【実施例】
【0065】
以下、本発明について実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業界において通常の知識を有する者にとって自明である。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらと均等の範囲により定義されると言える。
【0066】
[実施例1:3−HP耐性基盤、母体酵母菌株の選別]
3−HP生成個体の必須の特徴は、高濃度の3−HPに対する相当な耐性を有して、菌株能力の最小限の損失だけで発酵時産物を蓄積できることである。低pHで高濃度の3−HPに対する耐性を有するか否かおよび前記条件下で成長してブドウ糖代謝できるか否かを確認するために、718個の種々の野生型酵母菌株を調べた(表12)。
【0067】
全体菌株セットの酸耐性(acid tolerance)を調べるために、成長分析(growth assays)をベースにした、多くのアガープレートおよび液体培地マイクロタイター(microtitre)プレートを最初に使用した。その後、三角フラスコ培養液(shake flask cultivations)内菌株のサブセットに対する低pHに過量の3−HPに対する耐性を評価した。分離時、前記調査方法のいずれも産業現場で3−HP耐性の完ぺきな指標ではなかったが、多様な方法の組み合わせが有望な3−HP生産酵母菌株製造に対する隙間なくしっかりとした手段を提供する。
【0068】
最初に、様々な量の3−HPを含有する固体YPD−基盤アガー培地で718個の酵母菌株の成長を評価した:0g/L 3−HP(pH6.62)、50g/L 3−HP(pH3.44)、75g/L 3−HP(pH3.28)、100g/L 3−HP(pH3.17)および125g/L 3−HP(pH3.08)。その後、様々な量の3−HPに対する耐性をベースに菌株の点数を付けた。
【0069】
その後、自動で培養して、振盪して、培養液の濁度を測定するBIOSCREEN C機械を利用して、マイクロタイタープレート液体培養液内3−HPの不在(SCD−基盤培地、0g/L 3−HP、pH6.0)または、存在(SCD−基盤培地、70g/L 3−HP、pH3.5)時718個の酵母菌株の成長を評価した。各実験条件下で、各菌株の過渡期、最大成長率および最大細胞密度を作るために、微生物成長曲線モデリングのための既存ソフトを適用した。前記分析方法の間、3−HP不在時最大成長率、3−HP存在時最大成長率および前記二つの最大成長率値の相対誤差を基に、各菌株の点数を付けた。
【0070】
液体操作ロボットを利用して、マイクロタイタープレート内85g/L 3−HP(pH3.5)を含有するYPD−基盤液体培地内で718個の酵母菌株の成長率およびブドウ糖利用率を評価した。成長プレートを培養させて、指定された時間(time−points)にOD測定のためのサンプルを希釈して、指定された時間に残りのブドウ糖の量を測定するためのHPLC分析のための上澄み液を集めるために、自動化された作業の流れ(work−flow)を利用した。BIOSCREEN C成長分析とは反対に、ロボットのマイクロタイタープレート成長分析は、前記二種類の方法のように単に成長率だけを評価する代わりに、ブドウ糖利用率を評価させて、より多くの通気(aeration)およびより高い最大細胞密度を有するようにする。このような調査方法の間、3−HP存在時最大細胞密度および低pHで3−HP存在時ブドウ糖消費能を基に各菌株の点数を付けた。
【0071】
様々な3−HP耐性評価分析方法の個別的な点数は、各菌株の3−HP耐性に対する最終点数を得るために共に平均を計算した(表12)。その結果、酵母種カンジダアピコラ(Candida apicola)、カンジダヒュミリス(Candida humilis), 、イサチェンキア オリエンタリス(Issatchenkia orientalis), 、カザクスタニアブルデリ(Kazachstania bulderi), 、カザクスタニアエキシグア(Kazachstania exigua), 、ピキア・メンブラニファシエンス(Pichia membranifaciens), 、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)が様々な条件下で低pHで3−HPに対する一般的耐性が相当であることを確認することができた。
【0072】
前記8種類の3−HP耐性酵母種に対し三角フラスコ培養液内の低pHで3−HP耐性に対する追加分析を行った。前記培養液(精製されたSCD−基盤培地、高い初期バイオマス、低い通気)で、菌株の成長能、ブドウ糖消費能およびエタノール生成能を様々なpHで様々な濃度の3−HP存在下で評価した:100g/L 3−HP(pH4.0)、100g/L 3−HP(pH3.5)、100g/L 3−HP(pH3.0)および80g/L 3−HP(pH2.6)。前記三角フラスコ培養液は、特定のC. humilis, K. bulderi, K. exiguaおよびS. cerevisaie 酵母が前記厳しい条件下で様々な酵母菌株中で最も速いブドウ糖利用率、バイオマス生成率およびエタノール生成率を有するが、低pHで高濃度の3−HPに対する非常にしっかりとした耐性を有することを示す。一方、C. apicola, I. orientalis, P. membranifaciensおよびY. lipolytica 酵母菌株は、このような非常に制限的な成長条件下で性能をよく発揮できなかった。種々の三角フラスコ培養液を利用した具体的な後続的分析で特定のC. humilis, K. bulderi, K. exiguaおよびS. cerevisaie 酵母菌株が産業的に適した条件下で3−HPに高い自然な耐性を示し、3−HP生成母体として大きい潜在性を有することが分かった。
【0073】
【表12-1】
【0074】
【表12-2】
【0075】
【表12-3】
【0076】
【表12-4】
【0077】
【表12-5】
【0078】
【表12-6】
【0079】
【表12-7】
【0080】
【表12-8】
【0081】
【表12-9】
【0082】
【表12-10】
【0083】
【表12-11】
【0084】
【表12-12】
【0085】
【表12-13】
【0086】
【表12-14】
【0087】
【表12-15】
【0088】
