(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786148
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】オートフォーカスシステム、距離測定システム、オートフォーカス方法及びオートフォーカスシステム較正方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/32 20060101AFI20201109BHJP
G02B 7/28 20060101ALI20201109BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20201109BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
G02B7/32
G02B7/28 J
G02B7/28 H
G02B21/00
G01C3/06 110A
【請求項の数】42
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-148488(P2015-148488)
(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-31535(P2016-31535A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2018年7月23日
(31)【優先権主張番号】14/444,607
(32)【優先日】2014年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501005438
【氏名又は名称】オルボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(74)【代理人】
【識別番号】100192337
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100195992
【弁理士】
【氏名又は名称】城臺 顕
(72)【発明者】
【氏名】オファー サフィアー
(72)【発明者】
【氏名】ドロン マルカ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド フィッシュ
【審査官】
藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0019626(US,A1)
【文献】
実開平06−059815(JP,U)
【文献】
特開平02−046415(JP,A)
【文献】
特表2009−511897(JP,A)
【文献】
特表2009−528514(JP,A)
【文献】
特表2011−510289(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0121474(US,A1)
【文献】
特開昭57−179704(JP,A)
【文献】
特開2012−159854(JP,A)
【文献】
特開2013−044967(JP,A)
【文献】
特開平06−216004(JP,A)
【文献】
特開2009−109682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28 − 7/40
G01B 11/00 −11/30
G03B 3/00 − 3/12
G03B 13/30 −13/36
G03B 21/53
H04N 5/222− 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン化された平坦面を検査するための検査システムのカメラのオートフォーカスのための距離測定システムであって、
斜角にて該平坦面に向かって空間的ランダムパターンを投影するパターンジェネレータと、
画像を取得する画像センサであって、前記取得した画像は、前記パターン化された平坦面と、前記パターン化された平坦面に反射された前記空間的ランダムパターンとを表す、画像センサと、
該画像センサ上に該反射した該空間的ランダムパターンの画像を形成する少なくとも一つの光学的素子と、
前記取得した画像から前記空間的ランダムパターンを分離する分離処理を実行し、距離情報を取得し、該距離情報に基づいたオートフォーカス情報を提供するプロセッサと、を備え、該距離情報は、作動距離の変化による前記分離処理において取得した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの特徴である移動とスケーリングの少なくとも一方に基づいており、該作動距離は該平坦面と該少なくとも一つの光学的素子との距離であることを特徴とする距離測定システム。
【請求項2】
該パターンジェネレータは、該平坦面を検査するために用いられる光線範囲以外の光線範囲で照射するレーザーダイオードを有することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項3】
該パターンジェネレータは、コーヒレント光を提供する照射器と、該空間的ランダムパターンを生成するディフューザとを有することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項4】
該パターンジェネレータは、該空間的ランダムパターンが投影される少なくとも一つのレンズを備え、該ディフューザを伴った該照射器と該少なくとも一つのレンズとの距離は、該平坦面に投影される光の発散を生じさせるように規定されることを特徴とする請求項3記載の距離測定システム。
【請求項5】
該パターンジェネレータは、二個以上のコーヒレントな照射源を備え、それぞれの照射源は、特有な空間的ランダムパターンを生成することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項6】
該それぞれの照射源は、専用のディフューザを通じて照射を行うことを特徴とする請求項5記載の距離測定システム。
【請求項7】
該それぞれの照射源は、互いに異なる角度で投影を行うことを特徴とする請求項5記載の距離測定システム。
【請求項8】
該パターンジェネレータは、スペックルパターンを生成するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項9】
該パターンジェネレータは、該画像センサの視野よりも広い領域に亘って該空間的ランダムパターンを投影することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項10】
該少なくとも一つの光学的素子は、検査のため該平坦面の画像を取得するために用いられる結像光学系であることを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項11】
該少なくとも一つの光学的素子は、顕微鏡光学系であり、該パターンジェネレータは、該顕微鏡光学系の対物レンズを通じて平坦面に向けて該空間的ランダムパターンを投射することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項12】
該平坦面に反射した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの較正画像を格納するためのメモリを備え、該プロセッサは、該空間的ランダムパターンの画像と該空間的ランダムパターンの較正画像との相関関係を処理することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項13】
該画像センサは、対象領域モードにおいて該空間的ランダムパターンの画像を取得することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項14】
該画像センサは、該対象領域モードにおける該空間的ランダムパターンの画像の取得状態から、フルフレームモードにおける該平坦面の検査のための第二画像の取得状態に切替わることを特徴とする請求項13記載の距離測定システム。
【請求項15】
該パターンジェネレータは、レーザー光源と、ホログラフィックマスクとを有することを特徴とする請求項1記載の距離測定システム。
【請求項16】
パターン化された平坦面の検査用の検査システムに用いられるカメラのオートフォーカスのためのオートフォーカスシステムであって、
空間的ランダムパターンを生成し、生成された該空間的ランダムパターンを平坦面に向けて斜角にて投影するパターンジェネレータと、
画像を取得するカメラであって、前記取得した画像は、前記パターン化された平坦面と、前記パターン化された平坦面に反射された前記空間的ランダムパターンとを表すカメラと、
前記取得した画像から前記空間的ランダムパターンを分離する分離処理を実行し、距離情報を取得し、該距離情報に基づいたオートフォーカス情報を提供するプロセッサと、該距離情報は、該平坦面と該カメラとの作動距離の変化による前記分離処理において取得した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの特徴である移動とスケーリングの少なくとも一方に基づいており、
該カメラと該平坦面との間の撮影距離を変化させるアクチュエータと、
該プロセッサにより提供された該オートフォーカス情報に応答して、該アクチュエータの動作を制御するコントローラと、を備えたことを特徴とするオートフォーカスシステム。
【請求項17】
該パターンジェネレータは、該平坦面を検査するために用いられる光線範囲以外の光線範囲で照射するレーザーダイオードを有することを特徴とする請求項16記載のオートフォーカスシステム。
【請求項18】
該パターンジェネレータは、コーヒレント光を提供する照射器と、該空間的ランダムパターンを生成するディフューザとを有することを特徴とする請求項16記載のオートフォーカスシステム。
【請求項19】
既知のアクチュエータ位置で該平坦面で反射した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの較正画像を格納するためのメモリを備え、該プロセッサは、該空間的ランダムパターンの画像と該空間的ランダムパターンの較正画像との相関関係を処理することを特徴とする請求項16記載のオートフォーカスシステム。
【請求項20】
該プロセッサは、所望のアクチュエータ位置に向かう距離と方向とを提供することを特徴とする請求項16記載のオートフォーカスシステム。
【請求項21】
該カメラは、対象領域モードにおいて該空間的ランダムパターンの画像を取得することを特徴とする請求項16記載のオートフォーカスシステム。
【請求項22】
パターン化された平坦面の検査に関する検査システムのカメラをオートフォーカスするための方法であって、
