(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786404
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置、通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20201109BHJP
H04L 27/34 20060101ALI20201109BHJP
H04B 10/03 20130101ALI20201109BHJP
【FI】
H04L27/26 100
H04L27/34
H04B10/03
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-2382(P2017-2382)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-113566(P2018-113566A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年1月16日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度 国立開発研究法人情報通信研究機構「空間多重フォトニックノード基盤技術の研究開発」副題「空間多重光通信技術を適用したスケーラブルフォトニックノードの研究」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英憲
【審査官】
川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−027686(JP,A)
【文献】
特開2000−151508(JP,A)
【文献】
特開2016−106479(JP,A)
【文献】
特開2014−103672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04L 27/34 − 27/38
H04B 10/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがデータを搬送する2つの搬送信号を生成する第1生成手段と、
前記2つの搬送信号を所定の伝達関数に対応する2×2行列に基づき変換することで2つの送信信号を生成する第2生成手段と、
を備えており、
前記2つの送信信号のそれぞれは、同じ通信媒体に形成された異なるチャネルで伝送され、
前記伝達関数に対応する2×2行列は、直交行列とは異なる2×2行列であり、前記2つの送信信号それぞれに付加されたノイズのレベルに拘わらず、前記2つの送信信号それぞれにノイズを付加した信号を、前記伝達関数に対応する2×2行列の逆行列により変換して得られる2つの信号が、前記2つの搬送信号それぞれに同じレベルのノイズを付加したものとなる様に決定されていることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記伝達関数に対応する
2×2行列は、
【数1】
であることを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
2つの受信信号を受信する受信装置であって、
前記2つの受信信号は、2つの送信信号それぞれを同じ通信媒体に形成された異なるチャネルで伝送したものであり、
前記2つの送信信号は、それぞれがデータを搬送する2つの搬送信号を所定の伝達関数に対応する2×2行列に基づき変換することで生成されたものであり、
前記受信装置は、前記2つの受信信号を前記伝達関数に対応する2×2行列の逆行列に基づき変換することで2つの受信搬送信号を生成する生成手段と、
前記2つの受信搬送信号に基づき前記2つの搬送信号のそれぞれが搬送するデータを判定する判定手段と、
を備え、
前記伝達関数に対応する2×2行列は、直交行列とは異なる2×2行列であり、前記2つの送信信号それぞれに付加されたノイズのレベルに拘わらず、前記2つの受信搬送信号が、前記2つの搬送信号に同じレベルのノイズを付加したものとなる様に決定されていることを特徴とする受信装置。
【請求項4】
前記伝達関数に対応する
2×2行列は、
【数2】
であることを特徴とする請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
同じ通信媒体に形成された2つのチャネルを介して通信する送信装置と受信装置とを含む通信システムであって、
前記送信装置は、
それぞれがデータを搬送する2つの搬送信号を生成する第1生成手段と、
前記2つの搬送信号を所定の伝達関数に対応する2×2行列に基づき変換することで2つの送信信号を生成する第2生成手段と、
前記2つの送信信号を、前記2つのチャネルに送信する送信手段と、
を備えており、
前記受信装置は、
前記2つのチャネルを介して受信した2つの受信信号を前記伝達関数に対応する2×2行列の逆行列に基づき変換することで2つの受信搬送信号を生成する第3生成手段と、
前記2つの受信搬送信号に基づき前記2つの搬送信号のそれぞれが搬送するデータを判定する判定手段と、
を備えており、
