(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
微小電気機械システムを製造する方法であって、前記微小電気機械システムは、固定された本体と、前記固定された本体から解放可能であり、解放されると前記固定された本体に対して移動可能である要素とを備え、前記方法は、
可撓性プラスチック材料の第1のシートの第1の表面上の金属コーティングをパターニングすることにより、前記第1のシートの前記第1の表面の第1の部分から前記金属コーティングを除去するとともに、前記第1のシートの前記第1の表面の第2の部分上に第1の金属領域を残すことと、
前記第1のシートをパターニングすることにより、前記第1のシートの前記第1の部分から前記固定された本体を生成し、かつ、可撓性プラスチック材料の前記第1のシートの前記第2の部分から前記要素を生成することであって、前記要素は、前記第1の金属領域を有し、前記固定された本体の一部に繋がれている、ことと、
可撓性プラスチック材料の第2のシートを前記第1のシートに積層することにより、複合積層構造を提供することと
を含む、方法。
導電性層を前記第2のシートの第1の表面上に堆積することをさらに含み、前記導電性層は、前記第2のシートの前記第1の表面上の電極を提供する、請求項1に記載の方法。
前記固定された本体を含む複数の固定された本体、前記要素、および追加の要素は、前記金属コーティングをパターニングすることおよび前記第1のシートをパターニングすることによって提供され、前記第2のシートを積層することは、前記複合積層構造を含む複数の複合積層構造を提供し、前記方法は、
前記複数の複合積層構造を個々のダイにダイカットすることと、
前記個々のダイをスタックすることにより、スタックされた構造を生成することと、
前記スタックされた構造を積層することにより、前記微小電気機械システムの構成要素を生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
前記微小電気機械システムは、マイクロポンプであり、前記固定された本体は、ポンプ本体であり、前記要素は、弁の弁要素であり、前記金属コーティングのパターニングは、第2の金属領域を前記第1のシート上に生成することをさらに含み、前記第1のシートをパターニングすることは、前記ポンプ本体から解放可能であり、解放されると前記ポンプ本体に対して移動可能である別の要素を提供し、前記第1の要素および第2の要素は、前記ポンプ本体の入口および出口における弁の弁要素である、請求項1に記載の方法。
前記微小電気機械システムは、マイクロポンプであり、前記固定された本体は、ポンプ本体であり、前記要素は、第1の要素であり、前記マイクロポンプは、移動可能かつ解放可能である第2の要素をさらに含み、前記第1の要素および第2の要素は、前記ポンプ本体の入口および出口における弁要素である、請求項11に記載の方法。
前記第2のシートを前記第1のシートに積層することは、前記第1のシートの前記第1の位置において前記第2のシートを前記第1のシートに接着し、前記第1のシート上の前記第1の金属領域を前記第2のシートに接着されないままにする、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(概要)
以下に論じられるような、マイクロセンサ、マイクロアクチュエータのマイクロポンプ等の微小電気機械システムは、ロール・ツー・ロール処理によって製作される。
【0017】
微小電気機械システムは、ラボオンチップシステムであることができ、燃料電池、高流束電子冷却システム、および生物化学システムにおいて使用されることができる。マイクロポンプ等の微小電気機械システムは、少量の正確に測定された量において、流体、例えば、ガスまたは液体を輸送することができる。マイクロポンプは、種々の用途において使用されることができる。ロール・ツー・ロール技法を用いて製作されるので、これらのデバイスは、非常に安価に作製されることができる。
【0018】
(マイクロポンプシステム)
(マイクロポンプ)
ここで、ロール・ツー・ロール処理によって製作される微小電気機械システムが、マイクロポンプの例と共に説明される。
【0019】
図1は、単一のコンパートメント化されたポンプチャンバ104を含むマイクロポンプ100を示す。ポンプ本体102は、圧送方向114に沿って、2つの壁110、112と、圧送方向114と垂直方向に沿って互いに対向する、2つの固定端部壁106、108とを含む。壁106、108、110、および112は、膜によってコンパートメント化された単一チャンバ104を画定する。すなわち、2つの端部壁106、108間に、膜116、118、120、122、124、126が、壁110から壁112まで延び、ポンプチャンバ104を7つのコンパートメント130、132、134、136、138、140、142に分離する。この実装では、各コンパートメントは、それぞれ、壁110、112内に画定された入口と、出口とを含む。例えば、コンパートメント130は、壁110内の入口150と、壁112内の出口152とを含む。他の入口および出口は、標識されていない。
【0020】
コンパートメント130−142は、互いから流体シールされている。いくつかの実装では、異なるコンパートメントが、同一入口および/または同一出口(図には図示せず)を有することができ、これらの異なるコンパートメントは、互いに流体連通し得る。ポンプチャンバ104の対向端部における2つのコンパートメント130、142は、ポンプ本体102の固定壁と膜とによって提供される壁を有する。コンパートメント130、142間の他の中間コンパートメントは全て、2つの膜から形成される壁を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの中間コンパートメントは、2つの膜から形成されるコンパートメント壁を有する。6つの膜が、図に示されるが、ポンプチャンバは、追加の中間コンパートメントを用いて延長されることができる。電極(
図1Aおよび1Bでは明示的に図示されないので、
図2Aおよび2Cを参照)が、膜116−126の各々に取り付けられ、随意に、端部壁キャップ106、108に取り付けられる。
【0021】
電極は、駆動回路(
図3−5参照)に接続され、駆動回路は、電圧を電極に送達し、静電誘引/反発を通して膜を活性化する。活性化を伴わないと、膜は、図中の点線によって識別される名目上の位置に静止する。静止時の各膜は、端部壁106、108と実質的に平行であることができ、コンパートメント132−140は、同じ名目上の容積Viを有することができる。例えば、その名目上の位置における2つの隣接する膜間の距離は、約50ミクロンであり、名目上の容積Viは、ナノリットル〜マイクロリットル〜ミリリットル、例えば、0.1マイクロリットルの範囲であることができる。
【0022】
いくつかの実装では、コンパートメント130、142の各々は、中間コンパートメント132−140の名目上の容積の半分である名目上の容積Veを有する。例えば、その名目上の位置における膜116と端部壁106との間、またはその名目上の位置における膜126と端部壁108との間の距離は、約25ミクロンである。名目上の容積Veは、ナノリットル〜マイクロリットル〜ミリリットル、例えば、0.05マイクロリットルの範囲であることができる。コンパートメント130−142は、異なるサイズを有することもできる。サイズは、例えば、ロール・ツー・ロール製造ラインの特定のプロセス要件ならびに電力消費および用途考慮に基づいて、選定されることができる。
【0023】
例えば、幅25ミクロンを有するコンパートメント130、142は、減少したピーク駆動電圧を伴う起動機能を可能にすることができる。駆動電圧は、以下にさらに論じられる。例として、マイクロポンプは、約1.5mmの長さ、約1.5mmの幅、0.05mmの総高さ(異なるコンパートメントの累積高さ)、および約0.1125mm
3の総容積を有する内部容積を有することができる。
【0024】
類似目的のために使用される従来のポンプと比較して、マイクロポンプは、より少ない応力を受けるより少ない材料を使用し、より少ない電力を使用して駆動される。マイクロポンプは、ミクロン〜ミリメートル規模のサイズを有し、広範囲の流量および圧力を提供することができる。概算として、マイクロポンプによって提供される流量は、
マイクロポンプの総容積×駆動周波数
として計算されることができる。
【0025】