空間的ランダムパターンを該平坦面上に斜角で投影し、
画像をカメラで取得し、前記取得した画像は、前記パターン化された平坦面と、前記パターン化された平坦面に反射された前記空間的ランダムパターンとを表し、
前記取得した画像から前記空間的ランダムパターンを分離する分離処理を実行し、
アクチュエータの既知の位置で取得された少なくとも一つの較正画像と前記分離処理において取得した前記空間的ランダムパターンとを比較し、該アクチュエータは、該カメラをアクチュエータ位置に移動可能であり、
上記比較に応答して、予め規定された目標アクチュエータ位置までの距離と方向とを決定し、該距離は、該平坦面と該カメラとの作動距離の変化による前記分離処理において取得した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの特徴である移動とスケーリングの少なくとも一方により決定され、
該目標アクチュエータ位置へ該アクチュエータ位置を調整することを特徴とするオートフォーカス方法。
【請求項23】
該空間的ランダムパターンは、該カメラの視野全体に亘って投影されることを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項24】
該空間的ランダムパターンは、該カメラの視野より広い領域に亘って投影されることを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項25】
該画像の一部のみが、該少なくとも一つの較正画像と比較されることを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項26】
上記比較は、該空間的ランダムパターンの移動を決定する工程を含むことを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項27】
上記比較は、該空間的ランダムパターンのスケーリングを決定する工程を含むことを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項28】
該画像と、それぞれが該アクチュエータの既知の互いに異なる位置で取得された複数の較正画像とを相互に関連させ、
最大相関に関連するアクチュエータの位置を特定し、
特定された該アクチュエータの位置と予め規定された目標アクチュエータの位置との間の距離を決定することを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項29】
該カメラの対象領域モードにある該空間的ランダムパターンの画像を取得することを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項30】
該平坦面を検査するために用いられる範囲以外の光線範囲にて該空間的ランダムパターンを投射することを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項31】
該カメラが該平坦面上の規定された座標間を移動するとき、該空間的ランダムパターンの投影及び取得を繰り返し、
該規定され検出された欠陥領域に到達するまで、要求により該目標アクチュエータ位置への該アクチュエータ位置の調整を繰り返すことを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項32】
斜角にて空間的ランダムパターンを該平坦面に投影することと、該平坦面を検査するための照明の照射とを交互に行い、
該空間的ランダムパターンの投影に応答して対象領域モードにおいて複数の画像を取得することと、該平坦面の検査のための光照射に応答してフルフレームモードにおける複数の画像を取得することを交互に行うことを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項33】
該検査システムのスキャンニング動作中にオートフォーカスが実行されることを特徴とする請求項32記載のオートフォーカス方法。
【請求項34】
該空間的ランダムパターンを投射する期間は、該平坦面の検査のための光の照射時間よりも長いことを特徴とする請求項32記載のオートフォーカス方法。
【請求項35】
該カメラの視野の第1位置に亘って該空間的ランダムパターンを投射し、
該視野の該第1位置以外の第2位置に亘って該平坦面の検査のために光を照射し、
該視野の第1位置で得られた情報に基づいてカメラのオートフォーカスを行うことを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項36】
該空間的ランダムパターンを投射する期間は、該平坦面の検査のための光の照射時間よりも長いことを特徴とする請求項35記載のオートフォーカス方法。
【請求項37】
共通の視野に亘り、平坦面検査のための光の照射と、該空間的ランダムパターンの投射とを同時に行う同時投射工程を実行し、
該同時投射工程において画像を取得し、
前記分離処理は、該空間的ランダムパターンと該平坦面上に含まれたパターンとの予め規定された特性に基づき、該空間的ランダムパターンを該平坦面に含まれた該パターンから分離することを特徴とする請求項22記載のオートフォーカス方法。
【請求項38】
該空間的ランダムパターンを投射する時間は、該平坦面の検査のための光の照射時間よりも長いことを特徴とする請求項37記載のオートフォーカス方法。
【請求項39】
複数のパターン化された平坦面を検査するための検査システムのカメラの焦点合わせのためのオートフォーカスシステム較正方法であって、
カメラの撮影距離を調整するためにアクチュエータの位置を記録し、
該平坦面に斜角にて空間的ランダムパターンを投射し、
該カメラを用いて、該平坦面で反射した該空間的ランダムパターンの第1画像を取得し、前記取得した第1画像は、前記パターン化された平坦面と、前記パターン化された平坦面に反射された前記空間的ランダムパターンとを表し
該平坦面の画像を取得するために光照射し、
該カメラを用いて、該平坦面の第2画像を取得し、
該アクチュエータの位置を該第1画像と該第2画像とに関連付し、
該第1画像及び該第2画像と、互いに異なるアクチュエータの位置について、該投射と、該取得と、該関連付けと、を繰り返して実行し、
該カメラの焦点位置を決定するために、前記取得した複数の第1画像のそれぞれから前記空間的ランダムパターンを分離する分離処理を実行し、距離情報を取得することで複数の第1画像を処理し、該距離情報は、該平坦面と該カメラとの作動距離の変化による前記分離処理において取得した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの特徴である移動とスケーリングの少なくとも一方により決定され、
該処理に基づき、目標アクチュエータ位置を特定することを特徴とする較正方法。
【請求項40】
該平坦面は、エッチング又は直接印刷によりパターン化されていることを特徴とする請求項39記載の較正方法。
【請求項41】
該空間的ランダムパターンはスペックルパターンであることを特徴とする請求項39記載の較正方法。
【請求項42】
該処理に基づき該目標アクチュエータ位置からの距離と該目標アクチュエータ位置から離れる方向とを決定するために、モデルを画定することを特徴とする請求項39記載の較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオートフォーカスシステムに関し、特に、しかし限定的ではないが、電気回路の検査システムに用いられるオートフォーカスシステムに関する。電気回路としては、印刷回路基板(PCB)、ウエハ、例えば薄膜トランジスタ(TFT)パネル、フラットパネルディスプレイ(FPD)、OLEDパネルのような表面がパターン化された略平坦な対象物である。
【背景技術】
【0002】
ウエハ、ベアPCB、フラットパネルディスプレイ(FPD)、薄膜トランジスタ(TFT)パネル、についての自動光学的検査(AOI)のためのオートフォーカスシステムや、PCB製品の画像解析のためのオートフォーカスシステムは公知である。これらの分野においては、パネルなどの比較的平坦な物体が、浅い焦点深度にて近距離で検査されるか結像される。いくつかの光学的検査システムにおいては、カメラの視野は数百ミクロンから数ミリ程度と小さく、一方でパネル全体の大きさは2メートルx2.5メートルまでになるものがある。別の分野においては、平坦な物体はより低い倍率及びより深い焦点深度にて検査されることがある。オートフォーカスシステムは正確な撮影距離(作動距離)を維持することが要求され、一方でパネルの互いに異なる部位を画像化する。パネルを横切る撮影距離の偏差は、例えば板厚固有の許容誤差やパネルの平坦性についての許容誤差及び又は支持テーブルに沿った異なる場所におけるAOIシステム(又はそれに類似のシステム)における許容誤差によるものである。
【0003】
多くの公知なオートフォーカスシステムは、三角測量法を用いてカメラの撮影距離を調整している。三角測量のために、点、線又は格子パターンが斜角にて表面に投影され、カメラを用いて投影ビームの鏡面反射を捕獲している。点、線又は格子の側方変位が検知され、三角測量法を用いて、検知された側方変位を規定された撮影距離からのカメラの変位に関連付ける。検知された側方変位又は検知された焦点からの変位はアクチュエータに入力されて、カメラの対物レンズの位置を調整する。感度は、斜照明の角度とビームスポットの寸法の関数である。
【0004】
米国特許第5136149号公報は、発明の名称が「対象物の光学ヘッドに焦点を当てる方法及び傾斜検出を含む光学的検査システムのためのオートフォーカス装置」であり、当該公報の内容は、当該公報を参照することにより本書に組み込まれる。当該公報は、可動テーブル機構上に支持された半導体ウエハについて記載している。ウエハの表面を対物レンズの焦点に維持させるため、またウエハの角度を対物レンズの光軸に直角に維持するために、光ビームがウエハに向けられる。反射した光は、第1ビームと第2ビームとに分割される。第1ビームは、一次元のPSD(位置感知装置)によって受光されつつ、第2ビームは2次元のPSDによって受光される。一次元PSD及び二次元PSDのそれぞれからの出力に応答して、可動テーブル機構が駆動され、ウエハのそれぞれの領域の走査を受けるためにウエハが移動しているときでさえ、ウエハと対物レンズとの焦点が合っている状態が維持される。
【0005】