前記伝達関数に対応する2×2行列は、直交行列とは異なる2×2行列であり、前記2つの送信信号それぞれに付加されたノイズのレベルに拘わらず、前記2つの受信搬送信号が、前記2つの搬送信号に同じレベルのノイズを付加したものとなる様に決定されていることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記伝達関数に対応する
2×2行列は、
【数3】
であることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
送信装置と受信装置とが、同じ通信媒体に形成された2つのチャネルを介して通信する通信方法であって、
それぞれがデータを搬送する2つの搬送信号を前記送信装置が生成する第1生成ステップと、
前記2つの搬送信号を所定の伝達関数に対応する2×2行列に基づき変換することで2つの送信信号を前記送信装置が生成する第2生成ステップと、
前記送信装置が前記2つの送信信号を、前記2つのチャネルに送信する送信ステップと、
前記2つのチャネルを介して受信した2つの受信信号を前記伝達関数に対応する2×2行列の逆行列に基づき変換することで2つの受信搬送信号を生成する第3生成ステップと、
前記2つの受信搬送信号に基づき前記2つの搬送信号のそれぞれが搬送するデータを前記受信装置が判定する判定ステップと、
を含み、
前記伝達関数に対応する2×2行列は、直交行列とは異なる2×2行列であり、前記2つの送信信号それぞれに付加されたノイズのレベルに拘わらず、前記2つの受信搬送信号が、前記2つの搬送信号に同じレベルのノイズを付加したものとなる様に決定されていることを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの通信媒体に形成された複数のチャネルを介して行う通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいては、1つの通信媒体の有効利用のため、例えば、多重化技術を使用して、1つの通信媒体に複数のチャネルを設けることが行われる。例えば、特許文献1は、光ファイバの1つのコアに異なる波長の複数の信号を多重する波長多重を開示している。この場合、1つの波長が1つのチャネルに対応する。また、特許文献2は、互いに直交する偏波の光信号を1つの光ファイバコアで伝送する偏波多重を開示している。この場合、各偏波がそれぞれ1つのチャネルに対応する。さらに、特許文献3は、1つの光ファイバコアに異なる伝送モードの信号を多重するモード多重を開示している。この場合、各伝送モードが1つのチャネルに対応する。さらに、特許文献4は、1つの光ファイバに複数のコアを設けるマルチコア光ファイバを開示している。マルチコア光ファイバの1つのコアで1つのデータ系列を搬送する光信号を送信する場合、1つのコアが1つのチャネルに対応する。また、マルチコア光ファイバの各コアには、例えば、波長多重信号等の多重化された光信号を入力することができる。この場合、各コアの各波長が、それぞれ、チャネルに対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−208100号公報
【特許文献2】特開2014−220822号公報
【特許文献3】特開2016−063372号公報
【特許文献4】特開2016−095377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じ通信媒体に形成された複数のチャネルは、それぞれ、異なる伝送路として扱われるが、同じ通信媒体を介するものであっても、各チャネルの品質は異なり得る。例えば、4つのチャネル#1、#2、#3及び#4が1つの通信媒体に形成され、送信データAをチャネル#1で伝送し、送信データBをチャネル#2で伝送し、送信データCをチャネル#3で伝送し、送信データDをチャネル#4で伝送するものとする。このとき、チャネル#1〜#3の品質は良好であるが、チャネル#4の品質が悪いと、送信データDには多くのエラーが生じ得る。
【0005】
本発明は、1つの通信媒体に複数のチャネルを形成して伝送する通信システムの送信装置及び受信装置であって、各チャネルの品質の差により当該通信システムで搬送されるデータが受ける影響の差を抑えることができる送信装置、受信装置、通信システム及び通信方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、送信装置は、それぞれがデータを搬送する
2つの搬送信
号を生成する第1生成手段と、前記
2つの搬送信号を所定の伝達関数に対応する
2×2行列に基づき変換することで
2つの送信信号を生成する第2生成手段と、を備えており、前記
2つの送信信号のそれぞれは、同じ通信媒体に形成された異なるチャネルで伝送され、前記伝達関数に対応する
2×2行列は、直交行列とは異なる
2×2行列であり、前記
2つの送信信号それぞれに付加されたノイズのレベルに拘わらず、前記
2つの送信信号それぞれにノイズを付加した信号を、前記伝達関数に対応する
2×2行列の逆行列により変換して得られる
2つの信号が、前記
2つの搬送信号それぞれに同じレベルのノイズを付加したものとなる様に決定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、各チャネルの品質の差により通信システムで搬送されるデータが受ける影響の差を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0010】
