特許第6786422号(P6786422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786422
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/00 20060101AFI20201109BHJP
   F23N 1/02 20060101ALI20201109BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   F23N5/00 N
   F23N1/02 K
   F23N1/00 102A
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-40707(P2017-40707)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2018-146160(P2018-146160A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 万之
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−159458(JP,A)
【文献】 特開2013−170772(JP,A)
【文献】 特開2006−300438(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0022276(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/00
F23N 1/00
F23N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
前記缶体内に配置された第2バーナと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記ガス供給路から前記第2バーナへの燃料ガスの供給と遮断とを切り替える開閉弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記目標燃焼範囲に設定して前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナが燃焼している状態で、開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際には、前記目標開度を所定増分だけ増加させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナが燃焼している状態で、前記開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定増分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定増分よりも少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナが燃焼している状態で、前記開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定増分を少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
前記缶体内に配置された第2バーナと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記ガス供給路から前記第2バーナへの燃料ガスの供給と遮断とを切り替える開閉弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記目標燃焼範囲に設定して前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナが燃焼している状態で、開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際には、前記目標回転速度を所定減分だけ減少させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナが燃焼している状態で、前記開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定減分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定減分よりも少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標開度を所定増分だけ増加させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定増分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定増分よりも少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼装置において、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定増分を少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【請求項6】
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標回転速度を所定減分だけ減少させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定減分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定減分よりも少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【請求項7】
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標開度を所定増分だけ増加させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面と前記第2燃焼面を合わせた総燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定増分を少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【請求項8】
