(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定期間におけるモーターの動作を示す動作プロファイルを規定するプロファイル情報と、前記動作プロファイルが示すモーターの動作を前記所定期間より短い単位時間毎に逐次示す逐次動作情報とを含むコマンドを生成する制御装置と、
第1モーターを制御する第1ドライバーと、
第2モーターを制御する第2ドライバーと
を備え、
前記第1ドライバーは、前記制御装置から前記コマンドを第1通信速度で受信する受信部と、前記受信部が受信した前記第1モーターに対する前記コマンドに含まれる前記逐次動作情報に基づき前記第1モーターを制御する制御部と、前記受信部が受信した前記第2モーターに対する前記コマンドに含まれる前記プロファイル情報を前記第2ドライバーに前記第1通信速度より低い第2通信速度で送信する送信部とを有し、
前記第2ドライバーは、前記第1ドライバーの前記送信部から受信した前記プロファイル情報に基づき前記第2モーターを制御するモーターコントロールシステム。
前記第1ドライバーは、前記プロファイル情報の前記動作プロファイルの規定態様を前記第2ドライバー用に変換する変換部をさらに有し、前記送信部は、前記変換部により変換された前記プロファイル情報を前記第2ドライバーに送信する請求項1に記載のモーターコントロールシステム。
前記送信部は、前記変換部により変換された前記プロファイル情報をシリアル通信により前記第2ドライバーに送信する請求項1または2に記載のモーターコントロールシステム。
前記制御装置は、前記プロファイル情報を算出してから、前記プロファイル情報に基づき前記逐次動作情報を算出する請求項1ないし3のいずれか一項に記載のモーターコントロールシステム。
所定期間におけるモーターの動作を示す動作プロファイルを規定するプロファイル情報と、前記動作プロファイルが示すモーターの動作を前記所定期間より短い単位時間毎に逐次示す逐次動作情報とを含むコマンドを生成する工程と、
第1ドライバーが前記コマンドを第1通信速度で受信する工程と、
第1モーターに対する前記コマンドに含まれる前記逐次動作情報に基づき前記第1ドライバーが前記第1モーターを制御する工程と、
第2モーターに対する前記コマンドに含まれる前記プロファイル情報を、前記第1ドライバーが第2ドライバーに前記第1通信速度より低い第2通信速度で送信する工程と、
前記第2ドライバーが前記プロファイル情報に基づき前記第2モーターを制御する工程と
を備えるモーター制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ステッピングドライバーとサーボドライバーでは、入力すべきコマンドの形態が異なる。つまり、ステッピングドライバーは、所定期間のモーターの動作を示す動作プロファイルを規定するプロファイル情報が一旦与えられれば、このプロファイル情報に基づきステッピングモーターを制御できる。これに対して、サーボドライバーは、かかる所定期間より短い単位時間毎にモーターの動作を逐次示す逐次動作情報に基づき、サーボモーターを制御する。
【0005】
したがって、サーボドライバーに対しては高い通信速度でコマンドを送信する必要があるのに対して、ステッピングドライバーに対しては、サーボドライバーのように高い通信速度でコマンドを送信する必要が必ずしも無い。しかしながら、サーボドライバーおよびステッピングドライバーに対して1つの通信経路を介してシリアル通信でコマンドを送信する構成では、サーボドライバーが要求する一律の通信速度で通信が実行されたために、ステッピングドライバーに対して不要に高い通信速度でコマンドが送信される場合があった。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ドライバーの種類に応じた通信速度で通信を実行することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るモーターコントロールシステムは、所定期間におけるモーターの動作を示す動作プロファイルを規定するプロファイル情報と、動作プロファイルが示すモーターの動作を所定期間より短い単位時間毎に逐次示す逐次動作情報とを含むコマンドを生成する制御装置と、第1モーターを制御する第1ドライバーと、第2モーターを制御する第2ドライバーとを備え、第1ドライバーは、制御装置からコマンドを第1通信速度で受信する受信部と、受信部が受信した第1モーターに対するコマンドに含まれる逐次動作情報に基づき第1モーターを制御する制御部と、受信部が受信した第2モーターに対するコマンドに含まれるプロファイル情報を第2ドライバーに第1通信速度より低い第2通信速度で送信する送信部とを有し、第2ドライバーは、第1ドライバーの送信部から受信したプロファイル情報に基づき第2モーターを制御する。
