特許第6786402号(P6786402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝キヤリア株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6786402-デマンド制御装置及びデマンド制御方法 図000002
  • 特許6786402-デマンド制御装置及びデマンド制御方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786402
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】デマンド制御装置及びデマンド制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20201109BHJP
   G05F 1/66 20060101ALI20201109BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20201109BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20201109BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20201109BHJP
【FI】
   H02J3/14 130
   G05F1/66 A
   F24F11/62
   F24F11/46
   F24F11/70
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-1871(P2017-1871)
(22)【出願日】2017年1月10日
(65)【公開番号】特開2018-113752(P2018-113752A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 慧
(72)【発明者】
【氏名】谷 和利
(72)【発明者】
【氏名】温品 治信
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−215351(JP,A)
【文献】 特開2016−208556(JP,A)
【文献】 特開2016−178809(JP,A)
【文献】 特開2015−017768(JP,A)
【文献】 米国特許第04363101(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
F24F 11/46
F24F 11/62
F24F 11/70
G05F 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デマンド制御対象負荷が使用する電力をデマンド時限内で監視し、その使用電力が前記デマンド時限の終了時に目標電力を超えないよう、前記デマンド制御対象負荷内の電力調整用負荷制御するデマンド制御装置であって、
前記デマンド時限の終了時における前記デマンド制御対象負荷の使用電力が前記目標電力を超えないために調整すべき調整電力を前記デマンド時限内の制御周期ごとに求め、求めた調整電力が閾値に達した場合に前記電力調整用負荷の消費電力を削減し、かつ前記制御周期の長さに応じて前記閾値を可変設定する制御手段
を備えることを特徴とするデマンド制御装置。
【請求項2】
前記電力調整用負荷は、複数の空気調和機であり、
前記制御手段は、
前記複数の空気調和機との通信を順次に行い、その通信により前記複数の空気調和機の消費電力を制御するとともに、前記複数の空気調和機との前記通信が一巡するのに要する時間を前記制御周期として設定
前記設定した制御周期の長さに比例する大きさの余裕率を前記目標電力に乗算し、その乗算結果の分だけ前記目標電力より低い電力を前記閾値として定める。
ことを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記複数の空気調和機との前記通信が一巡するのに要する時間を検出し、検出した時間と同じまたはそれより長い時間を前記制御周期として設定することを特徴とする請求項2に記載のデマンド制御装置。
【請求項4】
デマンド制御対象負荷が使用する電力をデマンド時限内で監視し、その使用電力が前記デマンド時限の終了時に目標電力を超えないよう、前記デマンド制御対象負荷内の電力調整用負荷制御するデマンド制御方法であって、
前記デマンド時限の終了時における前記デマンド制御対象負荷の使用電力が前記目標電力を超えないために調整すべき調整電力を前記デマンド時限内の制御周期ごとに求め、求めた電力が閾値に達した場合に前記電力調整用負荷の消費電力を削減し、かつ前記制御周期の長さに応じて前記閾値を可変設定する、
を備えることを特徴とするデマンド制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、デマンド制御対象負荷のデマンド時限ごとの使用電力を目標電力以下に抑えるデマンド制御装置及びデマンド制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の空気調和機、照明機器及び各種電気機器等のデマンド制御対象負荷が使用する電力をデマンド時限(30分)において監視し、その使用電力がデマンド時限終了時に目標電力を超えないよう、デマンド制御対象負荷内の電力調整用負荷をデマンド時限内の制御周期(デマンド制御周期という)ごとに制御するデマンド制御装置(デマンドコントローラ)が知られている。
【0003】