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標回転速度を所定減分だけ減少させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面と前記第2燃焼面を合わせた総燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定減分を少なくすることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバーナを備えた燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のバーナを備えて、各バーナの燃焼排ガスを一つの排気通路を介して行う燃焼装置において、各バーナから発生する異常音を抑制するための制御を行う構成が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、給湯用バーナと暖房用バーナを共に全面燃焼状態とする際に、暖房用バーナへの燃料ガスの供給流量を一定時間絞って部分燃焼状態とすることにより、異常音の発生を防止する構成が記載されている。
【0004】
特許文献2には、給湯用バーナと暖房用バーナとのうちのいずれか一方のみが燃焼中であるときに、他方についても燃焼指示があったときには、燃焼中のバーナの燃焼量を下げて、ファン回転速度を下げた状態で他方のバーナに点火することにより、異常音の発生を防止する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−99421号公報
【特許文献2】特開2000−220822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された構成により、暖房側バーナを半開状態としても異常音が発生する場合があり、また、特許文献2に記載された構成により、既に燃焼中のバーナの燃焼量を下げても異常音が発生する場合がある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、バーナで発生する異常音の抑制効果を高めた燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の燃焼装置の第1の態様は、
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
前記缶体内に配置された第2バーナと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記ガス供給路から前記第2バーナへの燃料ガスの供給と遮断とを切り替える開閉弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記目標燃焼範囲に設定して前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナが燃焼している状態で、前記開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際には、前記目標開度を所定増分だけ増加させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナが燃焼している状態で、前記開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定増分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定増分よりも少なくすることを特徴とする。
【0009】
かかる本発明において、燃焼制御部は、第1バーナ及び第2バーナを燃焼させるときに、第1バーナ及び第2バーナの目標燃焼量に対応した給排気ファンの目標回転速度と第1燃焼面における目標燃焼範囲とガス流量変更弁の目標開度とを決定して、給排気ファンを目標回転速度に制御すると共に、第1燃焼面における燃焼範囲を目標燃焼範囲に設定してガス流量変更弁を目標開度に制御する。そして、燃焼制御部は、第1バーナが燃焼している状態で、開閉弁を開弁して第2バーナの点火処理を行う際に、前記目標開度を所定増分だけ増加させ、これにより点火を安定的に行うようにしている。
【0010】
しかしながら、このように、ガス流量変更弁の目標開度を所定増分だけ増加させる(ガスリッチ状態にする)と、点火処理中に第2バーナから異常音(共鳴音)が生じ易くなり、所定増分を多くするほど(ガスリッチの度合を大きくするほど)異常音が生じる可能性が高くなる。また、缶体内に配置された第1バーナ及び第2バーナの特性として、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、第2バーナ側の内圧が高くなって第2バーナへの燃焼用空気の供給が妨げられるため、ガス流量変更弁を目標開度に設定しても第2バーナはある程度はガスリッチ状態となる。
【0011】
そこで、燃焼制御部は、第1バーナが燃焼している状態で、開閉弁を開弁して第2バーナの点火処理を行う際に、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときのガス流量変更弁の開度の所定増分を、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合未満であるときの所定増分よりも少なくする。そして、これにより、第2バーナの点火処理を実行する際の第2バーナにおけるガスリッチ度が過剰になって、第2バーナから異常音が生じることを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の燃焼装置の第1の態様において、前記燃焼制御部は、前記第1バーナが燃焼している状態で、前記開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定増分を少なくすることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1バーナの燃焼による缶体内の第2バーナ側の内圧の上昇の程度に応じて、第2バーナ側のガスリッチ度をより適切に設定して、第2バーナからの異常音の発生を抑制することができる。
【0014】
次に、本発明の燃焼装置の第2の態様は、
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