概して、流量は、マイクロリットルの規模であることができる。概して、圧力は、マイクロポンプに投入されるエネルギー、例えば、駆動電圧の量によって影響される。いくつかの実装では、電圧が高いほど、電圧が大きく、電圧の上限は、マイクロポンプの故障限界によって定義され、電圧の下限は、膜の作動能力によって定義される。マイクロポンプの圧力は、約1マイクロpsi〜10分の1psiの範囲内であることができる。選択される範囲の流量および圧力は、ポンプ材料、ポンプ設計、およびポンプ製造技法の選択によって達成されることができる。説明されるマイクロポンプは、往復動カテゴリ内の容積型ポンプである。圧送は、マイクロポンプのポンプチャンバの作動を通した流体(例えば、ガスまたは液体)装填と、排出動作とを含む2つの交互する動作において生じる。装填動作では、ポンプチャンバは、より低い圧力源に開放され、流体がチャンバの中を満たす。排出動作では、ポンプチャンバ内側の流体は、ポンプチャンバからより高い圧力シンクへ圧縮される。
【0026】
図1Aおよび1Bは、同一ポンプの2つの動作状態を示し、コンパートメントは、隣接する膜が互いに向かって移動し、コンパートメントの容積を減少させると圧縮され、ガスをコンパートメントから排出する。そのコンパートメントの圧縮と同時に、隣接するコンパートメントは、その2つの膜が互いから離れるように移動すると、装填され、チャンバ容積を拡張させる。作動されると、ポンプチャンバの各膜は、中心、すなわち、膜が作動されていないとき静止する名目上の場所を中心として、2つの反対方向に移動することができる。
【0027】
動作時、従来のポンプチャンバの膜は、圧送において使用される単一ポンプチャンバコンパートメントを形成する。ガスは、圧送サイクルの装填および排出動作中、1回、装填され、排出される。ガスは、半サイクル中のみ、流出し、ガスは、他の半サイクル中、流入する。
【0028】
マイクロポンプでは、各コンパートメントが、圧送において使用される。例えば、2つの固定端部壁間の2つの膜が、圧送のために、3つのコンパートメントを形成する。マイクロポンプは、例えば、個々の膜が、より少ない距離を移動し、したがって、より少なく駆動されるので、同一量の圧送を行う従来のポンプより高い効率を有することができ、かつより少ないエネルギーを消費することができる。効率およびエネルギー節約はさらに、2つの固定端部壁間の膜およびコンパートメントの数が増加すると、増加することができる。
【0029】
概して、圧送を行うために、各コンパートメントは、ガス入口と、ガス出口とを含む。入口および出口は、弁、例えば、弁に加えられる圧力に応答して開閉する受動弁を含むことができる。いくつかの実装では、弁は、フラップ弁であり、ポンプコンパートメントの内外へのガスの流動によって生成される弁を跨いだ圧力差によって駆動される。能動駆動が要求されないので、フラップ弁は、ポンプ動作の複雑性を低減させることができる。代替として、ノズルおよび拡散器を使用して、弁なし方式でマイクロポンプを構築することも可能である。
【0030】
概して、膜は、静電力によって駆動され、移動する。電極が、固定端部壁および膜のそれぞれに取り付けられることができる。コンパートメントの装填動作中、コンパートメントの2つの隣接する電極は、同一の正または負の電圧を有し、2つの電極、したがって、2つの膜に互いに反発させる。コンパートメントの排出動作中、コンパートメントの2つの隣接する電極は、反対の正または負の電圧を有し、2つの電極、したがって、2つの膜を互いに誘引させる。
【0031】
コンパートメントの2つの電極は、平行板静電アクチュエータを形成する。電極は、概して、小型サイズおよび低静的電力消費を有する。高電圧が、各電極に印加され、コンパートメントを作動させることができる。しかし、作動は、比較的に低電流で行われることができる。
【0032】
前述のように、マイクロポンプの各膜は、その中心の名目上の位置に対して2つの反対方向に移動する。故に、従来のポンプ内のコンパートメントと比較して、同一量の容積によってコンパートメントを拡張または縮小するために、本明細書の膜は、例えば、従来のポンプ内の膜の半分未満の距離を移動する。その結果、膜は、より少ない曲がりおよびより少ない応力を被り、より長い寿命につながり、より広い材料の選択肢を可能にする。加えて、膜の移動距離が比較的に短いので、膜上の電極のための開始駆動電圧は、比較的に低くあることができる。故に、より少ない電力が、消費される。2つの膜を有するコンパートメントに対して、両方の膜が移動しているので、プルイン電圧に到達するためにかかる時間は、より短くなることができる。
【0033】
電圧を電極に印加するための駆動回路は、低DC電圧源を要し、それをAC波形に変換する。波形の周波数および形状は、電圧制御式発振器によって制御されることができる。駆動電圧は、増倍器回路によって、要求されるレベルまで昇圧されることができる。
【0034】
前述の特徴を有するマイクロポンプ等の微小電気機械システムは、ロール・ツー・ロール(R2R)処理を使用して製作される。ロール・ツー・ロール処理は、可撓性プラスチックまたは金属箔のロールをベースまたは基板層として使用する電子デバイスの製造において採用されてきている。ロール・ツー・ロール処理は、ロールから送達される可撓性材料上にコーティングを塗布し、印刷し、その後、処理後、出力ロール上に可撓性材料を再び巻くために、他の分野でも使用されている。材料が出力ロールまたは巻き取りロール上に巻き取られた後、コーティング、積層、または印刷材料を伴う材料は、完成サイズにダイカットまたは切断される。
【0035】
以下は、マイクロポンプの異なる部品の材料を選定するためのいくつかの例示的基準である。
【0036】
ポンプ本体および弁−ポンプの本体のために使用される材料は、フラップ弁が本体と同一材料から作製されることができる場合、統合されたフラップ弁の要件によって定義され得る。いくつかの実装では、材料は、ポンプチャンバ容積を提供するために、その形状を保持するために十分に強固または剛であるが、所望に応じて、フラップ弁が移動することを可能にするために十分に弾性的である必要がある。加えて、選択肢は、フラップ弁の幾何学的設計によって影響され得る。いくつかの実装では、材料は、その特徴が画定および機械加工/現像され得るように、エッチング可能または感光性である。時として、材料がマイクロポンプ内の他の材料と良好に相互作用すること、例えば、接着することも望ましい。さらに、材料は、非導電性である。好適な材料の例として、SU8(ネガ型エポキシレジスト)およびPMMA(ポリメタクリル酸メチル)レジストが挙げられる。
【0037】
膜:この部品のための材料は、ポンプチャンバを装填および排出するために使用される、太鼓のような構造(ポンプチャンバを覆う薄い緊張した膜)を形成する。したがって、材料は、所望の距離にわたって前後に曲がることまたは伸びることが要求され、弾性特性を有する。膜材料は、ガスおよび液体を含む流体に不浸透性であり、非導電性であり、高破壊電圧を保有する。好適な材料の例として、窒化ケイ素およびTeflon(登録商標)が挙げられる。
【0038】
電極:この構造は、非常に薄く、導電性である材料から成る。電極は、あまり電流を伝導しないので、材料は、高電気抵抗を有し得るが、高抵抗特徴は、必ずしも、望ましくない。電極は、膜に伴って曲がりおよび伸びを被り、したがって、材料は、疲労および故障を伴わずに、曲げおよび伸びに対処するために十分であることが望ましい。加えて、電極材料および膜材料は、互いに良好に接着する必要があり、例えば、動作条件下、互いから剥離しないであろう。好適な材料の例として、金および白金が挙げられる。
【0039】
電気相互接続−駆動電圧は、各コンパートメントの各膜上の電極に伝導される。これらの電極への導電性経路は、伝導性材料、例えば、金および白金を使用して構築されることができる。
【0040】
図2A−2Dでは、モジュール化されたマイクロポンプが、示される。
【0041】
図2Aを参照すると、モジュール化されたマイクロポンプ200は、モジュール層201(
図2Bおよび2C)から成り、ポンプ200の端部コンパートメント200a、200bを形成する。モジュール化されたマイクロポンプ200はまた、多くのモジュール層250(
図2D)から成り、ポンプ200の中間コンパートメント200cを形成する。
【0042】
マイクロポンプ200内の弁は、入力および出力に接続される単一弁によって置換されることができるか、または各層内の個々の弁は、交互されることができる。ロール・ツー・ロール処理を用いたモジュール化されたマイクロポンプ製作についての具体的詳細は、以下に論じられる。
【0043】
ここで
図2Bを参照すると、モジュール層201の各々は、ポンプ端部キャップ202を含み、固定ポンプ壁(
図1A、1Bの壁106、108に類似)を形成する。電極208は、コンパートメント209を活性化するために、ポンプ端部キャップ202に取り付けられる。
【0044】
