特許第6786469号(P6786469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6786469圧力センサのシールド構造、および、それを備える圧力センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786469
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】圧力センサのシールド構造、および、それを備える圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20201109BHJP
【FI】
   G01L19/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-230549(P2017-230549)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-100807(P2019-100807A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2019年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】大葉 友春
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/004400(WO,A1)
【文献】 特開2004−219205(JP,A)
【文献】 特開2006−208383(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/048914(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、該センサチップを支持するチップマウント部材と、該センサチップおよびチップマウント部材が配される液封室と該液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、ハーメチックガラスに支持され該センサチップに電気的に接続される入出力端子群とを含んでなるセンサユニットと、
前記入出力端子群に電気的に接続され、前記ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、前記ハーメチックガラスに支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、前記液封室内における前記センサチップの一方の端面と前記ダイヤフラムとの間に配され、該センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、
を具備して構成される圧力センサのシールド構造。
【請求項2】
前記導電板が、前記ハーメチックガラスの端面に配され前記入出力端子群に電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載の圧力センサのシールド構造。
【請求項3】
前記導電板は、前記センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であることを特徴とする請求項2記載の圧力センサのシールド構造。
【請求項4】
圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、該センサチップが配される液封室と該液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、該センサチップに電気的に接続される入出力端子群と、前記ダイヤフラムとともに前記液封室を形成するセンサハウジングと、を含んでなるセンサユニットと、
前記入出力端子群に電気的に接続され、前記ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、前記センサハウジングの内周面に支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、前記液封室内における前記センサチップの一方の端面と前記ダイヤフラムとの間に配され、該センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、
を具備して構成される圧力センサのシールド構造。
【請求項5】
前記導電板が、前記センサユニットを収容するセンサハウジングの内周面に配され前記入出力端子群に電気的に接続されることを特徴とする請求項4記載の圧力センサのシールド構造。
【請求項6】
前記導電板は、前記センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であることを特徴とする請求項4記載の圧力センサのシールド構造。
【請求項7】
圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、該センサチップの外寸よりも大なる直径を有し、該センサチップを支持する金属製のチップマウント部材と、該センサチップおよびチップマウント部材が配される液封室と該液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、該センサチップおよびチップマウント部材に電気的に接続される入出力端子群とを含んでなるセンサユニットと、
前記液封室内における前記センサチップの一方の端面と前記ダイヤフラムとの間であって、前記チップマウント部材の端面における前記センサチップの外周部に近接した位置に固定され、前記入出力端子群に電気的に接続されることにより、該センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、