【0008】
本発明に係る部品実装機は、基板を所定位置に搬入して基板を所定位置に支持する搬入動作と、基板を所定位置から搬出する搬出動作とを実行する基板搬送部と、部品を供給する部品供給部と、基板搬送部により所定位置に支持される基板に、部品供給部により供給された部品を移載する実装動作を実行する実装ヘッドと、実装ヘッドを駆動する第1モーターと、基板搬送部を駆動する第2モーターと、上記のモーターコントロールシステムとを備え、モーターコントロールシステムは、第1モーターを制御することで実装ヘッドに実装動作を実行させるとともに、第2モーターを制御することで基板搬送部に搬入動作および搬出動作を実行させる。
【0009】
本発明に係るモーター制御方法は、所定期間におけるモーターの動作を示す動作プロファイルを規定するプロファイル情報と、動作プロファイルが示すモーターの動作を所定期間より短い単位時間毎に逐次示す逐次動作情報とを含むコマンドを生成する工程と、第1ドライバーがコマンドを第1通信速度で受信する工程と、第1モーターに対するコマンドに含まれる逐次動作情報に基づき第1ドライバーが第1モーターを制御する工程と、第2モーターに対するコマンドに含まれるプロファイル情報を、第1ドライバーが第2ドライバーに第1通信速度より低い第2通信速度で送信する工程と、第2ドライバーがプロファイル情報に基づき第2モーターを制御する工程とを備える。
【0010】
このように構成された本発明(モーターコントロールシステム、部品実装機、モーター制御方法)では、第1モーターを制御する第1ドライバーと、第2モーターを制御する第2ドライバーとが設けられている。そして、プロファイル情報と逐次動作情報とを含むコマンドを第1通信速度で第1ドライバーが受信する。第1ドライバーは、第1モーターに対するコマンドを受信すると、当該コマンドに含まれる逐次動作情報に基づき第1モーターを制御する一方、第2モーターに対するコマンドを受信すると、当該コマンドに含まれるプロファイル情報を第2ドライバーに第1通信速度より低い第2通信速度で送信する。そして、第2ドライバーは、受信したプロファイル情報に基づき第2モーターを制御する。このように、逐次動作情報に基づき第1モーターを制御する第1ドライバーに対しては第1通信速度で通信が実行されるのに対して、プロファイル情報に基づき第2モーターを制御する第2ドライバーに対しては第1通信速度より低い第2通信速度で通信が実行される。こうして、ドライバーの種類に応じた通信速度で通信を実行することが可能となっている。
【0011】
また、第1ドライバーは、プロファイル情報の動作プロファイルの規定態様を第2ドライバー用に変換する変換部をさらに有し、送信部は、変換部により変換されたプロファイル情報を第2ドライバーに送信するように、モーターコントロールシステムを構成しても良い。かかる構成は、第2ドライバーに対応した規定態様のプロファイル情報を第1ドライバーから第2ドライバーに送信でき、好適である。
【0012】
また、送信部は、変換部により変換されたプロファイル情報をシリアル通信により第2ドライバーに送信するように、モーターコントロールシステムを構成しても良い。これによって、シリアル通信方式の安価な第2ドライバーを使用できるため、コストの抑制を図ることが可能となる。
【0013】
また、制御装置は、プロファイル情報を算出してから、プロファイル情報に基づき逐次動作情報を算出するように、モーターコントロールシステムを構成しても良い。かかる構成では、逐次動作情報の算出過程で生成されたプロファイル情報を、第2ドライバーが第2モーターを制御するに際して有効利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、ドライバーの種類に応じた通信速度で通信を実行することが可能となっている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明に係るモーターコントロールシステムの一例を示すブロック図である。モーターコントロールシステム1は、システムコントローラー2と、2台のACサーボドライバー3A、3Bと、2台のステッピングドライバー4A、4Bとを備える。システムコントローラー2とACサーボドライバー3A、3Bとは、例えばEtherCAT(登録商標)等の産業用高速フィールドバスで構成された高速通信経路Nhにより互いに接続されており、システムコントローラー2は高速通信経路Nhへコマンドを出力することで、ACサーボドライバー3A、3Bへ順にコマンドを送信する。ACサーボドライバー3Aは、システムコントローラー2から直接受信したコマンドに基づき2台のACサーボモーターMaを制御し、ACサーボドライバー3Bは、ACサーボドライバー3Aを介してシステムコントローラー2から受信したコマンドに基づき2台のACサーボモーターMaを制御する。