単一モジュール層201は、電極208を伴うポンプ端部キャップ202と、電極210を伴う膜206との間にポンプ本体204の一部を形成し、電極210は、ポンプ本体204の反対側で膜206(
図1A、1Bの膜116、126に類似)に取り付けられる。電極210は、モジュール層200の外部の駆動回路に接続される導線212を含む。
【0045】
膜206、ポンプ端部キャップ202、およびポンプ本体204は、同一寸法を有することができ、電極208、210は、膜206または他の要素より小さい寸法を有することができる。いくつかの実装では、膜206は、約ミクロン×ミクロン〜約ミリメートル×ミリメートルの寸法と、約5ミクロンの厚さとを有する。ポンプ本体204は、約ミクロン×ミクロン〜約ミリメートル×ミリメートルの外寸と、約50ミクロンの厚さと、約ミクロン×ミクロン〜約ミリメートル×ミリメートルの内寸とを有する。ポンプ本体の厚さは、コンパートメント209(
図1Aのコンパートメント130、142に類似)の名目上のサイズを定義する。電極210、202は、ポンプ本体204の内寸に実質的に対応する、寸法を有する。いくつかの実装では、電極は、約2.25mm
2の表面積と、約0.5ミクロンの厚さとを有する。組み立てられたモジュール層201は、
図2Cに示される。
【0046】
ここでまた
図2Cも参照すると、ポンプ本体204は、2つの受動弁214、216を含み、それぞれ、入口および出口を形成する。入口弁214は、ストッパ218と、フラップ220とを含む。ストッパは、ポンプ本体204に接続され、ポンプ本体によって形成されるコンパートメント130、140の外部に位置する。フラップ220は、ポンプ本体204に取り付けられる一端222と、ストッパ218およびポンプ本体204に対して移動可能な別の端部224とを有する。特に、フラップの端部224は、モジュール層外部の圧力がモジュール層内側の圧力より大きくなるように圧力差が確立されると、コンパートメント130、140の内部に向かって曲がることができる。例えば、そのような圧力差は、流体がモジュール層外側からコンパートメント209の中に流動する装填動作中に確立される。内部圧力が外部圧力より高いとき(例えば、流体がコンパートメント209からモジュール層の外側に流動する排出動作中)、フラップ224は、ストッパに向かって曲がり、ストッパ218によって停止させられる。故に、排出動作中、コンパートメント209内の流体は、弁214から外に流動しない。
【0047】
出口弁216も、ストッパ218およびフラップ220に類似する、ストッパ230およびフラップ232をそれぞれ含む。しかしながら、ストッパ230は、流体がコンパートメント209流入または流出する方向に沿って、フラップ232の正面に位置する。内部圧力が外部圧力より高いとき、フラップは、ストッパから離れるように曲がり、弁を開放し、内部圧力が外部圧力より低いとき、フラップは、ストッパに向かって曲がり、弁を閉鎖する。効果的に、装填動作中、出口弁216は、流体が弁216から外に流動しないように閉鎖され、排出動作中、出口弁216は、開放され、流体が弁216から外に流動する。
【0048】
図2Dを参照すると、中間コンパートメント(
図1A−Bのコンパートメント132−140に類似)の各々は、モジュール層250を使用して形成されることができる。モジュール層250は、ポンプ本体252と、電極256と、電極256とポンプ本体252との間に形成される膜254とを含む。ポンプ本体252は、ポンプ本体204と類似または同一特徴を有することができ、電極256は、電極208と類似または同一特徴を有することができ、膜254は、膜206と類似または同一特徴を有することができる。モジュール層250も、フラップ弁を含む(参照されないが、図に示される)。
【0049】
前述のように、各ポンプ本体の弁は、ポンプ本体と一体的に形成されることができる。電極は、他の要素に取り付けられる事前に調製されたシートとして示されるが、電極は、直接、それらの要素上に、例えば、印刷によって形成されることができる。モジュール層200、250の異なる要素は、接着剤を使用して、互いに接合されることができる。いくつかの実装では、溶媒が、異なる要素を部分的に溶解し、それらを一緒に接着するために使用されることができる。
【0050】
図2Aに戻って参照すると、したがって、
図2Dの複数の、例えば、2つ、3つ、または任意の所望の数のモジュール層250が互いの上にスタックされ、複数の中間コンパートメントをポンプチャンバ内に形成する。スタック200では、各膜は、ポンプ本体によって分離され、各ポンプ本体は、膜によって分離される。完全なポンプを形成するために、
図2Bのモジュール層201は、モジュール層201のポンプ端部キャップがポンプチャンバの2つの固定端部壁を形成するように、スタック200の上部端部および底部端部の各々の上に配置される。
【0051】
再び、
図1Aおよび1Bを参照すると、各圧送サイクル中、コンパートメントは、各コンパートメントが、半サイクル中、装填し、他の半サイクル中、排出するように、活性化される。隣接するコンパートメントは、180度位相差で動作し、すなわち、コンパートメント130が装填しているとき、その隣接するコンパートメント132は、排出し、その逆も同様である。その結果、1つおきのコンパートメントが、同相で動作する。
図1Aおよび1Bでは、コンパートメントは、奇数(「O」)コンパートメントと、偶数(「E」)コンパートメントとによって標識され、Oコンパートメントは、互いに同相であり、Eコンパートメントは、互いに同相であり、Oコンパートメントは、Eコンパートメントに対して位相がずれている。ポンプのコンパートメントをその排出状態で動作させるために、反対符号の電圧が、これらのコンパートメントの対向する壁上の電極に印加される。
【0052】
例えば、
図1Aに示されるように、固定壁106上の電極の電圧が負である一方、膜116上の電極の電圧は、正であるか、または膜118上の電極の電圧が正である一方、膜120上の電極の電圧は、負である等。同時に、ポンプの他のコンパートメントは、その装填状態において動作させられる。同一符号の電圧が、これらの他のコンパートメントの対向する壁上の電極に印加される。反対符号の電圧は、コンパートメントの2つの対向する壁に互いに誘引させ、同一符号の電圧は、コンパートメントの2つの対向する壁に互いに反発させる。固定壁106、108は、移動しない。しかしながら、膜116−126は、引力の方向または反力の方向に向かって移動する。その結果、圧送サイクルの半分では、コンパートメント130、134、138、142は、排出し、他のコンパートメントは、同時に、装填し(
図1A)、圧送サイクルの他の半分では、コンパートメント132、136、140は、排出し、他のコンパートメントは、同時に、装填する(
図1B)。
【0053】
いくつかの実装では、膜の材料と膜および端部壁106、108に印加される電圧とは、活性化されると、各膜が隣接する膜の名目上の位置間の距離dの実質的に半分まで拡張するように選定される。膜の名目上の位置と固定壁との間の距離がd/2である端部コンパートメント130、142では、活性化された膜は、コンパートメントの容積をゼロ近くまで減少させ(排出動作において)、コンパートメントの容積を2×V
e近くまで拡張させる。中間コンパートメントに対して、各膜をd/2だけ移動させることによって、コンパートメントの容積は、装填動作において、2×Vi近くまで拡張され、排出動作において、ゼロ近くまで減少させられる。マイクロポンプ100は、高効率で動作することができる。
【0054】
圧送サイクルの周期は、駆動電圧信号の周波数に基づいて決定されることができる。いくつかの実装では、駆動電圧信号の周波数は、約Hz〜約KHz、例えば、約2KHzである。マイクロポンプ100の圧送によって生成される流量または圧力は、各コンパートメントの容積、活性化時に膜がもたらした変位量、および圧送サイクル周期によって影響され得る。高流量、例えば、約ml/sを含む種々の流量と、高圧、例えば、約10分の1psiを含む圧力とは、異なるパラメータ、例えば、駆動電圧の規模を選択することによって、達成されることができる。例として、マイクロポンプは、
図2Bの2つの層200と、
図2Cの13個の層250とを含む合計15個のモジュール層を含むことができる。この例のマイクロポンプは、周波数約843Hzで駆動され、約0.62mWの電力を消費し、約0.0652psiにおける約1.56ml/sの流量を提供することができる。
【0055】
いくつかの実装では、4つのタイプの電気信号が、膜を駆動するために使用される。4つのタイプは、以下である。
V−:全電圧に対するDC基準;いくつかの膜を直接駆動させるために使用され得る。
V+:いくつかの膜を直接駆動させるために使用され、その他のために切り替えられる、DC高電圧。