前記缶体内に配置された第2バーナと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記ガス供給路から前記第2バーナへの燃料ガスの供給と遮断とを切り替える開閉弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記目標燃焼範囲に設定して前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナが燃焼している状態で、開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際には、前記目標回転速度を所定減分だけ減少させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナが燃焼している状態で、前記開閉弁を開弁して前記第2バーナの点火処理を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定減分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定減分よりも少なくすることを特徴とする。
【0015】
かかる発明において、燃焼制御部は、第1バーナが燃焼している状態で、開閉弁を開弁して第2バーナの点火処理を行う際に、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの給排気ファンの目標回転速度の所定減分を、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合未満であるときの所定減分よりも少なくする。これにより、第2バーナの点火処理を実行する際の第2バーナにおけるガスリッチ度が過剰になって、第2バーナから異常音が生じることを抑制することができる。
【0016】
次に、本発明の燃焼装置の第3の態様は、複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標開度を所定増分だけ増加させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定増分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定増分よりも少なくすることを特徴とする。
【0017】
かかる本発明によれば、燃焼制御部は、第1バーナ及び第2バーナを燃焼させるときに、第1バーナ及び第2バーナの目標燃焼量に対応した給排気ファンの目標回転速度と第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と第2燃焼面における第2目標燃焼範囲とガス流量変更弁の目標開度とを決定して、給排気ファンを目標回転速度に制御すると共に、第1燃焼範囲設定部により第1燃焼面における燃焼範囲を第1目標燃焼範囲に設定し、第2燃焼範囲設定部により第2燃焼面における燃焼範囲を第2目標燃焼範囲に設定して、ガス流量変更弁を目標開度に制御する。そして、燃焼制御部は、第1バーナと第2バーナが燃焼している状態で、第2バーナの燃焼範囲の拡大(火移り)を伴う目標燃焼量の変更を行う際に、ガス流量変更弁の目標開度を所定増分だけ増加させ、これにより火移りを安定的に行うようにしている。
【0018】
しかしながら、このように、ガス流量変更弁の目標開度を所定増分だけ増加させる(ガスリッチ状態にする)と、火移りの実行中に第2バーナから異常音(共鳴音)が生じ易くなり、所定増分を多くするほど(ガスリッチの度合を大きくするほど)異常音が生じる可能性が高くなる。また、缶体内に配置された第1バーナ及び第2バーナの特性として、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、第2バーナ側の内圧が高くなって第2バーナへの燃焼用空気の供給が妨げられるため、ガス流量変更弁を目標開度に設定しても第2バーナはある程度はガスリッチ状態となる。
【0019】
そこで、燃焼制御部は、第1バーナ及び第2バーナが燃焼している状態で、第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う目標燃焼量の変更を行う際に、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときのガス流量変更弁の開度の所定増分を、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合未満であるときの所定増分よりも少なくする。そして、これにより、第2バーナの火移り処理を実行する際の第2バーナにおけるガスリッチ度が過剰になって、第2バーナから異常音が生じることを抑制することができる。
【0020】
また、本発明の燃焼装置の第3の態様において、前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定増分を少なくすることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、第1バーナの燃焼による第2バーナ側の缶体内の圧力の上昇に応じて、第2バーナ側のガスリッチ度をより適切に設定して、第2バーナからの異常音の発生を抑制することができる。
【0022】
次に、本発明の燃焼装置の第4の態様は、
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標回転速度を所定減分だけ減少させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの前記所定減分を、前記第1燃焼面における燃焼範囲の割合が該所定割合未満であるときの前記所定減分よりも少なくすることを特徴とする。
【0023】
かかる発明において、燃焼制御部は、第1バーナ及び第2バーナが燃焼している状態で、第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う目標燃焼量の変更を行う際に、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるときの給排気ファンの目標回転速度の所定減分を、第1燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合未満であるときの所定減分よりも少なくする。これにより、第2バーナの火移り処理を実行する際の第2バーナにおけるガスリッチ度が過剰になって、第2バーナから異常音が生じることを抑制することができる。
【0024】
次に、本発明の燃焼装置の第5の態様は、