【0017】
ステッピングドライバー4Aは、高速通信経路Nhより低い帯域を有する例えばRS−422に準拠した低速通信経路NlによりACサーボドライバー3Aに接続される。具体的には例えば、高速通信経路Nhでの通信速度が100Mbps(ビット/秒)程度であるのに対して、低速通信経路Nlでの通信速度は500kbps〜1Mbpsである。ステッピングドライバー4Aは、ACサーボドライバー3Aを介してシステムコントローラー2から受信したコマンドに基づき2台のステッピングモーターMsを制御する。ステッピングドライバー4Bは、低速通信経路NlによりACサーボドライバー3Bに接続される。このステッピングドライバー4Bは、ACサーボドライバー3Bを介してシステムコントローラー2から受信したコマンドに基づき2台のステッピングモーターMsを制御する。
【0018】
図2はシステムコントローラーの動作の一例を示すフローチャートである。続いては、
図1および
図2を用いてシステムコントローラー2の構成・動作について説明する。システムコントローラー2は、モーションコントローラー21と、高速通信経路Nhを介した通信を制御するフィールドバスコントローラー22とを備える。そして、
図2のステップS101では、動作期間におけるモーターの動作を示す動作プロファイル(
図3)を規定するプロファイル情報(
図4)を、モーションコントローラー21が生成する。
【0019】
図3はモーターの動作プロファイルの一例を模式的に示す図であり、
図4は
図3の動作プロファイルを規定するプロファイル情報の一例を示す図である。
図3に示すように、動作プロファイルPmは、モーターが始動してから停止するまでの動作期間Tmを通じたモーターの加減速パターンを示す。この動作プロファイルPmによれば、加速時間Taの間はモーターの回転速度Vがゼロから最高速度Vxへ上昇し、定速時間Tbの間はモーターの回転速度Vが最高速度Vxで一定となり、減速時間Tcの間はモーターの回転速度Vが最高速度Vxからゼロへ低下する。
【0020】
これに対して、ステップS101でモーションコントローラー21が生成するプロファイル情報Ipは、
図4に示すように、加速時間、定速時間、減速時間、加速距離、定速距離、減速距離、最高速度、目標位置といったパラメーターによって動作プロファイルPmを規定するものである。なお、
図4では、各パラメーターを表す情報量(バイト)と、各パラメーターの単位とが併記されている。単位について説明すると、[ms]はミリ秒を示し、[pls]はパルス数を示し、[rpm]は1分間あたりの回転数を表す。
【0021】
図4の加速時間、定速時間、減速時間および最高速度の内容はそれぞれ
図3に示した通りである。一方、加速距離、定速距離および減速距離はそれぞれ、モーターを制御するパルス(制御パルス)が加速時間Ta、定速時間Tbおよび減速時間Tcの間に出力される回数である。また、目標位置は、動作期間Tmの間に制御パルスが出力される回数である。この制御パルスは例えば、ACサーボモーターMaが制御対象の場合はACサーボモーターMaのエンコーダーから出力されるパルスであり、ステッピングモーターMsが制御対象の場合はステッピングモーターMsに与えられるパルスである。なお、パルス数は距離を示すものの、1パルスに対応する距離はモーターによって異なる。これに対応するため、システムコントローラー2は、例えば1mmに対応するパルス数(距離)をモーター毎に記憶する。
【0022】
ステップS102では、モーションコントローラー21がプロファイル情報Ipに基づき逐次動作情報Itを算出する。この逐次動作情報Itは、動作プロファイルPmが示すモーターの動作、換言すればモーターへの指令位置を微小時間t毎に逐次示すものである。ここで、微小時間tは
図3に示すように動作期間Tmを多数に分割する単位であり、例えば1[ms]以下である。こうして、プロファイル情報Ipと逐次動作情報Itとで構成されるコマンドC(