V1:いくつかの膜を駆動させ、動作を制御するために使用される、周期的AC波形。それは、50%デューティサイクルを含み、1回の完全圧送サイクルにおいてV−とV+との間で行き来する。
V2:VIと同じであるが、180度位相がずれている。
【0056】
さらに、プルインおよびドロップアウト電圧の現象に基づいて、駆動電圧は、最高規模のVIまたはV2に到達すると、より低い電圧まで低下され得る。特に、
VI.5:プルイン電圧値
V2.5:ドロップアウト電圧値
である。
【0057】
ここで
図3を参照すると、固定壁106および膜116−124上の6つの電極への印加のための6つの例示的波形の組301−306が、それぞれ、示される。マイクロポンプ100または他のマイクロポンプ内の他の追加の膜および固定壁に印加される波形も、
図3に示されるパターンによって導出されることができる。圧送サイクル中、第1の波形の組301のV−が、固定壁106上の電極に一定に印加される。膜116に印加するための第2の波形の組302は、V1を形成する。第3の波形の組303は、V+であり、膜118に一定に印加される。第4の波形の組304は、膜120に印加するためのV2である。第5の波形の組305および第6の波形の組306は、第1および第2の波形301、302の繰り返しである。追加の波形が、他の膜、例えば、膜124および126(
図1A)のために必要とされる場合、繰り返しが、第3および第4の波形等を用いて続く。
【0058】
いくつかの実装では、V1、V2、V−、およびV+の規模は、同一である。他の実装では、これらの電圧のうちの少なくともいくつかの規模は、異なる。特定のパターンの波形が、示されるが、ポンプ100の電極は、他のパターンの波形によっても活性化されることができる。
【0059】
ここで
図4を参照すると、
図3の6つの波形の組301−306に対応する6つの波形の組321−326が、それぞれ、示される。
図4に示される組と
図3に示される組との間の差異は、プルインおよびドロップアウト現象を利用するために、
図3のAC電圧波形V1およびV2が、それぞれ、V1.5およびV2.5に再成形されることである。
【0060】
この例では、波形の組322、324、326では、プルイン点に到達すると、正極性電圧が、より低い電圧まで降圧される(矢印↓によって示される)。このより低い電圧は、膜がその駆動された状態のままであるように、依然として、ドロップアウト電圧を上回る。次の電圧遷移は、反対動作の開始を定義し、その間、同様の電圧レベルシフトが、適用される。負極性電圧は、より小さい規模を有する電圧まで昇圧される(矢印↑によって示される)。ポンプ100の電力消費は、その保持時間中、駆動電圧の規模を減少させることによって削減されることができる。
【0061】
(駆動回路)
ここで
図5を参照すると、
図3または
図4に示されるもの等の電圧を印加するための駆動回路500の実施例が、示される。駆動回路500は、供給電圧502、静電容量電圧電流504信号、およびポンプ制御516を受信し、駆動電圧506を
図1Aおよび1Bのマイクロポンプ等のマイクロポンプの電極に出力する。いくつかの実装では、供給電圧502は、マイクロポンプ100が使用されるシステムから提供される。供給電圧は、絶縁回路(図示せず)によって提供されることもできる。
【0062】
駆動回路500は、高電圧増倍器回路508と、電圧制御式発振器(「VCO」)510と、波形発生器回路512と、フィードバックおよび制御回路514とを含む。高電圧増倍器回路508は、供給電圧502を所望の高電圧値、例えば、約100V〜700V、公称上、500Vまで増倍する。誘電定数、厚さ、機械的弾性率特性、電極間隔等の材料特性に応じて、他の電圧も、使用されることができる。いくつかの実装では、高電圧増倍器回路508は、昇圧回路(図示せず)を含む。電圧制御式発振器510は、マイクロポンプのための駆動周波数を生成する。発振器510は、電圧制御され、周波数は、ポンプ100が、流量要件に基づいて、より多くまたはより少ない流体を押し出すように、外部ポンプ制御信号516によって変更されることができる。波形発生器回路512は、電極のための駆動電圧を生成する。前述のように、駆動電圧のうちのいくつかは、互いに特定の位相関係を伴うAC電圧である。波形発生器回路512は、これらの位相ならびに波形の形状を制御する。フィードバックおよび制御回路514は、マイクロポンプ内の静電容量、電圧、および/または電流の尺度を提供する信号を受信し、回路514は、フィードバック信号を生成し、回路500の波形発生器512の追加の制御を提供し、所望の性能のための駆動電圧の調節に役立つことができる。
【0063】
(デバイス内のシステムの統合)
前述のマイクロポンプシステムは、異なる製品またはデバイス内に統合され、異なる機能を果たすことができる。例えば、マイクロポンプシステムは、空気を移動させるための空気駆動機として、デバイス、例えば、コンピュータまたは冷蔵庫内のファンもしくはブロアに取って代わることができる。従来のファンまたはブロアと比較して、マイクロポンプは、より高い信頼性を伴って、より低いコストでより優れた機能を果たすことが可能であり得る。いくつかの実装では、これらの空気駆動機は、大規模並列構成において基礎レベルでホストの中に直接構築される。
【0064】
いくつかの実装では、マイクロポンプシステムは、マイクロポンプシステムが統合されるホスト製品から電力を受け取る。電力は、単一の、例えば、5V程度またはより低い比較的に低電圧の形態で、マイクロポンプシステムの駆動回路、例えば、
図5の駆動回路500に受け取られることができる。
【0065】
(システム構成)
図1A、1B、および2Dのモジュール層スタックは、並列に接続されたモジュール層として捉えられることができる。各個々のモジュール層の容積ViまたはVeは、小さい。いくつかの実装では、スタック内の全層の総容積でさえ、比較的に小さい。いくつかの実装では、複数のスタックまたはマイクロポンプは、並列に接続され、総体積流量を増加させることができる。
【0066】
同様に、個々のマイクロポンプの加圧能力も、比較的に低い。スタック内に複数のモジュール層が存在する場合でも、層は、並列に接続されるので、スタックの総圧力を増加させない。しかしながら、スタックの圧力は、複数のスタックまたはマイクロポンプが直列に接続されるとき、増加させられることができる。いくつかの実装では、直列に接続されるポンプが、異なる速度で駆動され、異なる質量流量を補償する。例えば、ツリータイプ構成における内蔵プレナムまたは配管も、異なる質量流量を補償するために使用されることができる。
【0067】
ここで
図6を参照すると、モジュール層スタック(マイクロポンプスタックとも呼ばれ得る)610a−610e、612a−612e、614a−614e、および616a−616eの行610−616、および列610’−616’および列617’が、グリッド構成600内に接続されて示される。各行610、612、614、616内のモジュール層スタックは、直列に接続される。モジュール層スタック610a−610e、612a−612e、614a−614e、および616a−616eの行610−616は、共通入力620および共通出力622を介して、並列に接続される。
【0068】
効果的に、各行内の直接に接続されたスタックは、個々のスタック圧力の総和に実質的に等しい総圧力を提供することができる。図に示される例では、各スタックが圧力0.1psiを有し、各行が5つのスタックを含む場合、総圧力0.5psiが、各行によってもたらされ、それは、グリッド600の総圧力でもある。グリッド600は、スタックの各行の流量の4倍である、総流量を有する。
【0069】
図に示される例では、スタックの各行は、1容積流(vF)の流量を有する。グリッドは、4つの並列に接続された行を含み、総流量4vFをもたらす。所望の圧力および所望の流量を達成するために、グリッド600に類似するグリッドが、直列に接続されるスタックの数と並列に接続される行の数とを選定することによって構築されることができる。
【0070】
代替として、別の直列構成は、並列ポンプの群の各段階間に配置される、共通プレナムを有する。この構成は、排出圧力、したがって、次の段階における入力圧力を等化する傾向にあろう。いくつかの実装では、スタックは、比較的に小さく、それらの多くは、小面積内に製作されることができる。グリッドの配管および配線は、個々のスタックの製作時に行われることができ、かつコスト効果的様式において行われることができる。
【0071】
(例示的用途)
前述のように、空気が、例えば、燃料電池内の電気化学反応および冷却のために使用されることができる。概して、冷却のために使用される空気の量は、反応のためのものより何倍も多い。