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標開度を所定増分だけ増加させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面と前記第2燃焼面を合わせた総燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定増分を少なくすることを特徴とする。
【0025】
かかる発明において、燃焼制御部は、第1バーナと第2バーナが燃焼している状態で第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う目標燃焼量の変更を行う際に、第1燃焼面と第2燃焼面を合わせた総燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、所定増分を少なくする。これにより、第1バーナの燃焼による第2バーナ側の缶体内の圧力の上昇に応じて、第2バーナ側のガスリッチ度をより適切に設定して、第2バーナからの異常音の発生を抑制することができる。
【0026】
次に、本発明の燃焼装置の第6の態様は、
複数の第1バーナブロックにより第1燃焼面が形成されて、缶体内に配置された第1バーナと、
燃焼させる前記第1バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第1燃焼面における燃焼範囲を設定する第1燃焼範囲設定部と、
複数の第2バーナブロックにより第2燃焼面が形成されて、前記缶体内に配置された第2バーナと、
燃焼させる前記第2バーナブロックの組合せを変更することにより、前記第2燃焼面における燃焼範囲を設定する第2燃焼範囲設定部と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃料ガスを供給するガス供給路と、
前記ガス供給路の開度を変更して前記第1バーナ及び前記第2バーナに供給される燃料ガスの流量を変更するガス流量変更弁と、
前記第1バーナ及び前記第2バーナに燃焼用空気を供給すると共に、前記第1バーナ及び前記第2バーナの燃焼排ガスを排気通路に送出する給排気ファンと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを燃焼させるときに、前記第1バーナ及び前記第2バーナの目標燃焼量に対応した前記給排気ファンの目標回転速度と前記第1燃焼面における第1目標燃焼範囲と前記第2燃焼面における第2目標燃焼範囲と前記ガス流量変更弁の目標開度とを決定して、前記給排気ファンを前記目標回転速度に制御すると共に、前記第1燃焼範囲設定部により前記第1燃焼面における燃焼範囲を前記第1目標燃焼範囲に設定し、前記第2燃焼範囲設定部により前記第2燃焼面における燃焼範囲を前記第2目標燃焼範囲に設定して、前記ガス流量変更弁を前記目標開度に制御し、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際には、前記目標回転速度を所定減分だけ減少させる燃焼制御部と
を備えている燃焼装置であって、
前記燃焼制御部は、前記第1バーナ及び前記第2バーナが燃焼している状態で前記第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う前記目標燃焼量の変更を行う際に、前記第1燃焼面と前記第2燃焼面を合わせた総燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、前記所定減分を少なくすることを特徴とする。
【0027】
かかる発明において、燃焼制御部は、第1バーナと第2バーナが燃焼している状態で第2燃焼面における燃焼範囲の拡大を伴う目標燃焼量の変更を行う際に、第1燃焼面と第2燃焼面を合わせた総燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、所定減分を少なくする。これにより、第1バーナの燃焼による第2バーナ側の缶体内の圧力の上昇に応じて、第2バーナ側のガスリッチ度をより適切に設定して、第2バーナからの異常音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】熱源装置(燃焼装置)の構成図。
図2】点火対応処理のフローチャート。
図3】給湯バーナが燃焼している状態で、暖房バーナの点火処理を行う場合の説明図。図3Aは給湯バーナが全面燃焼している状態で、暖房バーナに点火する場合を示し、図3Bは給湯バーナが部分燃焼している状態で、暖房バーナに点火する場合を示している。
図4】火移り対応処理のフローチャート。
図5】給湯バーナ及び暖房バーナが燃焼している状態で、暖房バーナ側の火移り処理を行う場合の説明図。図5A図5Bは、給湯バーナが全面燃焼している状態で暖房バーナの燃焼範囲を拡大する場合を示し、図5C図5Dは、給湯バーナが部分燃焼している状態で暖房バーナの燃焼範囲を拡大する場合を示している。
図6】給湯バーナ及び暖房バーナが燃焼している状態で、給湯バーナ側の火移り処理を行う場合の説明図。図6A図6B図6Cはいずれも、暖房バーナが全面燃焼している状態で、給湯バーナの燃焼範囲を拡大する場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態について、図1図6を参照して説明する。
【0030】
[1.熱源装置の構成]
図1を参照して、本実施形態の熱源装置1(本発明の燃焼装置に相当する)は、給水管35から供給される水を加熱して給湯管36から出湯する給湯機能と、暖房往き管45及び暖房戻り管46を経由して図示しない暖房端末(床暖房機、温風暖房機等)に温水を循環供給する暖房機能とを有する複合タイプの熱源装置である。
【0031】
熱源装置1は、筐体10内に燃焼室を形成する缶体20を備えて構成されている。缶体20内には、給水管35及び給湯管36に接続されて内部を流通する水を加熱する給湯熱交換器30と、暖房往き管45及び暖房戻り管46に接続されて内部を流通する湯水を加熱する暖房熱交換器40とが備えられている。
【0032】
給湯熱交換器30の下方に給湯バーナ31(本発明の第1バーナに相当する)が設けられ、暖房熱交換器40の下方に暖房バーナ41(本発明の第2バーナに相当する)が設けられている。暖房バーナ41の最大燃焼量(例えば、14kW)は、給湯バーナ31の最大燃焼量(例えば、30kW)よりも小さく設定されている。
【0033】
