(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記波長変換装置は、前記励起光により前記波長変換層に入射された光スポットが所定の経路に沿って前記波長変換層に作用するように、前記波長変換層及び乱反射基板を動かせるように駆動する駆動装置を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
前記鏡面反射板の反射率はRであり、前記乱反射層は前記第3表面に入射された入射光を部分的に乱反射し、乱反射された光を前記第3表面及び第4表面から出射し、乱反射された、前記第3表面から出射された光が前記第3表面に入射された入射光を占める比率はPであり、且つ、(1−R)(1−P)≦0.1、ここで、R≧50%であることを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
前記波長変換層は第1ガラス材料及び波長変換材料を含み、前記乱反射層は第2ガラス材料及び白色乱反射材料を含み、且つ、前記第1ガラス材料の融点は前記第2ガラス材料の融点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
第1光源及び請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の波長変換装置を含み、前記波長変換装置の第1表面が受け取った前記励起光は第1光源からであることを特徴とする発光装置。
前記第1光源はレーザ光源であり、前記レーザ光源はレーザ励起光を前記波長変換装置の第1表面まで出射し、前記波長変換装置は前記レーザ励起光を受け取り、前記レーザ励起光を部分的に被励起光に変換し、且つ、吸収されなかった前記レーザ励起光を乱反射し、前記被励起光及び前記残った部分のレーザ励起光は前記第1表面から出射されることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、耐高温で且つ高反射率の反射式波長変換装置及び関連する発光装置、投影システムを提供することである。
【0006】
本発明は、対向する第1表面及び第2表面を含む波長変換層と、波長変換層と積層設置された乱反射基板とを備える波長変換装置を提供する。
【0007】
前記第1表面は励起光を受け取り、前記波長変換層は前記励起光を吸収し、被励起光を生成し、前記被励起光又は前記被励起光と前記励起光との混合光を第1表面及び第2表面から出射する。
【0008】
前記乱反射基板は積層設置された乱反射層及び基板を含み、
前記波長変換層、前記乱反射層及び前記基板は、順次に積層されて密着し、前記乱反射層は白色乱反射材料を含み、前記基板と前記波長変換層との間に位置し、前記基板上に固定されており、前記白色乱反射材料は入射光を乱反射する。
【0009】
前記乱反射層における、前記波長変換層に近い表面は前記乱反射基板の第3表面であり、前記乱反射層における、前記第3表面に対向する表面は第4表面であり、前記乱反射層は前記第3表面の入射光を部分的に乱反射し、乱反射された光を前記第3表面及び第4表面から出射し、前記第3表面の入射光の残った部分を前記第4表面から透過し、前記基板は一つの鏡面反射板であり、前記乱反射層の第4表面から前記反射板に入射された光を前記第4表面に折り返し反射する。
【0010】
好ましくは、前記波長変換装置は、前記励起光により前記波長変換層に入射された光スポットが所定の経路に沿って前記波長変換層に作用するため、前記波長変換層及び乱反射基板を動かせるように駆動する駆動装置を更に含む。
【0011】
好ましくは、前記鏡面反射板の反射率はRであり、前記乱反射層は前記第3表面の入射光を部分的に乱反射し、乱反射された光を前記第3表面及び第4表面まで出射し、且つ、乱反射された前記第3表面から出射された光が前記第3表面の入射光を占める比率はPであり、且つ、(1−R)(1−P)≦
0.1、ここでR≧50%。
【0012】
好ましくは、前記波長変換層は第1ガラス材料及び波長変換材料を含み、前記乱反射層は第2ガラス材料及び白色乱反射材料を含み、且つ、前記第1ガラス材料の融点は第2ガラス材料の融点よりも低い。
【0013】
好ましくは、前記波長変換層は波長変換材料及び無機接着剤を含み、前記無機接着剤は前記波長変換材料を一体に接着する。
【0014】
本発明は、第1表面により受け取られた励起光が第1光源からである上述した波長変換装置を含む発光装置を更に提供する。
【0015】
好ましくは、前記第1光源はレーザ光源であり、該レーザ光源はレーザ励起光を前記波長変換装置の第1表面まで出射し、前記波長変換装置は前記レーザ励起光を受け取り、当該レーザ励起光を部分的に被励起光に変換し、吸収されなかったレーザ励起光を乱反射し、前記被励起光と残った部分のレーザ励起光は前記第1表面から出射する。
【0016】
好ましくは、発光装置は第2光源及び光合成装置をさらに含む。
【0017】
前記第1光源はレーザ光源であり、第1色光を出射し、前記第2光源はレーザ光源であり、第2色光を出射し、前記第1色光は励起光である。
【0018】
前記光合成装置は第1領域及び第1領域の回りを取り囲んでいる第2領域を含み、前記第1色光及び第2色光は同一方向から前記光合成装置の第1領域まで入射する。
【0019】
前記第1領域は前記第1色光及び第2色光を透過させる光学性質を有し、且つ、前記第2領域は前記被励起光及び第2色光を反射する光学性質を有し、前記第1色光及び第2色光は第1領域により波長変換装置の第1表面まで透過される。
【0020】
または、前記第1領域は第1色光及び第2色光を反射する光学性質を有し、且つ、前記第2領域は前記被励起光及び第2色光を透過させる光学性質を有し、前記第1色光及び第2色光は第1領域により波長変換装置の第1表面まで反射される。