米国特許第5604344号公報は、発明の名称が「パターン映像システムを備えたオートフォーカス顕微鏡」であり、当該公報の内容は、当該公報を参照することにより本書に組み込まれる。当該公報は、パターン映像システムを備えた顕微鏡のためのオートフォーカス機構、単一画像検出器、及びパターン焦点分析器について記載する。パターン映像システムは、顕微鏡の主光路に沿って顕微鏡の対物レンズを通じて少なくとも一つのパターンを被写体の表面に撮像する。パターン像は、次に被写体の像と結合され、主光路に沿って顕微鏡の像面に向かって反射される。高コントラストのパターンを用いることが記載されている。画像検出器は反射された像を検出し、パターン焦点分析器は、画像検出器からの出力を分析することによりパターンの鮮明さを決定する。パターン焦点分析器は、距離を変えるために、装置に対して深くなった焦点の方向における移動の指示を出すこともできる。焦点の方向は、オートフォーカス装置のレンズの対物面の上方と下方の距離δにおける二つのパターンを映像化し、そして反射された画像における 両方のパターンの焦点を比較することにより決定される。
【0006】
米国特許第7301133号公報は、発明の名称が「オートフォーカスシステムのトラッキング」であり、当該公報の内容は、当該公報を参照することにより本書に組み込まれる。当該公報は、オートフォーカスシステムのトラッキングについて記載しており、そのシステムは、TFT列に向けた顕微鏡を連続的に焦点が合うように維持して、そうしなければ避けられないようなオートフォーカス時間を除去するためである。トラッキングするオートフォーカスシステムは、顕微鏡Zアクチュエータ、アナログデジタル変換器(ADC)、単一調整器、デジタル比例積分及び微分制御器(PID)、及びデジタルアナロク変換器を一部に含む。ADCを伴うPSDと、単一調整器は、連続的に顕微鏡の対物レンズとターゲットとの間の距離を検出して、測定された距離を増幅器に供給する。DACを伴うPID制御器は、顕微鏡の対物レンズとターゲットとの離間した距離を安定化し、最良の焦点を維持する。
【0007】
会議シリーズ139(2008)012026という物理学定期刊行物に出版された記事は、「3D感知のためのスペックルパターンの投影」という表題であり、当該記事の内容は、当該記事を参照することにより本書に組み込まれる。この記事は、深さと厚さを感知するための投影されたスペックルパターンの使用について記載している。互いに異なる平面において互いに異なる空間的にランダムなパターンが生成される。スペックル現象により互いに異なる高さで得られたパターンは、きわめてランダムであり、互いの関係性がない。この感知は、伝播を伴ったスペックルパターンの変化や、互いに異なる深さ又は側方位置で記録されたスペックルパターン同士の関係性の欠如に基づくものである。この原理は、透明な媒体の厚さをマッピングするため、及び拡散物体の深さの測定や三次元寸法マッピングのために用いられる。スペックルパターン同士の横方向または軸方向の距離がスペックルの横方向又は軸方向サイズよりも大きい場合にのみ、スペックル現象による相互関係性の欠如が生じることが判った。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のいくつかの実施の形態による観点によれば、距離測定システム(DMS)を備えたオートフォーカスシステムが提供されており、DMSは、例えば線又はグリッドパターンのような公知の三角測量オートフォーカスシステムにおいて投影されるものとして知られた規定された地理的オートフォーカスパターンの代わりに、空間的ランダムオートフォーカスパターンが生成されるか用いられる。本発明のいくつかの実施の形態によれば、DMSは、カメラの視野(FOV)全体にわたって又はカメラの視野の実質的な部分にわたって空間的なランダムパターンを投影する。任意的には、DMSは、カメラの視野よりも大きい領域にわたって空間的なランダムパターンを投影する。本発明のいくつかの実施の形態によれば、空間的ランダムパターンはスペックルパターンである。任意的には、DMSは、浅い焦点深度と小さい視野を用いて、広い平坦な面を検査するためにカメラ及び又は画像システムと共に動作される。任意的にはDMSを備えたオートフォーカスシステムは、パターン化された広い平坦な面を検査しつつ焦点を合わせるために特に好適である。
【0009】
本発明のいくつかの実施の形態の観点は、パターン化された平坦面を検査するための検査システムのカメラのオートフォーカスのための距離測定システムであって、斜角にて該平坦面に向かって空間的ランダムパターンを投影するパターンジェネレータと、該平坦面に反射した該空間的ランダムパターンの画像を取得する画像センサと、該画像センサ上に該反射した該パターンの画像を形成する少なくとも一つの光学的素子と、該画像センサで取得された該空間的ランダムパターンの画像を処理し、オートフォーカス情報を提供するプロセッサと、を含む距離測定システムを提供する。
【0010】
好ましくは、該パターンジェネレータは、該平坦面を検査するために用いられる光線範囲以外の光線範囲で照射するレーザーダイオードを有する。
【0011】
好ましくは、該パターンジェネレータは、コーヒレント光を提供する照射器と、該空間的ランダムパターンを生成するディフューザとを有する。
【0012】
好ましくは、該パターンジェネレータは、該空間的ランダムパターンが投影される少なくとも一つのレンズを備え、該ディフューザを伴った該照射器と該少なくとも一つのレンズとの距離は、該平坦面に投影される光の発散を生じさせるように規定される。
【0013】
好ましくは、該パターンジェネレータは、二個以上のコーヒレントな照射源を備え、それぞれの照射源は、特有な空間的ランダムパターンを生成する。
【0014】
好ましくは、該それぞれの照射源は、専用のディフューザを通じて照射を行う。
【0015】
好ましくは、該それぞれの照射器は、互いに異なる角度で投影を行う。
【0016】
好ましくは、該パターンジェネレータは、スペックルパターンを生成するように構成されている。
【0017】
好ましくは、該パターンジェネレータは、該画像センサの視野よりも広い領域に亘って該空間的ランダムパターンを投影する。
【0018】
好ましくは、該少なくとも一つの光学的素子は、検査のため該平坦面の画像を取得するために用いられる結像光学系である。
【0019】
好ましくは、該少なくとも一つの光学的素子は、顕微鏡光学系であり、該パターンジェネレータは、該顕微鏡光学系の対物レンズを通じて平坦面に向けて該空間的ランダムパターンを投射する。
【0020】
好ましくは、システムは、該平坦面に反射した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの較正画像を格納するためのメモリを備え、該プロセッサは、該空間的ランダムパターンの画像と該空間的ランダムパターンの較正画像との相関関係を処理する。
【0021】
好ましくは、該画像センサは、対象領域モードにおいて該空間的ランダムパターンの画像を取得する。
【0022】
好ましくは、該画像センサは、該対象領域モードにおける該空間的ランダムパターンの画像の取得状態から、フルフレームモードにおける該平坦面の検査のための第二画像の取得状態に切替わる。
【0023】
好ましくは、該パターンジェネレータは、レーザー光源と、ホログラフィックマスクとを有する。
【0024】
本発明のいくつかの実施の形態の概念は、平坦面の検査用の検査システムに用いられるカメラのオートフォーカスのためのオートフォーカスシステムであって、空間的ランダムパターンを生成し、生成された該パターンを平坦面に向けて斜角にて投影するパターンジェネレータと、該平坦面で反射した該空間的ランダムパターンの画像を取得するカメラと、該カメラで取得された該空間的ランダムパターンの画像を処理し、オートフォーカス情報を提供するプロセッサと、該プロセッシングに反応して、該カメラと該平坦面との間の撮影距離を変化させるアクチュエータと、該プロセッサにより提供された該オートフォーカス情報に応答して、該アクチュエータの動作を制御するコントローラと、を含むことを特徴とするオートフォーカスシステムを提供する。
【0025】
好ましくは、該パターンジェネレータは、該平坦面を検査するために用いられる光線範囲以外の光線範囲で照射するレーザーダイオードを有する。
【0026】
好ましくは、該パターンジェネレータは、コーヒレント光を提供する照射器と、該空間的ランダムパターンを生成するディフューザとを有する。
【0027】
好ましくは、既知のアクチュエータ位置で該平坦面で反射した該空間的ランダムパターンの少なくとも一つの較正画像を格納するためのメモリを備え、該プロセッサは、該空間的ランダムパターンの画像と該空間的ランダムパターンの較正画像との相関関係を処理する。
【0028】
好ましくは、該プロセッサは、所望のアクチュエータ位置に向かう距離と方向とを提供する。
【0029】
好ましくは、該カメラは、対象領域モードにおいて該空間的ランダムパターンの画像を取得する。
【0030】
本発明のいくつかの実施の形態の概念は、平坦面の検査に関する検査システムのカメラをオートフォーカスするための方法であって、空間的ランダムパターンを該平坦面上に斜角で投影し、該平坦面で反射した該空間的ランダムパターンの画像をカメラで取得し、アクチュエータの既知の位置で取得された少なくとも一つの較正像と該カメラで取得した画像とを比較し、上記した比較に応答して、予め規定された目標アクチュエータ位置までの距離と方向とを決定し、該目標アクチュエータ位置へ該アクチュエータ位置を調整することを特徴とするオートフォーカス方法を提供する。
【0031】
好ましくは、該空間的ランダムパターンは、該カメラの視野全体に亘って投影される。
【0032】
好ましくは、該空間的ランダムパターンは、該カメラの視野より広い領域に亘って投影される。
【0033】
好ましくは、該画像の一部のみが、該少なくとも一つの較正画像と比較される。
【0034】
好ましくは、上記比較は、該空間的ランダムパターンの移動を決定する工程を含む。
【0035】
好ましくは、上記比較は、該空間的ランダムパターンのスケーリングを決定する工程を含む。
【0036】
好ましくは、該方法は、該画像と、それぞれが該アクチュエータの既知の互いに異なる位置で取得された複数の較正画像とを相互に関連させ、最大相関に関連するアクチュエータの位置を特定し、特定された該アクチュエータの位置と予め規定された目標アクチュエータの位置との間の距離を決定する。
【0037】
好ましくは、該方法は、該カメラの対象領域モードにある該空間的ランダムパターンの画像を取得する。
【0038】
好ましくは、該方法は、該平坦面を検査するために用いられる範囲以外の光線範囲にて該空間的ランダムパターンを投射する。
【0039】
好ましくは、該方法は、該カメラが該平坦面上の規定された座標間を移動するとき、該空間的ランダムパターンの投影及び取得を繰り返し、該規定され検出された欠陥領域に到達するまで、要求により該目標アクチュエータ位置への該アクチュエータ位置の調整を繰り返す。
【0040】