このデマンド制御装置は、デマンド時限終了時の使用電力が目標電力を超えないために調整(削減)すべき電力いわゆる調整電力をデマンド制御周期ごとに求め、求めた調整電力が目標電力より低い閾値に達した場合に、電力調整用負荷の消費電力を削減する。この削減により、デマンド時限終了時の使用電力を目標電力以下に抑えるようにしている。
【0004】
電力調整用負荷として、デマンド制御対象負荷に含まれる複数の能力可変式の空気調和機が多用される。能力可変式の空気調和機は、いわゆるインバータエアコンであり、冷凍サイクルを駆動する圧縮機の回転数をインバータ装置によって可変し、能力を可変する。空気調和機の消費電力は、実質的に圧縮機の回転数、すなわちインバータの出力周波数に比例するため、使用電力が目標電力を超えることが予想される場合(調整電力が閾値に達した場合)、空気調和機の能力を低減させ、以後の消費電力を抑える。これら空気調和機は通信ラインによりデマンド制御装置に接続される。デマンド制御装置は、これら空気調和機との相互の通信を1つずつ順次に行う。調整電力が閾値に達した際に空気調和機の消費電力を削減する制御は、この通信により実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−96053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的には電力調整用負荷として選定される空気調和機の台数は、対象となる建物に設置されている空気調和機のすべてとするが、デマンド制御対象負荷の容量や設置場所、ユーザの要望などに応じて一部の空気調和機を除外することもある。
【0007】
電力調整用負荷として選定された空気調和機の台数が多ければ、デマンド制御装置と空気調和機の全てとの通信が一巡するのに要する時間が長くなる。少なくともこの一巡時間を含む長さにデマンド制御周期が設定される。そして、このデマンド制御周期が長くてもデマンド時限終了時の空気調和機の使用電力を目標電力以下に確実に抑えることができるよう、調整電力に対する閾値が目標電力に対して十分に低い値に余裕をもって設定される。
【0008】
ただし、閾値があまり低いと、電力調整用負荷の使用電力を過剰に抑制することになり、過度に空調の快適性が損なわれてしまう。
【0009】
本発明の実施形態の目的は、電力調整用負荷の使用電力を過剰に抑制することなく、デマンド制御対象負荷のデマンド時限ごとの使用電力を目標電力以下に確実に抑えることができるデマンド制御装置およびデマンド制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のデマンド制御装置は、デマンド制御対象負荷が使用する電力をデマンド時限内で監視し、その使用電力が前記デマンド時限の終了時に目標電力を超えないよう、前記デマンド制御対象負荷内の電力調整用負荷制御するものであって制御手段を備える。この制御手段は、前記デマンド時限の終了時における前記デマンド制御対象負荷の使用電力が前記目標電力を超えないために調整すべき調整電力を前記デマンド時限内の制御周期ごとに求め、求めた調整電力が閾値に達した場合に前記電力調整用負荷の消費電力を削減し、かつ前記制御周期の長さに応じて前記閾値を可変設定する。
【0011】
請求項4のデマンド制御方法は、デマンド制御対象負荷が使用する電力をデマンド時限内で監視し、その使用電力が前記デマンド時限の終了時に目標電力を超えないよう、前記デマンド制御対象負荷内の電力調整用負荷制御するものであって、前記デマンド時限の終了時における前記デマンド制御対象負荷の使用電力が前記目標電力を超えないために調整すべき調整電力を前記デマンド時限内の制御周期ごとに求め、求めた調整電力が閾値に達した場合に前記電力調整用負荷の消費電力を削減し、かつ前記制御周期の長さに応じて前記閾値を可変設定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態の構成を示すブロック図。
図2】一実施形態におけるデマンド時限Td,デマンド制御周期Δt,使用電力A,目標電力B,調整電力C,閾値Dの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、デマンド制御対象負荷1は、例えばオフィスビル等に設置されて電力を消費する負荷であり、電力調整用負荷である複数の電力調整用空気調和機2a,2b,…2n、および非電力調整用負荷である照明機器・エレベータ・給湯機器・オフィス機器等の調整外負荷3a,3b,3c,3dを含む。
【0014】
電力調整用空気調和機2a〜2nは、インバータおよびそのインバータの出力により動作する圧縮機を搭載し、デマンド制御装置10によってインバータの出力周波数が制御されることにより空調能力及び消費電力が変化する。
【0015】
このデマンド制御対象負荷1に電力量計4が接続されている。電力量計4は、デマンド制御対象負荷1の使用電力に比例する数のパルス信号を出力する。この出力信号が信号ライン5によりデマンド制御装置10に送られる。
【0016】
デマンド制御装置10は、デマンド制御対象負荷1が使用する電力(使用電力という)Aをデマンド時限(例えば30分)Td内で監視し、その使用電力Aがデマンド時限Tdの終了時に目標電力Bを超えないよう、デマンド制御対象負荷1内の電力調整用空気調和機2a〜2nをデマンド時限Td内のデマンド制御周期Δtごとに制御する。
【0017】