<第一実施形態>
以下では、1つの通信媒体に形成されるチャネル数を2として説明するが、当業者は、以下の各実施形態で説明する内容を、3以上のチャネル数に適用させることができる。また、以下の説明において、1つの通信媒体に形成された2つのチャネルをチャネル#1及びチャネル#2と呼ぶものとする。また、送信すべきデータ系列の数をチャネル数と同じ2つとし、それぞれ、送信データA及びBと表記する。
【0011】
図1は、本実施形態による送信装置の構成図である。送信データAはビット分離部11に入力され、送信データBはビット分離部12に入力される。ビット分離部11は、送信データAをビット毎に分離し、データ系列A1及びA2を出力する。同様に、ビット分離部12は、送信データBをビット毎に分離し、データ系列B1及びB2を出力する。ビット多重部13は、入力されるデータ系列A1及びB1をビット多重し、データ系列A1B1を出力する。同様に、ビット多重部14は、入力されるデータ系列A2及びB2をビット多重し、データ系列A2B2を出力する。送信部15は、データ系列A1B1に基づき、変調や増幅等のチャネル#1に信号を出力するのに必要な処理を行う。同様に、送信部16は、データ系列A2B2に基づき、変調や増幅等のチャネル#2に信号を出力するのに必要な処理を行う。なお、チャネル#1及びチャネル#2は、例えば、光ファイバといった1つの通信媒体に形成されている。
【0012】
図2は、本実施形態による受信装置の構成図である。受信部21及び22は、それぞれ、
図1に示す送信装置がそれぞれチャネル#1及び#2に送信した信号を受信し、復調等の処理を行う。受信部21は、データ系列A1B1を出力し、受信部22は、データ系列A2B2を出力する。ビット分離部23は、データ系列A1B1をビット毎に分離し、データ系列A1及びB1をそれぞれ出力する。同様に、ビット分離部24は、データ系列A2B2をビット毎に分離し、データ系列A2及びB2をそれぞれ出力する。ビット多重部25は、入力されるデータ系列A1及びA2をビット多重し、これにより、送信データAを出力する。同様に、ビット多重部26は、入力されるデータ系列B1及びB2をビット多重し、これにより、送信データBを出力する。
【0013】
本実施形態によると、送信データAの各ビットの内、その半分はチャネル#1で伝送され、残りの半分は、チャネル#2で伝送される。送信データBについても同様である。したがって、送信データA及び送信データBのビット誤り率は、チャネル#1及びチャネル#2の品質の差に拘らず同様となる。なお、本実施形態では、ビット毎の分離及び多重を行ったが、バイト単位での分離・多重等、複数ビット毎の分離・多重を行う構成であっても良い。
【0014】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について、第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図3は、本実施形態による送信装置の構成図である。送信データAは変調部31に入力され、送信データBは変調部32に入力される。なお、変調部31は、送信データAで変調を行って時間領域の信号A(搬送信号)を出力する。同様に、変調部32は、送信データBで変調を行って時間領域の信号B(搬送信号)を出力する。なお、変調はシングルキャリア方式であっても、OFDM等のマルチキャリア方式であっても良い。処理部33は、信号A及び信号Bから、時間領域の信号C及びD(送信信号)を出力する。ここで、信号A、B、C及びDの周波数領域の信号をAf,Bf、Cf、Dfと表記すると、信号Af、Bf、Cf、Dfには以下の関係がある。
【0015】
【数1】
なお、Hは、所謂、伝達関数である。
【0016】
送信部35は、信号Cをチャネル#1で伝送するのに必要な処理、例えば、光信号への変換や増幅等を行う。同様に、送信部36は、信号Dをチャネル#2で伝送するのに必要な処理、例えば、光信号への変換や増幅等を行う。
【0017】
図4は、本実施形態による受信装置の構成図である。受信部41及び42は、それぞれ、
図3に示す送信装置がそれぞれチャネル#1及び#2に送信した信号を受信し、電気信号への変換や増幅等の処理を行って信号C及びDをそれぞれ出力する。なお、実際には、チャネル#1及び#2それぞれで伝送される信号にはノイズが重畳するため、受信部41及び42が出力する信号は信号C及びDにノイズ成分が付加されたものである。しかしながら、ここでは、チャネル#1及び#2等においてノイズが載らない理想的な状態であるものとして説明する。処理部43は、送信装置における処理部33と逆の処理を行って信号A及び信号Bを出力する。具体的には、処理部43は、以下の式により信号C及び信号Dから信号A及び信号Bを出力する。
【0019】
復調部45及び46は、それぞれ、信号A及びBを復調することで送信データA及びBを判定して出力する。
【0020】
