(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンベア基台と、該コンベア基台上に搬送方向に沿って設けられる複数の案内ローラと、それら複数の案内ローラに巻回される無端ベルトと、を有するベルトコンベアに用いられる防塵カバーであって、
前記無端ベルトを上方から覆うように形成された可撓性を有するカバー本体と、該カバー本体の装着姿勢を保持するために前記カバー本体に装着される可撓性を有する連結具と、を備え、
前記カバー本体は、前記コンベア基台側の凸部に掛け止め可能な掛け止め穴と、前記コンベア基台側の部材が挿通される挿通穴と、カバー本体の端面から前記挿通穴まで連通するスリットと、該スリットの両側に前記スリットを挟んで設けられた少なくとも一対の連結穴と、を有し、
前記連結具は、帯状の本体部と、該本体部の両端に設けられるとともに前記一対の連結穴それぞれに挿入されて前記スリットが開かないように繋ぎ止める一対の係合部と、を有することを特徴とするベルトコンベア用防塵カバー。
前記ベルトコンベアは、散水用タンクを有する路面切削車に装備され、前記路面切削車で発生した切削屑を最初に搬送する第1コンベアと、当該第1コンベアで搬送されてきた切削屑を受け継いで搬送する第2コンベアとを備え、
前記散水用タンクの下方であって前記第1コンベアと前記第2コンベアとの受継部を覆う位置に装着される請求項1または2に記載のベルトコンベア用防塵カバー。
コンベア基台と、該コンベア基台上に搬送方向に沿って設けられる複数の案内ローラと、それら複数の案内ローラに巻回される無端ベルトと、前記無端ベルトを上方から覆う防塵カバーと、を備えるベルトコンベアであって、
前記防塵カバーとして、請求項1〜3のいずれか一項に記載のベルトコンベア用防塵カバーを備えることを特徴とするベルトコンベア。
切削屑を最初に搬送する第1コンベアと、当該第1コンベアで搬送されてきた切削屑を受け継いで搬送する第2コンベアと、前記第1コンベアと前記第2コンベアとの受継部の上方に配置される散水用タンクと、前記受継部を覆う位置に装着される防塵カバーと、を備える路面切削車であって、
前記防塵カバーとして、請求項1〜3のいずれか一項に記載のベルトコンベア用防塵カバーを備えることを特徴とする路面切削車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、路面切削車においては、廃材が無端ベルトと防塵カバーとの間に詰まる場合がある。この場合、作業者は、廃材の詰りを緊急に取り除く必要があり、その際、防塵カバーを迅速に着脱する必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1ないし2に開示されるような、散水用タンクが装備された路面切削車においては、コンベア基台が散水用タンク下部に位置する部分がある。そのため、この部分を覆う防塵カバーをボルト・ナットでコンベア基台に装着する構造であると、路面切削車の構造上、散水用タンクの下部では、作業者が防塵カバーをボルト・ナット締結する作業が困難な箇所がある。
つまり、この種の路面切削車においては、散水用タンク下部とコンベア基台との間が非常に狭い。そのため、防塵カバーの着脱時に、散水用タンクがボルト・ナット締結作業の邪魔になり、工具を操作するスペースが不十分なので、防塵カバーの着脱作業が行いにくいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、着脱作業性に優れたベルトコンベア用防塵カバー、および、これを備えるベルトコンベア並びに路面切削車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーは、コンベア基台と、該コンベア基台上に搬送方向に沿って設けられる複数の案内ローラと、それら複数の案内ローラに巻回される無端ベルトと、を有するベルトコンベアに用いられる防塵カバーであって、前記無端ベルトを上方から覆うように形成された可撓性を有するカバー本体と、該カバー本体の装着姿勢を保持するために前記カバー本体に装着される可撓性を有する連結具と、を備え、前記カバー本体は、前記コンベア基台側の凸部に掛け止め可能な掛け止め穴と、前記コンベア基台側の部材が挿通される挿通穴と、カバー本体の端面から前記挿通穴まで連通するスリットと、該スリットの両側に前記スリットを挟んで設けられた少なくとも一対の連結穴と、を有し、前記連結具は、帯状の本体部と、該本体部の両端に設けられるとともに前記一対の連結穴それぞれに挿入されて前記スリットが開かないように繋ぎ止める一対の係合部と、を有することを特徴とする。