図5)が生成されると、フィールドバスコントローラー22はコマンドCを高速通信経路Nhに第1通信速度(高通信速度)で送信する(ステップS103)。ここで、通信速度は、単位時間に送信可能なビットの数を示すビットレートとして求めることができる。
【0023】
図5はシステムコントローラーが出力するコマンドの一例を模式的に示す図である。
図5に示すように、プロファイル情報Ipの送信に続いて、逐次動作情報Itが送信される。この際、コマンドCに含まれる逐次動作情報Itは微小時間t毎にモーターの動作を指示するものである。そのため、(コマンドCに含まれるパケットである)逐次動作情報Itは、実際にサーボコントローラー321が駆動回路33に送信するタイミングより早く送信されていなければならず、逐次動作情報Itは微小時間tよりも短い通信周期でフィールドバスコントローラー22から高速通信経路Nhに送信されなければならない。
【0024】
システムコントローラー2は、モーターに対するコマンドCを生成・送信すると、
図2のフローチャートを終了する。なお、システムコントローラー2は、4台のACサーボモーターMaおよび4台のステッピングモーターMsを指定しつつ、各モーターについてコマンドCを生成できる。こうして生成された各コマンドCは、システムコントローラー2から高速通信経路Nhに順次送信される。
【0025】
図6はACサーボドライバーの動作の一例を示すフローチャートである。続いては、
図1および
図6を用いてACサーボドライバー3A、3Bの構成・動作について説明する。なお、ACサーボドライバー3A、3Bの構成・動作は共通するため、ここではACサーボドライバー3Aで代表して説明を行う。
図1に示すように、ACサーボドライバー3Aは、フィールドバスコントローラー31、CPU(Central Processing Unit)32、駆動回路33およびシリアル通信部34を備える。
【0026】
フィールドバスコントローラー31は、高速通信経路Nhを介した通信を制御する。このフィールドバスコントローラー31は、ACサーボドライバー3Aが制御する2台のACサーボモーターMaに対応する2個の軸データDaと、ステッピングドライバー4Aが制御する2台のステッピングモーターMsに対応する2個の軸データDsとを受信する領域を有する。そして、
図2のステップS201では、フィールドバスコントローラー31が、システムコントローラー2のフィールドバスコントローラー22から高速通信経路Nhを介して第1通信速度でコマンドCを受信する。さらに、フィールドバスコントローラー31は、コマンドCの指定先のモーターがACサーボモーターMaであるか、ステッピングモーターMsであるかを判断する。
【0027】
コマンドCの指定先のモーターがACサーボモーターMaである場合(ステップS202で「サーボ」の場合)には、CPU32に構築されたサーボコントローラー321がコマンドCに含まれる逐次動作情報Itに基づき、ACサーボモーターMaに対してフィードバック制御を実行する(ステップS203)。つまり、サーボコントローラー321は、逐次動作情報Itが示す指令値と、ACサーボモーターMaのエンコーダーの出力値との偏差に応じた制御信号を微小時間t毎に駆動回路33に出力する。そして、駆動回路33は制御信号に応じた駆動信号をACサーボモーターMaに出力して、ACサーボモーターMaを駆動する。これによって、逐次動作情報Itが微小時間t毎に示す指令値にACサーボモーターMaの動作が追従し、ACサーボモーターMaが動作プロファイルPmにより示される動作を実行する。
【0028】
ちなみに、サーボコントローラー321が逐次動作情報Itに基づきACサーボモーターMaを制御する理由は、サーボコントローラー321の制御がフィードバック制御であることにある。つまり、フィードバック制御を行う系に対して大きな指令値を与えると、大きな偏差が生じて、応答が振動的になるおそれがある。そこで、微小時間tにおける微小変化を指令値とすることで応答を安定させる目的で、サーボコントローラー321はフィードバック制御を逐次動作情報Itに基づき実行する。
【0029】
一方、コマンドCの指定先のモーターがステッピングモーターMsである場合(ステップS202で「ステッピング」の場合)には、CPU32に構築されたコマンド変換部322がコマンド変換を実行する(ステップS204)。このコマンド変換は、システムコントローラー2から送信されたプロファイル情報Ipによる動作プロファイルPmの規定態様を、ステッピングドライバー4Aに応じた規定態様に変換する。つまり、システムコントローラー2から送信されたプロファイル情報Ipは、