【0021】
前記被励起光又は前記被励起光と吸収されなかった前記第1色光との混合光は前記第1表面から光合成装置まで出射し、前記波長変換装置は前記第2色光を吸収せず、前記第2色光を乱反射した後、前記第1表面から前記光合成装置まで出射する。
【0022】
好ましくは、前記発光装置は第2光源及び光合成装置をさらに含む。
【0023】
前記第1光源は第2光源の回りを取り囲んでおり、前記第1光源は前記第1色光を出射し、前記第2光源はレーザ光源であり、前記第2色光を出射し、前記第1色光は励起光である。
【0024】
前記光合成装置は前記第1領域及び前記第1領域の回りを取り囲んでいる第2領域を含み、前記第1色光及び第2色光は同一方向からそれぞれ前記光合成装置の第2領域及び第1領域まで入射する。
【0025】
前記第1領域は前記第2色光を反射する光学性質を有し、且つ、前記第2領域は前記第1色光を反射し、前記第2色光及び被励起光を透過させる光学性質を有し、前記第1色光及び第2色光はそれぞれ前記第2領域及び第1領域により前記波長変換装置の第1表面まで反射される。
【0026】
または、前記第1領域は前記第2色光を透過させる光学性質を有し、且つ、前記第2領域は前記第1色光を透過させ、前記第2色光及び前記被励起光を反射する光学性質を有し、前記第1色光及び第2色光はそれぞれ前記第2領域及び第1領域により前記波長変換装置の第1表面まで透過される。
【0027】
前記被励起光又は前記被励起光と吸収されなかった前記第1色光との混合光は前記第1表面から前記光合成装置まで出射し、前記波長変換装置は前記第2色光を吸収せず、前記第2色光を乱反射した後、前記第1表面から前記光合成装置まで出射する。
【0028】
本発明は上述した発光装置を含む投影システムをさらに提供する。
【0029】
従来技術と比べ、本発明の実施例は以下のような有益的な效果を有する。
【0030】
本発明の実施例において、波長変換層の第2表面の出射光は乱反射基板の第3表面まで入射し、乱反射基板により乱反射された後、再び第3表面から第2波長変換層の第2表面に戻る。最終的に、全ての光は波長変換層の第1表面から出射する。乱反射で少なくとも一部の鏡面反射を替えることで、高温において、鏡面反射の効率が低下しても、白色乱反射材料の乱反射作用が変わらず、乱反射基板の乱反射の効率も低下しない。よって、全体の反射率も大きく低下しないので、波長変換装置の光利用率が比較的高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
従来技術における反射式波長変換装置はいずれも高反射層がメッキされた金属板を含み、例えば、銀メッキ層又はアルミメッキ層であり、これらはいずれも高反射層を利用して入射光を鏡面反射することで反射式を実現している。例えば、アルミ反射板の場合、それは研磨されたアルミニウム板であってもよく、その表面の酸化“灰色に発色する”を遅延させるため、その表面には1層の透明の酸化物薄膜をメッキすることで空気を遮断することができる。反射率をさらに向上するため、アルミ反射板に対しては、研磨されたアルミニウム板の表面に1層の高純度のアルミ膜(アルミメッキ層)をメッキした後、1層の透明の酸化膜を更にメッキしても良く、この場合、アルミ反射板の反射率は90%以上に達することができる。
【0033】
高反射層がメッキされた金属板が広く応用されている原因は、鏡面反射において、光線は反射の法則に従うため、鏡面反射は、光学において光を制御することが可能であり、入射光の光分布を変えないことにある。光線に対する制御は光学設計の本質要求であり、例えば、投影光源において、光を一定の方向で発射するように制御する必要がある。一方で、波長変換層は被励起光を生成すると同時に、大量の熱も生じるため、背板は、優れた熱伝導性を有する必要があり、金属板は優れた熱伝導性を有することによって、波長変換層の温度を低下させることができる。
【0034】
しかしながら、本発明者は、励起光の光パワーが非常に大きい場合、蛍光体層が黒く発色することがあり、それとともに、波長変換装置の出光率は大きく低下することが実験により分かった。励起光の光パワーが次第に大きくなると、蛍光体の温度がますます高くなり、ひいては100度以上に達する恐れがあることは、さらに分析することにより分かった。この場合、銀メッキ層は、長時間高温において使用されると、酸化されて黒く発色するので、反射率は低下してしまう。アルミメッキ膜で銀メッキ膜を替えることが可能であるが、アルミメッキ膜の効率は明らかに低くなり、長時間高温において使用されると、黒くならないが、酸化されることにより、“灰色に発色する”ことがあるため、反射率は80%以下まで低下してしまう。よって、銀メッキ層及びアルミメッキ層はいずれも酸化されやすいので、入射光に対する反射率が低下して光の利用効率に影響を与えてしまう。ところが、現在、銀メッキ層及びアルミメッキ層より適切な反射材料を見つけることが難しく、普通の技術工程により酸化の問題を解決することも難しい。
【0035】
本発明は斬新な考え方を利用してこの問題を解決する:乱反射で鏡面反射を替え、すなわち、乱反射材料(例えば、白色酸化物)で高反射層を替えて反射作用を実現し、高反射層の酸化による問題を避け、さらに、乱反射材料は基本的に入射光を吸収しないため、光を損失しない。具体的に、乱反射材料は入射光を乱反射することができ、乱反射された光はランバーシアン分布であり、そのうちのおよそ50%の光は入射方向と反対する方向に沿って伝播し、残った50%の光は入射方向に沿って伝播する。しかしながら、乱反射材料が十分に厚い場合、入射光が複数回乱反射されて最終的に全て反射される。また、乱反射材料により乱反射された光はランバーシアン分布であり、波長変換材料の出射光の分布と同じであるため、波長変換装置の出射光の光分布に影響を与えない。