給湯熱交換器30は、給湯バーナ31の燃焼排ガスから主に顕熱を吸熱する給湯主熱交換器30aと、給湯バーナ31の燃焼排ガスから主に潜熱を吸熱する給湯副熱交換器30bとにより構成されている。また、暖房熱交換器40は、暖房バーナ41の燃焼排ガスから主に顕熱を吸熱する暖房主熱交換器40aと、暖房バーナ41の燃焼排ガスから主に潜熱を吸熱する暖房副熱交換器40bとにより構成されている。
【0034】
給湯バーナ31及び暖房バーナ41はガス供給路55に接続され、ガス供給路55から給湯バーナ31及び暖房バーナ41に燃料ガスが供給される。
【0035】
給湯バーナ31は、大バーナ31aと中バーナ31bと小バーナ31cとにより構成されている。大バーナ31aは9本の単位バーナを有し、中バーナ31bは5本の単位バーナを有し、小バーナ31cは3本の単位バーナを有している。大バーナ31a、中バーナ31b、及び小バーナ31cにより、給湯バーナ31の燃焼面(第1燃焼面)が形成され、大バーナ31a、中バーナ31b、及び小バーナ31cのうち、燃焼させるバーナの組み合わせにより、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲が変更される。大バーナ31a、中バーナ31b、及び小バーナ31cは、本発明の第1バーナブロックに相当する。
【0036】
暖房バーナ41は、大バーナ41aと小バーナ41bとにより構成されている。大バーナ41aは3本の単位バーナを有し、小バーナ41bは2個の単位バーナを有している。大バーナ41aと小バーナ41bとにより暖房バーナ41の燃焼面(第2燃焼面)が形成され、大バーナ41aと小バーナ41bのうち、燃焼させるバーナの組み合わせにより、暖房バーナ41の燃焼面における燃焼範囲が変更される。大バーナ41aと小バーナ41bは、本発明の第2バーナブロックに相当する。
【0037】
熱源装置1は、大バーナ31aへの燃料ガスの供給と遮断とを切替える給湯ガス電磁弁32、中バーナ31bへの燃料ガスの供給と遮断とを切替える給湯ガス電磁弁33、小バーナ31cへの燃料ガスの供給と遮断とを切替える給湯ガス電磁弁34、大バーナ41aへの燃料ガスの供給と遮断とを切替える暖房ガス電磁弁42(本発明の開閉弁に相当する)、小バーナ41bへの燃料ガスの供給と遮断とを切替える暖房ガス電磁弁43、給湯バーナ31と暖房バーナ41への燃料ガスの供給と遮断とを切替える元ガス電磁弁52、給湯バーナ31と暖房バーナ41への燃料ガスの供給流量を調節するガス流量変更弁51、給湯バーナ31と暖房バーナ41に燃焼用空気を供給すると共に、燃焼排ガスを缶体20の上部に接続された集合排気管11(本発明の排気通路に相当する)に送出する給排気ファン50、及び暖房循環路(暖房往き管45、暖房戻り管46)内の湯水を循環させる循環ポンプ48を備えている。
【0038】
給湯ガス電磁弁32,33,34により本発明の第1燃焼範囲設定部が構成され、暖房ガス電磁弁42,43により本発明の第2燃焼範囲設定部が構成される。
【0039】
給湯バーナ31と暖房バーナ41の燃焼排ガスは、集合排気管11を経由して屋外に排出される。また、筐体10の上部には給気管13が接続されている。給排気ファン50の作動により、給気管13を介して屋外から流入する空気と、筐体10の開口部を介して屋内から流入する空気とが、燃焼用空気として給湯バーナ31及び暖房バーナ41に供給される。
【0040】
この構成により、熱源装置1は強制排気型(FE:Forced Exhaust 型)となっている。集合排気管11の入口部には、CO濃度を検出するCOセンサ12が設けられている。また、給湯管36には給湯管36から出湯される湯の温度を検出する給湯温度センサ37が設けられ、暖房往き管45には、暖房往き管45から図示しない暖房端末に供給される温水の温度を検出する暖房温度センサ47が設けられている。
【0041】
さらに、熱源装置1には、熱源装置1の全体的な作動を制御するコントローラ60と、熱源装置1を遠隔操作するためのリモコン70とが備えられている。コントローラ60は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力インターフェース等により構成された電子回路ユニットである。コントローラ60は、メモリに保持された熱源装置1の制御用プログラムをCPUで実行することにより、燃焼制御部61として機能する。
【0042】
コントローラ60には、給湯温度センサ37及び暖房温度センサ47の温度検出信号と、COセンサ12のCO濃度検出信号が入力される。また、コントローラ60から出力される制御信号によって、給湯ガス電磁弁32,33,34、暖房ガス電磁弁42,43、元ガス電磁弁52、ガス流量変更弁51、給排気ファン50、及び循環ポンプ48の作動が制御される。
【0043】
燃焼制御部61は、給湯管36から供給される湯の温度が設定温度(リモコン70により設定される)となるように、元ガス電磁弁52、給湯ガス電磁弁32,33,34、ガス流量変更弁51の作動を制御して、給湯バーナ31への燃料ガスの供給流量を調節すると共に、給排気ファン50の回転速度を制御して給湯バーナ31への燃焼用空気の供給流量を調節して、給湯バーナ31の燃焼量を制御する給湯運転を実行する。
【0044】
また、燃焼制御部61は、暖房往き管45から所定温度及び流量の温水が供給されるように、元ガス電磁弁52、暖房ガス電磁弁42,43、ガス流量変更弁51の作動を制御して、暖房バーナ41への燃料ガスの供給流量を調節すると共に、給排気ファン50の回転速度を制御して暖房バーナ41への燃焼用空気の供給流量を調節して、暖房バーナ41の燃焼量を制御し、また、循環ポンプ48の作動を制御する暖房運転を実行する。
【0045】
「2.点火対応処理」
次に、図2に示したフローチャートに従って、燃焼制御部61により実行される暖房バーナ41の点火時に生じ得る異常音(共鳴音)を抑制するための処理(点火対応処理)について説明する。
【0046】
燃焼制御部61は、図2のSTEP1で暖房バーナ41の点火条件が成立したか否かを判断する。ここで、暖房バーナ41の点火条件としては、使用者がリモコン70により暖房開始の操作を行ったこと、使用者が設定した暖房予約時刻になったこと等が設定されている。
【0047】
STEP1で暖房バーナ41の点火条件が成立したときにSTEP2に進み、燃焼制御部61は、給湯バーナ31が燃焼状態であるか否かを判断する。そして、給湯バーナ31が燃焼状態でなかったときにはSTEP10に分岐し、燃焼制御部61は暖房バーナ41の点火処理を行って、暖房バーナ41の単独燃焼を開始する。暖房バーナ41の点火処理は、暖房バーナ41の燃焼面付近に設けられた点火電極(図示しない)に火花放電を生じさせると共に、暖房ガス電磁弁42を開弁することによって行われる。