【0072】
図7を参照すると、流体入力700aおよび出力700bを有するマイクロポンプシステム700と統合された燃料電池が示される。前述の特徴を有するマイクロポンプシステム600(または100もしくは200)は、直接、燃料電池704を含むダイフレーム702の中に統合される。複数のダイフレームが使用されるとき、概して、ダイ間に最小間隔が存在し、この空間の一部は、追加の体積オーバーヘッドをダイに課さずに、マイクロポンプシステム600を格納するために使用されることができる。例示的燃料電池は、2004年11月9日に出願された「Fuel cell and power chip technology」と題された米国出願第10/985,736号(現米国特許第7,029,779号)に開示されており、その内容は、参照することによって、その全体として本明細書に組み込まれる。
【0073】
空気ポンプシステムの統合は、空気移動機能を、多くの、例えば、数1,000個の部品に効果的に分割し、空気を移動させるためのブロアまたはファンの必要性を最小化することができる。マイクロポンプは、低コストで大量生成され、小型サイズかつ軽量であり、合理的に強力であり、低電力を消費し、空気移動の大規模な分散を可能にすることができる。マイクロポンプシステム600は、空気(または液体)が狭い空間内で移動させられる必要がある任意の時間に使用されることができる。
【0074】
別のそのような用途は、CPUのような電子構成要素の冷却である。
【0075】
ここで
図8Aおよび8Bを参照すると、マイクロポンプ(100、200、600)は、超高温で稼働する回路/デバイス(例えば、中央処理ユニット等)、ならびに、例えば、太陽電池およびLED照明を冷却するために使用される。
【0076】
実施例として、
図8Aおよび8Bは、CPU冷却器800の上部側面図および底部側面図を示す。大型の放熱板およびファン配置の代わりに、マイクロポンプ802の1つ以上の層が、衝突効果のために、CPUに取り付けられた冷却板804に直接向けられる。いくつかの実装では、CPU冷却器800は、150ワットの熱を除去することができる。冷却器は、薄型であり、利用可能な空間が殆どないコンピュータ設計において使用されることができる。
【0077】
マイクロポンプシステムは、CPUに留められた冷却板を通して液体を圧送し、液体によって、熱を除去し、離れた場所に伝達するために使用されることができる。例えば、熱を運ぶ高温液体が、ラジエータを通して圧送されることができ、追加のマイクロポンプが、空気を吹送し、ラジエータを冷却するために使用されることができる。
【0078】
マイクロポンプシステムはまた、従来のアプローチにおいて使用される放熱板にわたって空気を吹送することができるか、または放熱板の中に内蔵されることができる。前述のように、マイクロポンプシステムは、空気をさらに押し出すための増加した圧力を提供するように構成されることができる。マイクロポンプシステムは、空気ダクトを必要とせずに、ホストデバイス全体を通して分散されることもできる。
【0079】
ここで
図9Aおよび9Bを参照すると、呼吸障害を治療するための自律的デバイス900(デバイス)が、示される。デバイス900は、CPAPタイプ(持続気道陽圧)呼吸デバイスである。しかしながら、デバイス900は、CPAP機械と異なり、要求される量の気流を要求される圧力において提供し、閉塞性睡眠時無呼吸(「OSA」)等の種々の呼吸障害を治療する鼻にのみ使用できる自律的デバイスである。
【0080】
CPAP呼吸デバイス900は、鼻リングの形態で示される。他の配置も、可能である(
図9D参照)。デバイス900は、示されるように、デバイス900の本体904内に配置される、空気入口およびマイクロポンプ600(
図6)のための通路902を有する。デバイスはまた、弁(
図10および10A−10F参照)を含み、呼気を提供し得る。ユーザの鼻の中に嵌入する、デバイス900の端部904a、904bは、通路905a、905bを介する気流、およびシーリングを提供し、それらは、電源、例えば、バッテリ(図示せず)が配置され得るリング部分903を介して接続される。
【0081】
マイクロポンプシステムは、小型であり、有意な量の空気を移動させることができるので、マイクロポンプシステムは、デバイス900の中に内蔵され、例えば、睡眠時無呼吸または閉塞性呼吸障害(OBD)を患う多くの人々に安心を提供する。デバイス900は、小型サイズ(例えば、鼻下に嵌入する)かつ軽量(例えば、数グラム程度)である、自給式デバイスであることができ、バッテリを使用して動作させられることができる。
【0082】
いくつかの実装では、デバイス900は、呼気弁(以下に論じられる)を含むことができる一方、他の実装では、呼気弁は、省略され得る。
【0083】
いくつかの実装では、デバイス900は、再充電可能であることができ、例えば、バッテリは、再充電されることができる。他の実装では、デバイスは、使い捨てであることができる。ユーザは、デバイスを夜間に装着し、それを1日毎に廃棄することができる。デバイス内の空気−金属バッテリの使用等、代替配置も、可能である。空気−金属バッテリ(例えば、空気−亜鉛)は、活性化され、ある期間の間、持続し、その後、廃棄される。
【0084】
デバイス900は、ユーザの鼻の中に嵌入するように構成され、リングの中に内蔵されたマイクロポンプ600(または100、200)から加圧された気流を供給する。デバイス900は、したがって、別のデバイス(例えば、機械)へのホースまたはワイヤを要求せず、デバイスは、約1晩の睡眠(例えば、約8時間等)の間、動作するように構成される自給式電源(例えば、バッテリ)を使用する。デバイス900は、ストラップを必要としない。デバイスは、ユーザが呼気しているとき、またはユーザが吸気する直前の一時停止状態にあるとき、ユーザの鼻の中への空気の吹送を停止するように構成されることができる。デバイス900は、呼気抵抗を排除する(近づいて来る空気に対抗する、または呼気の終了を早期に打ち切る)、呼気弁を有する。
【0085】
デバイス900は、圧力を感知し、マイクロ空気ポンプをオンおよびオフにすることができる。デバイス900は、呼吸の度および呼吸サイクル内の異なる時点で圧力を感知し、呼気サイクルの「終了」時に呼気弁を閉鎖するようにマイクロ空気ポンプの動作を構成する。このデバイスは、呼吸ベースでユーザに応答する。
【0086】
デバイス900は、小型かつ軽量であり、ユーザの鼻の下に嵌入し、ユーザの鼻内にシールをもたらし、デバイスを定位置に保持する。デバイスは、一時停止期間中の無呼吸治療および吸気期間の間の適切な低呼吸圧力範囲のための適切な圧力を提供することができる。デバイス900は、使い捨てであることができ、したがって、洗浄を要求せず、低コストであることができる。さらに、既存のCPAP機械と比較したその相対的快適性に起因して、デバイス900は、デバイスが、快適であり、ストラップ、マスク、またはテザーを要求しないので、コンプライアンスを促進する。
【0087】
ここで
図9Cを参照すると、CPAPデバイス960のための代替構成の概念図が、示される。この構成では、CPAPデバイス960は、966として示され、ここでは、57個の構成要素のポンプ要素を有するマイクロポンプ600を格納する本体962と、呼気弁(
図10A−10F参照)とを含む。CPAPデバイス960は、鼻用インターフェースを提供するプラグを通した空気通路を伴うクッションプラグ964a、964bを有する。クッションプラグは、ユーザの鼻孔の中に挿入されると、緊密な嵌入をもたらす通常ゴム状材料から作製される。CPAPデバイス960は、空気の呼気のための1つまたは示されるように2つの出口968a、968bを有する。
【0088】
ここで、例えば、
図9A−9Cに示される構成の概略図である、
図10を参照すると、呼気弁980が、CPAPデバイス900または960内のマイクロポンプ600(ポンプ966)に結合されている。呼気弁980は、示されるように、マイクロポンプ600(100または200も同様)とデバイス900の入口964a、964bおよび出口968a、968bとの間に結合される。呼気弁980は、バタフライ構成であり、マイクロポンプからの気流を使用して、呼気の終了/呼吸における一時停止の開始時および呼気の開始時に弁980を閉鎖し、呼気弁980は、マイクロポンプが呼気弁980に空気を吹送する場合でさえ開放する。
【0089】