【表12-16】
【0089】
【表12-17】
【0090】
[実施例2:経路酵素候補に対する生物情報学的ゲノムマイニング(genome mining)]
特定の機能を有する候補酵素を確認するために、相同性−基盤データベース調査を行った。それぞれ多くの探索配列(query sequences)でデータベースを調べた。追加で、関連があるタンパク質族(family)をInterProドメイン注釈を基盤としたUniprot/SwissProtから調べた。相同性−基盤調査は、Uniprot(SwissProtおよびTrEMBL)およびblastpを利用したGenBankタンパク質データベース、tblastnを利用したGenBankヌクレオチドデータベース(tsa_nt、eny_ntおよびpat)で行った。E−値(E−value)が1e−30より小さい配列を抜き取った。しかし、いくつかの場合においては、E−値が1e−80より小さい配列を対象に追加的な分析を行った。翻訳に対する案内として探索配列を利用したGeneWiseでヌクレオチドヒットをタンパク質配列で翻訳した。GeneWiseで長いACC配列を翻訳することは難しすぎるので、その代わりにblast−xml outputからタンパク質配列(探索配列と一致する部分)を抜き取った。不要な配列を除去するために、調べられた配列をBLASTCLUSTまたはCD−HITを利用して、各々相同性が80%以上である配列を含むクラスターで集合化した。各クラスターでただ一つの代表配列だけを保存した。配列の必要なセットをタンパク質族のPFAMドメインまたはMAFFTを利用してアラインメントした。MAFFTによる全域アラインメント(alignment)は、タンパク質族がどのようなPFAMとも関連がないか、タンパク質の配列が数個のPFAMドメインで分離する場合に適用した。系統数はPHYLIPまたはFASTTREEを利用した様々な配列アラインメントをベースに作った。系統数はE.C.数字、個体名、blast E−値で注釈を付けて、Geneiousソフトを利用して可視化した。
【0091】
[2−1:アセチル基を含有したアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Acetylating acetaldehyde dehydrogenase)]
CoAへの還元は、アセチル基を含有したアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(AADH,E.C.1.2.1.10)により行われる。AADHは、機能的に相同性がある三つのグループに分けられる(wei et al.,Nat. Commun., 4:2580, 2013):1)AADHおよびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する二機能タンパク質(E. coliadhE type genes, GenBank No: NP_415757, query sequence)、2)エタノールアミン異化作用に関与するタンパク質(E. colieutE type genes, GenBank No: AAG57564, query sequence)、および3)4−ヒドロキシ−2−ケト吉草酸塩(4−hydroxy−2−ketovalerate)異化作用に関与するアルドラーゼ−デヒドロゲナーゼ複合体の一部である二機能タンパク質(E. coli mphF type genes, GenBank No: NP_414885)。関心対象はグループ1(adhE type)とグループ2(eutE type)酵素である。
【0092】
adhEタンパク質のN−末端ドメインは、アルデヒド:NAD+オキシドレダクターゼと高い相同性がある一方、C−末端部位は、Fe2+−依存性エタノール:NAD+オキシドレダクターゼと相同性がある(Membrillo−Hernandez et al.,J.Biol.Chem.,275:33869−33875,2000)。アセチル基を含有したアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性は、アルコールデヒドロゲナーゼドメインを除去することによって、単にN−末端のアルデヒドレダクターゼドメインだけを有する二機能adhEタンパク質を切断して細胞内に導入することができる。このような二機能AADH活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表1の通りである。
【0093】
ほとんどの場内細菌は、炭素源および窒素源としてエタノールアミンを利用することができる(Stojiljkovic et al.,J.Bacteriol.,177:1357−1366,1995)。このような異化経路は、アセトアルデヒドがアセチル基を含有したアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、EutEによってアセチル−CoAに変換される段階と関連がある。AADH活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表2の通りである。
【0094】
追加的に、adhEおよびeutEタイプ遺伝子に対する生物情報学的分析および配列相同性をベースに、AADH活性を有すると推測することができるアルデヒドデヒドロゲナーゼと見ることができる一つのグループの遺伝子を確認した。様々な遺伝子は表3の通りである。
【0095】
[2−2:真核アセチル−CoAカルボキシラーゼ(Eukaryotic acetyl−CoA carboxylase)]