を具備して構成される圧力センサのシールド構造。
【請求項8】
前記電界遮断部材は、前記センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であることを特徴とする請求項記載の圧力センサのシールド構造。
【請求項9】
圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、該センサチップを支持するチップマウント部材と、該センサチップおよびチップマウント部材が配される液封室と該液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、ハーメチックガラスに支持され該センサチップに電気的に接続される入出力端子群とを含んでなるセンサユニットと、
前記入出力端子群に電気的に接続され、前記ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、前記ハーメチックガラスに支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、前記液封室内における前記センサチップの一方の端面と前記ダイヤフラムとの間に配され、該センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、
前記センサユニットおよび前記電界遮断部材を収容するセンサユニット収容部と、
を具備して構成される圧力センサ
【請求項10】
圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、該センサチップが配される液封室と該液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、該センサチップに電気的に接続される入出力端子群と、前記ダイヤフラムとともに前記液封室を形成するセンサハウジングと、を含んでなるセンサユニットと、
前記入出力端子群に電気的に接続され、前記ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、前記センサハウジングの内周面に支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、前記液封室内における前記センサチップの一方の端面と前記ダイヤフラムとの間に配され、該センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、
前記センサユニットおよび前記電界遮断部材を収容するセンサユニット収容部と、
を具備して構成される圧力センサ
【請求項11】
前記電界遮断部材は、前記センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であることを特徴とする請求項9または請求項10記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサのシールド構造、および、それを備える圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
液封型の半導体圧力センサに内蔵されるセンサユニットは、例えば、特許文献1に示されるように、継手部内に支持され圧力検出室と後述する液封室とを隔絶する金属ダイヤフラムと、金属ダイヤフラムの上方に形成され圧力伝達媒体としてのシリコーンオイルを貯留する液封室と、液封室内に配され金属ダイヤフラムを介しシリコーンオイルの圧力変動を検出するセンサチップと、センサチップを支持するセンサチップマウント部材と、ハウジングの貫通孔におけるセンサチップマウント部材の周囲を密封するハーメチックガラスと、センサチップからの出力信号の送出およびセンサチップへの電力供給を行う端子群(リードピン)とを主な要素として含んで構成されている。
【0003】
上述のような構成において、金属ダイヤフラム、ベースプレート、継手部材、および、継手は、同一電位で接続されており、また、これらの部位とセンサチップとは絶縁されている。動力源である一次側電源と、センサチップの出力信号を処理する制御回路である二次側電源との絶縁が不十分である場合、センサチップ側のインピーダンスが高い為、対向して配置されている金属ダイヤフラムとセンサチップとの間に電位差が生じる。金属ダイヤフラムおよびセンサチップ相互間に生じる電位に起因したセンサチップ内の電子回路および不揮発性メモリーへの影響(圧力センサの出力変動)を防止すべく、例えば、特許文献1に示されるように、センサチップを取り囲み円筒状の空間を形成するように金属製の下板および金属部材をハーメチックガラスの端面に設けるものが提案されている。そのセンサチップは、押さえ板を介してセンサチップに集積されている電子回路のゼロ電位に接続されたリードピンおよび金属部材に電気的に接続されている。これにより、下板および金属部材の電位は、下板と金属部材とにより囲まれた空間内にあるセンサチップの電子回路と同一のゼロ電位となるので金属ダイヤフラムとセンサチップとの間の電位差がなく、従って、センサチップの電子回路に影響を及ぼす電界が生じる虞がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3987386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、このような場合の対策としては、例えば、上述の液封室から離隔したハーメチックガラスの他方の端面から突出するリードピンと接続される上述のような押さえ板をさらに配置したり、また、別工程でリードピンと電気的に接続したりなどして、そのリードピンをセンサチップに集積されている電子回路のゼロ電位に接続することが考えられる。