デバイス900は、弁980を押し閉じるために必要とされるマイクロポンプ600の気流の量を選択するように構成される。マイクロポンプ600からの圧力は、呼気に先立って、呼気弁980を閉じたまま保持するであろう。ユーザからの呼気気流は全て、呼気弁980に印加され、呼気弁980を開放させる。弁のフラップの形状は、呼気中、呼気弁980を開放したままにすることを補助するために最適化され得る。加えて、弱い磁気も、設計の詳細に応じて、呼気弁980を開放または閉鎖したままにするために使用され得る。ユーザからの呼気空気は、呼気弁980を閉鎖したままにするためのマイクロポンプからの最小量の気流に打ち勝つために概して十分であろう。
【0090】
ここで
図10A−10Fを参照すると、概念的呼気弁980の種々の図が、示される。
図10A−10Fは、呼気弁980のために使用されるバタフライ弁構成を示す。弁980が、図示され、本体981と、入口982と、ポート984aおよび984b(984bは、
図10Fの図のみに示される)と、出口ポート985と、弁フラップ986とを含む。フラップ弁986は、軸方向部材988の周りに回転可能であり、大矢印989によって示されるポート984a、984bと出口ポート985との間の通路を開閉する。マイクロポンプ600は、フラップ弁986を閉鎖するために入口982を通して空気を印加する。
図10および
図9Cの状況では、入口982は、マイクロポンプの出力に結合され、ポート984a、984bは、プラグ964a、964b(空気通路を伴う)に結合され、出口は、出口968a、968bの一方または両方に結合される。
【0091】
弁は、種々の構成であることができる。例えば、2015年2月26日に出願され、参照することによって本明細書に組み込まれる、本願の出願人の係属中の特許出願第14/632,423号に論じられるように、スライディング弁(「T弁」)は、出力ポート上で使用されることができ、スライディング弁(「オメガ弁」)は、マイクロポンプ、例えば、200(
図2B)のチャンバへの入力ポート上で使用されることができる。チャンバ209は、ポンプ本体204と、膜206(
図2B)(またはポンプ本体の端部壁)とから生成されることを思い出されたい。
【0092】
ここで
図11Aおよび11Bを参照すると、スライディング弁を伴うマイクロポンプの代替実装1000が、示される。詳細が、出力ポート上で使用される例示的スライディング弁1010(「T」または「タウ」弁)と、マイクロポンプ(例えば、200(
図2B))のチャンバ(例えば、209)への入力ポート上で使用されるスライディング弁1020(「オメガ弁」)とに対して示される。「T」または「タウ」弁は、「T」(またはギリシャ文字「タウ」)の形状における移動可能部材を有する一方、オメガ弁は、ギリシャ文字「オメガ」の形状における移動可能部材を有する。
【0093】
チャンバ209は、ポンプ本体204と、膜206(
図2B)(またはポンプ本体の端部壁)とから生成されることを思い出されたい。
図11Aでは、ポンプ本体204を生成するために使用される材料1000の一部は、マイクロポンプチャンバの出力ポートとなるであろうT弁1010を提供する。T弁1010は、出力ポートを閉鎖するための弁を提供する平坦部材1012を含み、平坦部材1012は、領域1018から形成されるコンパートメント1017内に常駐するステム部材1014に接続される。チャンバからの出口は、領域1016によって提供される。
【0094】
図11Aでは、ポンプ本体204を生成するために使用される材料1000の別の部分は、マイクロポンプチャンバの入力ポートとなるであろうオメガ弁1020を提供する。オメガ弁1020は、入力ポートを閉鎖する弁を提供する水平アーム1024aを伴って、かつ垂直アーム1024bを有するオメガ形状の部材1024を伴って略半円形であるオメガ形状の部材1024のための停止部を提供するピストン状部材1022を含む。オメガ形状の部材は、ピストン状部材1022によって、ピストン部材1022とオメガ部材1024との間に形成される領域(参照せず)に封じ込められる。チャンバからの入口は、領域1026によって提供される。
【0095】
ここで
図11Bを参照すると、エッチングされた本体1000’は、出力ポート上のスライディング弁1010(「T弁」)と、入力ポート上のスライディング弁1020(「オメガ弁」)とを有し、これらは、示されるように、エッチングライン1002によって案内される本体の材料から、チャンバに加えられる圧力に従って、スライディング弁1010および1020の各々を非常に制限された領域内で自由に移動させるが、制限された領域外では自由に移動させないように過剰材料を除去することによって形成される。
図11Bに示されるように、コーナーにおけるエッチングライン1002によって画定されたダイカットラインに沿ってポンプ本体をダイカットすることは、ピストン状部材1022を本体から分離し、T部材のステムを本体から分離する。T弁1010は、出力ポートを閉鎖するための平坦部材1012を有し、1016および1017によって画定された領域内に封じ込められる一方、オメガ弁1020は、領域1026および領域1027によって封じ込められる。
【0096】
図11Cおよび11Dは、より高い拡大率において、出力ポート上のスライディング弁1010(「T弁」)と、入力ポート上のスライディング弁1020(「オメガ弁」)とを示す。
【0097】
いくつかの実装では、マイクロポンプシステムはまた、膜間の静電容量を測定することによって、膜間の距離を感知するために使用されることができる。マイクロポンプは、電極を含み、それらの各対は、静電アクチュエータを形成し、それは、事実上、ある距離離れた2つの伝導性板(すなわち、電極)を有する可変コンデンサである。電圧が2つの電極を横断して印加されると、電極は、互いに向かって、または互いから離れるように移動する。電極間の距離が変化するにつれて、静電容量も変化する。静電容量は、電極が近づくにつれて増加し、電極が離れるにつれて減少する。故に、一対の電極間の静電容量は、対間の距離についての情報を提供することができる。
【0098】
いくつかの実装では、情報は、システムのいくつかのパラメータを決定するために適用されることができる。例えば、圧力、体積、流量、および密度を含む、数量が、測定されることができる。犠牲充填材料が、以下に説明されるR2R処理では使用される。いくつかの実装では、溶媒が、製造プロセスにおいて使用され、それは、マイクロポンプの種々の他の材料に追加の要件を課し得る。いくつかの実装では、電気回路構成要素が、膜の中に印刷される。リリース材料が、フラップ弁のフラップ移動を可能にするために使用される。概して、ある材料が、上記で規定されたが、述べられたものと類似特性を有する他の材料も、使用され得る。
【0099】
(マイクロポンプおよびフラップ弁を生成するためのロール・ツー・ロール処理)
図12を参照すると、ロール・ツー・ロール処理ラインの概念図が、図示される。処理ラインは、いくつかのステーション、例えば、ステーション1からステーションnを備え(それは、封入チャンバであるか、またはそれを含むことができる)、そこで、堆積、パターニング、および他の処理が生じる。したがって、処理は、大まかに見ると、追加的(所望とされる場所に正確に材料を追加する)または除去的(材料を追加し、所望とされる定位置において材料を除去する)であることができる。堆積処理は、必要に応じて、蒸発、スパッタリング、および/または化学蒸着(CVD)、ならびに印刷を含む。パターニング処理は、要件に応じて、パターニングされている特徴の分解能に応じた走査レーザおよび電子ビームパターン発生、機械加工、光学リソグラフィ、グラビア印刷、およびフレキソ印刷(オフセット)印刷等の技法を含むことができる。インクジェット印刷およびスクリーン印刷が、導体等の機能材料を配置するために使用されることができる。インプリンティングおよびエンボス製作等の他の技法も、使用されることができる。
【0100】
元々の未製作材料ロールは、可撓性材料のウェブのものである。ロール・ツー・ロール処理では、可撓性材料のウェブは、任意のそのような材料であることができ、典型的には、ガラスまたはプラスチックもしくはステンレス鋼である。これらの材料(またはその他)のいずれも使用され得るが、プラスチックは、ガラスおよびステンレス鋼より低いコスト考慮の利点を有し、CPAPタイプ(持続的気道陽圧)呼吸デバイス(
図9)において使用されるとき、マイクロポンプの生成のための生体適合性材料である。例えば、電子構成要素のための冷却構成要素としてのマイクロポンプの他の用途では、ステンレス鋼等の他の材料または遭遇する温度に耐え得る他の材料、例えば、遭遇する温度に耐え得るTeflon(登録商標)および他のプラスチックが、使用されるであろう。
【0101】
ここで
図12Aを参照すると、
図2A−2Dに示される構造に対して、ロール・ツー・ロール処理構造内のステーションは、要求される処理に従って設定される。したがって、ポンプ端部キャップおよび上部キャップは、