【0008】
なお、本明細書において、上記「コンベア基台側」とは、ベルトコンベアを支持するための固定側部材全般を指す意味である。よって、「コンベア基台側」とは、ベルトコンベアを構成するコンベア基台自体は勿論、例えばコンベア基台が車両フレームに固定される場合であれば車両フレームを含む概念であり、また、コンベア基台が車両に搭載された一または複数の搭載部材(後述の実施形態の例では「散水用タンク」や「散水用タンク」に一体に固定された「防塵カバー支持板」が相当する。)を介して一体に車両フレームに支持されている場合には、これら搭載部材をも含む概念である。
【0009】
ここで、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーにおいて、前記カバー本体を前記搬送方向に沿って複数備えるとともに、該複数のカバー本体のうち、隣接するカバー本体相互を繋ぎ止める第二の連結具を更に備え、前記複数のカバー本体は、前記搬送方向で隣接する他のカバー本体とで対をなして形成された第二の連結穴をそれぞれ有し、前記第二の連結具は、帯状の本体部と、該本体部の両端に設けられるとともに前記対をなす第二の連結穴それぞれに挿入される一対の係合部と、を有し、当該一対の係合部が、前記対をなす第二の連結穴それぞれに挿入されて前記隣接するカバー本体相互を繋ぎ止めることは好ましい。
【0010】
また、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーにおいて、前記ベルトコンベアは、散水用タンクを有する路面切削車に装備され、前記路面切削車で発生した切削屑を最初に搬送する第1コンベアと、当該第1コンベアで搬送されてきた切削屑を受け継いで搬送する第2コンベアとを備え、前記散水用タンクの下方であって前記第1コンベアと前記第2コンベアとの受継部を覆う位置に装着されることは好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーによれば、可撓性をそれぞれ有するカバー本体および連結具により防塵カバーを構成し、カバー本体は、コンベア基台側の凸部に掛け止め可能な掛け止め穴を有するので、掛け止め穴をコンベア基台側の凸部に掛け止めることができる。そして、スリットは、カバー本体端部から挿通穴まで連通しているので、スリットを手で広げた状態とし、挿通穴にコンベア基台側の部材を挿通できる。
【0012】
さらに、スリットの両側には、スリットを挟んで設けられた一対の連結穴が形成されており、連結具は、帯状の本体部と、本体部の両端に設けられるとともに一対の連結穴それぞれに挿入されてスリットが開かないように繋ぎ止める一対の係合部とを有するので、カバー本体の一対の連結穴に、連結具の一対の係合部を挿入するだけで、スリットが開かないように繋ぎ止めることができる。
したがって、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーによれば、防塵カバーの装着に際し、ボルト・ナットが不要であり、また、装着作業に工具も不要なので、防塵カバーの装着が容易であり、また、装着後には不意には脱落しにくい。したがって、防塵カバーの着脱作業性に優れている。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るベルトコンベアは、コンベア基台と、該コンベア基台上に搬送方向に沿って設けられる複数の案内ローラと、それら複数の案内ローラに巻回される無端ベルトと、前記無端ベルトを上方から覆う防塵カバーと、を備えるベルトコンベアであって、前記防塵カバーとして、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係るベルトコンベアによれば、無端ベルトを上方から覆う防塵カバーとして、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーを備えるので、上述したように、防塵カバーの着脱作業性に優れる