【0006】
しかしながら、さらなる押さえ板の配置、および、リードピンと押さえ板とを接続する作業が必要とされることにより、圧力センサにおける部品点数、および、組立作業工程が増大するので得策とは言えない。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、圧力センサのシールド構造、および、それを備える圧力センサであって、部品点数、および、組立作業工程を増大させることなく、圧力センサにおけるセンサチップと金属ダイヤフラムとの間に生じる電界に対する影響を低減できる圧力センサのシールド構造、および、それを備える圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る圧力センサのシールド構造は、圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、センサチップを支持するチップマウント部材と、センサチップおよびチップマウント部材が配される液封室と液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、ハーメチックガラスに支持されセンサチップに電気的に接続される入出力端子群とを含んでなるセンサユニットと、入出力端子群に電気的に接続され、ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、ハーメチックガラスに支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、液封室内におけるセンサチップの一方の端面とダイヤフラムとの間に配され、センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、を備えて構成される。導電板が、ハーメチックガラスの端面に配され入出力端子群に電気的に接続されてもよい。導電板は、センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であってもよい。
【0009】
また、本発明に係る圧力センサのシールド構造は、圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、センサチップが配される液封室と液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、センサチップに電気的に接続される入出力端子群と、ダイヤフラムとともに液封室を形成するセンサハウジングと、を含んでなるセンサユニットと、
入出力端子群に電気的に接続され、ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、センサハウジングの内周面に支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、液封室内におけるセンサチップの一方の端面とダイヤフラムとの間に配され、センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、を備えて構成される。導電板が、センサユニットを収容するセンサハウジングの内周面に配され入出力端子群に電気的に接続されてもよい。導電板は、センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であってもよい。
【0011】
さらにまた、本発明に係る圧力センサのシールド構造は、圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、センサチップの外寸よりも大なる直径を有し、センサチップを支持する金属製のチップマウント部材と、センサチップおよびチップマウント部材が配される液封室と液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、センサチップおよびチップマウント部材に電気的に接続される入出力端子群とを含んでなるセンサユニットと、液封室内におけるセンサチップの一方の端面とダイヤフラムとの間であって、チップマウント部材の端面におけるセンサチップの外周部に近接した位置に固定され、入出力端子群に電気的に接続されることにより、センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、を備えて構成される。電界遮断部材は、センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であってもよい。
【0012】
本発明に係る圧力センサは、圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、センサチップを支持するチップマウント部材と、センサチップおよびチップマウント部材が配される液封室と液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、ハーメチックガラスに支持されセンサチップに電気的に接続される入出力端子群とを含んでなるセンサユニットと、入出力端子群に電気的に接続され、ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、ハーメチックガラスに支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、液封室内におけるセンサチップの一方の端面とダイヤフラムとの間に配され、センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、センサユニットおよび電界遮断部材を収容するセンサユニット収容部と、を備えて構成される。