【0036】
以下、図面及び実施形態を参照しながら、本発明の実施例を詳しく分析する。
【0037】
図2は本発明における波長変換装置の一つの実施例にかかる構造模式図であり、
図2に示すように、波長変換装置は積層設置された波長変換層210及び乱反射基板220を含む。
【0038】
波長変換層210は対向する第1表面210a及び第2表面210bを含み、第1表面210aは励起光を受け取る。波長変換層210には、波長変換材料が設置されており、波長変換材料は励起光を吸収して被励起光を生成することができる。被励起光はランバーシアン分布であり、第1表面210a及び第2表面210bから出射される。ここで、具体的に、波長変換材料は蛍光体であり、本発明における他の実施形態において、波長変換材料は波長変換能力を有する量子点、蛍光染料などの材料であることも可能であり、蛍光体に限定されるものではない。
【0039】
実際の応用の中で、波長変換材料は一般的に接着剤により一体に接着されており、最もよく用いられているのはシリカゲル接着剤であり、その化学性質は安定で、比較的高い機械強度を有する。但し、シリカゲル接着剤に耐えられる温度は比較的低く、通常300℃から500℃までである。高出力の発光装置に応用されるため、好ましくは、無機接着剤で波長変換材料を一体に接着することができ、例えば、水ガラス又はガラス粉により、耐高温の反射式蛍光体ホイールを実現する。例えば、一定の不活性ガス雰囲気による保護の元で、蛍光体及びガラス粉(温度に対する要求が低い場合、低温ガラス粉を使用することができる)を溶解混合し、成形を行う。
【0040】
乱反射基板220は積層設置された乱反射層222及び基板221を含む。乱反射層222は基板221と波長変換層210との間に位置する。乱反射層222における、波長変換層210に近い表面は第3表面222aである。
【0041】
乱反射層222は塩類又は酸化物類の白色乱反射材料を含み、例えば、硫酸バリウム粉末、酸化アルミニウム粉末又は酸化シリコン粉末などであり、これらは基本的に光を吸收せず、且つ、白色乱反射材料の性質は安定で、高温で酸化されることがない。
【0042】
乱反射層222は第3表面222aの入射光を全て乱反射し、乱反射された光を全て第3表面222aから出射する。そのために、本実施例における乱反射層222の厚みは十分に大きくする必要があり、乱反射材料による光に対する若干の吸收がもたらす損失を考慮しない場合、第2表面210bから出射された光が乱反射層222により乱反射され、再び全て波長変換層210に戻り、最終的に、波長変換層210の第1表面210aから出射される。
【0043】
乱反射層222を固定するために、乱反射基板220には、さらに乱反射層を支持する基板222が設置されている。但し、乱反射層自身の剛性が十分である場合(例えば、乱反射材料を透明ガラスに混合することにより形成する)、基板222は省略することもできる。
【0044】
上述した説明から、本実施例における波長変換装置は乱反射基板220の乱反射で従来の波長変換装置の鏡面反射を替えることで、反射式乱反射装置を実現し、性質が安定な白色乱反射材料からなる乱反射層で酸化しやすい反射層を替えることで、反射層の酸化による反射率の低下を避け、光の利用効率を向上し、且つ、当該波長変換装置はさらに超高出力のレーザ蛍光体などの高出力の発光装置に用いることができる。
【0045】
説明しなければならないのは、波長変換層210と乱反射基板220との間の結合力を補強するために、上述した積層設置された波長変換層210と乱反射基板220とは密着している。また、両者が密着することにより、光の出射面と乱反射基板220との間の距離を短縮することができ、波長変換層210における光の拡散度を減らすことができる。類似的に、乱反射基板220における乱反射層222と基板221との関係も同様である。
【0046】
波長変換層210、乱反射層222及び基板221が順次に積層されて密着している場合、
図2に示した実施例における波長変換装置を製造するには、以下の方法を採用することができる:まず、基板221に乱反射材料を塗布し、これらの乱反射材料は乱反射層222を構成し、さらに、乱反射層222上に蛍光体層210を塗布する。このような工程は操作が簡単で、実現しやすい。乱反射層は、乱反射材料にコロイドが混合されたものを基板に塗装することで形成することができ、このような方法は、接着強度が比較的大きい。乱反射材料は水ガラスなどの無機のりと混合され、基板221に接着されることもでき、このような方法は、接着性が強くないが、比較的高い温度に耐えることができる。
【0047】
波長変換装置の耐熱性を向上するために、さらにもう一つの方法を採用することができる。まず、第2ガラス材料と白色乱反射材料との混合粉末を基板221の表面に塗布し、第2ガラス材料の融点より高い温度で当該第2ガラス材料と白色乱反射材料との混合粉末を焼結成形し、乱反射層222を得て、そして、第1ガラス材料と波長変換材料との混合粉末を乱反射層222の表面に塗布し、第1ガラス材料の融点より高い温度で当該第1ガラス材料と波長変換材料との混合粉末を焼結成形し、波長変換層を得る。ここで、第1ガラス材料と波長変換材料との混合粉末を焼結する過程で、乱反射層222における第2ガラス材料が熔化することを防止するために、第1ガラス材料の融点は第2ガラス材料の融点よりも低いことが必要であり、この場合、焼結温度を第1ガラス材料の融点よりも高く、且つ、第2ガラス材料の融点よりも低くすればよい。上述した方法により、波長変換材料及び第1ガラス材料を含む波長変換層、白色乱反射材料及び第2ガラス材料を含む乱反射層を得ることができる。ガラスは、シリカゲルなどの従来の接着剤に対する融点が比較的高いため、より高い温度に耐えることができるので、波長変換装置は、より優れた耐高温能力を有する。また、焼結成形のため、波長変換層と乱反射層、乱反射層と基板との間に、より高い結合力を有することができる。