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る路面切削車は、切削屑を最初に搬送する第1コンベアと、当該第1コンベアで搬送されてきた切削屑を受け継いで搬送する第2コンベアと、前記第1コンベアと前記第2コンベアとの受継部の上方に配置される散水用タンクと、前記受継部を覆う位置に装着される防塵カバーと、を備える路面切削車であって、前記防塵カバーとして、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る路面切削車によれば、第1コンベアと第2コンベアとの受継部を覆う位置に、本発明の一態様に係るベルトコンベア用防塵カバーを備えるので、上述したように、防塵カバーの着脱作業性に優れる。
【発明の効果】
【0017】
上述のように、本発明によれば、防塵カバーの着脱作業性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の路面掘削車1は、自走可能に構成された車両2と、車両2の略中央の下部に設けられてアスファルト舗装等の路面Rの表層部を削り取る路面切削機10と、路面切削機10で削り取った路面Rの切削屑を搬送するベルトコンベア20とを備える。車両2は、エンジンが搭載された車体フレーム3と、車体フレーム3を走行可能に支持する左右一対の前輪4および後輪5と、車体フレーム3の上部に設けられた運転席6とを備える。
【0021】
ベルトコンベア20は、路面切削機10で発生した切削屑を最初に搬送する第1コンベア31と、第1コンベア31で搬送されてきた切削屑を受け継いで搬送する第2コンベア41とを有する。第1コンベア31と第2コンベア41との受継部7には、ダストシュート21が設けられている。車両2の上部前側には、第1コンベア31の上方に、受継部7を覆う位置まで張り出すように、水を貯留するための金属製の散水用タンク8が配置されている。
【0022】
ダストシュート21は、第1コンベア31の搬出端から搬出(落下)されてきた切削屑を受け取るとともに、その切削屑を第2コンベア41側の搬入端側に受け渡すように構成されている。第2コンベア41は、その前端41Sが、ダンプトラックの荷台Dの上方に位置するように車両2前方に張り出し、切削屑をダンプトラックに受け渡し可能になっている。
【0023】
図2に示すように、路面切削機10は、回転ドラム11を備える。回転ドラム11の周囲は、金属板等から構成されたケーシング12で覆われている。回転ドラム11は、車両2の幅方向に延びるドラム本体14と、ドラム本体14の表面に設けられた多数のカッタービット13とを有する。回転ドラム11は、油圧シリンダ15によって昇降自在に懸架され、不図示の駆動モータによって符号S方向に回転駆動される。回転ドラム11は、回転駆動されつつ路面R側に降下されると、表面のカッタービット13によって路面Rの表層部を所定の厚さで切削するとともに、切削した切削屑をベルトコンベア20の搬入端側に送り出すように構成されている。
【0024】
第1コンベア31は、長尺なコンベア基台32と、コンベア基台32に搬送方向に沿って設けられる複数の案内ローラ34〜37と、それら複数の案内ローラ34〜37に巻回される無端ベルト38とを有する。第一コンベア31は、コンベア基台32の上端部にハンガーアーム33を有し、ハンガーアーム33の上端が、上記受継部7の位置で、散水用タンク8の下面の装着部に吊り下げるように装着され、自重によって傾斜姿勢が保持されている。
【0025】
複数の案内ローラ34〜37は、路面切削機10側に位置する搬入側端部ローラ34と、車両2の先端側に位置する搬出側端部ローラ35と、これら端部ローラ34、35間の無端ベルト38を案内する搬送側案内ローラ36と、戻り側案内ローラ37と、から構成される。
【0026】
第1コンベア31は、矢印H1に示すように、路面切削機10で切削された切削屑を、搬入端側ローラ34側から無端ベルト38上に取り込むとともに、搬出端側ローラ35側に向けて斜め上方の搬出端部31Sに搬送し、搬出端部31Sから第2コンベア41側に受け渡す(落下)ようになっている。
【0027】
なお、本実施形態では、搬送側案内ローラ36は、
図5に示すように、無端ベルト38の幅方向で3つ(36a、b、b)に分割され、無端ベルト38の中央部を水平に支持する中央案内ローラ36aと、中央案内ローラ36aの両端にそれぞれ位置する二つの外側案内ローラ36b、36bとから構成される。