【0013】
また、本発明に係る圧力センサは、圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサチップと、センサチップが配される液封室と液封室に向き合う圧力室とを仕切るダイヤフラムと、センサチップに電気的に接続される入出力端子群と、ダイヤフラムとともに液封室を形成するセンサハウジングと、を含んでなるセンサユニットと、入出力端子群に電気的に接続され、ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、センサハウジングの内周面に支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、液封室内におけるセンサチップの一方の端面とダイヤフラムとの間に配され、センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材と、センサユニットおよび電界遮断部材を収容するセンサユニット収容部と、を備えて構成される。電界遮断部材は、センサチップの信号処理電子回路部と同一電位であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る圧力センサのシールド構造、および、それを備える圧力センサによれば、入出力端子群に電気的に接続され、ダイヤフラムに対向し導電層からなる一方の端面と、ハーメチックガラスに支持される絶縁層からなる他方の端面と、を有する平板状の導電板の一方の端面により支持されることにより、液封室内におけるセンサチップの一方の端面とダイヤフラムとの間に配され、センサチップの信号処理電子回路部に作用する電界を遮断する電界遮断部材を備えるので部品点数、および、組立作業工程を増大させることなく、圧力センサにおけるセンサチップと金属ダイヤフラムとの間に生じる電界に対する影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る圧力センサのシールド構造の一例の要部を示す断面図である。
図2】液封室内に配される電界遮蔽部材を図1に示される矢印の示す方向から見た矢視図である。
図3図1に示される圧力センサのシールド構造の一例が適用された圧力センサの一例の構成を示す断面図である。
図4】本発明に係る圧力センサのシールド構造の他の一例の要部を示す断面図である。
図5図4に示される例におけるV部を部分的に拡大して示す部分拡大図である。
図6】液封室内に配される電界遮蔽部材を図5に示される矢印の示す方向から見た矢視図である。
図7】本発明に係る圧力センサのシールド構造のさらなる他の一例の要部を示す断面図である。
図8図7に示される例における液封室内の電界遮断部材を示す平面図である。
図9】本発明に係る圧力センサのシールド構造のさらなる他の一例の要部を示す断面図である。
図10図9に示される例におけるX部を部分的に拡大して示す部分拡大図である。
図11】液封室内に配される電界遮蔽部材を図10に示される矢印の示す方向から見た矢視図である。
図12】(A)は、図7に示される例に用いられる導電板の他の一例を、部分断面を含んで示す斜視図であり、(B)は、(A)に示される導電板がセンサハウジングに取り付けられた状態を示す断面図であり、(C)は、図7に示される例に用いられる導電板のさらなる他の一例を、センサハウジングに取り付けられた状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図3は、本発明に係る圧力センサのシールド構造の一例が適用された圧力センサの構成を概略的に示す。
【0017】
図3において、圧力センサは、圧力が検出されるべき流体が導かれる配管に接続される継手部材30と、例えば、ろう付け等により継手部材30のベースプレート28に連結され後述するセンサユニットを収容しセンサチップからの検出出力信号を所定の圧力測定装置に供給するセンサユニット収容部と、を含んで構成されている。
【0018】
金属製の継手部材30は、上述の配管の接続部の雄ねじ部にねじ込まれる雌ねじ部30fsを内側に有している。雌ねじ部30fsは、矢印Pの示す方向から供給される流体を後述する圧力室28Aに導く継手部材30のポート30aに連通している。ポート30aの一方の開口端は、継手部材30のベースプレート28とセンサユニットのダイヤフラム32との間に形成される圧力室28Aに向けて開口している。
【0019】
センサユニット収容部の外郭部は、カバー部材としての円筒状の防水ケース20により形成されている。樹脂製の防水ケース20の下端部には、開口部20bが形成されている。内側となる開口部20bの周縁の段差部には、継手部材30のベースプレート28の周縁部が係合されている。
【0020】
圧力室28A内には、継手部材30のポート30aを通じて流体の圧力が導入される。
【0021】
センサユニットのハウジング12の下端面は、ベースプレート28の周縁部に溶接により連結されている。
【0022】
圧力室28A内の圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサユニットは、金属製の円筒状のハウジング12と、圧力室28Aとハウジング12の内周部とを隔絶する金属製のダイヤフラム32と、複数の圧力検出素子、および、圧力検出素子からの信号を処理する信号処理電子回路部を有するセンサチップ16と、接着剤層50を介してセンサチップ16を一端部で支持する金属製のチップマウント部材18と、センサチップ16に電気的に接続される入出力端子群40ai(i=1〜8)と、入出力端子群40aiおよびオイル充填用パイプ44をチップマウント部材18の外周面とハウジング12の内周面との間に固定するハーメチックガラス14と、を主な要素として含んで構成されている。