好ましくは、該方法は、斜角にて空間的ランダムパターンを該平坦面に投影することと、該平坦面を検査するための照明の照射とを交互に行い、該空間的ランダムパターンの投影に応答して対象領域モードにおいて複数の画像を取得することと、該平坦面の検査のための光照射に応答してフルフレームモードにおける複数の画像を取得することを交互に行う。
【0041】
好ましくは、該検査システムのスキャンニング動作中にオートフォーカスが実行される。
【0042】
好ましくは、該空間的ランダムパターンを投射する期間は、該平坦面の検査のための光の照射時間よりも長い。
【0043】
好ましくは、方法は、該カメラの視野の第1位置に亘って該空間的ランダムパターンを投射し、該視野の該第1位置以外の第2位置に亘って該平坦面の検査のために光を照射し、該視野の第1位置で得られた情報に基づいてカメラのオートフォーカスを行う。
【0044】
好ましくは、該空間的ランダムパターンを投射する期間は、該平坦面の検査のための光の照射時間よりも長い。
【0045】
好ましくは、該方法は、共通の視野に亘り、平坦面検査のための光の照射と、該空間的ランダムパターンの投射とを同時に行い、該同時投射に応答した画像を取得し、該空間的ランダムパターンと該平坦面上に含まれた該パターンとの予め規定された特性に基づき、該空間的ランダムパターンを該平坦面に含まれたパターンから分離する。
【0046】
好ましくは、該空間的ランダムパターンを投射する時間は、該平坦面の検査のための光の照射時間よりも長い。
【0047】
本発明のいくつかの実施の形態の概念は、複数の平坦面を検査するための検査システムのカメラの焦点合わせのためのオートフォーカスシステム較正方法であって、カメラの撮影距離を調整するためにアクチュエータの位置を記録し、該平坦面に斜角にて空間的ランダムパターンを投射し、該カメラを用いて、該平坦面で反射した該空間的ランダムパターンの第1画像を取得し、該平坦面の画像を取得するために光照射し、該カメラを用いて、該平坦面の第2画像を取得し、該アクチュエータの位置を該第1画像と該第2画像とに関連付し、該第1画像及び該第2画像と、互いに異なるアクチュエータの位置について、該投射と、該取得と、該関連付けと、を繰り返して実行し、該焦点の質を決定するために、該平坦面の複数の画像を処理し、該処理に基づき、目標アクチュエータ位置を特定することを特徴とする較正方法を提供する。
【0048】
好ましくは、該平坦面は、エッチング又は直接印刷によりパターン化されている。
【0049】
好ましくは、該空間的ランダムパターンはスペックルパターンである。
【0050】
好ましくは、該方法は、該処理に基づき該目標アクチュエータ位置からの距離と該目標アクチュエータ位置から離れる方向とを決定するために、モデルを画定する。
【0051】
他に定義されていない限り、ここで使用される技術的及び/又は科学的用語は全て、当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。以下では、例示的な方法及び/又は材用について記載するが、ここで記載された方法及び材料と均等或いは同一のものを、発明の実施の形態を実施或いはテストする際に使用できる。矛盾する場合、定義を含む特許明細書を参照する。加えて、材料、方法及び例は、例証的に過ぎず、必ずしも限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
ここで、関連する図面を参照しながら、単に一例として、本発明の実施の形態を示す。特に図面を詳細に参照するに際し、示した事項は一例であり、本発明の実施の形態について例証的に議論するためのものである。この点について、本発明の実施の形態がどのように実施可能であるかは、図面を用いた説明から、当業者には明白である。
【
図1】本発明のいくつかの実施の形態に係る、オートフォーカスシステムが組み込まれた大きな平坦面を検査するための検査システムの概略図。
【
図2】本発明のいくつかの実施の形態に係る、検査システムのカメラが統合されたDMS用の光学的構造を示す概略図。
【
図3】本発明のいくつかの実施の形態に係る、検査システムの顕微鏡が統合されたDMS用の光学的構造を示す概略図。
【
図4A】本発明のいくつかの実施の形態に係る、検査システムのカメラが統合されたDMS用の光学的構造の他の例を示す概略図。
【
図4B】本発明のいくつかの実施の形態に係る、検査システムのカメラが統合されたDMS用の光学的構造のその他の例を示す概略図。
【
図5】本発明のいくつかの実施の形態に係る、パターン化された表面に照射された反射スペックルパターン像を示す図。
【
図6A】本発明のいくつかの実施の形態に係る、カメラの撮影範囲の変化に起因するスペックルパターンの転換、及び又はスケーリングを示すグラフ。
【
図6B】本発明のいくつかの実施の形態に係る、カメラの撮影範囲の変化に起因するスペックルパターンの転換、及び又はスケーリングを示すグラフ。
【
図6C】本発明のいくつかの実施の形態に係る、カメラの撮影範囲の変化に起因するスペックルパターンの転換、及び又はスケーリングを示すグラフ。
【
図7】本発明のいくつかの実施の形態に係る、オートフォーカスシステムの代表的な要素を示すブロック図。
【
図8】本発明のいくつかの実施の形態に係る、オートフォーカスシステムを較正する方法を示すフローチャート。
【
図9】本発明のいくつかの実施の形態に係る、オートフォーカス中に得られた画像とメモリに格納された較正画像との相互関係値を示すグラフ。
【
図10】本発明のいくつかの実施の形態に係る、DMSの動作と平坦な物体をスキャンするための画像取得の交互動作を示す時系列図。
【
図11】本発明のいくつかの実施の形態に係る、平坦な物体上の複数の別々の領域の画像を取得するためのDMSの動作を示す時系列図。
【
図12】本発明のいくつかの実施の形態に係る、DMSの動作と同一の画像を用いて平坦な物体をスキャンする動作を示す時系列図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明のいくつかの実施の形態はオートフォーカスシステムに関し、特に、しかし限定的ではないが、電気回路の検査システムに用いられるオートフォーカスシステムに関する。電気回路としては、印刷回路基板(PCB)、ウエハ、例えば薄膜トランジスタ(TFT)パネル、フラットパネルディスプレイ(FPD)、OLEDパネルのような表面がパターン化された略平坦な対象物である。
【0054】
本発明のいくつかの実施の形態の観点によれば、DMSが提供され、DMSは空間的にランダムなオートフォーカスパターンを生成し、空間的にランダムなオートフォーカスパターンの照明と反射を利用し、検査を目的として、カメラ及び又は顕微鏡などの画像システムの平坦面に関する焦点調節のために必要な調整を感知する。本発明のいくつかの実施の形態によれば、DMSはオートフォーカスパターンジェネレータを有し、この発生器は斜角照明によって平坦面上の空間的ランダムオートフォーカスパターンを投影するように動作可能である。
【0055】
本発明のいくつかの実施の形態においては、空間的ランダムオートフォーカスパターンは複数のピークと複数の谷部を有する連続的パターンにより構成される。特に、このパターンはスペックルパターンである。
【0056】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、DMSは、画像システムの撮影距離の変化によって生じる一つ又はそれ以上のランダムパターン例えばスペックルパターンの特性の一方向又はそれ以上の方向にける移動及び又はスケーリングを監視するか感知する。本発明のいくつかの実施の形態によれば、DMSはオートフォーカスシステムの一部であり、オートフォーカスシステムはDMSからの出力を用いて焦点合せのために画像システムの撮影距離を調整する。
【0057】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、パターン化された平坦面に関しての画像システムの焦点合せのためにDMSは好適である。本件発明者は、本出願におけるDMSは、例えばTFTパネル、FPE、OLEDパネルのような、表面がパターン化された平坦面に対しての画像システムの焦点調節に適用した場合に、公知のDMSよりも利点があることを見いだした。特に、TFTパネル等は、金属、インジウムスズ酸化物(ITO)、結晶シリコン、及び又はアモルファスシリコンのような材料にて一つまたはそれ以上の段階でパターン化される。特に、これらの材料によるパターンは幾何学的なパターンであり、公知のDMSによって用いられる幾何学的パターンとの相関関係が高い。本発明者は、エッチングされたパターン及び又はオートフォーカス中に表面にプリントされたパターンとの区別をするために、公知の規定された幾何学的オートフォーカスパターンに代えて、DMSは対象物パターンと相互関係がない空間的ランダムオートフォーカスパターンを用いることができることを発見した。
【0058】
三角測量法に基づくシステムにおいては、(斜角投影に起因して)撮影距離が変わるとオートフォーカスパターンが移動する。規定された撮影距離からの大きなズレのために、小さなパターンが視野(FOV)から外れる可能性がある。本発明者は、視野の実質的な部分、視野の全体、及び又は視野よりも大きい領域に亘って空間的ランダムオートフォーカスパターンを投影することにより、オートフォーカスパターンが視野から外れる可能性が著しく減ることも発見した。本出願で記載するオートフォーカス技術は、精度を損なうことなく撮影距離の大きな変更を伴う焦点検査システムに適用できることを本発明者は発見した。オートフォーカスパターンは斜角にて拡張された領域に投影されるので、オートフォーカスパターンの異なる複数の部分が映像システムの異なる撮影距離で取り込まれる可能性がある。本発明者は、オートフォーカスパターンの複数の異なる部分が互いに異なる撮影距離で映像化されることがあるが、オートフォーカス技術は活用できていることも発見した。
【0059】
いくつかの実施の形態においては、空間的なランダムオートフォーカスパターンの反射された部分のみが、解析用に選択される。別の技術では、視野の中心の周りの反射部分が解析用に選ばれる。空間的ランダムオートフォーカスパターンにて視野の実質的な領域を照射し、解析のために鏡面反射の部分を選択することにより、光学機構におけるオートフォーカスパターンの位置決めに要求される精度が実質的に低下し、広いダイナミックレンジに亘って精度が維持されることを本発明者は発見した。本発明のいくつかの実施の形態によれば、光学機構のパーツ相互の位置関係が安定している限りにおいて、オートフォーカスシステムの精度とダイナミックレンジは維持できる。