【0048】
図2に示した実施例において、入射光を完全に乱反射することを実現するために、乱反射層の厚みは非常に大きくする必要がある。その理由としては、乱反射材料が集塊しやすいため、乱反射層において、いつも乱反射が非常に小さい局部領域が存在し、ひいてはピンホール(pin hole)が存在することにより、入射されたレーザ光は、非常に少なく乱反射され、ひいては、乱反射されずに(ピンホールを直接に通す)乱反射材料を透過するため、乱反射層の厚さを大きくし、完全にピンホールの生成をなくすことで、乱反射を実現する。ところが、乱反射層の厚さが厚いほど、乱反射材料はより脱落しやすくなるので、乱反射層を製造することが難しくなり、また、乱反射層の厚みが大きいほど、波長変換層と基板との間における熱抵抗が大きくなるので、波長変換層の熱は基板に伝導してなくなりにくくなり、波長変換層の放熱に不利である。
【0049】
入射光を完全に乱反射すると同時に、上述した二つの課題を克服するために、一つの好ましい解決方案とは、
図2における波長変換装置の基板221を鏡面反射板として設置し、具体的に、当該鏡面反射板はアルミ反射板である。この場合には、乱反射層222の乱反射材料は比較的薄くすることができ、第3表面222aから入射された光を部分的に乱反射すればよく、乱反射された後、光は第3表面222a及び当該第3表面222aに対向する表面222b、すなわち第4表面から出射される。第3表面222aの入射光における乱反射されなかった部分は乱反射層222を透過して第4表面222bから鏡面反射板221まで出射される。乱反射層222は一部の乱反射光を乱反射の形式で折り返し反射し、上述した第4表面222bから出射された乱反射光の残った部分及び乱反射されなかった光はいずれも鏡面反射板221により鏡面反射の形式で折り返し反射され、最終的に乱反射基板220に入射された光はいずれも第3表面222aから出射される。
【0050】
完全に鏡面反射を使用する形式に比べ、大部分の光は乱反射の形式により反射されるため、鏡面反射板の反射率が低下しても、全体の反射率に大きい影響を与えない。
【0051】
例えば、アルミ反射板を鏡面反射板として用いることができる。アルミ反射板の表面は長時間高温で酸化されても、アルミ反射板の反射率は70〜80%まで低下する。実験において、アルミ反射板に厚みが0.22mmである硫酸バリウム乱反射材料層を設置するとき、ここで、当該アルミ反射板の反射率は80%であり、このとき、およそ90%の入射光は乱反射層により反射され、およそ10%の入射光はアルミ反射板により反射され、このとき、波長変換装置の効率は、酸化されていない銀メッキされた基板を用いるのに対し、わずか1%〜2%と低下したと実験により測定できた。当該硫酸バリウム乱反射材料層の厚みを0.12mmまで小さくしたとき、およそ75%の入射光は乱反射層により反射され、およそ25%の入射光はアルミ反射板により反射され、このとき、波長変換装置の効率は酸化されていない銀メッキされた基板を用いるのに対し、5%と低下したが、厚みは40%以上小さくなったと実験により測定できた。実験でわかったのは、波長変換装置が90%以上の全体反射率を有することを確保するために、50%以上の入射光が乱反射材料層により反射されることを確保する必要がある。実際には、乱反射材料層を非常に薄くすることが不可能であり、多くの乱反射材料層は、いずれも反射が50%以上である反射率を確保することができる。
【0052】
当然ながら、他の鏡面反射板は、波長変換装置が90%以上の全体反射率を有することを確保するために、鏡面反射板に入射された光が波長変換装置における全体の入射光を占める比率も異なるようにしてもよい。白色乱反射材料が光を吸収することを考慮しない場合、全ての光の損失は鏡面反射板が光を吸収することにより生じるため、乱反射層により反射された光が波長変換装置の入射光を占める比率は以下の条件を満たす必要がある:(1−R)(1−P)≦
0.1、ここでRは鏡面反射板の反射率であり、Pは乱反射層により反射された光の比率である。
【0053】
それとともに、このような波長変換装置は乱反射層を製造する難しさを低下させることができ、波長変換層の放熱に有利である。当該方案は効率、放熱及び技術性に配慮することができ、一つの好ましい方案であるとは言える。当然ながら、アルミ反射板は、鏡面反射を実現可能な他の鏡面反射板で替えることもでき、同様に類似した効果を奏することができる。
【0054】
実際の応用の中で、より優れた波長変換層の放熱を実現するために、好ましくは、波長変換装置は、励起光により当該波長変換層210上に形成された光スポットが所定の経路に沿って当該波長変換層210に作用し、励起光が波長変換層210の同じ位置に長時間作用することにより、当該波長変換層210の局部における温度が高すぎる問題を避けるために、波長変換層210及び乱反射基板220を動かせるように駆動する駆動装置230を更に含むので、波長変換層の放熱能力を向上し、乱反射層による影響を小さくする。具体的に、本実施例において、駆動装置230は、励起光により当該波長変換層210に形成された光スポットが所定の円形経路に沿って当該波長変換層に作用するために、波長変換層210を回転させるように駆動する。好ましくは、乱反射基板220は円盤状をなし、波長変換層210は当該円盤と同心の環状をなし、駆動装置230は円筒状をなすモータであり、且つ、駆動装置230は波長変換層210及び乱反射基板220と同軸に固定される。本発明の他の実施形態においては、駆動装置は、波長変換層を他の形式で移動するように駆動しても良く、例えば、水平往復移動などである。