具体的には、デマンド制御装置10は、デマンド時限Tdの終了時におけるデマンド制御対象負荷1の使用電力Aが目標電力Bを超えないために調整(削減)すべき電力(調整電力という)Cをデマンド制御周期Δtごとに求め、求めた調整電力Cが閾値Dに達した場合に電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力を削減する第1制御手段と、デマンド制御周期Δtの長さに応じて上記閾値Dを可変設定する第2制御手段と、を含む。第1制御手段は、具体的には、電力検出部11、目標電力記憶部12、調整電力演算部13、削減判定部15、設定値記憶部16、設定値補正部17、電力制御部18、制御周期設定部19である。第2制御手段は、具体的には閾値設定部14である。
【0018】
上記電力検出部11は、電力量計4から供給されるパルス信号を積算することにより、デマンド制御対象負荷1がデマンド時限Td内で消費する電力を使用電力Aとして逐次に検出する。使用電力Aがデマンド時限Td内でどのように変化するかの一例を図2に示す。ここでいう使用電力Aは、電力会社が500kW高圧受電の場合の電気料金を定めるに当たって使用する30分間平均電力のことである。例えば、デマンド時限Td内のtx時点の使用電力Aは、デマンド時限Tdの開始時からtx時点までの電力量をWprsとすると、A=Wprs/Tdである。電力量Wprsは、デマンド時限Tdの開始時からtx時点までのパルス信号の積算値をρprs、1パルス信号当たりの電力量をwpとすると、Wprs=wp×ρprsである。つまり、A=wp×ρprs/Tdとなる。
【0019】
上記目標電力記憶部12は、デマンド時限Tdの終了時の使用電力Aに対する目標電力(デマンド目標値ともいう)Bを記憶している。目標電力Bのデータは、保守作業員やユーザにより目標電力記憶部12に入力される。
【0020】
上記調整電力演算部13は、デマンド時限Td内のデマンド制御周期Δtごとに、デマンド時限Tdの終了時の使用電力Aが目標電力Bを超えないために調整(削減)すべき電力である調整電力Cを下式(1)の演算により求める。デマンド制御周期Δtは、制御周期設定部19から通知される。txは、デマンド時限Tdの開始時からの経過時間である。調整電力Cの変化の一例を図2に示している。
C=Td×A/(Td−tx)−Td×B/(Td−tx)
=Td×(A−B)/(Td−tx)…式(1)
上記閾値設定部14は、複数のデマンド制御周期Δtとこれらデマンド制御周期Δtにそれぞれ比例する大きさの複数の余裕率M(%)とを対応付けたデータテーブルを記憶しており、制御周期設定部19から通知されるデマンド制御周期Δtに対応する余裕率M(%)をデータテーブルから読み出し、読み出した余裕率(%)を目標電力Bに乗算し、その乗算結果の分だけ目標電力Bより低い電力を調整電力Cに対する閾値Dとして定める。
【0021】
上記削減判定部15は、調整電力演算部13で算出される調整電力Cと閾値設定部14で設定される閾値Dとを比較し、調整電力Cが閾値Dに達した場合に、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力を削減させる旨の削減指令Eを発する。
【0022】
上記設定値記憶部16は、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力の合計値に対する設定値Pを記憶している。上記設定値補正部17は、設定値記憶部16内の設定値Pをデマンド時限Tdの開始ごとに取込んで保持するとともに、削減判定部15から削減指令Eが発せられた場合に、保持している設定値Pを調整電力演算部13で算出された調整電力C(=閾値D)と同じ分だけ減少方向に補正する。
【0023】
上記電力制御部18は、デマンド制御対象負荷1の運転開始に際し、電力調整用空気調和機2a〜2nとの相互の通信を1つずつ順次に行い、これにより電力調整用空気調和機2a〜2nの制御用アドレスおよび台数nなどを認識する。この認識後、電力制御部18は、制御周期設定部19から通知されるデマンド制御周期Δtごとに電力調整用空気調和機2a〜2nとの上記通信を逐次に実行し、その通信により、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力の合計値が設定値補正部17内の設定値Pに一致するよう電力調整用空気調和機2a〜2nの空調能力を制御する。この空調能力の制御では、制御量を電力調整用空気調和機2a〜2nに対し均等分して割り当ててもよいし、電力調整用空気調和機2a〜2nに何らかの重みづけを設定しておき、その重みづけに応じて按分した制御量を電力調整用空気調和機2a〜2nに対し割り当ててもよい。なお、電力調整用空気調和機2a〜2nの空調能力と電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力とは概ね比例関係にあるため、空調能力すなわちインバータの出力周波数が決まれば、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力は算定可能である。
【0024】
上記制御周期設定部19は、デマンド制御対象負荷1の運転開始に伴い電力制御部18が電力調整用空気調和機2a〜2nとの最初の通信を実行した際に、電力制御部18と電力調整用空気調和機2a〜2nの全てとの通信が一巡するのに要する時間を検出し、検出した時間と同じまたはそれよりわずかに長い時間をデマンド制御周期Δtとして設定する。この設定に際し、制御周期設定部19は、図2に示すように、デマンド制御周期Δtをデマンド時限Tdの終了時を基準にして開始側に向け順次に割り当てる。そして、制御周期設定部19は、設定したデマンド制御周期Δtを調整電力演算部13、閾値設定部14、電力制御部18に通知する。