二つの外側案内ローラ36b、36bは、各ローラ外側の端部が上方に傾斜状態で取り付けられている。これにより、外側案内ローラ36b、36bによって、無端ベルト38の搬送面を断面U字状に支持することで、無端ベルト38両側からの切削屑の落下を防止している。
【0028】
第2コンベア41は、長尺なコンベア基台42と、コンベア基台42に搬送方向に沿って設けられる複数の案内ローラ44〜47と、それら複数の案内ローラ44〜47に巻回される無端ベルト48とを有する。
【0029】
複数の案内ローラ44〜47は、第1コンベア31側に位置する搬入側端部ローラ44と、搬出端側に位置する搬出側端部ローラ45と、これら端部ローラ44、45間の無端ベルト48を案内する搬送側案内ローラ46と、戻り側案内ローラ47と、から構成される。
本実施形態では、搬送側案内ローラ46は、第1コンベア31同様、
図3に示すように、無端ベルト48の幅方向で3つ(46a、b、b)に分割され、無端ベルト48の中央部を水平に支持する中央案内ローラ46aと、中央案内ローラ46aの両端にそれぞれ位置する二つの外側案内ローラ46b、46bとから構成される。
二つの外側案内ローラ46b、46bは、各ローラ外側の端部が上方に傾斜状態で取り付けられている。これにより、外側案内ローラ46b、46bによって、無端ベルト48の搬送面を断面U字状に支持することで、無端ベルト48両側からの切削屑の落下を防止している。
【0030】
第2コンベア41は、矢印H2に示すように、第1コンベア31側から搬送された切削屑を、搬入側端部ローラ44側から無端ベルト48上に取り込むとともに、搬出側端部ローラ45側に向けて斜め上方の搬出端部41Sに搬送し、搬出端部41Sから、
図1に示したトラックの荷台Dなどの所定の搬送位置に投下するようになっている。
【0031】
なお、第2コンベア41は、搬入端付近を中心にして、車両2の左右方向および俯仰方向に回動自在に車両2に支持されている。これにより、第2コンベア41は、切削屑の搬送方向を任意に調節できるとともに、移動時や非作業時には、第2コンベア41を車体側に回動させ、車体上に重ね合わせるように折り曲げて、ベルトコンベア20の全長を短くしてコンパクトに収納可能になっている。
【0032】
ここで、第1コンベア31の無端ベルト36の搬送側の上部、および第2コンベア41の無端ベルト46の搬送側の上部は、それぞれカバー部材39およびカバー部材49、並びに防塵カバー50によって全体が覆われており、掘削屑の粉塵の飛散などを防止している。
特に、本実施形態のベルトコンベア20では、第1コンベア31と第2コンベア41との受継部7には、
図6に示すように、路面切削機10側から第2コンベア41の搬出端側に亘って、上方から覆うよう配置された防塵カバー50が装備されている。この防塵カバー50は、散水用タンク8の前側の下方であって、第1コンベア31と第2コンベア41との受継部7を上部から覆う位置に装着される。
【0033】
詳しくは、本実施形態の防塵カバー50は、二つのカバー本体60、70および複数の連結具80を備える。各カバー本体60、70および各連結具80は、例えば緩衝性および可撓性に優れたゴムシートから形成されている。
【0034】
第一カバー本体60は、
図8に示すように、平面視が略矩形状のゴムシートから形成され、直線状の後側端面60rと、後側端面60rの左右両側に設けられた右側端面60mおよび左側端面60hと、後側端面60rの反対側に設けられた前側端面60fと、前側端面60fの中央部から前側に向けて張り出すように形成された前側張出端面60tとを有する。
前側張出端面60tが張り出した部分には、前側張出端面60tの形状に沿って複数(この例では6個)の掛け止め穴66が形成されている。各掛け止め穴66は、円形の抜き穴であって、コンベア基台側の先端部の位置に設けられた円筒状の凸部(
図7に示す防塵カバー支持板90に設けられた複数の掛け止め凸部91)に掛け止め可能な位置にそれぞれ設けられる。本実施形態では、