【0055】
容易に理解できるのは、改善された上述した二つの波長変換層の放熱問題の方案は組み合わせて使用することができ、より優れた放熱效果を奏することができる。
【0056】
上述した二つの実施例から分かるように、乱反射基板220は第3表面222aの入射光の少なくとも一部を乱反射した後、全ては、第3表面222aから波長変換層210まで出射され、乱反射で鏡面反射を少なくとも部分的に替えることは、光の利用効率を向上することができる。
【0057】
上述した実施例において、基板を反射板として設置することにより、乱反射層の厚みを小さくすることができるが、乱反射層が脱落する恐れがあるという問題を徹底的に解決していない。
図3は本発明における波長変換装置のもう一つの実施例にかかる構造模式図であり、
図3に示すように、
図2に示した波長変換装置との違いは、これらの問題を解決するために、本実施例において、白色多孔質セラミックス板は乱反射基板320として設置される。
【0058】
多孔質セラミックスは化学的安定性が優れ、密度が低く、強度が高く、無毒、耐腐蝕、耐高温などのメリットを有し、複数の分野に応用することができ、例えば、触媒担体、食品薬品の濾過、バーナー、吸音材料、航空材料などに用いることができる。白色多孔質セラミックスはさらに光を吸収しない特性を有し、それとともに、多孔質セラミックスの多孔質特性はさらに光に対する乱反射及び反射をもたらすことができる。また、多孔質セラミックス板320は直接的に波長変換層310と接しており、波長変換層310の熱を外に伝導して放熱させることもできる。
【0059】
純粋の陶瓷、例えば、ガラスは、入射光に対する乱反射作用を有しないが、多孔質セラミックスの内部に多くの気孔が存在し、気孔における格子の配列は不規則であり、異なった格子の結晶面の向きは大きく異なっている。光が気孔における格子に入射したとき、屈折又は全反射するが、同じ気孔における異なった格子に入射した光は屈折又は全反射された後の方向が違ってきて、マクロの視点から、1束の光は気孔において、乱反射したように見える。白色多孔質セラミックスの厚みが十分に大きい場合、上述した乱反射層の作用と類似し、白色多孔質セラミックスは入射光を全て折り返し反射することができる。白色多孔質セラミックスの反射率は99%までも達することができると実験により検証された。このように、白色多孔質セラミックスは直接的に
図2に示した実施例における乱反射層及び基板を替えることができ、それが一体となっているため、乱反射層が基板から脱落しやすいという問題が生じることを避けることができる。
【0060】
また、硫酸バリウムなどの乱反射材料に対し、白色多孔質セラミックスの乱反射作用はより制御可能であり、これは、白色多孔質セラミックス内における気孔は比較的均一に分布することができ、且つ、その大きさは技術方法の選択及び技術パラメータの調節により制御することができ、硫酸バリウムなどの乱反射材料は集塊しやすく、分布は均一ではなく、入射光は一部の領域を透過して乱反射されないため、比較的厚い乱反射材料を設置することで乱反射の效果を確保する必要があるからである。そのため、乱反射材料からなる乱反射層に対し、白色多孔質セラミックス板の厚みはより薄くすることができる。
【0061】
具体的に、本実施例における白色多孔質セラミックス板320は酸化アルミニウム多孔質セラミックスであり、その技術が比較的に成熟しており、能力が比較的に安定である。本発明における他の実施形態において、白色多孔質セラミックスは窒化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの材質であってもよく、これらの材料は酸化アルミニウム多孔質セラミックスと同様に、乱反射を実現するとともに、少なくとも1000℃以上の高温に耐えることができ、超高出力の発光装置に応用することができる。
【0062】
白色多孔質セラミックス板を乱反射基板とした波長変換装置の製造方法は、上述した実施例と類似し、波長変換層310を製造するために、波長変換材料を白色多孔質セラミックス板320に塗布することができ、上述した実施例における波長変換装置の製造工程に対し、工程は大きく簡潔化される。
【0063】
波長変換層310の波長変換材料又は接着剤が多孔質セラミックス板における気孔に滲入するのを防止するために、好ましくは、白色多孔質セラミックスにおける気孔の孔径は1ミクロン以下である。比較的小さい気孔孔径を実現するために、ゾル・ゲル法を用いて、白色多孔質セラミックス板を製造することができ、このような方法で製造できた白色多孔質セラミックス板の気孔孔径は2nm〜100nmである。
【0064】
しかしながら、多孔質セラミックス板の問題は熱伝導能力が高くないことにあり、励起光のパワーが特に高く、波長変換層310の熱が容易に直ちに導出できないため、波長変換層の温度は比較的高い。また、多孔質セラミックス板は、励起光の光スポットに位置する部位の温度が高いが、周りの温度が相対的に低いため、多孔質セラミックス板におけるこの部位は熱膨張により比較的大きい熱応力が生じ、多孔質セラミックス板がひび割れする恐れがある。そのため、白色多孔質セラミックス板320の熱応力を低下させるために、一つの方法としては、金属板(図示せず)を白色多孔質セラミックス板320における、波長変換層310に背向する表面に設置し、該表面に密着させることができ、多孔質セラミックス基板320の放熱を加速することができ、間接的に波長変換層310の放熱を加速し、その温度を低下させ、多孔質セラミックス板の熱応力を低下させる。
【0065】