図4に示す各パラメーターによって動作プロファイルPmを規定する。一方、ステッピングドライバー4Aでは、これらと異なるパラメーターを用いて動作プロファイルPmを規定する。そこで、ステップS204では、
図7のコマンド変換が実行される。
【0030】
図7は
図6のフローチャートのコマンド変換で実行される動作の一例を示すフローチャートである。ステップS301では、最高速度の単位を[rpm]から[pps]に変更することで、最高速度[pps]が算出される。ここで、[pps]は1秒あたりのパルス数である。ステップS302では、最高速度を加速時間で除算することで、加速度[pps/s]が算出される。ステップS303では、最高速度を減速時間で除算することで、減速度[pps/s]が算出される。ステップS304では、目標位置[pls]がそのまま転用される。なお、ステップS301〜S304の実行順序はこれに限られない。あるいは、ステップS301〜S304を並行して行っても構わない。こうして、ステップS301〜S304を実行することで、最高速度[pps]、加速度[pps/s]、減速度[pps/s]および目標位置[pls]といったパラメーターで動作プロファイルPmを規定する規定態様に、プロファイル情報Ipの規定態様が変換されて、
図6のフローチャートに戻る。
【0031】
ステップS205では、コマンド変換部322により変換されたプロファイル情報Ipを、シリアル通信部34が低速通信経路Nlに第2通信速度(低通信速度)でシリアル送信する。ここで、第2通信速度は、第1通信速度より低い通信速度である。ちなみに、ステッピングモーターMsを指定先とするコマンドCに含まれる逐次動作情報Itは、シリアル通信部34からステッピングドライバー4Aに送信されずに破棄される。
【0032】
図8はステッピングドライバーの動作の一例を示すフローチャートである。続いては、
図1および
図8を用いてステッピングドライバー4A、4bの構成・動作について説明する。なお、ステッピングドライバー4A、4Bの構成・動作は共通するため、ここではステッピングドライバー4Aで代表して説明を行う。
【0033】
ステップS401では、ステッピングドライバー4Aは、ACサーボドライバー3Aのシリアル通信部34から低速通信経路Nlを介して第2通信速度でプロファイル情報Ipをシリアル受信する。そして、ステップS402では、ステッピングドライバー4Aは、受信したプロファイル情報Ipに基づき、ステッピングモーターMsに対してオープンループ制御を実行する。つまり、ステッピングドライバー4Aはプロファイル情報Ipに応じたパルスを生成して、当該パルスをステッピングモーターMsに出力する。これによって、ステッピングモーターMsが動作プロファイルPmにより示される動作を実行する。
【0034】
このように、ステッピングドライバー4A、4Bは、ACサーボドライバー3A、3Bを介してシステムコントローラー2と通信を行う。
図9はシステムコントローラーとステッピングドライバーとの通信動作の一例を模式的に示す図である。
図9の例では、システムコントローラー2は、指令値(プロファイル情報Ip)をACサーボドライバー3A、3Bに送信し、ACサーボドライバー3A、3Bは変換した指令値をステッピングドライバー4A、4Bに送信する。そして、ステッピングドライバー4A、4Bは、指令値を受信するとACサーボドライバー3A、3Bに受信した旨の応答を送信し、ACサーボドライバー3A、3Bは受信した応答をシステムコントローラー2に送信する。
【0035】
また、
図9の指令値の送信を行っていない期間は、
図10に示すように、ステータスの取得を行うこともできる。
図10はシステムコントローラーとステッピングドライバーとの通信動作の変形例を模式的に示す図である。
図10の例では、ACサーボドライバー3A、3Bはステータスを確認する信号をステッピングドライバー4A、4Bに送信する。そして、ステッピングドライバー4A、4Bはこの信号を受信すると、ステッピングモーターMsのステータス(エラーの有無や目標位置への到達等)をACサーボドライバー3A、3Bに応答し、ACサーボドライバー3A、3Bは、受信した応答内容に応じてステータスの更新をシステムコントローラー2に要求する。
【0036】