アセチル−CoAカルボキシラーゼ(ACC,EC 6.4.1.2)は、脂肪酸生合成に重要な酵素である多機能ビオチン−依存性カルボキシラーゼである。アセチル−CoAのマロニル−CoAへの転換に対する触媒作用をするために、助酵素としてATPおよびビオチンを使用する。まず、ビオチンカルボキシラーゼが炭酸水素塩(bicarbonate)と共にビオチンのATP−依存性カルボキシ化に対する触媒作用をする。次に、カルボキシトランスフェラーゼが、マロニル−CoAを形成するためにビオチンからアセチル−CoAにカルボキシル基を移動させる。真核酵素は、大きいマルチドメイン酵素である反面、これに相応する原核酵素は、別の遺伝子によってコードされる様々なサブユニットで構成されている。ACCの活性は、アセチル−CoA恒常性を維持するために、翻訳段階および翻訳後段階で調節される(例えば、リン酸化反応および凝集)。他の酵母種におけるACC操作は、増加したACC活性および増加したマロニル−CoA由来産物の生成を引き起こした。ACC活性を有する酵素をエンコードする遺伝子をSaccharomyces cerevisiae(GenBank No: CAA96294.1, query sequence)、Yarrowia lipolytica(GenBank No: XP_501721.1, query sequence)及びMucor circinelloides(GenBank No: EPB82652.1, query sequence)で確認または想定した。候補アセチル−CoAカルボキシラーゼ遺伝子をKazachstania exigua(配列番号 1)およびCandida humilis(配列番号 2)の新しく配列化されたゲノムで確認して、酵母発現プラスミドでクローニングした。ACC活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な真核マルチドメインACC遺伝子は表4の通りである。
【0096】
[2−3:二機能マロニル−CoAレダクターゼ(Bifunctional malonyl−CoA reductase)]
マロニル−CoAで3−HPへの還元(マロネートセミアルデヒド中間体を経る)は、C−末端アルデヒドデヒドロゲナーゼドメインおよびN−末端アルコールデヒドロゲナーゼドメイン機能基を共に有する二機能マロニル−CoAレダクターゼによって行われることができる。このような活性を有する非常に基質−特異的でNADPH−依存的な酵素は、3−ヒドロキシプロピオネートサイクルと呼ばれる独立栄養CO
2固定化経路に関与する光栄養緑色非硫黄細菌Chloroflexus aurantiacus(GenBank No: AAS20429.1、 query sequence)内で特性化される(Hugler et al.,J.Bacteriol.184:2404−2410,2002)。このような二機能マロニル−CoAレダクターゼ活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表5の通りである。
【0097】
[2−4:マロニル−CoAレダクターゼ(Malonyl−CoA reductase)]
実施例2−3の二機能マロニル−CoAレダクターゼとは異なり、マロニル−CoAは二種類の個別的な酵素によって3−HPで触媒できる。この経路によると、マロニル−CoAがまずマロニル−CoAレダクターゼ(MCR、EC 1.2.1.75)またはCoA−アシル基を含有したマロネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼによりマロネートセミアルデヒドに還元された後、連続的に3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼ(3−HPDH、EC 1.1.1.59またはEC 1.1.1.298)により3−HPに還元される。MCRは、3−ヒドロキシプロピオネート/4−ヒドロキシブチレートサイクルを介して有機物質内に炭素を自己栄養で固定するいくつかの耐熱好酸性古細菌(thermoacidophilic archaea)により利用されるNADPH−依存性酵素である(Berg et al.,Science,318:1782−1786,2007)。MCR活性を有する酵素をエンコードする遺伝子は、Metallosphaera sedula(GenBank No: ABP94884.1, query sequence)及びSulfolobus tokodaii(GenBank No: BAB67276.1, query sequence)内で特性化される。たとえ前記MCRは、Chloroflexus aurantiacus二機能マロニル−CoAレダクターゼ酵素に対する類似のアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を共有するとしても、これらはChloroflexusおよびSulfolobaceae内自己栄養経路が収束的に進化する点および他の遺伝子が分類学上群内類似の代謝過程を実行するために利用される点を示すいかなる相当する配列類似性を示さない(Alber et al.,J.Bacteriol.,188:8551−8559,2006)。特に、古細菌MCRは、アスパルテート−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼと高い配列類似性を示す。MCR活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表6の通りである。
【0098】
[2−5:3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼ(3−Hydroxypropionate dehydrogenase)]
マロネートセミアルデヒドは、可逆3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼ(HPDH、EC 1.1.1.59、NADH−依存的)またはマロネートセミアルデヒドレダクターゼ(EC 1.1.1.298、NADPH−依存的)により3−HPに還元される。このような酵素は、自然にバクテリアおよび植物内β−アラニン代謝、プロパノエート代謝またはウラ室分解に関与する。さらに、このような酵素は、3−ヒドロキシプロピオネート/4−ヒドロキシブチレートサイクルを介した炭素固定化のためにいくつかの耐熱好酸性古細菌で必要とする(Kockelkorn and Fuchs,J.Bacteriol.,191:6352−6362,2009)。3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼまたはマロネートセミアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をエンコードする遺伝子をEscherichia coli(GenBank No: EFV00080.1, query sequence), Saccharomyces cerevisiae(GenBank No: DAA10125.1, query sequence), Metallosphaera sedula(GenBank No: ABP96133.1, query sequence), Sulfolobus tokodaii(GenBank No: BAK54608.1, query sequence)及びEscherichia coli(GenBank No: ACR64730.1, query sequence)で確認または想定した。3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼまたはマロネートセミアルデヒドレダクターゼ活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表7の通りである。