【0060】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、用いられる空間的ランダムオートフォーカスパターンはスペックルパターンである。スペックルパターンをオートフォーカスパターンとして用いる利点は、撮影距離と映像化された領域の広いダイナミックレンジに亘ってスペックルパターンは安定した焦点を提供することにある。特に従来のシステムでは、投影されたオートフォーカスパターンは、異なる撮影距離について焦点内に入るか焦点から外れる。その場合に、投影されたオートフォーカスパターンの最善の焦点が、カメラの最善の焦点に正確に位置するように、オートフォーカスパターンを方向付けることが重要である。本発明者は、スペックルパターンを使用したときは、パターンは焦点を良好に維持するので、カメラの焦点とスペックルパターンの焦点とを一致させる必要がないということを発見した。それ故、機械的較正を正確に行う必要がなく、公知のDMSでは必要であったオートフォーカスパターンの焦点面とカメラや顕微鏡の焦点面との整合の必要がない。
【0061】
オートフォーカスのためのスペックルパターンを使用することの他の利点としては、時間的に安定しており基板の異なる領域において安定しているスペックルパターンが、比較的低額で生成できる点にある。いくつかの実施の形態においては、スペックルパターンは拡散器とレーザービーム源を用いて生成される。別の方法として、ホログラフィックマスクにレーザービームを投影することでスペックルパターンが生成される。
【0062】
スペックルパターンを用いた深度測距(depth ranging)方法は公知であるが、この従来方法は互いに異なる深度での複数のスペックルパターン間の相関関係については、認識がなかった。本件発明者はまた次のような発見をした。即ちスペックルパターンの変化は、わずかな被写体深度の変化のような小さい深度の変化については重要ではなく、スペックルパターン要素の移動やスケーリングの検出のための三角測量法において、スペックルパターンが使用できることである。いくつかの実施の形態においては、スペックルパターンの二方向以上の移動及び又はスケーリングを生じさせ、オートフォーカスのために検出され利用される。
【0063】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、例えばガラスのような鏡面反射物体を検査するとき、スペックルパターン又は他の空間的ランダムパターンは、斜角に投影され、場合によっては対物レンズを通過し、次に主光路に沿って反射されて、画像システムの画像面に向かう。又は、スペックルパターンは代替の画像センサに至る代替の光路に沿って反射される。画像検出器は反射された像を取得し、処理ユニットは反射された空間的ランダムパターンの移動及び又はスケーリングを解析して、所望の及び又は焦点があった撮影距離からの距離と方向とを決定する。別の技術としては、オートフォーカス化に専用の画像センサを用いる。いくつかの実施の形態においては、処理ユニットが複数の反射された画像と一つ又はそれ以上の予め格納された複数の画像であって画像システムの公知の撮影距離で得られた複数の画像との相関関係を決定する。いくつかの実施の形態においては、畳み込み(コンボリューション)が用いられ、複数の異なる撮影距離でのスペックルパターンの移動を追跡監視する。いくつかの実施の形態においては、一つ又はそれ以上のスペックルピークの中心の座標が決定され、それらの位置が追跡監視され及び又は格納されている座標と比較されて、カメラの撮影距離の調整を規定する。
【0064】
いくつかの実施の形態においては、オートフォーカスシステムはトラッキングモードにて動作し、画像システムが基板を横切るように移動するとき、画像システムの焦点を連続的に維持して、オートフォーカスに要する時間をなくしている。このオートフォーカス時間は基板上の規定された座標において画像システムの焦点合せのためには必要な時間であった。特にトラッキングモード中は、画像システムが規定された座標に移動するときに、複数のオートフォーカス画像が取得される。別の技術として又は追加的には、画像システムが規定された場所例えば欠陥領域に到着したことに応答して、オートフォーカスが実行される。いくつかの実施の形態においては、オートフォーカスシステムは、検査システムが走査モードにあるときに動作する。特に走査モードにおいては、画像システムが移動している間、オートフォーカスシステムは所定の規定された割合でオートフォーカス動作を実行する。特に画像システムは、複数の検査画像と複数のオートフォーカス画像とを交互に取得する。特に、トラッキングモードと走査モードにおいてオートフォーカスのために取得された画像は、走査された画像よりも実質的に小さくなるように規定される。
【0065】
なお、画像システムは顕微鏡を備えてもよい。
【0066】
本発明の幾つかの実施の形態のより良い理解のために、
図2−6に示すように、
図1に示すような本発明の実施の形態に使用されるフラットパネルディスプレイ(FPD)を検査するために適した典型的なシステムの構成及び動作を、最初に参照する。検査システム100は、組み立て中(in-fabrication)FPDの検査のために有用であることが知られている。検査システム100は、シャーシ102に装着された静止浮揚テーブル110も含む。検査システムは、さらに、Y方向に沿って、好ましくはテーブル110と平行に、略平坦な基板106を移動させるディスプレーサ124も含む。検査システム100は、例えばテーブル110に跨がるとともに画像処理ユニットに接続された第1ブリッジ112に装着された第1の検査ユニットをスキャンする複数のカメラ128を含む。大抵は、カメラ128によって取りこまれた画像データは、オンザフライで処理され、欠陥があり得る略平坦基板106の部分を特定する。多くの場合、カメラ128の各々は、カメラの各々の焦点をオンザフライで調整するためのオートフォーカス機能を含む。多くの場合、カメラ128の各々は、Z方向に調整されて、基板106に対して所望の作動距離を維持する。
【0067】
検査システム100は、1つ以上の可動カメラ132、例えば、高解像度ビデオ又は顕微鏡、例えば、第2ブリッジ113に装着され、第1ブリッジ112からずれた、例えば第1ブリッジ112から下流にあり、テーブル110を跨がり、画像ポスト処理ユニットに接続された第2の検査ユニットを含み、取りこまれた欠陥を分類する。多くの場合、可動カメラ132は、X方向に前後に、例えばクロススキャン方向に駆動され、画像処理コンピュータから受け取った入力に反応してトリガーされる。多くの場合、画像処理コンピュータは、欠陥があるものとして疑わしい平坦基板106上の領域を再び配置するための情報を提供する。多くの場合、X軸モータおよびコントローラは、第2ブリッジ113上の可動カメラ132のポジショニングを制御する。多くの場合、カメラ132は、Z方向にカメラ132を移動させることによって、基板106の指定された欠陥領域に亘りカメラ132をフォーカスするためのオートフォーカス機能も含む。多くの場合、可動カメラ132からの出力は、欠陥領域の視覚的検査、パターンの異なる特徴の自動欠陥分類や、限界寸法及びオーバーレイ(CDO)測定のために使用される。多くの場合、可動カメラからの出力は、画像ポスト処理コンピュータによって処理される。DMS用の光学構造の簡潔な概略図を示す
図2を参照する。DMS用の光学構造は、本発明のいくつかの実施の形態による検査システムのカメラが組み込まれている。多くの場合、カメラ300は、画像センサ355と、描画光学系370と、照明器210とを含む。多くの場合、照明器210は、可視光域内で照明する。オプションとして、1つ以上のレンズ素子220が、照明を調整するために使用される。オプションとして、照明は、ビームスプリッタ375を備えた平坦面395上のターゲット領域に向けられる。多くの場合、照明器210からの照明は、メイン光路360に沿って、描画光学系370を通過して画像センサ355に向けて反射される。多くの場合、描画光学系370は、1つ以上のレンズ371を含む。いくつかの典型的な実施の形態においては、DMSは、カメラ300と共に組み立てられる。又は、照明器210からの照明は、代わりの光路に沿って反射されて、付随的に代わりの画像センサに導かれる。いくつかの典型的な実施の形態において、拡散性物体、例えばPCBや、一部拡散性であり一部反射性である物体を描画するとき、照明器210からの照明は、別の光路に沿って反射され、メインの光学系はオートフォーカシングには使用されない。
【0068】
本発明のいくつかの実施の形態により、DMSは、平坦面395上の指示された領域に空間的にランダムオートフォーカスパターンを生成するパターンジェネレータ350を含む。本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカスパターンジェネレータ350からの光線385は、斜めの角度で平坦面395に投影され、三角測量法が適用されて、オートフォーカスパターン内で検出されたシフトに基づいてカメラ300の作動距離の変化を測定する。いくつかの典型的な実施の形態において、パターンジェネレータ350の光特性は、光線385が平行な態様で平坦面395に向かうように決められる。いくつかの典型的な実施の形態において、光線385によって投影される空間的ランダムオートフォーカスパターンも、メイン光路360に沿って描画光学系370を通過して画像センサ355、例えばCCDやCMOSセンサに向けて反射される。本発明のいくつかの実施の形態により、反射されたオートフォーカスパターンの画像は、オートフォーカシング用に分析される。多くの場合、平坦面395に入射する光線385は平行であり、作動距離の変化によるオートフォーカスパターンのシフトは、実質的にグローバルであり、例えば、オートフォーカスパターン全体が、実質的に同じ方向に、且つ実質的に同じ距離だけ一緒にシフトする。本発明のいくつかの実施の形態により、カメラ300と関連したアクチュエータは、1つ以上の画像の分析に反応して、Z方向のカメラ300の作動距離を調整する。
【0069】
いくつかの典型的な実施の形態において、パターンジェネレータ325は、画像センサ355の全FOVに亘り、又はFOV全体よりも大きな領域に亘り、空間的ランダムオートフォーカスパターンの投影に備える。又は、パターンジェネレータ325は、空間的ランダムオートフォーカスパターン、例えばFOVカメラ300の指定された部分でのスペックルパターンの投影に備える光学系を含む。
【0070】
本発明のいくつかの実施の形態により、パターンジェネレータは、ニア赤外線(NIR)帯域を照射するレーザダイオード310で、オートフォーカスパターンを生成する。オプションとして、750μm以下や650μmと750μmとの間の波長が使用される。本発明のいくつかの実施の形態により、2色ビームスプリッタ330が使用されて、照明器210及びパターンジェネレータ350の両方からの照明が、平坦面395上のターゲット領域へ向けられる。
【0071】