以上に説明したように本実施形態では、ACサーボモーターMaを制御するACサーボドライバー3A、3Bと、ステッピングモーターMsを制御するステッピングドライバー4A、4Bとが設けられている。そして、プロファイル情報Ipと逐次動作情報Itとを含むコマンドCを第1通信速度でACサーボドライバー3A、3Bが受信する。ACサーボドライバー3A、3Bは、ACサーボモーターMaに対するコマンドCを受信すると、当該コマンドCに含まれる逐次動作情報Itに基づきACサーボモーターMaをフィードバック制御する一方、ステッピングモーターMsに対するコマンドCを受信すると、当該コマンドCに含まれるプロファイル情報Ipをステッピングドライバー4A、4Bに第1通信速度より低い第2通信速度で送信する。そして、ステッピングドライバー4A、4Bは、受信したプロファイル情報Ipに基づきステッピングモーターMsをオープンループ制御する。このように、逐次動作情報Itに基づきACサーボモーターMaをフィードバック制御するACサーボドライバー3A、3Bに対しては第1通信速度で通信が実行されるのに対して、プロファイル情報Ipに基づきステッピングモーターMsをオープンループ制御するステッピングドライバー4A、4Bに対しては第1通信速度より低い第2通信速度で通信が実行される。こうして、ドライバーの種類に応じた通信速度で通信を実行することが可能となっている。
【0037】
また、ステッピングドライバー4A、4Bへの通信を比較的低い通信速度で実行できることから、高い通信速度での通信に対応できる高価なステッピングドライバー4A、4Bを準備する必要がない。その結果、コストの低減を図ることも可能となっている。
【0038】
さらに、システムコントローラー2は、コマンドCの指定先がACサーボモーターMaであるかステッピングモーターMsであるかに拘わらず、プロファイル情報Ipと逐次動作情報Itとで構成されるコマンドCを一律に生成して、高速通信経路Nhに送信すれば良い。したがって、システムコントローラー2の設計あるいは構成等の簡便化を図ることが可能となっている。
【0039】
また、ACサーボドライバー3A、3Bは、プロファイル情報Ipの動作プロファイルPmの規定態様をステッピングドライバー4A、4B用に変換するコマンド変換部322を有する。そして、シリアル通信部34は、コマンド変換部322により変換されたプロファイル情報Ipをステッピングドライバー4A、4Bに送信する。かかる構成は、ステッピングドライバー4A、4Bに対応した規定態様のプロファイル情報IpをACサーボドライバー3A、3Bからステッピングドライバー4A、4Bに送信でき、好適である。
【0040】
また、シリアル通信部34は、コマンド変換部322により変換されたプロファイル情報Ipをシリアル通信によりステッピングドライバー4A、4Bに送信する。これによって、シリアル通信方式の安価なステッピングドライバー4A、4Bを使用できるため、コストの抑制を図ることが可能となる。
【0041】
また、システムコントローラー2は、プロファイル情報Ipを算出してから、プロファイル情報Ipに基づき逐次動作情報Itを算出する。かかる構成は、ステッピングドライバー4A、4BにステッピングモーターMsを制御させる際に、逐次動作情報Itの算出過程で生成されたプロファイル情報Ipを有効利用しており、好適である。
【0042】
ところで、上述のようなモーターコントロールシステム1は、ACサーボモーターMaとステッピングモーターMsとを併用する種々の装置に適用可能である。したがって、次の例に説明するように、基板に部品を実装する部品実装機に対してモーターコントロールシステム1を適用しても良い。
【0043】
図11は本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す部分平面図である。
図12は
図11の部品実装機が備える電気的構成を示す図である。
図11では、水平方向X、Yおよび鉛直方向Zからなる直交座標を示す。この部品実装機6は、実装作業位置Bo(
図11の基板Bの位置)に搬入された基板Bに対して部品を実装し、部品が実装された基板Bを実装作業位置Boから搬出する。
【0044】
図12に示すように、部品実装機6は制御部600を備える。この制御部600は、演算部610、記憶部620および駆動制御部630を有し、演算部610が部品実装に必要な演算処理を実行し、記憶部620が演算部610での演算に要するプログラムやデータを記憶し、駆動制御部630は演算部610の演算結果に基づき部品実装機6の駆動系を制御する。こうして、部品実装機6での部品実装が制御部600により制御される。