【0023】
ダイヤフラム32は、上述の圧力室28Aに向き合うハウジング12の一方の下端面に支持されている。圧力室28Aに配されるダイヤフラム32を保護するダイヤフラム保護カバー34は、複数の連通孔34aを有している。ダイヤフラム保護カバー34の周縁は、ダイヤフラム32の周縁とともに溶接によりハウジング12の下端面に接合されている。ハウジング12、ダイヤフラム32、ベースプレート28、および、継手部材30は、接続され導通している為、同一電位である。また、入出力端子群40ai、チップマウント部材18は、例えば、ハーメチックガラス14等の絶縁物を介してハウジング12とは絶縁されて保持されている。
【0024】
金属製のダイヤフラム32と向かい合うセンサチップ16およびハーメチックガラス14の端面との間に形成される液封室13には、例えば、所定量のシリコーンオイル、または、フッ素系不活性液体のような圧力伝達媒体PMが、オイル充填用パイプ44を介して充填されている。なお、オイル充填用パイプ44の一方の端部は、オイル充填後、二点鎖線で示されるように、押し潰され閉塞される。
【0025】
入出力端子群40ai(i=1〜8)は、2本の電源用端子と、1本の出力用端子と、5本の調整用端子とから構成されている。各端子の両端部は、それぞれ、上述のハーメチックガラス14の端部から液封室13に向けて突出し、または、後述する端子台24の孔24bに向けて突出している。2本の電源用端子と、1本の出力用端子とは、接続端子36を介して各リード線38の芯線38aに接続されている。各リード線38は、例えば、所定の圧力測定装置に接続される。なお、図3においては、8本の端子うちの4本の端子だけが示されている。入出力端子群40aiと後述するセンサチップ16との間は、ボンディングワイヤWiで接続されている。
【0026】
入出力端子群40aiを整列させる端子台24は、樹脂材料、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主な成分として成形されている。端子台24は、入出力端子群40aiが挿入される複数個の孔24bとともに、内側に所定の容積の空洞部24Aを有している。端子整列部24Tは、互いに離隔した複数個の孔24bを有し上述の基端部と直交するように一体に成形されている。接着面としての端子台24の基端部の下端面は、ハウジング12の上端面に、シリコーン系接着剤により接着されている。これにより、所定の厚さを有する環状の接着層10aが、ハウジング12の上端面に形成されることとなる。また、入出力端子群40aiが突出するハーメチックガラス14の上端面全体には、シリコーン系接着剤からなる被覆層10bが所定の厚さで形成されている。
【0027】
端子整列部材としての端子台24の外周面、および、端子台24に連結され上述の端子整列部24Tの孔24bおよび端子台24の上部の開口端を覆うエンドキャップ22の外周面と防水ケース20の内周面との間、また、防水ケース20の内周面とハウジング12の外周面との間には、封止材26が、所定量、充填されている。端子台24およびエンドキャップ22は、上述のセンサユニットを挟んで継手部材30のベースプレート28と向き合って防水ケース20内に配置されている。エンドキャップ22の上端面は、防水ケース20の開口端から上方に向けて突出している。即ち、エンドキャップ22の上端面の位置は、防水ケース20の開口端面の位置よりも高い位置となる。
【0028】
センサチップ16は、例えば、液封室13の内側となるチップマウント部材18の一端部に接着剤層50を介して接着されている。略矩形状のセンサチップ16の外寸は、図1に示されるように、チップマウント部材18の直径よりも大に設定されている。
【0029】
液封室13内には、例えば、円盤状の導電板19がセンサチップ16を囲むように、ハーメチックガラス14の一方の端面に支持されている。導電板19は、樹脂、ガラス、セラミックのうちのいずれかの絶縁材料で形成されており、その一方の端面が、貼着、蒸着、めっき等によって形成される導電層である金、銀、銅、アルミニウム等の金属膜で形成されて一体となっている。上述の導電板19の導電層がある一方の端面が、ダイヤフラム32と対向し、導電板19は、絶縁層である他方の端面でハーメチックガラス14に支持されている。
【0030】
また、液封室13内におけるセンサチップ16の一方の端面とダイヤフラム32との間には、電界遮断部材としてのシールド部材17が設けられている。シールド部材17は、センサチップ16の信号処理電子回路部に対する不所望な電界を遮断するものとされる。
【0031】
シールド部材17は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等導電性の金属材料で作られてもよいし、または、例えば、樹脂、ガラス、セラミック等の絶縁材料で作られ、その表層が、接着、蒸着、スパッタリング、めっき等によって成膜される導電性の金属で形成され一体となっていてもよい。
【0032】
図2に示されるように、キャップ状のシールド部材17における4個の固定端部は、円盤状の導電板19の一方の端面におけるセンサチップ16の外周部に近接して接合され導通している。シールド部材17の側面には、図示が省略されるが、複数個の開口部が設けられている。シールド部材17の形状は、ダイヤフラム32の変位に応じた圧力が圧力伝達媒体PMを介してセンサチップ16に伝搬するように、圧力伝達媒体PMが移動可能な形状となっている。