【0099】
[2−6:3−ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ(3−Hydroxyisobutyrate dehydrogenase)]
3−ヒドロキシイソブチレートデヒドロゲナーゼ(HIBADH、EC 1.1.1.31)はバリンおよび他の分岐鎖アミノ酸の代謝に関与する重要な酵素である。HIBADHは、3−ヒドロキシイソブチレートのメチルマロネートセミアルデヒドへのNADH−またはNADPH依存性可逆的転換を触媒する。しかし、広範囲な基質特異性により、HIBADHはマロネートセミアルデヒドを3−HPに転換することによって3−ヒドロキシプロピオネートデヒドロゲナーゼ活性も示す(Yao et al.,Appl.Biochem.Biotechnol.160:694−703,2010)。HIBADH活性を有する酵素は、Pseudomonas putida(GenBank No: ADR61938.1, query sequence), Pseudomonas aeruginosa(GenBank No: AAG06957.1, query sequence), Bacillus cereus(GenBank No: AAP10961.1, query sequence)及びAlcaligenes faecalis(GenBank No: EJC65559.1, query sequence)内で確認した。HIBADH活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表8の通りである。
【0100】
[2−7:4−ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ(4−Hydroxybutyrate dehydrogenase)]
4−ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ(HBDH、EC 1.1.1.61)は、ブタノエート代謝に自然に関与する酵素である。HBDHは4−ヒドロキシブタノエートのサクシネートセミアルデヒドへの遺伝子NAD+−依存的可逆転換を触媒する。しかし、HBDHは酵素反応が類似するので、マロネートセミアルデヒドを3−HPに転換させてもよい。HBDH活性を有する酵素をCupriavidus necator(GenBank No: AAC41425.1, query sequence)及びClostridium kluyveri(GenBank No: EDK35022.1, query sequence)内で確認した。HBDH活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表9の通りである。
【0101】
[2−8:3−ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ(3−Hydroxybutyrate dehydrogenase)]
3−ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ(BDH、EC 1.1.1.30)は、ブタノエート代謝に自然に関与する酵素である。BDHは、3−ヒドロキシブチレートのアセトアセテートへのNAD+−依存的可逆転換を触媒するが、他の3−ヒドロキシモノカルボキシ酸も酸化させることができる。例えば、BDHは、酵素反応が類似するので、マロネートセミアルデヒドを3−HPに転換させることができる。BDH活性を有する酵素をPseudomonas aeruginosa(GenBank No:GAA17557.1, query sequence)内で確認した。BDH活性を有する追加的な遺伝子を生物情報学的分析および配列相同性をベースに推論した。様々な遺伝子は表10の通りである。
【0102】
[実施例3:酵素力価測定]
[ACC分光光度酵素アッセイ]
分光光度ACCアッセイは、カップリングされたアッセイで、補助者NAD(P)Hが必要とされる反応で、ACC反応によって生成された産物が追加で消費されて、異議酸化を分光光度計で監視することができる。
【0103】
Kroegerら(2011,Anal.Biochem.411:100−105)は、ACC1によって生成されたmalonyl−CoAがNADPHを補助因子として必要とされる反応で、精製されたmalonyl−CoA reductase(MCR)によってマロン酸セミアルデヒドにより変換されているカップリングされたアッセイを記載している。
【0104】
Diacovichら(2002,J. Biol.Chem.277:31228−31236)は、ADPとACC反応で補助因子として使用されているATP加水分解産物を、ピルビン酸キナーゼ反応を必要とするADP(ADP−requiring pyruvate kinase reaction)に転換することと乳酸脱水素酵素を使用してフィールベイトを形成することと、さらにカップリングして組み合わせた。後者は、NADHを補助因子として必要とし、異議酸化が連続されている。
【0105】
[ACC放射性酵素アッセイ]
インビトロで最も顕著に使用されるのは14Cカーボネートの使用に基づくものである。放射能炭酸を酸および非揮発性物質(即ち、マロニル−CoA)に導入する過程が続く。マロニル−CoAに転換されなかった14C標識した炭酸水素ナトリウムを酸及び熱処理で除去し、残りのNaH14CO
3及び可能な反応副産物を14C標識したCO
2に転換する。