【0045】
図11に示すように、部品実装機6は、基台61の上に設けられた一対のコンベア62、62と、バックアップ部63とを備える。コンベア62、62は水平方向Xに設けられ、一方のコンベア62は他方のコンベア62に対して水平方向Yに可動である。したがって、幅調整モーターMwによって一方のコンベア62を水平方向Yに駆動することで、基板Bの幅に応じてコンベア62、62の間隔を調整できる。また、基板Bを受け取ったコンベア62、62は、搬送モーターMcからの駆動力によって基板Bを水平方向X(基板搬送方向)に搬送できる。
【0046】
つまり、基板Bは、コンベア62、62により水平方向X(基板搬送方向)の上流側から実装作業位置Boに搬入され、実装作業位置Boにおいてバックアップ部63により支持される(搬入動作)。バックアップ部63は、実装作業位置Boの下方に配置されたプッシュアップピンを有し、プッシュアップモーターMpにより上昇されるプッシュアップピンを実装作業位置Boの基板Bに接触させることで、基板Bを下方から支持する。そして、実装作業位置Boで部品が実装された基板Bは、コンベア62、62によって水平方向Xの下流側へ搬出される(搬出動作)。
【0047】
部品実装機1では、水平方向Yに延びる一対のY軸レール641、641と、水平方向Yに延びるY軸ボールネジ642と、Y軸ボールネジ642を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、ヘッド支持部材643が一対のY軸レール641、641に水平方向Yに移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ642のナットに固定されている。ヘッド支持部材643には、水平方向Xに延びるX軸ボールネジ644と、X軸ボールネジ644を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット65がヘッド支持部材643に水平方向Xに移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ644のナットに固定されている。したがって、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ642を回転させてヘッドユニット65を水平方向Yに移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ644を回転させてヘッドユニット65を水平方向Xに移動させることができる。
【0048】
一対のコンベア62、62の水平方向Yの両側それぞれでは、2つの部品供給部66が水平方向Xに並んでいる。各部品供給部66に対しては、複数のテープフィーダー661が水平方向Xに並んで着脱可能に装着されており、各テープフィーダー661には、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品を所定間隔おきに収納したキャリアテープが装填されている。そして、テープフィーダー661は、キャリアテープをヘッドユニット65側に間欠的に送り出すことによって、キャリアテープ内の部品を供給する。
【0049】
ヘッドユニット65は、水平方向Xに直線状に並ぶ複数(4本)の実装ヘッド651を有する。各実装ヘッド651はZ軸モーターMzからの駆動力を受けて鉛直方向Zに昇降可能である。そして、各実装ヘッド651は下端に取り付けられたノズルを用いて、部品供給部66により供給された部品を実装作業位置Boに支持される基板Bに移載する(実装動作)。具体的には、実装ヘッド651はテープフィーダー661が送り出す部品の直上へ移動する。そして、実装ヘッド651は、ノズルの下端が部品の上端面に接するまで下降してからノズル内に負圧を発生させることで、ノズルに部品を吸着する。続いて、実装ヘッド651は吸着した部品を、実装作業位置Boの基板Bに移載する。
【0050】
また、ヘッドユニット65には、水平方向Xに移動可能なスキャンカメラ67が取り付けられている。このスキャンカメラ67はスキャンモーターMnからの駆動力により水平方向Xに移動しつつ、実装ヘッド651による部品の吸着状態を撮像する。
【0051】
そして、上述の各モーターMx、My、Mz、Mn、Mw、Mc、Mpを制御するために、