【0033】
導電板19は、入出力端子群40aiのうちいずれか一本以上、例えば、ゼロ(V)用端子とおよびボンディングワイヤWiとを介して接続され、導通している。この様な構成により、シールド部材17および導電板19の電位は、センサチップ16に搭載されている電子回路と同一電位となっている。
【0034】
シールド部材17におけるセンサチップ16全体を覆う部分は、センサチップ16の端面との間に所定の隙間が形成されている。なお、シールド部材17の外寸は、センサチップ16の信号処理電子回路部に対する不所望な電界を遮断するように、センサチップ16の信号処理電子回路部の大きさに応じて適宜、設定されてもよい。
【0035】
従って、ダイヤフラム32とセンサチップ16の信号処理電子回路部との間に、センサチップ16の電位と同一電位となるシールド部材17を配置することにより、ユニットの一次側電源(不図示)と同一電位であるダイヤフラム32と、制御回路(不図示)側との電位差によって生じるセンサチップ16に作用する電界は、シールド部材17により遮断される。また、シールド部材17およびセンサチップ16の電位は、同一電位であるため、電界は、これら相互間に発生しない。そのため、センサチップ16とダイヤフラム32との間に生じる電位差は、センサチップ16に作用しないのでセンサチップ16における電子回路に対する影響を防止することができる。
【0036】
図4は、本発明に係る圧力センサのシールド構造の他の一例が適用された圧力センサの要部を部分的に示す。
【0037】
図1に示される例においては、キャップ状のシールド部材17における4個の固定端部は、例えば、円盤状の導電板19の端面におけるセンサチップ16の外周部に近接して接合されているが、その代わりに、図4に示される例は、シールド板48が、液封室13内におけるハーメチックガラス14の端面に支持されているものとされる。
【0038】
なお、図4乃至図6において、図1および図3に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符合を付して示し、その重複説明を省略する。
【0039】
斯かる圧力センサにおいても、図示が省略されるが、圧力が検出されるべき流体が導かれる配管に接続される継手部材と、継手部材のベースプレートに連結され後述するセンサユニットを収容しセンサチップからの検出出力信号を所定の圧力測定装置に供給するセンサユニット収容部と、を含んで構成されている。
【0040】
液封室13内におけるセンサチップ16の一方の端面とダイヤフラム32との間には、電界遮断部材としてのシールド板48が設けられている。シールド板48は、センサチップ16の信号処理電子回路部に対する不所望な電界を遮断するものとされる。シールド板48は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等導電性の金属材料で作られてもよいし、あるいは、シールド板48が、例えば、樹脂、ガラス、セラミック等の絶縁材料で作られ、接着、蒸着、スパッタリング、めっき等によって形成された導電性の金属の導電層が、その一方の表層に、形成され一体となってもよい。帯状のシールド板48は、センサチップ16の一方の端面に向き合う溝形部48Aと、溝形部48Aの両端部に連なる第1の固定部48Bおよび第2の固定部48Cとからなる。溝形部48Aと、第1の固定部48Bおよび第2の固定部48Cとは、例えば、プレス加工により一体に成形されている。溝形部48Aは、センサチップ16の中央部の真上を所定の隙間をもって通過している。オイル充填用パイプ44が、第1の固定部48Bの孔48bに圧入され、ハーメチックガラス14の端面から突出した各入出力端子群40aiが、第2の固定部48Cの孔48f、48d、切欠部48eに挿入されている。これにより、第1の固定部48Bおよび第2の固定部48Cは、チップマウント部材18の一端部におけるセンサチップ16の外周部に近接してハーメチックガラス14の端面に当接し支持されている。
【0041】
第2の固定部48Cは、ボンディングワイヤWiを介してシールド板48の導体面である一方の端面と接続されている入出力端子群40aiのうちの一本、例えば、ゼロ(V)と導通している。この様な構成により、シールド板48の一方の端面である導体面の電位は、センサチップ16に搭載されている電子回路と同一電位となっている。
【0042】
なお、シールド板48の外寸、および、幅の寸法は、センサチップ16の信号処理電子回路部に対する不所望な電界を遮断するように、センサチップ16の信号処理電子回路部の大きさに応じて適宜、設定されてもよい。
【0043】
従って、ダイヤフラム32とセンサチップ16との間に、センサチップ16の信号処理電子回路部と同一電位となるシールド板48を配置することにより、ユニットの一次側電源(不図示)と同一電位であるダイヤフラム32と、制御回路(不図示)側との電位差によって生じるセンサチップ16に作用する電界は、シールド板48により遮断される。また、シールド板48の電位とセンサチップ16の電位とは同一電位であるので電界は、これら相互間に発生しない。そのため、センサチップ16とダイヤフラム32との間に生じる電位差に起因した電位差は、センサチップ16に作用しないのでセンサチップ16における電子回路に対する影響を防止することができる。
【0044】
図7は、本発明に係る圧力センサのシールド構造のさらなる他の一例が適用された圧力センサの構成を部分的に示す。
【0045】
図7に示される圧力センサは、圧力が検出されるべき流体が導かれる配管に接続される継手部材60と、ろう付け等により継手部材60とベースプレート58とが連結され後述するセンサユニットを収容する金属製のセンサハウジング56と、を含んで構成されている。