いくつかの代表的な実施の形態において、カメラ300は、照明器210による照明及びパターンジェネレータ350による照明を交互に行う。多くの場合、照明器210を使用して取りこまれた画像は、平坦面395の検査のために使用され、パターンジェネレータ350を使用して取りこまれたパターンは、オートフォーカシングカメラ300用に使用される。他の代表的な実施の形態において、照明器210及びパターンジェネレータ350は、同時に照射を行い、オートフォーカシングは、検査のために使用される画像の上で行われる。
【0072】
多くの場合、パターンジェネレータ350のためにニアIR帯域を使用するとき、2色ビームスプリッタ330を通過するときのエネルギ損失は、小さく、取るに足らない。パターンジェネレータ350から投影された光線385のみが、明確さのため示されている。又は、DMSは、専用の描画光学系や画像センサを使用し、例えば、オートフォーカスセンシングのための画像センサ355及び描画光学系370を使用しない。
【0073】
本発明のいくつかの実施の形態により、パターンジェネレータ350は、レーザダイオード310、ディフューザ320及びレンズ315を使用してスペックルパターンを生成する。オプションとして、レンズ315が使用されて、レーザダイオード310及びディフューザ320によって生成されたスペックルパターンの特性をカスタマイズする。多くの場合、レーザダイオード310を出射した光線は、ディフューザ320に到着するときは、略平行である。本発明の発明者は、レーザダイオード310の特性が時間変化に対して安定であり、且つ、ディフューザの特性がその照射領域に亘り安定している限りは、レーザ及びディフューザによって生成されたスペックルパターンは、時間変化に対し安定であり、カメラ300のFOVに亘って安定していることを見いだした。
【0074】
本発明のいくつかの実施の形態により、スペックルパターンの1つ以上の特性は、DMS用に所望の精度を得るために調整されることができる。多くの場合、スペックルパターンのスペックルのサイズは、レーザダイオード310の波長や、レーザ310によって照射されるディフューザ320の領域を調整することによって、或いは、ディフューザ320の特性を定義することによって、調整できる。多くの場合、レーザダイオード310がディフューザ320の広範囲を照射するとき、スペックルサイズは小さくなる。スペックルサイズを小さくすると、様々な作動距離でオートフォーカスパターンの平行移動を検出する精度を高くするが、レーザダイオード310がディフューザ320の広範囲を照射するときに生じる平行移動の規模は、レーザダイオード310がディフューザ320の狭い範囲を照射するときに生じる平行移動よりも、大抵小さい。多くの場合、スペックルサイズとスペックル平行移動との間の妥協は、システムタイプ毎に解決できる。
【0075】
本発明のいくつかの実施の形態による検査システムの顕微鏡と共に組み込まれたDMS用の光学構成の簡潔且つ概略図を示す
図3を参照しながら説明する。本発明のいくつかの実施の形態により、DMS300は、平坦面395に亘り配置された顕微鏡カメラ400と共に動作する。多くの場合、対物レンズ380は、顕微鏡カメラの中で、描画光学系や上視野レンズ373から分離されている。本発明のいくつかの実施の形態により、ビームスプリッタ375は、視野レンズ373と対物レンズ380との間に配置される。本発明のいくつかの実施の形態により、パターンジェネレータ350は、メインの光軸及び対物レンズ380に対して直角で照明を投影し、光線385の屈曲に備える。故に、光線385は、斜めの角度で平坦面395に到達する。オプションとして、顕微鏡カメラに使用される斜めの角度は、例えば、
図2を参照して記載されるような、低倍率カメラに使用される角度よりも大きい。オプションとして、或いは、パターンジェネレータ350は、斜めの角度で対物レンズ380に向けて直接照明を投影する。多くの場合、照明は、平坦面395上のターゲット領域に向けられ、次に、メインの光路360に沿って描画光学系373を介して画像センサ355へと反射される。又は、パターンジェネレータ350からの照明は、別の光路に沿って反射される。
【0076】
本発明のいくつかの実施の形態による検査システムのカメラと一体化されたDMSの別の光学構成の簡潔な概略図を示す
図4A及び4Bを参照する。他の代表的な光学構成は、
図2に記載されるようなカメラのために示したが、同一又は同様な構成が、
図3に記載されるような顕微鏡カメラに適用される。オプションとして、複数の代替例が、カメラ300や顕微鏡カメラ400に対して適用され得る。
図4Aを参照すると、カメラ301は、パターンジェネレータ351と一体的に示されている。パターンジェネレータ351は、ズーム効果と共に平坦面395の上に空間的にランダムオートフォーカスパターンを投影する。オプションとして、レーザダイオード310と光学系315との間の距離は、光線385が平坦面395に入射するときに非平行となるように設定される。オプションとして、非平行投影を使用するとき、空間的にランダムオートフォーカスパターンは、多くの場合、カメラ301の作動距離の変化に反応した複雑な態様で変化する。オプションとして、シフト及びスケーリングは、フォーカシングのための情報を検知するために検出されたり、トラックされたりできる。
【0077】
図4Bを参照すると、パターンジェネレータ352は、レーザダイオード310とディフューザ320との複数の対を含む。いくつかの代表的な実施の形態において、パターンジェネレータ352は、レーザダイオード310とディフューザとの2つの対を含み、その各々が、平坦面395の上に空間的にランダムオートフォーカスパターンを投影する。オプションとして、両方の対が、同一のレンズ316を通過して投影する。多くの場合、2つのレーザダイオード310は、コヒーレントではなく、各レーザダイオード310は、自身の空間的ランダムオートフォーカスパターンを作成できる。オプションとして、パターンジェネレータ352は、同一のディフューザを介して照射する複数のレーザダイオード310を含む。オプションとして、各レーザダイオード310は、異なる角度で照射を投影し、固有の空間的ランダムパターンを生成する。いくつかの代表的な実施の形態において、パターンジェネレータ352は、異なる角度で平坦面の上に空間的ランダムオートフォーカスパターンの各々の投影に備える。いくつかの代表的な実施の形態において、別々の角度からの2つ空間的ランダムオートフォーカスパターンの投影は、オートフォーカシングのための作動距離の変化や、作動距離を検出するための信号対ノイズ比及び信頼性の向上のために使用される。
【0078】
多くの場合、パターンジェネレータ351、352から投影される照射は、平坦面395上のターゲット領域へと向けられ、主となる光路360に沿って、検査システムの描画光学系を介して画像センサ355に向けて反射される。又は、パターンジェネレータ351、352からの照射は、別の光路に沿って反射され、オプションとして、別の画像センサへと導かれる。
【0079】
本発明のいくつかの実施の形態により、パターン処理された面に投影される反射スペックルパターンの代表的な画像を示す
図5を参照する。本発明のいくつかの実施の形態により、カメラ300、301、302及び顕微鏡400のいずれか1つによって取りこまれた画像500は、パネル上にエッチングされたりプリントされたパターン510と、複数のスペックルから形成された空間的ランダムオートフォーカスパターン530との両方を含む。スペックルの一定強度の輪郭を、明確さのために
図5に示す。多くの場合、パターン510は、確定された幾何学的な形状、例えば長方形、線条及び円を含む。多くの場合、空間的ランダムオートフォーカスパターン530は、パネルのパターン510との相関関係が貧弱であり、故に、空間的ランダムオートフォーカスパターン530は、オートフォーカシングの間、パターン510と取り違える可能性が少ない。
【0080】
本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカスパターン530内での1つ以上のスペックルや1つ以上のスペックルグループの平行移動やスケーリングは、カメラの作動距離の変化を測定するために、トラックされたり、又は検出される。多くの場合、検出の精度は、カメラのFOVをカバーする複数のスペックルと解析とを行うことによって改善される。いくつかの代表的な実施の形態において、コンボリューションが使用されて、異なる作動距離に亘るスペックルパターンの移動を追跡する。いくつかの代表的な実施の形態において、1つ以上のスペックルセンターの座標が測定され、それらの位置が、追跡され、カメラの設定された作動距離用に保存された座標と比較される。オプションとして、取りこまれたスペックルトパターンと、画像システムの周知の作動距離で取りこまれ既に保存された1つ以上の画像との間の相関が計算されて、カメラの現在の作動距離が測定される。多くの場合、カメラのスキャンニング動作の間にオートフォーカシングを実行する間、パターン510は、多くの場合、パネルに対するカメラの移動に起因して、スキャンニング方向に固着される。一方、パターンジェネレータは、カメラと一体化され、又は、カメラと共に移動するので、空間的ランダムオートフォーカスパターン530は、固着されない状態に留まる。モーションスミアリング効果は、
図5には示されていないことに留意する。
【0081】
本発明のいくつかの実施の形態によるカメラの作動距離の変化に起因するスペックルパターンの平行移動やスケーリングの代表的なグラフを示す
図6A、6B、6Cを参照する。理想的には、
図2に示す光学構造に対して、本発明のいくつかの実施の形態において、スペックルパターン530におけるスペックルの各々は、多くの場合、実質的に同一の方向に、カメラ300の作動距離の変化に反応して、略同一の大きさで、
図6Aに示すように平行移動する。理想的な状況において、平行移動は、多くの場合、いくつかの設定された方向に生じる。いくつかの代表的な実施の形態において、
図4Aに記載されるようにDMSによって形成されたスペックルパターンは、理想的には、カメラの作動距離の変化に反応して、
図6Bに示すようにズームアウト方向に、又は、ズームイン方向に移動する。本願の発明者は、システムの不正確さにより、又は正確なメカニカル、又は較正プロシージャを必要としない、使用済みシンプルメカニカル構造により、スペックルパターンのスケーリングや平行移動の方向は、多くの場合、画像全体に亘り線形ではなく、
図6Cに示すような方向と類似する。多くの場合、スペックルパターンや他の空間的ランダムオートフォーカスパターンの移動は、2方向におけるスケール及び平行移動の両方での変化の組み合わせを含む。複数のレーザ源が使用される場合において、
図4Bを参照した実施例に示すと共に議論されるように、複数の変化が生じ、例えば、スペックルパターンの移動は、より複雑になる。
【0082】
