【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、本発明は、ノギン(noggin)、LIF(leukemia inhibitory factor)、bFGF(basic Fibroblast growth factor)、Wnt信号活性化剤、ERK(extracellular signal−regulated kinase)信号抑制剤、及びTGF−β/アクチビン/ノーダル(TGF−β/activin/nodal)信号伝達抑制剤を含む筋骨格系幹細胞(MSSC,musculoskeletal stem cell)への分化誘導用培地組成物を提供する。
【0017】
本発明者らは、ヒト胚性幹細胞又はヒト誘導万能幹細胞から筋骨格系幹細胞を誘導し得る最適の培地組成を見出し、また、前記筋骨格系幹細胞が軟骨内骨化によって骨に分化可能であり、骨の他に軟骨、腱、筋肉にも分化可能であることを確認することによって、本発明を完成した。
【0018】
本発明でいう「幹細胞」とは、様々な身体組織に分化可能な能力を有する未分化細胞であり、これは万能幹細胞(totipotent stem cell)、全分化能幹細胞(pluripotent stem cell)、多分化能幹細胞(multipotent stem cell)などに分類できる。前記幹細胞は、幹体細胞(precursor cell)、前駆細胞(progenitor cells)などの用語に言い換えてもよい。本発明において幹細胞は、胚性幹細胞(embryonic stem cell,ESC)、誘導万能幹細胞(induced pluripotent stem cell,iPSC)又は中間葉幹細胞(Mesenchymal stem cells,MSC)であり得る。したがって、本発明の培地組成物を用いれば、胚性幹細胞、誘導万能幹細胞などを用いて筋骨格系幹細胞の分化を誘導することができる。
【0019】
前記胚性幹細胞は、全分化性を有する細胞を意味し、形質転換のない増殖、無限増殖、自己−再生産、及び3種類の全ての胚芽層から由来したある細胞に発達可能な能力を有する胚性幹細胞の特性を意味するが、これに制限されない。
【0020】
本発明でいう「筋骨格系幹細胞」とは、骨、軟骨、腱、靭帯及び筋肉に分化可能な細胞を制限なく意味する。
【0021】
前記「分化」は、細胞が分裂増殖して成長する間に互いに構造や機能が特殊化する現象、すなわち、生物の細胞、組織などがそれぞれに与えられた役目を果たすために形態や機能が変わって行くことを指す。一般的に、比較的単純な系が、2つ以上の質的に異なる部分系に分離される現象である。例えば、個体発生において初めには同質的だった卵部分の間に頭や胴などの区別ができるか、細胞においても、筋細胞又は神経細胞などの区別ができかのように、初めにはほぼ同質だったある生物系の部分間に質的な差異が発生すること、或いはその結果として質的に区別可能な部分又は部分系に分けられている状態を分化という。
【0022】
本発明で用いられる胚性幹細胞又は誘導万能幹細胞は、ヒト、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、マウス、ラット又はトリ類などから由来したものであり、好ましくはヒト由来である。
【0023】
本発明のWnt信号活性化剤は制限されないが、好ましくは、SB216763(3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン)、SB415286(3−[(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ]−4−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン)、ケンパウロン(Kenpaullone;9−ブロモ−7,12−ジヒドロ−インドール[3,2−d]−[1]ベンズジアゼピン−6(5H)−オン)、CHIR99021(9−ブロモ−7,12−ジヒドロ−ピリド[3’,2’:2,3]アゼピノ[4,5−b]インドール−6(5H)−オン)、CP21R7(3−(3−アミノ−フェニル)−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン)、SB203580(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール)、H−89(5−イソキノリンスルホンアミド)、パーモルファミン(Purmorphamine;2−(1−ナフトキシ)−6−(4−モルホリノアニリノ)−9−シクロヘキシルプリン)又はIQ−1(2−(4−アセチル−フェニルアゾ)−2−[3,3−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−(1E)−イリデン]−アセトアミド)である。
【0024】
本発明のERK信号抑制剤は、制限されないが、好ましくはAS703026(N−[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−3−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−イソニコチンアミド)、AZD6244(6−(4−ブロモ−2−クロロアニリノ)−7−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルベンズイミダゾール−5−カルボキサミド)、PD0325901(N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド)、ARRY−438162(5−[(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)アミノ]−4−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド)、RDEA119((S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミド)、GDC0973([3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードアニリノ)フェニル]3−ヒドロキシ−3−[(2S)−ピぺリジン−2−イル]−アゼチジン−1−イル−メタノン)、TAK−733((R)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−8−メチルピリド[2,3−d]ピリミジン−4,7(3H,8H)−ジオン)、RO5126766(3−[[3−フルオロ−2−(メチルスルファモイルアミノ)−4−ピリジル]メチル]−4−メチル−7−ピリミジン−2−イルオキシクロメン−2−オン)又はXL−518([3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン)である。