【0048】
一方、STEP2で給湯バーナ31が燃焼状態であるときにはSTEP3に進み、燃焼制御部61は、目標燃焼量(給湯バーナ31の目標燃焼量及び暖房バーナ41の目標燃焼量(ここでは暖房バーナ41の点火用の目標燃焼量))に対応した、給排気ファン50の目標回転速度Vcとガス流量変更弁51の目標開度Pcを決定して、STEP4に処理を進める。
【0049】
STEP4で、燃焼制御部61は、給湯バーナ31が全面燃焼状態(大バーナ31aと中バーナ31bと小バーナ31cとが、全て燃焼状態)であるか否かを判断する。ここで、全面燃焼状態は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%となっている状態であり、100%は本発明の所定割合に相当する。なお、この所定割合は、燃焼装置の構成や使用状況に応じて適宜設定される。
【0050】
給湯バーナ31が全面燃焼状態であるときにはSTEP20に分岐し、燃焼制御部61は、ガス流量変更弁51の目標開度Pcに所定増分ΔP1を加えた開度を、暖房バーナ41の点火処理における目標開度Pc’(=Pc+ΔP1)としてSTEP6に処理を進める。
【0051】
一方、給湯バーナ31が全面燃焼状態でないときにはSTEP5に進み、燃焼制御部61は、ガス流量変更弁51の目標開度Pcに所定増分ΔP2を加えた開度を、暖房バーナ41の点火処理における目標開度Pc’(=Pc+ΔP2)としてSTEP6に処理を進める。
【0052】
STEP6で、燃焼制御部61は、ガス流量変更弁51の開度を目標開度Pc’に制御して暖房バーナ41の点火処理を実行する。このように、ガス流量変更弁51の開度を本来の目標開度Pcよりも大きい目標開度Pc’として燃料ガスの供給流量を増加させることにより、暖房バーナ41に対する燃料ガスと燃焼用空気の供給状態を、ガスリッチ状態にすることができる。
【0053】
そして、このようにガスリッチ状態として暖房バーナ41の点火処理を行うことにより、暖房バーナ41の点火を安定させて行うことができるが、ガスリッチの度合が大きくなるに従って、点火処理において暖房バーナ41から異常音が生じる可能性が高くなる。
【0054】
また、缶体20内に給湯バーナ31と暖房バーナ41が設けられて、給排気ファン50により缶体20内に燃焼用空気が供給される熱源装置1の特性として、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、暖房バーナ41側における内圧が高くなって、暖房バーナ41への燃焼用空気の供給が妨げられる。そのため、給排気ファン50の回転速度を目標回転速度Vcに制御すると共に、ガス流量変更弁51の開度を目標開度Pcに制御しても、暖房バーナ41においてガスリッチ傾向になる。
【0055】
そこで、燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%であるときのガス流量変更弁51の目標開度の増分(ΔP1)を、この割合が100%未満であるときの増分(ΔP2)よりも小さく設定して、暖房バーナ41の点火処理を実行する。これにより、暖房バーナ41におけるガスリッチの度合が過剰になることを防止して、暖房バーナ41からの異常音の発生を抑制することができる。
【0056】
続くSTEP7で、燃焼制御部61は、所定時間(暖房バーナ41の点火が終了して、暖房バーナ41の燃焼状態が安定し、暖房バーナ41から異常音が生じるおそれが無くなる時間を想定して設定される)が経過するのを待ってSTEP8に処理を進め、ガス流量変更弁51の目標開度を本来の目標開度Pcに戻して、点火対応処理を終了する。
【0057】
STEP3で、燃焼制御部61は、目標燃焼量に対応した給排気ファン50の目標回転速度Vcとガス流量変更弁51の目標開度Pcを決定して、STEP4に処理を進めるが、この後、給排気ファン50の目標回転速度Vcを調整して、暖房バーナ41の点火処理を実行するようにしてもよい。
【0058】
具体的には、給湯バーナ31が全面燃焼状態であるときには、燃焼制御部61は、給排気ファン50の目標回転速度Vcから所定減分ΔVc1を減じた回転速度を、暖房バーナ41の点火処理における目標回転速度Vc’(=Vc−ΔVc1)として次の処理(目標回転速度Vc’として、暖房バーナ41を点火)を進める。
【0059】
一方、給湯バーナ31が全面燃焼状態でないときには、燃焼制御部61は、給排気ファン50の目標回転速度Vcから所定減分ΔVc2を減じた回転速度を、暖房バーナ41の点火処理における目標回転速度Vc’(=Vc−ΔVc2)として次の処理(目標回転速度Vc’として、暖房バーナ41を点火)を進める。
【0060】
燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%であるときの給排気ファン50の目標回転速度Vcの減分(ΔVc1)を、この割合が100%未満であるときの減分(ΔVc2)よりも小さく設定して、暖房バーナ41の点火処理を実行する。これによっても、暖房バーナ41におけるガスリッチの度合が過剰になることを防止して、暖房バーナ41からの異常音の発生を抑制することができる。
【0061】
ここで、図3Aは、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%(全面燃焼状態)であるときに、暖房バーナ41の点火処理を行った場合(図2のSTEP20の処理により、ガス流量変更弁51の目標開度をΔP1増加させて点火処理を行った場合)を示しており、暖房バーナ41の大バーナ41aが燃焼状態に移行する際に、異常音が発生することが抑制される。
【0062】
また、図3Bは、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が約50%であるとき(中バーナ31b及び小バーナ31cが燃焼状態、且つ大バーナ31aが消火状態であり、個別バーナの総本数17本のうち、8本が燃焼状態であるとき)に、暖房バーナ41の点火処理を行った場合(図2のSTEP5の処理により、ガス流量変更弁51の目標開度をΔP2(>ΔP1)増加させて点火処理を行った場合)を示しており、暖房バーナ41の大バーナ41aが燃焼状態に移行する際には、異常音が生じない。
【0063】
「3.火移り対応処理」
次に、図4に示したフローチャートに従って、燃焼制御部61により実行される暖房バーナ41の燃焼範囲の拡大(火移り)時に生じ得る異常音(共鳴音)を抑制するための処理(火移り対応処理)について説明する。
【0064】