具体的に、工程は以下のとおりであってもよい:蒸発又はスパッタの方法で多孔質セラミックス板に1層の半田をメッキし、例えば、金錫半田、金錫銅半田など、金属板に1層の銀をメッキし、多孔質セラミックス板における、半田がメッキされた一方の面を金属板における、銀がメッキされた一方の面に密着させるとともに、圧着し、そして、加熱することで、半田層を溶融し、冷却した後、多孔質セラミックス板は金属板と一体に溶接されるとともに、優れた熱接触を実現した。当然ながら、熱伝導シルバーゲルを用いて両者を直接に一体に接着することもできる。
【0066】
一方で、波長変換層310と金属板との間における熱抵抗を低減し、放熱を加速するために、白色多孔質セラミックス板320はより薄くすることができる。但し、白色多孔質セラミックス板の厚みは薄すぎると、当該白色多孔質セラミックス板に入射された光の全部は反射されず、一部は透過する。この場合、一方で、金属板の表面に反射層を設置することにより、全体の反射率を向上することができ、その原理は上述した乱反射層と反射板からなる乱反射基板の原理と類似する。もう一方で、さらに白色多孔質セラミックスの気孔孔径を小さくすることにより、実現することもできる。これは、白色多孔質セラミックスの気孔孔径が小さいほど、白色多孔質セラミックスの乱反射效果がより優れるからである。
【0067】
もう一つの白色多孔質セラミックスの熱応力を低下する方法は、上述した波長変換装置が乱反射層を含む場合と類似し、波長変換層の放熱能力を向上するために、本実施例における波長変換装置には、駆動装置330を設置することもでき、この場合、熱はレーザ光の光スポットがスキャンした領域に均一化されるため、波長変換装置表面の最高温度を低下させ、熱応力を低減させる。容易に理解できるのは、金属板を用いて放熱する方法と駆動装置を設置する方法とを組み合わせて使用すると、その放熱效果はより優れる。
【0068】
上述した実施例における波長変換装置は優れた耐高温性能を有し、高出力の発光装置に用いることができ、且つ、乱反射基板の存在により入射光が十分に乱反射してランバーシアン分布になるようにすることができる。これは蛍光体の出射光の分布と同様であるため、波長変換装置を発光装置に応用することで均一な混合光を得ることもできる。
【0069】
図4は本発明における発光装置の一つの実施例にかかる構造模式図であり、
図4に示すように、発光装置は第1光源410、光合成装置420、収集レンズ430及び波長変換装置440を含む。
【0070】
第1光源410はレーザ励起光L1を出射することができ、当該レーザ励起光L1は光合成装置420により波長変換装置440の第1表面441まで反射される。ここで、具体的に、光合成装置は反射鏡であり、波長変換装置440は上述した実施例のいずれかにおける波長変換装置及びその変形であってもよい。波長変換装置440はレーザ励起光L1を部分的に被励起光に変換し、残った部分のレーザ励起光L1は吸収されずに乱反射され、被励起光と残った部分のレーザ励起光との混合光L2は第1表面441から出射される。
【0071】
ランバーシアン分布のエテンデュが大きく、一定の距離を過ぎた後、光束は大きく拡散し、收集しにくいため、本実施例において、発光装置は収集レンズ430をさらに含み、当該収集レンズ430は反射鏡420と波長変換装置440との間における光路に位置し、波長変換装置440の出射光L2をコリメートした後、反射鏡420まで出射することができる。当然ながら、コストダウン又は光学サイズを小さくすることのみを考慮し、光利用効率を考慮しない場合には、収集レンズを使用しなくてもよい。
【0072】
レーザ光のエテンデュが比較的小さく、光束の断面積が小さいため、反射鏡420は小さい面積でも、レーザ光を反射することができ、波長変換装置420が出射した混合光L2はランバーシアン分布であり、コリメートレンズ430によりコリメートされても、その断面積は大きく、大部分の混合光L2は反射鏡420の周りの領域を通り、後続の光学装置に利用され、わずかの一部は反射鏡420により第1光源410方向まで反射されて損失してしまう。本発明における他の実施形態において、第1光源410は斜めに波長変換装置440まで入射されてもよく、これにより、反射鏡420を設置する必要がなくなる。
【0073】
蛍光体が生成した被励起光はランバーシアン分布であり、レーザ光はガウス分布であるため、従来の波長変換装置において、レーザ励起光は高反射層により鏡面反射された後、依然としてガウス分布であり、蛍光体層はレーザ励起光に対し、一定の乱反射作用を有するが、レーザ励起光が、被励起光と同様なランバーシアン分布になるように乱反射されるには、蛍光体層の乱反射作用は十分ではないため、波長変換装置の出射光中におけるレーザ励起光と被励起光との混合は均一ではない。本実施例における波長変換装置は、乱反射層の存在により、吸収されなかった一部のレーザ励起光は、ランバーシアン分布になるまで、乱反射基板により乱反射されるため、被励起光との混合は均一である。
【0074】
また、発光装置における光合成装置420は貫通孔が設けられた反射鏡であってもよく、この場合、レーザ光は波長変換装置に直交して入射するように設置され、レーザ励起光は貫通孔を通り、波長変換装置まで入射するようにし、波長変換装置の出射光は大部分が反射鏡における貫通孔の周りの領域により反射されて利用され、わずかの一部は第1光源まで貫通孔を透過して損失される。
【0075】
本実施例における発光装置は白色光光源に用いることができ、例えば、励起光は青色レーザ光であり、波長変換装置には黄色光蛍光体が含まれ、青色レーザ光は黄色光蛍光体を励起し、黄色光を生成することができ、黄色光及び残った青色光はいずれもランバーシアン分布であるため、比較的均一な白色光に混合されることができる。当然ながら、レーザ光源及び波長変換材料はいずれも需要に応じて設計することができ、ここで列挙したものに限定されない。