図7に示すように、搭載部材である散水用タンク8の前側下部には、連結板92を介して防塵カバー支持板90が固定されている。防塵カバー支持板90は、金属製の板部材(例えばSPCC材)から形成され、防塵カバー支持板90の前側には、ダストシュート21側に切削屑を導くための第三カバー本体93が、防塵カバー支持板90側から垂下された姿勢で装着される。防塵カバー支持板90の上面後部には、第一カバー本体60の掛け止め穴66を掛け止めるための複数の掛け止め凸部91が対応する位置に立設されており、第一カバー本体60の前側が防塵カバー支持板90に支持されるようになっている。
【0035】
第一カバー本体60の幅方向(左右方向)の中央には、前後方向で後側端面60rに近い位置に、円形の挿通穴61が形成されている。挿通穴61は、コンベア基台32側の部材であるハンガーアーム33の先端部が挿通されるように、ハンガーアーム33の中央の位置に対向する位置に形成されている。
【0036】
また、第一カバー本体60には、前側張出端面60tから挿通穴61まで連通するスリット62が前後方向に沿って形成されている。さらに、スリット62の両側には、スリット62を挟んで設けられた二対の連結穴67、68が形成されている。各連結穴67、68の平面視の形状は、略U字状を呈しており、U字状の中央部がスリット62に沿った直線部とされ、直線部の両端が、第一カバー本体60の幅方向(左右方向)の外側に向けて斜めに広がるように形成された傾斜部になっている(後述する
図11参照)。
【0037】
また、本実施形態の第一カバー本体60は、前側端面60fと前側張出端面60tとの境の位置に、コンベア基台側の部材(第二掛け止め凸部94)が挿通される第二挿通穴64が左右二箇所に形成されるとともに、前側端面60fと前側張出端面60tとの境の位置から第二挿通穴64まで連通する第二スリット63が、自身幅方向に沿って形成されている。第二挿通穴64の平面視の形状は、コンベア基台側に配置されて挿通される部材(つまり、搭載部材)である防塵カバー支持板90の左右に設けられた第二掛け止め凸部94(
図7(b)参照)の矩形形状と整合して、挿抜容易な略五角形形状を呈している。
【0038】
第二カバー本体70は、
図9に示すように、平面視が略矩形状のゴムシートから形成され、直線状の後側端面70rと、後側端面70rの左右両側に設けられた右側端面70mおよび左側端面70hと、後側端面70rの反対側に設けられた前側端面70fとを有する。
後側端面70rの近傍には、左右に離隔して複数(この例では2個)の掛け止め穴76が形成されている。各掛け止め穴76は、円形の抜き穴であり、コンベア基台32側に設けられた二つの円筒状凸部39t(
図6参照)に掛け止め可能な位置にそれぞれ設けられている。
【0039】
第二カバー本体70の幅方向(左右方向)の中央には、前後方向で前側端面70fに近い位置に、平面視が矩形の挿通穴71が形成されている。挿通穴71は、コンベア基台32側の部材であるハンガーアーム33の先端部が挿通されるように、ハンガーアーム33の中央の位置に対向する位置に形成されている。
【0040】
また、第二カバー本体70には、前側端面70fから挿通穴71まで連通するスリット72が前後方向に沿って形成されている。さらに、スリット72の両側には、スリット72を挟んで設けられた一対の連結穴77が形成されている。各連結穴77の形状は、略U字状を呈しており、U字状の中央部がスリット72に沿った直線部とされ、直線部の両端が、第二カバー本体70の幅方向(左右方向)の外側に向けて斜めに広がるように形成された傾斜部になっている(後述する
図11参照)。
【0041】
連結具80は、
図6に示すように、各カバー本体60、70に対して共通に用いられるものである。本実施形態の連結具80は、
図10に示すように、帯状の本体部81と、本体部81の両端に設けられた一対の係合部82とを有する。本体部81は、
図6に示すように、各カバー本体60、70に装着される位置において、スリット62、72と交差する姿勢で装着される。本実施形態の本体部81の形状は、並行な二直線の側端を有し、自身長手方向に同一幅をもって形成されている。
【0042】
一対の係合部82は、帯状の本体部81の両端にそれぞれ設けられている。各係合部82は、外方に向けて凸の円弧面を端面82tに有するとともに、各カバー本体60、70に対する装着時の姿勢において、前後方向にそれぞれ張り出す鉤爪部82fを有する。本実施形態の各鉤爪部82fの平面視の形状は、凸の円弧状である。
【0043】
ここで、各カバー本体60、70の連結穴67、68、77と連結具80の係合部82との関係を