【0046】
継手部材60のポート60aの一方の開口端は、継手部材60のベースプレート58とセンサユニットのダイヤフラム70との間に形成される圧力室58Aに向けて開口している。
【0047】
圧力室58A内の圧力を検出し検出出力信号を送出するセンサユニットは、圧力室58Aとセンサハウジング56の内周部とを隔絶する金属製のダイヤフラム70と、複数の圧力検出素子、および、圧力検出素子からの信号を処理する信号処理電子回路部を有するセンサチップ66と、センサチップ66の外周部が挿入される孔を有しセンサチップ66を取り囲む導電板62と、センサチップ66に電気的に接続される入出力端子群54ai(i=1〜8)と、を主な要素として含んで構成されている。
【0048】
金属製のダイヤフラム70は、上述のセンサハウジング56の接合端とベースプレート58の接合端との間で溶接され固定されている。従って、センサハウジング56の電位は、ダイヤフラム70、ベースプレート58、および、継手部材60と接続され導通しているのでダイヤフラム70等の電位と同一電位となっている。
【0049】
ダイヤフラム70とセンサハウジング56の内周部で形成された密封空間である液封室68には、例えば、所定量のシリコーンオイル又はフッ素系不活性液体等の圧力伝達媒体PMが充填されている。圧力伝達媒体PMは、センサハウジング56の孔56aを通じて充填された後、栓部材52により孔56aが閉塞される。入出力端子群54aiは、ハーメチックガラス65を介してセンサハウジング56から絶縁されて支持されている。入出力端子群54aiとセンサチップ66との間は、ボンディングワイヤWiで接続されている。
【0050】
液封室68内には、例えば、矩形状の導電板62がセンサチップ66を囲むように、センサハウジング56の内周面に支持されている。導電板62は、例えば、樹脂、ガラス、セラミックなどのいずれかの絶縁材料で作られ、貼着、蒸着、めっき等によって成膜されている導電層である金、銀、銅、アルミニウム等の金属膜が、一方の端面に形成され一体となっている。導電板62における導電層である一方の端面が、ダイヤフラム70と対向し、他方の端面である絶縁層がセンサハウジング56に支持されている。また、液封室68内におけるセンサチップ66の一方の端面とダイヤフラム70との間には、電界遮断部材としてのシールド部材64が設けられている。
【0051】
さらに、例えば、図12(A)に示されるように、導電板が、絶縁材料で作られたコア部材63と、導電性材料で作られコア部材63を覆うカバー部材67とからなるものでもよい。なお、図12(A)〜(C)においては、シールド部材64は、図示が省略されている。
【0052】
環状のコア部材63は、内周縁部に段差部63Rを一方の端面に隣接して有している。カバー部材67は、コア部材63におけるダイヤフラム70に向き合う他方の端面を覆う円板状部67Aと、円板状部67Aに連なりコア部材63の内周部を覆う内周縁部67Cと、内周縁部67Cに連なり、かしめ加工により、コア部材63の段差部63Rに固定される固定部67Bとからなる。導電板のコア部材63の一方の端面は、センサハウジング56の内周面に接着されている。その際、図12(B)に示されるように、所定の隙間が導電板におけるカバー部材67の固定部67Bとセンサハウジング56の内周面との間、および、センサチップ66の外周面と導電板におけるカバー部材67の内周縁部67Cとの間に形成されることによって、センサハウジング56とカバー部材67との接触が防止される。
【0053】
さらにまた、例えば、図12(C)に示されるように、導電板が、絶縁材料で作られたコア部材63´と、導電性材料で作られコア部材63´を覆うカバー部材67´とからなるものでもよい。環状のコア部材63´は、外周縁部に薄肉の張出部63´Fを有している。カバー部材67´は、コア部材63´におけるダイヤフラム70に向き合う他方の端面を覆う円板状部67´Aと、円板状部67´Aに連なりコア部材63´の張出部63´Fの外周部を覆う外周縁部67´Cと、外周縁部67´Cに連なり、かしめ加工により、コア部材63´の張出部63´Fの一方の端面に固定される固定部67´Bとからなる。導電板のコア部材63´の内周縁部の周囲の端面は、センサハウジング56の内周面に接着されている。その際、図12(C)に示されるように、所定の隙間が、導電板におけるカバー部材67´の固定部67´Bとセンサハウジング56の内周面との間、ならびに、センサチップ66の外周面と導電板におけるカバー部材67´の内周縁部67´a、およびコア部材63´の内周面との間に形成されることによって、センサハウジング56とカバー部材67´との接触が防止される。
【0054】
シールド部材64は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等導電性の金属材料で作られてもよいし、あるいは、シールド部材64は、例えば、樹脂、ガラス、セラミック等の絶縁材料で作られ、一方の表層が、接着、蒸着、スパッタリング、めっき等によって成膜された導電性の金属膜で形成され、一体となっていてもよい。即ち、シールド部材64は、絶縁物(導電板62の絶縁層)を介して一次側電位と同一電位であるセンサハウジング56に支持されている。
【0055】
シールド部材64は、センサチップ66の一方の端面全体を所定の間隔をもって覆い、センサチップ66の信号処理電子回路部に対する不所望な電界を遮断するものとされる。シールド部材64の一対の固定端部と、導電板62とは、互いに導体面で接合され導通している。導電板62の導体面である一方の端面は、入出力端子群54aiのうちのいずれか一本以上の例えば、ゼロ(V)用入出力端子群54aiにボンディングワイヤWiを介して接合され導通している。この様な構成により、シールド部材64および導電板62の電位は、センサチップ66に搭載されている電子回路の電位と同一電位となっている。