【0106】
Diacovichら(2002、J. Biol。Chem。277:31228−31236)に記載されたこのアッセイは、少し変形して酵母溶解物からACC活性を検出するために使用されてきた(Shi et al.,2014、mBIO5:3 e01130−14)。指数関数的後期またはstationary phaseの収穫した酵母細胞から細胞溶解物を準備した。細胞を水洗し、100mMカリウムリン酸、pH7.5、2mM MgCl
2、1mM dithiothreitolと1X EDTAフリー完全プロテアーゼ阻害剤(Roche)を含む溶解バッファに再サスペンションした。細胞をガラスビーズで破砕し、4℃で遠心分離した後、上澄み液を収集した。
【0107】
ACC酵素アッセイ反応混合物は、100mMカリウムリン酸(pH8.0)、300μgBSA、3mM ATP、5mM MgCl
2、10mM NaH14CO
3(比活性specific activity)200μCimmol−1(7400kBqmmol)]と0.5mMアセチル−CoAを含んでいる。反応総体積は100μLであり、20μLの細胞抽出物を含んでいる。
【0108】
反応物を30℃で15分間インキュベーションし、50μLの5MHClを追加して停止した。チューブ内容物を95℃で乾燥して蒸発させ、残留物を100μLの水に再サスペンションし、3mLのシンチレーションカクテル(Ultima Gold AB、PerkinElmer)と混合した。液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer Tri−Carb2810TR)を使用して、サンプルの14C含量を測定した。
【0109】
[AADH酵素アッセイ]
Kozakら(2014、Metab。Eng。21:46−59)に記載されたように、30℃で340nm NAD+還元をモニタリングしてAADH活性を測定した。細胞溶解物のために酵母細胞を収集、または水で水洗し、100mM Tris−HClバッファ(pH7.5)、および1X EDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤カクテル(1X EDTA free protease inhibitor cocktail(Roche))を含む溶解バッファに再サスペンションした。細胞を5500rpm Precellys24ホモジナイザーで3x40秒間ガラスビーズで溶解し、各回の間に氷で維持した。溶解物16000gを、4℃で20分間遠心分離し、上澄み液を収集した。ブラッドフォード法を使用して総タンパク質濃度を測定した。
【0110】
酵素アッセイ反応混合物は、総反応体積200μLに0.1mMコエンザイムA、50mM CHESバッファ(pH9.5)、0.8mM NAD+、0.2mM DTT、および10μL細胞抽出物を含んだ。10mMの未反応した状態で用意されたアセトアルデヒド溶液を追加して反応を開始し、Thermo Konelab20XTアナライザを介してNAD+の還元が連続された。
【0111】
[酵母細胞溶解物からMCR酵素アッセイ]
Cheら(2014,Metab.Eng.22:104−109)に記載された方法を少し変形してMCR酵素活性を測定した。この方法は、340nmでNAD(P)Hの酸化をモニタリングしたことに基づくものである。
【0112】
細胞を収集し、20mM Tris−HCl(pH7.5)、20mM NaN
3を含む冷たい水洗バッファに水洗した後、50mM HEPES(pH7.5)、150mM KCl、1mM DTT、1mM EDTA、0.5%Triton X−100、および1X EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含む1mL遮断バッファに再サスペンションした。細胞を5500rpm Precellys24ホモジナイザーで3x40秒間ガラスビーズで溶解し、各回の間に氷で維持した。溶解物16000gを20分間4℃で遠心分離して、上澄み液を収集した。ブラッドフォード法を使用して総タンパク質濃度を測定した。
【0113】
MCRアッセイ混合物は、50mM Tris−HClバッファ(pH8.0)、5mM MgCl
2および0.3mM NADPHまたはNADHを含んだ。20μL細胞溶解物を総反応体積200μLに追加して、反応物を5分間、30℃で事前インキュベーションした後、0.15mM マロニル−CoAを追加して反応を開始した。Thermo Konelab20XTアナライザで340nmでアッセイをモニタリングした。
【0114】
[酵母発現ベクターの作製]
候補遺伝子の発現と酵母で活性能を評価するために、一連の酵母発現プラスミドを作製した。まず、新規pBlueScriptベースMCS(multiple cloning site)をデザインして、全ての可能なRE(restriction enzyme)サイトの組み合わせを使用することができる。以降の変形されたMCSをpRS−ベースのシリアルの酵母同原体および多コピープラスミドに位置させた。以降、10個のREサイトのセットを使用して、9つの異なるセットのプロモーターとターミネーターをpRS−ベース酵母発現ベクターにクローニングした。以後、3−HPの生産のための様々な経路の酵素の組み合わせを評価するために、これらのプラスミドシステムを使用して連続的に9つの遺伝子を、低または高コピー数で同時に、適切な酵母菌株で発現した。
【0115】
[ACC遺伝子クローニング]
SNF1結実があるまたはない、産業的に利用されるS. cerevisiae VSK−128菌株に形質転換させたACC1遺伝子を表13に示した。多コピープラスミドでACC遺伝子を発現しており、これらはPDC1 pプロモーターの調節下にあった。QuikChange II Site Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)を使用してShi etら(2014)に記載された変形されたACC1sc遺伝子を構築した。
【0116】
【表13】
【0117】
[ACC酵素アッセイ]
文献では、ACC酵素活性を検出するために精製されたまたは一部精製されたACC酵素と一緒に分光光学的アッセイ(spectrophotometric assays)が使用されてきた。対照群と比較して、吸光の変化が検出されないが、ACCが過発現した酵母細胞溶解物を分光光学的アッセイで試験した。