図11を参照して説明する。同図において、略U字状に示す部分図が、連結穴77の平面視のイメージであり、ハッチングを付して示す部分図が、連結具80の本体部81での横断面視のイメージである。なお、上述した各連結穴67、68、77の形状は同じであり、全て同一寸法なので、ここでは、連結穴77を例に説明する。
【0044】
同図(a)に示すように、連結穴77は(同図上側の図)、中央の直線部77aと、直線部77aの両側に形成された二つの傾斜部77bとを有する。直線部77aの溝幅T1は、同図下側に示すように、外力を加えない状態での連結具80の厚さT2よりも僅かに広く設定されている。また、二つの傾斜部77b間の距離W1は、外力を加えない状態での、連結具80の鉤爪部82fの端部同士の突起幅W2よりも短い寸法に設定されている。
【0045】
ここで、連結具80は、同図(b)に折り曲げ時のイメージを示すように、連結具80の端部近傍の本体部81を手で持った状態で、本体部81の中央を手で下方に折曲げることにより(折曲げ時の付勢力F)、左右の鉤爪部82fの突起幅W2を折曲げ時突起幅W3として容易に狭くできる。つまり、「W3<W1」とすることができる。
【0046】
さらに、連結具80を手で折曲げたときに、連結穴77の略U字形状は、同図(c)に示すように、連結具80の端部全体を挿入可能な形状とされている。そのため、連結具80は、その折曲げ時において、連結穴77に鉤爪部82fを容易に挿入できる。
そして、鉤爪部82fを連結穴77に手で挿入後に、外力を加えない状態にすると、同図(c)に示すように、連結具80は、自身の弾性によって連結穴77内で広がって、連結穴77に対しその裏面側で鉤爪部82fが係合するので(同図の破線で示す部分)、容易に抜けないようになっている。
【0047】
これにより、上述した一対の係合部82は、一対の連結穴67、68、77それぞれに手で挿入され、その挿入後の状態において、前後方向にそれぞれ張り出す鉤爪部82fが、各連結穴67、68、77に裏面の側から係合できる。そのため、連結具80を一対の連結穴67、68、77に対して手で容易に装着可能であり、また、スリット62、72が開かないように容易に繋ぎ止め可能になっている。
【0048】
次に、上記ベルトコンベア20の受継部7に装着される防塵カバー50の装着手順について説明する。
図6に受継部7に装着される防塵カバー50の分解斜視図を示すように、防塵カバー50を装着する際は、第一コンベア31に対して、まず、第二カバー本体70を装着する。ここで、第二カバー本体70は、上述したようにゴム板一枚からなり、第二カバー本体70の中心部分に沿って、スリット72が装着穴71まで連通しているので、第一コンベア31のコンベア基台32に対し、まず、スリット72の部分でカバー本体70を手で割って、ハンガーアーム33の中央部に、その上方から第二カバー本体70の矩形の挿通穴71を挿通しつつ逆U字形の装着姿勢にて被せる。
【0049】
そして、第二カバー本体70の後端部側に形成されている左右の掛け止め穴76を、第一コンベア基台32の上部に設けている左右の円筒状凸部39tに掛け止めて装着位置を保持する。その後に、スリット72に対して、スリット72左右の一対の連結穴77に連結具80を装着する。これにより、本実施形態の防塵カバー50では、第二カバー本体70を受継部7の後部側を覆う位置に繋ぎ止めることができる。
【0050】
次いで、同様に、第一カバー本体60を装着する。ここで、第一カバー本体60は、第二カバー本体70同様にゴム板一枚からなり、第一カバー本体60の中心部分に沿って、スリット62が装着穴61まで連通しているので、第一コンベア31に対し、スリット62の部分でカバー本体60を手で割って、ハンガーアーム33の中央部に、第一カバー本体60の装着穴61を、ハンガーアーム33の上方から逆U字形の装着姿勢にて被せる。
【0051】
また、第一カバー本体60は、前側端面60fと前側張出端面60tとの境の位置に、第二スリット63によって端部まで連通する第二挿通穴64が左右二箇所に形成されているので、第二挿通穴64についても、第二スリット63の部分でカバー本体60を手で割って、コンベア基台側の部材である防塵カバー支持板90の第二掛け止め凸部94に、各第二挿通穴64を挿通して、装着姿勢をより安定したものとすることができる。