【0025】
つぎに、デマンド制御装置10の全体的な制御を説明する。
デマンド制御対象負荷1の運転開始に際し、デマンド制御装置10と電力調整用空気調和機2a〜2nの全てとの通信が一巡するのに要する時間が検出され、検出された時間と同じまたはそれよりわずかに長い時間がデマンド制御周期Δtとして設定される。すなわち、設置される電力調整用空気調和機2a〜2nの台数nおよびその台数nの増減にかかわらず、デマンド制御装置10と電力調整用空気調和機2a〜2nの全てとの通信が一巡するのに要する時間を十分に含む長さにデマンド制御周期Δtが設定される。
【0026】
そして、設定されたデマンド制御周期Δtの長さに対応する大きさの余裕率M(%)が目標電力Bに乗算され、その乗算結果の分だけ目標電力Bより低い電力が調整電力Cに対する閾値Dとして設定される。すなわち、デマンド制御周期Δtが長いほど、基準値Dが低い値に設定される。デマンド制御周期Δtが短いほど、基準値Dが高い値に設定される。
【0027】
デマンド制御対象負荷1の運転開始に伴い、デマンド制御対象負荷1の使用電力Aがデマンド時限Td内で逐次に検出され、検出された使用電力Aがデマンド時限Tdの終了時に目標電力Bを超えないために調整すべき電力が調整電力Cとしてデマンド制御周期Δtごとに算出される。そして、算出された調整電力Cと上記設定された閾値Dとが比較される。調整電力Cが閾値D未満であれば削減指令Eが発せられることはなく、よって電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力に対する設定値Pは補正されない。
【0028】
調整電力Cが閾値Dに達した場合、削減指令Eが発せられる。削減指令Eが発せられると、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力に対する設定値Pが調整電力C(=閾値D)と同じ分だけ減少方向に補正される。そして、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力の合計値が上記補正された設定値Pに一致するよう、電力調整用空気調和機2a〜2nの空調能力が制御される。
【0029】
図2の例では、デマンド時限Tdの終了直前におけるデマンド制御周期Δtの開始時に調整電力Cが閾値Dに達し、その時点で、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力を調整電力Cの分だけ削減する制御が実行される。この削減により、デマンド時限Tdの終了時において、デマンド制御対象負荷1の使用電力Aが目標電力B以下に収まる。
【0030】
とくに、デマンド制御周期Δtが長い場合は閾値Dが低めに設定されるので、電力調整用空気調和機2a〜2nの消費電力を削減する制御が早めに実行されることになる。よって、デマンド時限Tdの終了時の電力調整用空気調和機2a〜2nの使用電力Aを目標電力B以下に確実に抑えることができる。仮に、デマンド制御周期Δtが長いにもかかわらず閾値Dが低めに設定されない場合には、図2に“調整なしのA”として破線で示すように、デマンド制御対象負荷1の使用電力Aが目標電力Bを超えてしまうことになる。この不具合を未然に防ぐことができる。
【0031】
デマンド制御周期Δtが短い場合は閾値Dが高めに設定されるので、消費電力を削減する制御がデマンド時限Tdの終了により近いところで実行される。よって、デマンド時限Td終了時の電力調整用空気調和機2a〜2nの使用電力Cを目標電力B以下に確実に抑えることができるとともに、電力調整用空気調和機2a〜2nの使用電力Cを目標電力Bにできるだけ近いところまで最大限に許容でき、デマンド制御の信頼性が向上する。
【0032】
電力調整用負荷の使用電力Cを過剰に抑制しないので、電力調整用負荷の運転に対する悪影響をできるだけ少なくすることができる。すなわち、電力調整用空気調和機2a〜2nによる空調の快適性を極力損なわないようになる。
【0033】
なお、上記実施形態では、デマンド制御装置10と電力調整用空気調和機2a〜2nの全てとの通信が一巡するのに要する時間を検出し、検出した時間と同じまたはそれよりわずかに長い時間をデマンド制御周期Δtとして設定したが、通信対象である電力調整用空気調和機2a〜2nとの1台当たりの通信に要する時間t1は基本的に概ね一定であることに着目すれば、その通信時間t1を予め記憶しておき、電力調整用空気調和機2a〜2nの設置に際して係員により設定される台数nを上記通信時間t1に乗算し、かつ余裕度を確保する所定時間t2をその乗算結果に加算し、この加算結果をデマンド制御周期Δtとして設定してもよい。この場合は、デマンド制御周期Δt=t1×n+t2となる。
【0034】
また、上記実施形態では、電力調整用負荷が空気調和機である場合を例に説明したが、消費電力の調整が可能なものであれば、空気調和機に限らず他の機器を用いてもよい。
【0035】
その他、上記実施形態および変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1…デマンド制御対象負荷、2a〜2n…電力調整用空気調和機(電力調整用負荷)、3a〜3d…調整外負荷(非電力調整用負荷)、4…電力量計、10…デマンド制御装置、11…電力検出部、12…目標電力記憶部、13…調整電力演算部、14…閾値設定部、15…削減判定部、16…設定値記憶部、17…設定値補正部、18…電力制御部、19…制御周期設定部
図1
図2