本発明によるいくつかの実施の形態によるオートフォーカスシステムの代表的な部品の簡単なブロック図を示す
図7を参照する。本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカスシステム490は、DMS480と、カメラや画像センサ、平坦面に関係した対応光学系を移動させるアクチュエータ450と、アクチュエータ450の位置を制御するコントローラ445とを含む。本発明のいくつかの実施の形態により、DMS480は、描画や検査用の平坦面上に空間的ランダムオートフォーカスパターンを生成し且つ投影するパターンジェネレータ420と、平坦面から反射されるような空間的ランダムオートフォーカスパターンを取りこむためのカメラ405と、フォーカスされた位置からの変位を測定するためにカメラ405からの出力を処理するためのプロセッサ440と、を含む。オプションとして、プロセッサ440は、ROI(対象領域)を変えるために、画像センサ430の位置を変更する指示を提供する。オプションとして、DMS480によって使用されるカメラ405は、平坦面を検査するために使用されるカメラと同一である。又は、カメラ405は、オートフォーカシング専用のカメラである。多くの場合、カメラ405がオートフォーカシング専用であるとき、アクチュエータ450は、カメラ405と、検査のために使用されるカメラとの両方の位置を変更する。
【0083】
オプションとして、パターンジェネレータ420は、典型的なパターンジェネレータ350、351、352のうちの1つから選択される。いくつかの実施の形態において、パターンジェネレータ420は、平坦面上にスペックルトパターンを生成し、且つ投影する。本発明のいくつかの実施の形態により、パターンジェネレータ420は、スペックルパターンを生成するための1つ以上のレーザダイオード及びディフューザを含む。
【0084】
いくつかの代表的な実施の形態において、レーザダイオードは、平坦面を検査するために使用される照射とは識別できる波長やニアIR波長で照明するように制御される。いくつかの実施の形態において、レーザダイオードの強度は、平坦面のグレイレベルに基づいて、例えば、平坦面の画像(例えばターゲット)のグレイレベルの測定単位を計算し、所望のグレイレベル測定単位の所定値と比較することによって選択される。オプションとして、グレイレベル測定単位は、ターゲットの画像及びランダムパターンの平均グレイレベルであり、すなわち、いくつかの高い百分率、例えば95パーセントである。オプションとして、測定値が、所望のグレイレベル測定単位の所望値よりもかなり低い、又は高い場合、レーザのパルス強度及び周期は、応じて調整される。オプションとして、画像は、2つのオートフォーカス画像の間で取りこまれ、ターゲットのグレイレベルを評価する。
【0085】
本発明のいくつかの実施の形態により、透明なパネル、例えばパターン化されたグラスパネルを検査するとき、レーザダイオードは、透明なパネルの両側からの反射による干渉パターンの生成を避けるために十分低いコヒーレンスを有するように選択される。オプションとして、スペックルパターンを生成するとき、レーザダイオードのコヒーレンスは、所望のスペックルを発生するために十分高く、しかしながら、干渉パターンを避けるために十分小さくなるように選択される。多くの場合、セルフレーザダイオードが使用できるオフのコヒーレンスは、数100ミクロンに亘る厚みを有する透明パネルに適している。
【0086】
本発明のいくつかの実施の形態により、投影されたオートフォーカスパターンの鏡面反射は、オートフォーカシングのためにカメラ405によって取りこまれ、カメラ405は、平坦面の描画とオートフォーカシングとの両方のために使用される。いくつかの代表的な実施の形態において、1つ以上の光学部品425及び画像センサ430は、平坦面の描画や検査に使用される描画システムの部品である。又は、カメラ405は、オートフォーカシング専用のカメラであり、平坦面の描画や検査に使用されるカメラとは分離されている。
【0087】
オプションとして、光学部品425は、顕微鏡光学部品である。オプションとして、生成された空間的ランダムオートフォーカスパターンは、カメラ405の全FOVに亘って投影される。又は、生成された空間的ランダムオートフォーカスパターンは、FOVの選択された部分に亘って投影される。
【0088】
いくつかの代表的な実施の形態において、オートフォーカスシステム490やカメラ405は、平坦面のフル画像の取り込みと、空間的ランダムオートフォーカスパターンのオートフォーカス画像、例えばオートフォーカス画像の取り込みとを交替に行う。オプションとして、例えば、フルフレームよりも小さい対象領域、例えば100列から2000列まで、の使用を選択することによって、より小さな画像が、空間的ランダムオートフォーカスパターンの取り込みのために使用され、空間的ランダムオートフォーカスパターンの画像を取りこみ且つ処理するための時間を減らす。本発明のいくつかの実施の形態により、スキャンニングプロシージャの間、カメラ405は、1つ以上のフル画像のあと、オートフォーカス画像を周期的に取りこみ、オートフォーカス画像の分析に基づいて、その作動距離を調整する。又は、カメラ405は、スキャンニングの間、空間的ランダムオートフォーカスパターンの反射と組み合わせた平坦面の画像を取りこむ。オプションとして、係るケースにおいて、空間的ランダムオートフォーカスパターンは、FOVの選択された部分に亘って投影される。オプションとして、空間的ランダムオートフォーカスパターンは、スキャンニングプロシージャの間に他の取り込んだものと重ねられるFOVの一部に亘って投影され、故に、当該部分は、空間的ランダムオートフォーカスパターンと共に一度、さらには定期的な一様な照明によって一度、描画される。
【0089】
いくつかの代表的な実施の形態において、カメラ405は、複数の要求された座標で画像を捉えるために使用される。オプションとして、係るケースに対して、カメラ405は、1の座標から次に座標に移動する時に、複数のオートフォーカス画像を取りこみ、その結果、要求された座標に焦点が合うように達する。オプションとして、オートフォーカス画像は、高速AF取り込み速度及び帯域を可能とするために、検査用に使用される画像よりも小さくなるように設定される。
【0090】
本発明のいくつかの実施の形態により、カメラ405によって取りこまれた画像データは、処理ユニット440に入力されて分析され、カメラ405の作動距離や、焦点からの作動距離や公称作動距離のオフセットを測定する。いくつかの代表的な実施の形態において、分析は、画像検出器360によって捉えられた画像を、メモリ460に保存された1つ以上の画像と比較したり、相関関係を明らかにすることに基づく。オプションとして、メモリ460は、カメラ405の作動距離と、取りこまれた画像に投影されたオートフォーカスパターンのポジショニングとの関係を定義するモデルを保存する。
【0091】
本発明のいくつかの実施の形態により、処理ユニット440は、画像を事前に処理して、例えば、空間的ランダムオートフォーカスパターンのものと関係して平坦面に印刷されたりエッチングされたパターンなどの、物体パターンのエネルギを減らす。いくつかの代表的な実施の形態において、空間的ランダムオートフォーカスパターンの周知の周波数帯域とオプションとして整合されるバンドパスフィルタが使用されて、平坦面上にプリントされたりエッチングされたパターンに対する、空間的ランダムオートフォーカスパターンのコントラストを増やす。多くの場合、バンドパスフィルタが使用できる。その理由は、取りこまれた画像の最高周波数は、パネルのパターンのエッジと関係し、最小周波数は、多くの場合エッジの間で均一となるパターンそのものと関係するからである。オプションとして、スキャンニングプロシージャの間の画像のスミアリングは、基板上のスミアのあるパターンに対して非スミアな空間的ランダムオートフォーカスパターンにコントラストを追加する。多くの場合、スミアリングは、スキャンニング方向にのみ現れる。
【0092】
本発明のいくつかの実施の形態により、プロセッサ440からの出力は、アクチュエータ450を起動させるために、コントローラ445によって使用され、検査や描画システムのカメラの作動距離を調整する。多くの場合、オートフォーカスシステムは、検査や描画システムのカメラと一体的に設けられて、アクチュエータ450が、オートフォーカスシステムやその部品と共にカメラ405の位置を調整する。多くの場合、パターンジェネレータ420と、カメラ405と、プロセッサ440と、メモリ460は、共にDMSを構成する。オプションとして、いくつかの高精度ケースの場合、コントローラのアクチュエータは、クローズド・コントロール・ループに接続されている。
【0093】
本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカスシステムを較正するための代表的な方法の簡単なフローチャートを示す
図8を参照する。本発明のいくつかの実施の形態により、較正プロシージャの間、カメラは、較正プロセスの開始のために作動距離範囲の一端部に配置される(ブロック605)。本発明のいくつかの実施の形態により、この位置で、平坦面の画像、例えば標準画像が取りこまれ(ブロック610)、スペックルパターンの画像、例えば、スペックル画像が取りこまれる(ブロック615)。本発明の実施の形態により、標準画像及び関連するスペックル画像を、カメラをサポートするアクチュエータの位置を参照して、一緒にメモリに記憶する(ブロック620)。本発明のいくつかの実施の形態により、アクチュエータは、カメラの作動距離をインクリメントし(ブロック645)、プロセス(ブロック610、615、620)は、標準及びスペックル画像がカメラの作動距離の範囲に亘り取りこまれるまで繰り返される(ブロック623)。オプションとして、スペックル画像の特定領域は、特定され、且つ保存される。本発明のいくつかの実施の形態により、取りこまれた標準画像は、検査され且つ分析されて、ベストフォーカスで画像を生成するアクチュエータ位置を選択する。多くの場合、ベストフォーカスで画像を生成するアクチュエータ位置の選択は、定義された標準に基づいて自動的に行われる。多くの場合、の場合、プロセッサは、ベストフォーカスで画像を生成するアクチュエータの位置を選択したり提案する。本発明のいくつかの実施の形態により、ベストフォーカスを有する標準画像に関係するスペックル画像は、その関係するアクチュエータ位置と共にマークされる(ブロック630)。オプションとして、他のスペックルパターンの各々と関係するアクチュエータの位置は、選択された画像と関係するアクチュエータ位置からの距離を含むように更新される。本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカシングの間、オートフォーカス画像は、較正中に取りこまれたスペックルパターンと相互に関係する。多くの場合、所望のアクチュエータ位置からの距離は、2つの画像の間に最良の相関関係を提供する較正プロシージャ中に(あるアクチュエータ位置にて)取りこまれたスペックル画像の1つとスペックル画像をマッチングすることによって測定される。オプションとして、最大に相関している画像に近いいくつかの相関の値が、平滑関数を定義するために使用される。例えばパラボラや、関数の最大値が、所望のアクチュエータ位置として使用される。オプションとして、1つ以上のパラメータが、定義され且つ使用されて、所望のアクチュエータ位置からの距離及び方向を測定するために使用できるモデルを設定する(ブロック635)。いくつかの代表的な実施の形態において、1つ以上のスペックルピークセンタの座標は測定される。オプションとして、モデルやパラメータは、メモリに保存され、オートフォーカシングの間に使用される(ブロック640)。
