線レール124からなる周回走行路122に沿って移動可能となる。また、本体部131は、センサ133が配設されている。センサ133は、各走行体130の固有情報(各走行体130の識別データや、固有の移動誤差情報)などの信号を制御部140(図5参照)に対して発信する。
【0027】
走行体130の循環走行方向に交差する幅方向の内、第1搬送ベッド110側には、押送体137が配設されている。走行体130は、本体部131の側方に支点134Aを中心に回動可能な基部134を有しており、その基部134から幅方向に延出する棒状のアーム部136が配設されている。押送体137は、アーム部136の先端から垂下状に固定されている。押送体137は、平板状の部材であり、幅方向中央部が切り欠かれることで第2押送体222の先端部222Aが接触しないように構成されている。また押送体137のうち前方側が物品を押送する押送面138である。また、押送面138と反対の裏面側には、押送体137の先端部137Aから後方に向けて延出した平板状の規制部材139が設けられている。また、基部134には、カムフォロアとしてのローラ135(第1係合体)が配設されている。また、周回走行路122において第1搬送ベッド110の送出部112Bに対向する直線レール123から曲線レール124に移行した範囲には、周回走行路122に沿ってローラ135と係合するカム溝126(第2係合体)が配設されている。
【0028】
第2コンベヤ120における制御部140は、図5に示すように、横形製袋充填機(処理機)の処理タイミングに関する情報を取得するタイミング取得部142と、処理タイミングごとに対応して物品Pが途切れることなく送出部112Bに到来可能か否か判定する判定部144を備えている。第2コンベヤ120における制御部140は、走行体130に設けられたセンサ133からの各走行体130の位置などに関する情報と、物品検知部150による物品Pの検知情報と、第1コンベヤ100に付設されたエンコーダ104のパルス情報により得られた物品Pが受入部112Aに到来する情報と、横形製袋充填機の制御部230から得た供給コンベヤ200に付設されたエンコーダ204のパルス情報により得られた各第2押送体222の移動位置に関する情報に基づき、各走行体130の移動量や走行速度など押送に関する指令情報を生成し、コイル125への電流供給に関する指令を行う。これにより、各走行体130は、第2コンベヤ120における制御部140によって推力を付与する指令に基づき走行する。なお、制御部230からは、エンコーダ204のパルス情報により得られた各第2押送体222の移動位置に関する情報を得ているが、これ以外に横形製袋充填機の横シール装置の横シール動作位置に関する情報などの処理機の処理動作に関する情報であってもよい。なお、処理動作に関する情報には、単位時間当りの包装数や、搬送方向における物品Pの長さ、高さ、包装長さなど予め横形製袋充填機の制御部230にオペレータによって登録された登録情報や、供給コンベヤ200の処理タイミングに関する情報などの横形製袋充填機等の処理機の作動情報も含まれる。
【0029】
次に、搬送装置の動きについて説明する。図1、5に示すように、上流側の製造機から排出された物品Pが第1コンベヤ100によって第1搬送ベッド110に向けて搬送される。物品検知部150は、受入部112Aに物品Pが到来することを検知するごとにその検知情報を制御部140に送る。制御部140は、検知情報を受け取ると、タイミング取得部142によって供給コンベヤ200に付設されたエンコーダ204のパルス情報から得られる各第2押送体222の移動位置に関する情報を取得すると共に判定部144において次のような判定を行う。
【0030】
判定部144は、検知した物品Pをどの走行体130の押送体137に対応付けるかを判定すると共に、タイミング取得部142が取得した供給コンベヤ200の処理タイミングに関する情報に基づき、検知した物品Pより1つ先行の物品Pが送出部112Bに到来する際の処理タイミングの1つ後の供給コンベヤ200における受け入れタイミング(処理タイミング)に、検知した物品Pが送出部112Bに到来可能か否か判定する。すなわち、検知した物品Pを押送する第2押送体222の1つ先行の第2押送体222が1つ先行の物品Pを押送することになっているか判定する。
【0031】
これは、第2コンベヤ120の押送体137が第1コンベヤ100から受け取った物品Pを第1搬送ベッド110の下流における送出部112Bまで押送することで物品Pが第1搬送ベッド110から載置面202に渡る際に第2押送体222に乗り上げないように、押送している押送体137から物品Pが後述する設定距離より前方に離れることを規制し得る1つ先行の押送体137が送出部112Bにいるか否かを簡素に判断するものである。
【0032】
図2に示すように、1つ先行の第2押送体222が物品Pを押送する場合(判定部144による判定結果が到来可能である場合)は、検知した物品Pが第1コンベヤ100から第1搬送ベッド110に渡る受入部112Aの位置に到来するタイミングに合わせて押送体137を物品Pの後方に移動させて、送出部112Bにおいて物品Pを送出するために貯留している先行の押送体137の後方まで押送するように、制御部140による走行体130の走行指令が付与される。
