(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786382
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】コンロ装置
(51)【国際特許分類】
F24C 3/10 20060101AFI20201109BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
F24C3/10 G
H01M2/10 U
H01M2/10 W
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-253688(P2016-253688)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-105563(P2018-105563A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋一
【審査官】
河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3010329(JP,U)
【文献】
実開昭59−182868(JP,U)
【文献】
特開平9−27309(JP,A)
【文献】
実開平5−45895(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00−3/14
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に電池を収納する電池ケースを有し、その電池ケースの開口を開閉自在に覆う蓋体を備えたコンロ装置において、この蓋体の内側面に複数本の電池を上方から抜き差し自在に並列に保持する電池保持部を設けると共に、この電池保持部に電池を保持させた状態で蓋体で上記開口を閉鎖すると、保持されている電池の上下端の電極に接触する端子を設け、蓋体を手前側に引いて開口を開くと、電池保持部に保持されている複数本の電池のうちの一部を上方に押し上げる押し上げ機構を設けたことを特徴とするコンロ装置。
【請求項2】
上記電池保持部には2本の電池が保持されるように構成されており、上記押し上げ機構はそのうちの1本の電池を押し上げるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンロ装置。
【請求項3】
上記押し上げ機構は、蓋体の手前側への移動に連動して電池を押し上げることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンロ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバーナなどを天板に備えたコンロ装置であって、作動用の電源として電池を使用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスバーナを備えたガスコンロ装置の場合、調理加熱の熱源はガスバーナでガスを燃焼することによって発生させているが、ガスの供給管路途中に設けられた電磁安全弁の開弁保持や自動消火等の制御、更には点火装置(イグナイタ)の駆動のための電源として電池を用いするものが多く存在する。
【0003】
電池に蓄えられている電荷は有限であるため、電池を電源として使用する場合、電池を交換する必要がある。そこで、コンロ装置の前面に電池ケースを設け、その電池ケースに対して電池を交換自在に収納させている。そして、通常使用時に電池が外部に露出するとデザイン性が損なわれるため、電池ケースの開口は蓋体で覆われるように形成されている。
【0004】
このようなコンロ装置として、例えば、板状の蓋体を設け、この蓋体を蓋体の下部で揺動自在に保持し、蓋体を手前側に倒すと蓋体で覆われていた奥側に電池収納部が露出するように形成されたものがある。このものでは、電池収納部内に弾性変形可能な端子が設けられており、電池を電池収納部内に収納させる際および電池収納部から電池を取り出す際には、電池を電池の長手方向にスライドさせて端子を弾性変形させながら収納および取り出しを行う必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、電池収納部を手前方向にスライドし引き出すことができるように形成すると共に、電池収納部の手前側に蓋体を設け、電池収納部をコンロ装置の内側に向かって押し込むと蓋体が電池収納部を隠すようにしたものがある。ただし、このものでも電池収納部内には弾性変形可能な端子が設けられており、電池を電池収納部内に収納させる際および電池収納部から電池を取り出す際には、電池を電池の長手方向にスライドさせて端子を弾性変形させながら収納および取り出しを行う必要がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−3053号公報(
図4)
【特許文献2】特開2008−16185号公報(