図12のウェブまたはプラスチックシート上に形成され得るが、一実装では、端部および上部キャップは、説明されるであろうように、マイクロポンプスタックの形成後に提供される。
【0102】
プラスチックウェブは、ポンプ本体204(
図2B)を支持するために使用され、堆積ステーション280におけるウェブ上への材料の堆積の後、パターニングステーション282が続く。ポンプ本体204ならびにフラップ弁214のためのストッパ218およびフラップ220(
図2B)は、形成ステーション284において、ポンプ本体204内に形成される。一実装では、ステーション286が、犠牲材料を堆積し、フラップを本体に保持するために提供される。ポンプ本体204とフラップ弁214のための形成されたフラップ220とを有するウェブ(
図2A)は、ステーション290においてポンプ本体204を覆って膜を堆積される。膜206を覆って電極210が堆積ステーション292において堆積され、これは、パターニングステーション294においてパターニングされる。
【0103】
フラップ220は、ポンプ本体204に取り付けられる一端222と、ストッパ218およびポンプ本体204に対して移動可能な別の端部224とを有する。フラップは、ポンプ本体のために使用される同じ材料を使用して、ポンプ本体内に形成される。フラップ220、232のための材料は、その形状を保持するために十分に強固または剛であるが、フラップ220、232が、所望に応じて、移動することを可能にするために十分に弾性的である必要がある。材料は、その特徴が、画定され、機械加工/現像され得るように、エッチング可能または感光性である。材料は、例えば、ポリマーまたは超音波溶接を介して、マイクロポンプ内の他の材料と相互作用し、例えば、接着する。さらに、材料は、非電導性である。好適な材料の例として、SU8(ネガティブエポキシレジスト)およびPMMA(ポリメタクリル酸メチル)レジストが挙げられる。
【0104】
膜206上に支持されたパターニングされた電極210を有する膜シート206が、ポンプ本体を覆って適用される。駆動電圧を各膜上の電極206に伝導するための電気相互接続が、伝導性材料、例えば、金、銀、および白金層(または銀インク等の伝導性インク等)を堆積することによって提供される。いくつかの実装では、電気回路構成要素のいくつかは、膜上に印刷される。
【0105】
マイクロポンプを製造時、犠牲充填材料、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)が、採用されることができる。犠牲充填材料は、必要とされる場合、処理中、膜をポンプ本体の上に支持するために使用されることができる。溶媒が、次いで、製造プロセスにおいて使用され、続いて、この犠牲充填材料を除去するであろう。
【0106】
マイクロポンプユニット(ポンプ本体ならびに電極および電気接続を伴う膜)を有するロールは、ダイスカットされ、マイクロポンプユニットは、回収され、マイクロポンプユニットのスタックに組み立てられ、端部および上部キャップを含むことによってパッケージ化され、マイクロポンプ(例えば、
図2A)を提供する。ウェブ上のポンプユニットのレイアウトに応じて、ポンプユニットのウェブを、膜層上に提供される電極とともに、ポンプユニットのスタックの中に折り重ねることも可能であり得る。
【0107】
膜材料は、所望の距離にわたって前後に曲がることまたは伸びることが要求され、したがって、弾性特性を有する。膜材料は、ガスおよび液体を含む流体に不浸透性であり、非導電性であり、高破壊電圧を保有する。好適な材料の例として、窒化ケイ素およびTeflon(登録商標)が挙げられる。
【0108】
電極の材料は、導電性である。電極は、有意な電流を伝導しない。材料は、高電気抵抗を有することができるが、高抵抗特徴は、必ずしも、望ましくはない。電極は、膜に伴って曲がりおよび伸びを受け、したがって、材料は、疲労および破壊を伴わずに、曲げおよび伸びに対処するために柔軟であることが望ましい。加えて、電極材料および膜材料は、良好に接着し、例えば、動作条件下、互いから剥離しない。好適な材料の例として、例えば、金、銀、および白金層(または銀インク等の伝導性インク等)が挙げられる。リリース材が、弁移動を可能にするために使用されることができる。好適なリリース材として、例えば、上で述べられる犠牲充填材料が挙げられる。
【0109】
図13A−13Dを参照すると、モジュール化されたマイクロポンプ200(
図2A)を提供するための代替ロール・ツー・ロール処理アプローチが、示される。マイクロポンプ200は、動作時に移動可能であり、製造中、支持体から解放可能であり得る特徴を有する。これらの特徴として、膜(曲がる)およびフラップ(曲がるかまたは揺動するフラップ弁における)、または代替として、解放することが可能なスライド可能弁(
図12A−12D)が挙げられる。この議論では、スライドし、解放される特徴(
図12A−12Dのタウおよびオメガ弁のタウおよびオメガ部分)を有する弁に焦点が当てられるであろう。本明細書に開示される技法を使用してロール・ツー・ロール処理ラインにおいて生成され得る、他のタイプの微小電気機械システムは、動作時に移動可能である、他の特徴、例えば、スライドおよび回転する特徴の例であるロッドまたはギヤを有するであろう。これらの特徴はまた、以下に説明されるように、処理中、解放される。
【0110】
マイクロポンプ260は、ロール・ツー・ロール処理を使用して製作され、材料の未製作シート(または複数の未製作シート)が、特徴がシート(または複数のシート)に適用されるように複数のステーションを通して通過され、シート(または複数のシート)は、続いて、繰り返すことが可能な複合層(
図2A−2D参照)の部品を形成し、最終的に、製作されたマイクロポンプ(または移動可能および/または解放可能特徴を有する他の構造)の複合シートを生成するために巻き取られる。
図12A−12Bのマイクロポンプの実装では、ロール・ツー・ロール処理は、構築された微小電気機械システム内を自由に移動可能である(例えば、自由に移動する)、特徴を提供する。
【0111】
図13Aを参照すると、ガラスまたはプラスチックもしくはステンレス鋼等の可撓性材料のシート304が、ウェブとして使用される。マイクロポンプ(スライディング弁またはフラップ弁のいずれかを伴うマイクロポンプ200(
図2A−2D))の特定の実装に対して、材料は、プラスチックシート、例えば、テレフタル酸ポリエチレン(PET)であり、それは、シート304の主要表面を覆って、金属、例えば、アルミニウム(Al)の層304aを提供される。
【0112】
シート304は、100Å(オングストローム)厚を有するアルミニウムの薄金属層304aでコーティングされたPET(Teflon(登録商標))の50ミクロン厚シートである。他の厚さも、使用され得る(例えば、シート304は、例えば、25ミクロン〜250ミクロン(またはそれを上回る)の厚さを有し得、層304aの厚さは、50Å〜500Å(またはそれを上回る)であり得る)。厚さは、構築されるべき微小電気機械システムの所望の特性およびロール・ツー・ロール処理ラインの取り扱い能力に基づいて予測される。これらの考慮は、最大厚さに実践的限定を提供するであろう。同様に、最小厚さも、構築されるべき微小電気機械システムの所望の特性およびロール・ツー・ロール処理ラインにおいて非常に薄いシートを取り扱うための能力に基づいて予測される。
【0113】
微小電気機械システムがマイクロポンプである例に対して、層は、前述のように、ポンプ本体に対して、約50ミクロン、マイクロポンプ200の膜要素に対して、5ミクロンの厚さを有するであろう。しかしながら、マイクロポンプに対しても、他の厚さが可能である。金属層304aは、蒸発または他の技法等の種々のアプローチによって提供される。そのような金属化フィルムはまた、市販されている。
【0114】
金属の層304aを伴うロール(図示せず)からのシート304は、アブレーションステーション、例えば、レーザアブレーションステーション1においてパターニングされる。マスク(図示せず)は、マイクロポンプユニット、すなわち、本体、領域1018、領域1022および1024bを形成するために使用されるであろうシート304のそれらの部分から金属層304aを除去するが、スライディング弁(
図11A−11Dに示されるように)を伴うマイクロポンプの場合、
図13A−1に詳細に示されるように、タウおよびオメガ弁の「T」(またはタウ)(1017、
図11C)および「オメガ」形状の部材(1026、
図11D)である最終的に移動可能部品となるであろうシートの部分のみに金属304’を残すように、レーザアブレーションステーションを構成するために使用される。随意に、金属304’はまた、