【0033】
図1に示すように、1つ先行の第2押送体222が物品Pを押送しない場合(判定部144による判定結果が到来不可である場合)には、受入部112Aに到来する物品Pの前方に、通常、物品Pを押送する役目を担った押送体137を、慣性による物品Pの前方への位置ずれを規制するための押送体137(別の押送体)として走行させると共に、1つ後続の押送体137で物品Pを押送するように、制御部140による走行体130の走行指令が付与される。
【0034】
物品Pを押送し始めの状態(図1参照)においては、押送する押送体137と先行する押送体137(別の押送体)との間隔が大きいが、物品Pを押送する押送体137が加速して徐々に先行する押送体137との間隔を狭くしていき、送出部112Bに到来する直前となった物品Pを一定の速度で送出部112Bまで押送するときには、物品Pを押送する押送体137と1つ先行する押送体137の間隔は、所定の押送体137の前後間隔137Lとなるように調整される(図7参照)。なお、送出部112Bに到来する直前となった物品Pの前後直近に位置しているこれら押送体137の前後間隔137Lは、第2押送体222の間隔222Lよりも大きい間隔である。また第1コンベヤ100によって、物品Pの前後間隔が詰って物品Pが送られてくる場合には、送出部112B直前の物品Pの後方に、後続の物品Pが所定数貯留されることになるが、この場合のこれらの物品Pを押送する押送体137の前後間隔は、直前の押送体137の前後間隔137Lと同じになる。
【0035】
図6、7に示すように、押送体137には、それぞれ押送体137の先端部137Aから後方に向けて延出した規制部材139が設けられている。規制部材139は、物品Pを押送する第2押送体222の先端部222A(上端)が載置面202に出現して起立し終えるまで、後続の物品Pが第2押送体222の先端部222Aに乗り上げることがないようにするために、押送体137の先端部137Aから後方に向けて規制部材長さ139Lを有している。ここで、押送体137の前後間隔137Lから規制部材長さ139Lを引いた長さは、物品Pの物品長さPLよりも大きい関係(押送体137の前後間隔137L−規制部材長さ139L>物品長さPL)である。また、押送体137の前後間隔137Lから規制部材長さ139Lを引いた長さは、第2押送体222の間隔222Lよりも小さい関係(押送体137の前後間隔137L−規制部材長さ139L<第2押送体222の間隔222L)である。各第2押送体222は、先端部222Aが送出部112Bより上流側から搬送面112に進入を開始して下流側に移動するに連れて徐々に姿勢を変えて送出部112Bで起立し終える。ここで規制部材139は、第2押送体222の先端部222Aが搬送面112に進入してから起立し終えるまでの間、第2押送体222に接触することなく、且つ押送方向と交差する方向から見て第2押送体222と重なりながら、押送方向に移動する。
【0036】
図4に示すように、送出部112Bに対向する直線レール123(図1参照)から曲線レール124(図1参照)に移行した範囲には周回走行路に沿ってローラ135と係合するカム溝126が第2コンベヤ120のフレーム本体(不図示)に直線レール123、曲線レール124と共に配設されている。このカム溝126にローラ135が係合すると基部134が回転することで押送体137の先端部137Aが後方側に傾く。そのため押送体137は、物品Pを前方に押し出すことなく移動する。
【0037】
各第2押送体222は、一定の第2押送体222の間隔222Lで押送体137の走行速度より遅い一定の速度で移動している。これに対し、図4、8に示すように押送体137が送出部112Bに到来する直前となった物品Pを送出部112Bまで一定の速度で押送するときは、押送体137における移動速度、移動軌跡は押送体137のいずれもが共通の定形の動作となるよう構成されている。具体的には、押送体137は、送出部112Bの直前では第2押送体222より速い一定の速度で走行するが、押送体137の先端部137Aはカム溝126とローラ135の係合により後方側に傾くため、押送体137の先端部137Aの移動速度は遅くなり、且つ押送体137が曲線レール124(図1参照)に沿って上昇し始めるため、押送体137の先端部137Aの水平方向成分の移動速度が遅くなる。そのため、押送方向と交差する方向から見て押送体137の規制部材139と重なるように、第2押送体222の先端部222Aが起立して載置面202に出現する。これにより、走行体130は、直線レール123から曲線レール124に移行した範囲では、押送体137の先端部137Aが物品Pを前方に押し出すことなく移行動作が完了する。そして移行を終えて、物品Pから上方に退避した押送体137を有す走行体130は、先行の走行体130に向けて走行し、上側の直線レール123において、前後の走行体130の間隔が一定間隔になされる。
【0038】
以上のような搬送装置は、次のような効果がある。