【0118】
放射性ACC酵素アッセイは、非常に敏感で、さらにpmol/mg/min活性を検出することができる。商業的に入手可能な精製されたヒトACC酵素を使用して、最初にテストした。十分な活性が検出されることによって、酵母細胞溶解物からACC活性を検出するために方法をより最適化した。表13にリストされた菌株のACC1活性についてアッセイし、その結果に基づいて、ACC1の相対的な順位を記載したリストを作製した(
図2)。最も有望な候補として、ACCylに対して追加の研究し、S. cerevisiae S−128野生型菌株とACC1が過発現された同一菌株の結果を表14に示した。
【0119】
【表14】
【0120】
[AADH in vitro酵素活性アッセイ]
5つのAADH遺伝子(すなわち、ADHEpm、ADHEec、EUTec、EUTdzとLIN1129li)を優先的に選択して、CEN.PK lab菌株に形質転換した。TEF1プロモーター調節下にある全て多コピープラスミドで、これらのAADHが発現した。全ての5つのAADH遺伝子はAADH活性を示したが、3つのeutE−type AADH遺伝子(すなわち、EUTec、EUTdzとLIN1129li)は、adhE−type AADHs(つまり、ADHEpmとADHEec)と比較して、酵母ではるかに高いAADH活性を示した。
【0121】
20個の追加新規AADH遺伝子をゲノムマイニング分析から選択して、酵母で発現および酵素活性を評価した。これらの20個の新規AADH遺伝子をin vitro酵素活性についてテストし、これらの4つ(つまり、AADHmm、AADHab、AADHbwとAADHvs)は、AADH活性を持つことが分かった。
【0122】
[AADH in vivo成長アッセイ]
グルコースベース培地で成長できないようにPDHバイパスが欠けていた菌株を製作しようと、産業S. cerevisiae VSK−128菌株からの全てのコピーのACS2遺伝子を欠失させた。25個の異なるAADH変異体を含む発現ベクターを、これらのACS2結実菌株に形質転換して、グルコース上で、これらの菌株の成長回復能を評価した。
【0123】
12個の他のAADH変異体(すなわち、EUTEec、EUTEdz、LIN1129li、AADHmm、AADHtl、AADHab、AADHta、AADHbs、AADHbw、AADHvs、AADHhsとADHEec)は、グルコースベースの寒天プレートで成長能に基づいて、ACS2−結実菌株の成長不全を回復することができた。in vitro AADH酵素活性アッセイおよびin vivo成長回復の分析の間に優れた相関性があった。
【0124】
ACS2結実菌株の成長を回復することができると思われる最初の9つのAADH変異体菌株の成長率を液状シェイクフラスコ培養で評価し、変形されていないPDHバイパスを含む野生型菌株と比較した。これらの9つのAADH変異体の両方は、グルコースで培養されたときS. cerevisiae VSK−128菌株の好気性の成長率について>50%を維持することができた、AADH変異体のうちの6つはS. cerevisiae VSK−128菌株の好気性成長率について≧80%を維持することができた。
【0125】
[酵母でMCR酵素アッセイ]
8つの全長Chloroflexus MCRホモログを2つの機能性ドメインで切断し、酵母から6個アキアMCRと一緒に酵素活性についてMCR−特異的ドメインをアッセイした。これらのMCRは、多コピープラスミドで発現され、これらはTEF1プロモーター下で調節され、CEN.PK lab菌株に形質転換された。
【0126】
MCRca(Chloroflexus aurantiacus)とこれらのホモルログMCRrc(Roseiflexus castenholzii)は、NADPHを補助因子として使用したときに、野生型菌株よりも高いMCR酵素活性を示す2つのChloroflexus MCRホモルログである。NADHを補助因子として使用したときは、8つのChloroflexus MCRホモルログからいかなる酵素活性が観察されなかった。
【0127】
3つのアキアMCR[Sulfolobales archaeon、Sulfolobus acidocaldarius(x2)]は、NADPHを補助因子として使用したときに、野生型菌株よりも高いMCR酵素活性を示し、全ての6つのアキアMCRはNADHを補助因子として使用したときに、野生型菌株よりより高いMCR酵素活性を示した。
【0128】
[アキアMCRの異種発現と特性]
4つの異なるアキアMCR Metallosphaera sedula(MCRms)、Sulfolobus tokodai(MCRst)、Candidatus caldiarchaeum(MCRcc)、およびSulfolobales archaeon(MCRsa1)についてpBAT T7プロモーターベースの発現構築物を作製した。これらの構造物は、精製のタグが含まれていない、E. coliコドン最適化され、先に記載した条件で発現された(表15)。
【0129】
【表15】
【0130】
次のアッセイ条件を使用して活性を分析した。
0.4mM NAD(P)H、0.15mM Malonyl−CoA、Tris−HCl pH7、2mM MgCl
2。20倍希釈された溶解物に対して室温でMTP(マイクロタイタープレート)フォーマットでアッセイを行った。以降、A365でNADPHまたはNADHの酸化が連続された。テストした4つのアキア遺伝子の中で、MCRsa1とMCRstが最も高いMCR活性を示した。しかし、タグ付けされたMCRcaに対して測定されたものよりも、MCR活性がより少なかった。Candidatus caldiarchaeum MCR(MCRcc)について(E.coli細胞溶解物中)NADPHまたはNADHの活性は測定されなかった。
【0131】
SDS−PAGEゲルを使用して、これらの構造物を分析する場合、E.coli溶解物からMCRsa1が最も高い発現レベルを示す一方、MCRccは溶解された形で発現されなかった(3のゲル(sa1>ca>st>ms>cc)を参照)。構造MCRsa1とMCRstは二重補助因子が友好的なようで、NADPHに対して測定したものと比較したとき、約40〜50%の相対NADH活性を示した。非アクティブ(specific activity)の観点から、MCRstはテストした4つのアキアMCRの中で最も活性のある酵素であることができるが、これは比較的最も低い発現レベルで比較的高い活性レベルを示すたからである。