以上の説明は、チャネル#1及び#2においてノイズが載らない理想的な状態のときのものであるが、実際には、チャネル#1及び#2には、それぞれ、異なるレベルのノイズが載る。しかしながら、式(3)及び(4)から明らかな様に、チャネル#1で生じるノイズは、信号A及び信号Bに等しい振幅で分配される。同様に、チャネル#2で生じるノイズは、信号A及び信号Bに等しい振幅で分配される。つまり、チャネル#1及び2での伝送により信号C及びDそれぞれに付加されるノイズレベルの差に拘らず、信号A及び信号Bに付加されるノイズレベルは等しくなる。したがって、復調部45及び46が出力する送信データA及びBの品質、例えば、ビット誤り率等の差を抑えることができる。
【0021】
なお、処理部43における式(3)の処理を行う際の信号C及びDの値は、処理部33が同時に出力したものとする必要がある。したがって、
図3及び4には示していないが、処理部33は、信号C及びDに同期情報を周期的に挿入し、処理部43は、信号C及びDそれぞれの同期情報に基づき、チャネル#1及び#2の伝搬遅延の差を補償して処理を行う。
【0022】
なお、上記説明では、送信装置においては、変調部31及び32が、それぞれ、時間領域の信号A及びBを出力し、処理部33が、信号A及びBを周波数領域の信号Af及びBfに変換して伝達関数Hにより周波数領域の信号Cf及びDfを生成し、その後、信号Cf及びDfを時間領域の信号C及びDに変換するものであった。しかしながら、例えば、変調部31及び32では、周波数領域の信号、つまり、変調シンボルに対応する複素平面上の位置を示す複素値を出力し、処理部33では、この複素値を伝達関数Hにより変換し、変換後の複素値に基づき時間領域の信号を生成する構成であっても良い。受信装置においても同様である。なお、例えば、送信装置における変調部31及び32並びに処理部33は、例えば、DSP(デジタル信号プロセッサ)で実現することができる。また、受信装置における復調部45及び46並びに処理部43も、例えば、DSP(デジタル信号プロセッサ)で実現することができる。
【0023】
また、処理部33及び43での処理を、DSPによりデジタル領域で行うのではなく、アナログ領域で行うこともできる。
図5は、処理部33をアナログ領域で実現するための構成を示している。分岐部51、52は、信号A及びBそれぞれを分岐して、信号A1及び信号A2、並びに、信号B1及びB2を出力する。なお、信号A、A1及びA2は、同じ信号波形である。同様に、信号B、B1及びB2は、同じ信号波形である。振幅位相調整部53、54、55、56は、信号A1、A2、B1及びB2の振幅及び位相を伝達関数Hに応じて調整する。その後、合波部57は、信号A1及びB1を合波して信号Cを出力し、合波部58は、信号A2及びB2を合波して信号Dを出力する。処理部43についても同様であり、
図5の信号AとCを入れ替え、信号BとDを入れ替え、伝達関数Hを、その逆行列H
−1と読み替えれば良い。
【0024】
さらに、信号A及びBから信号C及びDを生成する処理は、
図5に示す、アナログの電気ドメインではなく光ドメインで行うこともできる。この場合、信号A及び信号Bを光信号にそれぞれ変換した後、上記アナログ領域で説明したのと同様の処理を行えば良い。
【0025】
以上、本実施形態では、送信装置においては、それぞれがデータを搬送する第1搬送信号から第n搬送信号(nは2以上の整数)を生成し、第1搬送信号から第n搬送信号それぞれの振幅及び位相を調整して合成することで第1送信信号から第n送信信号を生成する。そして、第1送信信号から第n送信信号を、同じ通信媒体に形成されたn個のチャネルそれぞれを介して伝送する。なお、第1搬送信号から第n搬送信号それぞれの振幅の調整は、第1搬送信号から第n搬送信号それぞれに振幅調整係数を乗じること行う。例えば、式(1)及び(2)では、第1搬送信号(信号A)及び第2搬送信号(信号B)の振幅をそれぞれ√(1/2)倍としており、振幅調整係数は√(1/2)である。同様に、第1搬送信号から第n搬送信号それぞれの位相の調整は、第1搬送信号から第n搬送信号それぞれの位相を所定値だけシフトさせることにより行う。式(1)及び(2)では、位相のシフト量は0又はπ/2である。受信装置は、第1送信信号から第n送信信号それぞれの振幅及び位相を調整して合成することで第1搬送信号から第n搬送信号を生成する。このとき、受信装置は、送信装置と同様に、第1送信信号から第n送信信号それぞれに振幅調整係数を乗じることで第1送信信号から第n送信信号それぞれの振幅を調整する。式(3)及び式(4)において、振幅調整係数は√(1/2)である。したがって、各チャネルで生じるノイズは、各搬送信号に等しく分配され、よって、各搬送信号に載るノイズ量は略等しくなる。なお、上記実施形態では、送信装置において各搬送信号に乗ずる振幅調整係数を等しくしたが、搬送信号毎に異なるものであっても良い。但し、搬送信号毎の振幅調整係数の差は所定値(閾値)以下とする。受信装置においても同様である。この場合、受信装置において生成する各搬送信号に載るノイズは等しくならないが、振幅調整係数の差を所定値(閾値)以下とすることで、受信装置において生成する各搬送信号に載るノイズの差を所定の範囲内とすることができる。
【符号の説明】
【0026】
31、32:変調部、33、43:処理部、35、36:送信部、41、42:受信部、45、46:復調部