図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のものでは、いずれも電池収納部に電池を収納し、あるいは電池収納部から電池を取り出す際に、電池収納部に設けられている弾性変形可能な端子を、電池を介して弾性変形させながら行わなければならず、電池の交換作業を困難なものにしていた。また、電池収納部から電池を取り出す際には電池を指でつまむ必要があるが、電池収納部が電池の側面を覆っている場合にはうまく電池をつまむことができず、電池交換作業を更に困難にしていた。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、電池を交換する際に、使用済みの電池を電池ケースから取り出しやすいコンロ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明によるコンロ装置は、前面に電池を収納する電池ケースを有し、その電池ケースの開口を開閉自在に覆う蓋体を備えたコンロ装置において、この蓋体の内側面に複数本の電池を上方から抜き差し自在に並列に保持する電池保持部を設けると共に、この電池保持部に電池を保持させた状態で蓋体で上記開口を閉鎖すると、保持されている電池の上下端の電極に接触する端子を設け、蓋体を手前側に引いて開口を開くと、電池保持部に保持されている複数本の電池のうちの一部を上方に押し上げる押し上げ機構を設けたことを特徴とする。
押し上げられた電池は他の押し上げられていない電池よりも上方に突出することになるので、その突出した部分は他の電池に邪魔されることなくつまみやすい。そして、その押し上げられた電池をつまんで上方に抜き出すと、抜き出された隣の電池は押し上げられていなくても隣のスペースが空くためつまみやすく、上方に容易に抜き出すことができる。
なお、本発明は特に、上記電池保持部には2本の電池が保持されるように構成されており、上記押し上げ機構はそのうちの1本の電池を押し上げるように構成されている場合に好適である。
ところで、上記押し上げ機構は、蓋体の手前側への移動に連動して電池を押し上げるように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、電池を交換する際に蓋体を手前に引くことによって電池の一部が押し上げられるので、電池保持部から電池を抜き出しやすい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は本発明によるガステーブルコンロ装置(以下、コンロ装置という)である。このコンロ装置1の前面右側には作動用電源となる電池を収納する電池ボックス2が設けられている。この電池ボックス2内の電池は前面に取り付けられている蓋部材3によって覆い隠されている。
【0013】
図2および
図3を参照して、電池ボックス2には2本の単3型乾電池(以下、電池という)BR,BLが収納されるケース本体21と、このケース本体21に前後方向に揺動自在に係合する上記蓋部材3と、同じくケース本体21に対して揺動自在に保持されるカム部材4とが設けられている。
【0014】
蓋部材3の下部には左右に突出する枢軸31が設けられており、この2本の枢軸31がケース本体21に形成された左右1対の軸受部22に係合するように構成されている。また、カム部材4は、カム部材4の左右に形成されている枢軸41が、同じくケース本体21に形成されている軸受部23に係合するように構成されている。
【0015】
カム部材4には、
図4に示すように、左右1対の当接部42と、1個所のカム突起43が形成されている。そして、後述するように、2本の電池のうちの一方である電池BRの下側の電極にカム突起43の先端43aが当接して、カム部材4が揺動することによってカム突起43が電池BRを上方に押し上げるように機能する。
【0016】
また、蓋部材3の内側面には、
図5に示すように、左右1対の電池保持部32が形成されている。この電池保持部32に対して上記電池BR,BLは共に上方から抜き差しするように構成されており、特に電池BRが収納される電池保持部32には上記カム部材4のカム突起43が挿入される溝33が形成されている。
【0017】
上記構成の電池ボックス2では、
図6に示すように、蓋部材3を手前に引いた状態で上方から電池BR,BLを電池保持部32に挿入する。その状態では、蓋部材3によってカム部材4の当接部42が手前側に押され、カム突起43が上方に位置しており、前方から向かって左側の電池BLは電池保持部32の奥まで挿入されるが、向かって右側の電池BRは上方に位置するカム突起43の先端43aに当接して奥まで挿入されない。この状態で蓋部材3を閉めると、カム部材4は電池BRの自重で揺動され、その結果、電池BRは蓋部材3の揺動に連動して電池保持部32内を下方に移動し、蓋部材3が完全に閉まる寸前で両電池BR,BLの上下の電極はケース本体21内の端子24に当接する。
【0018】
次に、蓋部材3をその状態から手前に開けると、カム部材4が回転して右側の電池BRのみを押し上げるので、電池BRを指でつまんで引き出しやすく、その後に左側の電池BLをつまんで引き出すことになる。
【0019】
このように、電池BR,BLを電池保持部32に挿入する際には端子24を弾性変形させる必要がなく、単に両電池BR,BLを電池保持部32に上方から差し込む。そして、そのまま蓋部材3を閉めれば、蓋部材3を押す力で電池BR,BLの電極が端子24に当接し、端子24を弾性変形させて、電極と端子24との密着を確保するので、電池BR,BLを簡単にケース本体21内に格納することができる。
【0020】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0021】
1 コンロ装置
2 電池ボックス
3 蓋部材
4 カム部材
21 ケース本体
32 電池保持部
BL 電池
BR 電池