【0094】
本発明のいくつかの実施の形態により、メモリに保存された較正画像と、オートフォーカシングの間に取りこまれた画像との間の代表的な相関値の簡単なグラフを示す
図9を参照する。本発明のいくつかの実施の形態により、検査中、反射された空間的ランダムオートフォーカスパターンの画像は、較正プロシージャからメモリ内に格納された画像と相関性がある。オプションとして、相関性は、複数の較正画像と共に実行され、相関性の値501が得られる。いくつかの代表的な実施の形態において、取りこまれた画像と較正画像との間の相関性は、ピーク相関値502が見つかるまで、測定される。オプションとして、カメラの作動距離、又は、焦点作動距離からのカメラの距離は、最も高い相関性を呈する較正画像と関係したアクチュエータ位置又は作動距離に基づいて定義される。オプションとして、最大の相関と関係したアクチュエータ位置は、較正中に保存されたターゲットアクチュエータ位置と比較され、位置の違いは、コントローラに報告される。オプションとして、ターゲットアクチュエータ位置までの距離は、ターゲットアクチュエータ位置で取りこまれた較正画像までの、実際に取りこまれた画像からの距離を計算するモデルを使用して規定される。
【0095】
本発明のいくつかの実施の形態による平坦な物体をスキャンするために画像の取り込みと、DMSの走査とを交互に行う簡単な時系列を示す
図10を参照する。本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカスシステムが、カメラが平坦面をスキャンしながらも、例えば、カメラ128の各々(
図1)等のカメラをフォーカスさせるために使用される。多くの場合、スキャンニングの間、カメラとターゲット面との間に相対移動が存在する。多くの場合、ターゲット面の画像を取りこみながら、カメラは、標準照明、例えば、可視光領域を、高速照明パルス710に亘って適用して、スキャンニング動作をフリーズさせる。多くの場合、カメラシャッターのシャッターは、照明パルス710と連携して開放され、カメラの画素が照明される。多くの場合、次の画像の取り込みのタイミングは、カメラの読み取り時間715によって制限される。本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカス画像は、スキャンニングの間、画像の取り込みの間に取りこまれる。本発明のいくつかの実施の形態により、カメラやDMSは、オートフォーカス画像を取りこむために、オートフォーカス照明パルス720を、例えばパターンジェネレータ350、351、352によって提供する。代表的な実施の形態において、オートフォーカス照明パルス720は、標準照明パルス710よりも長い持続時間を有する。多くの場合、持続時間の長いパルス720は、オートフォーカス画像を取りこみながらも多くの場合望ましいスキャンニングの間に、画像のスミアリングを提供する。多くの場合、動作のスミアリングは、平坦面上にプリントされたりエッチングされたパターンと、空間的ランダムオートフォーカスパターンとの間のコントラストを増やす。多くの場合、平坦面の画像にはスミアがあるが、パターンジェネレータがカメラと共に移動するので、パターンジェネレータによって生成された空間的ランダムオートフォーカスパターンは、スミアのない状態に留まり、例えば、フォーカスされる。本発明のいくつかの実施の形態により、カメラは、オートフォーカス画像を取りこむために小さな対象領域(ROI)を使用するようにプログラムされ、故に、オートフォーカシング用のカメラの読み出し時間725は、標準画像用のデータを得るための読み出し時間715よりも、かなり短い。多くの場合、オートフォーカス画像のために使用されるより小さなフレームは、オートフォーカシング用には十分であり、減少された読み取り時間は、検査システムの効率の改良に備える。いくつかの代表的な実施の形態において、1のオートフォーカス画像が、スキャンニングの間に各標準画像に対して取りこまれる。又は、オートフォーカス画像は、取りこまれたあらゆる複数の標準画像に対して1回取りこまれる。
【0096】
本発明のいくつかの実施の形態による平坦な物体上の複数のディスクリート領域の画像を取りこむために、DMSを走査する簡略化された時系列を示す
図11を参照する。本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカスシステムは、例えばカメラ132(
図1)などの、平坦面の複数の定義された座標で画像を捉えるカメラの焦点を結ぶために使用される。定義された座標での画像は、オンザフライで、又は定義された座標の各々でカメラを止めることによって取られる。本発明のいくつかの実施の形態により、1の座標から次のものへの移動する時の遅延は、新しい座標へ移動しながらも、オンザフライでオートフォーカシングを行うことによって回避される。多くの場合、この方法は、カメラが既に焦点を結んでいる状態で、所望の座標への到達に備える。本発明のいくつかの実施の形態により、カメラは所望の位置へ移動しながらも、1つ以上のオートフォーカス画像は、オートフォーカス照明パルス720を提供し、カメラのシャッターを開放し、画像センサの画素を照らし、各照明パルス720に反応した読み出し値725を読み取ることによって取りこまれる。多くの場合、小ROIが、オートフォーカス画像用に定義される。オプションとして、カメラが所望の座標に到達すると、カメラは、標準照明パルス710を開始し、多くの場合、読み出し時間715に亘ってFOVのフル画像を取りこむ。多くの場合、フル画像のための読み出し時間は、およそ1−4ミリ秒、例えば2ミリ秒であり、一方、オートフォーカス画像用の読み出し時間は、かなり小さく、例えば50−200マイクロ秒よりも小さい。
【0097】
本発明のいくつかの実施の形態により、DMSを操作し、同一画像で平坦な物体をスキャンニングするための簡単な時系列を示す
図12を参照する。本発明のいくつかの実施の形態により、ターゲット物体の画像取り込みと、オートフォーカス画像の取り込みとは、時間によって分離されず、同一の画像が、平坦面を検査して、カメラ用のオートフォーカスセンシングを提供するために使用される。いくつかの代表的な実施の形態において、物体の画像がオートフォーカス画像としても使用されるとき、カメラは、標準照明パルス710とオートフォーカス照明パルス720との両方を提供する。多くの場合、標準照明パルス710と、オートフォーカス照明パルス720とは、時間でオーバーラップする。オプションとして、標準照明パルス710と、オートフォーカス照明パルス720とは、時間でオーバーラップするとき、アルゴリズムが使用されて、オートフォーカスパターンを物体のパターンから分離する。オプションとして、アルゴリズムは、パターンについて周知の情報を使用する。オプションとして、オートフォーカス照明パルス720は、標準照明パルスに比較して、より長い期間に亘り提供される。多くの場合、オートフォーカス照明パルス720の期間を長くするとき、物体のパターンは、スキャン動作によりスミアされ、物体パターンに対するオートフォーカスパターンのコントラストは、改善される。オプションとして、オートフォーカス画像及び標準画像は、2つの異なるセンサ又はカメラを使用して取りこまれる。
【0098】
いくつかの実施の形態において、カメラは、標準照明パルス710による照明と、標準照明パルス710及びオートフォーカス照明パルス720との両方による照明とを交互に行う。多くの場合、スキャンニングの間、画像間には大きなオーバーラップがある。オプションとして、オートフォーカスパターンを含まないオーバーラップ画像は、オートフォーカスパターンを含むオーバーラップ画像と比較され、この比較は、パターンの分離に備える。いくつかの代表的な実施の形態において、分離は、グレイレベルプロセッシングによる。例えば、グレイレベルは、空間的ランダムオートフォーカスシステム専用である。
【0099】
本発明のいくつかの実施の形態により、オートフォーカス照明パルス720によって投影された空間的ランダムオートフォーカスパターンは、空間的ランダムオートフォーカスパターンを検出するための専用である複数の列に相当するFOVの領域に向けられる。この態様において、オートフォーカスパターンによって照明されたFOVの領域は、標準照明によっては照明されない。異なる照明の間の空間的分離は、スペックルのコントラストの改善に備えてもよい。いくつかの代表的な実施の形態において、専用の列は、画像領域の一部、例えば、スキャンに亘り複数回描画されたスキャン方向に垂直な画像領域のサブスライス、例えば、空間的ランダムオートフォーカスパターンで1回、さらに、空間的ランダムオートフォーカスパターンの無い状態で少なくとも1回以上に相当する。本発明にいくつかの実施の形態により、フルの読み取り値750は、取りこまれた画像の各々に対して得られる。
【符号の説明】
【0100】
100 検査システム、102 シャーシ、106 基板、110 テーブル、112 第1ブリッジ、113 第2ブリッジ、124 ディスプレーサ、128,132 カメラ、210 照明器、220 レンズ素子、300,301,302 カメラ、310 レーザダイオード、315 光学系、315,316 レンズ、320 ディフューザ、325,350,351,352 パターンジェネレータ、330 ビームスプリッタ、355 画像センサ、360 画像検出器、360 光路、370 描画光学系、371 レンズ、373 上視野レンズ、373 視野レンズ、373 描画光学系、375 ビームスプリッタ、380 対物レンズ、395 平坦面、400 顕微鏡、405 カメラ、425 光学部品、420 パターンジェネレータ、430 画像センサ、440 処理ユニット、440 プロセッサ、445 コントローラ、450 アクチュエータ、460 メモリ、490 オートフォーカスシステム