燃焼制御部61は、図4のSTEP50で、給湯バーナ31と暖房バーナ41が共に燃焼状態であるか否かを判断し、両バーナが共に燃焼状態であるときにSTEP51に処理を進めて、暖房バーナ41における火移りを伴う目標燃焼量の増大の有無を判断する。
【0065】
そして、暖房バーナ41における火移りを伴う目標燃焼量の増大があったときにSTEP52に進み、燃焼制御部61は、目標燃焼量(給湯バーナ31の目標燃焼量及び暖房バーナ41の目標燃焼量)に対応した給排気ファン50の目標回転速度Vcとガス流量変更弁51の目標開度Pcとを決定して、STEP53に処理を進める。
【0066】
STEP53で、燃焼制御部61は、給湯バーナ31が全面燃焼状態(大バーナ31aと中バーナ31bと小バーナ31cとが、全て燃焼状態)であるか否かを判断する。ここで、全面燃焼状態は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%となっている状態であり、100%は本発明の所定割合に相当する。なお、この所定割合は、燃焼装置の構成や使用状況等に応じて適宜設定される。
【0067】
給湯バーナ31が全面燃焼状態であるときにはSTEP60に分岐し、燃焼制御部61は、ガス流量変更弁51の目標開度Pcに所定増分ΔP3を加えた開度を、暖房バーナ41の火移り処理における目標開度Pc’(=Pc+ΔP3)としてSTEP55に処理を進める。
【0068】
一方、給湯バーナ31が全面燃焼状態でないときにはSTEP54に進み、燃焼制御部61は、ガス流量変更弁51の目標開度Pcに所定増分ΔP4を加えた開度を、暖房バーナ41の火移り処理における目標開度Pc’(=Pc+ΔP4)としてSTEP55に処理を進める。
【0069】
STEP55で、燃焼制御部61は、ガス流量変更弁51の開度を目標開度Pc’に制御して暖房バーナ41の火移り処理を実行する。このように、ガス流量変更弁51の開度を本来の目標開度Pcよりも大きい目標開度Pc’とすることで、暖房バーナ41に対する燃料ガスと燃焼用空気の供給を、ガスリッチ状態にすることができる。
【0070】
そして、このようにガスリッチ状態として暖房バーナ41の火移り処理を行うことにより、暖房バーナ41の火移りを安定させて行うことができるが、ガスリッチの度合が大きくなるに従って、火移り処理において暖房バーナ41から異常音が生じる可能性が高くなる。
【0071】
また、上述したように、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、暖房バーナ41側における内圧が高くなって、暖房バーナ41への燃焼用空気の供給が妨げられる。そのため、給排気ファン50の目標回転速度をVcに制御すると共に、ガス流量変更弁51の開度を目標開度Pcに制御しても、暖房バーナ41においてガスリッチ傾向になる。
【0072】
そこで、燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%であるときのガス流量変更弁51の目標開度の増分(ΔP3)を、この割合が100%未満であるときの増分(ΔP4)よりも小さく設定して、暖房バーナ41の火移り処理を実行する。これにより、暖房バーナ41におけるガスリッチの度合が過剰になり過ぎることを防止して、暖房バーナ41から異常音が発生することを防止することができる。
【0073】
続くSTEP56で、燃焼制御部61は、所定時間(暖房バーナ41の火移りが終了して、暖房バーナ41の燃焼状態が安定し、暖房バーナ41から異常音が生じるおそれが無くなる時間を想定して設定される)が経過するのを待ってSTEP57に処理を進め、ガス流量変更弁51の目標開度を本来の目標開度Pcに戻して、火移り対応処理を終了する。
【0074】
STEP53で、燃焼制御部61は、目標燃焼量に対応した給排気ファン50の目標回転速度Vcとガス流量変更弁51の目標開度Pcとを決定して、STEP53に処理を進めるが、この後、給排気ファン50の目標回転速度Vcを調整して、暖房バーナ41の火移り処理を実行するようにしてもよい。
【0075】
具体的には、給湯バーナ31が全面燃焼状態であるときには、燃焼制御部61は、給排気ファン50の目標回転速度Vcから所定減分ΔVc3を減じた回転速度を、暖房バーナ41の火移り処理における目標回転速度Vc’(=Vc−ΔVc3)として次の処理(目標回転速度Vc’として、暖房バーナ41の火移り)を進める。
【0076】
一方、給湯バーナ31が全面燃焼状態でないときには、燃焼制御部61は、給排気ファン50の目標回転速度Vcから所定減分ΔVc4を減じた回転速度を、暖房バーナ41の火移り処理における目標回転速度Vc’(=Vc−ΔVc4)として次の処理(目標回転速度Vc’として、暖房バーナ41の火移り)を進める。
【0077】
燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%であるときの給排気ファン50の目標回転速度Vcの減分(ΔVc3)を、この割合が100%未満であるときの減分(ΔVc4)よりも小さく設定して、暖房バーナ41の火移り処理を実行する。これによっても、暖房バーナ41におけるガスリッチの度合が過剰になり過ぎることを防止して、暖房バーナ41から異常音が発生することを防止することができる。
【0078】
ここで、図5A図5Bは、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が100%(全面燃焼状態)であるときに、暖房バーナ41の火移り処理を行った場合(図4のSTEP60の処理により、ガス流量変更弁51の目標開度をΔP3増加させて火移り処理を行った場合)を示している。図5Aでは、暖房バーナ41の燃焼範囲が、小バーナ41bのみが燃焼した状態から小バーナ41b及び大バーナ41aが共に燃焼した状態へと火移りさせる際に、異常音が生じることが抑制される。図5Bでは、暖房バーナ41の燃焼範囲が、大バーナ41aのみが燃焼した状態から小バーナ41b及び大バーナ41aが共に燃焼した状態へと火移りさせる際に、異常音が生じることが抑制される。
【0079】