【0132】
]
[実施例4:組換え酵母培養を通じた3−HPの製造]
[S. cerevisiaeのシェイクフラスコ培養]
選別的アガベースプレートで新鮮な培養された菌株から小さなリングの細胞を取って250mLフラスコで20mLの選別的SCベースの培地を接種するために使用されて、全てのグルコースおよびエタノールが消費されるまでの2日間(30℃、250rpm)培養した。最終的な細胞密度を測定し、培養物を5分間4000rpmで遠心分離した。上澄み液をHPLCまたはGC/MSで分析して、培養上澄み液で3−HP、およびその他の主要な代謝物の蓄積を測定した。しかし、他の培養条件はまた、特定の菌株、目的(例えば、グルコース開始量、空気の量、バッジの種類とバッジに追加物質の追加など)に応じてテストした。
【0133】
[実施例5:S. cerevisiaeバイオリアクター培養]
250〜500mL培地を含むMultiforsバイオリアクター(最大動作体積500mL、24−ブレードのRusthonタービンインペラ、Infors HT、スイス)で培養した。培養物を、初期1.2、2.4、または3.6のボリュームガス(体積培養)−1min−1(vvm)で30℃、300または900〜950rpmで維持した。培養物のpHは、2M NaOHまたは2M H
3PO
4を追加してpH5.5±0.2で一定に維持された。Clerol FBA3107消泡剤(Cognis France、Ponthierry Paris、0.03%v/v)を追加して泡の生成を調節した。Ar中3%CO
2、5%CO
2と0.99%ArとN
2のうち15%O
2、N
2中20%O
2プラス20%ArとN
2の0.04%エタノールで調整されたPrima Pro Process mass spectrometerでガス濃度(CO
2、O
2、N
2とAr)を継続的に分析した。
【0134】
菌株をシェイクフラスコでSCDベース選別培地中、オーバーナイトで事前培養し、バイオリアクターに接種するために使用した。培養物の配置のステップ(20g/Lの初期グルコース)を可能にして14〜20時間の間持続し、グルコースが消費された後にのみ、ただし、エタノールが消費された後、または以前の両方のいずれか(培養目的に応じて)にグルコースフィードを開始した。グルコースフィード率は0.38〜0.65gL−1h−1(培養目的に応じて)に維持した。以降、上澄み液のサンプルをHPLCで分析して培養物中の3−HPとその他の主要な代謝物の蓄積を測定した。
【0135】
[実施例6:HPLCによる細胞培養上清で3−HPの分析]
注入体積は10μLのWaters Alliance e2695 HPLC system(Waters、Milford、USA)を使用して培養上清サンプルを分析した。HPLCでFast Acid Analysis Column(100mm X7.8mm)(Bio−Rad、USA)に接続されたAminex HPX−87H Organic Acid Column(300mm X7.8mm)(Bio−Rad、USA)を停滞期に使用した。カラムを+55℃に維持し、0.3または0.5ml min−1の流量で5.0mM H
2SO
4(Merck KgaA、Germany)を溶出液として使用した。
【0136】
3−hydroxypropionic acid、グルコース、酢酸、サクシネート、フィールベイト、グリセロールおよびエタノールの検出にWaters2489 dual wavelength UV(210nm)検出器(Waters、Milford、USA)、およびWaters2414示差屈折計(Waters、Milford、USA)を使用した。
【0137】
[実施例7:GC/MSを用いて、細胞培養上清液から3−HP分析]
テストサンプルおよび標準曲線は次の方法で準備した。
50μLHCl(6N)で上澄み液(0.5ml)を酸性化し、3−HPA(TCI)標準溶液とスパイクした。5μL乳酸内部標準溶液(Sigma Aldrich(ISOTEC)sodium L−lactate−3,3,3−d3 98atom%、5.5g/l)と約0.2gのNaClを追加した。ラベリングされた3−HPは、商業的に入手不可能なので、このような乳酸安定同位体製品を内部標準として選択し、サンプルマトリックスに存在していないことで利用可能でありながら、3−HPと構造的に/化学的に最も類似した化合物であるためである。混合物を約3分間ボルテックスミキサーでシェイクした。以降のサンプルを約3分間ボルテックスミキサーで混合して、酢酸エチル0.5mlで2回抽出した。10000rpmで5分間遠心分離して層を分離した。GCバイアルに上層を収集し、蒸発させた。乾燥された残留物は、60℃で1時間インキュベーションし、1%TMCSを含むMSTFA(50μL)に誘導した。誤差を最小化するために、サンプルと同じ方法で黒カーブ(calibration curve)の標準を抽出した。
【0138】
MSD(Agilent5973 mass selective detector)が装着されたAgilent6890ガスクロマトグラフ(GC)にサンプルを流した。インジェクター(注入体積1μLであり、分割比(split ratio)20:1)とMSDインターフェイスの温度は、280℃であった、オーブンの温度プログラムは、20℃/minの速度で50℃〜280℃であった。Agilent HP−5MSキャピラリーカラム(30m、ID200μm、フィルムの厚さ0.25μm、Agilent19091S−433)上で分析を行った。化合物の確認は、NISTライブラリからスペクトルサーチに基づいた。m/z147とm/z219をモニタリングして、3−HPを確認し、m/z177をモニタリングして、3−HP二量体を検出した。3−HPの反応を使用して、5点の黒の曲線(c=1−400mg/l)のルールを構築して、正規化のために、内部標準を使用した。これらの濃度範囲で定量は、線形であることが証明された。サンプルと一緒に、スペースのサンプルを分析した。
【0139】
[実施例8:S. cerevisiaeプラスミド発現菌株の評価]