【0076】
黄色光における赤色光波長域の比率は通常比較的低く、直接に投影表示に用いられると、投影した画面における赤色光成分の輝度の比率は低く、表示效果は劣るため、投影システムの画面の画質を向上するために、
図4に示した実施例における発光装置において赤色光を補充することができる。
図5は本発明における発光装置のもう一つの実施例にかかる構造模式図であり、
図5に示すように、発光装置は第1光源510、第2光源520、フィルター530、光合成装置、収集レンズ560及び波長変換装置560を含む。
【0077】
第1光源510は第1色光L1を出射することができ、具体的に、第1光源は青色光レーザ光源であり、第1色光L1は青色光レーザであり、第2光源520は第2色光L2を出射することができ、具体的に、第2光源520は赤色光レーザ光源であり、第2色光L2は赤色光レーザである。
【0078】
光合成装置は第1領域及び第1領域の周りを取り囲む第2領域を含む。本実施例において、具体的に、第1領域は反射鏡540であり、第2領域は反射鏡の周りを取り囲む領域である(図示せず)。
【0079】
第1色光L1及び第2色光L2はフィルター530により同一の光路に光合成され、反射鏡540(すなわち、光合成装置の第1領域)まで入射されることができる。ここで、フィルター530は第1色光L1と第2色光L2との波長の違いを用いて光合成し、赤色光を透過して青色光を反射することができる。当然ながら、第1色光L1及び第2色光L2はさらに他の方法で光合成することができ、例えば、フィルター530を偏光板に替えるとともに、第1色光L1が第2色光L2との偏光状態が異なり、それぞれ偏光板により反射されて透過されることができるように設計し、ひいては、発光装置には、該フィルター530及び光合成装置を設置しなくてもよく、第1色光L1及び第2色光L2が直接に異なった角度から斜めに波長変換装置560の第1表面561まで入射されるようにする。
【0080】
第1色光L1と第2色光L2との混合光L3は反射鏡540により波長変換装置560の第1表面561まで反射される。波長変換装置560は黄色光蛍光体を含み、第1色光L1を部分的に吸収し、被励起光に変換することができ、当該被励起光は黄色光であり、吸収されなかった第1色光L1は乱反射された後、被励起光とともに第1表面561から出射され、波長変換装置560は第2色光を吸収することができず、それが乱反射された後、第1表面561からも出射される。
【0081】
波長変換装置560の出射光L4も収集レンズ550によりコリメートされた後、その大部分は反射鏡540の周りの領域(すなわち、光合成装置の第2領域)を通り、わずかの一部は反射鏡540(光合成装置の第1領域)により反射され、損失され、発光装置は、混合が比較的に均一な白色光を得る。
【0082】
本実施例において、赤色光レーザは、波長変換装置の波長変換層を通ったとき、黄色蛍光体に吸収されず、わずかの一部は蛍光体により乱反射された後、波長変換装置の第1表面から出射され、大部分は乱反射基板に入射され、乱反射された後、最終的に、波長変換装置の第1表面から出射され、第1表面から出射された赤色光レーザ光はガウス分布からランバーシアン分布に変換され、ガウス分布に近似する、高反射層に反射された赤色光レーザの光分布に対し、それは被励起光の光分布と同様でより近似し、両者の混合はより均一である。
【0083】
説明しなければならないのは、本実施例において、発光装置は青色光、黄色光及び赤色光により混合されてなる白色光を出射する。発光装置は、黄色光を出射する必要がある場合、青色光レーザがほぼ全て波長変換装置により吸収されるように設計することができ、又は、光合成装置の第2領域はフィルターであり、フィルターが被励起光及び第2色光を透過し、第1色光を反射できるようにすればよい。
【0084】
本実施例において、反射鏡540は第1色光及び第2色光を反射することができるが、それと同時に、被励起光も反射することにより、この部分の被励起光は損失される。被励起光の出射効率を向上するために、被励起光を透過し、第1色光及び第2色光を反射するフィルターで反射鏡を替えることができる。
【0085】
また、光合成装置は貫通孔が設けられたフィルターであってもよく、貫通孔は光合成装置の第1領域であり、第1色光、第2色光及び被励起光を透過することができ、フィルターにおける貫通孔以外の領域は第2領域であり、被励起光、第1色光及び第2色光を反射することができ、この場合、第1色光及び第2色光は貫通孔から波長変換装置まで入射される。被励起光の利用効率を向上するために、貫通孔は、さらに一つのフィルターを覆うことができ、当該フィルターは第1色光及び第2色光を透過し、被励起光を反射することができる。出射光として、第1色光を出射する必要がない場合、第2領域が被励起光及び第2色光を反射し、第1色光を透過するように設置されることができる。
【0086】
実際に、
図5に示した発光装置において、発光装置における補充が必要な赤色光の比率は比較的低く、必ずしもまず赤色光及び青色光レーザを波長合成する必要がなく、空間を節約するために、他の光合成方法を用いることができる。
図6は本発明における発光装置のもう一つの実施例にかかる構造模式図であり、
図6に示すように、発光装置は第1光源610、第2光源620、光合成装置630、収集レンズ640及び波長変換装置650を含む。
【0087】
本実施例における発光装置が
図5に示した発光装置との違いは以下のとおりである。
【0088】