【0025】
本発明のTGF−β/アクチビン/ノーダル(TGF−β/activin/nodal)信号伝達抑制剤は、制限されないが、好ましくは、E−616452(2−[3−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−1,5−ナフチリジン)、A−83−01(3−(6−メチル−2−ピリジニル)−N−フェニル−4−(4−キノリニル)−1H−ピラゾール−1−カルボチオアミド)又はSB431542(4−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−(2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]ベンズアミド)である。
【0026】
本発明の一実施例によれば、前記培地の構成要素であるノギン(noggin)、LIF(leukemia inhibitory factor)、bFGF(basic Fibroblast growth factor)、Wnt信号活性化剤、ERK(extracellular signal−regulated kinase)信号抑制剤、及びTGF−β/アクチビン/ノーダル(TGF−β/activin/nodal)信号伝達抑制剤のうち1つずつを含まない場合の分化能を、全て含む場合と比較した結果、前記成分のいずれか一つの構成要素が欠乏する場合、軟骨(アルシアンブルー)や骨(ALP及びアリザリンレッドS)への分化が正しくなされないことを確認した(
図7、表3)。
【0027】
また、前記ノギン(noggin)に代えて馴化培地(Conditioned Media)(完全培地においてDMEM/F12をKnockout DMEMに置換した培地(20% Knockout Serum Replacement(KSR)(Invitrogen,USA)、1mMグルタミン、1%非必須アミノ酸(Invitrogen,USA)、0.1mM β−メルカプトエタノール、0.1%ペニシリン−ストレプトマイシン、5mg/mlウシ血清アルブミン(bovine serum albumin)で補充されたKnockout DMEM)を用いてCF1マウス胚性線維芽細胞(mouse embryonic fibroblasts)を24時間培養して得た培養上清液)を追加した培地に代替して分化能を比較した結果、ノギン(noggin)を用いた本発明の培地組成物が、前記馴化培地を用いた場合に比べて骨分化の傾向性を10倍以上増加させており、また、分化速度が1〜2週以上早まることを確認した(表1及び表2)。
【0028】
本発明の他の態様によれば、本発明は、前記筋骨格系幹細胞への分化誘導用培地組成物においてESC(embryonic stem cell)又はiPS(induced pluripotent stem cell)を培養する段階を含む筋骨格系幹細胞の製造方法を提供する。
【0029】
前記培養は、培地組成の変化無しで5継代以上培養し、好ましくは5継代〜25継代、より好ましくは7継代〜18継代を培養する。
【0030】
本発明の一実施例によれば、前記方法で培養して分化された筋骨格系幹細胞は、ヒト胚性幹細胞又はヒト誘導万能幹細胞から始めて7継代以上筋骨格幹細胞誘導培地で継代培養して得られる、安定的に同じ形質を有する細胞であることを確認し、また、7継代から17継代までの10継代以上を類似の模様で成長したが、19継代以降には老化マーカーβ−ガラクトシダーゼを染色した結果、陽性反応が現れ、老化が進行されたことを確認した(
図1A)。
【0031】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は前記筋骨格系幹細胞への分化誘導用培地組成物を用いて製造された筋骨格系幹細胞を提供する。
【0032】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、ESC(embryonic stem cell)又はiPSC(induced pluripotent stem cell)から分化された筋骨格系幹細胞(MSSC,musculoskeletal stem cell)を提供する。
【0033】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴を有する:
a)外胚葉マーカーであるネスチン(Nestin,NES)に対して陽性;
b)筋原性衛星マーカー(myogenic satellite marker)であるPax7に対して陽性;
c)中胚葉マーカーであるα−SMAに対して陽性;
d)全分化能マーカーであるLIN28に対して陰性;及び
f)中間葉幹細胞マーカーであるCD90に対して陰性。
【0034】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴をさらに有する:
中間葉幹細胞マーカーであるCD271に対して陰性。
【0035】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴をさらに有する:
全分化能マーカーであるDPPA4に対して陽性。
【0036】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴をさらに有する:
中胚葉マーカーであるT及びノーダル(Nodal)に対して陰性。
【0037】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴をさらに有する:
神経外胚葉(neuroectoderm)マーカーであるPax6に対して陽性。
【0038】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴をさらに有する:
腸幹細胞(intestinal stem cell)マーカーであるLGR5に対して陽性。
【0039】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴をさらに有する:
軟骨細胞(chondrocyte)マーカーであるSOX9に対して陰性。
【0040】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、下記の特徴をさらに有する:
筋原細胞(myoblast)マーカーであるMyoDに対して陰性。
【0041】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、CD10、CD44、CD105、CD146及び/又はCD166に対して陽性を示す。
【0042】
本発明の一実施例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞は、大部分の全分化能マーカーの発現は観察されなかったが、DPPA4発現は観察され、また、外胚葉マーカーであるNESが陽性を示した。また、DES及び初期中胚葉マーカーであるT及びノーダル(Nodal)を除く大部分の中胚葉マーカーに陽性を示し、大部分の内胚葉マーカーに対して陰性を示すことを確認した(
図1C)。また、hMSSCの特性を調べるために、中間葉幹細胞特異細胞表面抗原の発現を調べた結果、中間葉幹細胞マーカーのうち、CD44、CD51、CD73、CD105、CD146、CD166はhMSSCで発現するのに対し、中間葉幹細胞マーカーのうち、CD90及びCD271はhMSSCでは発現しないことを確認した。また、血液系統細胞表面標識子のCD2、CD3、CD7、CD8、CD11b、CD14、CD19、CD20、CD31、CD34、CD56は発現しないのに対し、pre−B細胞マーカーであるCD10が発現していた(
図1D)。さらに、様々な系統の組織特異マーカー発現を分析した結果、中胚葉マーカーであるα−SMA(alpha smooth muscle actin)、神経外胚葉マーカー(neuroectoderm marker)であるPax6、筋原性衛星マーカー(myogenic satellite marker)であるPax7、及び腸幹細胞マーカー(intestinal stem cell marker)であるLGR5などが発現しており、軟骨細胞マーカー(chondrocyte marker)であるSOX9及び筋芽細胞マーカー(myoblast marker)であるMyoDなどは発現していなかった(
図1F)。
【0043】
本発明の好ましい具現例によれば、前記筋骨格系幹細胞は、中胚葉に分化されるが、外胚葉又は内胚葉には分化されない。
【0044】
本発明の好ましい具現例によれば、前記筋骨格系幹細胞は、筋肉、骨、軟骨、腱又は靭帯に分化される特性を有する。
【0045】
本発明の一実施例によれば、本発明の筋骨格系幹細胞を中間葉幹細胞培養培地(例えば、MSCGM、MSCGM−CDなど)で培養し、腎臓内(kidney capsule)又は皮下に移植した場合、腎臓内又は皮下で典型的な筋肉、脂肪、腱、骨、軟骨が形成されたことを確認した(
図3)。前記分化された筋肉組織を確認した結果、いずれも骨格筋に分化され、平滑筋には分化されなかったことを確認し、また、試験管内(in−vitro)試験で脂肪に分化されなかった結果とは違い、生体内(in−vivo)試験では脂肪にも分化され得ることを確認した。
【0046】
本発明の好ましい具現例によれば、前記筋骨格系幹細胞は、神経には分化されない特性を有する。
【0047】
本発明の一実施例によれば、前記筋骨格系幹細胞を神経分化培地で神経細胞に分化させ、神経細胞マーカーを用いて確認した結果、前記筋骨格系幹細胞は神経細胞に分化する潜在力がないことを確認した(
図2F)。
【0048】
本発明の好ましい具現例によれば、前記筋骨格系幹細胞は、内皮細胞には分化されない特性を有する。
【0049】
本発明の一実施例によれば、前記筋骨格系幹細胞をEC分化培地(endothelial growth medium)で内皮細胞に分化させ、内皮細胞マーカーを用いて確認した結果、前記筋骨格系幹細胞は内皮細胞に分化する潜在力がないことを確認した(
図2C及び
図2D)。
【0050】
前記筋骨格系幹細胞は、2018年10月10日韓国細胞株銀行に寄託番号第KCLRF−BP−00460号で寄託された。
【0051】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記筋骨格系幹細胞を含む筋骨格系疾患の予防又は治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0052】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記筋骨格系幹細胞を含む細胞治療剤を提供する。
【0053】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記筋骨格系幹細胞を含む筋骨格系疾患の予防又は治療用薬剤学的組成物の用途を提供する。
【0054】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前記筋骨格系幹細胞を患者に投与する段階を含む筋骨格系疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0055】
本発明の筋骨格系疾患は、制限されないが、好ましくは骨多孔症、骨軟化症、骨形成不全症(osteogenesis imperfecta)、骨化石症(osteopetrosis)、骨硬化症(osteosclerosis)、パジェット病(Paget’s disease)、骨癌、関節炎、くる病、骨折、歯周疾患、骨部分欠損、骨溶解性骨疾患、原発性及び続発性副甲状腺機能亢進症、過骨症、退行性関節炎、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性足関節症、変形性手関節症、変形性肩関節症、変形性肘関節症、膝蓋軟骨軟化症、単純性膝関節炎、離断性骨軟骨炎、上腕骨外側上顆炎、上腕骨内側上顆炎、ヘバーデン結節、ブシャール結節、変形性母指CM関節症、半月板損傷、椎間板変性、十字靭帯損傷、上腕二頭筋起始腱損傷、靭帯損傷、腱損傷、五十肩、回旋筋蓋裂傷、石灰化腱炎、肩インピンジメント症候群、再発性脱臼、習慣性脱臼、老化性筋消耗症及び筋異栄養症からなる群から選ばれる1つ又はそれ以上の疾患である。
【0056】