3−HPプラスミド発現菌株は、2つの異なる発現プラスミド(即ち、pSK−084および/またはpSK−085)から3−HPのパス酵素(即ち、AADH、ACC1、MCRとHPDH)一つ、二つまたは3つのことを同時に発現した(
図4)。これらの菌株を使用してVSK−128酸耐性S. cerevisiae菌株で3−HPの生産のための他の3−HPのパス酵素(およびこれらの酵素の組み合わせ)の効果を評価した。菌株を250mLフラスコ中、20mLの選別SCベース培地(20g/Lグルコース)で培養し、全てのグルコースおよびエタノールが消費されるまでの2日間(30℃、250rpm)で培養した。
【0140】
[実施例9:in vivoパス酵素活性分析の要約]
必要に応じて追加の3−HPのパス酵素を発現することもある様々なS. cerevisiae株で表16に示すように、25個のAADH、8つのACC1、10個の2機能性HPDH−MCR(二官能性HPDH−MCR)、6つのアキアMCRと28個HPDHの3−HPの生産能について分析した。多くの新規3−HPのパス酵素(ゲノムマイニング分析を介して得)が酵素で前の公開された3−HPのパス酵素と比較して活性があることを示し、優れた特性(すなわち、より高い活性、より優れた補助因子評価)を保持することを示した。
【0141】
【表16-1】
【0142】
【表16-2】
【0143】
【表16-3】
【0144】
[実施例10:3−HPの生産のためのS. cerevisiaeシェイクフラスコ培養を試み]
[培養条件]
最初のテストした菌株について、様々な他の培養条件を評価することにより、様々な培養条件は、菌株の3−HPの生産パフォーマンスに影響を与えるかを確認した。S. cerevisiae VSK−128(Δura3、Δhis3)菌株は、2つのプラスミドを発現するのには、1つはHIBADHpaまたはHPDHec遺伝子を含み、2回目プラスミドはMCRsa2遺伝子を含んでいる。2つの菌株は、培養中に同様に行動して、非常によく似代謝物のプロファイルを有する。
【0145】
6個の他のシェイクフラスコ培養条件を試験した。
1.好気性、バッチプロセス、初期高濃度グルコース(120g/L)
3日目に追加グルコース100g/L添加した。
2.嫌気性、バッチプロセス、初期高濃度グルコース(100g/L)
フラスコを密封し、100rpmsでもっとゆっくりシェイクした。
3.好気性、バッチプロセス、繰り返しグルコーススパイキング
初期グルコース20g/L、以後毎日40g/Lを添加した。
4.好気性、仮想の流加バッチプロセス、初期多数のグルコース精製(glucose tablets)
5つのタブレットを最初に添加し、さらに5つのタブレットを3日目に添加した。さまざまな量のEnzyme A溶液(50〜150μL/日)を毎日添加した。
5.好気性、仮想の流加バッチプロセス、繰り返しグルコース精製スパイキング
1つのタブレットを最初に添加し、2つのタブレットを1日と2日に添加して、3つのタブレットを3日と4日に添加した。さまざまな量のEnzyme A溶液(50〜150μL/日)を毎日添加した。
6.好気性、バッチプロセス、繰り返しガラクトーススパイキング
初期ガラクトースは、20g/Lであり、以後毎日40g/L添加した。
【0146】
仮想の流加バッチプロセスに対して、各錠剤は、0.5gのグルコース(25mLの培養体積に対して20g/Lのグルコースに対応さ)を放出すると考えられる。精製は、必須的にグルコース(すなわち、澱粉)、およびEnzyme A溶液(アミラーゼ)で構成されており、シェイクフラスコ培養中に培地にグルコースが調節されてゆっくり放出されるようにする。グルコースが制限され流加バッチ条件によって成長へのフラックスが促進され、これにより、3−HPの生産が促進されると考えられる。
【0147】
[細胞の成長]
全ての一般的なグルコースベースの培養によって同様に培養され、ガラクトース流加培養によって、よりゆっくり培養される。一方、他の培養条件と比較して、流加培養条件によって細胞の成長がさらに促進される。特に、流加培養(精製スパイキング)の条件は、初期培養からの成長を大幅に向上させる。
【0148】
[3−HPの生産]
これらの培養を介して、ほとんどの成長は、一般的に2日の後半に起こって、かなり多くの3−HPはまた、2日目の生産されており、これは成長と3−HPの生産は、互いに関連性があることを示唆している。流加培養(精製スパイキング)培養条件で3−HP(〜0.85g/L)が最も多く生産され、ガラクトース流加培養を介して最も少ない量の3−HP(〜0.12g/L)が生産されており、他の培養条件から全て約0.3乃至0.4g/Lの3−HPを生産した。これらの結果は、培養条件に3−HPの生産レベルに大きな影響を与えることができる(
図5)。
【0149】
[グルコース消費]
全ての培養から2〜3日までのグルコースが急速に消費され、以降、グルコース消費は成長および3−HPの生産と大幅に減少した(4−5日目)。流加培養では、グルコースは精製から放出されるように急速に消費されるように見える、これは、これらの培養がグルコース制限条件下で行われたことを示す。
【0150】
[グリセロール、酢酸およびエタノール蓄積]
グルコース流加培養でグリセロール蓄積はかなり高く、ガラクトース流加培養よりもはるかに低い。酢酸の蓄積は、他の培養条件の間ではかなり似ているが、流加培養(多数の錠剤)の条件で、より多くの酢酸が生産された。
【0151】
これらのシェイクフラスコ培養、特にグルコース回分式培養とグルコーススパイキング培養ほとんどで高濃度のエタノールが蓄積された。流加培養は、グルコース制限された濃度を代表して、エタノールでの過量の過流量代謝物を減少させ、これらのアプローチは、エタノールの蓄積が流加培養ではかなり低いので成功したかのように見える。
【0152】
[さらに確立された3−HPの生産菌株培養]
追加の3−HPの生産菌株[(EutEec、HPDH−MCRca、
ACC1sc_S1157A)と(HIBADHpa、MCRsa2)]を最も有望な流加培養(精製スパイキング)培養条件に応じて、培養して、性能を確認した。
【0153】
ほとんどの成長は3日目に起こり、ほとんどの3−HPの生産も3日目に起こった。このような培養条件下では、これらの菌株から3−HPの生産が1.2g/Lを超えた(
図6)。
【0154】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。