図13A−1に詳細に示されるように、不必要なアブレーションにおける時間/費用を節約するために、種々の構造が製作されないシートのそれらの無関係な部分の上にも残されることができる。
【0115】
タウ弁のタウ部分およびオメガ弁のオメガ部分となるであろう、シート部分上に残された金属は、それらの特徴が、それぞれの弁内で移動することを可能にする。この技法は、以下に論じられるように、プラスチック層の積層中、プラスチックが、後続積層技法によって採用されるであろう条件に基づいて金属に積層しないであろうという認識に依拠する。しかしながら、これらの条件下、プラスチックは、下層のプラスチックに粘着するであろう。定義される条件は、積層中、PETを溶融させずに、静電機構によってプラスチックに下層のプラスチックに粘着させるために十分である熱、圧力、および時間を含む。
【0116】
ここで
図13Bを参照すると、T弁のT部分(1017、
図12D)およびオメガ弁のオメガ部分(1026、
図12D)に整列するであろうシート部分上と、随意に、無関係部分上とに残された金属304a’を伴うシート304が、微小機械加工される。第2のマスク(図示せず)が、
図11A−11Dのマイクロポンプのコンパートメントおよび弁部材(
図13B内の領域306として示される)ならびに整列孔(図示されないが、以下に論じられるであろう)を画定または形成するように、第2のレーザアブレーションステーションを構成するために使用される。ビアも、示されるように、電気接続のために提供される。微小機械加工は、ポンプ本体のフレーム部分を残しながら、プラスチックをアブレーションし、マイクロポンプのコンパートメントを形成し、また、概して、アイテム306’に対して示されるように、弁のための封じ込め構造を形成する。
【0117】
ここで
図13Cを参照すると、T弁のT部分(1017、
図12D)およびオメガ弁のオメガ部分(1026、
図12D)の画定された特徴と、コンパートメントとを伴うシート304が、積層ステーションにおいて、第2のシート308、例えば、シートの上部表面上に100AのAlの第2の金属層310を伴う、PETの5ミクロン厚シートに積層される。この第2のシート308は、コンパートメントおよび弁領域の画定された特徴によって提供されるポンプ本体の上に膜を形成する。第2のシートも、金属層のコーティングに先立って、またはそれに続いて、整列孔(図示せず)を提供するように機械加工される。
【0118】
第1のシート304への第2のシート308の積層に先立って、第2のシート308はまた、いくつかのエリアの上にポンプ本体構造と整列するであろういくつかの無作為に分散された孔(図示せず)を提供される。これらの無作為に分散された孔は、第1のシート304上のポンプ本体ユニットの下層特徴を明らかにし、認識するために、マシンビジョンシステムによって使用される。データは、無作為孔を通して第1のシート内で認識された特徴を記録することによって生成される。これらのデータは、ポンプ本体(以下に論じられる)の上の層から電極を形成するとき、およびタウおよびオメガ特徴の上の領域内に金属パッドを形成するとき、第3のアブレーションステーションを整列させるために使用されるであろう。
【0119】
第2のシート308は、第1のシート304上にプラスチックが存在し、第2のシート308上にもプラスチックが存在するエリア内では、第1のシート304に積層され、したがって、粘着(または接着)するが、第1のシート304上に金属が存在し、第2のシート308上にプラスチックが存在する場所では、第1のシート304に接着または粘着しない。この選択的粘着は、前述の積層条件のために生じる。これは、マイクロポンプ内の移動可能部材、例えば、
図12A−12Dのタウおよびオメガ構造が、自由に移動することを可能にする。
【0120】
この時点で、マイクロポンプの繰り返し可能なユニット、例えば、ポンプ本体および移動可能かつ解放可能な特徴の複合シート310が、膜とともに形成されるが、電極は、膜上の層から形成されない。シートと接触するであろう特徴上の金属の使用によって提供されるこの選択的粘着は、そのような移動可能特徴を含む他の微小電気機械システム内のフラップ弁上のフラップ、ビーム、カンチレバー構造、ギヤ等の他の移動可能特徴を提供するためにも使用されることができる。
【0121】
マシンビジョンシステムは、レーザアブレーションシステムからのレーザビームが、電極がポンプ本体の対応する部分と位置合わせされた状態で、第4のマスクに従って電極210(
図2B)を提供するように、第3のレーザアブレーションステーションを第4のマスクと整列させることにおいてレーザアブレーションシステムによって使用されるデータファイルを生成する。電極は、電極および導体の部品ではない領域内の金属をアブレーションし、分離された電極および導体をシート上に残すことによって形成される。ポンプ本体へのパターニングされた電極の位置合わせは、したがって、マシンビジョンシステムを使用して、産業において一般に見出される技法を使用してレーザアブレーションシステムがレーザビームと第4のマスクを整列させるために使用する位置付けデータを提供する、積層された構造の正面側の特徴を観察することによってもたらされる。
【0122】
ここで
図13Dを参照すると、複合シート310が、膜を形成した第2のシート上に堆積される100ÅAl層をアブレーションすることによって電極を形成するために、第3のレーザアブレーションステーションに給送される。複合シート310は、第4のマスク(
図14)に従ってパターニングされ、ポンプ本体の対応する領域の上に電極を画定する。第3のアブレーションステーションは、金属を第2の層からアブレーションし、分離された電極をシート上に残す。
【0123】
ここで
図14を参照すると、第3のレーザアブレーションステーションを構成し、電極210(
図2B)を提供するために使用される、第4のマスク320が、示される。この第4のマスクは、膜上の電極210(
図2B)および導体212(
図2B)、整列孔334、および切断ライン336を示すように見られ得る。電極(
図13D)を伴うこの複合シート320は、あるステーション(図示せず)に給送され、そこで、シートは、
図14に示されるように、切断ライン336に沿って切断される。
図13A−13Dの処理ステップの各々から提供される整列孔334は、これらのシートからの切断されたダイの各々を整列させ、
図2Dにおけるようなポンプ本体のスタックを生成するための機構を提供するために使用される。
【0124】
水平なベースに搭載される垂直な4つの支柱を備え得る治具(図示せず)が、切断されたダイの個々のものをスタックするために使用される。治具上に、端部キャップ(例えば、金属層を伴う50ミクロンPETシート)が、提供され、端部キャップの上に第1の繰り返し可能なユニットが、提供される。繰り返し可能なユニットは、スポット溶接され(局所加熱源を印加する)、ユニットを治具上で定位置に保持する。各繰り返し可能なユニットが前の繰り返し可能なユニットの上にスタックされると、そのユニットは、スポット溶接される。スタックは、スタックの一方の側にT弁およびスタックの他方の側にオメガ弁を有することによって提供され、スタックは、スタック内の弁の各々を分離する固体表面を有するように、弁の配置から生じる結果として交互される(
図2D参照)。スタックが完了すると、上部キャップ(図示せず)が、提供されることができる。スタックユニットは、積層ステーション(図示せず)に送られ、そこで、スタックは、積層され、繰り返し可能なユニットおよびキャップ全てを一緒に積層する。端部キャップおよび上部キャップは、パッケージングの部品であることもできる。別様に、繰り返し可能なユニットの組は、対で積層されることもできる。
【0125】
モジュール化されたマイクロポンプ260は、ポンプ260の端部コンパートメントを形成するためのモジュール層から成る。モジュール層の各々は、固定されたポンプ壁(
図1A、1Bの壁106、108に類似する)を形成するポンプ端部キャップを含む。電極が、コンパートメントを活性化するために、ポンプ端部キャップに取り付けられる。電極は、駆動回路(図示せず)に接続するための導線(図示せず)を含む。スタックの積層後、スタックユニットは、個々のマイクロポンプを形成するためにダイスカットされる。
【0126】
アセンブリのための他のスタック技法も、整列孔334の有無にかかわらず、可能である。
【0127】
本明細書に説明される異なる実装の要素は、上記に具体的に記載されない他の実施形態を形成するように組み合わせられ得る。要素は、その動作に悪影響を及ぼさない限り、本明細書に説明される構造から排除され得る。さらに、種々の別個の要素は、本明細書に説明される機能を行うように、1つ以上の個々の要素の中に組み合わせられ得る。他の実施形態も、以下の請求項の範囲内である。