【0052】
そして、第一カバー本体60の前縁部に設けた複数の掛け止め穴66を、第一コンベア基台側の上部に設けている複数の円筒凸部(掛け止め凸部91)に掛け止めて装着位置を保持する。その後に、スリット62の左右に形成されている二対の連結穴67、68に連結具80を装着する。これにより、本実施形態の防塵カバー50では、第一カバー本体60を受継部7の前部側を覆う位置に繋ぎ止めることができる。
【0053】
そして、本実施形態の防塵カバー50では、連結具80は、可撓性を有するゴム板一枚からなり、一対の係合部82は、両端の鉤爪部82fが、本体部81の幅よりも左右に出っ張っているので、鉤爪部82fが返りとして機能する。そのため、上述したように、手で折り曲げた状態とすることで、各連結穴67、68、77への手での装着が容易である。また、装着後には、本体部81が平板形状に弾性復帰するので、これにより、左右の鉤爪部82fが連結穴67、68、77の反対側の面に係合する。よって、連結具80の装着が容易且つ不意の抜け出しも容易に防止される。
【0054】
次に、上述した路面掘削車1の作用効果について説明する。
図1に示すように、路面切削機10の切削作業によって発生した切削屑は、先ずベルトコンベア20の第1コンベア31によって車両2の先端側に搬送され、その搬出端から受継部7のダストシュート21に投下される。その後、第2コンベア41によってさらに車両2の前方に搬送され、搬出端からダンプトラックの荷台Dなどの所定の搬送場所に搬送される。
【0055】
ここで、このような一連の切削および搬送工程においては、路面切削機10による切削作業時のみならず、その切削屑の搬送時、特に切削屑の受け渡しにおいてその切削屑から細かい粉塵が発生する(舞い上がる)。これに対し、この路面掘削車1によれば、ベルトコンベア20全体が、路面切削機10側から搬出端側に亘って、複数のカバー部材39、49、50で覆われているので、周囲への粉塵の飛散を確実に防止できる。
【0056】
そして、複数のカバー部材39、49、50のうち、本実施形態の防塵カバー50は、
図6に示したように、第一カバー本体60および第二カバー本体70を備え、これら二つのカバー本体60、70は、受継部7において、相互をベルトコンベア20の長手方向に繋ぎ合わせるとともに、前後の両側を、第一コンベア基台32側の凸部に掛け止め、逆U字形の装着姿勢にて装着されるので、二つのカバー本体60、70によって受継部7の全体を搬送面側の上部から覆うことができる。そのため、搬送時などにおける、受継部7からの切削屑の落下や粉塵の飛散などを防止できる。
【0057】
特に、本実施形態の路面掘削車1によれば、第1コンベア31と第2コンベア41との受継部7において、可撓性をそれぞれ有するカバー本体60、70および連結具80により防塵カバー50を構成し、各カバー本体60、70は、第一コンベア基台32側の凸部に対し、それぞれの掛け止め穴を66、76に手で掛け止め可能なので、受継部7のような狭い作業スペースであっても、工具を用いることなく、掛け止め穴66、76をコンベア基台側の凸部に手で容易に掛け止めることができる。
【0058】
また、各カバー本体60、70のスリット62、72は、各カバー本体60、70の端部から各挿通穴61、71まで連通しているので、受継部7のような狭い作業スペースであっても、各スリット62、72を手で広げた状態とするだけで、各挿通穴61、71に、コンベア基台32側の部材であるハンガーアーム33の先端部を容易に挿通できる。
【0059】
さらに、この防塵カバー50によれば、各スリット62、72の両側には、各スリット62、72を挟んで設けられた対をなす連結穴67、68、77がそれぞれ形成され、連結具80は、各スリット62、72と交差する姿勢で装着される帯状の本体部81と、本体部81の両端に設けられるとともに対をなす連結穴67、68、77それぞれに挿入されて各スリット62、72が開かないように繋ぎ止める一対の係合部82とを有するので、カバー本体の一対の連結穴に、連結具の一対の係合部82を挿入するだけで、スリットが開かないように繋ぎ止めることができる。
【0060】
このように、本実施形態の防塵カバー50によれば、受継部7において、防塵カバー50の装着に際し、ボルト・ナットが不要であり、また、装着作業に工具も不要なので、防塵カバー50の装着が容易であり、また、装着後には、防塵カバー50が不意には脱落しにくい。したがって、防塵カバー50の着脱作業性に極めて優れている。