本発明の薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含むことができる。前記組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルジネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。前記薬剤学的組成物は、これらの成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。
【0057】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与することができる。非経口投与の場合は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、関節腔内注入、骨内注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与及び直腸内投与などで投与できる。また、前記組成物は、活性物質が標的細胞に移動可能な任意の装置によって投与することができる。
【0058】
本発明の薬剤学的組成物の適度な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食餌、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因に基づいて様々に処方可能である。前記組成物の好ましい投与量は、成人基準で10
2〜10
10細胞/kg範囲内である。薬剤学的有効量とは、筋骨格系疾患を予防又は治療するのに十分な量を意味する。
【0059】
本発明の組成物は、当該分野における当業者が容易に実施できる方法によって、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化し、単位容量の形態で製造するか、又は多用量容器内に内入させて製造することができる。このとき、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液、シロップ剤又は乳化液の形態であるか、エキス剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態であり得、分散剤又は安定化剤をさらに含んでもよい。また、前記組成物は、個別治療剤として投与するか、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは順次に又は同時に投与することができる。また、単回投与又は必要時には追加投与できる。
【0060】
本発明でいう「細胞治療剤」とは、ヒトから分離、培養及び特殊な操作を経て製造された細胞及び組織であって、治療、診断及び予防の目的で用いられる医薬品(米国FDA規定)であり、細胞或いは組織の機能を復元させるために、生きている自己、同種又は異種細胞を体外で増殖、選別するか、或いは他の方法で細胞の生物学的特性を変化させる等の一連の行為によって、治療、診断及び予防の目的で使用する医薬品のことをいう。
【0061】
本発明でいう「予防」とは、本発明の組成物又は細胞治療剤の投与によって筋骨格系疾患を抑制したり進行を遅延させる全ての行為を意味する。
【0062】
本発明でいう「治療」とは、本発明の組成物又は細胞治療剤の投与によって筋骨格系疾患が好転するか良くなる全ての行為を意味する。
【0063】
本発明の薬剤学的組成物又は細胞治療剤は、ヒト用又は動物用に用いることができる。
【0064】
本発明の薬剤学的組成物又は細胞治療剤は、筋骨格疾患の予防及び治療のために単独で、又は手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療、生物学的反応調節剤、インプラント、人工関節又は人工軟骨などの挿入、その他再生治療などの方法等と併せて使用することができる。
【0065】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、筋骨格系幹細胞のスクリーニング方法を提供する。
【0066】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階を含む:
a)外胚葉マーカーであるネスチン(Nestin,NES)に対して陽性;
b)筋原性衛星マーカー(myogenic satellite marker)であるPax7に対して陽性;
c)中胚葉マーカーであるα−SMAに対して陽性;
d)全分化能マーカーであるLIN28に対して陰性;及び
f)中間葉幹細胞マーカーであるCD90に対して陰性。
【0067】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階をさらに含む:
中間葉幹細胞マーカーであるCD271に対して陰性。
【0068】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階をさらに含む:
全分化能マーカーであるDPPA4に対して陽性。
【0069】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階をさらに含む:
中胚葉マーカーであるT及びノーダル(Nodal)に対して陰性。
【0070】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階をさらに含む:
神経外胚葉(neuroectoderm)マーカーであるPax6に対して陽性。
【0071】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階をさらに含む:
腸幹細胞(intestinal stem cell)マーカーであるLGR5に対して陽性。
【0072】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階をさらに含む:
軟骨細胞(chondrocyte)マーカーであるSOX9に対して陰性。
【0073】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、下記の特徴を有する細胞を選別する段階をさらに含む:
筋原細胞マーカーであるMyoDに対して陰性。
【0074】
本発明の好ましい具現例によれば、本発明は、CD10、CD44、CD105、CD146及び/又はCD166に対して陽性を示す細胞を選別する段階をさらに含む。
【0075】
本発明のスクリーニング方法を用いると、骨、軟骨、腱、靭帯、筋肉などに効果的に分化可能な筋骨格系幹細胞を容易に選別することができる。