図1に示したモーターコントロールシステム1が部品実装機6の制御部600に搭載されている。具体的には、演算部610にシステムコントローラー2が構築され、駆動制御部630にACサーボドライバー3Aおよびステッピングドライバー4Aが実装されている。これに対して、モーターMx、My、Mz、Mnは、ACサーボモーターMaであり、モーターMw、Mc、Mpは、ステッピングモーターMsである。そこで、ACサーボドライバー3Aがシステムコントローラー2からのコマンドCに基づきモーターMx、My、Mz、Mnを制御し、ステッピングドライバー4Aがシステムコントローラー2からのコマンドCに基づきモーターMw、Mc、Mpを制御する。なお、ACサーボドライバー3Aおよびステッピングドライバー4Aそれぞれの軸数は、モーターの個数に応じて拡張されている。
【0052】
このように本実施形態では、モーターコントロールシステム1が本発明の「モーターコントロールシステム」の一例に相当し、システムコントローラー2が本発明の「制御装置」の一例に相当し、ACサーボドライバー3A、3Bのそれぞれが本発明の「第1ドライバー」の一例に相当し、ステッピングドライバー4A、4Bのそれぞれが本発明の「第2ドライバー」の一例に相当し、ACサーボモーターMaが本発明の「第1モーター」の一例に相当し、ステッピングモーターMsが本発明の「第2モーター」の一例に相当し、 フィールドバスコントローラー31が本発明の「受信部」の一例に相当し、フィールドバスコントローラー31が高速通信経路Nhを介して通信を行う第1通信速度(高通信速度)が本発明の「第1通信速度」の一例に相当し、CPU32が本発明の「制御部」の一例に相当し、シリアル通信部34が本発明の「送信部」の一例に相当し、シリアル通信部34が低速通信経路Nlを介して通信を行う第2通信速度(低通信速度)が本発明の「第2通信速度」の一例に相当し、コマンド変換部322が本発明の「変換部」の一例に相当し、コマンドCが本発明の「コマンド」の一例に相当し、プロファイル情報Ipが本発明の「プロファイル情報」の一例に相当し、 逐次動作情報Itが本発明の「逐次動作情報」の一例に相当し、動作期間Tmが本発明の「所定期間」の一例に相当し、動作プロファイルPmが本発明の「動作プロファイル」の一例に相当し、微小時間tが本発明の「単位時間」の一例に相当し、部品実装機6が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、コンベア62、62とバックアップ部63とが協働して本発明の「基板搬送部」の一例として機能し、実装ヘッド651が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、部品供給部66が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、実装作業位置Boが本発明の「所定位置」の一例に相当する。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、
図1の例では、モーターコントロールシステム1に2個のACサーボドライバー3A、3Bが設けられていた。しかしながら、モーターコントロールシステム1におけるACサーボドライバーの個数は2個に限られず、1個でも良いし、3個以上でも良い。
【0054】
また、
図1の例では、モーターコントロールシステム1に2個のステッピングドライバー4A、4Bが設けられていた。しかしながら、モーターコントロールシステム1におけるステッピングドライバーの個数は2個に限られず、1個でも良いし、3個以上でも良い。
【0055】
また、
図1の例では、1個のACサーボドライバー3Aに対して1個のステッピングドライバー4Aが設けられていた。しかしながら、対応するACサーボドライバーとステッピングドライバーとの個数の関係は、1対1に限られず、例えば1対2以上であっても良い。
【0056】
さらに、ACサーボドライバー3A、3Bのそれぞれが制御するACサーボモーターMaの個数(軸数)や、ステッピングドライバー4A、4Bのそれぞれが制御するステッピングモーターMsの個数(軸数)を適宜変更しても良い。
【0057】
また、ACサーボモーターMaに代えて他の種類のモーターを用いても良いし、ステッピングモーターMsに代えて他の種類のモーター(例えばボイスコイルモーター)を用いても良い。この際、モーターの種類の変更に応じて、ドライバーの種類を変更すれば良い。
【0058】
また、モーターコントロールシステム1を適用可能な装置は、上記に例示した部品実装機6に限られない。