・判定部144による判定結果が到来不可である場合には、押送体137が物品Pの前方を走行するように、物品Pに対して2つの走行体130を対応付けると共に、両押送体137の押送体137の前後間隔137Lと両押送体137の走行速度を調整して処理機の処理タイミングに合わせる。そのため、先頭の物品Pは、先行する走行体130がいるため走行体130が減速しても押送体137から前方に大きく離れてしまうことを防ぐと共に、押送体137の前後間隔137Lと両押送体137の走行速度を調整して横形製袋充填機(処理機)の処理タイミングに合わせて物品Pを送出部112Bに送出する。よって、独立走行する押送体137が物品Pを順次、横形製袋充填機(処理機)の処理タイミングに合うように送出し得る搬送装置を提供することができる。
・押送体137は、送出部112Bに到来する直前となった物品Pを送出部112Bに押送する際に定形動作で押送する。そのため、横形製袋充填機(処理機)の処理タイミングに確実に合わせることができる。また、後方の載置部110における押送体137は、定形又は不定形の動作で押送することから、前工程からの物品Pの供給が不規則であっても後工程としての横形製袋充填機(処理機)の処理タイミングに間に合わせることができる。
・走行体130が直線走行路123から曲線走行路124に移行する際には、押送体137の先端部137Aが物品Pを前方に押し出すことなく物品Pの位置ずれを防止することができる。
・押送体137の規制部材139は、処理機における第2押送体222の先端部222Aが搬送路への進入から送出部112Bで起立し終えるまでの間、第2押送体222に接触することなく、且つ押送方向と交差する方向から見て第2押送体222と重なりながら、押送方向に移動する。そのため、押送体137の前後間隔137L内の物品Pが第2押送体222と干渉することを防ぐことができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の搬送装置は、実施形態に限定されず、以下のようにその他各種の形態で実施することができるものである。
・搬送装置として、オーバーヘッド式の第2コンベヤ120を示したがこれに限られず、押送体137を水平方向に沿って周回させて物品Pを押送するコンベヤや、第1搬送ベッド110の下方から押送体137が搬送面112に出現するタイプであってもよい。
・横形製袋充填機の供給コンベヤ200としては、一包装ごとの、横シール装置における一対のシーラの噛み合いタイミングとの関係で、物品Pの噛み込みが生じないように物品Pを所定の間隔で搬送するものであれば、物品Pを押送する第2押送体222が無い無端状のベルトコンベヤや、第2押送体222を水平旋回させて物品を搬送するコンベヤ、一対の無端状ベルトで物品Pの左右両側を支持して搬送するコンベヤなどでもよい。
・製造機から物品Pが不規則な間隔で搬送装置に搬送される例を示したが、搬送装置に一定の間隔で搬送されてくる装置であってもよい。
・上流側の第1コンベヤ100はベルトコンベヤによって受入部112Aに搬送するものを示したが、物品Pが受入部112Aにシュートなどによって滑り落ちて搬送されるものであってもよい。
・下流側の処理機の一例として横形製袋充填機を示したが、これに限られず例えばカートナー等の種々の処理機が適用し得る。
・搬送装置の制御部140におけるタイミング取得部142は、横形製袋充填機の処理タイミングとして、供給コンベヤ200に付設されたエンコーダ204のエンコーダパルスカウント値を得る例を示したが、例えば、シーラ開閉タイミング情報であってもよい。すなわち、横形製袋充填機の場合には、エンドシール装置のシーラ開閉タイミング情報と、供給コンベヤ200の物品搬送速度と搬送距離、フィルム送り速度とフィルムに載った物品がシーラまで移動する距離から物品がシーラに到達する際のシーラ開閉タイミングとの関係を求めることが可能であり、同期関係にある種々な包装動作に関する情報などから包装の処理タイミングを取得し得ることは言うまでもない。
・押送体137が1つの物品Pを押送する例を示したが、1つの押送体137で、押送方向前後又は押送方向と交差する左右方向に並んだ複数の物品Pや上下に段積みされた複数の物品Pを押送する態様も含む。この場合においては、本発明における一の物品とは1つの押送体137が押送する複数の物品Pを意味する。
【符号の説明】
【0040】
P:物品 100:第1コンベヤ 110:第1搬送ベッド(載置部)
112:搬送面 112A:受入部 112B:送出部 120:第2コンベヤ
122:周回走行路 123:直線レール(直線走行路)
124:曲線レール(曲線走行路) 125:コイル(固定子) 130:走行体
135:ローラ(第1係合体) 137:押送体 137A:先端部
137L:前後間隔 139:規制部材 140:制御部
142:タイミング取得部 144:判定部 150:物品検知部(検知部)
126:カム溝(第2係合体) 200:供給コンベヤ 202:載置面
222:第2押送体 222A:先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8