(1)第1光源610は青色光レーザ光源であり、第2光源620は赤色光レーザ光源であり、且つ、第1光源610は第2光源620の周辺を取り囲んで配列している。第1光源610が出射した第1色光L1は青色光レーザであり、第2光源620が出射した第2色光L2は赤色光レーザである。
【0089】
(2)第1光源610及び第2光源620の配列方式と対応し、発光装置における光合成装置630は積層設置された反射素子632及びフィルター631を含み、反射素子632はフィルター631における、波長変換装置650の表面に近い中間位置に位置する。反射素子632は第1領域であり、フィルター631における、反射素子632に覆われていない領域は第2領域である。フィルター631は青色光を反射し、黄色光及び赤色光を透過することができる。第2色光L2は反射素子632まで入射し、反射素子632により反射され、補充が必要な赤色光は比較的少ないため、赤色光レーザ光源に含まれたレーザダイオードの数は相対的に少なく、反射素子632の面積はフィルター631に対し、たいぶ小さくても良い。第1色光L1はフィルター631における、反射素子632に覆われていない領域、すなわち、第2領域まで入射し、フィルター631により反射される。第1色光L1及び第2色光L2はいずれも光合成装置630により収集レンズ640まで反射され、波長変換装置650の第1表面651までフォーカスされる。
【0090】
図5に示した実施例と類似し、青色光レーザL1は波長変換装置650によりランバーシアン分布の黄色被励起光に変換され、赤色光レーザL2は、ランバーシアン分布になるように、波長変換装置650に乱反射され、且つ、黄色被励起光及び赤色光レーザは第1表面651から出射され、均一な混合光L3を形成し、波長変換装置の基板に高反射層が設置され、乱反射層が設置されていない場合に対し、本実施例における波長変換装置650が出射した混合光L3はより均一である。当該混合光L3の多くは、光合成装置のフィルター631における、反射素子632に覆われていない領域から透過し、わずかの一部は反射素子632により反射され、損失される。
【0091】
ここで、光合成装置630における反射素子632はさらに赤色光を反射し、黄色光を透過するフィルターで替えることができ、黄色被励起光の利用率を向上することができ、当該フィルターは、必要に応じて吸収されなかった第1色光を透過し又は反射するように設計することができる。また、光合成装置630はさらに領域に膜をメッキする形式で実現することができるが、本実施例における二つの素子の積層設置(例えば、光学接着剤を用いて接着する)に対し、工程はより複雑で、価格はより高い。
【0092】
当然ながら、容易に理解できるのは、本実施例における光合成装置632は貫通孔が設けられたフィルターで替えることができ、この場合、貫通孔は第1領域であり、第1色光(青色光)、第2色光(赤色光)及び黄色被励起光を透過することができ、当該フィルターにおける、貫通孔以外の領域は第2領域であり、青色光を透過し、赤色光及び黄色光を反射することができる。この場合、第1色光及び第2色光は波長変換装置に直交して入射するように設置され、第2色光が貫通孔を通り、波長変換装置まで入射するようにし、第1色光は波長変換装置まで第2領域を透過する。波長変換装置の出射光の多くは、フィルターにおける貫通孔の周りの領域により反射され、利用され、わずかの一部は貫通孔まで透過し、損失される。類似的に、貫通孔区域には一つのフィルターを設置することができ、被励起光の利用率を向上するために、当該フィルターは第2色光を透過し、黄色被励起光を反射することができ、当該フィルターは、必要に応じて吸収されなかった第1色光を透過し又は反射するように設計しても良い。
【0093】
説明しなければならないのは、
図5に示した実施例における発光装置に対し、本実施例において、吸収されなかった青色光は波長変換装置650から出射されても、光合成装置630を透過できないため、発光装置が出射したのは黄色光である。白色光を出射することを実現するために、発光装置には、さらに第1光源610と波長が異なった一つの青色光光源(図示せず)を設置することができ、黄色光と光合成するようにする。例えば、青色光光源は第1光源610及び第2光源620に対向する一方の側に設置することができ、青色光光源の出射光が第1色光L1及び第2色光L2の入射方向と反対する方向に沿って、分光装置におけるフィルター631まで出射されるようにする。当該フィルター631は青色光光源の出射光及び第1光源が出射した青色光を反射し、赤色光及び黄色被励起光を透過する光学性質を有するので、黄色被励起光、吸収されなかった赤色光及び青色光光源の出射光を同一の光路に合成し、出射する。
【0094】
本明細書における各実施例を累進の形式で説明し、各実施例については、主に他の実施例との違いを説明したが、各个実施例における同様又は類似の部分について、互いに参照すればよい。
【0095】
本発明の実施例はさらに発光装置を含む投影システムを提供し、当該発光装置は上述した各実施例における構造及び機能を有することができる。当該投影システムにおいては、各種投影技術を採用することができ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD,Liquid Crystal Display)投影技術、デジタルライトプロセッサ(DLP,Digital Light Processor)投影技術が挙げられる。
【0096】
上述したのは本発明の実施形態であり、本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面の内容を用いて実現した等価構成又は等価変換フロー、又は他の関連する技術分野における直接又は間接的な応用は全て同じ理由で本発明の特許請求の範囲内に含まれる。