【0061】
なお、本発明に係るベルトコンベア用防塵カバーおよびこれを備えるベルトコンベア並びに路面切削車は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
【0062】
例えば、上述した各カバー本体60、70は、工具を用いることなく、手で容易に掛け止めることができる例を示したが、これに限定されず、工具の挿抜作業性が良好な箇所があれば、ボルト・ナットによる締結構造を併用することも可能である。但し、工具を用いず、手で容易に掛け止め可能とする上では、ボルト・ナットによる締結構造が不要であることが好ましい。
また、例えば、連結具80の形状は、
図10に示した例に限定されず、例えば
図12(a)〜(d)に示す例のように、種々の変形が可能である。つまり、同図(a)に示す変形例では、一対の係合部82は、尖頭型の直線状の端面82tと、尖頭型の直線状の鉤爪部82fから構成されている。また、同図(b)に示す変形例では、本体部81は、自身長手方向の両側面が、凹の円弧面から形成され、これにより、中央部が幅狭になっている。
【0063】
また、同図(c)に示す変形例では、一対の係合部82は、端面82tと鉤爪部82fとが、全体として一の円弧面から形成されている。また、同図(d)に示す変形例では、端面82tおよび鉤爪部82fが直線状に形成されるとともに、端面82tと鉤爪部82fとを繋ぐ部分も本体部81の長手方向に沿って直線状に形成され、これにより、全体として矩形型アレイ状に形成されている。同図(a)ないし(d)に示す変形例のような連結具80の形状であっても、カバー本体60、70に装着される位置でのスリットが開かないように繋ぎ止めることができる。
【0064】
また、上記実施形態では、連結具80は、各カバー本体60、70に対し、各カバー本体60、70のスリットが開かないように繋ぎ止める装着例について説明したが、これに限定されず、本発明に係る連結具は、複数のカバー本体相互を連結するために用いることができる。具体例を
図13に示す。この例では、上述した第一カバー本体60の後端部と、第二カバー本体70の前端部との重ね合せ部を、連結具80によって連結した例である。
【0065】
同図に示すように、第一カバー本体60には、後側端面60rの近傍、且つ、左側端面60h(および反対側の右側端面60m)寄りの位置であって、第二カバー本体70の前端部との重なる部分に、上述した連結穴77同様の形状に形成された第二の連結穴69が形成されている。第二の連結穴69の向きは、U字状の中央部が後側端面60rに沿った直線部とされ、直線部の両端が、第一カバー本体60の前方外側に向けて斜めに広がるように形成された傾斜部になっている。
【0066】
一方、第二カバー本体70には、前側端面70fの近傍、且つ、左側端面70h(および反対側の右側端面70m)寄りの位置であって、第一カバー本体60の後端部との重なる部分に、上述した連結穴77同様の形状に形成された第二の連結穴79が形成されている。第二の連結穴79の向きは、U字状の中央部が前側端面70fに沿った直線部とされ、直線部の両端が、第二カバー本体70の後方外側に向けて斜めに広がるように形成された傾斜部になっている。第一カバー本体60の第二の連結穴69に対して、第二カバー本体70の第二の連結穴79の位置は、対向位置に配置されることで、一対をなしている。
【0067】
このような構成であれば、複数のカバー本体60、70は、搬送方向で隣接する他のカバー本体とで対をなして形成された第二の連結穴69、79を有し、連結具80は、第二の連結具として、一対の係合部82が、対をなす第二の連結穴69、79それぞれに挿入されて隣接するカバー本体60、70相互を繋ぎ止め可能となる。
【0068】
これにより、
図6を参照して説明した防塵カバー50の装着姿勢において、第二の連結穴69と第二の連結穴79とに、連結具80の両端の一対の係合部82を手で係合することによって、前後で重なる第一カバー本体60の後端部と第二カバー本体70の前端部との重ね合せ部を、一つの連結具80によって連結できる。そのため、このような構成であれば、防塵カバー50の装着姿勢をより安定させる上で好適である。