【0056】
従って、ダイヤフラム70とセンサチップ66の一方の端面との間に、センサチップ66の信号処理電子回路部と同一電位となるシールド部材64を配置することにより、ユニットの一次側電源(不図示)と同一電位であるダイヤフラム70と、制御回路(不図示)側との間に電位差によって生じるセンサチップ66に作用する電界は、シールド部材64により遮断される。また、シールド部材64の電位とセンサチップ66の電位とは同一電位なので電界はこれら相互間に発生しない。そのため、センサチップ66とダイヤフラム70との間に生じる電位差は、センサチップ66に作用しないのでセンサチップ66における電子回路に対する影響を防止することができる。
【0057】
図9は、本発明に係る圧力センサのシールド構造のさらなる他の一例が適用された圧力センサの要部を部分的に示す。
【0058】
図1に示される例においては、キャップ状のシールド部材17における4個の固定端部は、円盤状の導電板19の端面におけるセンサチップ16の外周部に近接して接合されているが、その代わりに、図9に示される例は、シールド板17´がチップマウント部材18´における液封室13に向き合う端面に接合されているものとされる。
【0059】
なお、図9乃至図11において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符合を付して示し、その重複説明を省略する。
【0060】
センサチップ16は、例えば、液封室13の内側となるチップマウント部材18´の一端部に接着剤層50を介して接着されている。略矩形状のセンサチップ16の外寸は、図9に示されるように、チップマウント部材18´の直径よりも小に設定されている。チップマウント部材18´は、入出力端子群40aiのうちいずれか一本以上、例えば、ゼロ(V)用入出力端子とボンディングワイヤWiを介して接続され、導通している。
【0061】
液封室13内におけるセンサチップ16の一方の端面とダイヤフラム32との間には、電界遮断部材としてのシールド板17´が設けられている。シールド板17´は、センサチップ16の信号処理電子回路部に対する不所望な電界を遮断するものとされる。シールド板17´は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の導電性の金属材料で作られてもよいし、あるいは、シールド板17´が例えば、樹脂、ガラス、セラミック等の絶縁材料で作られ、接着、蒸着、スパッタリング、めっき等によって成膜された導電性の金属膜が、シールド板17´の表層の一方の面に形成され、一体となっていてもよい。
【0062】
帯状のシールド板17´の固定端部は、チップマウント部材18´の一端部におけるセンサチップ16の外周部に近接して接合され、導通している。この様な構成により、シールド板17´、チップマウント部材18´の電位は、センサチップ16に搭載されている電子回路の電位と同一電位となっている。
【0063】
シールド板17´におけるセンサチップ16の一方の端面に向き合う部分は、センサチップ16の一方の端面との間に所定の隙間が形成されている。なお、シールド板17´の外寸、および、幅の寸法は、センサチップ16の信号処理電子回路部に対する不所望な電界を遮断するように、センサチップ16の信号処理電子回路部の大きさに応じて適宜、設定されてもよい。
【0064】
また、ここでは、入出力端子40aiおよびボンディングワイヤWiは、チップマウント部材18´と接続しているが、斯かる例に限らず、入出力端子40aiおよびボンディングワイヤWiがシールド部材17´と直接的に接続してもよい。
【0065】
従って、ダイヤフラム32とセンサチップ16との間に、センサチップ16の信号処理電子回路部と同一電位となるシールド板17´を配置することにより、ユニットの一次側電源(不図示)と同一電位であるダイヤフラム32と、制御回路(不図示)側との電位差によって生じるセンサチップ16に作用する電界は、シールド板17´により遮断される。また、シールド板17´の電位とセンサチップ16の電位は、同一電位なので電界は、これら相互間に発生しない。そのため、センサチップ16とダイヤフラム32との間に生じる電位差は、センサチップ16に作用しないのでセンサチップ16における電子回路に対する影響を防止することができる。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る圧力センサのシールド構造の一例によれば、圧力センサにおいて、センサチップ16および66とダイヤフラム32および70との相互間に生じる電位に起因したセンサチップ内の電子回路への影響(圧力センサの出力変動)が、シールド板17´、48またはシールド部材17、64、導電板19、62により回避されるので部品点数および組立作業工程を増大させることなく、圧力センサにおけるセンサチップとダイヤフラムとの間に生じる電界に対する影響を低減することとなる。
【符号の説明】
【0067】
12 ハウジング
14、65 ハーメチックガラス
16、66 センサチップ
17、64 シールド部材
17´、48 シールド板
18、18´ チップマウント部材
19、62 導電板
32、70 ダイヤフラム
40ai、52ai 入出力端子群
56 センサハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12