また、図5C図5Dは、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が約50%であるとき(中バーナ31b及び小バーナ31cが燃焼状態、且つ大バーナ31aが消火状態であり、個別バーナの総本数17本のうち8本が燃焼状態であるとき)に、暖房バーナ41の火移り処理を行った場合(図4のSTEP54の処理により、ガス流量変更弁51の目標開度をΔP4(>ΔP3)増加させて火移り処理を行った場合)を示している。図5Cでは、暖房バーナ41の燃焼範囲が、小バーナ41bのみが燃焼した状態から小バーナ41b及び大バーナ41aが共に燃焼した状態へと火移りさせる際には、異常音が生じない。図5Dでは、暖房バーナ41の燃焼範囲が、大バーナ41aのみが燃焼した状態から小バーナ41b及び大バーナ41aが共に燃焼した状態へと火移りさせる際には、異常音が生じない。
【0080】
また、図4のフローチャートでは、暖房バーナ41の火移りを対象としているが、給湯バーナ31の火移りを行う場合も、同様の処理により対応することができる。図6A図6Cは、暖房バーナ41が全面燃焼状態(大バーナ41a及び小バーナ41bが共に燃焼した状態)であるときに、給湯バーナ31の火移りを行う場合を示している。
【0081】
図6Aでは、給湯バーナ31の大バーナ31aと小バーナ31cのみが燃焼した状態から大バーナ31a,中バーナ31b,及び小バーナ31cが全て燃焼した状態へと火移りさせる際に、異常音が生じることが抑制される。図6Bでは、給湯バーナ31の中バーナ31bと小バーナ31cのみが燃焼した状態から大バーナ31a,中バーナ31b,及び小バーナ31cが全て燃焼した状態へと火移りさせる際に、異常音が生じることが抑制される。図6Cでは、給湯バーナ31の小バーナ31cのみが燃焼した状態から大バーナ31a,中バーナ31b,及び小バーナ31cが全て燃焼した状態へと火移りさせる際に、異常音が生じることが抑制される。
【0082】
[4.他の実施形態]
図2のフローチャートによる処理では、燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合(図2では100%)以上であるか否かにより、暖房バーナ41の点火処理におけるガス流量変更弁51の目標開度の増分を切り替えるようにしたが、さらに、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、ガス流量変更弁51の目標開度の増分を少なくするようにしてもよい。
【0083】
また、燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるか否かにより、暖房バーナ41の点火処理における給排気ファン50の目標回転速度の減分を切り替えるようにしてもよく、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、給排気ファン50の目標回転速度の減分を少なくするようにするとさらによい。
【0084】
図4のフローチャートによる処理では、燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合(図4では100%)以上であるか否かにより、暖房バーナ41の火移り処理におけるガス流量変更弁51の目標開度の増分を切り替えるようにしたが、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、ガス流量変更弁51の目標開度の増分を少なくするようにしてもよい。さらに、給湯バーナ31及び暖房バーナ41の総燃焼面における火移りにより拡大された燃焼範囲(火移りが完了した時点での燃焼範囲)の割合が大きいほど、ガス流量変更弁51の目標開度の増分を少なくするようにしてもよい。
【0085】
また、燃焼制御部61は、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が所定割合以上であるか否かにより、暖房バーナ41の火移り処理における給排気ファン50の目標回転速度の減分を切り替えるようにしてもよく、給湯バーナ31の燃焼面における燃焼範囲の割合が大きいほど、給排気ファン50の目標回転速度の減分を少なくするようにするとさらによい。給湯バーナ31及び暖房バーナ41の総燃焼面における火移りにより拡大された燃焼範囲の割合が大きいほど、給排気ファン50の目標回転速度の減分を少なくするようにしてもよい。
【0086】
なお、給湯バーナ31及び暖房バーナ41の総燃焼面における燃焼範囲の割合が所定範囲以上であるか否かにより、暖房バーナ41の火移り処理におけるガス流量変更弁51の目標開度の増分を切り替えるようにしてもよい。また、給湯バーナ31及び暖房バーナ41の総燃焼面における燃焼範囲の割合が所定範囲以上であるか否かにより、暖房バーナ41の火移り処理における給排気ファン50の目標回転速度の減分を切り替えるようにしてもよい。
【0087】
上記実施形態では、給湯バーナ31を本発明の第1バーナとし、暖房バーナ41を本発明の第2バーナとしたが、逆に給湯バーナ31を本発明の第2バーナとし、暖房バーナ41を本発明の第1バーナとしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、本発明の燃焼装置として複合型の熱源装置1を示したが、本発明の燃焼装置の種類は熱源装置に限られず、種々の燃焼装置に対して本発明の適用が可能である。バーナの種類についても、給湯用或は暖房用に限定されず、例えば浴槽内の湯水の追焚きに使用される追焚き用バーナ等の他の用途に使用されるバーナであってもよい。
【0089】
本発明の燃焼装置の構成に限らず、一方の缶体に配置された第1バーナと、他方の缶体に配置された第2バーナとを備え、各バーナの燃焼排ガスを1つの排気通路を介して排出する構成であっても、本発明と同様の効果が得られる。
【0090】
また、上記実施形態では、1台の給排気ファン50により給湯バーナ31及び暖房バーナ41への燃焼用空気の供給を行ったが、給湯バーナ31と暖房バーナ41への燃焼用空気の供給を、個別に設けた給排気ファンにより行ってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、1個のガス流量変更弁51により給湯バーナ31及び暖房バーナ41への燃料ガスの供給流量を変更したが、給湯バーナ31と暖房バーナ41への燃料ガスの供給流量の変更を、個別に設けたガス流量変更弁により行ってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…熱源装置(燃焼装置)、10…(熱源装置の)筐体、11…集合排気管、20…缶体、31…給湯バーナ(第1バーナ)、41…暖房バーナ(第2バーナ)、50…給排気ファン、51…ガス流量変更弁、60…コントローラ、61…燃焼制御部、70…リモコン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6